「Simutrans」の版間の差分
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'''Simutrans'''(シムトランス)は、Simutrans Communityによって[[Artistic License]] 2.0([[オープンソース]][[ソフトウェア]])で[[ソフトウェア開発|開発]]・公開されている、[[交通|交通機関]]を運営し安定した[[経営学|経営]]を目指すことを目標とする[[経営シミュレーションゲーム]]である。本項ではその派生版であるSimutrans Extendedについても解説する。 |
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マルチプラットフォーム対応の[[コンピュータゲーム|コンピューターゲーム]]で、[[Microsoft Windows]]・[[macOS]]・[[iOS (Apple)|iOS]](非公式)<ref>2019年現在配布されていない。[https://itunes.apple.com/jp/app/id307349664 Simutrans - App Store]</ref>・[[Linux]]・[[BeOS]]で動作する。2016年5月25日より、[[Steam]]クライアントによる提供も開始されている。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
2021年5月23日 (日) 03:04時点における版
Simutrans シミュレーションゲーム | |
作者 |
|
---|---|
開発元 | Simutrans Community |
初版 | 1999年3月6日 |
最新版 |
122.0
/ 2020年10月11日 |
リポジトリ | |
プログラミング 言語 | C++ |
対応OS | |
対応言語 | 15言語対応 |
ライセンス | Artistic License 2.0 |
公式サイト | Simutrans - Transport Simulator Game |
Simutrans(シムトランス)は、Simutrans CommunityによってArtistic License 2.0(オープンソースソフトウェア)で開発・公開されている、交通機関を運営し安定した経営を目指すことを目標とする経営シミュレーションゲームである。本項ではその派生版であるSimutrans Extendedについても解説する。 マルチプラットフォーム対応のコンピューターゲームで、Microsoft Windows・macOS・iOS(非公式)[1]・Linux・BeOSで動作する。2016年5月25日より、Steamクライアントによる提供も開始されている。
概要
元々は、1997年よりハンスイゥルク・マルトハナー("Hajo")によってクローズドソースで製作が始まり、ハンスイゥルクが退いた2004年12月以降は、マルクス・プリストフゼク("prissi")を中心とするコミュニティが開発を引き継ぎ、オープンソースプロジェクトとなった。マルクスらは様々な新機能の追加やバグフィックスを精力的に行っており、更新版が頻繁にリリースされる。安定版リリースの他、ナイトリービルドと呼ばれる開発中の機能を搭載したリリースも提供される。
また、現在では有志のプログラマーが公式Forumを通じてバグの修正や新機能追加といった様々な作業を手伝っている。全てのユーザーはバグの報告やアドオンの製作を通して、ゲームの開発に貢献することが可能である。開発開始からおよそ20年以上が経過した現在でも新機能の追加が行われている。
2009年には、JamesPetts氏によるSimutrans-Extended(12.0以前はSimutrans-Experimental)と呼ばれる、標準のSimutransには含まれないダイヤ設定機能などの高度な機能の実装を行う、Simutransの機能拡張版の開発がスタートした。さらに、2017年から道路交通の機能拡張に主眼を置いた、himeshi氏によるSimutrans OTRPの開発もスタートしている。
ゲーム内容
プレイヤーは、ゲーム開始時にマップを作成し、街や工場などの需要に応じて各種の交通機関を建設して、収益を挙げていく。マップ作成時には起伏や街の数などの様々な設定を変更できるため、自分好みのマップを作成できる。
ゲーム内で使用できる交通機関には、鉄道・路面電車(トラム)・軽便鉄道・モノレール・リニアモーターカー・自動車・船舶・航空機がある。旅客・貨物を輸送することができ、その収入によって利益を得られる。輸送にはコストがかかるため、その採算が取れるように建設・運営していかなければならない(フリープレイモードではない場合には)。3ヶ月以上連続して収益を挙げられない状態が続くと破産となる。破産となった場合は破産したプレイヤー会社が所有する道路や線路、車両は全て売却される。
ある程度の年月や季節が実装され、設定された時期になると新しい乗り物が登場する(また、冬になれば雪景色も楽める)。ただし、その設定を無効に設定した場合とパックセット側で登場年月を指定していない場合については最初から登場する。
シナリオと呼ばれる、一定の条件を達成するとクリアとなるものも存在する。シナリオはプレイヤー自身が作成することができる。
プレイヤーは、プレイヤーカラー(車輛の色に反映される、公共事業を除く)によって分けられた13個までのNPCと競えるが、NPCのAIはまだ発展途上である。プレイヤーカラーは30種類から選択させられ、設定ファイルからRGBで指定することも可能である。NPCを追加する場合、旅客または貨物専業から選ぶ。公共事業では産業の設置・撤去や都市の人口の増減など、言わばマップの編集ツールに近い機能を使うことができる。
また、ネットワーク機能が搭載され、オンラインでの最大14人(公共事業を除く)までオンラインマルチプレイが可能である。
貨物
プレイヤーが運んで利益を得ることができるものは、旅客・郵便・貨物の3つに分けられる。旅客輸送は旅行者を輸送するもので、旅行者から距離に比例した運賃(Standard版)を徴収することで収益を得ることができる。旅客運賃は安く設定されていて輸送網の小さい初期には旅客が寡少で赤字になることも多いが、輸送網が広がるにつれて多くの旅客を運ぶようになると莫大な収益を得ることができる。
郵便輸送は発生量が旅客よりも少なく運賃も旅客より低いが、少数の郵便車だけで大量に輸送することができるため、費用対効果が比較的良い。一方で輸送網が小さいとほとんど郵便輸送を行えないためほとんど0収入ということも発生する可能性がある。
貨物はパックセットによって異なるが、石炭・石油・鉄鋼などの工業関係の貨物、穀物・魚・野菜・木材などの農林水産業関係の貨物を実装しているものが多い。貨物は関連する産業施設間のみでやりとりされ、市中に供給する必要はない。また、運ぶ貨物によって貨車の種類を適切に選ぶ必要がある。例としては石油であればタンク車、石炭であればばら積み貨車(無蓋車)、魚であれば冷蔵車といった具合である。貨物収入により安定的な収入を得ることができるが、一方で輸送網を広げたりすることは難しい。
電気は特殊な貨物の一つで、電気を産業に接続することで産業の生産量を増やすことができる。例としては炭鉱から石炭火力発電所に石炭を供給した場合、火力発電所が発電できるようになり、その電気を送電線で炭鉱に送ると炭鉱の生産量が何割か増しになるといった具合である。
交通機関
Simutransでは鉄道、路面電車、軽便鉄道、モノレール、リニア、自動車、船舶、航空機の8種の輸送手段が存在しており、これらの中から適切な手段の選択を求められる。また、発電所で発電した電気の送電のための変電所・送電線も利用可能である。
鉄道
- メリット
- 輸送力が高く、路線の乗客に応じて柔軟に幅広い輸送体系に対応できる。車両を複数連結すれば、一度に1000人単位での輸送もこなせる。
- 道路交通につきものの渋滞がなく、正確かつスムーズな輸送を可能とする。
- 8種ある交通機関の中でアドオンが最も充実しておりプレーヤーの好みに合わせて車両を走らせられるので自由度が高い。
- 高速輸送が可能。航空機・リニアに次ぐスピードが出せる。また、市道化(後述)などの低速化の問題も発生しない。
- デメリット
- コストが高価。線路は自前で敷設しなければならず、軌道・駅・車両の維持費は総じて高い。
- 広い用地が必要で、特に大きな街だと市街地と離れた場所に建設しないといけない場合がある。編成長が長くなると、停車駅の長さもその分必要となる[2]。1マスでのすれ違いもできないため、増発する場合には追加で線路を敷設する必要がある。
- 接地軌道の場合、道路と交差する際には自動で踏切が設置されるが、踏切となったマスには先に進入した乗り物が優先される[3]。
路面電車
基本システムは鉄道と同一。
- メリット
- 既存の道路に軌道(と架線)を敷くだけで運行できるほか、バス停での乗降もできるため、駅や線路の建設用地を節約できる。
- 道路交通の影響を受けないため、安定した輸送が可能。
- 鉄道とは相互乗り入れが可能。車両もすべてそのまま入線できる。
- デメリット
- 鉄道と同様のほか、以下の制限事項が存在する。
- パックセットによっては購入費・維持費共に高い。また、デフォルトで用意されているものが少ないため、活用しにくい。
- 電化が必須。非電化の路面電車はデフォルトでは存在しない。貨物車両も同様で、デフォルトでは路面電車の車庫内には存在しない[4]。
軽便鉄道
基本システムは鉄道と同一。
- メリット
- コストが安価。軌道や車両の購入費が鉄道と比較して安価で、資金が潤沢でないゲーム序盤での輸送で威力を発揮する。
- 路面電車と同様に道路の上に線路を敷けるのとバス停との併結も可能なので、市街地へも乗り入れがしやすい。
- 鉄道との相互での直通運転も可能であり、郊外は鉄道、市街地は軽便鉄道というような運行方法も可能。
- デメリット
- 一般に鉄道と比較して低速であり、輸送力も鉄道と比べるとかなり小さい。
- アドオンが少なく、パックセットによっては全く実装されていないものもある。
モノレール
基本システムは鉄道と同一。新交通システムもモノレールに分類される。
- メリット
- 鉄道の上位互換。バス・路面電車の補完として、都市内交通でその威力を発揮する。
- リニア軌道との互換性を持つ。
- デメリット
- コストがかなり高価。
- 貨物車両は存在しない。鉄道への乗り入れや踏切の建設も不可能。
- 国によって公共交通機関としてのモノレール自体が存在しない場合もあるため、パックセットによっては全くサポートされていない場合もある。
リニア
基本システムは鉄道と同一。
- メリット
- 車両性能が非常に高い。鉄道車両の高い積載力と、陸上交通でも最高クラスの最高速を併せ持つ。
- モノレール軌道との互換性を持つ。
- デメリット
- コストが非常に高価。陸上交通では最高クラス。
- 貨物車両は存在しない。鉄道への乗り入れや踏切の建設も不可能。
- 現実世界でも磁気浮上式リニアモーターカーの営業例は極めて少なく(上海トランスラピッドやリニモ程度)、Simutransでもごく一部のパックセットでのみ実装されているに過ぎない。
自動車
- メリット
- コストが安価。車両・停車場の単価・維持費が鉄道に比べ安い。
- 路線の開設が容易。既存の道路を使用できるため、敷設コストも省ける。
- 小回りが利くので市街地へも容易に運行しやすく、1マスですれ違いができるほか、勾配や曲線でも速度が落ちにくい。
- デメリット
- 輸送力は極めて低い。基本的に2台以上の連結はできず、台数で補うほかない。
- 車両の台数が増えるほど交差点や踏切では渋滞を起こしやすく、運行が不安定になりがち。
- 市街地内の道路は街の発展に伴い市道化されるため、制限速度が著しく低下することがある。
船舶
- メリット
- 輸送力が非常に高い。連結はごく一部を除いて不可能だが、一隻あたりの輸送量はゲーム中最高クラス。
- 道路や線路を敷く必要がなく、水場をそのまま航行可能。また、運河を敷くことで陸地へも航行できるようになる。
- 必要な施設は港と造船所(車庫属性)のみで、他に必要な建築物はない。
- デメリット
- コストが高価。船舶の価格や維持費は高い傾向にあるほか、運河の建設費も非常に高くつく。
- 速度が遅い。ゲーム中の交通手段では最遅クラス。
- 水場のないマップでは全く活躍できない。運河を建設しようにも建設費が非常に高くつくため、かなりの大量輸送でないと採算は取れない。
航空機
- メリット
- 輸送力は船舶や鉄道に次ぐレベルで高い。
- 速度が極めて速い。ジェット機で1000km/h程度、コンコルドでは2100km/hでの輸送を可能とする。
- 省スペースでの運航が可能。必要なのは空港の設備一式(駐機場、誘導路、滑走路)と格納庫だけ。
- デメリット
- コストが非常に高価。航空機の価格・維持費はゲーム中最高クラス。そのため、短距離での輸送では全く採算が取れない。
- 出現年代が遅い。多くの機体は20世紀後半にならないと開発されない。また、輸送できる貨物の種類が非常に限られる。
ツール
ツールは交通機関やマップを編集するための仕組みである。
鉄道ツール
鉄道および関連する施設を建設するためのツールである。線路、駅、車両を配置するための機関庫、車両に電力を供給する電線、信号などを建設することができる。車両の購入は機関庫から行うことができる。市電軌道と接続することにより、市電/軽便鉄道と相互に乗り入れが可能となる。駅には旅客、郵便、貨物の属性があり、属性が合致していない旅客や荷物は取扱されない。電力を動力とする車両を運行するには、線路に沿って電線を建設する必要がある。
道路ツール
道路および関連する施設を建設するためのツールである。道路、停留所、車両を配置するための車庫、道路標識、道路信号などを建設することができる。車両の購入は車庫から行うことができる。停留所には旅客、郵便、貨物の属性があり、属性が合致していない旅客や荷物は取扱されない。
市電/軽便鉄道ツール
市電や軽便鉄道および関連する施設を建設するためのツールである。市電軌道、車両を配置するための市電車庫、車両に電力を供給する電線などを建設することができる。車両の購入は車庫から行うことができる。市電軌道は道路上に建設することができる。線路と接続することにより、鉄道と相互に乗り入れが可能となる。駅や停留所は建設できないため、鉄道ツールや道路ツールで建設して利用する。
モノレール/リニアツール
モノレールやリニアおよび関連する施設を建設するためのツールである。専用の軌道、駅、基地、信号などを建設することができる。車両の購入は基地から行うことができる。軌道は道路上に建設することができる。取扱する荷物の属性は旅客のみである。
船舶ツール
船舶および関連する施設を建設するためのツールである。運河、港、造船所などを建設することができる。船舶は、海、河川、運河上を航行することができる。船舶の購入は造船所から行うことができる。港には旅客、郵便、貨物の属性があり、属性が合致していない旅客や荷物は取扱されない。
航空機ツール
航空機および関連する施設を建設するためのツールである。誘導路、滑走路、ターミナル、格納庫、誘導路標識などを建設することができる。航空機の購入は格納庫から行うことができる。ターミナルには旅客、郵便、貨物の属性があり、属性が合致していない旅客や荷物は取扱されない。
スロープツール
スロープツールは所謂整地や山を作るためのツールであり、盛土や切土などで線路や道路を立体交差させる時に使う。しかし、隣接した土地より二段以上高低差が付けられないなどの制約が存在する。地下スロープと呼ばれる地下の線路や道路の高さを変える機能を併せ持っており、地下で高さを変えつつ立体交差をさせることも可能となっている。
マップ編集ツール
マップ編集ツールは、マップ自体の編集および、都市や市内建築物や産業施設などを編集するためのツールである。プレイヤーを公共事業に切り替えて使用する。
アドオンとパックセット
このゲームで重要な存在となっているのがアドオンと呼ばれる車輛や建物といったオブジェクトごとの追加データである。
これは、テキストで記述された性能データと画像データから成り、それらはグラフィックソフトウェアとテキストエディターでオブジェクト毎に製作される。このDATファイルとPNGファイルの一組をmakeobjでパック(PAKフォーマット)にコンパイルする[5]ことで、Simutransで使用可能となる。そして、この複数種のパックとマップやシナリオを集めて一纏めに圧縮(パック)した物はパックセットまたはグラフィックセットと呼ばれる。Simutransにおいては、ゲーム上に登場するグラフィックオブジェクトのみならず、ゲームルールの定義(登場する貨物の種類、収益や費用の定義等)もパックセットに含まれるものであるため、パックセットなしの本体だけでプレイすることはできず、プレイするには最低一つのパックセットが必要となる。
このパックセットの作成・編集支援ツールPakHelperが南福岡車両氏によって作成・公開されていた[6]。
ユーザー自身もアドオン・シナリオ・マップを製作できる。ウェブサイトなどで公開されている多数のアドオン・パック・パックセットをダウンロードし、自分のSimutransに追加することもできる。
パックセットの種類
simutransには様々なパックセットが存在する。代表的なものはpak64とpak128の2つである。
pak64は、simutransにおいて最も基本的なパックセットである。最も基本のパックセットであるため、難易度は比較的低い。pak128は、pak64よりも後に公開されたが、現在ではpak64と並ぶ代表的なパックセットの1つとなっている。pak64よりも難易度が高いが、グラフィックが細密であるためこちらのパックセットで遊ぶユーザも多い。
pak64、pak128以外にもpak.nipponやpak.german, pak128.Britain, pak128.Germanなどの様々なパックセットが公開されている。パックセットによって難易度やグラフィックが異なり、その個性も様々である。
simutransにはデフォルトで「初心者モード」と呼ばれる初心者向けにゲームバランスを調整する機能が標準で搭載されている。そのため、初心者が様々なパックセットで遊びやすいようになっている。
シナリオ
マップ毎に予め決められた一定の条件をシナリオと呼ぶ。パックセットと同様に多種多様のものが公開されている。
これは予めパックセットとセットになっているが、シナリオは各パックセット間で自由に入れ換えられる。入手したシナリオを、圧縮されている場合は解凍した後に、組み込みたいパックセット内にある"scenario"ディレクトリに配置する。
なお、シナリオにはAPIが用意され、それはSquirrelで記述されている[7]。
マップ
プレイする舞台となる場所の地形データをマップと呼ぶ。
これもパックセットと同様に多種多様のものが公開されており、シナリオと同様に自由に入れ換えられる。 ユーザが自作することも可能で、公式のマップ公開サイトも存在している[8]。
多言語化
SimutransはUnicodeへの対応によって多言語化されており、現在では15言語に翻訳されている。日本語への翻訳に関しては、ゲームの基本的な部分は完了しているが、ゲーム内の一つ一つの建物に関するユーモア溢れる逸話は未だ完了していない。
各国語への翻訳に関しては、SimuTranslatorと呼ばれるWebサイトによって行われている[9]。
日本における動向
日本ではSimutransが広まり始めてからある程度の年数が経ち、simutransに含まれているほとんど全てのテキストが日本語に翻訳された。
また、有志によりWikiが開設され、公式webサイトなどに掲載されているコンテンツが翻訳、提供されている。有志の中には動画共有サービスやSNSを利用して、自分のマップをプレイ・解説する動画を公開している人も存在する。
主なイベント
Simutransでは主に以下のイベントが主流となっている。
Battle Simutrans
対戦型で複数人が参加しセーブデータをやりとりして遊ぶイベント
決められた一定の期間プレイし、そのデータを次の人へ渡して進めていく。
Net Simutrans
本体に搭載されているネットワークゲーム機能を利用した、最大12人までのリアルタイムマルチプレイ。
Simutrans セーブデータ審査会
決められたマップでプレイしたセーブデータを審査しそれに投票してもらうイベント(似たようなものにスクリーンショットコンテストが存在する)。
Simutrans Extended
Simutrans-ExtendedはJamesPetts氏が中心となって開発している拡張版である。公式的に安定版はリリースされていないが、ナイトリービルドが頻繁に更新されており開発は非常に活発である。ナイトリービルドと言いつつもネットワークプレイ含め安定度が高いため安心してプレイをすることができる。
Simutrans-Extendedのプレイにあたっては専用に作られたパックセットを用いる必要がある。公式的に配布されているのはJamespetts氏らによるpak128.Britain-ExとVes氏らによるpak128.Sweden-Exの2つであり、ナイトリービルド版がbridgewater-brunelサーバー[10]において配布されている。また、Feiltagelse氏らによる日本風パックセットpak256-Ex[11]も2018年9月より配布されている。特にpak128.Britain-Exはパックセットとして完成度が高く、産業革命の黎明期1750年から現代に至るまでプレイ可能で、モノレール以外の全ての交通機関が実装されている。Standard版もあり現在最も充実したパックセットとなっている。
以下ではSimutrans Extendedに特徴的な主要機能の一覧を挙げる。
路線スケジュール
路線スケジュールウィンドウにおいて、簡易的なダイヤ機能が実装されている。具体的には1月につき定期的にn本発車させることが可能である。また、この機能を用いたダイヤ作成支援のため、駅間の所要時間測定機能も実装されている。
旅客流動
Standardではルートコストに基づき移動経路が決定され、旅客を積載する順番は近距離客優先であった。これは度々いびつな旅客流動を発生させ、遠距離へ向かう客のみがひたすら駅に溜まり続けるという状況を発生させていた。 Extendedでは予測される所要時間が最も短い経路を取るようになり、旅客を積載する順番も先着順となった。これによって、より現実的な旅客流動が実現されている。 また、自家用車による移動もシミュレートされていて、プレイヤーが提供する交通機関を使用するよりも自家用車の方が早く到着する場合、旅客は自家用車を使用する。このため、プレイヤーは他プレイヤーとの競争のみならず自家用車との競争にもさらされることとなる。この機能により、20世紀前半までは自動車の速度が遅いため鉄道が優位になるが、モータリゼーション以降は爆発的に自家用車が増えることとなる。なお、これを逆手に取って高速道路を建設し、自家用車から通行料収入を得ることも可能である。
鉄道信号
以下に掲げる9種類の信号保安システムが実装されている。何も信号を設置しない場合は自動的に無閉塞運転で運行される。
無閉塞運転 Drive by sight
閉塞を作らずに徐行運転を行う。視認距離分だけ線路を予約する。何も信号を設置しない場合は自動的に無閉塞運転で運行される他、閉塞終了標識の通過、スタフ閉塞の終了、誘導信号の誘導現示等により無閉塞運転に移行する。
時間間隔法 Time interval
前の列車が出発してから一定時間経過した後に列車の進行を許可する。通常、注意現示5分、進行現示10分である。対面方向からの列車の運行の感知をしないので、複線のみで運行が可能である。何らかの原因により先行列車に追いついた場合には緊急停止を行い、現実と異なり事故には至らない。
電信を用いた時間間隔法 Time interval with telegraph
前の列車が出発してから一定時間経過した後に列車の進行を許可する。通常、注意現示5分、進行現示10分である。対面方向からの列車の運行の感知をするので、単線においても運用が可能となる。
スタフ閉塞式 One train staff
1区間に1つだけ存在するスタフを通行手形として、スタフを所有している列車のみが運行可能な閉塞方式である。通常、単線の末端区間で使用される。
タブレット閉塞式 Token block
1区間に複数存在するタブレットを通行手形として、タブレットを所有している列車のみが運行可能な閉塞方式である。主に単線区間において使用される。
双信閉塞式 Absolute block
信号所同士で連絡を取り合い閉塞を作る方式で、主に複線区間で使用される。Simutrans Standardの信号に似たシステムである。
自動閉塞式 Track circuit block
軌道回路を用いて自動的に閉塞を作る方式で、複線・単線両方で使用することができる。車両の制動距離や運行頻度に応じて、2現示から5現示の信号+誘導信号の有無を選択できる。例えば5現示信号であれば、停止・警戒・注意・減速・進行の信号を表示可能である。
車内信号閉塞式
車内に設置された車内信号により現在運転可能な最高速度を表示する方式で、現在の車両の制動距離分だけの閉塞を予約することができる。
移動閉塞式
現在の車両の制動距離分だけ予約することができる。駅間に信号の設置を行う必要はなく、出発信号としてトークンを置くだけで機能する。
これらの信号を使用するためには対応する信号扱所の設置が必要である。この鉄道信号システムは類似のゲームには見られない、あるいはあったとしても(Standardを含め)単純な閉塞システムがあるのみである。この信号システムの存在はSimutrans Extendedを特徴づけ、複雑な鉄道の運用の実現や年代による信号システムの変遷のシミュレートまで行うことを可能にする。
旅客・郵便のクラスと快適度
旅客には富裕度によるランク分けがあり、標準的なパックセットであるpak128.Britain-exでは旅客5クラス、郵便2クラスに別れている。低クラスの旅客はそれより高いクラスの座席に乗ることができないが、高クラスの旅客はそれより低いクラスの座席に乗ることができる。クラスに応じて異なる運賃収入や快適度が設定されていて、クラスをバランス良く配置することが利益を得る上で重要となる。 高いクラスの席に乗るかどうかは旅客の乗車時間とその席が提供する快適度の比較によって行われ、たとえ1等車に乗れるだけの財力のある旅客であっても、乗車時間が短ければ要求する快適度を満たす2等車ないし3等車に乗ることになる。このため、短距離客が中心の近郊列車では3等車のみ、長距離客を乗せたい急行や特急列車では2等車の連結をしてサービス向上を行うといった工夫により収益性を向上させることができる。
ケータリング・移動郵便局による収入
食堂車やビュッフェ車といった車両を運行し車内サービスを行うことによって、快適度を上げ、車内販売による利益を得ることができる。 移動郵便局では車内で仕分けを行うことによって乗り換えにかかる時間が短縮され、追加収入を得ることができる。
車両の物理
車両は運動方程式に基づいて運動するようになった。具体的には、鉄道車両は定トルク領域と定出力領域を持ち、さらに転がり抵抗と空気抵抗、カーブ等による摩擦抵抗を加味する。また、道路や線路の軸重制限による速度制限もなされる。
軌道の制約
軌間や運河の幅など規格の違い、架線の交直・電圧の違い、小さいトンネル断面・路面軌道等の制約が実装可能である。
道路の一方通行属性
現在OTRPと呼ばれている道路車両の追い越しパッチをExtendedに移植したもので、道路の一方通行属性付加による追い越しや2車線への並行停車などが行えるようになっている。
電気の市街への供給
電気を市街地へ供給し、送電収入を得ることができるようになり、さらに市街地の発展を促進する効果を得られるようになった。
ギャラリー
注釈
- ^ 2019年現在配布されていない。Simutrans - App Store
- ^ 現実世界のドアカットにあたる機能は存在せず、ホームからはみ出した分の乗降・積み降ろしは行われない。
- ^ 交差する道路が渋滞している場合、鉄道側は自動車がいなくなるまで待たなくてはならない。
- ^ もっとも鉄道線から直接乗り入れる事が可能なため、この問題は事実上障害となり得ない。
- ^ “Tutorial/Makeobj”. 2015年5月30日閲覧。
- ^ http://minami-fukuoka.simutrans.net/?PakHelper
- ^ “Simutrans-Squirrel-API”. 2015年5月30日閲覧。
- ^ “simutrans maps”. 2016年4月19日閲覧。
- ^ http://simutrans-germany.com/translator/
- ^ http://bridgewater-brunel.me.uk/
- ^ https://github.com/Phystam/pak256-release/releases
関連項目
外部リンク
- Simutrans - Transport Simulator Game 公式Webサイト
- Simutrans日本語化・解説 Wiki
- Simutrans的な実験室 Wiki* Wiki
- [1] Bridgewater-Brunel server