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「ガンキャノン」の版間の差分

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漫画・OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。名称はOVA版で設定された。
漫画・OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。名称はOVA版で設定された。


[[テム・レイ]]の指揮下で開発された[[アナハイム・エレクトロニクス|アナハイム社]]初の量産型二足歩行機動兵器。ロールアウトした1号機は白を基調に塗装されている。後のガンキャノンと異なり、キャノンは左肩に1基装備され、右肩には小型のガトリング砲が装備されている点が特徴。手にはライフル([[ジム改]]の90mmブルパップ・マシンガンと同形状)を携行する。アナハイムや連邦軍のMSに対する認識の甘さから、もっぱら歩兵や軍用車両の掃討を想定した設計であり、対MS戦はほとんど考慮されていない。テムはこの機体にまったく満足しておらず、「これはMSと呼べるものではない」とまで言い切る。
[[テム・レイ]]の指揮下で開発された[[アナハイム・エレクトロニクス|アナハイム社]]初の量産型二足歩行機動兵器。ロールアウトした1号機は白を基調に塗装されている。後のガンキャノンと異なり、キャノンは左肩に1基装備され、右肩には小型のガトリング砲が装備されている点が特徴。手にはライフル([[ジム改]]の90mmブルパップ・マシンガンと同形状)を携行する。アナハイムや連邦軍のMSに対する認識の甘さから、もっぱら歩兵や軍用車両の掃討を想定した設計であり、対MS戦はほとんど考慮されていない。テムはこの機体にまったく満足しておらず、「これはMSと呼べるものではない」とまで言い切る。


一年戦争開戦以前の[[機動戦士ガンダムの登場人物 ジオン公国軍 (た行-わ行)#トレノフ・Y・ミノフスキー|ミノフスキー]]博士亡命事件では、「鉄騎兵中隊」に12機が配備されている。塗装はブルー・グレーを基調とし、隊長の[[機動戦士ガンダム THE ORIGIN#エルドゥシュ|エルドゥシュ]]中尉機は機体番号のマーキングが白から白フチの赤に変更されている。月面にて[[ザクシリーズのバリエーション#ブグ|ブグ]]1機と[[ザクI#『機動戦士ガンダム_THE_ORIGIN』におけるザクI|ザクI]] 4機の部隊と交戦するが、一矢も報いることができずに全滅させられたうえ、ミノフスキー博士も攻撃の影響で倒れ込んできた本機の下敷きになり死亡する。この「スミス海の虐殺」事件で、アナハイム社はジオニック社に対するMS技術や設計思想の遅れを認識させられ、テムは対MS戦に主眼を置いた新型MS「ガンダム」の開発に着手する。
一年戦争開戦以前の[[機動戦士ガンダムの登場人物 ジオン公国軍 (た行-わ行)#トレノフ・Y・ミノフスキー|ミノフスキー]]博士亡命事件では、「鉄騎兵中隊」に12機が配備されている。塗装はブルー・グレーを基調とし、隊長の[[機動戦士ガンダム THE ORIGIN#エルドゥシュ|エルドゥシュ]]中尉機は機体番号のマーキングが白から白フチの赤に変更されている。月面にて[[ザクシリーズのバリエーション#ブグ|ブグ]]1機と[[ザクI#『機動戦士ガンダム_THE_ORIGIN』におけるザクI|ザクI]] 4機の部隊と交戦するが、一矢も報いることができずに全滅させられたうえ、ミノフスキー博士も攻撃の影響で倒れ込んできた本機の下敷きになり死亡する。この「スミス海の虐殺」事件で、アナハイム社はジオニック社に対するMS技術や設計思想の遅れを認識させられ、テムは対MS戦に主眼を置いた新型MS「ガンダム」の開発に着手する。

2020年11月7日 (土) 11:22時点における版

ガンキャノン (GUNCANNON) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ (MS)」のひとつ。初出は、1979年放送のテレビアニメ機動戦士ガンダム』。

作中の軍事勢力の一つである地球連邦軍の試作機。両肩のキャノン砲と赤い重装甲が特徴の中距離砲撃用MSで、ガンダムガンタンクとは腹部のコックピットとなるコア・ブロックを共通とする。主人公アムロ・レイが所属するホワイトベース隊に配備され、おもにカイ・シデンが搭乗するが、アムロがガンダムの代わりに一時的に搭乗する場面もある。また、劇場版第3作ではハヤト・コバヤシもガンタンクから乗り換えるように変更された。

本記事では、外伝作品などに登場するバリエーション機についても解説する。

デザイン

メカニックデザイン大河原邦男による。ただしバリエーション機などについては、大河原のデザインをもとにほかのデザイナーが担当している場合もある。また、のちのガンダムシリーズにも本機のように肩(右肩のみの場合が多い)にキャノン砲を装備したMSが数多く登場している。

『機動戦士ガンダム』の企画案『フリーダム・ファイター』は、スポンサーの要請で当初予定していなかったロボットを登場させる方針に変更された[注 1]。これを受けて、1978年9月に[1]大河原が用途別にデザインした3体のロボットのうち「重砲兵型機動歩兵」が本機の原案となるが[2]、この時点で(携行武装のビーム・ライフルも含め)すでに決定稿と大差ないデザインであった。また、企画段階では本機が主役機になる予定だったとする文献もある[3]

設定解説

諸元
ガンキャノン
GUNCANNON
型式番号 RX-77-2
所属 地球連邦軍
製造 地球連邦軍
生産形態 試作機
全高 18.1m[4]
頭頂高 17.5m[5]
本体重量 51.0t[4]
全備重量 70.0t[5]
装甲材質 超硬合金ルナ・チタニウム[6]
動力源 核融合炉
タキムNC-7(メイン)[7]
タキムNC-3(コア・ファイター)[7]
タキムNC-3M(両脚部)[7]
出力 1,380kW[4](75,000馬力[8]
推力 22,600kg×2、1,650kg×4[9]
総推力51,800kg[4]
センサー
有効半径
6,000m
最高速度 78km/h[4]/100km/h[8]
武装 240mmキャノン砲
(標準装備:弾数20)×2
スプレーミサイルランチャー×2
60mmバルカン砲×2
ビーム・ライフル
ハンドグレネード
搭乗者 カイ・シデン
ハヤト・コバヤシ
リュウ・ホセイ
アムロ・レイ
ジョブ・ジョン

一年戦争V作戦により開発されたRXシリーズの1機で、同じRXシリーズであるガンダムやガンタンクと共通規格のコア・ブロック・システムが採用されている[10]

地球連邦軍初のMSガンタンクは、次世代の主力戦車 (MBT) として開発が進められていたRTX-44を急遽転用したものであったため、MSとしては機動性が低く種々の問題を抱えるであろうことは明らかであった。このため、続くこの機体では、ガンタンクにおいて発生した機動性の問題を解決すべく二足歩行型として開発に着手した[11]。このとき、地球連邦軍では二足歩行型試作ロボット「RXM-1」が開発されていたため、このデータを基に開発が進められた[11]

本機は装甲材にルナ・チタニウム合金が採用されており、これは後にガンダムにも採用された。ガンダムと比較して運動性よりも装甲厚を重視した設計となっている[12]。そのため、シールドは必要としない[13][注 2]。その機体強度は公国軍のMSの5 - 6倍とされる[15]。RX-78と比較して簡素な印象となる頭部は砲撃戦用のため、より複雑化したセンサーが導入されている[16]。このツインアイ構造は、後にRGM-79ジムに引き継がれた[17]

その走破性や機動性は重力下での運用に耐用するレベルのものである[18][注 3]。ガンダムと比較して重量増となったものの、背部ランドセルに装備されたスラスターにより、ジャンプやごく短時間の飛行は可能としている[19]。また、運用構想において、白兵戦用のガンダムや長距離支援用のガンタンクと連携して中距離からの援護砲撃を行う運用を前提としたため、運動性の低下から近接戦闘用のビームサーベルは装備していない[10]。コア・ブロック・システムの採用と相まって、ザクの4倍はコストがかかっているといわれている[20]

こうして完成したガンキャノンは、ジオン公国軍のMSと比べても引けを取らないものとなり、初期試作型のRX-77-1に続いてRX-77-2として本機が6機製作され、そのうち3機がテストのためにサイド7へ送られた。その後、テスト中にジオン公国軍の強襲を受けて2機が破壊され、残った1機がホワイトベースで運用されることとなった[10]

ガンキャノン以降、肩に固定武装の中距離支援火器を取り付けるというアイデアは後々まで生き続け、直系のバリエーションの機体以外にも、ガンキャノン・ディテクターGキャノンなど、類似コンセプトの機体が後に登場する。

武装・装備

240mm低反動キャノン砲[注 4]
両肩に装備された砲。ビームではなく炸薬による実体弾を発射する[18]。低反動砲となっており、砲身周囲の水冷ジャケットによってザクマシンガンに匹敵する連射性能を誇る[16]。装弾数は40発前後[10]
12連装ロケット弾ポッド[23] / スプレーミサイルランチャー[18]
低反動キャノン砲に代わって両肩部に装備される。
ガンキャノンのオプションで、砲撃よりも弾幕の形成に有効な兵装[18]。試作段階まで進んだ装備で、接近戦において使用されるものだが、実用化に至らなかった[23][注 5]
ビームライフル
デバイスにはXBR-Lタイプを使用[18]。RX-78ガンダムに装備されたものと比較し、射程距離に差はないものの精密射撃が可能なモデルとなっている[16]。接近戦でも使用される装備[23]
ハンドグレネード
脚部ラックに収納される投擲型榴弾。劇中では劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』のア・バオア・クー戦で、要塞突入の際に使用される。
投擲の際はマニピュレーターを使用する[10]
60mmバルカン砲
頭部に装備する、近接防御用の兵装[16]
大気圏突入用装備
一部資料ではV作戦で試作された3種のRXシリーズのうち、ガンダムとガンタンクのみ、Bパーツ[注 6]腰部中央部分に「耐熱フィルムカプセル」があり、大気圏突入能力がある[19]とされているが、ガンキャノンにも大気圏突入機能が装備されているとする文献もある[24]
その他
初期稿では玩具用として本編とは別に武装がデザインされ、、右腕に「キャノンシールド」、両脚に「ポッドミサイル(4連装)」、左肩部に「ヒートジャック」と呼ばれるナイフ状装備、両肩部に「キャノンミサイル」、左手に「ガンナパーム」を装備したフル装備のイメージ画も描かれた[25]

劇中での活躍

テレビ版『機動戦士ガンダム』では、第1話のサイド7のコロニー内にてパーツ状態で初登場。ザクIIによる襲撃に遭い、破壊される。ホワイトベース (WB) の地球降下後の第8話では、サイド7で破壊をまぬがれて搬入されていた1機にカイ・シデンが搭乗して初出撃(なお、カイは第3話でガンタンクを操縦している)。以降はカイがメイン・パイロットを務めるが、第11話ではリュウ・ホセイが搭乗している。第16話では、セイラ・マスが無断でガンダムに搭乗して出撃したため、アムロ・レイが本機に搭乗してアコースザクIIを撃破したうえ、これまでにない肉弾戦を見せてコズン・グラハムのザクIIを行動不能にし、彼を捕虜にする。第22話では過労で倒れたブライト・ノアに代わって指揮を執るミライ・ヤシマの采配により、アムロとともにハヤト・コバヤシコア・ファイターで出撃するも、ドップの数の多さに後退して本機に換装する(ミライはガンタンクに換装するよう指示しているが、セイラは本機に換装するよう伝えている。なお、このときカイは対空機銃を担当)。第27話ではベルファストで一時的にカイがWBを降りたため、ハヤトが再搭乗する。宇宙に上がってからはカイが専任になり、ア・バオア・クー攻略戦でエンジンを喪失して同要塞に着底したWBの防衛に当たるが、ザクIIのバズーカの砲撃で右脚を失って横転し、放棄される。

劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では、ジャブローでの装備変更によってガンタンクと入れ替わりにもう1機が配備され、ハヤトが専任となる。識別のため、カイ機の左胸と左脛に "108"、ハヤト機に "109" の機体番号が記される(後述の小説版を踏襲)。ア・バオア・クーでカイ機はテレビ版と同様、ハヤト機は頭部を失って放棄される。同作品ではこの2機のほか、"203" の機体番号が記された「3機目のガンキャノン」が1カットのみ登場するが、パイロットなど詳細は不明。

続編のテレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』第13話では、宇宙世紀0087年にハヤトが館長を勤める戦争博物館に本機のレプリカが展示されている。機体番号は、前述の劇場版においてハヤトの搭乗機であった "109" ではなく、最初からWBに搭載されていたカイの "108" であり、テレビ版と劇場版のどちらの延長線上にあっても問題がない描写になっている。漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、ハヤトとフラウ・ボゥの結婚を記念して地球連邦軍から寄贈されたものであるとしている。

『めぐりあい宇宙』に登場した "203" の機体は、漫画『機動戦士ガンダム MSジェネレーション』ではサラミス級巡洋艦の搭載機として、"201" "202" とともに3機で登場。OVA『機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル』にも1機で登場し[26]エリク・ブランケが搭乗するゲルググを圧倒する動きを見せる。同作品でも同機のパイロットや所属部隊の詳細は設定されていない[26]

ゲームでは上記以外にも複数の機体が登場する。『機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079』のシナリオ「死にゆく者たちへの祈り」では、ゴビ砂漠に基地を構えるアルバトロス輸送中隊に6機が配備されるが、ゲーム開始時点では第2小隊の2機しか残っていない。ボルク・クライ大尉(のちにピクシーに乗り換えサマ・ニナ伍長と交代)とダバ・ソイ軍曹が搭乗するが、ジオン公国軍ウルフ・ガー隊ヘンリー・ブーン大尉が駆るイフリートに撃破される。

ゲーム『ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079』では、エイガー少尉率いる小隊の3機が登場し、公国軍の闇夜のフェンリル隊と交戦する。

ゲーム『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』のシナリオ「機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…」では、第16独立戦隊旗艦サラブレッドに3機が配備されている。漫画版によれば、パイロットはウェスリー・ナバーロダリル・ボイドカーク・ウォルバーグ

雑誌『SD CLUB』No.8-12に連載された漫画『機動戦士ガンダム 英雄伝説』では、宇宙世紀0094年に第二次ネオ・ジオン抗争で行方不明になったアムロを探すカイが、サイド1コロニー「シャングリラ」で、レストアされた本機でヤザン・ゲーブルが駆るギラ・ドーガと交戦する。

テレビアニメ『ガンダム Gのレコンギスタ』では、キャピタル・ガード養成学校の学術研究ライブラリー内にて、「前世紀のクラシック・コレクション」として他の発掘されたMSと一緒に展示されている。

設定の変遷

設定を追加していく段階で、資料によってはホワイトベースに搭載された機体が「RX-77-1」とされて型式が1つ繰り上げられ、以降の型式番号がずれているものが存在するため、注意が必要である。

e.x.『EB MS大図鑑Part.3』のRX-77Dの解説においては、重装型が77-2、IIが77-3と記載されている。

また、劇場版ではハンドグレネードを使用しているが、その装備場所は設定されていなかった。プラモデル『マスターグレード』でのキット化の際、脚部のラックに収納される設定が新たに起こされた。

バリエーション

RXM-1

メカニックデザイン企画『モビルスーツバリエーション (MSV)』に文字設定のみ登場。「研究用素体モビルスーツ」[28]、「試作素体モビルスーツ」[29]、「テストタイプロボット」[30]、「フルスケールテストタイプビーグル」とも呼ばれる[31]

ガンキャノンの前段階に試作された、連邦軍初の二脚歩行型MS[29]。回収されたザクのデータや、ジオンから亡命した技術者の協力により開発され[29]、バランサーのテストがおこなわれている[30]

なお、書籍『「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」映画「ミラーズ・リポート」フィルムコミック&OVAシリーズ・ストーリーブック』では、RXシリーズのベースとなったMSとして、開発関係者のみの通称として「ガンボーイ」と呼ばれる機体が文字設定でのみ登場する[注 7]。鹵獲したザクのデータをフィードバックして試作され、MSの限界性能および制御系のチューニングのテスト運用に供され、V作戦のデータ採取のために2ヶ月後に解体されている[32]

ガンキャノン初期型

『MSV』に文字設定のみ登場(型式番号:RX-77-1[28][29]。RXM-1の発展型にあたる機体だが、詳細は不明。

ガンキャノンA

諸元
ガンキャノンA
GUNCANNON A
型式番号 RX-77-1A
所属 地球連邦軍
製造 地球連邦軍
生産形態 試作機
頭頂高 17.5m[33]
本体重量 51.0t[33]
全備重量 72.0t[33]
装甲材質 ルナ・チタニウム[33]
出力 1,380kW[33]
推力 51,800kg[33]
センサー
有効半径
6,000m[33]
武装 キャノン砲×2[33]
ビームライフル[33]
60mmバルカン砲×2[33]
3連ミサイルポッド[33]

メカニックデザイン企画『M-MSV』(「モビルスーツコレクション 大河原邦男MS最新設定集」)で設定された機体。初出の『SD CLUB』第10号での名称は「ガンキャノン1A」。

ガンキャノンの試作段階でのバリエーションの1つ。接近戦用の装備を持たない代わりに厚い装甲を持つガンキャノンの機動力を極力落さない範囲で最大の効果をもつ装甲パターン[33]やオプション武装[33]のテストに使用されている。

ガンキャノン重装型

諸元
ガンキャノン重装型
GUNCANNON HEAVY CUSTOM
形式番号 RX-77-3
所属 地球連邦軍
ティターンズ
製造 ジャブロー
生産形態 量産機
全高 18.1m[4]
頭頂高 17.5m[4]
本体重量 58.6t[4]
全備重量 79.1t[4]
装甲材質 ルナ・チタニウム
出力 1,380kW[4]
推力 62,200kg[4]
センサー
有効半径
6,000m[要出典]
最高速度 69km/h[4]
武装 240mmキャノン砲×2(ビームキャノン説あり)
60mmバルカン砲×2
ビームライフル
ハンドグレネード
搭乗者 地球連邦軍一般兵
カイ・シデン(『Ζ Define』)

『MSV』で設定された機体で、のちに『機動戦士Ζガンダム』にも登場。

ジム・キャノンの開発過程で生まれた機体。[要出典]基本構造はガンキャノンそのままに、全面的に装甲を強化している。一部、キャノン砲を実弾式からビームキャノンに換装したテスト機がある[34](後述のビーム・キャノン装備型)。コア・ブロック・システムをオミットして生産性も向上させている。カラーリングは青と白にオレンジのアクセント。

連邦軍は砲撃型MSの部隊と通常装備のMS(ジム)部隊との有機的な連携運用を企図しており、本機は重装甲化により若干の機動力の低下は認められるものの、一年戦争終盤に予想された対要塞攻略戦等に威力を発揮すると期待されていた。

しかし、生産コストの高騰と戦争の早期終結により数機が生産されるに止まった。本機の運用テストデータはジム・キャノンIIの開発に利用されたともされる[35]

グリプス戦役時のジャブローにも配備されており、全天周囲モニター・リニアシートに換装され、手持ち武装もジムII用のビーム・ライフルとなっている。カラーリングは暗い青と青系のライトグレー。

後述の「RX-77-4」と同様に「ガンキャノンII」と呼ばれる場合があるが、その際本機は「重装型」として区別される[36]

劇中での活躍
『機動戦士Ζガンダム』にジャブロー防衛部隊の旧式機という設定で登場。ティターンズ側で運用され、エゥーゴのMSを攻撃した。後方からの支援砲撃ではなく、敵機にめがけて頭上からの跳び蹴りをくらわせるという荒技により戦闘を行っていた。
漫画『機動戦士Ζガンダム Define』ではジャブロー基地MS格納庫でカイ・シデンからエゥーゴ部隊と合流して脱出時搭乗、合流後に機体は放棄される。

ビーム・キャノン装備型

ガンキャノン重装型のバリエーション機。「ビーム仕様機」ともされる[37]。両肩の240mmキャノンの右側をビームキャノンに、左側を多目的精密照準システム(自動照準ユニット[37])に換装したもの。その他の部分は同じなため、型番は変更されていない。

設定画ではモノクロのみだが、ゲーム『機動戦士ガンダム0079カードビルダー』に登場した機体はMSV版のガンキャノン重装型と同じカラーリングとなっている。

ベアキャリア

BEAR CARRIER

書籍『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』に作例と設定を掲載(型式番号:RX-77-3B)。初出は月刊『モデルグラフィックス』1986年1月号で、ラフデザインは小田雅弘

大型化されたキャノン砲2門と給弾システムを内蔵したバックパックを装着しているほか、大型火器を携行する。また、バックパック下部にはキャノン砲発射時の安定に用いられるショット・ギアを装備。これに腰掛けるような姿勢で砲撃を行い、対地支援攻撃の際に効果を発揮する。なお、「ベアキャリア」の名は、本機のバックパックが通称「ベア」と呼ばれることに由来する。

一年戦争末期に製作され、実戦投入されるが直後に終戦となり、その後は重火砲型として試験に従事している。

ガンキャノン重装型タイプD

諸元
ガンキャノン重装型タイプD
GUNCANNON [Heavy Armed Type D][38]
型式番号 RX-77-3D
所属 地球連邦軍
生産形態 試作機
頭頂高 17.5m
重量 57.2t
武装 240mmキャノン砲×2
60mmバルカン砲×2
ビームライフル
ハンドグレネード
バルザック式380mmロケットバズーカ
ショート・シールド
搭乗者 マーヴィン・ヘリオット

メカニックデザイン企画『MSV-R』に登場。

ガンキャノン重装型の問題点であった機動性の低下に対し、バックパックと脚部にスラスターを2基ずつ増設することで克服[39]、さらに白兵戦用機に匹敵する汎用型としての運用も可能となっている[40]。装甲の強化も同時に行われており[41]、頭部にガンキャノン量産型と同様のチン・ガード[38]が追加されているほか、肩の増加装甲も同様に上面だけでなく前後面までを覆っている。なお膝部は通常のガンキャノンのものに差し戻されている。また、バルザック式380mmロケット・バズーカといった大型火器を携行する際には、ジャンプ時のカウンター・ウェイトとしてシールド(陸戦型ガンダムと同タイプ)の装備も義務付けられているという[39]

ロールアウト直後のガンキャノン重装型のうち1機を改修して製作され[39]、試験において高性能を示し制式採用が決定するが[39]、コストの高騰と[41]、直後のガンキャノンIIの完成により少数の生産に留まったと記録される[39]。そのうち1機が一年戦争後期の北アフリカ戦線で撮影されている[42]。塗装はイエローを基調に一部濃淡グレーが配され、『MSD』におけるガンキャノン機動試験型およびガンキャノン火力試験型と共通する[43]

小説『機動戦士ガンダム MSV-R ザ・トラブルメーカーズ』では、一年戦争終結直後の中央アジアの砂漠地帯で憲兵MS部隊所属の1機が登場する。

プレイステーション3用ゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』内のシナリオ「ミッシングリンク」では、第20機械化混成部隊「スレイヴ・レイス」のボマーことマーヴィン・ヘリオットが陸戦型ジムから乗り換える。部隊の共通カラーである濃淡グレーの低視認塗装が施されている。

ガンキャノンII

諸元
ガンキャノンII
GUNCANNON II
型式番号 RX-77-4
所属 地球連邦軍
生産形態 試作機
全高 18.1m
重量 52.7t
装甲材質 ルナ・チタニウム
出力 1,380kW
推力 62,200kg
武装 ビームキャノン
60mmバルカン砲×2
ハンドグレネード

『MSV』で設定された機体。

ガンキャノンの試作機としての最終生産型。実弾式であった両肩のキャノン砲を右肩のビームキャノンのみに換装し、かわって左肩には多目的精密照準システムが装備された。これによって機体設計に余裕が生まれた結果、背部のスラスターを大型化することによって、ガンダムのように重力下での短距離ジャンプ飛行が可能となった。

書籍『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑 一年戦争全記録』によれば、ジャブロー攻防戦に試作の1機が出撃するが、反応炉の出力ダウンから敵との交戦を前に後退を余儀なくされている。

前述の「RX-77-3 ガンキャノン重装型」も「ガンキャノンII」と呼ばれる場合があるが、その際本機は「ビーム・キャノン装備型」として区別される[36]

劇中での活躍
漫画『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』では、V作戦機で確立された近接戦、中距離支援、遠距離攻撃の部隊戦術を量産機で実戦運用し、データ収集を行うV作戦評価試験部隊「スレイプニール」に配備された。パイロットはカート・ワーグ中尉。のちにネメシス隊と共に連邦陸軍のピクシーと交戦するが返り討ちに遭い大破した。なお、通常機と異なりトリコロールに塗装されている。
また、漫画版『機動戦士ガンダム ミッシングリンク』では、サラ・シャノン機をはじめとしてグレイヴ艦隊にも少数配備されている(うち1機はボマーに奪取された)。

ブルG

漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場(型式番号:RX-77-4BG[44])。デザイン協力は桜 水樹。

一年戦争後にアナハイム・エレクトロニクス社が開発した試作MS。高出力・重武装によるフルアーマー・タイプであり、次期主力MSの有力候補のひとつ。もともとはガンキャノンIIの試作発展機であり、当初の頭部はジム・キャノンIIと同型であるが、のちにツイン・アイとV字アンテナをもつガンダム・タイプに変更される。両肩に6連装ミサイル・ランチャーを内蔵、部位は不明だがビーム・サーベルも装備。塗装はライト・グレーと薄紫を基調に一部が黄色で塗られている。

評価試験のため1機がサム・シェパード中尉をテスト・パイロットとしてルナツーに配備されるが、南洋同盟パーフェクト・ガンダムが侵入してきたため、右手にハイパー・バズーカ、左手に2連キャノン砲、バックパックのサブ・アームにシールド2基とビーム・ライフルを装備してジム・キャノンII 2機とともに出撃。ミサイル・ランチャーから特殊ポリマーを発射して機動力を低下させて追い詰めるが、ルナツーに秘匿されていたMA ブラウ・ブロと合体した敵機の前に歯が立たず、取り逃がす。

量産型ガンキャノン

諸元
量産型ガンキャノン(ガンキャノン量産型)
MASS PRODUCED GUNCANNON
(GUNCANNON MASS PRODUCTION TYPE)
型式番号 RX-77D
所属 地球連邦軍
生産形態 量産機(試作機説あり)
全高 18.1m
頭頂高 17.5m
本体重量 51.0t
全備重量 70.2t
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
出力 1,410kW
推力 7,000kg×2(背部中央)
26,500kg×2(背部外側)
26,500kg×1(後腰部) 93,500kg
センサー
有効半径
7,300m
武装 240mmキャノン砲×2
60mmバルカン砲×2
90mmマシンガン
搭乗者 マスター・P・レイヤー
レオン・リーフェイ
マクシミリアン・バーガー
リド・ウォルフ
ダグ・キーソン
その他 姿勢制御バーニア×8

OVA機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場。

名称は資料によって「ガンキャノン量産型」[45][46]とされることもある。また、型式番号がRXナンバーであることから、正確には量産型ではないとして「ガンキャノン量産検討機」[47]「量産先行試作機」または「量産検討モデル機」[46]とする資料もある。事実、量産型と銘打ってはいるものの少数の生産に留まり、以後「ガンキャノン」名称の機体は開発の系譜が一旦途切れることとなった。実際の中距離支援機としては、圧倒的な製造数を誇る主力量産機、ジムとの共用パーツが多く量産コストに優れるジム・キャノンが量産された。

ガンキャノンの量産型として開発された機体。コア・ブロック・システムを廃止し、後期生産型ジムのパーツを多く使用し[48]、装甲材質はチタン合金セラミック複合材に変更するなど、生産性を重視したコストダウンが図られている。しかし、装甲自体は非常に厚く、カタログスペックでもガンキャノンを凌ぐ。コストダウンと共にガンキャノンの実戦運用で得たノウハウが投入され、姿勢制御スラスターの増設によって宇宙空間での機動性が向上している。

両肩の240mmキャノン砲は、伸縮してバックパックに収納されることによって、近接戦闘の際に障害にならないよう配慮されている。また、臀部にスタビライズド・ギアと呼ばれるジム・キャノンIIの装備とほぼ同型のアウトリガー・ジャッキを備え[注 8]、キャノン砲発射時に接地させることで射撃精度を向上させることができる[46]

劇中での活躍
『0080』第4話において、ケンプファーの進撃を止めるべくグレイファントム所属のスカーレット隊の機体2機が登場(1機とする文献あり[49][50])、直後に1機が撃墜され、1機(前述の機体と同一かは不明)は市街地に墜落し大きな被害を出している。また、この交戦の結果を原因として、ジム・キャノンの上位機種である本機の量産計画を破棄したとする文献もある[47]
OVA『機動戦士SDガンダムMk-IV』に収録されている「夢のマロン社「宇宙の旅」」では、ジャブロー攻略戦の際に左脚部に「108」とマーキングされた機体が(SDではなく通常の体型で)登場し、前屈みになって両肩のキャノン砲を打つ描写が見られる。
漫画『機動戦士ガンダム0079』では、迷彩を施された機体がジャブロー防衛戦に相当数登場し、ジム、量産型ガンタンクと共に迎撃に出動している。
専用機が存在しており、漫画『GUNDAM LEGACY』では、アフリカ戦線にてMSパイロットに転向したばかりの「踊る黒い死神」ことリド・ウォルフ少佐がMSキャリアー・ライトライナーへ搭載した本機に搭乗。彼のパーソナルカラーである黒に塗装されていた。他にもゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』での、オーストラリア反攻作戦で活躍したホワイト・ディンゴ隊機(灰色に塗装)や、漫画『機動戦士ガンダム オレら連邦愚連隊』での、北米戦線で活躍した教導団ネメシス機(ダークブルーに塗装)が登場。

ガンキャノン量産型改

PCゲーム『機動戦士ガンダム リターン・オブ・ジオン』に登場(型式番号:RX-77D-2)。

量産型ガンキャノンの後期バージョンを基にした陸戦用MS。少数が量産され、機動性を除く性能がジム・キャノンIIを大きく上回っているためか、宇宙世紀0089年でもアフリカなどで現役で使用されている。

陸戦型ガンキャノン

諸元
陸戦型ガンキャノン
GUNCANNON GROUND TYPE
型式番号 RX-77[G][51]
頭頂高 17.5m[51]
本体重量 51.2t[51]
全備重量 71.8t[51]
装甲材質 ルナ・チタニウム合金[51]
出力 1,350kW[51]
武装 頭部バルカン砲×2[51]
肩部キャノン砲×2[51]
スプレーミサイルランチャー×2[51]
100mmマシンガン[51]
専用ビーム・ライフル×1[51]
ヒート・ダガー×1[51]
ファイア・ナッツ×1[51]
スモールシールド×1[51]

才谷ウメタロウ作画による漫画『機動戦士ガンダム GROND ZERO コロニーの落ちた地で-RISE FROM THE ASHES-』に登場。

RX-77の余剰パーツをもとに生産された陸戦仕様機[51]。RX-78の余剰パーツで生産された陸戦型ガンダムと同様に、コア・ブロック・システムの省略と性能均一化のためのリミッターが設定されている[51]。また、補修パーツが少なく整備が困難な点も同様で、ジム・キャノンや量産型ガンキャノンが配備されるまでのつなぎとして運用される[51]。オーストラリア戦線に配備された機体は、亜熱帯や水中戦に対応した改修が施されている[51]

小説版におけるガンキャノン

富野由悠季による小説『機動戦士ガンダム』に登場する機体はテレビアニメ版とほぼ同じであるが、頭頂高はほかのMSと同様に約16メートルに小型化され、左手にはガンダムと同じシールドを携帯する。装甲が厚くパイロットの生存性が高そうに見えることから、最初はアムロもガンダムではなくこのガンキャノンへの搭乗を希望する。

カイ・シデンとハヤト・コバヤシが搭乗し、胸部左と左頸部には機体識別用に「108」(カイ機)「109」(ハヤト機)のマーキングがあるが、このアイデアは劇場版第3作の設定の原典となった。

当初運用されていたガンキャノン2機のうち1機は、テキサスゾーンでリュウ・ホセイが搭乗して出撃するも未帰還となっている。ハヤトの109は劇場版同様に追加配備である。

ハヤト機はニュータイプ部隊との交戦でシャア・アズナブルリック・ドムに撃墜されるが、カイ機はこの戦いを生き延び、最後はキシリアに協力してシャアのニュータイプ部隊とともにジオン本国を強襲。キシリアによるギレンの殺害とシャアによるキシリア殺害を見届けた後、ジオン共和国軍に接収される。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるガンキャノン

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するガンキャノンは、原作版とはビーム・ライフルや頭部など各所に違いが見られる(形式番号:RX-77)。

ジオン公国軍のザクシリーズに対抗して開発・量産された地球連邦軍初のMS。当初は腕部マニピュレーターが3本指の簡素な構造のものであったが、ベルファスト寄港後に改修され、5本指に換装される。キャノン砲が背部まで延長され、弾薬庫が砲下部に追加されている。また、ソロモン編ではキャノン砲の間にバーニアが2基追加される。宇宙で推進することは可能だが、高性能のリック・ドムなどと渡り合うことは無理があるため、艦に数機ワイヤーで固定することで、もっぱら対空砲火の銃座代わりとなっている。ホワイトベースのジャブロー入港時、陽動として大量のガンキャノンが投入されたが、この時の機体は頭頂部のカメラがないなど、テレビ版のデザインに近い。ソロモン編でカイ・シデンの搭乗するガンキャノンにも、テレビ版と同じ頭部が見られる。また、ガンダムやジムの使用するシールドとほぼ同じものを装備していた。

なお、本作品でのガンキャノンは量産型という設定からジオン軍側に撃破される描写が多々あり、他の連邦軍MS同様にやられメカとしての役割を担わされている。そのため、ジオン兵たちには旧式呼ばわりされているうえ、ランバ・ラルには「MSとも呼べないできそこない」とさえ言われている。実際、ザクにもついて行けない程度の機動性しかないが、シャアには「旧式だが火力は侮れない」と評されており、リュウ・ホセイなどは集団で陣形を組むことで機動的な欠陥を突かれないようにしていた。

劇中、ベルファスト編においてカイはガンタンクではなく本機に搭乗し、襲来したズゴックを撃破している。ストーリー後半では量産機主力の地位をジムに譲って第一線を退いたうえ、ストーリー面でもカイの出番が減ったために登場は減った。終盤では劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』同様にハヤト・コバヤシ搭乗機が追加されたが、本作では撃墜されずにカイ機と共にア・バオア・クー戦を生き残り、ランチを護衛しながらア・バオア・クーから脱出した。

型式番号については、「RX-77」とする資料と最初期型と同じ「RX-77-01」とする資料が混在している[52]

キャノンザク
鹵獲したコズンのザクの胴体にカイのガンキャノンの頭部を強引に取り付けたもので、グフによって戦力を半減させられたホワイトベースの苦肉の策として生まれた機体である。名に反してキャノン砲は装備されていない。カイが乗って意気揚々と出撃するが、タチの操る旧ザクに肉薄され、頭部を破壊される。

ガンキャノン最初期型

諸元
ガンキャノン最初期型
GUNCANNON FIRST TYPE[53]
型式番号 RX-77-01(漫画版)
RCX-76(OVA版1号機)[54]
RCX-76-02(OVA版)
所属 地球連邦軍
製造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 17.0m[53]
全幅 8.1m[53]
武装 低反動キャノン砲[53]
ミサイル・ランチャー[53]
肩部ガトリング砲[53]
ライフル[53]
60mmバルカン砲[53]
シールド[53]

漫画・OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。名称はOVA版で設定された。

テム・レイの指揮下で開発されたアナハイム社初の量産型二足歩行機動兵器。ロールアウトした1号機は白を基調に塗装されている。後のガンキャノンと異なり、キャノンは左肩に1基装備され、右肩には小型のガトリング砲が装備されている点が特徴。手にはライフル(ジム改の90mmブルパップ・マシンガンと同形状)を携行する。アナハイムや連邦軍のMSに対する認識の甘さから、もっぱら歩兵や軍用車両の掃討を想定した設計であり、対MS戦はほとんど考慮されていない。テムはこの機体にまったく満足しておらず、「これはMSと呼べるものではない」とまで言い切る。

一年戦争開戦以前のミノフスキー博士亡命事件では、「鉄騎兵中隊」に12機が配備されている。塗装はブルー・グレーを基調とし、隊長のエルドゥシュ中尉機は機体番号のマーキングが白から白フチの赤に変更されている。月面にてブグ1機とザクI 4機の部隊と交戦するが、一矢も報いることができずに全滅させられたうえ、ミノフスキー博士も攻撃の影響で倒れ込んできた本機の下敷きになり死亡する。この「スミス海の虐殺」事件で、アナハイム社はジオニック社に対するMS技術や設計思想の遅れを認識させられ、テムは対MS戦に主眼を置いた新型MS「ガンダム」の開発に着手する。

ガンキャノン機動試験型

諸元
ガンキャノン機動試験型
GUNCANNON MOBILITY TEST TYPE[55]
型式番号 RCX-76-01A
所属 地球連邦軍
製造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 17.0m[55]
全幅 8.1m[55]
武装 マシンガン[55]
肩部ガトリング砲[55]
60mmバルカン砲[55]
シールド[55]

Mobile Suit Discovery(MSD)』で設定された。

ロールアウトした最初期型を引き継ぐ形で、評価試験用に製作された試作機のひとつ[55]。機動性能や追加装備の採用の検討を目的とする[55]。両肩にガトリング砲が装備され、頭部にはガンダムに似た、高精度の探索が可能なV字型アンテナを持つ[55]。手にはジオン公国軍の試作MSと同じ八洲重工製のマシンガン[55]陸戦型ガンダムの100mmマシンガンと同形状)を携行する。塗装はオレンジ・イエローを基調とする。

ガンキャノン火力試験型

諸元
ガンキャノン火力試験型
GUNCANNON FIREPOWER TEST TYPE[55]
型式番号 RCX-76-01B
所属 地球連邦軍
製造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 17.0m[55]
全幅 8.1m[55]
武装 60mmバルカン砲[55]
大口径砲[55]
4連装機関砲[55]
シールド[55]

『MSD』で設定された。

機動試験型に続いて製作された機体で[55]、長距離支援および対地・対空戦闘用装備のテストが実施されている[55]。両肩の大口径砲と右前腕部の4連装機関砲は、ガンタンク初期型と同型の装備である。コックピットもガンタンク同様、腹部のほかに砲手用のものが頭部に増設されている[55]。しかし本機では大口径砲の発射時の反動を抑えきれず、命中率が著しく低下することが判明する[55]。塗装は機動試験型と同じオレンジ・イエロー。

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』におけるガンキャノン

漫画およびOVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場するガンキャノンは、基本的に原作版を踏襲しているが、キャノン砲はジムキャノンと同様に機体本体ではなくバックパックに装備されている。サブアームはバックパック背面側に1基。頭部には追加装甲が増設されている。原典機同様にコア・ブロック・システムに対応しているが、コアファイターはジムと同型である。

原作版よりはるかに量産化され、普及しているようであり、ムーア同胞団では新兵が乗っている機体も少数ながら存在する。

ガンキャノン・アクア

漫画およびOVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場(型式番号:RX-77AQ)。

ガンキャノンの水中型で、注排水口を各所に増設した潜水仕様となっている。水中戦用にニードルガンや魚雷を搭載しているなど武装に違いが見られ、任務ごとに仕様変更が可能。漫画版の塗装はガンキャノンを踏襲した赤を基調とするが、アニメ版では青となっているほか、関節の形状や頭部アンテナの本数など細部が変更されている。

その他の関連機

RGC-80 ジム・キャノン
ジムのバリエーションではなく、あくまでガンキャノンの量産型として開発されたMS。
MSA-005K ガンキャノン・ディテクター
ガンキャノンの名前を持つメタス系MS。
RIX-003 キャノンガン
ベースはジェガンだが、ガンキャノンを意識したカスタマイズが多く施されている。
パンツァーガンキャノン
PCゲーム『SDガンダムウォーズ』に登場するアースサイド軍所属のゲームオリジナルMS。ビームライフルやバルカンのほか、400mm無反動砲2門を肩に装備する機体で、ジェガン系に近い機体形状となっている。
スピリットガンキャノン
PCゲーム『SDガンダムウォーズ』に登場したアースサイド軍所属のゲームオリジナルMS。ガンキャノン系MSの最終発展型の一つ。武装は400mmバズーカとビームキャノン。
ダミーメカ
プラモデル「SDガンダム BB戦士」の「No.25 ガンキャノン」および「SDガンダム Gジェネレーション」の「No.16 RX-77 ガンキャノン(フル装備型)」に付属するオリジナルMS。ガンキャノンを簡略化したような形状の機体で、頭部には大型のモノアイを有する。武装はガンキャノンと同様だが、ガンキャノンIIと同仕様のダミーメカ・ヘビーウェポンタイプに装備を換装することも可能。

脚注

注釈

  1. ^ 変更経緯などの詳細は機動戦士ガンダム#企画の経緯を参照。
  2. ^ 胴体部分は240mm低反動キャノン砲の接射による爆風やジャイアント・バズの直撃に耐えられるほど装甲が厚い。これに対し、黒い三連星との戦いにおいてガンダムのシールドはジャイアント・バズの直撃で破壊されている。ただし、その他の部分についてはそうとも言えず、ア・バオア・クーの戦いでザクIIが発射した280mmバズーカ弾の直撃によって右脚の膝関節から下を失った例もある[14]
  3. ^ 一方、ヨーロッパ戦線でマチルダ補給隊の出迎え護衛に赴いた際、カイ・シデンのガンキャノンは戦域到着が遅くなり、「こいつは足が遅いからね」と言っている
  4. ^ 「ガンキャノン砲」と記述した資料[8]、「低反動キャノン(砲口径は360mm)」と記述した資料[21]、「360ミリ無反動ロケット砲」とした資料[22]もみられる。
  5. ^ 一方、ミノフスキー粒子下では実用的な命中精度を発揮できなかったため、実戦ではほとんど使用されなかったとする資料もみられる[18]
  6. ^ 分離可能な下半身部分のことである。
  7. ^ 「ガンボーイ」という名称は『機動戦士ガンダム』の企画段階において、作品名および主役機の名称として検討されたものである。
  8. ^ 同様の装置は、現実世界においてクレーン車などの重機などが、宇宙世紀においてガンキャノン・ディテクターダブデ陸戦艇などが備えている。

出典

  1. ^ ガンダムアーカイヴ 1999, p. 30.
  2. ^ 記録全集1 1979, p. 98.
  3. ^ 日経キャラクターズ!編「機動戦士ガンダム MECHANIC」『大人のガンダム HISTORY & BUSINESS』日経BP社〈日経BPムック〉、2004年10月1日、ISBN 4-8222-1705-1、22頁。
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  6. ^ 『ロマンアルバム・エクストラ35 機動戦士ガンダム』徳間書店、1980年7月、121頁。
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  12. ^ 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー 1/144 RX-77-2 ガンキャノン - REVIVE』バンダイ、2015年6月、組立説明書
  13. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.1 一年戦争編』バンダイ、1989年2月、110頁。ISBN 4-89189-006-1
  14. ^ 『機動戦士ガンダムIII 〜めぐりあい宇宙編〜』より。
  15. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、74頁。ISBN 978-4063721775
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  17. ^ 『1/144 フルカラーモデル ジム』バンダイ、1988年10月、組立説明書。
  18. ^ a b c d e f 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー 1/144 RX-77-2 ガンキャノン』バンダイ、1999年5月、組立説明書。
  19. ^ a b 『講談社ポケット百科シリーズ15 ロボット大全集1 機動戦士ガンダム』(1981年)[要ページ番号]
  20. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、75頁。ISBN 978-4063721775
  21. ^ ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、44頁。ISBN 4-87777-028-3
  22. ^ 『コミックボンボン特別増刊 機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年、126頁。
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  27. ^ 小説『機動戦士ガンダム第08MS小隊外伝 TRIVIAL OPERATION』に登場。
  28. ^ a b 『コミックボンボン』1983年11月号、講談社、2頁。
  29. ^ a b c d 『機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年5月、122頁。
  30. ^ a b 『コミックボンボン』1983年11月号、講談社、363頁。
  31. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、69頁。ISBN 978-4063721775
  32. ^ 『「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」映画「ミラーズ・リポート」フィルムコミック&OVAシリーズ・ストーリーブック』旭屋出版、1999年9月、196頁。ISBN 4-7511-0176-5
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  34. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、78頁。ISBN 978-4063721775
  35. ^ 『グレートメカニック・スペシャル モビルスーツ全集5 RX-78ガンダム&V作戦BOOK』双葉社、2012年5月、51頁。ISBN 978-4575464658
  36. ^ a b 皆川ゆか『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』 講談社、144頁。
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  38. ^ a b 『機動戦士ガンダム MSV-R グラフィックドキュメント』アスキー・メディアワークス、2012年1月、62-63頁。ISBN 978-4048862127
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  40. ^ 大河原邦男・草刈健一『機動戦士ガンダム MSV-R 連邦編』角川書店、2012年3月、88-89頁。ISBN 978-4041202104
  41. ^ a b プレイステーション3用ゲームソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』初回盤特典冊子「MOBILE SUIT GUNDAM SIDE STORY MISSING LINK ARCHIVES」21頁。
  42. ^ 大河原邦男・草刈健一『機動戦士ガンダム MSV-R 連邦編』角川書店、2012年3月、64-65頁。ISBN 978-4041202104
  43. ^ 『ガンダムエース』2017年4月号、角川書店、35頁。
  44. ^ 『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第16巻(限定版)付録「MSデザインワークス[設定集vol.2]」小学館、2020年10月5日、20-21頁。
  45. ^ 講談社『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』142頁
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  48. ^ 講談社『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』143頁。
  49. ^ 『機動戦士ガンダム エピソードガイド vol.2 一年戦争編(後)』角川書店、1999年9月、60頁。ISBN 4048530690
  50. ^ 『GUNDAM WEAPONS マスターグレードモデル“第08MS小隊”&“0080ポケットの中の戦争”編』ホビージャパン、2001年4月、93頁。ISBN 4894252481
  51. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 『月刊ガンダムエース』、角川書店、2017年8月、44頁、ASIN B072MPJKH5JAN 4910124010877 
  52. ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック 2』角川書店[要ページ番号]
  53. ^ a b c d e f g h i 『HG ガンキャノン最初期型(鉄騎兵中隊機)』説明書、バンダイ、2016年11月。
  54. ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』公式サイト - Mobile Suit Discovery(MSD)
  55. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『HG ガンキャノン機動試験型/火力試験型』説明書、バンダイ、2017年1月。

参考文献

  • 書籍
    • 『機動戦士ガンダム・記録全集1』日本サンライズ、1979年12月。 
    • 『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイヴ』バンダイ、1999年6月。ISBN 4-8402-1211-2 

関連項目