「ポーランド語」の版間の差分
編集の要約なし |
|||
32行目: | 32行目: | ||
*[[スラヴ祖語]](紀元前1000年〜5世紀)- [[ポメラニア文化]]、[[プシェヴォルスク文化]]、[[ザルビンツィ文化]]、[[チェルニャコヴォ文化]] |
*[[スラヴ祖語]](紀元前1000年〜5世紀)- [[ポメラニア文化]]、[[プシェヴォルスク文化]]、[[ザルビンツィ文化]]、[[チェルニャコヴォ文化]] |
||
*{{仮リンク|古ポーランド語|en|Old Polish language}}({{lang-en|Old Polish}}、5世紀〜16世紀)- [[プラハ文化]]、[[ポーランド王国]] |
*{{仮リンク|古ポーランド語|en|Old Polish language}}({{lang-en|Old Polish}}、5世紀〜16世紀)- [[プラハ文化]]、[[ポーランド王国]] |
||
*{{仮リンク|中期ポーランド語|en|Middle Polish language}}({{lang-en|Middle Polish}}、16世紀〜18世紀)- [[ポーランド・リトアニア共和国]]、[[ |
*{{仮リンク|中期ポーランド語|en|Middle Polish language}}({{lang-en|Middle Polish}}、16世紀〜18世紀)- [[ポーランド・リトアニア共和国]]、[[王領プロイセン]]、[[プロイセン王国]]、[[ガリツィア・ロドメリア王国]] |
||
*現代ポーランド語({{lang-en|Modern Polish}}、18世紀〜現在) - [[ポーランド第二共和国]]、[[ポーランド]] |
*現代ポーランド語({{lang-en|Modern Polish}}、18世紀〜現在) - [[ポーランド第二共和国]]、[[ポーランド]] |
||
2020年12月31日 (木) 23:57時点における版
ポーランド語 | |
---|---|
język polski | |
発音 | IPA: [jɛ̃zɨk pɔlski] |
話される国 |
ポーランド リトアニア ベラルーシ ウクライナ ドイツ アメリカ合衆国など |
地域 | ヨーロッパ |
話者数 |
5000万人(全世界) 3800万人(ポーランド) |
言語系統 | |
表記体系 | ラテン文字(ポーランド語アルファベット) |
公的地位 | |
公用語 |
ポーランド 欧州連合 |
統制機関 | Rada Języka Polskiego (Polish Language Council) |
言語コード | |
ISO 639-1 |
pl |
ISO 639-2 |
pol |
ISO 639-3 |
pol |
ポーランド語(ポーランドご、波: język polski(イェンズィク・ポルスキ)、polski、または polszczyzna(ポルシュチズナ))は、インド・ヨーロッパ語族スラヴ語派の西スラヴ語群レヒト諸語に属するポーランドの公用語。レヒト諸語と同じ西スラヴ語群に属する言語は、チェコ・スロヴァキア諸語とソルブ諸語である。名詞の格変化は7格(主格、生格、与格、対格、造格、前置格、呼格)あり、文中での語の働きが格語尾によって示されることなど、形態による表現の豊かさを特徴とする。
ポーランド語は16世紀の期間に発達し、新単語は19世紀に口語のドイツ語、ラテン語、ロシア語、英語から採られポーランド語のスペルに反映されている[1]。ラテン文字は12世紀に導入され、話し言葉だけのポーランド語を記載できるようになった[2]。
公用地域
公用語としては、ポーランド国内のみで使用される。国内話者人口は約3800万人。
歴史
- インド・ヨーロッパ祖語西部方言(〜紀元前3000年頃)- 球状アンフォラ文化
- バルト=スラヴ祖語(紀元前3000年頃〜紀元前1000年)- 縄目文土器文化、ウーニェチツェ文化、トシュチニェツ文化、チェルノレス文化
- スラヴ祖語(紀元前1000年〜5世紀)- ポメラニア文化、プシェヴォルスク文化、ザルビンツィ文化、チェルニャコヴォ文化
- 古ポーランド語(英語: Old Polish、5世紀〜16世紀)- プラハ文化、ポーランド王国
- 中期ポーランド語(英語: Middle Polish、16世紀〜18世紀)- ポーランド・リトアニア共和国、王領プロイセン、プロイセン王国、ガリツィア・ロドメリア王国
- 現代ポーランド語(英語: Modern Polish、18世紀〜現在) - ポーランド第二共和国、ポーランド
ローマ・カトリック勢力下でラテン語・フランス語を輸入していた経緯から、それぞれの名残が見られる。
方言
- ヴィエルコポルスカ方言 (Dialekt wielkopolski)
- マウォポルスカ方言 (Dialekt małopolski)
- マズルク方言 (Dialekt mazowiecki)
- シレジア語 (Etnolekt śląski、ポーランド語の方言とみなされることもある)
- カシューブ語 (Język kaszubski)
- 新混合方言 (Nowe dialekty mieszane) - 第二次世界大戦後にドイツから獲得した領土(回復領)に移住したポーランド各地からの移民(戦後ソ連に併合された旧ポーランド領からの難民も含む)の共通語となった言語。各地の方言由来の言葉などが残る。
文字
ラテン・アルファベットを基にした32文字を使用する。
アクセント
ポーランド語のアクセントは「強さアクセント」で、アクセントの置かれた音節を強くやや長めに発音する。母音の長短による意味の違いはない。 また、ポーランド語のアクセントにはもう一つ「次末アクセント」という特徴がある。これは最後から2番目の音節にアクセントを置くという意味である。ただし、外来語の中にはアクセントの位置が特殊なものがある。
子音の有声化・無声化
子音は、前後のほかの子音に影響を受けて、対応する有声と無声が交替する場合がある。
有声化の例:
- 無声音がw([v])を除く有声音の前に接続した場合。
- Afganistan [ˌavɡãˈɲistan] <アフガニスタン>
- liczba [ˈlʲid͡ʒba] <数>
無声化の例:
- 有声音が語末に来た場合。
- 有声音が無声音の前に接続した場合。
- babka [ˈbapka] <おばあちゃん>
- 本来は有声音であるw([v])の前に無声音が接続すると、[v]は無声音[f]に変化する。
文法
人称代名詞
()内は同義の英語
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | ja - 私 ( I ) | my - 私たち (we) |
2人称 | ty - 君(親称) (you) | wy - 君たち (you) |
3人称 | on - 彼 (he) ona - 彼女 (she) ono - それ(it) |
oni - 彼ら(they) one - 彼女ら、それら(they) |
- 2人称の敬称は、「男性の主人」、「女性の主人」という意味の名詞 pan, pani を用いる。また pan 、 pani は英語で言う Mr, Mrs と同じように名詞につけて「~さん」という意味にも用いられる。
- Czy pani jest zmęczona? あなたは疲れていますか?
- Pani Grzegorzewska jest nauczycielką. グジェゴジェフスカさん(夫人)は教師です。
- 3人称は名詞を受けるため、人間や動物など自然性を持つもの以外でも、男性名詞であればonで、女性名詞であればonaで受ける。
- ポーランド語では、動詞の人称変化によって主語が判断できるため、1人称と2人称については強調したいときを除いて省略するのが一般的。3人称も名詞を何度も繰り返すのを避けるために使用されるが、文脈で主語がはっきりわかっているときは省略する。
名詞
名詞は、単数では男性名詞 rzeczownik rodzaju męskiego (m)、女性名詞 rzeczownik rodzaju żeńskiego (ż)、中性名詞 rzeczownik rodzaju nijakiego (n)の3つがある。男性名詞はさらに「活動体名詞」(=人間と動物)と「不活動体名詞」(=物など)に分かれるが、女性名詞と中性名詞にはこのような区別はない。名詞は複数では「男性人間名詞」と「非男性人間名詞」に分類される。 また、ポーランド語の名詞には単数・複数ともに7つの格があり、文中での語の働きが格によって変化した格語尾で示されるため、名詞の格変化の理解はポーランド語を学ぶ上で重要である。
ポーランド語の格は、以下の7つである。 JanekとAgata(ヤネック・アガタ…人名)を例にみてみる。
- Janek czyta książkę. ヤネックは本を読んでいる。
- Agata lubi psy. アガタは犬が好きだ。
- 生格 dopełniacz 所有や帰属を表し、「の」の役割を果たす。また生格を支配する動詞や形容詞、前置詞にともなわれる格。他の言語では「二格」、「属格」、「所有格」とよばれる。英: genitive。
- To jest samochód Janka. これはヤネックの車です。
- Idę do Janka. ヤネックのところに行くところです。
- To jest pies Agaty. これはアガタの犬です。
- Kup Jankowi zabawki. ヤネックにおもちゃを買ってやりなさい。
- Trzeba Jankowi pieniędzy. ヤネックにはお金が必要だ。
- Kup Agacie psa. アガタに犬を買ってやりなさい。
- Barbara kocha Janka. バルバラはヤネックを愛している。
- Ten list jest pisany przez Janka. この手紙はヤネックに書かれた。
- Marek lubi Agatę. マレックはアガタを好きだ。
- 造格 narzędnik 手段・方法・材料など、「~で」、「~を使って」という働きを、英語などとは違い、前置詞をともなわず名詞の変化形のみで表す。また、「述語の造格」として、「~は~である」の「~である」の働きもする。造格支配の動詞、前置詞とともに用いる。具格または道具格、助格ともよばれる。英: instrumental。
- Mama chwali się Jankiem. 母はヤネックのことを自慢する。
- Dziś idziemy do kina z Jankiem. 私たちは今日ヤネックと映画館へ行きます。
- Marek spotyka się z Agatą. マレックはアガタとデートをしています。
- 前置格 miejscownik 必ず前置詞とともに用いられる格。おもに場所を表す。「処格」、「場所格」、「位置格」などと呼ばれる。英: locative(「前置格」に対応する英語は "prepositional" だが、英語におけるポーランド語の用語としては "locative" 「処格」が用いられる)。
- Plotkowali o Janku. 彼らはヤネックについて噂話をした。
- Porozmawiajmy o Agacie. アガタについて話そうよ。
- 呼格 wołacz 文の構造から独立して使用できる格。「~よ!」など問いかけ、呼びかけに用いられる。手紙の書き出しにもこの格が使われる。ただし、堅い言い回しでなければ、呼格の代わりに主格で呼びかけることもある。英: vocative。
- Janku! ヤネック(よ)!
- Mój drogi Janku, (手紙の書き出し) 親愛なるヤネック
- Cześć Agato! やぁアガタ!
男性名詞
男性名詞 rzeczownik rodzaju męskiego の格変化。
国 kraj | 客 gość | 教授 profesor | ロシア人(男) Rosjanin | ||
---|---|---|---|---|---|
単 数 |
主格 | kraj | gość | profesor | Rosjanin |
生格 | kraju | gościa | profesora | Rosjanina | |
与格 | krajowi | gościowi | profesorowi | Rosjaninowi | |
対格 | kraj | gościa | profesora | Rosjanina | |
造格 | krajem | gościem | profesorem | Rosjaninem | |
前置格 | kraju | gościu | profesorze | Rosjaninie | |
呼格 | kraju! | gościu! | profesorze! | Rosjaninie! | |
複 数 |
主格・呼格 | kraje | goście | profesorowie | Rosjanie |
生格 | krajów | gości | profesorów | Rosjan | |
与格 | krajom | gościom | profesorom | Rosjanom | |
対格 | kraje | gości | profesorów | Rosjan | |
造格 | krajami | gośćmi ←注 | profesorami | Rosjanami | |
前置格 | krajach | gościach | profesorach | Rosjanach |
女性名詞
女性名詞 rzeczownik rodzaju żeńskiego の格変化。
新聞 gazeta | 床 podłoga | 村 wieś | 主婦 gospodyni | 夜 noc | ||
---|---|---|---|---|---|---|
単 数 |
主格 | gazeta | podłoga | wieś | gospodyni | noc |
生格 | gazety | podłogi | wsi | gospodyni | nocy | |
与格 | gazecie | podłodze | wsi | gospodyni | nocy | |
対格 | gazetę | podłogę | wieś | gospodynię | noc | |
造格 | gazetą | podłogą | wsią | gospodynią | nocą | |
前置格 | gazecie | podłodze | wsi | gospodyni | nocy | |
呼格 | gazeto! | podłogo! | wsi! | gospodyni! | nocy! | |
複 数 |
主格・呼格 | gazety | podłogi | wsie | gospodynie | noce |
生格 | gazet | podłóg | wsi | gospodyń | nocy | |
与格 | gazetom | podłogom | wsiom | gospodyniom | nocom | |
対格 | gazety | podłogi | wsie | gospodynie | noce | |
造格 | gazetami | podłogami | wsiami | gospodyniami | nocami | |
前置格 | gazetach | podłogach | wsiach | gospodyniach | nocach |
中性名詞
中性名詞 rzeczownik rodzaju nijakiego の格変化。
食事 jedzenie | ビール piwo | 子供 dziecko | 水族館 akwarium | ||
---|---|---|---|---|---|
単 数 |
主格 | jedzenie | piwo | dziecko | akwarium |
生格 | jedzenia | piwa | dziecka | akwarium | |
与格 | jedzeniu | piwu | dziecku | akwarium | |
対格 | jedzenie | piwo | dziecko | akwarium | |
造格 | jedzeniem | piwem | dzieckiem | akwarium | |
前置格 | jedzeniu | piwie | dziecku | akwarium | |
呼格 | jedzenie! | piwo! | dziecko! | akwarium | |
複 数 |
主格・呼格 | jedzenia | piwa | dzieci | akwaria |
生格 | jedzeń | piw | dzieci | akwariów | |
与格 | jedzeniom | piwom | dzieciom | akwariom | |
対格 | jedzenia | piwa | dzieci | akwaria | |
造格 | jedzeniami | piwami | dziećmi | akwariami | |
前置格 | jedzeniach | piwach | dzieciach | akwariach |
形容詞
格変化
ładny「きれいな」を例に、単数と複数における形容詞の格変化を示す。
男性形(活動体) | 男性形(不活動体) | 女性形 | 中性形 | |
---|---|---|---|---|
主格・呼格 | ładny | ładny | ładna | ładne |
生格 | ładnego | ładnego | ładnej | ładnego |
与格 | ładnemu | ładnemu | ładnej | ładnemu |
対格 | ładnego | ładny | ładną | ładne |
造格 | ładnym | ładnym | ładną | ładnym |
前置格 | ładnym | ładnym | ładnej | ładnym |
男性人間形 | 非男性人間形 | |
---|---|---|
主格・呼格 | ładni | ładne |
生格 | ładnych | ładnych |
与格 | ładnym | ładnym |
対格 | ładnych | ładne |
造格 | ładnymi | ładnymi |
前置格 | ładnych | ładnych |
動詞
ポーランド語の動詞の不定形は大部分-ćで終わる。
byćの活用形
być は「ある」「~である」の意味の動詞である。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | jestem | jesteśmy |
二人称 | jesteś | jesteście |
三人称 | jest | są |
一人称・三人称の単数は będ-、それ以外は bedzi- が語幹になる。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | będę | będziemy |
二人称 | będziesz | będziecie |
三人称 | będzie | będą |
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | byłem - (男性形) byłam - (女性形) |
byliśmy - (男性形) byłyśmy - (女性形) |
2人称 | byłeś - (男性形) byłaś - (女性形) |
byliście - (男性形) byłyście - (女性形) |
3人称 | był - (男性形) była - (女性形) było - (中性形) |
byli - (男性人間形) były - (非男性人間形) |
規則変化動詞の活用形
規則変化動詞には大別して、第1型(-a変化)、第2型(-i変化)、第3型(-e変化)がある。
第1型(-a変化)
znać「知る」を例に、現在規則変化を示す。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | znam | znamy |
二人称 | znasz | znacie |
三人称 | zna | znają |
第2型(-i変化)
lubić「好む」を例に、現在規則変化を示す。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | lubię | lubimy |
二人称 | lubisz | lubicie |
三人称 | lubi | lubią |
数詞
基数詞を用いる場合、主格は1が単数形、2~4が複数形、5以降は12, 13, 14以外の一の位が2, 3, 4である数を除き、全て複数生格形となる。なお、基数詞と修飾された名詞の両方が格変化する。
- 例: jabłko 〈りんご〉 → 1: jedno jabłko, 2: dwa jabłka, 5: pięć jabłek, 12: dwanaście jabłek, 22: dwadzieścia dwa jabłka
また、集合数詞で修飾された名詞は与格と前置格を除き、全て複数生格形で表される。
簡単な表現
- あいさつ(英語での直訳を続ける)
- Dzień dobry. (ヂェィン ドブルィ)=こんにちは。(A) Day (that is) good. = Good day.
- Cześć. (チェシチ)=やぁ。Respecting (for you).
- Dobry wieczór. (ドブルィ ヴィエチュル)=こんばんは。Good evening.
- Dobranoc. (ドブラノツ)=おやすみなさい。Good-night.
- Dziękuję. (ヂェンクイェン)=ありがとう。(I) thank (you).
- Nie ma za co. (ニェマザツォ)=どういたしまして。(It does) not have (anything) for what.
- Do widzenia. (ド ヴィヅェーニャ)=さようなら。To (our next) meeting.
- Przepraszam. (プシェプラシャム)=すみません。/ ごめんなさい。(I) apologise (to you).
- Proszę. (プロシェン)=どうぞ。/ どういたしまして。 (I) request (sth / you to do / you to be). / (I) request (you not to thank me).
- Halo (ハロ)=もしもし。Hello.
脚注
- ^ http://www.newworldencyclopedia.org/entry/Poland#Language
- ^ http://www.todaytranslations.com/language-history/polish/odaytranslations.com. 2014-06-20. Retrieved 2015-03-31
関連項目
外部リンク
- Polish 101 Learn Polish online
- オンライン・ポーランド語辞書
- ポーランド語の単語