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* ケーリー・グラントとロザリンド・ラッセルが早口でまくしたてる場面がほぼ全編を占めており、二人のロマンスそのものよりも、当意即妙な台詞のキャッチボールが映画の中心的な見せ場となっている<ref>"overlapping dialogue; overlap dialogue." ''A/V A to Z: An Encyclopedic Dictionary of Media, Entertainment and Other Audiovisual Terms,'' Richard W. Kroon, McFarland, 1st edition, 2014. </ref>。こうした作品を[[コロンビア ピクチャーズ]]は1934年の『[[或る夜の出来事]]』の大ヒット以来くりかえし製作したため、早口の会話は'''「スクリューボール・コメディ」'''の重要な特徴とみなされるようになった<ref name=":0">"screwball comedy." ''A/V A to Z: An Encyclopedic Dictionary of Media, Entertainment and Other Audiovisual Terms,'' Richard W. Kroon, McFarland, 1st edition, 2014.; Philip C. DiMare, "The Romantic Comedy," ''Movies in American History: An Encyclopedia,'' ABC-CLIO, 2011.</ref>。 |
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* ヒルディは自我が強く弁が立ち、新聞社のような男社会でも毅然とキャリアを築いているが、最終的には男の望む場所に落ちつき、男の元へ戻ってくるキャラクターとして描かれている。ハワード・ホークスはこうした女性を自作にたびたび登場させたため、ヒルディのような女性を指して'''「ホークス的女性(Hawksian Woman)」'''と呼ばれるようになった<ref>"The Hawksian Woman," Donald, Ralph, and Karen MacDonald. ''Women in War Films : From Helpless Heroine to G.I. Jane,'' Rowman & Littlefield Publishers, 2014.</ref>。 |
* ヒルディは自我が強く弁が立ち、新聞社のような男社会でも毅然とキャリアを築いているが、最終的には男の望む場所に落ちつき、男の元へ戻ってくるキャラクターとして描かれている。ハワード・ホークスはこうした女性を自作にたびたび登場させたため、ヒルディのような女性を指して'''「ホークス的女性(Hawksian Woman)」'''と呼ばれるようになった<ref>"The Hawksian Woman," Donald, Ralph, and Karen MacDonald. ''Women in War Films : From Helpless Heroine to G.I. Jane,'' Rowman & Littlefield Publishers, 2014.</ref>。 |
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* 題名の「ヒズ・ガール・フライデー」は「彼のお気に入りの娘」といった意味で、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』で忠実な現地人の下僕となった「フライデー」にちなんでいる<ref name=":0" />。 |
* 題名の「ヒズ・ガール・フライデー」は「彼のお気に入りの娘」といった意味で、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』で忠実な現地人の下僕となった「フライデー」にちなんでいる<ref name=":0" />。 |
2021年8月17日 (火) 23:27時点における版
ヒズ・ガール・フライデー | |
---|---|
His Girl Friday | |
ポスター(1939) | |
監督 | ハワード・ホークス |
脚本 | チャールズ・レデラー |
原作 |
ベン・ヘクト チャールズ・マッカーサー 『フロント・ページ』 |
製作 | ハワード・ホークス |
出演者 |
ケーリー・グラント ロザリンド・ラッセル ラルフ・ベラミー |
音楽 |
シドニー・カトナー フェリックス・ミルズ |
撮影 | ジョセフ・ウォーカー |
編集 | ジーン・ハヴリック |
製作会社 | コロンビア ピクチャーズ |
配給 |
コロンビア映画 ヒズ・ガール・フライデー上映実行委員会 |
公開 |
1940年1月11日 1986年9月19日 |
上映時間 | 92分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
『ヒズ・ガール・フライデー』(His Girl Friday)は1940年にアメリカ合衆国のハワード・ホークスが監督したコメディ映画。スピード感あふれる台詞を見せ場にする、いわゆる「スクリューボール・コメディ」の代表作の一つとされる[1]。ロザリンド・ラッセル演じる早口で威勢のいいヒルディはホークス的女性像の典型例とも言われている[2]。1993年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録された[3]。
日本では『レディは敏腕記者』のタイトルでビデオ化されたことがある。
ストーリー
映画は「新聞記者が殺人以外なら何でもやった古い時代…」というクレジットで始まる。
ウォルター・バーンズ(ケーリー・グラント)は、ニューヨークの大手新聞社で名を馳せている名物編集長。探偵を使った贈賄や窃盗もいとわない強引な手法で次々にスクープ記事を放ってきた。妻のヒルディ・ジョンソン(ロザリンド・ラッセル)は彼の同僚として働く敏腕記者だったが、ウォルターの強引な性格と、つねに締め切りに追われる新聞記者暮らしに愛想をつかして離婚・退社。おだやかな性格の保険業者ブルース・ボードウィン(ラルフ・ベラミー)との再婚を決め、ブルースの実家がある田舎町で主婦として静かな暮らしを始めようとしていた。
しかしヒルディがニューヨークを離れる前日、最後の挨拶のためウォルターを訪ねると、ウォルターはさまざまな策を弄してヒルディの出発を遅らせる。そのころニューヨーク中の記者たちが追っていた大事件、警官殺しの容疑者へのインタビュー記事をヒルディに書かせるためである。
ヒルディは二度と新聞記者はごめんだと言いながら、ウォルターの懇請に負けて留置所へ潜入、容疑者アール・ウィリアムス(ジョン・カーレン)への取材に成功する。アールはすでに死刑を宣告され、刑の執行を間近に控えていた。しかしヒルディは取材するうちに、腐敗したニューヨーク市長が選挙の宣伝に利用するためアールに無実の罪をきせて死刑を強行しようとしていることに気づき、政界の暗部をあばく大スクープの予感に夢中になってゆく。
その間、ウォルターはヒルディの戻りを待っている再婚相手のブルースを、でっちあげの軽罪で何度も拘留させ続ける。そしてヒルディとともに記者室で猛烈な取材を開始する。彼らの動きに気づいた市長と保安官(ジーン・ロックハート)は、二人を逮捕するため記者室へ乗り込んでくるが、逮捕の瞬間、メッセンジャー(ビリー・ギルバート)が連邦政府からの死刑執行停止命令を運んでくる。
あきらめた市長と保安官が帰ってゆき、再婚相手のブルースもまたヒルディが結局記者の世界を捨てられないことを悟り、破談を申し出て去ってゆく。
記者室に取り残されたウォルターはヒルディに愛を告白し、ヒルディはウォルターへの愛を再確認して、2人は2度目の新婚旅行を約束して抱き合うのだった。
評価
- ケーリー・グラントとロザリンド・ラッセルが早口でまくしたてる場面がほぼ全編を占めており、二人のロマンスそのものよりも、当意即妙な台詞のキャッチボールが映画の中心的な見せ場となっている[4]。こうした作品をコロンビア ピクチャーズは1934年の『或る夜の出来事』の大ヒット以来くりかえし製作したため、早口の会話は「スクリューボール・コメディ」の重要な特徴とみなされるようになった[5]。
- ヒルディは自我が強く弁が立ち、新聞社のような男社会でも毅然とキャリアを築いているが、最終的には男の望む場所に落ちつき、男の元へ戻ってくるキャラクターとして描かれている。ハワード・ホークスはこうした女性を自作にたびたび登場させたため、ヒルディのような女性を指して「ホークス的女性(Hawksian Woman)」と呼ばれるようになった[6]。
- 題名の「ヒズ・ガール・フライデー」は「彼のお気に入りの娘」といった意味で、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』で忠実な現地人の下僕となった「フライデー」にちなんでいる[5]。
- ベン・ヘクトとチャールズ・マッカーサーの戯曲『フロント・ページ』をハワード・ホークスが脚色した作品で、同原作戯曲の映画化は1931年の『犯罪都市』に続き2度目である[7]。原作戯曲に対する変更点として、ヒルディを女性にし、ウォルターの元妻としている[8]。また1974年にはビリー・ワイルダー監督によって再び映画化されている(『フロント・ページ』)。
キャスト
- ウォルター・バーンズ: ケーリー・グラント
- ヒルデガルド・“ヒルディ”・ジョンソン: ロザリンド・ラッセル
- ブルース・ボードウィン: ラルフ・ベラミー
- ボードウィン夫人: アルマ・クルーガー - ブルースの母親。
- ピーター・B・ハートウェル保安官: ジーン・ロックハート
- フレッド市長: クレランス・コルブ
- “ダイアモンド・ルイ”・パルトソー: アブナー・ビーバーマン
- アール・ウィリアムス: ジョン・カーレン
- モリー・マロイ: ヘレン・マック - アールのガールフレンド。
- マーフィー記者: ポーター・ホール
- ロイ・V・ベニシンガー記者: アーネスト・トルエックス
- エンディコット記者: クリフ・エドワーズ
- マッキュー記者: ロスコー・カーンズ
- ウィルソン記者: フランク・ジェンクス
- サンダース記者: レジス・トゥーメイ
- ダフィー: フランク・オース - ウォルターのコピーエディター。
- ジョー・ペティボーン: ビリー・ギルバート
- ワーデン・クーリー: パット・ウェスト
- マックス・J・エッゲルホッファー博士: エドウィン・マクスウェル
脚注
- ^ “My girl Friday, and his, and yours”. Observations on film art. 2020年5月25日閲覧。
- ^ King, Susan (2003年8月13日). “Not just pretty faces” (英語). Los Angeles Times. ISSN 0458-3035 2019年1月3日閲覧。
- ^ “Complete National Film Registry Listing | Film Registry | National Film Preservation Board | Programs at the Library of Congress | Library of Congress”. Library of Congress, Washington, D.C. 20540 USA. 2020年5月25日閲覧。
- ^ "overlapping dialogue; overlap dialogue." A/V A to Z: An Encyclopedic Dictionary of Media, Entertainment and Other Audiovisual Terms, Richard W. Kroon, McFarland, 1st edition, 2014.
- ^ a b "screwball comedy." A/V A to Z: An Encyclopedic Dictionary of Media, Entertainment and Other Audiovisual Terms, Richard W. Kroon, McFarland, 1st edition, 2014.; Philip C. DiMare, "The Romantic Comedy," Movies in American History: An Encyclopedia, ABC-CLIO, 2011.
- ^ "The Hawksian Woman," Donald, Ralph, and Karen MacDonald. Women in War Films : From Helpless Heroine to G.I. Jane, Rowman & Littlefield Publishers, 2014.
- ^ 同原作の映画化作品には他に『フロント・ページ』(1974年)、『スイッチング・チャンネル』(1988年)がある。
- ^ 同様の設定変更は『スイッチング・チャンネル』でも行なわれているが役名は異なる。
関連文献
- Bordwell, David. "My girl Friday, and his, and yours" (Observations on film art, Jan. 16, 2017)
- Goldin, Jay. "The Crazy World of His Girl Friday (1940)" (Bright Lights, Nov. 10, 2016)
- Roth, Marty. "Slap-Happiness: The Erotic Contract of ‘His Girl Friday’" (Screen, Volume 30, Issue 1-2, Winter-Spring 1989, Pages 160–175)
外部リンク
- "His Girl Friday - 1940" (Public Domain Movies)
- ヒズ・ガール・フライデー - allcinema
- ヒズ・ガール・フライデー - KINENOTE
- His Girl Friday - オールムービー
- His Girl Friday - IMDb
- His Girl Friday - TCM Movie Database
- His Girl Friday - Rotten Tomatoes
- His Girl Friday - インターネット・アーカイブ