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「ウガリ」の版間の差分

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'''ウガリ'''([[スワヒリ語]]:Ugali)は、穀物の粉を湯で練り上げた[[アフリカ]]伝統の食品である。[[ケニア]]など[[アフリカ]]東部や南部で[[主食]]として広く食されている。
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'''ウガリ'''({{lang-sw|Ugali}})は、穀物の粉を湯で練り上げた[[アフリカ]]伝統の食品である<ref>{{Cite news|url=https://www.tasteoftheplace.com/ugali-kenyan-cornmeal/|title=Ugali - a Kenyan cornmeal porridge|date=2017-10-16|work=Taste Of The Place|access-date=2018-08-23|language=en-US}}</ref>。[[ケニア]]など[[アフリカ]]東部や南部で[[主食]]として広く食されている。[[キビ]]粉や[[コーンミール]]などの粉や、[[キャッサバ]]粉と混ぜて作られることもあり、沸騰した水または[[牛乳]]で、固い生地のような状態になるまで調理する<ref>{{Cite news|url=https://maureenmumasi.wordpress.com/2015/05/04/how-to-prepare-ugaliposho/|title=How to prepare ugali/posho|date=2015-05-04|work=Yummy|access-date=2018-08-23|language=en-US}}</ref>。


== 概要 ==
== 概要 ==
ウガリは、[[コーンミール]]や[[キャッサバ]]の粉を湯で練って作る。水分を含ませる度合いによって[[団子]]状から[[粥]]状のものまでさまざまなバリエーションがある。[[ザンビア]]や[[マラウイ]]では'''[[ンシマ]]'''(nshima)、[[ウガンダ]]では'''ポショ'''(posho)など、地域によって硬さや弾力、名称が異なる。アフリカ東部で主食とされる食物であるウガリは、地域ごとに食べ方の違いがある。一般的には小さくボール状にまとめて肉や野菜のスープにつけて食べたり、硬く作ったウガリにスープをかけて[[スプーン]]や[[ナイフ]]と[[フォーク (食器)|フォーク]]で食べることもある。また、ウガリをスプーン状にまとめ、おかずをすくって食べる例もある。味は「味のない[[おから]]のよう」と形容されるが、食べなれてくると穀物自体の味があるのがわかるようになるという。この点でもご飯に似ている
ウガリは、[[コーンミール]]や[[キャッサバ]]の粉を湯で練って作る。水分を含ませる度合いによって[[団子]]状から[[粥]]状のものまでさまざまなバリエーションがある。[[ザンビア]]や[[マラウイ]]では'''ンシマ'''(nshima)、[[ウガンダ]]では'''ポショ'''(posho)など、地域によって硬さや弾力、名称が異なる。アフリカ東部で主食とされるウガリは、地域ごとに食べ方の違いがある。一般的には小さくボール状にまとめて肉や野菜のスープにつけて食べたり、硬く作ったウガリにスープをかけて[[スプーン]]や[[ナイフ]]と[[フォーク (食器)|フォーク]]で食べることもある。また、ウガリをスプーン状にまとめ、おかずをすくって食べる例もある。味は「味のない[[おから]]のよう」と形容されるが、食べなれてくると穀物自体の味があるのがわかるようになるという。


[[アルジェリア]]では'''タアム'''(''ta`aam'' &#1591;&#1593;&#1575;&#1605;)、つまり''食べ物''と呼ばれるほど常食されている。アルジェリアを含む北アフリカ諸国では、[[クスクス]]とウガリは厳密に区別されるのではなく、現地では同じようなものと扱われている。
[[アルジェリア]]では'''タアム'''(''ta`aam'' &#1591;&#1593;&#1575;&#1605;)、つまり''食べ物''と呼ばれるほど常食されている。アルジェリアを含む北アフリカ諸国では、[[クスクス]]とウガリは厳密に区別されるのではなく、現地では同じようなものと扱われている。


ウガリの原料となる「粉」は暑い気候でも比較的、日持ちがする。さらに、中南米から[[トウモロコシ]]が渡来して以降は、主な材料として調理されている。サハラ以南のアフリカの多くの国と地域で、ウガリは人々の主食としての地位にある。
ウガリの原料となる「[[穀]]」は暑い気候でも比較的、日持ちがする。さらに、中南米から[[トウモロコシ]]が渡来して以降は、主な材料として調理されている。サハラ以南のアフリカの多くの国と地域で、ウガリは人々の主食としての地位にある。

== 名前 ==
[[File:Friends at Chikondi Malawi eating nsima, ndiwo and masamba.jpg|thumb|[[マラウイ]]のチコンディでウガリを食べる子供達]]
[[File:Ugali with beef and sauce.JPG|thumb|肉とソースを添えたウガリ]]
ウガリはアフリカで広く食べられており、現地ではさまざまな名前で呼ばれている。

{{columns-list|colwidth=20em|
* ''Akamu'' – [[イボ人]], [[ナイジェリア]]
* ''Akple'' <nowiki>[</nowiki>[[エウェ人]]<nowiki>]</nowiki>, ''Akumè'' [ミナ] — [[トーゴ]]
* ''Bando'' – {{仮リンク|ソガ族|en|Soga people}}, [[ウガンダ]]
* ''Bidia'' – [[コンゴ民主共和国]]{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Bogobe/Phaletšhe'' – [[ボツワナ]], [[南アフリカ]]
* ''Bugali'' – [[ブルンジ]], コンゴ民主共和国, [[スーダン]], [[南スーダン]] [[ルワンダ]]
* ''Buhobe'' – [[ロジ人]]<ref name=":0">{{Cite web|url=http://www.hungerforculture.com/?page_id=591|title=Nshima and Ndiwo: Zambian Staple Food|last=Tembo|first=Mwizenge S.|website=Hunger For Culture|language=en-US|archive-url=https://web.archive.org/web/20170224091611/http://www.hungerforculture.com/?page_id=591|archive-date=24 February 2017|access-date=2018-02-18}}</ref>
* ''Buru'' – [[ケニア]], [[ルオ族]]
* ''Busima'' – {{仮リンク|ギス族|en|Gisu people}}, ウガンダ
* ''Chenge'' – ケニア, ルオ
* ''Chima'' – [[モザンビーク]]
* ''Couscous de Cameroon'' – [[キャメロン]]
* ''Dona''
* ''Fitah'' – スーダン, 南スーダン, コンゴ
* ''Fufu'' – [[シエラレオネ]]
* ''Sadza'' – {{仮リンク|カランガ族|en|Kalanga people}}, ボツワナ, ジンバブエ
* ''Isitshwala'' – [[ボツワナ]], {{仮リンク|北ンデベレ族|en|Northern Ndebele people}}
* ''Kawunga'' – [[ガンダ族]], ウガンダ
* ''Kimnyet'' – {{仮リンク|カレンジン族|en|Kalenjin people}}, ケニア
* ''Kuon'' – ケニア, ルオ
* ''Kwen wunga'' – [[アルール族]], ウガンダ
* ''Lipalishi'' – [[エスワティニ]]
* ''Mielie pap –'' [[レソト]],''{{Sfn|McCann|2009|p=137}}'' 南アフリカ''{{Sfn|McCann|2009|p=137}}''<ref>"Mealiepap, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018.[https://www.dsae.co.za/entry/mealiepap/e04658] 25 February 2019</ref>
* ''Mogo'' – ケニア, ルオ
* ''Moteke'' – コンゴ民主共和国{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Mutuku'' – 南アフリカ{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Nfundi'' – [[コンゴ共和国|コンゴ]]{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Ngima'' – [[カンバ族]], ケニア, [[キクユ族]]
* ''Nkima'' – ケニア, {{仮リンク|メルー族|en|Meru people}}
* ''Nshima'' – コンゴ民主共和国 [[カサイ州]]
* ''Nsima'' – マラウイ,{{Sfn|McCann|2009|p=137}} ザンビア{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Obokima'' – ケニア, スーダン, [[グシイ族]]
* ''Obusuma'' – ケニア, [[ニョロ族]]<ref>{{cite web|url=http://www.kenya-information-guide.com/|title=Kenya Information Guide Home page|access-date=24 June 2013}}</ref>
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* ''Oshifima'' – [[ナミビア]]
* ''Pap'' – ナミビア, 南アフリカ<ref>"Pap, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018. [https://www.dsae.co.za/entry/pap/e05513] 25 February 2019.</ref>
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* ''Pâte'' [フランス] – トーゴ
* ''Phuthu/phalishi'' – [[ズールー人]], 南アフリカ<ref>"Putu, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018.[https://www.dsae.co.za/entry/putu/e05805] 25 February 2019.</ref>
* ''Posho'' – [[ウガンダ]]<ref>{{Cite web|url=https://www.wattpad.com/115799426-ugandan-food-recipes-posho-ugali|title=Ugandan food recipes - POSHO (UGALI) - Wattpad|website=www.wattpad.com|access-date=2018-08-23}}</ref>
* ''Poshto'' – ウガンダ
* ''Saab'' – [[ガーナ]], {{仮リンク|クサシ族|en|Kusasi people}}
* ''Sadza'' – [[ショナ人]]{{Sfn|McCann|2009|p=137}}<ref>"Sadza, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018. [https://www.dsae.co.za/entry/sadza/e06177] 25 February 2019</ref>
* ''Sakora'' – [[ナイジェリア]]
* ''Sakoro'' – ガーナ
* ''Sembe'' – [[タンザニア]], ケニアスラング
* ''Shadza'' – {{仮リンク|カランガ族|en|kalanga people}}, ボツワナ
* ''Shima''
* ''Shishima'' – ザンビア
* ''Sima'' – チェワ,<ref name=":022">{{cite web|url=http://www.peoplesoftheworld.org/hosted/chewa/|title=The Chewa|last=Gough|first=Amy|date=2004|publisher=The Peoples of The World Foundation|access-date=18 February 2018}}</ref> [[トゥンブカ族]], [[ンゴニ族]]<ref name=":0" />
* ''Soor'' – [[ソマリア]],{{Sfn|McCann|2009|p=137}} ザンビア{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Tuozafi'' (or ''T.Z.'') – ガーナ
* ''Ubugali'' – ルワンダ
* ''Ubwali'' – [[ベンバ族]]<ref name=":0" />
* ''Ugali'' – ケニア,{{Sfn|McCann|2009|p=137}}, マラウィ, モザンビーク, [[タンザニア]], {{Sfn|McCann|2009|p=137}}ウガンダ, {{Sfn|McCann|2009|p=137}}[[ヤオ族|ヤオ]], スワヒリ
* ''Um'ratha'' – ンデベレ族, 南アフリカ
* ''Upswa'' – モザンビーク{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
* ''Bohobe'' – [[ソト語|ソト]], 南アフリカ, [[レソト]]
* ''Vhuswa'' – {{仮リンク|ベンダ族|en|Venda people}}, 南アフリカ
* ''Vhuthu'' – [[シャンガーン人]], 南アフリカ
* ''Xima'' – モザンビーク{{Sfn|McCann|2009|p=137}}
}}

== 語源 ==
「ウガリ」という言葉はアフリカの[[スワヒリ語]]に由来するが、[[マラウィ]]の[[チェワ語]]や[[トゥンブカ語]]などでは「ンシマ」と呼び、親しまれている。ケニアの一部では、「NGUNA」(ングナ)や「DONEE」(ドニー)というような[[俗称]]でも呼ばれている<ref>{{Cite news|url=https://gayathriscookspot.com/2015/09/tanzanian-ugali-nguna-recipe/|title=Tanzanian Ugali / Nguna Recipe|date=2015-09-01|work=Gayathri's Cook Spot|access-date=2018-08-23|language=en-US}}</ref>。[[アフリカーンス語]]での「pap」は、オランダ語で「粥」を意味することに由来する。

== 歴史 ==
[[File:Night ugali.jpg|thumb|ウガリを調理するヤオ族の女性たち。]]
[[トウモロコシ]]は、16世紀から17世紀にかけて[[アメリカ大陸]]からアフリカに持ち込まれた。それ以前は、[[サハラ]]以南のほとんどの地域で[[ソルガム]]と[[キビ]]が主食だった。トウモロコシの栽培方法はソルガムと似ているが、ソルガムより格段に多く収穫できたため、アフリカの農民にすぐに受け入れられた。最終的には、乾燥した地域を除くほぼすべての地域で、トウモロコシが主要穀物になり、最終的に20世紀後半にすべての地域で完全にトウモロコシになった{{Sfn|McCann|2009|p=139}}。[[マラウイ]]では「chimanga ndi moyo」という言葉があり、これは「トウモロコシは命である。」という意味である<ref>{{cite web|url=http://www.our-africa.org/malawi/food-daily-life|title=Food & Daily life|work=Our Africa|access-date=7 May 2015}}</ref>。ウガリは今でも稀にソルガム粉で作られることがあり、同じくアメリカ大陸から伝わった[[キャッサバ]]も、単独かトウモロコシ粉と混ぜて、ウガリに使われる。マラウイでは、キャッサバ(chinangwa)を使ったウガリは湖岸地域に限られているが、トウモロコシの収穫が少ないときには、キャッサバを使ったウガリが国中で見られる<ref>{{cite web|url=http://fsg.afre.msu.edu/papers/idwp109.pdf|title=Cassava Commercialization in Malawi|author=Emma Kambewa|date=November 2010|type=MSU International Development Working Paper|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160304220837/http://fsg.afre.msu.edu/papers/idwp109.pdf|archivedate=2016-03-04|deadlink=2021-05-12}}</ref>。

== 様々な種類 ==

=== アフリカ大湖沼 ===
ウガリ(お粥にするとウジと呼ぶ)は、通常、[[シチュー]]や[[スクマウィキ]](ケール)と一緒に食べ、[[アフリカ大湖沼]]や[[南アフリカ]]の[[郷土料理]]では、最も一般的な主食となっている。ウガリが他の粉から作られている場合は、その地域の名前が付けられていることが多い<ref>{{Cite web|title=HOW TO COOK THE PERFECT UGALI / Nairobi Kitchen|url=https://nairobikitchen.blogspot.com/2017/07/how-to-cook-perfect-ugali.html|date=2017-07-15|website=HOW TO COOK THE PERFECT UGALI / Nairobi Kitchen|access-date=2020-05-19}}</ref>。

ウガリの伝統的な食べ方は、右手で塊を丸め、野菜や肉のソースやシチューに浸して食べる。親指でくぼみを作ることで、[[フラットブレッド]]のように、ウガリをすくったり、肉を包んでつまんだりすることができる。残ったウガリは、翌朝、お茶なと一緒に食べる事が多い<ref>{{Cite web|title=Fancy a piece of ugali cake with your tea?|url=https://mobile.nation.co.ke/lifestyle/Fancy-a-piece-of-ugali-cake-with-your-tea/1950774-2664228-format-xhtml-y2ph15/index.html|last=App|first=Daily Nation|website=mobile.nation.co.ke|language=en|access-date=2020-05-29}}</ref>。

ウガリは比較的安価であるため、貧困層にも手に入りやすく、肉や野菜のシチュー(例:ケニアのスクマウィキ)と組み合わせて、食べることができる。簡単に作ることができ、小麦粉は平均的な環境であれば長期間保存することができる。

=== ガーナ ===
[[File:Tuo zaafi.jpg|thumb|ガーナでのウガリ(Tuo zaafi)]]
[[File:A_woman_stirring_TZ.jpg|thumb|ウガリを調理する女性]]
[[File:Tuo Zaafi and ayoyo soup.jpg|thumb|ウガリと[[モロヘイヤ]]のスープ]]
'''サグトゥルガ'''(Sagtulga,{{lang-ha|tuo zaafi}})と呼ばれており、ガーナで人気のある[[主食]]である。サグトゥルガは、[[オクラ]]のスープなどの汁気のある付け合わせと一緒に食され、ガーナの北部3地域(北部地域、上部東地域、上部西地域)でよく食べられている。[[モロヘイヤ]]の葉({{LangWithName|dag|ダバニ語|Salinvogu}}、{{lang-ha|Ayoyo, Molokai}})<ref>{{Cite web|url=https://pfaf.org/user/Plant.aspx?LatinName=Corchorus+olitorius|title=Corchorus olitorius - L.|accessdate=2021-05-12|website=Plants For A Future}}</ref>とオクラをブレンドしたものに、シチューを添えて食べるのが一般的である。

サグトゥルガは、調理したトウモロコシの生地に、乾燥したキャッサバの生地を少し加え、塩抜きした水を加えたものであり<ref>{{Cite web|url = http://infoboxdaily.com/life/your-food/item/1436-ayoyo-soup-and-tuo-tuo-zaafi|title = Ayoyo soup and tuo zaafi|website = infoboxdaily.com|accessdate = 2015-05-27|archiveurl = https://web.archive.org/web/20150527152001/http://infoboxdaily.com/life/your-food/item/1436-ayoyo-soup-and-tuo-tuo-zaafi#|archivedate = 2015-05-27|urlstatus = dead}}</ref>、伝統的に、ガーナ北部に自生するキビの生地などでも調理される<ref>{{cite book | last=Webb | first=L.S. | title=Multicultural Cookbook of Life-Cycle Celebrations | publisher=Oryx Press | series=Cookbooks for Students Series | year=2000 | isbn=978-1-57356-290-4 | url=https://archive.org/details/multiculturalcoo00lois | urlaccess=registration | accessdate=October 2, 2018 | page=[https://archive.org/details/multiculturalcoo00lois/page/64 64]}}</ref><ref>{{Cite news|url=https://circumspecte.com/2016/07/an-introduction-to-northern-ghanas-super-foods-shea-millet-fonio/|title=An Introduction to Northern Ghana's Super Foods Shea, Millet & Fonio {{!}} Circumspecte|date=2016-07-25|work=Circumspecte|access-date=2017-06-20|language=en-US}}</ref>。

*[[ステンレス]]製の鍋で水や発酵させた生地の水を沸騰させる。
*火にかけた水が沸騰したら、トウモロコシの生地と水を混ぜ、沸騰した水の中にかき混ぜながら入れてトウモロコシの粥を作る。
*蓋をしてしばらく沸騰させた後、粥の半分ほどをボウルに取り、後で鍋に入れる。
*火にかけた鍋に残った粥を使い、乾燥したトウモロコシの粉やキビの粉をお粥に入れ、粥が非常に濃くなるまで絶えずかき混ぜる。
*残りの粥を時々加えながら、とろみをつけていく。
という調理法が一般的である<ref>{{Cite web|title=Recipe: Tuozaafi & Ayoyo Stew|url=https://www.modernghana.com/lifestyle/10849/recipe-tuozaafi-ayoyo-stew.html|website=Modern Ghana|language=en|access-date=2020-05-10}}</ref><ref>{{Cite web|title=How to prepare Tuo Zaafi and Ayoyo soup|url=https://northernghana.net/how-to-prepare-tuo-zaafi-and-ayoyo-soup/|last=Wundengba|first=Charles|date=2019-01-12|website=Northernghana.net|language=en-US|access-date=2020-05-10}}</ref>。

=== ケニア ===
{{出典の明記|date=2021年5月|section=1}}
'''オブスマ'''(obusuma bwo bule)と呼ばれており、ケニヤの{{仮リンク|ルヒヤ族|en|Luhya people}}の文化では、最も一般的な主食で、ルヒヤ族の結婚式の伝統でも重要な役割を果たしている。オブスマは、ソルガムやキャッサバなどのでんぷん質から作ることができ、[[シロザ]]などの野菜や、肉、魚、麻の葉などが添えられるのが一般的とされている。賓客や訪問者には、鶏肉などもを添えることが一般的である。

[[File:Eating Ugali in Kenya.jpg|thumb|ウガリを食べている画像(ケニア)]]

ウガリは、中米の黄色いトウモロコシから作る[[タマル_(食品)|タマル]]のように、白いトウモロコシを挽いて作る。ほとんどの家庭では、ウガリが食事の大半を占め、野菜や肉は調味料として使われる。裕福な家庭や祝祭日などには、[[グレービーソース]]に香味野菜や肉などが添えられる。またケニアでは、厚めのウガリを手で握り、親指をコーンミールに押し付けスプーンのようにし、肉や野菜をすくって口に運ぶ、食べることのできる銀食器のような用途でも使われる。

=== マラウイ、ザンビア ===
[[File:Nsima Relishes.JPG|thumb|ウガリ(ンシマ、右上)と3つの[[レリッシュ]]]]
'''ンシマ'''(nsima)と呼ばれ、トウモロコシの粉(白いコーンミール)と水から作られるザンビア(nsima/nsima)とマラウイ(nsima)の主食となっている<ref>{{Cite web|title=Nsima|url=https://www.cooksinfo.com/nsima|website=CooksInfo|language=en-US|access-date=2020-05-29}}</ref>。

まずトウモロコシの粉を水と一緒に煮て粥のようにし、その後、さらに小麦粉を加え、濃厚なペースト状にするため、平たい木のスプーン(nthikoと呼ばれる)を使い、鍋の側面に厚いペーストをこすりつけながら、火にかける。火が通ったら、チパンデ(chipande)と呼ばれる木やプラスチック製のスプーンに水をつけたり、油を塗ったりして、取り分ける<ref name="experiencemalawi.com">{{cite web|url=http://www.experiencemalawi.com/malawi_focus/20091510-nsima-staple-food-of-malawi.html|title=Nsima: The staple food of Malawi|work=experiencemalawi.com|access-date=7 May 2015}}</ref>。

ンシマはほとんどの場合[[レリッシュ]]と呼ばれる、肉、鶏肉、魚、落花生、豆などのたんぱく質と、菜の花、かぼちゃの葉、アマランスの葉、マスタードの葉、キャベツなどの野菜と一緒に食べられる<ref>[http://www.jiji.com/jc/v4?id=zambia&p=zambia-6344 ザンビアの定番の食事]時事通信(2011年10月20日)2012年9月23日閲覧</ref>。
この付け合わせは、Ndiyo(ザンビア)または Ndiwo(マラウイ)と呼ばれ、野菜のおかずはザンビアでは "umuto wankondwa" などと呼ぶ。
マラウイでは、[[ピリピリ]]や{{仮リンク|カンブジ|en|Kambuzi}}などの唐辛子を使った自家製のホットソースや、ナリソースのような市販の[[チリソース]]など、薬味を添えて食べることが多い。伝統として食事をする人々はテーブルの周りや床に座って食事を囲み、素手で食べるため、手を洗わなければならないとされている。手を洗うには、水の入ったボウルを使うかあるいは、ホストやその場にいた若い人が、水差しから年長者やゲストの手に水をかけてボウルに入れる。小さな塊を右手のひらに取り、丸めてボール状にし、それをレリッシュに浸して食べられる。ボールには、レリッシュやスープをすくうためのくぼみがついている。アフリカの伝統では年齢が非常に重要視されており、それは食事でも同様で、食事前の洗浄、食事、食事後の洗浄は、一般的に最年長の人から始め、その後、年齢順に全員が行う。

ンシマは比較的安価で、ほとんどの人が手に入れることができるが、時折、品不足で価格が上昇し、経済的・政治的な不安定さを助長することがある。

[[2017年]]、ンシマがマラウイの[[無形文化遺産]]として登録された<ref>{{Cite web |url=https://ich.unesco.org/en/RL/nsima-culinary-tradition-of-malawi-01292 |title=Nsima, culinary tradition of Malawi |publisher=[[国際連合教育科学文化機関]] |accessdate=2021-05-16}}</ref>。

=== ナイジェリア ===
'''アカム'''(akamu)または'''オギ'''(ogi)と呼ばれ、[[プディング]]に似た粘り気がある。豆のプディングと呼ばれる{{仮リンク|モインモイン|en|Moin_moin}}(moin moin)や、豆のケーキと呼ばれるアカラなどが添えられるのが一般的である<ref>{{Cite book|last=Kulp, Karel, editor.|url=http://worldcat.org/oclc/1019722783|title=Handbook of Cereal Science and Technology, Second Edition, Revised and Expanded.|date=28 March 2000|isbn=978-1-4200-2722-8|oclc=1019722783}}</ref><ref>{{Cite book|last=Kulp|first=Karel|url=https://books.google.com/books?id=gtqEWcA73BEC&pg=PA166|title=Handbook of Cereal Science and Technology, Second Edition, Revised and Expanded|date=2000-03-28|publisher=CRC Press|isbn=978-0-8247-8294-8|language=en}}</ref>

=== 南アフリカ ===
[[File:Uphuthu & Skop meal.jpg|thumb|スコップ(牛の頭の肉)を添えたウガリ(右)]]
'''パップ'''({{lang-af|pap}})は、コーンミールから作られる伝統的な粥であり、南アフリカの主食である。アフリカーンス語のpapはオランダ語から取られた単に「粥」という意味の言葉で、南アフリカではmieliepap(アフリカーンス語でトウモロコシの粥)とも呼ばれる。
南アフリカの伝統的な料理には、滑らかなパップ('''スラップ・パップ'''、'''ソフト・ポリッジ''')、手で持てるほどの濃さのパップ('''スタイウェ・パップ'''、'''ファーム・ポリッジ''')、より乾燥した'''フースー・パップ'''({{lang-af|krummelpap}}<ref>[http://www.rainbowcooking.co.nz/recipes/putu-pap-krummelpap-crumbly-porridge.html]</ref>)など、パップを使ったものが多数ある。フースー・パップは、南アフリカの沿岸部でよく見られる<ref>{{Cite web|title=Phutu Recipe (African Maize Flour Porridge)|url=https://www.epersianfood.com/phutu/|date=2020-04-07|website=EpersianFood|language=en-US|access-date=2020-05-29}}</ref>。

南アフリカ北部では、朝食の主として、牛乳、バター、砂糖と一緒に食べるが、その他の食事でも肉やトマトのシチュー(通常はトマトとタマネギ)なと一緒に出される。彼らがブラーイ{{efn2|アフリカで主に行われる[[バーベキュー]]のような催し。バーベキューのように野外で調理をしながら食べる。}}をするときには、パップもしくはスタイウェ・パップに、トマトとオニオンまたはマッシュルームなどの香味ソースをかけてよく食べられる。
フースー・パップ(phuthu pap)は、{{仮リンク|ブルボス|en|boerewors}}と一緒に食べるのが一般的で、この組み合わせは後にpap en wors(pap en vleis)として知られるようになった。

フースー(phuthu)とは、[[ミリミル]]の調理法の一つで、最終的にはきめの細かい粗い穀物のようになり、南アフリカの[[クワズール・ナタール州]]や[[東ケープ州]]では野菜や肉の付け合わせとして、[[ハウテン州]]ではアマシやマースと一緒に料理の主役として親しまれている。putuまたはphutuという誤った綴りもある。肉、豆、グレイビー、サワーミルクなどを付け合わせとして一緒に食べられることが多い。

=== ジンバブエ ===
[[File:People cooking Pap (food) (Phaleche) 7.jpg|thumb|[[ボツワナ]]でウガリ(sadza)を調理する人々(ドンボシャバ・カルチャー・フェスティバル2017)]]
'''サザ'''({{lang-sn|Sadza}})は、[[ジンバブエ]]をはじめとする南アフリカの主食であるトウモロコシを調理した食事である<ref>{{Cite web|title=Traditional Plain Zimbabwean Sadza Recipe|url=https://ethnicfoodsrus.com/around-the-world-recipes/african-cuisine/zimbabwean-cuisine/traditional-plain-zimbabwean-sadza/|website=Ethnic Foods R Us|language=en-US|access-date=2020-05-24}}</ref>。

サザは、細かく砕いた乾燥トウモロコシ/挽き割りトウモロコシで作られる。ショナ語ではhupfu、[[ンデベレ語]]ではimpuphuと呼ばれている。地元の人々は、小売店でミリーミールを購入するか、トウモロコシから粉砕機でミリーミールを製造している。

ジンバブエでは、通常のトウモロコシより、シルバーコーンと呼ばれる白色の実のトウモロコシがよく使われる。しかし、飢餓や苦難の時代には、かつてケニアから輸入されていたことから「ケニア」と呼ばれることもある黄色いトウモロコシを食べるようになった。トウモロコシが導入される前のサザは、主にキビから作られていた。

サザは通常、個々の皿に盛られているが、伝統的には共同の器で食され、今でも農村部を中心に一部の家庭ではその習慣が残っている。一般的には、[[カトラリー]]を使わずに右手で食べ、ボール状に丸めてから、ソースやグレービー、[[フィールミョルク|サワーミルク]]、煮込んだ野菜など、さまざまな調味料につけて食べる<ref>{{cite web|url=https://worldfood.guide/dish/sadza/|title=Sadza|website=worldfood.guide|accessdate=2021-05-12}}</ref>。

サザと一緒に食べる代表的な食べ物は以下のようなものがある。

*[[赤身肉]] – [[牛肉]]、[[羊肉]]、[[ヤギ肉]]({{lang-sn|mbudzi}})、[[ジビエ|ジビエ肉]]など
*[[牛]]の[[蹄]]
*[[牛肉#部位|牛テール(尾)]]
*白身肉 – 鶏肉、[[魚肉#白身(白身魚)|魚の白身]]など
*[[モパネワーム]] – 食用の蛾のイモムシ。
*[[春野菜]]({{lang-nd|imibhida}}、{{lang-sn|muriwo}})
*[[うずら豆]]({{lang-nd|indumba}}、{{lang-sn|nyemba}})
*[[キャベツ]]
*[[オクラ]]
*[[フウチョウソウ科|フウチョウソウ]]({{lang-nd|ulude}}、{{lang-sn|nyevhe}})
*[[カボチャ]]({{lang-nd|ibhokola}}、{{lang-sn|Muboora}})
*{{仮リンク|酸乳|en|Soured milk}}のヨーグルト({{lang-nr|amasi}}、{{lang-sn|mukaka wakakora、lacto}})
*[[代替肉|大豆ミート]]
*スープやシチュー
*牛の骨

== 類似料理 ==
似た料理に、[[イタリア]]北部の[[ポレンタ]]や、アメリカ南部の[[グリッツ]]などがある。

西・中央アフリカのでんぷん食品である[[フフ]]は、トウモロコシの粉を原料とする場合があり、その場合はフフ・コーンと呼ばれることもある。カリブ海では、似たような料理として、cou-cou([[バルバドス]])、funchi([[キュラソー (オランダ王国)|キュラソー]])、funjie([[ヴァージン諸島]])などがある。[[プエルトリコ]]料理ではfunche、[[ハイチ]]料理ではmayi moulinなどとも呼ばれている<ref>{{Cite book|last=López, Ana Cristina Ballesteros author. Pereira, Accacia Julia Guimarães author. Junqueira, Roberto Gonçalves author.|url=http://worldcat.org/oclc/57094672|title=Flour mixture of rice flour, corn and cassava starch in the production of gluten-free white bread.|oclc=57094672|deathlink=2021-05-12}}</ref>。

== 画像 ==
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File:Ugali and cabbage.jpg|ウガリと[[キャベツ]]
File:Phutu.jpg|トマトベースの[[レリッシュ]]を手前に持ってきた[[フフ]]
File:Goat Offal.JPG|右からウガリ、青菜、ヤギの[[内臓]]を使った料理。ヤギの[[小腸]]を[[大腸]]の巻き付け調理する。
File:Yawo food staples - ugali and usipa.jpg|[[アフリカ大湖沼]]の[[ヤオ族 (アフリカ)|ヤオ族]]の主食であるウガリとウシパ(小魚)
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* {{仮リンク|ディンド|en|Dhindo}} - [[ネパール]]のウガリに似た料理
* [[チャパティ]]
* [[コーンミール]]
* [[フフ]]
* [[フフ]]
* [[コーングリッツ]]
* {{仮リンク|イドゥリ|en|Idli}}
* {{仮リンク|ママリーガ|en|Mămăliga}}
* [[ポレンタ]]
* [[エバ (料理)]]
* [[エバ (料理)]]
* [[ポレンタ]]
* [[ポレンタ]]
* [[蕎麦がき]]
* [[蕎麦がき]]
* {{仮リンク|アフリカ料理の一覧|en|List of African dishes}}
* {{portal-inline|食}}

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

===注釈===
{{Reflist|group=注}}
=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|url=https://books.google.com/books?id=CAhgpbXzq0oC&q=seasons+and&pg=PR4|title=Stirring the Pot: A History of African Cuisine|last=McCann|first=James C.|publisher=Ohio University Press|year=2009|isbn=9780896802728|location=Athens, Ohio|ref=harv}}
*[http://www.encounter.co.za/article/32.html South African Cuisine]
* [http://www.runetwork.de/html/en/index.html?article_id=142 Basic phutu recipe]
* [http://www.phuthu.co.za/2009/02/19/what-is-phuthucoza/ What is Phuthu]
ジンバブエを舞台にした以下の書籍では、ジンバブエの主食であるウガリ(sadza)を登場人物が食べている様子が描かれている。
*{{cite book|title=Nervous Conditions|author= Dangarembga, Tsitsi |date=1988|publisher= Ayebia Clark Publishing|title-link= Nervous Conditions }} is a semi-autobiographical novel focused on the story of a Rhodesian family in post-colonial Rhodesia (present-day Zimbabwe), during the 1960s.
*In Douglas Rogers' book ''The Last Resort: A Memoir of Zimbabwe'' (September 2009), Naomi, an elderly Malawian woman whom Rogers calls "Mrs. John", brings her husband, John Muranda, the other John, John Agoneka, and Rogers bowls of warm sadza, which Rogers explains "Mrs. John" cooks daily, over a wood fire outside the Murandas' home. (Crown/Random House, LLC, ASIN: B002PXFYIS, Chapter 4, page 23).


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{commonscat}}
*[https://kenyatea.jimdofree.com/2013/06/13/%E3%82%A6%E3%82%AC%E3%83%AA/ ウガリの作りかた(日本ケニア交友会ホームページ内の記事)]
*[https://kenyatea.jimdofree.com/2013/06/13/%E3%82%A6%E3%82%AC%E3%83%AA/ ウガリの作りかた(日本ケニア交友会ホームページ内の記事)]
* [https://web.archive.org/web/20051120124109/http://www.museums.org.za/bio/plants/poaceae/zea_mays.htm A brief history of maize]
* [http://www.bridgewater.edu/~mtembo/nshimachapter1.htm Article on nshima and ndiwo]
* [http://www.bbc.co.uk/nottingham/features/2004/03/our_man_in_zambia_08.shtml BBC article about nshima]
* [https://cheflolaskitchen.com/sadza-ugali/ Basic Ugali Recipe]


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2021年5月31日 (月) 10:35時点における版

ウガリ
ウガリとスクマウィキ(緑黄色野菜の炒め物)
種類
発祥地 東アフリカ
主な材料 コーンミール, ミリミル (白トウモロコシ)
類似料理
Cookbook
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ウガリスワヒリ語: Ugali)は、穀物の粉を湯で練り上げたアフリカ伝統の食品である[1]ケニアなどアフリカ東部や南部で主食として広く食されている。キビ粉やコーンミールなどの粉や、キャッサバ粉と混ぜて作られることもあり、沸騰した水または牛乳で、固い生地のような状態になるまで調理する[2]

概要

ウガリは、コーンミールキャッサバの粉を湯で練って作る。水分を含ませる度合いによって団子状から状のものまでさまざまなバリエーションがある。ザンビアマラウイではンシマ(nshima)、ウガンダではポショ(posho)など、地域によって硬さや弾力、名称が異なる。アフリカ東部で主食とされるウガリは、地域ごとに食べ方の違いがある。一般的には小さくボール状にまとめて肉や野菜のスープにつけて食べたり、硬く作ったウガリにスープをかけてスプーンナイフフォークで食べることもある。また、ウガリをスプーン状にまとめ、おかずをすくって食べる例もある。味は「味のないおからのよう」と形容されるが、食べなれてくると穀物自体の味があるのがわかるようになるという。

アルジェリアではタアムta`aam طعام)、つまり食べ物と呼ばれるほど常食されている。アルジェリアを含む北アフリカ諸国では、クスクスとウガリは厳密に区別されるのではなく、現地では同じようなものと扱われている。

ウガリの原料となる「穀粉」は暑い気候でも比較的、日持ちがする。さらに、中南米からトウモロコシが渡来して以降は、主な材料として調理されている。サハラ以南のアフリカの多くの国と地域で、ウガリは人々の主食としての地位にある。

名前

マラウイのチコンディでウガリを食べる子供達
肉とソースを添えたウガリ

ウガリはアフリカで広く食べられており、現地ではさまざまな名前で呼ばれている。

語源

「ウガリ」という言葉はアフリカのスワヒリ語に由来するが、マラウィチェワ語トゥンブカ語などでは「ンシマ」と呼び、親しまれている。ケニアの一部では、「NGUNA」(ングナ)や「DONEE」(ドニー)というような俗称でも呼ばれている[12]アフリカーンス語での「pap」は、オランダ語で「粥」を意味することに由来する。

歴史

ウガリを調理するヤオ族の女性たち。

トウモロコシは、16世紀から17世紀にかけてアメリカ大陸からアフリカに持ち込まれた。それ以前は、サハラ以南のほとんどの地域でソルガムキビが主食だった。トウモロコシの栽培方法はソルガムと似ているが、ソルガムより格段に多く収穫できたため、アフリカの農民にすぐに受け入れられた。最終的には、乾燥した地域を除くほぼすべての地域で、トウモロコシが主要穀物になり、最終的に20世紀後半にすべての地域で完全にトウモロコシになった[13]マラウイでは「chimanga ndi moyo」という言葉があり、これは「トウモロコシは命である。」という意味である[14]。ウガリは今でも稀にソルガム粉で作られることがあり、同じくアメリカ大陸から伝わったキャッサバも、単独かトウモロコシ粉と混ぜて、ウガリに使われる。マラウイでは、キャッサバ(chinangwa)を使ったウガリは湖岸地域に限られているが、トウモロコシの収穫が少ないときには、キャッサバを使ったウガリが国中で見られる[15]

様々な種類

アフリカ大湖沼

ウガリ(お粥にするとウジと呼ぶ)は、通常、シチュースクマウィキ(ケール)と一緒に食べ、アフリカ大湖沼南アフリカ郷土料理では、最も一般的な主食となっている。ウガリが他の粉から作られている場合は、その地域の名前が付けられていることが多い[16]

ウガリの伝統的な食べ方は、右手で塊を丸め、野菜や肉のソースやシチューに浸して食べる。親指でくぼみを作ることで、フラットブレッドのように、ウガリをすくったり、肉を包んでつまんだりすることができる。残ったウガリは、翌朝、お茶なと一緒に食べる事が多い[17]

ウガリは比較的安価であるため、貧困層にも手に入りやすく、肉や野菜のシチュー(例:ケニアのスクマウィキ)と組み合わせて、食べることができる。簡単に作ることができ、小麦粉は平均的な環境であれば長期間保存することができる。

ガーナ

ガーナでのウガリ(Tuo zaafi)
ウガリを調理する女性
ウガリとモロヘイヤのスープ

サグトゥルガ(Sagtulga,ハウサ語: tuo zaafi)と呼ばれており、ガーナで人気のある主食である。サグトゥルガは、オクラのスープなどの汁気のある付け合わせと一緒に食され、ガーナの北部3地域(北部地域、上部東地域、上部西地域)でよく食べられている。モロヘイヤの葉(ダバニ語: Salinvoguハウサ語: Ayoyo, Molokai[18]とオクラをブレンドしたものに、シチューを添えて食べるのが一般的である。

サグトゥルガは、調理したトウモロコシの生地に、乾燥したキャッサバの生地を少し加え、塩抜きした水を加えたものであり[19]、伝統的に、ガーナ北部に自生するキビの生地などでも調理される[20][21]

  • ステンレス製の鍋で水や発酵させた生地の水を沸騰させる。
  • 火にかけた水が沸騰したら、トウモロコシの生地と水を混ぜ、沸騰した水の中にかき混ぜながら入れてトウモロコシの粥を作る。
  • 蓋をしてしばらく沸騰させた後、粥の半分ほどをボウルに取り、後で鍋に入れる。
  • 火にかけた鍋に残った粥を使い、乾燥したトウモロコシの粉やキビの粉をお粥に入れ、粥が非常に濃くなるまで絶えずかき混ぜる。
  • 残りの粥を時々加えながら、とろみをつけていく。

という調理法が一般的である[22][23]

ケニア

オブスマ(obusuma bwo bule)と呼ばれており、ケニヤのルヒヤ族英語版の文化では、最も一般的な主食で、ルヒヤ族の結婚式の伝統でも重要な役割を果たしている。オブスマは、ソルガムやキャッサバなどのでんぷん質から作ることができ、シロザなどの野菜や、肉、魚、麻の葉などが添えられるのが一般的とされている。賓客や訪問者には、鶏肉などもを添えることが一般的である。

ウガリを食べている画像(ケニア)

ウガリは、中米の黄色いトウモロコシから作るタマルのように、白いトウモロコシを挽いて作る。ほとんどの家庭では、ウガリが食事の大半を占め、野菜や肉は調味料として使われる。裕福な家庭や祝祭日などには、グレービーソースに香味野菜や肉などが添えられる。またケニアでは、厚めのウガリを手で握り、親指をコーンミールに押し付けスプーンのようにし、肉や野菜をすくって口に運ぶ、食べることのできる銀食器のような用途でも使われる。

マラウイ、ザンビア

ウガリ(ンシマ、右上)と3つのレリッシュ

ンシマ(nsima)と呼ばれ、トウモロコシの粉(白いコーンミール)と水から作られるザンビア(nsima/nsima)とマラウイ(nsima)の主食となっている[24]

まずトウモロコシの粉を水と一緒に煮て粥のようにし、その後、さらに小麦粉を加え、濃厚なペースト状にするため、平たい木のスプーン(nthikoと呼ばれる)を使い、鍋の側面に厚いペーストをこすりつけながら、火にかける。火が通ったら、チパンデ(chipande)と呼ばれる木やプラスチック製のスプーンに水をつけたり、油を塗ったりして、取り分ける[25]

ンシマはほとんどの場合レリッシュと呼ばれる、肉、鶏肉、魚、落花生、豆などのたんぱく質と、菜の花、かぼちゃの葉、アマランスの葉、マスタードの葉、キャベツなどの野菜と一緒に食べられる[26]。 この付け合わせは、Ndiyo(ザンビア)または Ndiwo(マラウイ)と呼ばれ、野菜のおかずはザンビアでは "umuto wankondwa" などと呼ぶ。 マラウイでは、ピリピリカンブジ英語版などの唐辛子を使った自家製のホットソースや、ナリソースのような市販のチリソースなど、薬味を添えて食べることが多い。伝統として食事をする人々はテーブルの周りや床に座って食事を囲み、素手で食べるため、手を洗わなければならないとされている。手を洗うには、水の入ったボウルを使うかあるいは、ホストやその場にいた若い人が、水差しから年長者やゲストの手に水をかけてボウルに入れる。小さな塊を右手のひらに取り、丸めてボール状にし、それをレリッシュに浸して食べられる。ボールには、レリッシュやスープをすくうためのくぼみがついている。アフリカの伝統では年齢が非常に重要視されており、それは食事でも同様で、食事前の洗浄、食事、食事後の洗浄は、一般的に最年長の人から始め、その後、年齢順に全員が行う。

ンシマは比較的安価で、ほとんどの人が手に入れることができるが、時折、品不足で価格が上昇し、経済的・政治的な不安定さを助長することがある。

2017年、ンシマがマラウイの無形文化遺産として登録された[27]

ナイジェリア

アカム(akamu)またはオギ(ogi)と呼ばれ、プディングに似た粘り気がある。豆のプディングと呼ばれるモインモイン英語版(moin moin)や、豆のケーキと呼ばれるアカラなどが添えられるのが一般的である[28][29]

南アフリカ

スコップ(牛の頭の肉)を添えたウガリ(右)

パップアフリカーンス語: pap)は、コーンミールから作られる伝統的な粥であり、南アフリカの主食である。アフリカーンス語のpapはオランダ語から取られた単に「粥」という意味の言葉で、南アフリカではmieliepap(アフリカーンス語でトウモロコシの粥)とも呼ばれる。 南アフリカの伝統的な料理には、滑らかなパップ(スラップ・パップソフト・ポリッジ)、手で持てるほどの濃さのパップ(スタイウェ・パップファーム・ポリッジ)、より乾燥したフースー・パップアフリカーンス語: krummelpap[30])など、パップを使ったものが多数ある。フースー・パップは、南アフリカの沿岸部でよく見られる[31]

南アフリカ北部では、朝食の主として、牛乳、バター、砂糖と一緒に食べるが、その他の食事でも肉やトマトのシチュー(通常はトマトとタマネギ)なと一緒に出される。彼らがブラーイ[注 1]をするときには、パップもしくはスタイウェ・パップに、トマトとオニオンまたはマッシュルームなどの香味ソースをかけてよく食べられる。 フースー・パップ(phuthu pap)は、ブルボス英語版と一緒に食べるのが一般的で、この組み合わせは後にpap en wors(pap en vleis)として知られるようになった。

フースー(phuthu)とは、ミリミルの調理法の一つで、最終的にはきめの細かい粗い穀物のようになり、南アフリカのクワズール・ナタール州東ケープ州では野菜や肉の付け合わせとして、ハウテン州ではアマシやマースと一緒に料理の主役として親しまれている。putuまたはphutuという誤った綴りもある。肉、豆、グレイビー、サワーミルクなどを付け合わせとして一緒に食べられることが多い。

ジンバブエ

ボツワナでウガリ(sadza)を調理する人々(ドンボシャバ・カルチャー・フェスティバル2017)

サザショナ語: Sadza)は、ジンバブエをはじめとする南アフリカの主食であるトウモロコシを調理した食事である[32]

サザは、細かく砕いた乾燥トウモロコシ/挽き割りトウモロコシで作られる。ショナ語ではhupfu、ンデベレ語ではimpuphuと呼ばれている。地元の人々は、小売店でミリーミールを購入するか、トウモロコシから粉砕機でミリーミールを製造している。

ジンバブエでは、通常のトウモロコシより、シルバーコーンと呼ばれる白色の実のトウモロコシがよく使われる。しかし、飢餓や苦難の時代には、かつてケニアから輸入されていたことから「ケニア」と呼ばれることもある黄色いトウモロコシを食べるようになった。トウモロコシが導入される前のサザは、主にキビから作られていた。

サザは通常、個々の皿に盛られているが、伝統的には共同の器で食され、今でも農村部を中心に一部の家庭ではその習慣が残っている。一般的には、カトラリーを使わずに右手で食べ、ボール状に丸めてから、ソースやグレービー、サワーミルク、煮込んだ野菜など、さまざまな調味料につけて食べる[33]

サザと一緒に食べる代表的な食べ物は以下のようなものがある。

類似料理

似た料理に、イタリア北部のポレンタや、アメリカ南部のグリッツなどがある。

西・中央アフリカのでんぷん食品であるフフは、トウモロコシの粉を原料とする場合があり、その場合はフフ・コーンと呼ばれることもある。カリブ海では、似たような料理として、cou-cou(バルバドス)、funchi(キュラソー)、funjie(ヴァージン諸島)などがある。プエルトリコ料理ではfunche、ハイチ料理ではmayi moulinなどとも呼ばれている[34]

画像

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ アフリカで主に行われるバーベキューのような催し。バーベキューのように野外で調理をしながら食べる。

出典

  1. ^ “Ugali - a Kenyan cornmeal porridge” (英語). Taste Of The Place. (2017年10月16日). https://www.tasteoftheplace.com/ugali-kenyan-cornmeal/ 2018年8月23日閲覧。 
  2. ^ “How to prepare ugali/posho” (英語). Yummy. (2015年5月4日). https://maureenmumasi.wordpress.com/2015/05/04/how-to-prepare-ugaliposho/ 2018年8月23日閲覧。 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r McCann 2009, p. 137.
  4. ^ a b c Tembo, Mwizenge S.. “Nshima and Ndiwo: Zambian Staple Food” (英語). Hunger For Culture. 24 February 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年2月18日閲覧。
  5. ^ "Mealiepap, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018.[1] 25 February 2019
  6. ^ Kenya Information Guide Home page”. 24 June 2013閲覧。
  7. ^ "Pap, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018. [2] 25 February 2019.
  8. ^ "Putu, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018.[3] 25 February 2019.
  9. ^ Ugandan food recipes - POSHO (UGALI) - Wattpad”. www.wattpad.com. 2018年8月23日閲覧。
  10. ^ "Sadza, n." Dictionary of South African English. Dictionary Unit for South African English, 2018. [4] 25 February 2019
  11. ^ Gough, Amy (2004年). “The Chewa”. The Peoples of The World Foundation. 18 February 2018閲覧。
  12. ^ “Tanzanian Ugali / Nguna Recipe” (英語). Gayathri's Cook Spot. (2015年9月1日). https://gayathriscookspot.com/2015/09/tanzanian-ugali-nguna-recipe/ 2018年8月23日閲覧。 
  13. ^ McCann 2009, p. 139.
  14. ^ Food & Daily life”. Our Africa. 7 May 2015閲覧。
  15. ^ Emma Kambewa (November 2010). “Cassava Commercialization in Malawi”. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。 Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  16. ^ HOW TO COOK THE PERFECT UGALI / Nairobi Kitchen”. HOW TO COOK THE PERFECT UGALI / Nairobi Kitchen (2017年7月15日). 2020年5月19日閲覧。
  17. ^ App, Daily Nation. “Fancy a piece of ugali cake with your tea?” (英語). mobile.nation.co.ke. 2020年5月29日閲覧。
  18. ^ Corchorus olitorius - L.”. Plants For A Future. 2021年5月12日閲覧。
  19. ^ Ayoyo soup and tuo zaafi”. infoboxdaily.com. 2015年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月27日閲覧。
  20. ^ Webb, L.S. (2000). Multicultural Cookbook of Life-Cycle Celebrations. Cookbooks for Students Series. Oryx Press. p. 64. ISBN 978-1-57356-290-4. https://archive.org/details/multiculturalcoo00lois October 2, 2018閲覧。 
  21. ^ “An Introduction to Northern Ghana's Super Foods Shea, Millet & Fonio | Circumspecte” (英語). Circumspecte. (2016年7月25日). https://circumspecte.com/2016/07/an-introduction-to-northern-ghanas-super-foods-shea-millet-fonio/ 2017年6月20日閲覧。 
  22. ^ Recipe: Tuozaafi & Ayoyo Stew” (英語). Modern Ghana. 2020年5月10日閲覧。
  23. ^ Wundengba, Charles (2019年1月12日). “How to prepare Tuo Zaafi and Ayoyo soup” (英語). Northernghana.net. 2020年5月10日閲覧。
  24. ^ Nsima” (英語). CooksInfo. 2020年5月29日閲覧。
  25. ^ Nsima: The staple food of Malawi”. experiencemalawi.com. 7 May 2015閲覧。
  26. ^ ザンビアの定番の食事時事通信(2011年10月20日)2012年9月23日閲覧
  27. ^ Nsima, culinary tradition of Malawi”. 国際連合教育科学文化機関. 2021年5月16日閲覧。
  28. ^ Kulp, Karel, editor. (28 March 2000). Handbook of Cereal Science and Technology, Second Edition, Revised and Expanded.. ISBN 978-1-4200-2722-8. OCLC 1019722783. http://worldcat.org/oclc/1019722783 
  29. ^ Kulp, Karel (2000-03-28) (英語). Handbook of Cereal Science and Technology, Second Edition, Revised and Expanded. CRC Press. ISBN 978-0-8247-8294-8. https://books.google.com/books?id=gtqEWcA73BEC&pg=PA166 
  30. ^ [5]
  31. ^ Phutu Recipe (African Maize Flour Porridge)” (英語). EpersianFood (2020年4月7日). 2020年5月29日閲覧。
  32. ^ Traditional Plain Zimbabwean Sadza Recipe” (英語). Ethnic Foods R Us. 2020年5月24日閲覧。
  33. ^ Sadza”. worldfood.guide. 2021年5月12日閲覧。
  34. ^ López, Ana Cristina Ballesteros author. Pereira, Accacia Julia Guimarães author. Junqueira, Roberto Gonçalves author.. Flour mixture of rice flour, corn and cassava starch in the production of gluten-free white bread.. OCLC 57094672. http://worldcat.org/oclc/57094672 

参考文献

ジンバブエを舞台にした以下の書籍では、ジンバブエの主食であるウガリ(sadza)を登場人物が食べている様子が描かれている。

  • Dangarembga, Tsitsi (1988). Nervous Conditions. Ayebia Clark Publishing  is a semi-autobiographical novel focused on the story of a Rhodesian family in post-colonial Rhodesia (present-day Zimbabwe), during the 1960s.
  • In Douglas Rogers' book The Last Resort: A Memoir of Zimbabwe (September 2009), Naomi, an elderly Malawian woman whom Rogers calls "Mrs. John", brings her husband, John Muranda, the other John, John Agoneka, and Rogers bowls of warm sadza, which Rogers explains "Mrs. John" cooks daily, over a wood fire outside the Murandas' home. (Crown/Random House, LLC, ASIN: B002PXFYIS, Chapter 4, page 23).

外部リンク