「琵琶湖の水止めたろか」の版間の差分
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{{一部転記|琵琶湖#水利用|琵琶湖の水止めたろか|date=2021年2月}} |
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{{表記揺れ案内|表記1=琵琶湖の水止めたろか|表記2=琵琶湖の水、止めたろか|議論ページ=|font-size=medium}} |
{{表記揺れ案内|表記1=琵琶湖の水止めたろか|表記2=琵琶湖の水、止めたろか|議論ページ=|font-size=medium}} |
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[[ファイル:20091015琵琶湖.jpg|thumb|200px|琵琶湖の南端付近上空から北方方面に琵琶湖全景を撮影した航空写真。中央やや下に[[琵琶湖大橋]]が見える。琵琶湖の湖水は写真前方方面の瀬田川に流れ、近畿地方を潤す。]] |
[[ファイル:20091015琵琶湖.jpg|thumb|200px|琵琶湖の南端付近上空から北方方面に琵琶湖全景を撮影した航空写真。中央やや下に[[琵琶湖大橋]]が見える。琵琶湖の湖水は写真前方方面の瀬田川に流れ、近畿地方を潤す。]] |
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'''琵琶湖の水止めたろか'''(びわこのみずとめたろか)は、[[滋賀県]]民が用いる[[決まり文句]]・[[ジョーク]]・捨て台詞である{{R|Asahi20180428|日経2017}}{{Sfn|平井|2015|p=100}}。[[琵琶湖]]を水源とする宇治川・[[淀川]]流域の京都・大阪府民から馬鹿にされた際に、対抗心を表すために用いる{{R|日経2017|ガジェット通信}}{{Sfn|平井|2015|p=100}}。「'''琵琶湖の水止めるぞ'''」「'''滋賀県なめたら水止める'''」といった表現も見られる<ref>{{Cite web|author=citrus 編集部|website=citrus|date=2018.03.02|url=https://citrus-net.jp/article/51339|title=(京都人曰く)滋賀県といえば「水、止める」? 西川貴教が滋賀のネガイメージを覆すため立ち上がった!|accessdate=2021-01-22|publisher=[[オールアバウト]]}}</ref><ref name=":0">{{Cite web|author=|website=ダブディフォー OFFICIAL WEB SITE|date=|url=http://w-d4.jp/okinawa_tour|title=W-D4と行く!滋賀県なめたら水止めるツアー!! 2017|accessdate=2021-01-22|publisher=}}</ref>。 |
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'''琵琶湖の水止めたろか'''(びわこのみずとめたろか)は、[[滋賀県]]民が用いる[[決まり文句]]・[[ジョーク]]・捨て台詞である{{sfn|朝日新聞|2018}}{{sfn|日経新聞|2017}}{{Sfn|平井|2015|p=100}}。歴史的に琵琶湖や[[淀川]]水系の治水・水利を巡る対立相手であった京都・大阪府民から馬鹿にされた際、対抗心を表すために用いる{{sfn|日経新聞|2017}}{{sfn|ガジェット通信|2015}}{{Sfn|平井|2015|p=100}}。 |
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琵琶湖や淀川の治水を巡っては、上流・下流が対立してきた歴史がある{{R|日経2017}}。 |
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== 背景 == |
== 背景 == |
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滋賀県の[[琵琶湖]]は「日本最大の湖」として知られ{{Sfn|環境政策課|2020|p=83}}{{ |
滋賀県の[[琵琶湖]]は「日本最大の湖」として知られ{{Sfn|環境政策課|2020|p=83}}{{sfn|総務省}}、面積(約670[[平方キロメートル]])・貯水量(約275億[[立方メートル]])共に日本最大である{{sfn|朝日新聞|2018}}{{sfn|琵琶故知新|2020}}。琵琶湖の水は瀬田川、宇治川、[[淀川]]{{efn|淀川(平均流量267立方メートル/秒)には桂川(平均流量46立方メートル/秒)、木津川(平均流量50立方メートル/秒)も流れ込んでいるが、宇治川からの流入(平均流量176立方メートル/秒)が多くを占める{{sfn|流域政策局|2018|page=228}}。}}と名前を変えて[[大阪湾]]に流れ込み、滋賀県のみならず[[近畿地方|近畿]](大阪府、京都府、[[兵庫県]])1450万人の飲み水を供給{{sfn|朝日新聞|2018}}、また農業用水・工業用水としても利用される{{Sfn|環境政策課|2020|p=84}}。 |
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雨量が少なければ滋賀は水源確保のために湖水の放水を止めたいが、大阪・京都は水不足を解消するためにより多くの放水を望む。逆に雨量が多ければ洪水を避けるため滋賀は放水を望み、大阪・京都は川が増水し氾濫することを恐れて放水を望まない。このように「琵琶湖の水を流す、流さない」での問題は古くから上流・下流の両住民にとって重要であり、現代に至るまで論争が続いてきた{{ |
雨量が少なければ滋賀は水源確保のために湖水の放水を止めたいが、大阪・京都は水不足を解消するためにより多くの放水を望む。逆に雨量が多ければ洪水を避けるため滋賀は放水を望み、大阪・京都は川が増水し氾濫することを恐れて放水を望まない。このように「琵琶湖の水を流す、流さない」での問題は古くから上流・下流の両住民にとって重要であり、現代に至るまで論争が続いてきた{{sfn|ジモコロ|2017}}。 |
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=== 滋賀県・琵琶湖への意識 === |
=== 滋賀県・琵琶湖への意識 === |
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琵琶湖の位置する滋賀県は日本最大の湖として知名度の高い琵琶湖に比べて全国的に知名度が低く{{ |
琵琶湖の位置する滋賀県は日本最大の湖として知名度の高い琵琶湖に比べて全国的に知名度が低く{{sfn|ガジェット通信|2015}}{{sfn|サンケイビズ|2015}}、過去には 「[[近江国|近江]]県」「琵琶湖県」などに県名を変更する是非を問う世論調査を実施したこともあった{{sfn|産経WEST|2015}}。 |
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琵琶湖は近畿地方に住む人々にとって欠かせない水源であることから「近畿の水瓶」などと呼ばれることもある{{Sfn|堺市上下水道局|2011|p=6}}。しかし滋賀県側は、1995年は[[稲葉稔 (政治家)|稲葉稔]]知事が「水瓶」との表現に抗議する答弁をおこなうなど、琵琶湖を「水瓶」と呼ぶ表現を避けている{{ |
琵琶湖は近畿地方に住む人々にとって欠かせない水源であることから「近畿の水瓶」などと呼ばれることもある{{Sfn|堺市上下水道局|2011|p=6}}。しかし滋賀県側は、1995年は[[稲葉稔 (政治家)|稲葉稔]]知事が「水瓶」との表現に抗議する答弁をおこなうなど、琵琶湖を「水瓶」と呼ぶ表現を避けている{{sfn|産経WEST|2014}}。これは、滋賀県民にとって自県の象徴的存在である琵琶湖を、いわばたんなる貯水用ダムの一種として扱われては県民感情を大きく損なうとの理由によるものである<!-- 野田 2001 -->。滋賀県・京都府・大阪府の住民を対象にした1995年のアンケート調査によると、「琵琶湖が持つ価値」への回答として「水道用水」を選んだ人の割合は、滋賀県の58%に対して2府は72%と差が見られた{{Efn|滋賀県民には「漁業の場」「農業用水」を1位とする人も多く、より生活や生業に密着したものとして琵琶湖をとらえている{{Sfn|野田|2001}}。}}<!-- 野田 2001 -->。さらに「琵琶湖の将来に大切なもの」への回答としては、2府においては「水資源の量の確保」(49%)が「水質の保全」(26%)を上回ったのに対し、滋賀県においては「水資源の量の確保」(32%)は「水質の保全」(42%)を下回っており、意識のズレが見られる{{Sfn|野田|2001|pp=232-234}}。{{Harvnb|野田|2001|p=232}}はこの調査を参照し、滋賀県以外の住民は渇水時などには水源として琵琶湖を意識するが、普段はその存在を別段気に留めていないのだと結論づけている。 |
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=== 瀬田川治水の歴史 === |
=== 瀬田川治水の歴史 === |
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{{Main|淀川#淀川開発史}} |
{{Main|淀川#淀川開発史}} |
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「琵琶湖の水」にまつわる上流・下流の対立は古くからある。[[奈良時代]]の僧侶[[行基]]は、治水のために瀬田川沿いにある小さな山を掘削することを試みたが、下流が氾濫することを恐れて計画を断念している |
「琵琶湖の水」にまつわる上流・下流の対立は古くからある。[[奈良時代]]の僧侶[[行基]]は、治水のために瀬田川沿いにある小さな山を掘削することを試みたが、下流が氾濫することを恐れて計画を断念している{{sfn|文化財保護協会|2017}}{{sfn|アクア琵琶}}。江戸時代には、1699年(元禄12年)の「[[河村瑞賢]]による大普請」や1831年の大普請などの浚渫工事がおこなわれているが、大洪水を恐れる下流住民の反発もあり、江戸時代を通しての浚渫工事は、公儀による[[普請]]が2回、自普請(地元の村による工事)が3回の計5回に留まった<!--竹林 & 今井 1995, pp. 410-411-->。なお、1831年(天保2年)の大普請においては、[[高島郡]]深溝村の庄屋藤本太郎兵衛の主導で下流の約300村の同意を取り付けている{{sfn|竹林|今井|1995|pp=410-411}}。 |
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1890年(明治23年)には、同年に完成した瀬田川鉄橋の橋脚が水流を阻害していると考えた滋賀県内の有志により琵琶湖水利委員同盟が結成され、橋脚撤去の請願が退けられた後、瀬田川浚渫の請願をおこなうようになる{{sfn|竹林|今井|1995|p=412}}。これに対し、[[明治十八年の淀川洪水|1885年(明治18年)の淀川洪水]]で被害を受けていた下流[[摂津国|摂津]]・[[河内国|河内]]11郡の有志は淀川改修期成同盟を結成し反対した |
1890年(明治23年)には、同年に完成した瀬田川鉄橋の橋脚が水流を阻害していると考えた滋賀県内の有志により琵琶湖水利委員同盟が結成され、橋脚撤去の請願が退けられた後、瀬田川浚渫の請願をおこなうようになる{{sfn|竹林|今井|1995|p=412}}。これに対し、[[明治十八年の淀川洪水|1885年(明治18年)の淀川洪水]]で被害を受けていた下流[[摂津国|摂津]]・[[河内国|河内]]11郡の有志は淀川改修期成同盟を結成し反対した{{sfn|琵琶湖河川事務所|2014}}。1891年(明治24年)から翌年にかけ、滋賀県の[[大越亨]]知事が内務大臣に瀬田川浚渫を数度にわたって陳情し、1893年(明治26年)には部分的な浚渫が実施され{{efn|大越のこの功績を讃え、1905年(明治38年)、[[石山寺]]境内に記念碑が建立されている。}}、以降は複数の治水工事が行われている{{sfn|竹林|今井|1995|pp=412-415}}。 |
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なお、江戸時代の自普請での浚渫においては、洪水の被害を受けた農村が全額(年間収穫高の約6%)を負担したが、[[水資源機構|水資源開発公団]]の琵琶湖開発事業に組み入れられて以降の浚渫および洗堰改築事業においては、8割が下流の利水者の負担であり、国の負担も除くと滋賀県の負担は2.6%と少なくなっている{{sfn|竹林|今井|1995|p=415}}。 |
なお、江戸時代の自普請での浚渫においては、洪水の被害を受けた農村が全額(年間収穫高の約6%)を負担したが、[[水資源機構|水資源開発公団]]の琵琶湖開発事業に組み入れられて以降の浚渫および洗堰改築事業においては、8割が下流の利水者の負担であり、国の負担も除くと滋賀県の負担は2.6%と少なくなっている{{sfn|竹林|今井|1995|p=415}}。 |
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=== 琵琶湖の水資源利用 |
=== 琵琶湖の水資源利用 === |
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[[ファイル:疏水3178.JPG|thumb|250px|right|琵琶湖から流れる、瀬田川ともう一つの水流が琵琶湖疏水である。]] |
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[[ファイル:疏水3178.JPG|thumb|250px|right|琵琶湖から流れる、瀬田川ともう一つの水流が琵琶湖疏水である。]]大阪で淀川を水源とする本格給水が始まったのは[[1895年]](明治28年)、琵琶湖第二疏水を完成させ京都でも琵琶湖の湖水を生活用水の源とするようになったのは[[1912年]](明治45年)のことである{{Sfn|中川|2011a|p=190}}。琵琶湖疏水の建設は[[東京奠都|東京遷都]]によって衰退の危機にあった京都を再興することを目的とし、まずは疏水の水車動力によって工業を近代化し、さらに水運を確保する計画で京都府知事の[[北垣国道]]が先導した<ref>{{Cite web|title=京都市上下水道局:琵琶湖疏水のご紹介|url=https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000007153.html|website=[[京都市上下水道局]]|accessdate=2021-01-14}}</ref><ref>{{Cite web|title=水でつながる文化と地域|url=https://www.pref.shiga.lg.jp/biwakatsu/handbook/106541.html|website=滋賀県|accessdate=2021-01-17|language=ja|publisher=}}</ref>。第一疏水は第二疏水より古く1890年(明治23年)に完成している{{Sfn|大久保|1998|p=245}}。当時、京都では[[鴨川 (淀川水系)|鴨川]]に源流を持つ京都盆地の水系を[[賀茂別雷神社]](上賀茂神社)が支配し、[[京都御所|御所]]の水源も「御所御用水流通水掛リ之儀者賀茂別雷神社 旧一社ニテ支配被致候」とされていた<ref name=":18">{{Cite web|url=http://www.jsidre.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/04/suido_H30kikaku-2.pdf|title=琵琶湖疏水の開削と京都の近代化|accessdate=2021-01-17|format=PDF |author=小野芳朗|website=[[農業農村工学会]]}}</ref>。構造的に夏の渇水期になると上流小山郷の田畑の灌漑が優先されることになり、御所の水は枯渇する様であった。疏水によってに御所用水路の新たな付け替えもあり、御所の庭園と防火用桝への安定供給が図られるようになった<ref name=":18" />。 |
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{{main|琵琶湖#水利用}} |
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戦後の[[高度経済成長|高度経済成長期]]に際しては著しい産業発展により琵琶湖下流の淀川では安定した取水が必要になった{{Sfn|中川|2011a|p=191}}{{Sfn|大久保|1998|p=247}}。琵琶湖下流域における水資源の需要の急速な拡大に対応するために、[[1972年]](昭和47年)に琵琶湖総合開発特別措置法が制定。[[琵琶湖総合開発事業]]を策定した{{Sfn|大久保|1998|p=247}}。事業の策定にあたって上流への影響は避けられないことから、不利益を減らすために原案は滋賀県知事が作成し[[内閣総理大臣]]がこれを決定する形がとられた{{Sfn|大久保|1998|p=248}}。同事業によって水位低下補償事業が完了し、水位の管理について国(瀬田川洗堰管理者)と滋賀県、下流府県が初めて合意した{{Sfn|中川|2011b|p=193}}。規則では、洪水時はあらかじめ水位をマイナス20センチメートルあるいはマイナス30センチメートルに下げて対処、非洪水時は30センチメートルを上限になるべく水位を高く保ち渇水に備えることを基本とし{{Sfn|中川|2011b|p=193}}、下流域の渇水時には琵琶湖水位マイナス1.5メートルまで湖水を利用できることになっている{{Sfn|中川|2011a|p=191}}。また、増大する水の需要に[[1991年]](平成3年)度までは不安定な「暫定豊水水利権」(河川の流量が一定の流量を超える場合に限って取水できる[[水利権]])で対応してきたが、同年度末には水資源開発事業が概成し都市用水として最大毎秒40立方メートルの新規水利権が与えられた{{Sfn|三谷|1997|p=520}}{{Sfn|大阪市水道局|2015|p=96}}。水利権の拡大によって、例えば[[1994年]](平成6年)夏の全国的な渇水によって阪神地区が大きな影響を受けることはなかった{{Sfn|三谷|1997|p=520}}。下流域の水利権を拡大せざるを得なかった背景には、京阪地域が渇水時であっても比較的豊富な水量を保つ水源として淀川、さらにその水源である琵琶湖への依存を強めたことがある{{Sfn|中川|2011a|p=191}}。 |
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大阪では1895年(明治28年)ごろより淀川を水源とする本格給水が始まり、京都では1890年(明治23年)完成の[[琵琶湖疏水]]と1912年(明治45年)完成の琵琶湖第二疎水を通じて琵琶湖の湖水を生活用水の源とするようになった{{Sfn|中川|2011|p=190}}{{Sfn|大久保|1998|p=245}}。その後、[[高度経済成長|戦後の著しい産業発展]]により琵琶湖下流域における水資源の需要が急速に拡大したため、1972年(昭和47年)には琵琶湖総合開発特別措置法が制定され{{Sfn|中川|2011|p=191}}{{Sfn|大久保|1998|p=247}}。これにともなう[[琵琶湖総合開発事業]]の策定にあたっては、上流への影響が避けられないことから、不利益を減らすために原案は滋賀県知事が作成し[[内閣総理大臣]]がこれを決定する形がとられた{{Sfn|大久保|1998|p=248}}。同事業によって水位低下補償事業が完了し、水位の管理について国(瀬田川洗堰管理者)と滋賀県、下流府県が初めて合意した{{Sfn|中川|2011|p=193}}。また、増大する水の需要に1991年(平成3年)度までは不安定な「暫定豊水水利権」(河川の流量が一定の流量を超える場合に限って取水できる[[水利権]])で対応してきたが、同年度末には水資源開発事業が概成し都市用水として新規水利権が与えられた{{Sfn|三谷|1997|p=520}}{{Sfn|大阪市水道局|2015|p=96}}。下流域の水利権を拡大せざるを得なかった背景には、京阪地域が渇水時であっても比較的豊富な水量を保つ水源として淀川、さらにその水源である琵琶湖への依存を強めたことがある{{Sfn|中川|2011|p=191}}。 |
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琵琶湖総合開発事業は京阪地区の拡大する水需要に応える水資源を開発することが主な目的であったが、琵琶湖を文化面を含み多方面で活用し親しんでいる滋賀県民の生活に直接的な影響が及ぶことは避けられず{{efn|滋賀県にとって琵琶湖はただの水資源、「水瓶」としての役割だけではなく、水産業をはじめとする産業や食文化、崇拝対象としての宗教文化的な側面などで県民の生活に密接に関わっている<ref name=shigapref_20201021>{{Cite web|title=びわ湖なう~指標で見るびわ湖と暮らしの過去・現在~|url=https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/biwako/13090.html|website=滋賀県|accessdate=2021-01-16|language=ja|date=2020年10月21日}}</ref><ref>{{Cite web|title=水と祈りの文化|url=https://ja.biwako-visitors.jp/japan-heritage/pray/|publisher=びわこビジターズビューロー|website=滋賀県観光情報|work=日本遺産 滋賀 {{!}} 琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺産|accessdate=2021-01-16}}</ref>。}}、上流と下流の利権をいかに調整するかが事業の肝となった{{Sfn|大久保|1998|p=|pp=247-248}}。上流の不利益を解消するために、下流の利水公共団体は琵琶湖とその周辺の上流域の福祉増進に利するために下流負担金602億円を負担することになった{{Sfn|大久保|1998|p=248}}{{Sfn|大阪市水道局|2015|p=96}}<ref>{{Cite web|title=琵琶湖総合開発計画(平成9年3月終結)|url=https://www.mlit.go.jp/crd/daisei/biwako_hozen/biwasou.html|website=国土交通省|accessdate=2021-01-16|publisher=|date=1997-03}}</ref>。 |
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琵琶湖総合開発事業は京阪地区の拡大する水需要に応える水資源を開発することが主な目的であったが、琵琶湖を文化面を含み多方面で活用し親しんでいる滋賀県民の生活に直接的な影響が及ぶことは避けられず、上流と下流の利権をいかに調整するかが事業の肝となった{{Sfn|大久保|1998|pp=247-248}}。上流の不利益を解消するために、下流の利水公共団体は琵琶湖とその周辺の上流域の福祉増進に利するために下流負担金602億円を負担することになった{{Sfn|大久保|1998|p=248}}{{Sfn|大阪市水道局|2015|p=96}}{{sfn|国土交通省|1997}}。水源の99パーセント(2019年ごろ){{sfn|京都市上下水道局|2019}}を琵琶湖に頼る[[京都市]]は、1914年(大正3年)以来京都市民の感謝の意をとして滋賀県に毎年感謝金(琵琶湖疏水感謝金)を支払っている{{sfn|LIFULL|2016}}{{sfn|門川|2015}}。 |
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また、琵琶湖疏水を介して毎秒24立方メートル(2017年時点)<ref>{{Cite web|author=|website=京都市上下水道局|date=2019年9月27日|url=https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000008776.html|title=京都市水道施設の現状|accessdate=2021-01-22 }}</ref>を取水し、水源の99パーセント(2019年ごろ)<ref>{{Cite web|author=|website=京都市上下水道局|date=2019年9月27日|url=https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000006815.html|title=水道なんでもQ&A|accessdate=2021-01-22|publisher=}}</ref>をこれに頼る[[京都市]]は、[[1914年]](大正3年)以来京都市民の感謝の意をとして滋賀県に毎年感謝金(琵琶湖疏水感謝金)を支払っている<ref>{{Cite web|title=関西の水道状況 〜京都、神戸の水道水はやはり琵琶湖から?|url=https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00534/|website=[[LIFULL]] HOME'S PRESS|accessdate=2021-01-17|language=ja|publisher=|author=上江洲規子|date=2016年8月14日}}</ref><ref name="門川2015">{{Cite web|title=琵琶湖と滋賀県の皆さん・先人の偉大な事業に感謝! 琵琶湖疏水契約締結式|url=http://kyoto-daisakusen.jp/2015/03/30/%E7%90%B5%E7%90%B6%E6%B9%96%E3%81%A8%E6%BB%8B%E8%B3%80%E7%9C%8C%E3%81%AE%E7%9A%86%E3%81%95%E3%82%93%E3%83%BB%E5%85%88%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%81%89%E5%A4%A7%E3%81%AA%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%AB%E6%84%9F/|accessdate=2021-01-17|publisher=|website=門川大作京都市長OFFICIALサイト|date=2015/03/30|author=[[門川大作]]}}</ref>。契約は10年ごとに更新され、[[2015年]]([[平成]]27年)の更新では三日月知事と水田雅博京都市公営企業管理者上下水道局長とで年間2億3千万円の契約を締結した(1千万円増額)<ref name="門川2015" /><ref name=":17">{{Cite web|url=https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000169/169291/dai4kaigiziroku.pdf|title=平成26年度 第4回京都市上下水道事業経営審議委員会議事録|accessdate=2021-01-17|publisher=|website=京都市上下水道局}}</ref>。財源は京都市民の水道料金で、滋賀県は感謝金を水源保全に充てている<ref name=":17" /><ref>{{Cite web|title=観光船運航、採算が課題 琵琶湖疏水、観光潤す(1)|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASJB06H4J_W5A100C1960E00|website=[[日本経済新聞]]|date=2015-01-14|accessdate=2021-01-17|language=ja|publisher=}}</ref>。 |
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== 現実性 == |
== 現実性 == |
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[[ファイル:Seta river dam Shiga,JAPAN.jpg|thumb|250px|right|下流側から見た瀬田川洗堰。「琵琶湖の水止めたる」ためには洗堰を封じる必要がある。]]琵琶湖は河川法上は[[一級河川]]であり、[[国土交通省]]が直接管理することになっている。琵琶湖の場合は[[国土交通大臣]]から委託を受けた滋賀県知事が管理を担う |
[[ファイル:Seta river dam Shiga,JAPAN.jpg|thumb|250px|right|下流側から見た瀬田川洗堰。「琵琶湖の水止めたる」ためには洗堰を封じる必要がある。]]琵琶湖は河川法上は[[一級河川]]であり、[[国土交通省]]が直接管理することになっている。琵琶湖の場合は[[国土交通大臣]]から委託を受けた滋賀県知事が管理を担う{{sfn|琵琶湖開発総合管理所}}。しかしながら、琵琶湖の湖水の出口は滋賀県の管轄下にはなく、滋賀県が独断で「水を止める」ことはできない{{sfn|朝日新聞|2018}}{{sfn|ジモコロ|2017}}。湖水の出口は瀬田川と[[琵琶湖疏水]]の二つだが、瀬田川の水量を調整する[[瀬田川洗堰]]は国([[国土交通省]]近畿[[地方整備局]]琵琶湖河川事務所)が、疏水は[[京都市]]が管理している{{sfn|朝日新聞|2018}}。 |
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琵琶湖の水を止めることの現実性について、洗堰を長期間閉じて琵琶湖疏水に流れる水を絞れば可能ではある{{ |
琵琶湖の水を止めることの現実性について、洗堰を長期間閉じて琵琶湖疏水に流れる水を絞れば可能ではある{{sfn|日経新聞|2017}}。ただし、実際に止めた場合、淀川の水量が3分の1まで減って下流域の水供給に多大なる影響をもたらす一方、琵琶湖周辺はたちまち水没して「明治29年琵琶湖洪水水害」{{sfn|滋賀県}}に匹敵するような深刻な被害を被ることになる{{sfn|日経新聞|2017}}{{sfn|ジモコロ|2017}}{{efn|「明治29年琵琶湖洪水水害」([[1896年]])では豪雨によって琵琶湖の水位は通常時よりも3.76[[メートル]]上昇、湖畔の[[彦根市]]などは200日以上にわたって浸水し、県の記録によれば床上・床下浸水は5万8千棟を超え{{sfn|日経新聞|2017}}、死亡・行方不明者は34人(死者29、行方不明5)負傷者は79人と記録的な災害となった{{sfn|滋賀県}}。}}。よって、国の方針によれば全閉操作は原則行わないことになっている{{sfn|毎日新聞|2017}}。 |
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洗堰の全閉操作は滋賀県にとってはむしろ屈辱の歴史であり、記録的な大雨になった場合に原則を破ってでも全閉操作を行うのは、上流の滋賀県を犠牲にしてでも住宅などが密集する[[宇治市|宇治]]などの下流を守るためである |
洗堰の全閉操作は滋賀県にとってはむしろ屈辱の歴史であり、記録的な大雨になった場合に原則を破ってでも全閉操作を行うのは、上流の滋賀県を犠牲にしてでも住宅などが密集する[[宇治市|宇治]]などの下流を守るためである{{sfn|滋賀報知新聞|2017}}。琵琶湖河川事務所によると、洗堰は[[1961年]](昭和36年)以降5回全閉したことがある。[[2013年]](平成25年)9月には[[平成25年台風第18号|台風18号]]に伴う豪雨で琵琶湖下流域の洪水を防ぐために41年ぶりに洗堰が全閉した{{sfn|日経新聞|2017}}。その4年後の[[2017年]](平成29年)10月に発生した[[平成29年台風第21号|台風21号]]が滋賀県を襲った際も国は全閉操作を実施し、県内の自治体首長や県議らが反発した{{sfn|滋賀報知新聞|2017}}{{sfn|毎日新聞|2017}}。[[三日月大造]]知事は堰の全閉について遺憾の意を国に伝え、12月7日の県議会本会議で改めて「誠に残念だ」と述べている{{sfn|毎日新聞|2017}}。この台風で琵琶湖沿岸部等において内水被害などが発生した{{sfn|水管理・国土保全局}}。 |
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== タイトルや歌詞における使用 == |
== タイトルや歌詞における使用 == |
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* 滋賀県出身のロック・バンド[[W-D4]]は2012年・2013年・2015年・2017年に、「滋賀県なめたら水止めるツアー」と題するファン・ツアーを実施している<ref>{{Cite web|author=|website=ダブディフォー OFFICIAL WEB SITE|date=|url=http://w-d4.jp/profile.html|title=PROFILE|accessdate=2021-01-22|publisher=}}</ref><ref name=":0" />。 |
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* 滋賀県出身のロック・バンド[[W-D4]]は2012年・2013年・2015年・2017年に、「滋賀県なめたら水止めるツアー」と題するファン・ツアーを実施している{{sfn|W-D4, profile}}{{Sfn|W-D4|c. 2017}}。 |
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*滋賀県[[甲賀市]]出身の漫画家・[[さかなこうじ]]の作品『三成さんは京都を許さない -琵琶湖ノ水ヲ止メヨ-』(連載開始は2016年10月)<ref>{{cite web|url=http://natalie.mu/comic/news/205505|title=滋賀繁栄のため、武将・石田三成が猛る!さかなこうじ新作はご当地ギャグ|publisher=コミック[[ナタリー]]|date=2016-10-14|accessdate=2021-01-19|pub=ナターシャ}}</ref>では、戦国時代からタイムスリップした[[石田三成]]が京都にライバル心を熱く燃やす様をコミカルに描き、「琵琶湖の水を止める」ジョークも登場している<ref>{{Cite web|title=地味扱いな滋賀の逆襲 「三成さんは京都を許さない」(さかなこうじ)|url=https://www.asahi.com/articles/ASK4B63V4K4BPWPJ00G.html|website=朝日新聞デジタル|accessdate=2021-01-17|language=ja|publisher=|date=2017年4月14日|author=松尾慈子}}</ref>。 |
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*滋賀県[[甲賀市]]出身の漫画家・[[さかなこうじ]]の作品『三成さんは京都を許さない -琵琶湖ノ水ヲ止メヨ-』(連載開始は2016年10月){{sfn|ナタリー|2016}}では、戦国時代からタイムスリップした[[石田三成]]が京都にライバル心を熱く燃やす様をコミカルに描き、「琵琶湖の水を止める」ジョークも登場している{{sfn|朝日新聞|2017}}。 |
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* 滋賀県出身のR&K(リズム&歌謡)バンド東狂アルゴリズムは「琵琶湖の水止めたろか音頭」という曲を2018年に発表している<ref>{{Cite web|author=|website=2YOU MAGAZINE|date=2018.5.4|url=http://2youmag.com/2018/05/%E6%9D%B1%E7%8B%82%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B4%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0/|title=東狂アルゴリズム|accessdate=2021-01-22|publisher=}}</ref><ref>{{Cite web|website=FRONT OF UNION|url=https://frontofunion.com/disc/foum-022/|title=東狂アルゴリズム|VISION|accessdate=2021-01-22}}</ref><ref>{{Cite web|website=東狂アルゴリズム|url=https://tokyoalgorithm.jimdofree.com/we-are/|title=WE ARE|accessdate=2021-01-22}}</ref>。 |
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* 滋賀県出身のR&K(リズム&歌謡)バンド東狂アルゴリズムは「琵琶湖の水止めたろか音頭」という曲を2018年に発表している{{sfn|2YOU MAGAZINE|2018}}{{sfn|FRONT OF UNION}}{{sfn|東狂アルゴリズム}}。 |
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* [[ベースボール・チャレンジ・リーグ]](プロ野球独立リーグ)所属の[[オセアン滋賀ブラックス]]応援団が2018年より使用している応援歌「南郷の洗堰」においてこのフレーズが用いられている<ref>{{Cite web|author=|website=Sportie|date=2018.5.2|url=https://sportie.com/2018/05/ouendan|title=独立リーグを盛り上げる応援団|accessdate=2021-01-20|publisher=スポーツITソリューション}}</ref><ref>{{YouTube time|AvZ3TB_uBM0|2020年3月27日放送分 SOSE編集部|13m12s}}、[[びわ湖放送]]公式チャンネル。</ref>{{efn|当該チームは琵琶湖の水を供給されている他府県のプロ野球チーム(他リーグ所属)や[[社会人野球]]チームとの試合を2018年以降に行ったことがある<ref>{{Cite web |author= |website=[[オリックス・バファローズ]] |date=2019/09/16 |url=https://www.buffaloes.co.jp/farm/game/19/0916.html |title=ファーム試合結果 |accessdate=2021-01-22}}</ref><ref>{{Cite web |author= |website=[[NOMOベースボールクラブ]] |date=2019年03月29日 |url=https://nomo-baseball-club.com/game.php?g_id=g00405 |title=スコアボード {{!}} オープン戦 滋賀ユナイテッドベースボールクラブ |accessdate=2021-01-22}}</ref>。}}。 |
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* [[ベースボール・チャレンジ・リーグ]](プロ野球独立リーグ)所属の[[オセアン滋賀ブラックス]]応援団が2018年より使用している応援歌「南郷の洗堰」においてこのフレーズが用いられている{{sfn|sportie|2018}}{{sfn|YouTube|びわ湖放送|2020}}{{efn|当該チームは琵琶湖の水を供給されている他府県のプロ野球チーム(他リーグ所属)や[[社会人野球]]チームとの試合を2018年以降に行ったことがある{{sfn|バファローズ|2019}}{{sfn|NOMO|2019}}。}}。 |
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== メディアなどでの言及 == |
== メディアなどでの言及 == |
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「琵琶湖の水」にまつわる滋賀県民と大阪、京都府民の話題はテレビなどのメディアでも取り上げられ |
「琵琶湖の水」にまつわる滋賀県民と大阪、京都府民の話題はテレビなどのメディアでも取り上げられ{{sfn|PR TIMES|2016}}{{sfn|読売テレビ|2021}}、[[日本テレビ系列|日本テレビ系]]の[[バラエティ番組|バラエティー番組]]『[[月曜から夜ふかし]]』ではこの話題をたびたび取り上げている。[[2015年]]6月に放送され話題を呼んだ「滋賀県問題を調査した件」では、知名度の低さを引き合いに小バカにしてくる京都府民に滋賀県民は「琵琶湖の水止めたろか」と反撃、しかし滋賀の良いところは?という質問には「京都に近い」と答えてMCの[[マツコ・デラックス]]を笑わせた{{sfn|ポストセブン|2015b}}。「京都VS滋賀 琵琶湖の水問題」というテーマの放送では琵琶湖について大阪府民から「夏とか汚くなるやん」「(琵琶湖の水は)昔はおいしかったけど今は沸かして飲んでる」といった声が挙がり、滋賀県民が「じゃあ水飲むな」「水止めます」と反論する様子が放送された{{sfn|ポストセブン|2015a}}。[[2019年]]の放送では「日本の健康問題を取り上げた件」で男性平均寿命の都道府県ランキングで滋賀県が1位になったことを紹介。この件を知らず番組スタッフからランキングを知らされた滋賀県民からの喜びの声を紹介した。番組ではこのランキングを受けて京都の新聞が「滋賀県を見習うべき」と記事にしたときの京都府民の反応も紹介したが、そのあまりにもな口の悪さにマツコ・デラックスは「もう絶対京都住みたくないわ」とコメントした。番組では続けて「京都府がウンコの固さ都道府県ナンバーワン」というデータを紹介。このデータをめぐって京都、滋賀の両府県民の「滋賀県民が琵琶湖の水に何か仕込んだんじゃないか」「滋賀県民が琵琶湖と県境に何か仕込んだ」、「京都府民は頭も固いしウンコも硬い」「京都の人は腹黒いからそれが便にでてる」というコメントが紹介され、京都府民と滋賀県民の仲の悪さが印象付けられた{{sfn|しらべぇ|2019}}。 |
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[[2021年]]放送の日本テレビ系のバラエティー番組『[[秘密のケンミンSHOW]]極SP』で「琵琶湖の水止めたろか」というフレーズが取り上げられた際、滋賀県民の「結構言います」「滋賀のプライド」などのコメントに、大阪府民や京都府民は「止められるもんなら、止めてみい」「水溢れるで」などと言って「滋賀の切り札」を全く相手にしない様子が伝えられた |
[[2021年]]放送の日本テレビ系のバラエティー番組『[[秘密のケンミンSHOW]]極SP』で「琵琶湖の水止めたろか」というフレーズが取り上げられた際、滋賀県民の「結構言います」「滋賀のプライド」などのコメントに、大阪府民や京都府民は「止められるもんなら、止めてみい」「水溢れるで」などと言って「滋賀の切り札」を全く相手にしない様子が伝えられた{{sfn|読売テレビ|2021}}{{sfn|デイリースポーツ|2021a}}。番組では水を止めるためには封じる必要がある瀬田川洗堰を訪ね、担当者が「国が管理してるので、滋賀県は水を止められません」と証言する様子を、また琵琶湖疏水も管理者は京都市であることを示して滋賀に水を止める権限はないと結論づけた<!--{{sfn|デイリースポーツ|2021}}-->。スタジオで滋賀県代表として出演した[[ダイアン]]や[[髙橋ひかる]]は落胆しダイアンの津田篤宏は「これ放送してほしくない」と、ユースケは滋賀に権利がないことに不平をこぼした<!--{{sfn|デイリースポーツ|2021}}-->。番組は大きな反響を呼び、インターネットでは琵琶湖に関するコメントが連日投稿された{{sfn|デイリースポーツ|2021a}}。番組の放送を受けて、滋賀県出身で滋賀ふるさと観光大使も務めるミュージシャンの[[西川貴教]]は[[Twitter]]で「我が王国{{efn|西川は滋賀県で幅広い年代から圧倒的な知名度を持ち、滋賀県は「西川貴教王国」と呼ばれることがある{{sfn|デイリースポーツ|2019}}。}}の皆さんは『びわ湖の水止めたろか!』などと決して言いません!」と反応し、滋賀県民からは共感の声が寄せられた{{sfn|fumumu|2021}}{{sfn|デイリースポーツ|2021b}}。なお、西川は『月曜から夜ふかし』で滋賀県における知名度の高さを紹介された際、Twitterでピアニストの[[清塚信也]]に「ついに(琵琶湖の)水を止められるようになったのですね!」と返信されたのに「ま、やってやれないことはないレベルには来てると思います(笑)」と返している{{sfn|デイリースポーツ|2019}}。 |
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== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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<ref name="Asahi20180428">{{Cite news |title= (時紀行:時の余話)「琵琶湖の水、止めたろか」 |url= https://www.asahi.com/articles/ASL4R00MKL4QPTJB009.html |accessdate= 2021-01-14 |newspaper= 朝日新聞デジタル |date= 2018-04-28 |author= 新井正之}}</ref> |
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<ref name="ガジェット通信">{{Cite web|title=「琵琶湖の水止めたろか!」滋賀県民が言い放つ捨て台詞 本当に京都・大阪は困るのか? - ガジェット通信 GetNews|url=https://getnews.jp/archives/1197012|accessdate=2021-01-14|author=yasuu_kusayan|date=2015/10/17}}</ref> |
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<ref name="小林2014">{{Cite web|title=【デスクから】「琵琶湖は、近畿の水がめ」はもうやめよう|url=https://www.sankei.com/west/news/141116/wst1411160010-n1.html|website=産経WEST|accessdate=2021-01-21|language=ja|first=宏之|last=小林|date=2014.11.16}}</ref> |
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<ref name="産経2014">{{Cite web|title=近江県?琵琶湖県? 滋賀県が県名変更の是非問う世論調査実施へ|url=https://www.sankei.com/west/news/150601/wst1506010066-n1.html|website=産経WEST|accessdate=2021-01-14|language=ja|date=2015.6.1}}</ref> |
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<ref name="サンケイビズ2015">{{Cite web|title=大マジメに“県名変更”考える滋賀の悩み 「近江県」「琵琶湖県」など議論|url=https://www.sankeibiz.jp/compliance/news/150412/cpd1504120703001-n1.htm|website=SankeiBiz(サンケイビズ)|date=2015-04-12|accessdate=2021-01-14|language=ja-JP}}</ref> |
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<ref name="ジモコロ2017">{{Cite web |author= |website= |date= |url=https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/entry/galaxy021 |title=滋賀県民の言う「琵琶湖の水を止めるで!」……止めるとむしろ大変なことに|website=ジモコロ|publisher=[[アイデム]]|date=2017.06.28 |
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|accessdate=2021-01-22|author=ギャラクシー}}</ref> |
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<ref name="総務省">{{Cite web |title= 滋賀県のええとこ |url= https://www.soumu.go.jp/main_content/000517321.pdf |accessdate= 2021-01-15 |publisher= [[総務省]]}}</ref> |
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<ref name="日経2017">{{Cite news |title= もっと関西 琵琶湖 「水止めたろか」実際どうなる…(とことんサーチ) |url= https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21537210W7A920C1AA2P00 |accessdate= 2021-01-14 |newspaper= [[日本経済新聞]] |date= 2017-09-26 |author= 橋立敬生}}</ref> |
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<ref name="琵琶故知新">{{Cite web|title=日本一の面積、貯水量を誇る琵琶湖はどれだけ大きいのか。いろいろなものと比較してみた|url=https://www.biwako.info/topics/303/|website=琵琶故知新|accessdate=2021-01-15|date=2020.01.16}}</ref> |
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}} |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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<!--以下の「:」のみの行を削除しないでください([[Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き]])--> |
<!--以下の「:」のみの行を削除しないでください([[Help:箇条書き#定義の箇条書き中の箇条書き]])--> |
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;書籍 |
;書籍 |
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:* {{Cite book|和書|title=知ってますかこの湖を |
:* {{Cite book|和書|title=知ってますかこの湖を ― 琵琶湖を語る50章|date=2001年11月10日|year=2001|publisher=[[サンライズ出版]]|editor=琵琶湖百科編集委員会|isbn=4-88325-092-X|pages=232-233|chapter=琵琶湖は『みずがめ』か? ― 下流からのまなざし|last=野田|first=浩資|ref=harv}} |
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:*{{Wikicite|ref={{SfnRef|中川|2011}}|reference=中川, 元男「琵琶湖の水利用」「琵琶湖の水位管理」『生命の湖 琵琶湖をさぐる』[[滋賀県立琵琶湖博物館]]、[[文一総合出版]]、2011年4月5日、{{ISBN2|978-4829911914}}、190-193頁。}} |
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:** [[竹林征三|竹林, 征三]]「琵琶湖・洪水との闘い」、195-200頁。 |
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:* {{Cite book|和書|title=琵琶湖ハンドブック|date=2018-3|year=2018|publisher=滋賀県|author=流域政策局|chapter=琵琶湖と淀川流域|edition=三訂版|url=https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/biwako/11346.html|accessdate=2021年1月21日|pages=228-229|ref=harv|ncid=BB25911621}} |
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:** {{wikicite|ref={{SfnRef|野田|2001}}|reference=野田, 浩資「琵琶湖は『みずがめ』か? - 下流からのまなざし」232-233頁。}} |
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:* {{Cite book|和書|isbn=978-4829911914|title=生命の湖 琵琶湖をさぐる|publisher=[[文一総合出版]]|date=2011-04-05|ref=harv||year=2011|editor=[[滋賀県立琵琶湖博物館]]}} |
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:**{{Wikicite|ref={{SfnRef|中川|2011a}}|reference=中川, 元男(2011a)「琵琶湖の水利用」190-191頁。}} |
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:**{{Wikicite|ref={{SfnRef|中川|2011b}}|reference=中川, 元男(2011b)「琵琶湖の水位管理」192-193頁。}} |
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:* {{Cite book|和書|title=琵琶湖ハンドブック|date=2018-3|year=2018|publisher=滋賀県|author=流域政策局|chapter=琵琶湖と淀川流域|edition=三訂版|url=https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/biwako/11346.html|accessdate=2021年1月21日|pages=228-229|ref=harv}} |
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;論文 |
;論文 |
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:*{{Cite journal|和書|last=竹林|first=征三|last2=今井|first2=範雄|year=1995|date=1995 |
:*{{Cite journal|和書|last=竹林|first=征三|last2=今井|first2=範雄|year=1995|date=1995/06/09|title=琵琶湖の歴史洪水と瀬田川浚渫についての土木史的研究|journal=土木史研究|volume=15|page=|pages=409-423|publisher=[[土木学会]]|ref=harv|DOI=10.2208/journalhs1990.15.409|ISSN=1884-8141}} |
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:*{{Cite journal|和書|last=三谷|first=健太郎|year=1997|date=1997 |
:*{{Cite journal|和書|last=三谷|first=健太郎|year=1997|date=1997/08/30|title=琵琶湖総合開発事業の概要と成果|url=|journal=環境技術|volume=49|issue=6|page=|pages=519-523|publisher=環境技術学会|ref=harv|DOI=10.5956/jriet.26.519|ISSN=1882-8590}} |
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;行政資料など |
;行政資料など |
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:*{{Cite book|和書|title=水環境保全技術研修マニュアル: 総論|date=1998年3月|year=1998|publisher=海外環境協力センター|chapter=第18章 琵琶湖|chapterurl=https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/04-wpctmj1/04-wpctmj1-18.pdf|last=大久保|first=卓也|pages=245-270|url=https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/04-wpctmj1/contents.html|ref=harv}} |
:*{{Cite book|和書|title=水環境保全技術研修マニュアル: 総論|date=1998年3月|year=1998|publisher=海外環境協力センター|chapter=第18章 琵琶湖|chapterurl=https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/04-wpctmj1/04-wpctmj1-18.pdf|last=大久保|first=卓也|pages=245-270|url=https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/04-wpctmj1/contents.html|ref=harv|id={{全国書誌番号|99039505}}}} |
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:*{{Cite book|和書|title=堺市 水道百年史|year=2011|publisher=堺市上下水道局|pages=6-10|month=3|url=https://water.city.sakai.lg.jp/about/rekishi/rekishi/sakai100/1421995310577.html|chapter=第1編 水道事業の現状 - 第2章 堺市の水源|chapterurl=https://water.city.sakai.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/honsatsu01-2.pdf|ref= |
:*{{Cite book|和書|title=堺市 水道百年史|year=2011|publisher=堺市上下水道局|pages=6-10|month=3|url=https://water.city.sakai.lg.jp/about/rekishi/rekishi/sakai100/1421995310577.html|chapter=第1編 水道事業の現状 - 第2章 堺市の水源|chapterurl=https://water.city.sakai.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/3/honsatsu01-2.pdf|ref={{sfnref|堺市上下水道局|2011}}|ncid=BB06975729}} |
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:*{{Cite book|和書|title=平成25年度 |
:*{{Cite book|和書|title=平成25年度 水道局事業年報|date=2015年3月|year=2015|publisher=[[大阪市水道局]]|chapter=第4編 水資源 – 第2章 琵琶湖総合開発事業|url=https://www.city.osaka.lg.jp/suido/page/0000302882.html|chapterurl=https://www.city.osaka.lg.jp/suido/cmsfiles/contents/0000302/302882/sjnh25_0402000.pdf|pages=96-97|ref={{sfnref|大阪市水道局|2015}}}} |
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:*{{Cite book|和書|title=滋賀の環境2019(令和元年環境白書)|year=2020|publisher=滋賀県琵琶湖環境部環境政策課|month=3|ref= |
:*{{Cite book|和書|title=滋賀の環境2019(令和元年環境白書)|year=2020|publisher=滋賀県琵琶湖環境部環境政策課|pages=|month=3|ref={{sfnref|環境政策課|2020}}|url=https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kankyoshizen/kankyou/310448.html|chapter=巻末資料2 滋賀県・琵琶湖の特徴|chapterurl=https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5162104.pdf}} |
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;行政機関などによるウェブ・ページ |
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:*{{Cite web|title=琵琶湖総合開発計画(平成9年3月終結)|url=https://www.mlit.go.jp/crd/daisei/biwako_hozen/biwasou.html|website=国土交通省|accessdate=2021-01-16|publisher=|date=1997-03|ref={{sfnref|国土交通省|1997}}}} |
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:*{{Cite web|url=https://www-1.kkr.mlit.go.jp/biwako/pdf/20140214araikurou.pdf|title=瀬田川洗堰操作規則制定までの道のり|accessdate=2021-01-16|author=国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所|date=2014-01|website=国土交通省[[近畿地方整備局]]|ref={{sfnref|琵琶湖河川事務所|2014}}}} |
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:*{{Cite web|website=京都市上下水道局|date=2019年9月27日|url=https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000006815.html|title=水道なんでもQ&A|accessdate=2021-01-22|ref={{sfnref|京都市上下水道局|2019}}}} |
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:*{{Cite web|title=日本の川 - 近畿 - 瀬田川 - 国土交通省水管理・国土保全局|url=https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/nihon_kawa/0608_setagawa/0608_setagawa_02.html|website=国土交通省|accessdate=2021-01-16|ref={{sfnref|水管理・国土保全局}}}} |
|||
:*{{Cite web|title=明治29年琵琶湖洪水水害概要|url=https://www.pref.shiga.lg.jp/suigaijyouhou/gaiyou/105764.html|website=滋賀県ホームページ|accessdate=2021-01-15|ref={{sfnref|滋賀県}}}} |
|||
:*{{Cite web |title= 滋賀県のええとこ |url= https://www.soumu.go.jp/main_content/000517321.pdf |accessdate= 2021-01-15 |publisher= [[総務省]]|ref={{sfnref|総務省}}}} |
|||
:*{{Cite web|title=治水の歴史|url=https://www-1.kkr.mlit.go.jp/biwako/aquabiwa/aqua/emb-history.html|website=水のめぐみ館「アクア琵琶」|accessdate=2021-01-16|publisher=国土交通省琵琶湖河川事務所|ref={{sfnref|アクア琵琶}}}} |
|||
:*{{Cite web|title=管理所の仕事 管理業務の目的と内容|url=https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/works/works_01.html|website=独立行政法人[[水資源機構]] 琵琶湖開発総合管理所|accessdate=2021-01-14|ref={{sfnref|琵琶湖開発総合管理所}}}} |
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;非営利団体によるウェブ・ページ |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
2021年2月11日 (木) 19:37時点における版
琵琶湖の水止めたろか(びわこのみずとめたろか)は、滋賀県民が用いる決まり文句・ジョーク・捨て台詞である[1][2][3]。歴史的に琵琶湖や淀川水系の治水・水利を巡る対立相手であった京都・大阪府民から馬鹿にされた際、対抗心を表すために用いる[2][4][3]。
背景
滋賀県の琵琶湖は「日本最大の湖」として知られ[5][6]、面積(約670平方キロメートル)・貯水量(約275億立方メートル)共に日本最大である[1][7]。琵琶湖の水は瀬田川、宇治川、淀川[注釈 1]と名前を変えて大阪湾に流れ込み、滋賀県のみならず近畿(大阪府、京都府、兵庫県)1450万人の飲み水を供給[1]、また農業用水・工業用水としても利用される[9]。
雨量が少なければ滋賀は水源確保のために湖水の放水を止めたいが、大阪・京都は水不足を解消するためにより多くの放水を望む。逆に雨量が多ければ洪水を避けるため滋賀は放水を望み、大阪・京都は川が増水し氾濫することを恐れて放水を望まない。このように「琵琶湖の水を流す、流さない」での問題は古くから上流・下流の両住民にとって重要であり、現代に至るまで論争が続いてきた[10]。
滋賀県・琵琶湖への意識
琵琶湖の位置する滋賀県は日本最大の湖として知名度の高い琵琶湖に比べて全国的に知名度が低く[4][11]、過去には 「近江県」「琵琶湖県」などに県名を変更する是非を問う世論調査を実施したこともあった[12]。
琵琶湖は近畿地方に住む人々にとって欠かせない水源であることから「近畿の水瓶」などと呼ばれることもある[13]。しかし滋賀県側は、1995年は稲葉稔知事が「水瓶」との表現に抗議する答弁をおこなうなど、琵琶湖を「水瓶」と呼ぶ表現を避けている[14]。これは、滋賀県民にとって自県の象徴的存在である琵琶湖を、いわばたんなる貯水用ダムの一種として扱われては県民感情を大きく損なうとの理由によるものである。滋賀県・京都府・大阪府の住民を対象にした1995年のアンケート調査によると、「琵琶湖が持つ価値」への回答として「水道用水」を選んだ人の割合は、滋賀県の58%に対して2府は72%と差が見られた[注釈 2]。さらに「琵琶湖の将来に大切なもの」への回答としては、2府においては「水資源の量の確保」(49%)が「水質の保全」(26%)を上回ったのに対し、滋賀県においては「水資源の量の確保」(32%)は「水質の保全」(42%)を下回っており、意識のズレが見られる[16]。野田 2001, p. 232はこの調査を参照し、滋賀県以外の住民は渇水時などには水源として琵琶湖を意識するが、普段はその存在を別段気に留めていないのだと結論づけている。
瀬田川治水の歴史
「琵琶湖の水」にまつわる上流・下流の対立は古くからある。奈良時代の僧侶行基は、治水のために瀬田川沿いにある小さな山を掘削することを試みたが、下流が氾濫することを恐れて計画を断念している[17][18]。江戸時代には、1699年(元禄12年)の「河村瑞賢による大普請」や1831年の大普請などの浚渫工事がおこなわれているが、大洪水を恐れる下流住民の反発もあり、江戸時代を通しての浚渫工事は、公儀による普請が2回、自普請(地元の村による工事)が3回の計5回に留まった。なお、1831年(天保2年)の大普請においては、高島郡深溝村の庄屋藤本太郎兵衛の主導で下流の約300村の同意を取り付けている[19]。
1890年(明治23年)には、同年に完成した瀬田川鉄橋の橋脚が水流を阻害していると考えた滋賀県内の有志により琵琶湖水利委員同盟が結成され、橋脚撤去の請願が退けられた後、瀬田川浚渫の請願をおこなうようになる[20]。これに対し、1885年(明治18年)の淀川洪水で被害を受けていた下流摂津・河内11郡の有志は淀川改修期成同盟を結成し反対した[21]。1891年(明治24年)から翌年にかけ、滋賀県の大越亨知事が内務大臣に瀬田川浚渫を数度にわたって陳情し、1893年(明治26年)には部分的な浚渫が実施され[注釈 3]、以降は複数の治水工事が行われている[22]。
なお、江戸時代の自普請での浚渫においては、洪水の被害を受けた農村が全額(年間収穫高の約6%)を負担したが、水資源開発公団の琵琶湖開発事業に組み入れられて以降の浚渫および洗堰改築事業においては、8割が下流の利水者の負担であり、国の負担も除くと滋賀県の負担は2.6%と少なくなっている[23]。
琵琶湖の水資源利用
大阪では1895年(明治28年)ごろより淀川を水源とする本格給水が始まり、京都では1890年(明治23年)完成の琵琶湖疏水と1912年(明治45年)完成の琵琶湖第二疎水を通じて琵琶湖の湖水を生活用水の源とするようになった[24][25]。その後、戦後の著しい産業発展により琵琶湖下流域における水資源の需要が急速に拡大したため、1972年(昭和47年)には琵琶湖総合開発特別措置法が制定され[26][27]。これにともなう琵琶湖総合開発事業の策定にあたっては、上流への影響が避けられないことから、不利益を減らすために原案は滋賀県知事が作成し内閣総理大臣がこれを決定する形がとられた[28]。同事業によって水位低下補償事業が完了し、水位の管理について国(瀬田川洗堰管理者)と滋賀県、下流府県が初めて合意した[29]。また、増大する水の需要に1991年(平成3年)度までは不安定な「暫定豊水水利権」(河川の流量が一定の流量を超える場合に限って取水できる水利権)で対応してきたが、同年度末には水資源開発事業が概成し都市用水として新規水利権が与えられた[30][31]。下流域の水利権を拡大せざるを得なかった背景には、京阪地域が渇水時であっても比較的豊富な水量を保つ水源として淀川、さらにその水源である琵琶湖への依存を強めたことがある[26]。
琵琶湖総合開発事業は京阪地区の拡大する水需要に応える水資源を開発することが主な目的であったが、琵琶湖を文化面を含み多方面で活用し親しんでいる滋賀県民の生活に直接的な影響が及ぶことは避けられず、上流と下流の利権をいかに調整するかが事業の肝となった[32]。上流の不利益を解消するために、下流の利水公共団体は琵琶湖とその周辺の上流域の福祉増進に利するために下流負担金602億円を負担することになった[28][31][33]。水源の99パーセント(2019年ごろ)[34]を琵琶湖に頼る京都市は、1914年(大正3年)以来京都市民の感謝の意をとして滋賀県に毎年感謝金(琵琶湖疏水感謝金)を支払っている[35][36]。
現実性
琵琶湖は河川法上は一級河川であり、国土交通省が直接管理することになっている。琵琶湖の場合は国土交通大臣から委託を受けた滋賀県知事が管理を担う[37]。しかしながら、琵琶湖の湖水の出口は滋賀県の管轄下にはなく、滋賀県が独断で「水を止める」ことはできない[1][10]。湖水の出口は瀬田川と琵琶湖疏水の二つだが、瀬田川の水量を調整する瀬田川洗堰は国(国土交通省近畿地方整備局琵琶湖河川事務所)が、疏水は京都市が管理している[1]。
琵琶湖の水を止めることの現実性について、洗堰を長期間閉じて琵琶湖疏水に流れる水を絞れば可能ではある[2]。ただし、実際に止めた場合、淀川の水量が3分の1まで減って下流域の水供給に多大なる影響をもたらす一方、琵琶湖周辺はたちまち水没して「明治29年琵琶湖洪水水害」[38]に匹敵するような深刻な被害を被ることになる[2][10][注釈 4]。よって、国の方針によれば全閉操作は原則行わないことになっている[39]。
洗堰の全閉操作は滋賀県にとってはむしろ屈辱の歴史であり、記録的な大雨になった場合に原則を破ってでも全閉操作を行うのは、上流の滋賀県を犠牲にしてでも住宅などが密集する宇治などの下流を守るためである[40]。琵琶湖河川事務所によると、洗堰は1961年(昭和36年)以降5回全閉したことがある。2013年(平成25年)9月には台風18号に伴う豪雨で琵琶湖下流域の洪水を防ぐために41年ぶりに洗堰が全閉した[2]。その4年後の2017年(平成29年)10月に発生した台風21号が滋賀県を襲った際も国は全閉操作を実施し、県内の自治体首長や県議らが反発した[40][39]。三日月大造知事は堰の全閉について遺憾の意を国に伝え、12月7日の県議会本会議で改めて「誠に残念だ」と述べている[39]。この台風で琵琶湖沿岸部等において内水被害などが発生した[41]。
タイトルや歌詞における使用
- 滋賀県出身のロック・バンドW-D4は2012年・2013年・2015年・2017年に、「滋賀県なめたら水止めるツアー」と題するファン・ツアーを実施している[42][43]。
- 滋賀県甲賀市出身の漫画家・さかなこうじの作品『三成さんは京都を許さない -琵琶湖ノ水ヲ止メヨ-』(連載開始は2016年10月)[44]では、戦国時代からタイムスリップした石田三成が京都にライバル心を熱く燃やす様をコミカルに描き、「琵琶湖の水を止める」ジョークも登場している[45]。
- 滋賀県出身のR&K(リズム&歌謡)バンド東狂アルゴリズムは「琵琶湖の水止めたろか音頭」という曲を2018年に発表している[46][47][48]。
- ベースボール・チャレンジ・リーグ(プロ野球独立リーグ)所属のオセアン滋賀ブラックス応援団が2018年より使用している応援歌「南郷の洗堰」においてこのフレーズが用いられている[49][50][注釈 5]。
メディアなどでの言及
「琵琶湖の水」にまつわる滋賀県民と大阪、京都府民の話題はテレビなどのメディアでも取り上げられ[53][54]、日本テレビ系のバラエティー番組『月曜から夜ふかし』ではこの話題をたびたび取り上げている。2015年6月に放送され話題を呼んだ「滋賀県問題を調査した件」では、知名度の低さを引き合いに小バカにしてくる京都府民に滋賀県民は「琵琶湖の水止めたろか」と反撃、しかし滋賀の良いところは?という質問には「京都に近い」と答えてMCのマツコ・デラックスを笑わせた[55]。「京都VS滋賀 琵琶湖の水問題」というテーマの放送では琵琶湖について大阪府民から「夏とか汚くなるやん」「(琵琶湖の水は)昔はおいしかったけど今は沸かして飲んでる」といった声が挙がり、滋賀県民が「じゃあ水飲むな」「水止めます」と反論する様子が放送された[56]。2019年の放送では「日本の健康問題を取り上げた件」で男性平均寿命の都道府県ランキングで滋賀県が1位になったことを紹介。この件を知らず番組スタッフからランキングを知らされた滋賀県民からの喜びの声を紹介した。番組ではこのランキングを受けて京都の新聞が「滋賀県を見習うべき」と記事にしたときの京都府民の反応も紹介したが、そのあまりにもな口の悪さにマツコ・デラックスは「もう絶対京都住みたくないわ」とコメントした。番組では続けて「京都府がウンコの固さ都道府県ナンバーワン」というデータを紹介。このデータをめぐって京都、滋賀の両府県民の「滋賀県民が琵琶湖の水に何か仕込んだんじゃないか」「滋賀県民が琵琶湖と県境に何か仕込んだ」、「京都府民は頭も固いしウンコも硬い」「京都の人は腹黒いからそれが便にでてる」というコメントが紹介され、京都府民と滋賀県民の仲の悪さが印象付けられた[57]。
2021年放送の日本テレビ系のバラエティー番組『秘密のケンミンSHOW極SP』で「琵琶湖の水止めたろか」というフレーズが取り上げられた際、滋賀県民の「結構言います」「滋賀のプライド」などのコメントに、大阪府民や京都府民は「止められるもんなら、止めてみい」「水溢れるで」などと言って「滋賀の切り札」を全く相手にしない様子が伝えられた[54][58]。番組では水を止めるためには封じる必要がある瀬田川洗堰を訪ね、担当者が「国が管理してるので、滋賀県は水を止められません」と証言する様子を、また琵琶湖疏水も管理者は京都市であることを示して滋賀に水を止める権限はないと結論づけた。スタジオで滋賀県代表として出演したダイアンや髙橋ひかるは落胆しダイアンの津田篤宏は「これ放送してほしくない」と、ユースケは滋賀に権利がないことに不平をこぼした。番組は大きな反響を呼び、インターネットでは琵琶湖に関するコメントが連日投稿された[58]。番組の放送を受けて、滋賀県出身で滋賀ふるさと観光大使も務めるミュージシャンの西川貴教はTwitterで「我が王国[注釈 6]の皆さんは『びわ湖の水止めたろか!』などと決して言いません!」と反応し、滋賀県民からは共感の声が寄せられた[60][61]。なお、西川は『月曜から夜ふかし』で滋賀県における知名度の高さを紹介された際、Twitterでピアニストの清塚信也に「ついに(琵琶湖の)水を止められるようになったのですね!」と返信されたのに「ま、やってやれないことはないレベルには来てると思います(笑)」と返している[59]。
脚注
注釈
- ^ 淀川(平均流量267立方メートル/秒)には桂川(平均流量46立方メートル/秒)、木津川(平均流量50立方メートル/秒)も流れ込んでいるが、宇治川からの流入(平均流量176立方メートル/秒)が多くを占める[8]。
- ^ 滋賀県民には「漁業の場」「農業用水」を1位とする人も多く、より生活や生業に密着したものとして琵琶湖をとらえている[15]。
- ^ 大越のこの功績を讃え、1905年(明治38年)、石山寺境内に記念碑が建立されている。
- ^ 「明治29年琵琶湖洪水水害」(1896年)では豪雨によって琵琶湖の水位は通常時よりも3.76メートル上昇、湖畔の彦根市などは200日以上にわたって浸水し、県の記録によれば床上・床下浸水は5万8千棟を超え[2]、死亡・行方不明者は34人(死者29、行方不明5)負傷者は79人と記録的な災害となった[38]。
- ^ 当該チームは琵琶湖の水を供給されている他府県のプロ野球チーム(他リーグ所属)や社会人野球チームとの試合を2018年以降に行ったことがある[51][52]。
- ^ 西川は滋賀県で幅広い年代から圧倒的な知名度を持ち、滋賀県は「西川貴教王国」と呼ばれることがある[59]。
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関連項目
- シンガポール#水資源 - 隣国マレーシアから淡水の供給を受けている。