「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイの登場兵器」の版間の差分
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2014年のアーケードゲーム『[[機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト]]』で初めて機体の全形が公開された。ペーネロペー時に一定のダメージを受けると、フライトユニットがパージされる形でオデュッセウスガンダムとなる。この間はファンネルミサイルなどのフライトユニット依存の武装が使えず弱体化するが、一定時間が経過すると再装着されてその後はいくらダメージを受けてもパージされない(ただし、撃墜されてからの再出撃後に一定ダメージを受けると再びパージされる)。 |
2014年のアーケードゲーム『[[機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト]]』で初めて機体の全形が公開された。ペーネロペー時に一定のダメージを受けると、フライトユニットがパージされる形でオデュッセウスガンダムとなる。この間はファンネルミサイルなどのフライトユニット依存の武装が使えず弱体化するが、一定時間が経過すると再装着されてその後はいくらダメージを受けてもパージされない(ただし、撃墜されてからの再出撃後に一定ダメージを受けると再びパージされる)。 |
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本機の名称の由来は、[[アナハイム・エレクトロニクス|アナハイム]]製[[ガンダム (架空の兵器)|ガンダム]]の開発開始から20周年であること、”[[モビルスーツ|MS]]”への[[ミノフスキー粒子#ミノフスキー・クラフト|ミノフスキー・クラフト]]搭載まで20年かかったことを、[[トロイア戦争]]終結後に20年間の冒険と放浪を余儀なくされた英雄[[オデュッセウス]]にかけたものである{{Sfn|ANAHEIM 2002 CALENDAR|p=7}}。 |
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=== 概要(オデュッセウスガンダム) === |
=== 概要(オデュッセウスガンダム) === |
2020年11月7日 (土) 11:27時点における版
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイの登場兵器では、小説およびアニメ映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に登場する人型ロボット兵器「モビルスーツ(MS)」などの架空の兵器について解説する。
Ξガンダム
Ξガンダム[1] Ξ GUNDAM[2] | |
---|---|
型式番号 | RX-105[3][4] |
全高 | 28.0 m[5] |
頭頂高 | 20.0 m[4]又は26.0m[6] |
本体重量 | 32.0 t[4] |
全備重量 | 80.0 t[4] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[4] |
出力 | 3,980 kW[4] |
推力 | 160,000 kg[4] |
センサー 有効半径 |
30,000 m[4] |
武装 | バルカン砲×2[4] ビーム・サーベル×2[4] ビーム・ライフル[4] シールド[4] メガ粒子砲×2(肩部)[4] ファンネル・ミサイル[4] ミサイルランチャー(腕部)[4] 大型ミサイル(脚部)[4] マイクロ・ミサイル・ポッド[4] |
特殊装備 | ビーム・バリアー[4] |
搭乗者 | マフティー・ナビーユ・エリン (ハサウェイ・ノア) |
秘密結社マフティー・ナビーユ・エリンが秘密裏に月面の複合企業アナハイム・エレクトロニクスに発注した、最新鋭モビルスーツ[2]又は新型ガンダムタイプモビルスーツ[7]。パイロットは、マフティーのリーダーであるマフティー・ナビーユ・エリン(ハサウェイ・ノア)[7]。
「Ξ」(クスィー)という名称は、アムロ・レイの最後の乗機であるνガンダムを引き継ぐ意図で付けられている[2]。敵対する地球連邦軍からは、ガンダムもどき[8]若しくはガンダムと呼称される[9]。
機体には、製造工場を示す一切の物証が無く[10]、キルケー部隊であっても製造元を突き止められなかった[10]。しかし、ケネス・スレッグはアナハイム・エレクトロニクスで作られた事までは看破しており[11]、ブライト・ノアも機体の印象から、このつくりはアナハイムのものだと断定した[10]。そしてメカニック・マンから「アナハイムが製造したという嫌疑もかけられてはいるが、キルケー部隊や参謀本部でも調べはついていない」と説明されたブライトは、そういった事は大人の世界なのだと得心した[10]。
反重力推進装置ミノフスキー・クラフト(ミノフスキーエンジン)を搭載したことにより[2][12]、擬似反重力推進が可能となっていて[2]、自由に重力圏を飛行する[12]。 完璧なビーム・バリアーを展開し、防御や高速飛行を行える革命的な機体となっており[12]、その防御システムの堅牢さは敵であるケネス・スレッグも認める程であった[11]。
宇宙世紀0105年時点で飛行可能なMSは皆無に等しかったので、少数の戦力しかないマフティー・ナビーユ・エリンが地球連邦軍と渡り合う事が出来たのは、本機の絶大な戦闘力に負うものが大きかった[7]。
機体の基本性能も高く、サイコミュを利用した高度な脳波操縦システム、大出力メガ粒子砲やファンネル・ミサイルなどの強力な火器を有する。これらの機能を盛り込んだ結果、機体全高は従来機を上回る30メートル近くに大型化している。
機体の球形のコックピット・コアはリニア方式で浮遊し、コアとシートのジョイント部は3重のショック・アブソーバーで支えられている[13]。コクピットの外側からは、緊急開放レバーを押して引く事で開かれる[14]。
サーチライトが備えられており、ガウマン救出時には、上空を照らす為[15]、オエンベリではキンバレー部隊の虐殺による死体の山を確認する為に使われた[16]。
デザイン、設定の変遷(Ξガンダム)
小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』でのメカニックデザインは森木靖泰。『月刊ニュータイプ』1990年8月号で、型式番号がRX-105と判明し[3]、以降定着した[4]。
2000年のゲーム『SDガンダムGGENERATION-F』に小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が初めて登場することとなり、森木靖泰により、本機のデザインが一新[17]。頭部がよりガンダムタイプらしい形状に変更された[18]。
操縦席は小説下巻、ゲーム『SDガンダム GGENERATION WARS』および『SDガンダム GGENERATION GENESIS』ではνガンダムと同じだが、SDガンプラの説明書で機体コンセプトは同機体の発展型であるHi-νガンダムがベースになっている。
2005年には、フィギュア『GUNDAM FIX FIGURATION』の第25弾としてオデュッセウスガンダム・ペーネロペーとのコンパチブルモデルとしてカトキハジメによってリファインされ、初の商品化がなされている。なお、このリファインの際には森木版における全身の極端に鋭利な部分、胴体や四肢のパーツバランスなどが見直され、νガンダムからつながる機体であることがわかるように改訂されている。
2013年には、フィギュア『ROBOT魂』の通販専用商品として、ノンスケール(1/144スケール相当)の本機が発売されている(魂ウェブ商店限定)。2015年にはペーネロペーが発送された(こちらも魂ウェブ商店限定)。
機能(Ξガンダム)
- 頭部サイコミュブロック
- →詳細は「サイコミュ」を参照
- パイロットの脳波を拡大するシステムで、頭部に搭載されている[2]。
- 頭部センサー
- 頭部に装備された、可動式のアンテナで、上部が前後へ動く[2]。
- ビーム・バリアー
- →詳細は「ミノフスキー粒子 § ビーム・バリアー」を参照
- 本機は、機体各部にバリアー能力がある[19]。他にも防御兵装としては、サンド・バレルがあり、追尾するミサイルに対しバリアーとして張られるが五十パーセント程の防御効果しか見込めない為[20]、これが本機の最後のバリアーとされる[21]。
- 気密性と各部のバリアーの状態を確認するには、機体を水中に沈めるのが一番手早であるとされている[19]。
- コクピット内のバリアーは、通常のモビルスーツを撃墜出来る倍以上の出力がかかったビーム・バリアーに対し発動したものの、コクピット・コアと装甲の距離が近すぎたため、相殺しきれずにハサウェイ・ノアは痺れてしまったが[22]、四日間気を失って全身火傷と打撲で済んでいる[23]。
- 大気中ではMS形態のままでミノフスキークラフトを用いても音速飛行は不可能とされている[24]。しかし、本機はペーネロペーと違い、機体の進行方向へ波形を変えたビームを放射して大気の干渉を拡散させることにより、MS形態で音速突破を可能とした[25]、ビーム・バリアーの技術を完成させており[26]、マッハ2に近い速度でアデレート空港に侵入して奇襲を成功させた[24]。この機能を展開した本機は、空中で機体全体が光に包まれたようなシルエットとなる[26]。
- 小説『閃光のハサウェイ』では搭載箇所は明言されていなかったが、SDガンダム GGENERATION-F以後の設定では、音速飛行時に用いられるビーム・バリアーは肩に存在する三角形のパーツの先端(両肩だと2か所)から放射されると設定された。また、SDガンダム GGENERATION-Fなどの一部ゲームでは、この音速移動時に、簡易的な飛行形態へ変形する。
- ミノフスキー・クラフト(ミノフスキーエンジン)
- →詳細は「ミノフスキー粒子 § ミノフスキー・クラフト」を参照
- 反重力推進装置[12]。
- 小説『閃光のハサウェイ』では搭載箇所は明言されていなかったが、SDガンダム GGENERATION-F以後の設定では、本機の両肩を覆う裃状の部分であるとされている。
- 従来のモビルスーツは、ドダイYSやシャクルズといったサポートメカ(サブフライトシステム)に乗らなければ、大気圏内での長距離飛行は不可能だったが、本機はこの装置によって長距離飛行が可能となっている[12]。
- カーゴ・ピサからの脱出時にはメガ粒子砲で攻撃されたが、その筋と逆行するように上昇して全弾回避した。その飛行はまるで軽飛行機のように身軽で、リモコンのモデル飛行のようだったと形容された[27]。
- 高度八千メートルでの戦闘において、ミノフスキー・クラフトを搭載していないグスタフ・カールが落下に近い飛行や一度か二度の一撃離脱攻撃ができるだけ[28]なのに対し、ミノフスキー・クラフトを搭載している本機は戦場を縦横無尽に駆け巡って次々とグスタフ・カールやケッサリアを撃破した。
- この装置によりΞガンダムは前進中であっても、メッサー一機の重量程度なら、背中に乗られても支える事が可能[29]。
- 前述のビーム・バリアーも併用することにより、大気圏内でMS形態のまま音速飛行が可能となっている。
武装
- ビーム・ライフル
- →詳細は「ビームライフル (ガンダムシリーズ) § 宇宙世紀におけるビームライフル」を参照
- 専用のビーム・ライフル[17]。右マニピュレーターに装備する[28]。外圧に対し、十分な強度がある[30]。
- 過去のものに比べ初速が倍近くあり[28]、一射すると丸い光が放たれ、容易くグスタフ・カールを破壊する[28]。
- ペーネロペーとの戦闘で、ビームを発射直後にライフル本体を海面スレスレに飛ばすという、囮として使われ紛失する[31]。ペーネロペーとの三度目の戦闘では、サンド・バレルにより損傷すると、すぐさまメイン・エンジンからエネルギー・パックへのチャージが行われそのまま放出、パックが過圧により爆発して目眩ましに使われた[32]。
- ゲームなどでは、右マニピュレーターに装備されている。
- ビーム・サーベル
- →詳細は「ビーム・サーベル § 宇宙世紀におけるビームサーベル」を参照
- 両肩にマウントされたトーチからメガ粒子を発振させる事で、敵機を両断する[2]。使用時には、モニターの左部分に、サーベルの行動曲線が描き出される[33]。
- ペーネロペーとの戦闘では、シールドの影のマニピュレーターの手首から発振させている[34]。
- シールド
- 専用のシールド[17]。左マニピュレーターで保持される[34]。外圧に対し、十分な強度がある[30]。
- メガ粒子砲の直撃も防ぎきり、その際にはシールドが焼けて溶解した金属粒子と強化プラスチック中の繊維が灼熱した糸となり、大気中に四散した[34]。
- 裏面には、ミサイルが装備されており、追尾してくる敵に対し有効で、連射が可能[35]。
- 腕部ミサイルランチャー、脚部ミサイルランチャー、膝部大型ミサイルランチャー
- 機体各所に搭載されたミサイルランチャー[2]。弾頭は、大型ではない[36]。
- 爆撃に使用され、音速飛行時から、ミサイルの射程に入った所で、急減速をかけて、アデレート空港へ全弾を叩き込んだ[24]。
- ファビオ・リベラ達により、第二・第三の爆撃が行える量のミサイルが補給された[37]。
- ファンネル・ミサイル
- →詳細は「オールレンジ攻撃 § ファンネル・ミサイル」を参照
- 脳波コントロールされる[38]、ホーミングミサイル[18]。意識を一点に集中させる事で[38]、対象のピンポイントな部分へ飛ばす。
- 原作小説上巻の機体説明に記載はないが[2]、小説下巻で「ファンネル」と記載があり、使用されている[38]。
- 小説では形状が不明だったが、ゲーム『SDガンダムGGENERATION-F』参戦の際、新規にデザインが起こされた[17]。
- サンドバレル(Ξガンダム)
- 無数といえる鉛の粒を発射する[35]兵装。
- ミサイル、高性能の弾丸による攻撃に対し、バリアーとなる[35]。五十パーセントの確率で有効だが[20]、使用が早すぎた場合は、敵の第二第三の攻撃に無用の物となる[35]。
- 肩部メガ粒子砲
- 原作小説には未登場。ΖΖガンダムのハイ・メガ・キャノンのような大口径砲口型の大出力メガ粒子砲を、両肩(肩に存在する三角形のパーツの胴体側に近い所の、台形型の出っ張った部分)に1基ずつ搭載している。発射時には両肩のパーツが展開し、砲部が露出する。
- アクションゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』シリーズでは、ビーム・サーベルの収納部分の先端からビームが発射されるように描かれている。
- マイクロ・ミサイル・ポッド
- 原作小説には未登場。腰部後方に尻尾のような形で増設され、追加ブースターとしての役割も持つ。全弾発射後はデッドウェイト化を避けるために切り離される。
- 初出は2012年のゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス フルブースト』。2013年にはアクションフィギュア『ROBOT魂』で立体化された。『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』シリーズでは「バーストアタック」の際に使用し、シミュレーションRPG『スーパーロボット大戦V』では条件で入手できる隠し武装として登場する。
劇中での活躍
月でのテスト飛行を経た本機は、ハサウェイの手で旧世紀時代のスペースシャトルそのままのカーゴ「ピサ」に積み込まれ、地球へ移送される。インドネシア・ハルマヘラ島沖に降下するピサはキンバレー部隊によって捕捉されており、設定された着水ポイントに向かってひたすら降下を続けるが、それは接近しているレーン・エイムの駆るペーネロペーにより、本機が破壊されるか奪取されることを意味していた。やむなくハサウェイは地球での実戦テストがまだだった本機を空中で受領し、起動させて着水間際のピサから脱出すると、機体へ接触しないよう警告を出す。警告を聞かずに攻撃を仕掛けてくるグスタフ・カールにすぐさま反撃し、撃墜する。そして人質にされたガウマン・ノビルに気付くと、レーンを挑発する事で、ガウマンを解放させ、救出に成功する。コクピットにガウマンを収容するが、今の状態ではロクに体を支えるものも無く、格闘戦など行えばガウマンが致命傷を負う恐れもあった[39]。ビーム・ライフルを囮にした一撃離脱戦法を取る事となり、急速接近してからのミサイルの集中攻撃で、ペーネロペーを撃墜する。そのまま後退した本機は戦闘空域を離脱し、低空飛行のまま支掩船ヴァリアントに収容された。
キンバレー部隊との山間部での戦闘では、ミノフスキー・クラフトの性能を存分に活かし、重力下の空戦能力が劣るグスタフ・カール三機を容易く撃墜し、後退をかけるグスタフを次々と狙撃していった[40]。
アデレード空港を襲撃した際には、あらかじめミノフスキー粒子を四方に散布して侵攻方向を攪乱した上で[41]、西の海上八〇キロからヨーク半島を飛び越えてマッハ2以上の速さで侵入[24]。これは常識ではありえない飛行であった事から[24]、防衛を任されていたケネス・スレッグの虚を突く事に成功し、そのまま空港へミサイルを全弾叩き込むと戦闘空域から離脱していった[24]。放たれたミサイルは、モビルスーツの支援物資の保管倉庫群に被害を与え[42]、綜合警備本部まで揺るがせた[36]。再び戦闘空域に現れるとペーネロペーを牽制し[43]、結果として閣僚の半分を粛正する事に成功する[44]。
マフティーの仲間達が逃げる時間を稼ぐ為、もう一度アデレートへ爆撃をする為[37]出撃。突撃すると瞬く間にグスタフ・カールを二機撃墜[45]、すぐさまもう一機を撃墜する[46]。その脅威はモニタリングしている地球連邦軍のチェッカー・マン達でさえ驚きの声を上げる程であった[46]。
ペーネロペーとは、ファンネルやビーム、サーベルを交えた激闘を展開。そのまま南の防衛線上に追い上げられるが[47]、ビーム・ライフルをサーベルで両断し、後退するペーネロペーを追いかける[48]。そのままサーベルで致命傷を与えられるはずだったが、次の瞬間、地上に設置されたビーム・バリアーに包まれ機能を停止[49]。木々をクッションにするようにして地面へ墜落すると、ペーネロペーのビーム・サーベルにより、手の部分に埋め込まれたエネルギー・チューブやバーニアを溶解される[49]。両方のマニピュレーターを左右に広げるように硬直した状態で[49]、レーン・エイムにコクピットを開かれると、気を失ったマフティーの顔を確認される[50]。
バリアーの直撃で機能を停止し四日経った後もガンダムは[22]、アデレート空港の比較的被害の少なかった場所に鎮座され[10]、地球連邦軍のメカニックマンにより調査が行われていたが製造工場は未だに不明だった[10]。顔は煤塗れで[51]、装甲全体はうっすらと焼け爛れているように見えたが、内面的なダメージは少ないようにも見え、コクピット内のディスプレーもヒビ割れてはいたが、すぐに使用出来るようにも見えた[52]。しかし、手の部分は焼けてダンゴ状になっており痛々しく、左右に水平に開いたままのマニピュレーターは、まるでガンダムが十字架を背負っているように見せていた[52]。
他作品への登場
- 『ガンダムビルドファイターズトライ』
- 2015年放送のテレビアニメ。最終話に、公式サイトの総選挙で選ばれた機体として本機のガンプラが登場する[53]。
オデュッセウスガンダム
オデュッセウスガンダム[54] ODYSSEUS GUNDAM[4] | |
---|---|
型式番号 | RX-104[54] |
搭乗者 | レーン・エイム |
原作小説に登場するペーネロペー(後述)の本体として設定されたガンダム。原作小説には、この機体は存在しなかった。設定の初出は2001年にムービックより発売された「ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR」[54]で、機体の一部が公開された。また同年11月の『機動戦士ガンダム/ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編』では、全身の線画が掲載された[55]。
2014年のアーケードゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス マキシブースト』で初めて機体の全形が公開された。ペーネロペー時に一定のダメージを受けると、フライトユニットがパージされる形でオデュッセウスガンダムとなる。この間はファンネルミサイルなどのフライトユニット依存の武装が使えず弱体化するが、一定時間が経過すると再装着されてその後はいくらダメージを受けてもパージされない(ただし、撃墜されてからの再出撃後に一定ダメージを受けると再びパージされる)。
本機の名称の由来は、アナハイム製ガンダムの開発開始から20周年であること、”MS”へのミノフスキー・クラフト搭載まで20年かかったことを、トロイア戦争終結後に20年間の冒険と放浪を余儀なくされた英雄オデュッセウスにかけたものである[54]。
概要(オデュッセウスガンダム)
本機は、”推力”に頼らない浮遊システムであるミノフスキー・クラフトの搭載を可能とした機体であり、宇宙世紀0104年にロールアウトした[54]。重力下のMSの運用においては、展開速度の低さが致命的な問題だったが、それらの問題を一挙に解決する手段がミノフスキー・クラフトの搭載だった[54]。
当時の標準的なサイズより一回り大きい機体でありながら、”MS形態のまま”空中戦が可能となっている。また、フライト・ユニットを装着することにより、さらなる高機動戦闘に対応して超音速飛行も可能となる[54]。重力下で有効な精神感応兵器であるサイコミュミサイルを標準武装としており、旧世紀の誘導兵器よりも確実なピンポイント攻撃が可能である。
機体各部(オデュッセウスガンダム)
- 頭部
- 頭部は、高々度における高速飛行時の長距離センサー、フライトユニットとのドッキングシーケンサー、サイコミュミサイルを誘導するためのサイコウェーブ端末などが渾然一体となっている。特にパイロットの知覚を補助するデバイス、シーカーなどが各所に配置されている[54]。
- 体部
- ボディユニット部分は、フライトユニットなどのオプション装備を”着る”ことが前提となっており、機体各部のアライメントは必要に応じて調整が可能になっている[54]。
- 背部や肩部のドッキングクローは、1基あたり自重の5倍以上の重量物を懸架でき、空中での高機動戦闘時の衝撃にも耐えられる[54]。
オプション装備
本来の計画ではフライトパーツ自体も数種が検討されており、運用条件に対応するいくつかのバージョンが計画されている[54]。
- フライトユニット (Flight-unit)
- 単機能のフライトユニットを装着した状態 (Fixed) のFFタイプは、ペーネロペーと呼ばれる[54]。
- 空中戦において、オデュッセウスはフライトユニットを装着することで真価を発揮する。ユニットの機首にドップラーレーダーをはじめとした高性能のセンサーやシーカーが搭載されており、超音速領域での飛行や戦闘において使用される[54]。
- 本体から展開する立方格子にバイアスをかけることにより、機体各所の形状ごとに整流作用をもたらして各部の流体抵抗を結果的に減免する効果を発揮する[54]。
- 前述のとおりオデュッセウスそのものが後付けで設定されたため、原作小説には未登場。
- アルゴスユニット
- オールレンジ攻撃が可能なビット兵器装備のユニット[54]。開発途上であるとされている[54]。
- 原作小説には未登場。
ペーネロペー
ペーネロペー[56] PENELOPE[56] | |
---|---|
型式番号 | RX-104FF[54] |
全高 | 32.5 m[5] |
頭頂高 | 26.0 m[4] |
本体重量 | 36.4 t[4] |
全備重量 | 112.0 t[4] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[4] |
出力 | 4,050 kW[4] |
推力 | 168,000 kg[4] |
センサー 有効半径 |
32,000 m[4] |
武装 | バルカン砲[4] ビーム・サーベル×2[4] ビーム・ライフル[4] ミサイル×32[4] シールド[4] メガ粒子砲×2[4] ファンネル・ミサイル×34[4] |
特殊装備 | ビーム・バリアー[4] |
搭乗者 | レーン・エイム |
対マフティー部隊「キンバレー隊(キルケー部隊)」に配備された、地球連邦軍初のミノフスキー・クラフト搭載機[55]。大出力のミノフスキー・クラフトを装備しており大気圏内のモビルスーツの運用を一変させる機種として期待されている[56]。パイロットはレーン・エイム中尉[55]。
機体の外観は、巨大で鈍重に見える[57]。Ξガンダムとの最終戦では、外装の一部[58]とフライング・フォームを維持する際のミノフスキー粒子散布パーツを外し[59]、その姿は如何にも軽快で白兵戦で能力を充分発揮するように見えた[59]。その時の戦闘により、全面の装甲がズタズタになった[47]。
自重による倒壊がない程度には強度が保証されているが[60]、武器庫の誘爆により直立した状態から機体が倒れた際には[61]、フライング・フォームに変形する部分に異状をきたした[60]。
設定の変遷(ペーネロペー)
初出である小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』における解説では「新鋭モビルスーツ。機体設計思想そのものにはガンダム系モビルスーツの名残りを残している」とされており[56]、ガンダムではなかった。
2000年のゲーム『SDガンダムGGENERATION-F』に小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が初めて登場することとなり、森木靖泰により、本機のデザインが一新され、立体映えするシルエットとなった[17]。
2001年の『ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR』ではオデュッセウスガンダムにオプション装備のフライトユニットを装着した状態FFタイプがペーネロペーと呼称されると設定されており[54]、以後定着した[6]。 また、同年の11月に刊行された『機動戦士ガンダム/ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編』では、オデュッセウスガンダムのフロントとリアの線画が掲載された[55]。
2000年の『SDガンダム GGENERATION-F』では準サイコミュ機と設定されており、2012年の『SDガンダム GGENERATION OVER WORLD』までのプロフィールモードでは一貫してこの設定だった。しかし、2016年の『SDガンダム GGENERATION GENESIS』で修正された。
形態
- モビルスーツ形態
- 接近戦を想定している時に使用される[61]。
- フライング・フォーム
- 小説では、言及されるが未登場。フライト・フォームとも呼称される[61]。
- この形態になるには、機体のある部分を可変させる[60]。フライング・フォームを維持するには、ミノフスキー粒子を散布するパーツが必要[59]。
- 2000年の『SDガンダム GGENERATION-F』以後の設定では、高速飛行時の形態を指す[6]。この形態では、胴体前面装甲と頭上の機首を閉じる[6]。
機体各部(ペーネロペー)
- メーンセンサー
- 頭部に設置されている[56]。
- マルチセンサー
- メーンセンサーの下に搭載されたセンサー[56]。先端部に、バルカン砲を装備している[56]。
- モノアイ
- コクピットより、前方下部に設置されている[56]。高速飛行時は、これがメーンカメラになる[56]。
- ファンネルミサイルラック
- 頭部の背後上方に設置されている[56]。
- 肩部メーンミノフスキー・クラフト発振器
- 肩に設置されたミノフスキー・クラフトの発振器。
- コクピット(ペーネロペー)
- 機体中央の部分[56]。
- シートには三重のショック・アブソーバが搭載されている[62]。しかし、機体のどこかが不調であれば、最大加速時にかかる大気圧の振動がショック・アブソーバを乗り越え、パイロットを揺さぶってしまう[62]。
- メイン・ノズル
- ミノフスキー・クラフトと共に稼働させ、出力をあげると、排気ガスを排出する[60]。
- 足部
- 足部にも、フライトユニットが装着される。これはユニット単独での飛行時には、上半身ブロックのユニットへ装着される[54]。上半身の肩部と同様に、高効率のレイヤースラスターにより、既存のジェット/ロケットエンジンを凌駕する推力を機体にもたらす[54]。
- 脚部ミノフスキークラフト
- 脚部後方に設置されたミノフスキークラフト[56]。
機能(ペーネロペー)
- ビーム・バリアー(ペーネロペー)
- →詳細は「ミノフスキー粒子 § ビーム・バリアー」を参照
- ミサイルや大気圏突入時の熱、ビームから機体を保護するバリアー[21][63]。音速飛行時には、機体の進行方向にビームを放射し、大気干渉を拡散させ、音速を突破させる技術を指す[26]。
- 本機は開発時にこの音速突破技術を検討しており、結局完璧にする事は出来なかったが、それでも音速の突破は可能[26]。小説中では、どういった部分が不完全か明かされなかった。
- Ξガンダムはこの技術を完成させていて、ペーネロペーの方は単純にその技術開発に負けているが、それは技術開発の背景にある組織の問題である[26]。
- 『SDガンダム GGENERATION-F』以後の設定では、本機は空気抵抗軽減用ビーム・バリアーの完成度が低いため、「フライトフォーム」に変形する必要がある[6]という事になっている。
- ミノフスキー・クラフト(ペーネロペー)
- →詳細は「ミノフスキー粒子 § ミノフスキー・クラフト」を参照
- 背部まで伸びたパーツ[56]。マルチセンサーと一体化している[56]。Ξガンダムのものと比べても、その性能は劣っていない[64]。
- この装置とメイン・ノズルの出力をあげて、移動する[60]。
- この装置により、飛行時の高速方向転換が可能[56]。
武装(ペーネロペー)
- バルカン砲
- マルチセンサーの先端部に接近戦用のものが4門装備されている[56]。
- ビーム・ライフル(ペーネロペー)
- 専用のビーム・ライフル[55]。Ξガンダムのものにサーマルジャケットを追加したような形状[55]。
- サイコミュとのシンクロドライブも可能で、”視覚的に”見えていなくとも”知覚”したターゲットを攻撃することもできる。ただし、それには高いNT能力が必要とされる[54]。
- 原作小説では特に目立った記述はない。
- ビーム・ユニット
- 本体であるオデュッセウスガンダムが腕部に持っているバックラー(ショートシールド)状のビーム・ユニット[54]。
- ビームサーベルとメガ粒子砲が装備されている[54]。
- 原作小説には未登場。
- ファンネルミサイル(ペーネロペー)
- 最新のビット兵器。パイロットが認識した複数のターゲットへの同時攻撃が可能で、あくまでワンウェイの兵器として運用される[54]。
- 形状はΞガンダムと共通[55]。
- 機体上部の背部に設置されている細長いパーツが「ファンネルミサイルラック」となっている[56]。『GジェネレーションF』では腕のシールドから発射される。
- ファンネルの操作にパイロットが集中しているかどうかが命中率に影響するため、空港の爆発によって集中が乱された時には、ガウマン機に全弾回避されてしまった[65]。しかし、操作に集中した時には、一撃でエメラルダ機を撃破した[62]。
- サンドバレル(ペーネロペー)
- 本体であるオデュッセウスガンダムが装備している特殊なショットガン[54]。
劇中での活躍(ペーネロペー)
マフティー側のΞガンダム投入より一足先に地球に降下しており、レーン・エイムにとって初陣であるタサダイホテル近くの戦闘では、中空で浮遊したと見えた瞬間にガウマンの搭乗するメッサーの頭部を蹴り飛ばし、グスタフ・カールとの連携で機体の鹵獲に成功する。インドネシア・ハルマヘラ島沖で未確認の機体と接触を図ろうとするマフティー側の動きを察し、ケネス・スレッグ大佐からの命令でガウマンを人質に取った作戦行動に移るが、マフティーの挑発を受けてガウマンを解放し、対等な条件での戦いにこだわる。その結果、海上付近でライフルを囮にされたことを見抜けず、Ξガンダムのミサイルの集中攻撃によって撃墜されるが、奇跡的にレーンは生き残る。
修理された本機とともにその後はマフティーの追撃任務に入り、Ξガンダムとは別に行動していた敵側旗艦ヴァリアントを轟沈させるなど、戦果をあげる。オーストラリア・アデレートの連邦中央閣僚会議をマフティーに襲撃されてΞガンダムと再戦した時には、フライング・フォームを維持する時のミノフスキー粒子を散布するパーツを外し、出撃する。レーンは機体とパイロットの差をものともぜずΞガンダムに食らいつくが、やがて徐々に形勢不利となっていく。しかし、ケネス准将の指示したビーム・バリアーの予定ポイントまでΞガンダムを誘導することは達成したため、作戦は成功する。
デザイン
リファインされたデザイン画では脛前側アーマーが取り付けられておらず、内側に配備された爪先が省略されている。
Ξガンダムと同じく操縦席はνガンダムと同じであることが、ゲーム『SDガンダム GGENERATION WARS』および『SDガンダム GGENERATION GENESIS』で判明している。
メッサー
メッサー MESSER[注 1] | |
---|---|
型式番号 | Me02R[注 2] |
所属 | マフティー・ナビーユ・エリン |
製造 | アナハイム・エレクトロニクス社 |
頭頂高 | 23.0 m |
本体重量 | 31.0 t |
全備重量 | 68.8 t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
出力 | 3,340 kW |
推力 | 80,000 kg |
センサー 有効半径 |
19,300 m |
武装 | バルカン砲 ビーム・ライフル ビーム・サーベル グレネード・ランチャー |
搭乗者 | エメラルダ・ズービン ガウマン・ノビル レイモンド・ケイン シベット・アンハーン マフティー兵 |
マフティーの量産型MS。ジオン軍の設計思想を受け継ぐ重装甲機で、メインカメラはモノアイタイプを使用している。側頭部には3基のバルカンが装備され、地上戦では右肩のスパイク付きシールドで敵MSを吹き飛ばすことができる[注 3]。小説中で全編に渡って活躍し、サブフライトシステム「ギャルセゾン」との連携によって空中戦も行う。
小説版のメカニックデザインは森木靖泰。のちに『閃光のハサウェイ』が『SDガンダム GGENERATION-F』に登場する際に藤田一己の手によるデザインに変更された。
小説では開発元について言及されていないが、『GジェネレーションF』以降の設定ではアナハイム社が開発したとされている[68][69]。特にギラ・ドーガ系をベースにしているという情報を掲載している書籍もあり、アナハイムがテロ組織へ関与していることを隠蔽するため外装には手を加えているとの推測がされている[70]。
劇場版では既存のデザインの機体は「F01型」と呼称されている[71]。
- ギャルセゾン
- メッサーが地上での飛行に使用するベース・ジャバー(サブフライトシステム)。
グスタフ・カール
グスタフ・カール GUSTAV KARL[注 4][72] (またはGUSTAV-CARL[55]) | |
---|---|
型式番号 | FD-03[72] |
頭頂高 | 22.0 m |
本体重量 | 29.0 t |
全備重量 | 60.0 t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
出力 | 3,425 kW |
推力 | 79,500 kg |
センサー 有効半径 |
21,300 m |
武装 | 頭部バルカン砲 左腕部グレネード・ランチャー ビーム・サーベル ビーム・ライフル |
搭乗者 | エイレン 地球連邦軍一般兵 |
ジムやジェガンの設計思想の延長線上に位置するとされる汎用型MS。基本的スペックは、ガンダムタイプにも通じる高さを誇っているが、大気圏内での自力飛行は不可能で、サブフライトシステム「BJ-K232[73][68] ケッサリア」への搭乗が必要と設定されている。キンバレー隊(ケネス大佐の着任後はキルケー部隊に改名)をはじめ、地上の治安部隊を中心に配備された[68]。
量産機の汎用性を維持しつつ、機体の大型化と重装甲化を目的として開発が行われた[72]。これによる重量の増加に合わせて大出力のジェネレーターを搭載し[72]、なおかつ機動性と運動性の確保のために、機体各所に多数のスラスターや姿勢制御用バーニアが配されている[72]。また運用性の維持のため、固定装備を減らす代わりに、連邦軍系MSが使用する標準的な武装が使用できる[72]。これらの設計により、ジェガンを超える高性能機として、宇宙世紀0096年には先行運用が開始され、シャイアン基地には2機配備されていた[72]。翌0097年には正式配備が決定したとされ、バリエーション機の軽装型も存在するという[72]。
初出である小説『閃光のハサウェイ』でのデザインは森木靖泰の手によるもの。この時は白黒イラストのみ掲載だったことから、カラーリングは不明だった。一方、ゲーム『SDガンダムGジェネレーションF』への登場時には藤田一己によってリデザインされた[17]。その際、デザインは全身のボリュームの変化と全体的な形状の変更、頭部アンテナの有無、脹脛部分にあったビーム・サーベルの変更などにより、ほとんどが別物になっている。
ゲーム『Gジェネ』以降、ビーム・ライフルはジェガンと同一のものを使用している。『SDガンダムGジェネレーションF』以降カラーリングはブルー系になっており、ジム系にしては珍しい機体色となっている。
書籍『ガンダムMSグラフィカ』では、藤田によるリデザイン後のデザインで、宇宙世紀0097年にEARMへ流出した機体が登場する。
ドーラ・カール
ムック『ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編』には『GジェネF』版の設定画が掲載されているが、本書には一般機の「ドーラ・カール」と指揮官機の「グスタフ・カール」を区別する設定と画稿が掲載されている。ドーラ・カールは左のガトリングの後方に、グスタフ・カールは眉間の右側にアンテナがついており(全身画稿はグスタフ・カールのもの)、グスタフ・カールのほうが通信機能が強化されている[55]。この設定は原作小説には無いもので、実際のゲームでもドーラ・カールの存在を設定として記載したことはないが、ゲーム中に登場する「グスタフ・カール」には、実際はドーラ・カールの頭部デザインが長らく採用されていた(『F』から『オーバーワールド』まで。『ジェネシス』では指揮官機のデザインを採用)。
グスタフ・カール(先行配備機)
作中の時系列では『閃光のハサウェイ』より9年前の宇宙世紀0096を舞台とした『機動戦士ガンダムUC』のアニメ版[74]にて初登場。こちらでは先に登場したジェガンの発展機ジェスタとは別ラインで開発された[72]という設定が付加されており、試験運用中の機体が登場する。シャイアン基地での警戒中、降下したラー・カイラムから発進したジェスタ部隊により、ほとんど抵抗できずに武装解除される[注 5]。
デザインはゲーム『SDガンダムGジェネレーションF』にほぼ準じているが、カラーリングはロージビリティー風のグレー系で、左側頭部のバルカン砲が『GジェネF』版では1門[55]だったのに対し、『UC』版では縦に2門[75][72]となっている。フレシキブル・シールドは、バックパックの可動アームに接続する方式となっている[72]。操縦席には、同作のジェガンD型やリゼルなどと同じものが使用されている。
『UC』の1年後を描くアニメ『機動戦士ガンダムNT』にも登場する。武装がビームライフルから90mmショートマシンガンに変更されていること以外に『UC』の登場機体との違いは無い。
脚注
注釈
出典
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 276.
- ^ a b c d e f g h i j 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 9.
- ^ a b ニュータイプ9008 1990, p. 13.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak MS大全集2013+線画設定, p. 83.
- ^ a b GFF0025 Ξ GUNDAM- 商品パッケージ
- ^ a b c d e MS大全集2013+線画設定, p. 326.
- ^ a b c ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編, p. 62、132.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 77、79、83、89、90.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 129、131.
- ^ a b c d e f 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 172.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 152.
- ^ a b c d e ニュータイプ1990-08, p. 13.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 275.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 148.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 290.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 56.
- ^ a b c d e f ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編, p. 132.
- ^ a b ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編, p. 62.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 31.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 41-42.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 42.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 153.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 152-153.
- ^ a b c d e f 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 72.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 79-80.
- ^ a b c d e 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 80.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 278.
- ^ a b c d 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 282.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 110.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 32.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 298.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 138.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 285.
- ^ a b c 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 284.
- ^ a b c d 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 41.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 74.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 105.
- ^ a b c 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 137.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 292.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 48-49.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 71.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 73.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 89-91.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 96.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 128.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 129.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 144.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 145.
- ^ a b c 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 146.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 146-148.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 174.
- ^ a b 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 173.
- ^ スペシャル | ガンダムビルドファイターズトライ
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y ANAHEIM 2002 CALENDAR, p. 7.
- ^ a b c d e f g h i j k ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編, p. 133.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 小説『閃光のハサウェイ (上)』, p. 11.
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- ^ a b c 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 125.
- ^ a b c d e 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 78.
- ^ a b c 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 76.
- ^ a b c 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 88.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 102、153.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 85.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 86-87.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 28.
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (中)』, p. 13.
- ^ a b c 『SDガンダム GジェネレーションF』プロフィールモードの解説。
- ^ MS大全集2003, p. 110.
- ^ MS大全集2009, p. 272.
- ^ 「HGUC メッサーF01型」
- ^ a b c d e f g h i j k HGUCグスタフ・カール(ユニコーンver.)- 組立説明書
- ^ 小説『閃光のハサウェイ (下)』, p. 8.
- ^ OVAのepisode7、「RE:0096」の18話
- ^ 機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールドep7, p. 44.
参考文献
- 小説
- 小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
- 富野由悠季『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ (上)』(初版)角川書店、1989年2月28日。ISBN 978-4-04-410131-2。
- 富野由悠季『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ (中)』(初版)角川書店、1990年4月1日。ISBN 978-4-04-410132-9。
- 富野由悠季『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ (下)』(初版)角川書店、1990年5月1日。ISBN 978-4-04-410133-6。
- 小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
- 逐次刊行物
- カレンダー
- 『ANAHEIM ELECTRONICS GUNDAM HISTORY 2002 CALENDAR』
- 書籍
- 『機動戦士ガンダム/ガンダムウェポンズ ニュージェネレーション編』株式会社ホビージャパン、2001年11月30日。ISBN 978-4-89-425260-8。
- 『機動戦士ガンダムMS大全集2003』メディアワークス、2003年3月。ISBN 4-8402-2339-4。
- 『機動戦士ガンダムMS大全集2009』アスキーメディアワークス、2009年8月。ISBN 978-4-04-867973-2。
- 『機動戦士ガンダムMS大全集2013〔+線画設定集〕』アスキーメディアワークス、2012年12月1日。ISBN 978-4-04-891216-7。
- 『機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールドep7』双葉社、2014年10月。ISBN 978-4-575-46482-5。
- プラモデルキット
- 『HGUC 1/144 グスタフ・カール(ユニコーンver.)』バンダイ、2019年2月16日。
- 玩具商品
- 『GUNDAM FIX FIGURATION #0025 RX-105 Ξ GUNDAM [RX-104FF PENELOPE]』バンダイ、2005年5月。