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2021年9月6日 (月) 11:48時点における版
ゴジラ | |
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ゴジラシリーズのキャラクター | |
1954年版『ゴジラ』のゴジラ | |
初登場 | 『ゴジラ』(1954年) |
作者 | |
演 | 中島春雄 |
ゴジラ(初代) は、映画『ゴジラ』に登場する架空の怪獣である[1]。
関連メディアなどでは初代ゴジラ[10][注釈 1]と呼ばれることが多い。
劇中での活躍
ゴジラ | |
---|---|
別名 | 水爆大怪獣[19][注釈 2] |
身長 | 50m[23] |
体重 | 2万t[24] |
出身地 | 大戸島近海[25][注釈 3] |
出現地 | 大戸島近海[9][18][注釈 4] |
出現地点は大戸島→太平洋→東京湾→品川第二台場→品川駅→東京湾→芝浦→田町→新橋→銀座→数寄屋橋→永田町→平河町→勝鬨橋→東京湾[13]。
作中で山根恭平博士により、200万年前の侏羅紀に生息していた海棲爬虫類と陸上獣類の中間生物であることが語られる。ビキニ環礁の水爆実験によって自分の環境を破壊されたことによって現れ、人間に恨みを持っているかのように東京湾から品川へ上陸し、東京の各所を次々と破壊するが、最後は東京湾で潜伏中にオキシジェン・デストロイヤーによって白骨化して溶解され、消滅する。
- 体重の設定は現在「2万トン」で統一されているが、公開当時は「1千トン」や「3千トン」とする記事も存在していたなど一定しておらず、後年に定められたものとされる[22]。
- 白熱光の描写は、光学合成によるものと、ギニョールからシッカロールを噴出させるものが併用された[26]。
造形
造形は利光貞三(雛形、頭部)[27][6][28]、八木勘寿、八木康栄(ボディ)[26][6][28]、開米栄三(助手)[26][6][29]による[注釈 5]。
- 1号スーツと2号スーツ
- 着ぐるみは2体製作されている[26][27][28]。最初に作られた通称1号スーツがあまりにも固く重すぎて演技ができなかったため[注釈 6]、軽量化した2号スーツが急遽作られた[26][28][注釈 7]。全身カットはこの2号スーツを使って撮られることとなった[30][28]。1号スーツは黒目が上向き、2号スーツは黒目が下向きに付けられている[35]。
- 1号スーツは腰部分で上下に分割され、下半分は銀座や品川駅をのし歩く足のアップシーンに[27][26][34]、上半分は水上でのシーンなどに使われた[36]。映画公開後、このスーツは宝田・河内の両主演俳優を招いた少年雑誌主催のイベント企画で、劇中同様に隅田川から東京湾へ沈められた。
- ゴジラの体色は画面が白黒ゆえに判然としないが、開米は「体表は白いゴムに油性塗料を吹き付けた[注釈 8]灰色で、口の中は色合いの違いを出すため、真っ赤に塗られていた」と述べている。一方、有川貞昌は「体色は赤黒い色で、灰色ではなかった」と述べているほか、造形助手であった鈴木儀雄は「グレーというか茶色系で、くすんだ色でした」と述べているなど、スタッフ間で食い違いが見られる。
- スーツの素材
- 当時、ラテックスはまだなく、「取り寄せたブロック状の生ゴムをバケツの水に一晩漬け、翌朝軟らかくなったところでワセリンなどを混ぜ込んで練り、粘土原型から起こした石膏の雌型に塗りつけ、これを赤外線ランプを内側に並べて作った専用の「焼き窯」の中で250度ほどで加熱乾燥させる」という工程でゴムの表皮が作られた[37][28]。ゴムは非常に高価で、1クロームにつき5千円だったという[38]。
- 八木康栄と八木勘寿の兄弟は、元々は遊園地の展示物や菊人形の制作などを請け負っていた職人としての経験を生かし、張り子の技法で番線の鉄骨に金網と古紙を張り[6][注釈 9]、上記の表皮を貼り付けて作った表皮に固めに練ったゴムを盛りつけ、襞(ひだ)を作った。しかし、当初はゴムの練りが足りず、試着して動くと表皮がすぐに裂ける状態だった。ゴムの練りを工夫するなどして試行錯誤の末、ようやく造られた1号スーツは非常に硬く、150キログラムを超える重さがあることから角材すらまたげなかった。撮影中にもすぐ倒れ、しかも自力で起き上がることは不可能だった。
- 開米によると、当時まだ発泡ウレタン(スポンジ)はなく、表皮の内側には綿を布袋に詰めたものを一面に縫い付けたため[注釈 10]、さらに重量が増えた。背中の出入口にはファスナーではなく足袋の小鉤のようなものを使用し[29]、撮影時にはこれを針金またはテグスで縛って閉じた。足下には長靴を使うという発想がなかったため、下駄を入れた[注釈 11]。目玉は木工部で木製の卵型の球を作ってもらい、この目玉と口はオートバイのブレーキワイヤーとゴムをつなぎ、尻尾の途中から外へ出して開米が外部から操作したという。牙は木製だとネズミのようになるため、ゴムで作られた。背びれは金網の芯に紙を張り、ゴムを塗って作った。左腕は1号スーツも2号スーツも粘土原型の形状に合わせ、肘の部分で胴と一体化した形になっている。
- その他の造形物
- 鉄塔に噛みつくシーンやデパートの鳥かごの奥に現れるシーンなど細かい表情の撮影には、腰から上の手踊り式のギニョール模型が使われた[27][39][40]。造形は利光貞三[40]。検討用の2尺粘土模型を石膏で型取りし、ゴムで抜いたものが使われた。ギニョールの操作には当初、街のギニョール師が呼ばれたが、人形芝居の動きと怪獣の動きは違うためにイメージが合わず帰ってもらい[要出典]、中代文雄がこれを行った[40]。操作の際には頭が邪魔にならないよう寝そべり、仰向けになって行っている。
- ラストシーンの「ゴジラの骨」も、50センチメートルほどの全身骨格模型が用いられた[27][40]。利光貞三により、針金の芯に綿にゴムを浸み込ませる技法で作られている[40]。
- プロトタイプゴジラ
- 初代ゴジラ以前に制作された雛形[注釈 12]のゴジラ。頭部が非常に大きく直立しており、ワニ風の丸顔と体表を覆う蛇のような鱗(うろこ)が特徴[27][41]。単純な隆起状の背びれや3本指の手など、外見は現在のゴジラ像と大きく異なる。原水爆によって焼けただれた皮膚を再現し、「生物」としてのゴジラを制作スタッフである田中友幸や本多猪四郎、そして円谷英二が追求した結果、哺乳類ゴリラのイメージを合成し、爬虫類・両生類といった面よりも哺乳類に近い外見を持つ「初代ゴジラ」が誕生した[42]。
- 原型は3体作られ着ぐるみに近い形状へと至ったが[41]、八木らは待ちきれず着ぐるみ制作に入っていたという[37]。
- 公開前のイメージスチールの素材のほか[43]、劇中の山根博士が紹介する写真の原版にも用いられた[27]。
- 玩具としては、一時期発売された東宝契約商品「ゴジラビーフジャーキー」におまけとして4センチメートル程度のフィギュアと、着ぐるみ資料写真からのカードが付属していたのみである[注釈 13]。
スーツアクター
当初、ゴジラのメインのスーツアクターには、本多猪四郎に口説かれた元プロ野球選手の手塚勝巳が起用された。しかし、上記のような重さでとても体力を要するものだったため、急遽円谷によってより若い中島春雄が呼ばれ、メインを交代した[35]。さらに開米栄三が常時サポートにつき、シーンによっては開米もゴジラに入っている[35][注釈 14]。
視界は極端に狭く、スーツアクターからは足元しか見えなかった。このため、補佐を務めた手塚は、懐中電灯で足元を照らすことにより、中島を誘導した。特撮プールでの撮影では誤って水底の電力ケーブルが漏電し、中島が失神する騒ぎとなったという。円谷は連日、中島と手塚両人にゴジラの咆哮や動きを直接身振りを交えて念入りに指導したうえ、普段から「がにまた歩き」を徹底するよう指示し、これを「ゴジラのアクションのためのシゴキだ」と語っていたという。中島は動物園に通って動物の動きを研究し[27][33]、ライオンの持つ威圧感に、クマの直立する動き、ゾウの脚運びを参考にしたといわれる。
銀座和光の時計台を破壊するシーンでは、中島は円谷から自然な演技を指示されていたが、スーツの腕が固くて動かしづらかったため、NGを繰り返した[33]。これ以降、円谷はゴジラの演技を自然に行うことを強調するようになったという[33]。
2019年公開の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のエンドロールラストでは、前々年に逝去した中島への追悼と感謝メッセージが、写真と共にクレジットされている。
その後の作品での扱い
- 『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』
- 初代ゴジラが倒されずに生き延びているという設定である[7]。ただし外見は同作品のゴジラに準じている。
- 『ゴジラ×メカゴジラ』
- 初代ゴジラの最期の描写が改変され、死亡した場所が東京湾ではなく外房半島沖で、完全に溶解されず骨だけは残ったという設定になっている[7]。その骨を利用し、3式機龍が建造される。
初代再現スーツ
2018年11月3日には、東京都日比谷にて開催されたイベント『ゴジラ・フェス2018』に初代を再現したスーツが登場した[50]。このスーツは、2019年1月11日に福島県須賀川市にてオープンした博物館「円谷英二ミュージアム」で展示するために新造されたものである[51][50]。同館で公開される特別映像『夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る』の撮影にも使用された[50]。
制作はアップアート[50]。スーツの原型は、酒井ゆうじが原型を担当した初代ゴジラのガレージキットを3Dスキャンしてスーツサイズに拡大出力したものをベースとしており、頭部は酒井自身が仕上げを担当した[50]。
このスーツは、ボスとゴジラのコラボレーション企画の一環である特撮WEB動画にも用いられており、2019年5月29日には『顔の映らない主役』、2021年5月28日には『ゴジラ・青き日の衝撃』が、それぞれ制作された。いずれも撮影は東宝スタジオにて東宝による完全監修のもとで行なわれ、監督は本郷伸明、スーツアクターは齊藤謙也がそれぞれ担当した[52][53][54][55]。
脚注
注釈
- ^ または略して初ゴジ[11][12]。
- ^ 資料によっては、怪獣王と記述している[20][18][21]。
- ^ 資料によっては、「大戸島[14]」「大戸島近海の海底洞窟[16]」「海底洞窟[6][22]」と記述している。
- ^ 資料によっては、「太平洋上」と記述している[17]。
- ^ 大橋史典が参加していたとする資料も存在するが[30]、開米や比留間伸志らはこれを否定している[31]。
- ^ 書籍『ゴジラ大辞典』では「150キロ」と記述している[32]。
- ^ それでも100キログラム近い重さがあった[30]。演じた中島春雄は、当時2体存在したことは知らず、動きづらさは変わらなかったと述べている[33]。また、元々2体作る予定であったという証言も存在している[34]。
- ^ 後年ではゴムを溶かす際に顔料や染料などを入れて着色しているが、当時はそういった発想がなく、白いまま焼いていたという[29]。ゴムに塗るため、水性塗料は使用できなかった[29]。
- ^ 開米によれば、当時は和紙が高価であったため、文房具屋で買った安い茶紙を用いていたという[29]。
- ^ 開米は、柔道着に用いるような布を使っていたと証言している[29]。
- ^ 市販のようなものではなく、鉄板に麻で作った鼻緒を付けて布で巻いたというものであった[29]。次作『ゴジラの逆襲』(1955年)からは、中島春雄の意見で長靴が使われている。
- ^ 着ぐるみ製作前に製作する参考模型[12]。
- ^ 資料写真は斜め左前と正面から撮影されたものの2種類がファンブックなどに掲載されているが、カードに採用されたものは前者。また、おまけとしてのプロトタイプゴジラの扱いはシークレットとなっている。
- ^ 長身の開米が入ったゴジラは、脚のたるみなどが少ない[35]。
出典
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参考文献
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