「世界終末時計」の版間の差分
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以後、同誌は定期的に委員会を設けてその「時刻」の修正を行っている。すなわち、人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻されることもある。1989年10月号からは、[[核兵器]]からの脅威のみならず、[[気候変動]]による[[環境破壊]]や[[生命科学]]の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されている。 |
以後、同誌は定期的に委員会を設けてその「時刻」の修正を行っている。すなわち、人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻されることもある。1989年10月号からは、[[核兵器]]からの脅威のみならず、[[気候変動]]による[[環境破壊]]や[[生命科学]]の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されている。 |
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これまでもっとも分針が進んだのは、イランとアメリカの関係が悪化し核戦争の危険性が高まった[[2020年]]の'''100秒前'''{{efn2|もっとも世界が[[核戦争]]の危機に瀕したとされる[[1962年]]の[[キューバ危機]]は反映されていない。これは短期間での出来事かつ、危機が起きた時点では詳細な状況とその結果がよく知られていなかったためで、委員会ではその後の米ソ[[ホットライン]]の設置、[[部分的核実験禁止条約]]への署名といった動きを受けて、翌年[[1963年]]に7分前から12分前まで針を戻している。}}、もっとも分針が戻ったのは[[ソ連崩壊]]により[[冷戦]]が終結した[[1991年]]の'''17分前'''である<ref>{{Cite news |url=http://www.cnn.co.jp/world/35095635.html |title=滅亡まで2分半、「終末時計」進む トランプ氏発言など |newspaper=CNN.co.jp |publisher=Cable News Network |date=2017-01-27 |accessdate=2017-02-24}}</ref>。 |
これまでもっとも分針が進んだのは、イランとアメリカの関係が悪化し核戦争の危険性が高まった[[2020年]]の'''100秒前'''{{efn2|もっとも世界が[[核戦争]]の危機に瀕したとされる[[1962年]]の[[キューバ危機]]は反映されていない。これは短期間での出来事かつ、危機が起きた時点では詳細な状況とその結果がよく知られていなかったためで、委員会ではその後の米ソ[[ホットライン]]の設置、[[部分的核実験禁止条約]]への署名といった動きを受けて、翌年[[1963年]]に7分前から12分前まで針を戻している。}}、もっとも分針が戻ったのは[[ソビエト連邦の崩壊]]により[[冷戦]]が終結した[[1991年]]の'''17分前'''である<ref>{{Cite news |url=http://www.cnn.co.jp/world/35095635.html |title=滅亡まで2分半、「終末時計」進む トランプ氏発言など |newspaper=CNN.co.jp |publisher=Cable News Network |date=2017-01-27 |accessdate=2017-02-24}}</ref>。 |
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終末時計はいわば仮想的なものであり、『原子力科学者会報』の新年号の表紙などに絵として掲載されているが、[[シカゴ大学]]には「[[オブジェ]]」が存在する。 |
終末時計はいわば仮想的なものであり、『原子力科学者会報』の新年号の表紙などに絵として掲載されているが、[[シカゴ大学]]には「[[オブジェ]]」が存在する。 |
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|[[1990年]]||'''10分前'''||4分戻る||[[東欧革命|東欧の民主化]]。[[冷戦]]の終結。<br />[[湾岸戦争]]。 |
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|[[1991年]]||'''17分前'''||7分戻る||[[ソ連崩壊]]。<br />[[ユーゴスラビア社会主義連邦共和国|ユーゴスラビア連邦]]解体。 |
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|[[1995年]]||'''14分前'''||3分進む||ソ連崩壊後も[[ロシア]]に残る核兵器の不安。 |
|[[1995年]]||'''14分前'''||3分進む||ソ連崩壊後も[[ロシア]]に残る核兵器の不安。 |
2020年12月25日 (金) 23:25時点における版
世界終末時計(せかいしゅうまつとけい、英語: Doomsday clock)は、核戦争などによる人類(世界[1]や地球[2]と表現されることもある)の絶滅(終末)を『午前0時』になぞらえ、その終末までの残り時間を「0時まであと何分(秒)」という形で象徴的に示す時計である。実際の動く時計ではなく、一般的に時計の45分から正時までの部分を切り出した絵で表される。「運命の日」の時計あるいは単に終末時計[3]ともいう。
概要
日本への原子爆弾投下から2年後、冷戦時代初期の1947年にアメリカの科学誌『原子力科学者会報』(Bulletin of the Atomic Scientists) の表紙絵として誕生した。
以後、同誌は定期的に委員会を設けてその「時刻」の修正を行っている。すなわち、人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻されることもある。1989年10月号からは、核兵器からの脅威のみならず、気候変動による環境破壊や生命科学の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されている。
これまでもっとも分針が進んだのは、イランとアメリカの関係が悪化し核戦争の危険性が高まった2020年の100秒前[注 1]、もっとも分針が戻ったのはソビエト連邦の崩壊により冷戦が終結した1991年の17分前である[4]。
終末時計はいわば仮想的なものであり、『原子力科学者会報』の新年号の表紙などに絵として掲載されているが、シカゴ大学には「オブジェ」が存在する。
推移
年 | 終末時計 | 変化 | 詳細 |
---|---|---|---|
1947年 | 7分前 | 創設。 | |
1949年 | 3分前 | 4分進む | ソビエト連邦が核実験に成功。 核兵器開発競争の始まり。 |
1953年 | 2分前 | 1分進む | アメリカ合衆国とソ連が水爆実験に成功。 |
1960年 | 7分前 | 5分戻る | アメリカとソ連の国交回復。 パグウォッシュ会議の開催。 |
1963年 | 12分前 | 5分戻る | アメリカとソ連が部分的核実験禁止条約に調印。 |
1968年 | 7分前 | 5分進む | フランスと中華人民共和国が核実験に成功。 第三次中東戦争、ベトナム戦争、第二次印パ戦争の発生。 |
1969年 | 10分前 | 3分戻る | アメリカの上院が核拡散防止条約を批准。 |
1972年 | 12分前 | 2分戻る | 米ソがSALT IとABM条約を締結。 |
1974年 | 9分前 | 3分進む | SALT Iに続く米ソの軍縮交渉難航、両国によるMIRVの配備。 インドが最初の「平和的核爆発」に成功。 |
1980年 | 7分前 | 2分進む | 米ソ間の交渉が停滞。国家主義的な地域紛争。 テロリストの脅威が増大する。 南北問題。イラン・イラク戦争。 |
1981年 | 4分前 | 3分進む | 軍拡競争の時代へ。 アフガニスタン、ポーランド、南アフリカにおける人権抑圧が問題に。 |
1984年 | 3分前 | 1分進む | 米ソ間の軍拡競争が激化。 |
1988年 | 6分前 | 3分戻る | 米ソが中距離核戦力全廃条約を締結。 |
1990年 | 10分前 | 4分戻る | 東欧の民主化。冷戦の終結。 湾岸戦争。 |
1991年 | 17分前 | 7分戻る | ソビエト連邦の崩壊。 ユーゴスラビア連邦解体。 |
1995年 | 14分前 | 3分進む | ソ連崩壊後もロシアに残る核兵器の不安。 |
1998年 | 9分前 | 5分進む | インドとパキスタンが相次いで核兵器の保有を宣言。 |
2002年 | 7分前 | 2分進む | 前年にアメリカ同時多発テロが起こる。 アメリカがABM条約からの脱退を宣言。 テロリストによる大量破壊兵器使用の懸念が高まる。 |
2007年 | 5分前 | 2分進む | 北朝鮮の核実験強行。 イランの核開発問題。 地球温暖化の更なる進行。 |
2010年 | 6分前 | 1分戻る | バラク・オバマ米大統領による核廃絶運動。 |
2012年 | 5分前 | 1分進む | 核兵器拡散の危険性の増大。 福島第一原子力発電所事故を背景とした原子力の安全性への懸念。 |
2015年 | 3分前 | 2分進む | 気候変動や核軍備競争のため。 |
2017年 | 2分30秒前 | 30秒進む | ドナルド・トランプ米大統領が核廃絶や気候変動対策に対して消極的な発言[5]。 |
2018年 | 2分前 | 30秒進む | 北朝鮮が行っている核開発の影響による核戦争への懸念[6]。 |
2020年 | 100秒前 | 20秒進む | 中距離核戦力全廃条約失効による核軍縮への不信感 アメリカとイラン, アメリカと北朝鮮の対立 宇宙・サイバー空間上などにおける軍拡競争の激化 気候変動に対する各国の関心の低さ |
大衆文化への登場
- オーストラリアのロックバンドミッドナイト・オイルには、『Minutes to Midnight』という曲がある。
- イギリスのヘヴィ・メタルバンドアイアン・メイデンには、『2 Minutes to Midnight』という曲がある。
- スティングの曲『Russians』のミュージック・ビデオには、冒頭を含め何度も終末時計が登場する。
- アメリカのロックバンドリンキン・パークの、2007年のサードアルバムのタイトルが『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』。
- DCコミックス出版のアメリカン・コミック『ウォッチメン』には、終末時計を思わせる時計の文字盤が何度も登場する。
- テレビドラマ『ドクター・フー』の2017年のエピソード「滅亡を呼ぶピラミッド」。
- 『マダム・セクレタリー』 - シーズン2の18話
脚注
注釈
出典
- ^ “世界終末まで「残り2分半」=トランプ氏の姿勢反映-米科学誌”. 時事ドットコム (時事通信社). (2017年1月27日) 2017年2月24日閲覧。
- ^ “地球の「終末時計」 針を30秒進め 残り2分半に”. NHK NEWS WEB (日本放送協会). (2017年1月27日). オリジナルの2017年2月2日時点におけるアーカイブ。
- ^ “「終末時計」残り2分半に トランプ氏の勝利など受け”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2017年1月27日) 2017年2月24日閲覧。
- ^ “滅亡まで2分半、「終末時計」進む トランプ氏発言など”. CNN.co.jp (Cable News Network). (2017年1月27日) 2017年2月24日閲覧。
- ^ “「世界終末時計」残り2分半、トランプ発言で30秒進む”. 日本経済新聞 電子版 (日本経済新聞社). (2017年1月27日) 2017年2月24日閲覧。
- ^ “「終末時計」過去最短の残り2分に 核開発やトランプ大統領が影響”. ライブドアニュース. (2018年1月26日) 2018年1月26日閲覧。
- ^ “終末時計 残り「1分40秒」 これまでで最短 かつてない危機”. NHK News Web. (2020年1月24日) 2020年1月24日閲覧。
関連項目
外部リンク
- timeline - Bulletin of the Atomic Scientists公式サイト内 アクセスした時点で現在が何分前なのかが参照できる