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「白髪三千丈」の版間の差分

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'''白髪三千丈'''(はくはつさんぜんじょう)は、[[8世紀]]、[[唐]]代の詩人・[[李白]]の[[絶句|五言絶句]]「秋浦歌」第十五首の冒頭の一句<ref name=kotobank>{{Cite Kotobank|白髪三千丈|accessdate=2021-05-06}}</ref>
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'''白髪三千丈'''(はくはつさんぜんじょう)は、[[唐]]代の詩人・[[李白]]の[[絶句|五言絶句]]「秋浦歌」第十五首の冒頭の一句。


== 概要 ==
「'''縁愁似箇長'''(うれいによりてかくのごとくながし)」と続き、通常、「'''積もる愁いに伸びた白髪の長さは、三千丈(約9キロメートル)もあるかのように思われる'''」と解釈されている。日本においては、この一句のみを取り出して、[[中国]]の極端な誇張表現の例だとして、批判的に用いる状況にある
白髪三千丈は一句の冒頭であり、後に「'''縁愁似箇長'''(うれいによりてかくのごとくながし)」と続き{{R|kotobank}}合わせると「'''積もる愁いに伸びた白髪の長さは、三千丈(約9キロメートル)もあるかのように思われる'''」と解釈されている{{R|kotobank}}

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{{verse translation|italicsoff=y
|lang1=zh
|'''白文'''
白髮三千丈
縁愁似箇長
不知明鏡裏
何處得秋霜
|lang2=ja
|'''書下し文'''
白髮 三千丈
愁ひに縁りて かくのごとく長し
知らず 明鏡の裏
何れの処にか 秋霜を得る
|attr2=[[李白]]「秋浦歌 其十五」}}


==どうして「三千丈」か==
==どうして「三千丈」か==
「三千丈」という表現の背景には、作詩上の制約がある。
「三千丈」という表現の背景には、作詩上の制約がある。


「[[白髪]]三千丈」の[[平仄]]について見れば、最初の二字「白髪」が'''仄仄'''であり、[[近体詩|近体詩の規則]]によれば、続く二字は'''平平'''でなくてはいけない。一方、一〜九までの漢数字及び十・百・千・万・億・兆という位数のうち、平声の字は「三」と「千」のみである(京も平であるが、通常使用される位数ではない)。この結果、句頭に「白髪」を示した時点で、次に続く数字はほぼ選択の余地なく「三千」に定まってしまうことになる。<ref>出典:高島俊男著『イチレツランパン破裂して お言葉ですが(6)文春文庫138-143</ref>また、句末の一字は、'''仄'''でなくてはいけないため、ここに長さを示す字を置くとなると、仄声である「寸」、「尺」、「丈」等から選択するしかない。
「[[白髪]]三千丈」の[[平仄]]について見れば、最初の二字「白髪」が'''仄仄'''であり、[[近体詩|近体詩の規則]]によれば、続く二字は'''平平'''でなくてはいけない。一方、一〜九までの漢数字及び十・百・千・万・億・兆という位数のうち、平声の字は「三」と「千」のみである(京も平であるが、通常使用される位数ではない)。この結果、句頭に「白髪」を示した時点で、次に続く数字はほぼ選択の余地なく「三千」に定まってしまうことになる。<ref>{{Cite book|和書|author=高島俊男|authorlink=高島俊男|title=イチレツランパン破裂して お言葉ですが(6) |publisher=[[文藝春秋]] 文春文庫|pages=138-143|accessdate=2008-12-24|date=2005-07-08}}</ref>また、句末の一字は、'''仄'''でなくてはいけないため、ここに長さを示す字を置くとなると、仄声である「寸」、「尺」、「丈」等から選択するしかない。

==白髪三千丈に関する異説==
===白髪は「増えた」===
日常の感覚として、白髪は、増えるものであって、「長く伸びる」とは言わない。また、「長」の字には、「大きい、多い」の意味もあることから、「愁いに増えた白髪の多さは、継ぎ足していけば三千丈の長さになるだろう」と解釈することもできる。

なお、人間の髪の毛の本数を約10万本、髪の毛の長さを約10~15センチメートルとすれば、その延べ長さは10~15キロメートルとなり、このとき、三千丈という表現は、換算すると約9.99キロメートルのため、実際にはむしろ控え目なものであることになる。

===三千大千世界===
仏法の 「[[三千大千世界]]」から、「三千」の語を、「極めて多い」、「極めて広い」などという意味で包括的な形容に使うようになったものであって、[[算術]]の「三千」ではない。

==関連項目==
* [[黄塵万丈]]


==出典==
==脚注==
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2024年1月13日 (土) 09:05時点における最新版

白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)は、8世紀代の詩人・李白五言絶句「秋浦歌」第十五首の冒頭の一句[1]

概要

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白髪三千丈は一句の冒頭であり、後に「縁愁似箇長(うれいによりてかくのごとくながし)」と続き[1]、合わせると「積もる愁いに伸びた白髪の長さは、三千丈(約9キロメートル)もあるかのように思われる」と解釈されている[1]

小学館刊『故事成語を知る辞典』によれば「人を驚かせる豪快な表現で知られた李白らしい、極端な誇張表現」と解説されている[1]。ただし、同書によれば現在では極端すぎる誇張表現の例であり、特に、用法としては中国人の大げさな表現に対する暗喩として用いられる旨も説明されている[1]

どうして「三千丈」か

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「三千丈」という表現の背景には、作詩上の制約がある。

白髪三千丈」の平仄について見れば、最初の二字「白髪」が仄仄であり、近体詩の規則によれば、続く二字は平平でなくてはいけない。一方、一〜九までの漢数字及び十・百・千・万・億・兆という位数のうち、平声の字は「三」と「千」のみである(京も平であるが、通常使用される位数ではない)。この結果、句頭に「白髪」を示した時点で、次に続く数字はほぼ選択の余地なく「三千」に定まってしまうことになる。[2]また、句末の一字は、でなくてはいけないため、ここに長さを示す字を置くとなると、仄声である「寸」、「尺」、「丈」等から選択するしかない。

脚注

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  1. ^ a b c d e 白髪三千丈https://kotobank.jp/word/%E7%99%BD%E9%AB%AA%E4%B8%89%E5%8D%83%E4%B8%88コトバンクより2021年5月6日閲覧 
  2. ^ 高島俊男『イチレツランパン破裂して お言葉ですが(6)』文藝春秋 文春文庫、2005年7月8日、138-143頁。