「大韓民国の経済」の版間の差分
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==韓国経済の問題点== |
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アジア通貨危機以前は、多くの財閥企業が存在し、傘下の企業が過当競争を繰り広げていたが、IMF管理下で市場の[[寡占]]化と[[外資]]導入が進んだ。市場の寡占化の結果、企業は国内では海外よりも高値で販売して利益を上げている。大手輸出企業は外国人株主が半数を占めることになった。大手輸出企業は人件費を切り下げて競争力を高め、グローバル市場で競合に打ち勝って利益をあげており、さらに税制優遇措置を受けている。 |
アジア通貨危機以前は、多くの財閥企業が存在し、傘下の企業が過当競争を繰り広げていたが、IMF管理下で市場の[[寡占]]化と[[外資]]導入が進んだ。市場の寡占化の結果、企業は国内では海外よりも高値で販売して利益を上げている。大手輸出企業は外国人株主が半数を占めることになった。大手輸出企業は人件費を切り下げて競争力を高め、グローバル市場で競合に打ち勝って利益をあげており、さらに税制優遇措置を受けている。 |
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また[[社会保障]]の支出は対GDP比7.7%と、[[経済協力開発機構|OECD]]加盟国中でも極端に低く、最下位である。このように従業員や消費者よりも株主を優遇する経済構造となっている。 |
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アジア通貨危機による経済的な危機から脱却して以降は、[[半導体]]や[[インターネット]]関連事業の成長により、貿易が黒字基調に転化した。その一方で、通貨危機以前は比較的緩やかだった貧富の差が拡大する傾向にある。金大中政権での[[クレジットカード]]振興策によって2000年頃よりクレジットカードの利用が増加し、[[内需]]拡大の一端ともなったが、[[2003年]]頃には[[自己破産]]が急増し国内での信用不安が高まったため、金融恐慌状態となり内需不振となった。[[2005年]]〜2006年にかけても国内消費の低迷をはじめ原油高、ウォン高が起きた。[[2000年]]頃から、人件費が安く、消費が拡大している[[中華人民共和国|中国]]などに生産拠点を移す韓国企業も増えてきており、産業の空洞化も懸念されている。 |
アジア通貨危機による経済的な危機から脱却して以降は、[[半導体]]や[[インターネット]]関連事業の成長により、貿易が黒字基調に転化した。その一方で、通貨危機以前は比較的緩やかだった貧富の差が拡大する傾向にある。金大中政権での[[クレジットカード]]振興策によって2000年頃よりクレジットカードの利用が増加し、[[内需]]拡大の一端ともなったが、[[2003年]]頃には[[自己破産]]が急増し国内での信用不安が高まったため、金融恐慌状態となり内需不振となった。[[2005年]]〜2006年にかけても国内消費の低迷をはじめ原油高、ウォン高が起きた。[[2000年]]頃から、人件費が安く、消費が拡大している[[中華人民共和国|中国]]などに生産拠点を移す韓国企業も増えてきており、産業の空洞化も懸念されている。 |
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特に近年、中国の安い人件費に抗えず、かといって日本の先端化された技術に追いつくこともできないという[[ジレンマ]]に陥っており、韓国内では[[サムスングループ]]総帥の[[李健熙]]らがサンドウィッチに喩えたことから「日中サンドウィッチ論」と呼ばれている。 |
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現在では円キャリー取引などの一環で外国人投資家の投資が集中しており、それに伴うウォン高、不動産価格の上昇などが不安定要因として存在している。 |
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また、韓国では労働時間が長い。[[経済協力開発機構]]の調査では、2014年の韓国の年間労働時間は2057時間で、[[メキシコ]](2327時間)、[[チリ]](2064時間)に次いで3番目に長い<ref>{{cite news | url = http://japanese.joins.com/article/987/209987.html| title = わずか5、6年…韓国勤労者の平均勤続期間OECD最短 | newspaper = [[中央日報]] | date = 2015-12-23 | accessdate = 2015-12-23 }}</ref>。 |
また、韓国では労働時間が長い。[[経済協力開発機構]]の調査では、2014年の韓国の年間労働時間は2057時間で、[[メキシコ]](2327時間)、[[チリ]](2064時間)に次いで3番目に長い<ref>{{cite news | url = http://japanese.joins.com/article/987/209987.html| title = わずか5、6年…韓国勤労者の平均勤続期間OECD最短 | newspaper = [[中央日報]] | date = 2015-12-23 | accessdate = 2015-12-23 }}</ref>。 |
2021年4月10日 (土) 09:24時点における版
大韓民国の経済[1] | ||
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通貨 | 大韓民国ウォン (KRW) | |
会計年度 | 暦年(1月1日-12月31日) | |
貿易機関 | APEC、WTO、OECD | |
経済統計 | ||
実質GDP | 1兆6,345億ドル (2019年) | |
GDP(PPP) | 1兆6470億ドル (2021年) | |
実質GDP成長率 | 2.7% (2018年) | |
一人当りGDP | 4万2,650ドル (2020年) | |
部門別GDP | 農業 3% 工業 39.5% サービス業 57.6% (2008年推計) | |
インフレ率 (CPI) | 2.8% (2009年推計) | |
貧困線未満の人口 | 15% (2003年推計) | |
労働人口 | 2,682万人 (2018年) | |
部門別労働人口 | 農業 7.2% 工業 25.1% サービス業 67.7% (2007年) | |
失業率 | 3.8% (2018年) | |
主要工業部門 | 電子機器、通信機器、自動車、化学、造船、鉄鋼 | |
貿易 | ||
輸出 | 6,055億ドル (2018年推計) | |
輸出品 | 半導体、通信機器、自動車、コンピュータ、鉄鋼、船、石油化学製品 | |
主要輸出相手国 | 中国 26%
( 欧州連合13%) 香港 7.6% 日本 5.1% オーストラリア 3.4%(2018年) | |
輸入 | 3,134億ドル (2009年推計) | |
輸入品 | 機械類、電子機器とその部品、原油、鉄鋼、輸送機器、有機化学製品、プラスチック | |
主要輸入相手国 | 中国 19% アメリカ合衆国 11% | |
財政状況 | ||
歳入 | 4兆150億ウォン(2020年) | |
歳出 | 4兆2億ウォン(2020年推計) | |
国家借入金 | GDPの28%(2009年推計) | |
外貨準備 | 4,036億ドル(2018年) | |
対外債務 | 5,030億ドル(2021年) |
韓国の経済は、朝鮮戦争の激戦でインフラが壊滅したことで1960年代前半までは大きく立ち後れていたが、1960年代後半から始まる漢江の奇跡以降は成長を続け、今日の経済規模(GDP)は世界9位[2]。また、1人あたりのGDP、平均所得は日本の水準を僅かに超える[3][4]。主要な産業は電子機器、IT、造船、鉄鋼、自動車など。 新興工業経済地域(NIEs)の一つに数えられた時期を経て、1996年にアジアで2番目のOECD(経済協力開発機構)加盟国になった。
財閥による支配
韓国の経済は、そのほとんどをサムスングループ、LGグループ、SKグループおよび、分割された現代財閥、解体された大宇財閥の系列企業で占められており、その構造的な問題点を指摘する声もある。
2011年の財閥(チェボル、ko:재벌)10社の売上高は946兆1000億ウォン(約66兆円)で、韓国の国内総生産の76.5%に及び、その比率はサムスングループが21.9%、現代・起亜自動車グループが12.6%、SKグループが11.7%、LGグループが9.0%、GSグループが5.4%、現代重工業グループが5.0%、ロッテグループが4.5%、ハンファグループが2.8%、韓進グループが1.9%、斗山グループが1.7%となっている[5]。
- サムスンへの依存の高さ
韓国のGDPにおいてサムスングループに依存する割合が高く、現在韓国のGDP(国内総生産)の18%、輸出の21%も占めている[6]。
経済的な構造
日本と同様、韓国は天然資源に乏しく、資材を輸入し製品を輸出するという貿易立国である。
アジア通貨危機
1997年のアジア通貨危機のため、韓国経済は大きな危機に直面し、大量倒産や失業と財閥解体が起こった。韓国は国際通貨基金(IMF)の管理下に入り、経済支援を受けた。金大中政権(「朝鮮戦争以来の国難」を受けて発足した野党政権)による、現代財閥の分割や大宇財閥の解体などが行われた。この危機時の借入金は、のちにIMFに対しては2001年8月、アジア開発銀行に対しては2005年までに完済された[7]。
韓国経済の問題点
アジア通貨危機以前は、多くの財閥企業が存在し、傘下の企業が過当競争を繰り広げていたが、IMF管理下で市場の寡占化と外資導入が進んだ。市場の寡占化の結果、企業は国内では海外よりも高値で販売して利益を上げている。大手輸出企業は外国人株主が半数を占めることになった。大手輸出企業は人件費を切り下げて競争力を高め、グローバル市場で競合に打ち勝って利益をあげており、さらに税制優遇措置を受けている。
また社会保障の支出は対GDP比7.7%と、OECD加盟国中でも極端に低く、最下位である。このように従業員や消費者よりも株主を優遇する経済構造となっている。
アジア通貨危機による経済的な危機から脱却して以降は、半導体やインターネット関連事業の成長により、貿易が黒字基調に転化した。その一方で、通貨危機以前は比較的緩やかだった貧富の差が拡大する傾向にある。金大中政権でのクレジットカード振興策によって2000年頃よりクレジットカードの利用が増加し、内需拡大の一端ともなったが、2003年頃には自己破産が急増し国内での信用不安が高まったため、金融恐慌状態となり内需不振となった。2005年〜2006年にかけても国内消費の低迷をはじめ原油高、ウォン高が起きた。2000年頃から、人件費が安く、消費が拡大している中国などに生産拠点を移す韓国企業も増えてきており、産業の空洞化も懸念されている。
特に近年、中国の安い人件費に抗えず、かといって日本の先端化された技術に追いつくこともできないというジレンマに陥っており、韓国内ではサムスングループ総帥の李健熙らがサンドウィッチに喩えたことから「日中サンドウィッチ論」と呼ばれている。 現在では円キャリー取引などの一環で外国人投資家の投資が集中しており、それに伴うウォン高、不動産価格の上昇などが不安定要因として存在している。
また、韓国では労働時間が長い。経済協力開発機構の調査では、2014年の韓国の年間労働時間は2057時間で、メキシコ(2327時間)、チリ(2064時間)に次いで3番目に長い[8]。
経済指標
経済成長率
- 2004年:4.9%
- 2005年:3.9%
- 2006年:5.2%
- 2007年:5.5%
- 2008年:2.8%
- 2009年:0.7%
- 2010年:6.5%
- 2011年:3.7%
- 2012年:2.3%
- 2013年:2.9%
- 2014年:3.3%
- 2015年:2.8%
- 2016年:2.9%
- 2017年:3.1%
- 2018年:2.7%
- 2019年:2.0%
- 2020年:-1.0%
※ 統計庁経済成長率(基準年価格GDP) (OECD)[9]
インフレ率
- 2003年:3.5%
- 2004年:3.6%
- 2005年:2.8%
- 2006年:2.2%
- 2007年:2.5%
- 2008年:4.7%
- 2009年:2.8%
- 2010年:3.0%
- 2011年:4.0%
※韓国統計庁データベースより。[10]
失業率
- 2003年:3.6%(13.0%,7.7%)
- 2004年:3.7%(14.1%,7.9%)
- 2005年:3.7%(12.5%,7.7%)
- 2006年:3.5%(10.4%,7.7%)
- 2007年:3.2%(9.3%,7.1%)
- 2008年:3.2%(10.2%,7.0%)
- 2009年:3.6%(12.2%,7.9%)
- 2010年:3.7%(11.9%,7.8%)
- 2011年:3.4%(10.8%,7.4%)
※カッコ内は15歳~19歳,20歳~29歳の若年失業率。求職断念者と不就業者は統計に含めず。 韓国統計庁データベースより。[11] 韓国では失業者の定義が非常に狭く、働いていない多くの人が失業者として扱われていないという[12]。2011年10月27日の東亜日報の記事では、国際労働機関(ILO)標準のアンケート方式で調査すると、潜在失業率は21.2%に上るとされている。韓国の失業率はOECD加盟34カ国中トップクラスの低さであるが、就業者率では下から数えたほうが早い。
脚注
- ^ CIA World Factbook 2010年2月13日閲覧。
- ^ “OECDによる2020年のGDPに関する調査” (15-03-2021). 2021年4月1日閲覧。
- ^ “OECDによる1人あたりのGDP及び1人あたりの労働生産性に関する調査” (28-03-2021). 2021年4月1日閲覧。
- ^ “OECDによる1人あたりの平均所得に関する調査を用いたサイト” (28-03-2021). 2021年4月1日閲覧。
- ^ 中央日報 韓国財閥10社の売上高 GDPの76.5% 2012年08月27日
- ^ 包囲された韓国サムスン:日経ビジネスオンライン
- ^ CMIについて財務省とADBへ質問と返答
- ^ “わずか5、6年…韓国勤労者の平均勤続期間OECD最短”. 中央日報. (2015年12月23日) 2015年12月23日閲覧。
- ^ http://kosis.kr/statHtml/statHtml.do?orgId=101&tblId=DT_2KAA905_OECD
- ^ 韓国統計庁データベース
- ^ 韓国統計庁データベース
- ^ “新型コロナ抑制成功の韓国 合法的に低い失業率を出す方法とは?(2/2)”. コリアワールドタイムズ. (2020年5月7日) 2020年5月24日閲覧。