「プラグインハイブリッドカー」の版間の差分
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[[Image:Chevy Volt DCA 01 2010 8817.JPG|thumb|200px|right|[[シボレー・ボルト (ハイブリッドカー)]]<br />EV走行時の最大航続距離約64km(39.8[[マイル]])]] |
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2021年9月6日 (月) 05:48時点における版
持続可能エネルギー |
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プラグインハイブリッドカー (plug-in hybrid car) は、コンセントから差込プラグを用いて直接バッテリーに充電できるハイブリッド車であり、PHV (Plug-in Hybrid Vehicle) またはPHEV (Plug-in Hybrid Electric Vehicle) と略されるプラグインハイブリッド式輸送機器の一種。
概要
プラグインとは電化製品と同様に、家庭用電源からプラグ(電気機器の電源コードの先に付いている差込器具)を利用して直接電力を供給し充電できるもので、プラグインハイブリッドカーは、非プラグインハイブリッドカーに比べ電池を多く搭載しているため、電気のみでより長距離を走行できる。給油のみで稼働する内燃機関車(ICEV)の利便性を残しながら電気自動車(EV)により近いタイプのハイブリッドカーである。
電気で走行するメリットは、エネルギー効率がガソリン車の数倍高く燃費が圧倒的に良い、走行中にCO2やNOxの排出が無いゼロエミッション車(ZEV)である等だが、車格が同程度の内燃車(満タン時)に比べると航続距離が短く、充電にも時間がかかる。逆に内燃機関で発電して一部を電動化した非プラグインのハイブリッドカーでは電池を内燃機関の補助と割り切っており、一般的なガソリン車に近い性質の自動車であった。双方の利点を取り込むため、従来のハイブリッド車に比べ多くのバッテリーと、内燃機関の両方を積むことによってエネルギー効率と給油速度を両立させたのが、プラグインハイブリッドカーである。外部電源(家庭用コンセントなど)からバッテリーに充電し、短距離であればモーターのみで電気自動車として走行できる。バッテリー残量の不足時には非プラグインのハイブリッドカー同様エンジンを用いて走行し、排気が発生するため、ゼロエミッション車には含まれない。
海外では2008年に中国で政府機関向けに発売された比亜迪汽車(BYDオート)のプラグインハイブリッドカー「F3DM」が世界初の量産型PHVとなった。F3DMの充電電池容量は20 kWであり、最長60マイル(約96 km)を電池のみで走行可能である。したがって片道40キロ程度の移動距離で、冷暖房を使わず渋滞にも巻き込まれなければ、ガソリンを使わずに往復できる。F3DMの価格は14万9800元(200万円弱)[1]と中国における一般的なガソリン車の2倍以上もするため、販売台数は2010年12月時点で500台未満にすぎない。 ゼネラルモーターズは、2010年12月よりシボレー・ボルトを北米市場に投入し、2011年10月までに5,329台を販売している[2]。また、アメリカの新興自動車メーカーフィスカーは、2011年11月より100,000ドルを超える高級PHEスポーツカー、カルマの一般顧客向け販売を開始した。
日本では2017(平成29)年度に435万台の新車乗用車が販売され、そのうち約3.4万台(0.78 %)がPHEVであった[3]。
長所と短所
長所
- バッテリーで走行可能な範囲で電気自動車としての使用が可能。
- 燃料代に比べ電気代は圧倒的に安い。
- 燃料走行の機能があるため、従来の内燃車(ICEV)と同等の時間での給油が可能。
- 燃料があれば発電できるため荒天や災害による長時間の立ち往生に強く、家庭や避難所では非常用電源となる場合もある。
短所
- 二次電池式電気自動車(BEV)に対しては内燃車の部品が、内燃車に対しては電気自動車の部品が、プラグイン方式ではないハイブリッド車に対しては電池が増える。いずれとの比較でも室内空間や荷室容積で不利となり、部品点数と重量が増加することで、製造・メンテナンス・リサイクルを含む廃棄にかかる環境負荷とコストの全てが高くなる。
- 二次電池式電気自動車に比べてバッテリーの容量が小さいため、バッテリーで走行可能な航続距離が大幅に短く、充電速度も遅い。バッテリー残量の不足時にはエンジンを用いて走行するため、排気の排出がある。
歴史
- 1997年3月、トヨタ自動車がコースター ハイブリッドEVを市販。
- 2003年、ヨーロッパでルノーからカングーのプラグインハイブリッドカー仕様elect'road発売。
- 2004年頃、アメリカで既存の自動車の電池を大容量の物に載せ替えてプラグインハイブリッドカー化するキットがベンチャー企業で開発され、現在では数社から販売され補助金も出ている。
- 2007年5月、日本でZEVEXが手作りのプラグインハイブリッドカーで日本列島縦断の旅を開始。
- 2007年7月、トヨタ自動車のプラグインハイブリッドカーが国土交通省から大臣認定を受け公道テストを開始。
- 2008年1月13日、北米国際オートショーにて中国・比亜迪汽車(BYDオート)が低価格プラグインハイブリッドカーBYD F3DMを発表[4]。
- 2008年1月13日、北米国際オートショーにてトヨタが2010年までにプラグインハイブリッドカーを企業や官公庁などに対して販売する方針を発表[5]。
- 2008年1月14日、ゼネラルモーターズが2010年までにプラグインハイブリッドカーを完成させる方針を発表。
- 2008年12月15日、中国でBYDが世界初の量産型プラグインハイブリッドカー「F3DM」を政府機関向けに発売開始[6]。価格は2万2000ドル(1ドル90円の場合約244万円)。家庭用電源で充電でき、100%の充電で60マイル(約96.56km)走行可能とされる。
- 2009年6月3日、トヨタ自動車が2009年度中に日本、米国、欧州でプラグインハイブリッドカー500台をリース販売すると発表。電気のみで約20km走行可能とされる[7]。日本200台、米国約150台、フランス約100台、英国やポルトガルには50台以上を導入する計画である[8]。
- 2009年8月11日、ゼネラルモーターズが2010年後半にプラグイン式ハイブリッド車シボレー・ボルト (ハイブリッドカー)(Chevrolet Volt)の生産を開始し、2011年に市場投入すると発表した。市街走行時の燃費は、米基準で少なくとも1リットルあたり97キロとなる見通し。ガソリン1米ガロン当たり100マイル(1リットルあたり42.51km)以上の走行が可能な低燃費車としては、世界初の量産車だとしている[9]。アメリカ環境保護局の調査では1ガロン当たり93マイルとなった[10]。
- 2009年10月21日、東京モーターショーにて三菱自動車工業がプラグインハイブリッドSUV「コンセプトPX-MiEV」を初公開。
- 2009年11月18日、トヨタ自動車は、プリウスPHVのリース販売につき、経済産業省のモデル事業であるEV・PHVタウンに選定された官公庁や自治体などの特定利用者との商談を開始。リース会社を通じて約200台をリースする。
- 2009年11月20日、BYDはF3DMの一般消費者向け販売を2010年まで延期すると発表した。BYDはF3DMの価格が14万9800元(200万円弱)と一般的な中国のガソリン車に比べて高額のため、市販には政府の補助金提供が必要と主張している。F3DMの販売台数は2009年11月現在約100台程度にとどまっている[11]。
- 2009年12月4日、トヨタ自動車はプラグインハイブリッドカーを2011年末から一般向けに発売すると発表。価格は300万円台の見通し。100%の充電で約20km走行可能とされる[12]。
- 2010年2月9日、トヨタ自動車はプリウスプラグインハイブリッドなどハイブリッド車4車種のリコール届出を国土交通省に提出[13]。
- 2010年12月、シボレー・ボルト (ハイブリッドカー)がアメリカで正式発売。
- 2011年11月29日、トヨタ自動車がプリウスPHVの受注を開始。価格は320万円から。
- 2012年1月30日、トヨタ自動車がプリウスPHVを発売。
- 2012年3月6日、ジュネーブモーターショーにて三菱自動車が次期アウトランダーをベースとしたプラグインハイブリッドカーを開発中と発表。
- 2012年12月26日、三菱自動車がアウトランダーPHEVを発表、2013年1月24日発売。
- 2013年10月1日、日野自動車が中型バス「メルファプラグインハイブリッド」を開発、翌月の東京モーターショーで公開[14]。
- 2015年9月8日、フォルクスワーゲンが「Golf GTE」を、BMWが「BMW X5 xDrive40e」を日本で発売開始[15]。
- 2016年1月27日、ボルボ・カー・ジャパンは「XC90」のPHEV(プラグインハイブリッド)を日本初導入した[16]。
- 2017年4月14日、本田技研工業はニューヨーク国際オートショーでクラリティ プラグイン ハイブリッドを世界初公開した[17]。同年の東京モーターショーで、2018年に日本導入する事が発表され[18]、2018年7月19日に日本で「クラリティPHEV」を発表、翌20日に販売開始された[19]。
- 2019年5月29日 - フェラーリが初のPHEVであるフェラーリ・SF90ストラダーレを発表した[20]。
- 2020年6月8日、トヨタ自動車がRAV4 PHVを発売。
参照・脚注
- ^ http://jafmate.jp/eco/20081225_725.php
- ^ http://wot.motortrend.com/gm-september-2011-sales-climb-20-percent-on-back-of-chevrolet-cruze-truck-sales-122569.html
- ^ “EV/PHV普及の現状について”. 国土交通省. 2020年9月12日閲覧。
- ^ http://www.businessweek.com/magazine/content/08_03/b4067064367712.htm
- ^ http://www.toyota.co.jp/jp/news/08/Jan/nt08_0102.html
- ^ http://www.businessweek.com/globalbiz/content/dec2008/gb20081215_913780.htm
- ^ http://www.asahi.com/eco/ecocar/NGY200906030019.html
- ^ http://www.ecool.jp/press/2009/11/post-405.html
- ^ http://www.afpbb.com/article/economy/2630009/4445854
- ^ 燃費性能、日産「リーフ」に軍配 GM「ボルト」上回る
- ^ http://jp.ibtimes.com/article/biznews/091121/44878.html
- ^ http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20091207-OYT8T00376.htm
- ^ http://www.toyota.co.jp/announcement/100209.html
- ^ “日野自動車、プラグインハイブリッドバスを開発 - 外部給電機能付で災害時には避難所等への電力供給が可能 -”. 日野自動車 (2013年10月1日). 2019年3月27日閲覧。
- ^ “ドイツから日本へ、プラグインハイブリッド車が相次いで発売”. ITmedia. (2015年9月11日) 2015年9月27日閲覧。
- ^ 【ボルボ XC90 新型】PHVモデル日本初導入…電動化しても7人乗り変わらず - レスポンス 2017年1月27日
- ^ “2017年ニューヨークオートショーで「CLARITY PLUG-IN HYBRID」と「CLARITY ELECTRIC」を世界初公開”. 本田技研工業 (2017年4月12日). 2020年4月13日閲覧。
- ^ “【東京モーターショー2017】ホンダ 八郷社長が4輪の「クラリティ PHEV」、2輪の「PCX ハイブリッド」2018年発売を告知”. Car Watch (2017年10月26日). 2020年4月13日閲覧。
- ^ “新型プラグインハイブリッドモデル「CLARITY PHEV」を発売”. 本田技研工業 (2017年7月19日). 2020年4月13日閲覧。
- ^ フェラーリ初のPHVスーパーカー、SF90 ストラダーレ 発表…1000馬力、最高速340km/hResponse 2019年5月30日