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[[ブライト・ノア]]が宇宙に上がる際の手土産という形で、地球連邦政府が置かれている[[チベット]]の[[ラサ]]から開発資金を捻出させた。そして製造場所として、補給関係の重鎮である[[機動戦士ガンダム_逆襲のシャアの登場人物#ジョン・バウアー|ジョン・バウアー]]からの紹介で[[アナハイム・エレクトロニクス]]の[[フォン・ブラウン市|フォン・ブラウン]]工場を確保した<ref>[[富野由悠季]]『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 中篇』徳間書店、2009年7月、53頁。ISBN 978-4-19-908005-0</ref>。 |
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2020年11月7日 (土) 11:22時点における版
このフィクションに関する記事は、全体として物語世界内の観点に立って記述されています。 |
νガンダム(ニューガンダム[注 1]、NU GUNDAM)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ
作中の軍事勢力の一つ「地球連邦軍」のガンダムタイプMSで、主人公のアムロ・レイ自身が設計に関与した専用機。特殊な能力をもつニュータイプに対応した機体構造を有し、左背にマントのように装備された6基の遠隔操作式ビーム砲台「フィン・ファンネル」を外観上の特徴とする。
『逆襲のシャア』劇中では「リ・ガズィ」に次いでアムロが搭乗し、ライバルである「新生ネオ・ジオン軍」総帥「シャア・アズナブル」が搭乗する「サザビー」と死闘を繰り広げる。
当記事では、各メディアミックス作品などに登場するバリエーション機の解説も記述する。
デザイン
νガンダムのデザイン原案は富野が提示した「マントを羽織ったガンダム」というコンセプトの元に鈴木雅久がラフを描き、最終的に出渕裕によってまとめられている。出渕は自著において、「νガンダムは自分の線でファーストガンダムを描いたらこうなるというデザイン。ガンダムは既に完成したデザインであるため、下手にいじるよりはアレンジに留めた。そのため新しいコンセプトを持ち込んでいないため、ちょっとスタンダード過ぎたデザインかな」と述べている[1]。
アニメのメカデザイン史の上でも本デザインはターニングポイントとなり、その後の作品の主役メカデザインに大きな影響を与えた。カトキハジメは雑誌企画『ガンダム・センチネル』で、自身がΖガンダムから
機体色は従来のガンダムシリーズで採られていたトリコロールから一転、白と黒(ミッドナイトブルー)を基調としたものになっている。また、2019年現在、歴代ガンダム型モビルスーツでフェイスカバー部にある「へ」の字状のスリットが3本入っているのは本機と後述のHi-νガンダムのみである。(劇場映画『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』のポスター用に大河原邦男が描きおろした画稿の一つには、大河原のミスにより「へ」の字スリットが3本付いたRX-78-2 ガンダムがある。)
機体解説
νガンダム NU GUNDAM / ν GUNDAM | |
---|---|
型式番号 | RX-93 |
全高 | 23.0m[2] / 24.2m[要出典] |
頭頂高 | 22m[3] |
本体重量 | 27.9t[3] |
全備重量 | 63.0t[4] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[3] |
出力 | 2,980kW[3] |
推力 | 18,300kg×4[3] 12,300kg×2[3] 総推力:97,800kg[2] |
センサー 有効半径 |
21,300m[3] |
武装 | ビーム・ライフル グレネードランチャー ビーム・サーベル×2 バルカン砲×2 ニュー・ハイパー・バズーカ シールド (ビーム・キャノン、ミサイル×4) フィン・ファンネル×6 |
搭乗者 | アムロ・レイ |
その他 | アポジモーター×26[3] |
製造過程
在来機種ではネオ・ジオン軍に対抗しきれないことから、ロンド・ベル隊の要請を受けた地球連邦軍が発注した[3]。 ブライト・ノアが宇宙に上がる際の手土産という形で、地球連邦政府が置かれているチベットのラサから開発資金を捻出させた。そして製造場所として、補給関係の重鎮であるジョン・バウアーからの紹介でアナハイム・エレクトロニクスのフォン・ブラウン工場を確保した[5]。
U.C.0093年ロールアウト[6]。アナハイム社の組立工場では、νガンダムの各部の試作のための工作機械が稼働していた。基本作業は、金属を使わない加工と組立作業が中心で、研磨など騒音が出る作業や危険な化学薬品を使う作業を含めて隔離されたブース内でロボットによっておこなわれた[7]。Ζガンダム製造当時の基本設計があったために工具の半分以上は流用可能で[注 2]、
アムロが初めてアナハイム社に視察に訪れた際、νガンダムの製造準備がかなり進んでいたのは、ブライトとラサで指揮をとったバウアーの力である。アムロの提案をどの程度組み込むかというレベルでかなりの討論があったものの、まったく新しいタイプの
機体設計
設計にはロンド・ベル所属のアムロも参加[3]。連邦軍側の開発プロジェクト主導者は同部隊所属のチェーン・アギ准尉[9]。アナハイム社側の開発責任者はオクトバー・サラン[9]。
小説版(『ハイ・ストリーマー』)では、チェーンはアムロに、これまでのガンダム系
『ガンダム・センチネル』の「アナハイム・ガンダム開発一覧表」では、本機の機体名の "ν" はアナハイム社内の開発コードとされ、「γガンダム(リック・ディアス)」から数えて11番目の「アナハイム・ガンダム」とされている[13]。
アナハイム社が培ってきた
サイコミュの搭載
「敵の脳波をサイコミュで強化し受信すればこちらの対応が早くなる」というアムロのアイデアにより、コックピット・シート後方にサイコミュ受信パックを備える [16]。また、インコムも備える[17]。
サイコフレームの導入
「シャアの反乱」においてシャアが5thルナを地球に落とし始めたことで戦況が激変し、アナハイム社は本機の納期を10日も繰り上げさせられる。その影響で、チェーンに事前通知もなくサイコフレームへの換装がおこなわれる。機体重量が3kg減った原因を怒りながら問い質すチェーンに、オクトバーは「強度は上がっているから絶対危険ではない」と返答する。 当初は、サイコフレームはアムロが提案した「敵の脳波をサイコミュで強化し、受信することで対応を早める」アイデアをヒントとし、材料開発部門が「フレームのなかに同じ性能を持つものを内蔵した」とオクトバーの口頭によって説明される。「金属粒子並の大きさのコンピューター・チップがフレームに封じ込められている」ということで、オクトバーがアムロとチェーンに見せた図面では搭載されている箇所を赤く点滅させており、それはコックピット周辺のフレームのみだった。ただ、この技術は材料開発部門から流れてきたとのことで、オクトバーもこの技術の出自を把握しておらず、それもあってチェーンは「部隊に帰ってからもフレームのテストをおこないたい」と提案する。 のちにオクトバーの手紙によりネオ・ジオンから流出した技術であることがチェーンに伝えられる。アクシズでの最終決戦において、シャアは本機に採用されたサイコフレームの技術をわざと連邦側に流したことを語る。
ただし、本機に搭載されたサイコフレームの配置は媒体によって一定ではなく、従来型ムーバブル・フレームにコンピューター・チップを封じ込め、駆動系に直接パイロットの脳波を伝達可能とした資料[18]が存在するほか、コックピット周辺のフレームに採用したとする資料[19]、コックピット周辺および機体各所に分散配置し、νガンダムの機体レスポンスとサイコミュシステムの向上がなされたとする資料[20]、駆動系にサイコフレームを搭載したとする資料[21]が存在する。
武装
- バルカン砲
- 作動の確実性を考慮し薬莢方式を採用しており[6]、射撃と同時に空薬莢が頭部側面より排出される。基本的にはミサイルやグレネードなどへの迎撃や牽制用に用いられるが、劇中ではギラ・ドーガ2機の頭部を続けて吹き飛ばしたり、パワーダウン状態ながらもサザビーの腹部メガ粒子砲を押し留めるほどの威力を備えており、アムロの技量もあって対
MS 戦においても十分な効果を発揮する。 - 口径の設定は一定しておらず、60ミリとする資料[13]、90ミリとする資料が[10]見られる。
- ビーム・ライフル
- 出力3.8メガワット[3]。エネルギーCAP方式のライフル[17]。サブグリップやマウントパーツはないが、銃口の上にはグレネードランチャーが装備されている[22]。バースト・セレクターの切り替えによってマシンガンのような連射に切り替え可能[22]で、最大出力ならば同時期における戦艦の主砲レベルの威力を発揮する[8][注 5]。劇中ではかなりの長時間使用され続けながらも、サザビーによって破壊されるまでエネルギー不足になることはない。
- フィン・ファンネル
- 型式番号:AEV/PFF93AR[23]
- 板状の収納形態で左背面に6基装備されている。解放型のメガ粒子加速器を備えるタイプで[24]、従来のファンネルとは異なり、内部に小型のジェネレーターを内蔵し[10]、ビームの威力はより強力となっている[6]。また、フィン・ファンネル内部にはスラスターを内蔵する[22]とともに、ファンネル自体に
AMBAC が搭載されており、燃費を下げ稼働時間を延伸している[24]。 - 攻撃時には折れ曲がってコの字型に変形する。これによって二枚のジェネレーターアームの間に[3]磁気フィールド[3](Iフィールド[10])を発生させ、メガ粒子を発振・加速させることでビームを発射する[3]。出力3メガワットで[23]、1回のチャージで7発のビームを発射可能[23]。
- さらには5基のファンネルを頂点として四角錐型の対ビーム・バリアー(Iフィールドの発展技術)を張ることもでき[25]、これにより機体の全周囲に防御シールドを展開することが可能[注 6]。ただし、この時展開したフィールド内に敵機のファンネルが入り込めば、サイコ・ウェーブの干渉によってパイロットに生理的ダメージを与えることがある[24]。なお、機能が複雑化しているため、アムロ・レイの技量がなければ制御は行えない[17]。シルヴァ・バレト(ファンネル試験型)やガンダムデルタカイのファンネルを経て完成した装備[26]。
- その形状(ネオ・ジオンのそれらとは大きく異なる板状)から、ギュネイ・ガスには未展開の状態において放熱板と誤認される。
- ROBOT魂のνガンダムのフィン・ファンネルセットまた拡張フルセットには、Hi-νガンダムと同様に装備できるファンネルラックが存在する。
- ニュー・ハイパー・バズーカ
- 口径280ミリの実弾バズーカ[8]。砲身先端部には照準用のレーザーセンサーを備える[3]。連邦製
MS 用の武装としては一般的だが、本機のものは有効射程距離の向上、弾頭への変更などの改良が施されている[10]。背面バックパックにマウントした状態やνガンダム本体から切り離した状態でも、有線操作で使用可能[17]。 - 同様の火器のスケールダウン品を、宇宙世紀0150年代が舞台のアニメ『機動戦士Vガンダム』第34話にてリガ・ミリティア所属モビルスーツが使用している。
- シールド
- 裏面にビームキャノン1門(出力7.8メガワット[3])とミサイル4発を装備。ビームキャノンは独自に稼動用ジェネレーターを備えており、一年戦争時に使用されていたビームライフル程度の威力を持っている[8]。宇宙世紀0093年時の装甲材でもIフィールド無しではビームを完全に無効化することは不可能なので、この武器でも
MS を撃墜することは可能。裏面にグリップはなく、マウントパーツによって左腕に装着する。 - シールド表面に描かれた一角獣をモチーフとしたマーキングはアムロのパーソナルマークであり、νガンダムの左肩にはα字状の同種のパーソナルマーク(一角獣のモチーフはなくAをデザイン化したもの)が描かれている。
- ビーム・サーベル
- バックパック右側に装備されたメインのサーベル(カスタム・ビームサーベル)。出力0.85メガワット[3]。鍔を持った形状をしており、ビーム刃の形状も曲刀状となっている他、グリップエンドからも短い刃を発する。増幅装置やエミッターに仕様変更が加えられ、形状を変更することもできる[8]。また、当時一般的な斬りかかる際のみにビームが出るオートパワーオン機構を採用しており[6]、無駄なエネルギーの消費を抑えている。
- 予備ビーム・サーベル[8]
- 左腕シールドマウント基部に装備。デバイスとしては一般的なもので[8]、メインのサーベルよりも出力は低い。劇中ではメインのサーベルを失ったとき一度だけ使用する。
- そのほか
- マニピュレーターには、グリプス戦役時の
MS と同様にダミー発射機やトリモチランチャーを装備している。戦争終盤ではサザビーにライフルを破壊された際に、一般機仕様のギラ・ドーガからビーム・マシンガンを奪い取り使用する。
劇中での活躍
映画冒頭、フォン・ブラウン工場にて上半身と下半身が分かれた状態で登場。上半身は装甲が外された状態で、機体各部に仮止めのテープが貼られている。頭部は黄色いシートが被されており、チェーンがそれを外すとこちらも仮止めのテープが貼られており、ツインアイ部分は白いシートで抑えられている。
ネオ・ジオンの第二波は来ないと推測したアムロは、スウィート・ウォーターに入る前のシャアを叩くため、本機を受領しに月のフォン・ブラウン工場へ赴いた。その時には本機は上半身と下半身は接合された状態で胸部と左足のみ装甲が付けられたまま、6人のアナハイム社のスタッフによって整備されていた。コクピット内部はこの状態でもモニターをつけることが可能で、シートの後方に設置されたサイコミュの受信パックの確認作業がアムロにより行われる。アムロは本機をすぐにでも持って帰ろうとするが、「実戦装備にあと3日は必要だ」とオクトバーは制止する。しかし、アムロはその提案を拒否する。
機体各部に全て装甲が取り付けられた状態で、コックピット内でサイコミュ受信の調整をしているアムロの元に、シャアの第二波が迫っているとの手紙が届き、至急ロンド・ベルに帰投するよう命令が下された。作業を手伝っていたアナハイムのスタッフに「でも まだ終わっちゃ…」と言われるも、アムロの手によりサイコミュの調整は途中で切り上げられた。機体に「火を入れる」と言うアムロにチェーンは反対するが、ブースターベッドとマスドライバーの手配をするようアムロから頼まれ了承する。出撃直前、オクトバーは「やめて下さい、間に合いはしません!」とアムロを思い留まらせようとするが、パイロットスーツを着たチェーンが入って来たことで説得を諦める。この際にはコックピットにはチェーンのために前部に簡易的な補助席が設けられている。フィン・ファンネルは未装備の状態でブースター・ベッドに乗せられ、ラー・カイラムのもとへマスドライバーで発射される。
射出後しばらくしてアムロは月、地球、カペラ、ヴェガ、太陽の座標から現在地を確認。打ち上げ時にかかったGで気絶したチェーンもようやく目を覚ました頃、既に前方ではロンド・ベルとネオ・ジオンの艦隊戦が始まっており、肉眼でも戦闘による光芒が見て取れた。チェーンはシートベルトを外して戦闘の邪魔にならないようシート背部に退避した。シャアのロンデニオン潜入の陽動として展開したネオ・ジオン軍部隊を指揮するレズンのギラ・ドーガがケーラ機のジェガンを撃墜する直前、本機が遠方からビーム・ライフルを最大出力で発射し、この威力を艦砲射撃と誤認したネオ・ジオン軍は撤退する。
のちフィン・ファンネルが届けられ、ラー・カイラム内で戦闘の合間をぬって調整が続けられる。
地球寒冷化作戦阻止のためロンド・ベルがアクシズへの核攻撃を遂行した際には第二波として出撃。ネオ・ジオンの
アクシズ破壊のため三段構えの作戦を立てたロンド・ベルは再度攻撃を開始。クェス・パラヤの意志を感じたアムロは彼女の搭乗するα・アジールと、その護衛として随伴していたギュネイのヤクト・ドーガらと交戦。2機の高性能機とギラ・ドーガ部隊を相手に互角以上に戦った。 だがα・アジールとヤクト・ドーガ、その二機によるファンネルの同時攻撃により、アムロが「やられる!」と叫ぶほど危機に陥った。フィン・ファンネルにより展開されたバリアーで難を逃れている。α・アジールの背後を取ったνガンダムはそのまま撃墜しようと試みるが、死角からヤクト・ドーガの攻撃を喰らいシールドの上部を破損、機会を逃す。この時、破損したシールドと同時にバズーカも手放すが、バズーカの砲身に一瞬意識を奪われたギュネイの隙を見逃さず、ビームライフルを一射、ヤクト・ドーガを撃墜した。そして、破損したシールドをその場に残して、バズーカだけを回収しアクシズを破壊するため戦場の奥地へと急行した。
本機はアクシズに取り付くが、ここでアムロと決着をつけるため待っていたシャアのサザビーと最後の戦いを行うことになる。二人の実力は伯仲しており、互いに武器を失い機体のダメージも蓄積していくが、最終的には本機が勝利し、サザビーの頭部から放出されたシャアの脱出ポッドを捕獲する。ロンド・ベルの工作によりアクシズは内部より爆破され二分割されるが、破壊工作のミスにより後方の1つが地球への落下コースをたどり始め、アムロは破片の落下を阻止するべくシャアの脱出ポッドを掴んだまま本機をアクシズに取り付かせ、スラスターを最大に吹かして押し出そうとする。その行為に味方のみならず敵機までも協力する。その後サイコフレームの共振効果か、本機が虹色の光を発し、発生したサイコ・フィールドによってほかの機体は押しのけられることで命を救われ、アクシズは地球から離れていくが、本機およびアムロとシャアの消息については劇中では描写されていない。
νガンダム(特報版)
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の初期の予告編である「特報」の映像に登場。本機がバストアップで薬莢を撒き散らしつつ頭部バルカン砲を連射する映像であるが、本編に登場した機体とカラーリングが異なる。胸部インテークおよび顎と額が赤、ほかはグレー(塗装前とも言われる[27])となっている。さらに背景は曇天であり、地球あるいはスペース・コロニー内での映像と思われる。アムロが乗った機体と同一であるかは不明。
νガンダム(ファーストロット)
サンライズ公式アプリ『ガンダムファンクラブ』のキービジュアルとして登場し、同アプリのプレミアム会員の特典としてHGでガンプラ化された[28]。
機体色は上記の特報版に近いが、グレーが濃淡2色になっており、「特報」で映っていなかった肩部スラスター内側など一部が青で塗り分けられている。AE社フォン・ブラウン工場で完成し、ネオ・ジオンからサイコフレームの技術供与がされる以前の本来の仕様で運用試験がおこなわれている[29][注 7]。その内容は内蔵火器の射撃テストなど最低限の稼働チェックのみであるが、立ち会った連邦高官や技術者たちはその驚くべき完成度の高さに大きな衝撃を受けたという[29]。
マサダ中尉機
『ガンダムマガジン』第4号掲載コミック「ネオ・ジオンの亡霊」に登場。「シャアの反乱」後のU.C.0094年に地球に降下したネオ・ジオン軍残党のヤクト・ドーガの捜索隊に配備された。パイロットのマサダ中尉にはニュータイプの素質はなかったとされるが、フィン・ファンネルは装備されていた。ビームライフルとシールドは装備されていなかったが、左前腕部に量産型νガンダムと同様のビームスプレーガンユニットがマウントされていた。左肩には中尉のイニシャル「M」をモチーフにしたパーソナルマークが描かれていた。捜索中にヤクト・ドーガと交戦し、撃破するも小破している。
νガンダム Ver.Ka
カトキのリファイン前からガンプラのマスターグレード
νガンダム (アムロプラン)
宇宙世紀0092年を舞台とする『機動戦士ムーンガンダム』に登場。デザインは形部一平[31]。
第二次ネオ・ジオン抗争以前にアムロが構想していた設計案(「#機体設計」も参照)。ベース・フレームはナラティブガンダムとほぼ共通で、バックパック左側のファンネル・ラックは右側と同じビーム・サーベル・ラックに、両腕は左右対称の形状となっている[31]。
機体色は完成機に近いプランAと、頭部アンテナと胸部、足首部を白く塗ったプランBがあるが、どちらも白部分の多くが明るいグレーとなっている。なお、左肩にあるアムロのパーソナル・マークはプランBのみに描かれている[31]。
デザインした形部は、「ΖΖガンダムまでのガンダムタイプのさまざまな要素を、アムロが近しい技術者とともにチョイスしつつまとめたような、キマリすぎない若干の素人感を匂わせた」、「『ムーンガンダム』劇中では設計データが1コマのみの登場だが、アムロと技術者たちがおもしろがって作業していると感じたので二つのカラー案を出した」と語っている。また、ほかの『ムーンガンダム』登場機体と違い、設定画は作中のデータ案と同じ正面図で描かれている[31]。
νガンダム ヘビー・ウエポン・システム装備型
νガンダム HWS装備型 NU GUNDAM Heavy Weapon System | |
---|---|
型式番号 | FA-93HWS |
頭頂高 | 21.2m |
本体重量 | 32.6t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
武装 | ビームライフル ビームサーベル×2 60mmバルカン砲×2 シールド フィン・ファンネル×6 ニュー・ハイパー・バズーカ 肩部ミサイルランチャー ハイ・メガ・シールド ハイパー・メガ・ライフル |
『B-CLUB』27号での出渕裕のイラストが初出で、その後『CCA-MSV』に分類されている。
フルアーマーガンダムの構想を、νガンダムに継承した機体。反乱が長期化した場合に備え、νガンダムの機能強化のため立案された。スラスター付きの追加装甲を全身に装着し、機動性を損なわず防御力を向上させた。シールドも分厚く大型化しているが、メガ粒子砲の配置上、狭い方を上向きにマウントしている。ハイパー・メガ・ライフルを装備し、火力の強化も図られている。
『B-CLUB』27号には「U.C.0100にふさわしい
さらに、胸部装甲へのIフィールド搭載、兵装のサイコミュ・アレンジや内装のフルサイコフレーム化なども検討されるが、反乱の早期終結でプランそのものが立ち消えになっている[32]。
追加武装
- 肩部ミサイルランチャー
- 8基装備されており、
ΖΖ ガンダムと同じ部材が採用されている。構想段階ではサイコミュによって射出後の弾道をある程度コントロールするサイコミュ・グレネードの搭載が検討されていたが、機器が小型化できずに断念された。 - ハイパー・メガ・ライフル
- ビームライフルを超える破壊力をもち、最大出力では当時の戦艦の砲塔数基分に匹敵する威力を発揮する。ビームを絞っての超遠距離狙撃にも対応しており、精密射撃用バイポッドを装備している。ライフル自体にセンサーを内蔵し、射出のタイミングや攻撃対象の距離に応じ、威力をコントロールすることが可能とされており、調整にはサイコミュを利用しているという説もある。
- ハイ・メガ・シールド
- νガンダムのシールドに重ねて装備する。大口径メガ粒子砲を2門装備するシールド。大容量コンデンサーシステムを内蔵し、ジェネレータはνガンダムのシールド内蔵のビーム・ガン用ジェネレーターを転用することで大幅な軽量化を図っている。シールドだけでハイ・メガ・キャノン級の威力を発揮できるが、コンデンサーへのエネルギー充填に時間がかかるため連射性能は低い。
備考
プラモデルでは「SDガンダム BB戦士 No.209 νガンダム(HWS仕様)」「HGUC νガンダム(ヘビー・ウェポン・システム装備型)」としてキット化されている。後者は組立説明書では特に言及されていないが、パーツの関係上、ノーマル状態のνガンダムを組むことも可能(成型色は若干異なる)。
「元祖SDガンダム NO.39 νガンダム ヘヴィウェポンシステム」ではオリジナルのヘッドアーマー(頭部メガ粒子砲内臓型)も追加されてる他、コの字のフィンファンネルをバックパックからスプリングの仕掛けを使って発射することもできる。ノーマル状態のνガンダムを組むことも可能だが「元祖SDガンダム No.1 νガンダム」と比較してディティール等に差異がある。
漫画『機動戦士ガンダムALIVE』では主人公の新たな搭乗機として登場する。
νガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型
プラモデル「1/144 νガンダム フィン・ファンネル装備型」組立説明書に登場し、その後『CCA-MSV』に分類されている。
バックパックのサーベルラックをフィン・ファンネルのジョイントに置き換え、左右にフィン・ファンネルを3基ずつ装備した形態。機体の細部や武装の形状が通常のνガンダムに比べ若干異なっている。なお、本機もヘビー・ウェポン・システムが装着可能である。
このほかゲームなどでは左右にフィン・ファンネルを6基ずつ装備した形態も存在し、ゲーム『ガンダムバトルユニバース』およびその続編では、フィン・ファンネルが増えたことで、機体周囲を覆うIフィールドの形が正二十面体となる。
Hi-νガンダム
Hi-νガンダム(ハイ・ニューガンダム) Hi-NU GUNDAM | |
---|---|
型式番号 | RX-93-ν2[注 9](RX-93-ν-2)[25][33] |
頭頂高 | 20.0m[25][34] |
本体重量 | 27.9t[34][25] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[25] |
武装 | ビームライフル ビーム・サーベル×3 60mmバルカン砲×2 右腕部マシンガン×1 右腕部ガトリングガン×1(Ver.ka) シールド フィン・ファンネル×6(出力3.0MW) ニュー・ハイパー・バズーカ ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー(ハイパーメガビームランチャー) |
搭乗者 | アムロ・レイ |
地球連邦軍のニュータイプ専用試作MS。νガンダムとの大きな違いとして、機体カラーは「白と青」、もしくは「白と紫」の2色を基調とし、背部中央にスタビライザー、その左右にファンネルラック、その下にスラスターとプロペラント兼補助スラスターユニットという構成になっている。スタビライザーはAMBACシステムとスラスターとしての機能を併せ持つ。エネルギーの再充填機能を持った二基のファンネル・ラックに、フィン・ファンネルを片方3基ずつをラックから吊り下げるように懸架することで、翼を模したような姿となる。
開発自体はアナハイム社が独自に進めていたが、ロンド・ベルへの配備が決定したことを受け、アムロによる基礎設計の修正を経て完成した[8]。
デザインの原点となったのは小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』(以下、ベルトーチカ・チルドレン)であり、口絵に掲載された出渕裕による独自アレンジの「νガンダム」のイラストが基になっている。その後、数度の再デザインを経て、映画のνガンダムと別個の設定がされたもので、『逆襲のシャア MSV(CCA-MSV)』にも分類される[注 10][注 11]。機体の出自・設定が二つに別れる点も特徴であり、『CCA-MSV』を出自とするνガンダムの強化発展型としての設定と、小説『ベルトーチカ・チルドレン』を出自とするνガンダムの別バージョンとしての設定が存在し、メディアにより扱いが分かれる。
二つの機体設定
現時点で機体の設定が大きく分けて二つに分かれる。
- νガンダムの発展型とする設定
- 『CCA-MSV (逆襲のシャア・モビルスーツ・バリエーション)』を出自とし[36]、Hi-νガンダムをνガンダムの改良発展機(完成型)とする設定。実質3ヶ月という短期間で設計・建造された[37]RX-93 νガンダムはまだまだ改良・発展の余地を残しており[38]、νガンダムがロンド・ベル隊に納入された後、アナハイム・エレクトロニクス社が独自に改修計画を実施[39]した。「Hi-νガンダム」のコードネームが付与され、設計の見直しと各種アビオニクスの更新[38]、武装の追加を経て完成した。基礎設計の修正にはアムロ・レイも参加したとされる[39]。急造されたνガンダムと違い、十分なテストを重ねて完成された改良発展機[38]。バックパックに設置されたファンネルラックに左右3基づつフィン・ファンネルを配置することにより、重心のバランスが改善した[36]。フィン・ファンネルは回収し、再マウントが可能になり、エネルギーの充填[25]により稼働時間が延長された[39]。さらに大出力火器であるハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーも携行できる。『Gジェネレーション』、『スーパーロボット大戦』、『ギレンの野望』シリーズ等、多くのTVゲーム媒体でこの設定が採用されている。『FW GUNDAM CONVERGE ♯5』では『CCA-MSV』の機体として、Ver.ka (後述)のデザインで商品化された[40]。
- 「ベルトーチカ・チルドレン」に準じる設定
- 小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場するνガンダムをHi-νガンダムとする設定『ベルトーチカ・チルドレン』は登場するキャラクター・機体やストーリーが映画版と異なるパラレルワールドであり、それ故にこちらの設定においてHi-νガンダムは劇場版のνガンダムに相当する全く同一の機体となり、両機は相互にパラレルの関係にある。元々はアムロ・レイが設計していたサイコミュを内蔵していたガンダムであり[41]、劇場版と異なり機体の基本設計にアムロ当人は関与していない。また型式番号が「ν2」となっているのは建造途中で変更されたものとされ[42]、「ν1」にあたる機体については、その一部分が初期の設計案として仄めかされる程度である[42]。2007年に公式設定化の際に発売された模型媒体では『ベルトーチカ・チルドレン』に準ずる機体解説がなされ、この時デザインもカラーパターンを青と白を基調とし、スリムな体型にリデザインされた。2014年に月刊ガンダムエース誌に連載が開始された漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』[43]でもこのリファイン版のデザインを採用している。
サイコフレームの導入
機体の設定と同じく、サイコフレームが機体に実装される過程や方法も異なっており、二つに分かれる。
νガンダムの発展型とする設定
映画の内容に準ずる。シャアがアナハイム・エレクトロニクス社にサイコフレームの技術を意図的にリークし、開発段階のRX-93 νガンダムに導入された。
「ベルトーチカ・チルドレン」に準じる設定
武装(Hi-νガンダム)
武装はνガンダムと同様のものが多く、バックパックにはプロペラントタンクを2基装備できる。
- バルカン砲
- 頭部に左右1門づつ装備する。
- フィン・ファンネル
- バックパック左右にフィン・ファンネルのエネルギーの再充填を可能にするファンネルラックを装備している。フィン・ファンネルは折りたたまれ、左右に3機ずつ、ラックにぶら下がるように装備される。
- ビーム・ライフル
- 形状は異なるが、サイズ、性能は劇場版の機体と同等。
- ビーム・サーベル
- 柄の両端に長短のビーム刃を形成する仕様は劇場版のνガンダムと同様だが、形状が一般機のものと似た形状に変更され、ビーム刃が直刀になった。ビーム刃の色は媒体によって異なり、ブルーの刃とνガンダムと同じくピンクの刃が存在する。左右のファンネルラックに各1基を装備。標準型の予備サーベル1基を左腕に内蔵する点は共通している。
- 腕部マシンガン
- 右袖口に1門内蔵され、肘には交換可能な弾倉を備える。νガンダムにはない武装。
- 腕部ガトリングガン
- 右袖口に内蔵される4連装のガトリングガン。不使用時には腕部カバーに格納する。Ver.kaの武装で、腕部マシンガンに替わって装備している。
- シールド
- 形状はνガンダムのものとほぼ同一。カラーリングと仕様は設定画によって大きく異なり、小説口絵ではインクスポット迷彩、リファイン版は青と白のスプリッター迷彩が施されている。データコレクション掲載の設定画にはデザインが存在せず、ゲームに登場の際はオリジナルの配色であった。 リファイン版は裏面にビームガン用ジェネレーターを内蔵と設定されているものの、プラモデルにはビームキャノンの砲身が存在せず、具体的な運用方法が長年不明だったが、コミカライズ版で裏面下部の3つのスリットからビームを発射している様子が描写された。
Ver.Ka では白一色に赤いロゴが施され、裏面に『MG νガンダムVer.Ka 』と同様、4発のミサイルと長い筒状の砲身が設定された。 - ニュー・ハイパー・バズーカ
- 基本的にνガンダムと同一の武装。MG/HGUC版ではバックパックにマウントする機構はなくなっているが、HCM-Pro版では腰にビームライフルと択一でマウント可能となった。
Ver.Ka ではバックパックの中央のテールスタビライザー直下にマウント可能なほか、砲身の伸縮ギミックが追加されている。 - ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャー
- 小説『ベルトーチカ・チルドレン』で使用。ラー・カイラムより伸ばされたエネルギー・ケーブルを機体に直結する急造のエネルギー供給システムで運用される。発射のためには莫大なエネルギーを消費し、供給を行う際にはラー・カイラム艦内の照明が一瞬切れるほどで、圧倒的な威力を発揮する。しかし、長く延びたエネルギー・ケーブルが無防備という根本的な弱点があるため、アクシズの核パルス・エンジン破壊のために用意されるが、敵からの妨害を受け破壊は失敗する。
- デザインの初出はゲーム『機動戦士ガンダム エクストリームバーサス』で、大型で長砲身の兵器となっている。脇に抱える形で保持し、フィン・ファンネル・バリアを展開しつつ砲身をバリアの外に出しビームを発射する。漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』では柳瀬敬之によって作画用に改めて設定画が描かれ、さらに大型の別デザインになっている。肩に担ぐ形で発射する。なお漫画版のデザイン発表後も『GUNDAM VERSUS』などゲーム版のデザインは変更されていない。2019年に「METAL ROBOT魂」にて商品化された。
- 名称は「ハイパーメガビームランチャー」とされることもある[注 13]。
デザイン・設定の成立まで
- 初出時のあつかい
- 小説『ベルトーチカ・チルドレン』の口絵で出渕裕によって描かれたモノクロのイラストがデザインの原型だが、作中に登場するのは単に「νガンダム」と呼ばれており、サイコフレームの実装される過程や武装などが映画版とは異なる程度である。美樹本晴彦による表紙や挿絵でもデザインは変更されておらず、Hi-νガンダムの原型となったものは口絵にしか存在していない。この口絵では型式番号もRX-93のままで、スペックの数値や性能は映画版と変化はない(但し、頭頂高のみ20.0メートルに変化している)。映画版との大きな違いとして、小説ではハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーを使用する描写があるが、デザインは存在していなかった。この小説版口絵のデザインを基に、月刊ホビージャパン90年8月号で「νガンダム」として菅義弘による模型作例が製作され、作例のために出渕によるデザインも発表された。ただし、この時点ではあくまで「小説版νガンダム」というあつかいだったとしている[45]。出渕の画稿では左胸に「RX-93 ν」、背部のプロペラントタンクに「RX-93 ν2」の文字が読み取れる。この作例は青と白で塗装され、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされている。
- 独立した設定の定着
- ホビージャパン誌によると、Hi-νガンダムという名前が初めて確認されたのはB-CLUBの1/144スケールのレジンキットであると明記されているが、実際は当時、海洋堂から発売されていた1/220 ナイチンゲールに合わせて同じ原型製作した大輪正和(GGP)による1/220スケールのレジンキットが初めてである。
- 後継機の意味に加えて企画段階の主役機名である「Hi-Sガンダム」にちなんで命名したとの説を紹介しているが[45]ガレージキット化の際、出渕裕との話し合いでνガンダムの上をいくからHiを付けようとなり、商品化申請の際に提出したらそのまま通ってしまったらしい。
- 1998年に発売されたメディアワークス発行の書籍『データコレクション7 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で、Hi-νガンダムをνガンダムの上位機種として紹介した(機体スペックも設定されているが、頭頂高と重量は小説版の数値と同じである)。掲載された画稿はホビージャパン誌のものを着色したもので、紫と白のカラーで、フィン・ファンネルにグラデーション塗装がされたものだった。その後、1999年にゲーム『GジェネレーションZERO』『リアルロボット戦線』に登場し、これ以降ゲームでνガンダムの上位機として登場するようになった。主に登場した『Gジェネレーション』『スーパーロボット大戦』シリーズではデータコレクションの画稿に準じたデザインであり、後の「公式設定化」以前のゲームに登場したものは紫がかったものが大半を占めていた。一方、『
MS 大全集2003』に掲載されている画稿はデータコレクションのものと異なり、カラーは青と白になっており、フィン・ファンネルは白一色になっている。 - 公式設定化
- 2007年のマスターグレード化に合わせ、サンライズ主導で「公式設定化」がなされた。それに伴い、出渕の手でデザインリファインが行われ、多くのパーツの形状やバランスが変更された。体型は従来より細身になり、各部の配色も一新されている。機体色は淡い青と白を基調としたものになり、シールドはスプリッター迷彩、フィン・ファンネルは青一色に塗られた。この変更後のものが「公式設定画」と呼ばれている。この時、従来のものは「正確にはアンオフィシャルの機体」と解説され[45]、マスターグレードの解説書の設定は『ベルトーチカ・チルドレン』に準じており、映画のνガンダムに相当する機体とされた。これ以降、メディアによって設定の解釈が分かれ、TVゲーム媒体は従来通り「後継機としての設定」を採用し、模型媒体や漫画版『ベルトーチカ・チルドレン』では「ベルトーチカ・チルドレンに基づく設定」を用いる傾向にあった。デザインの面でも、模型媒体やTVゲームにおいてはリファイン版のデザインを採用されることが増えたが、一方で過去のデザインや機体カラーを取り入れた商品も多く発売されている。2008年3月発売の『FW GUNDAM STANDart:2』や、2014年1月発売の『ROBOT魂』では全体的にマッシブな体型になっており、過去のデザインや90年の作例に近い。そのほかの部分は青と白を基調としつつ、フィン・ファンネルやシールドのデザインはリファイン版である。
- Ver.ka
- 2014年にはマスターグレード「Hi-νガンダム
Ver.Ka 」が発売された。過去のデザインを元に、カトキハジメにより発表当時のイメージをまとめ上げ、再デザインしたものである。機体色はリファイン版以前の紫と白を基調とし、フィン・ファンネルもグラデーション塗装に戻された。シールドは白一色に赤いロゴが施されており、裏面にνガンダム同様の武装が設定された。肩部やリア・スカートのスラスターの展開ギミックや、ニュー・ハイパー・バズーカの伸縮ギミックが追加され、リファイン版にあった右腕部マシンガンは格納式の4連装腕部ガトリングガンに変更された。オプション武装としてHWS(ヘビー・ウェポン・システム)との融合も図られた。これ以降も公式設定は2007年のものであるとされ[45]、発展型とする設定も掲載されていない。
その後の変遷
- 2015年1月に発売の『METAL ROBOT魂 Hi-νガンダム』も『ROBOT魂』と外見上の違いはないが、2017年発売の『METAL ROBOT魂 Hi-νガンダム Re:Package』では機体カラーが従来の青と白から過去のデザインに近い紫と白に変更された。さらに『METAL ROBOT魂 Hi-νガンダム ベルトーチカ・チルドレン』では各部がより旧設定画に近いデザインになり、ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーが初めてゲーム版のデザインで商品化された[46]。2018年、ゲーム『機動戦士ガンダムオンライン』では過去のデザインに近いものが採用された。
Hi-νガンダム Ver.Ka
νガンダム
Hi-νガンダム Ver.Ka ヘビー・ウェポン・システム装備型
型式番号:FA-932 HWS
上記のHi-νガンダム
大きな違いがハイパー・メガ・シールドで、シールドから取り外して背部にマウントする第2形態が設定されている。この第2形態では、さらに2本のニュー・ハイパー・バズーカをマウントできる。
量産型νガンダム
量産型νガンダム Mass-Produced NU GUNDAM | |
---|---|
型式番号 | RX-94[47] / RX-93[48] |
頭頂高 | 21.2m[47] |
本体重量 | 25.6t[47] |
全備重量 | 64.5t(フィン・ファンネル装備時)[49] 58.0t(インコム装備時)[47] |
装甲材質 | ガンダリウム合金[47] |
出力 | 2,500kW[47] |
推力 | 87,000kg[47] |
センサー 有効半径 |
19,400m[47] |
武装 | ビーム・ライフル[47] ビーム・スプレーガン[47] ビーム・サーベル×1[47] インコム・ユニット(オプションパック)[50] フィン・ファンネル(オプションパック)[50] ビーム・サーベル・ラック[47] ビーム・キャノン[50] ミサイル×4[50] 60mm[51]バルカン砲×2[52] |
「シャアの反乱」の際、ロンド・ベル隊は主力であるジェガンがギラ・ドーガと比べて明らかに戦力不足であり[47]、さらにサイコミュ搭載機であるヤクト・ドーガが量産化された場合も考慮し[50]、エース・パイロット用に本機の少数生産を計画している[47]。なお、原型機のνガンダム自体も、制式採用と開発費捻出のために量産も可能な設計とされている[10]。装甲やフレームの材質は原型機より1ランク下のものが用いられるが[38]、基本性能は原型機の80パーセントをフォローしているとされる[52]。塗装は濃淡ブルーを基調とする。
原型機同様サイコフレームが採用されているが[47]、フィン・ファンネルのほかにニュータイプ以外でもあつかえるインコムをバックパック側面のユニットを換装することで装備可能[47]。ビーム・ライフル[50]とシールド[53]は原型機と同型のものを携行し、ビーム・サーベルは臀部のほか、フィン・ファンネル装備型はバックパック右側面の1本、インコム装備型は両側面のユニットに1本ずつ、
実戦参加記録はないが写真はいくつか残されており、連邦の開発部が次期主力機のためにおこなっていたとされる月近傍でのインコムのテスト風景や[54]、アナハイム社の女性スタッフらを撮影したスナップに写り込んだりしている(写真の日付は"U.C.0094.06.22")[55]。
ガンダムGファースト
ガンダムGファースト GUNDAM G-FIRST | |
---|---|
型式番号 | RIX-001 |
頭頂高 | 21.8m |
本体重量 | 29.8t |
全備重量 | 63.4t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
出力 | 2,890kW |
推力 | 119,760kg |
センサー 有効半径 |
19,800m |
武装 | ビーム・サーベル ビーム・ライフル 60mmバルカン砲 マイクロ・ミサイル ウイング・シールド |
搭乗者 | ジョリオン・デイ |
漫画『機動戦士ガンダムU.C.0096 ラスト・サン』に登場。
地球連邦地上軍が、キャノンガンやGFタンクとともにアナハイム社に開発を発注した機体で、量産型νガンダムの設計データをもとに製作されている[56]。 RIXシリーズは、バック・ウェポン・システム(BWS)の拡張発展を目的として開発されており、本機はサイコフレームの外部装置化による性能向上の実証試験機という位置付けが与えられている[57]。
サイド7でおこなわれる式典用にそのまま転用され、トリコロールを基調に塗装されている。 パイロットはジョリオン・デイ中尉。
コクピットの球形イジェクション・ポッドが露出する、きわめて独特な構造が採用されているが、耐熱・耐弾性能自体は向上しており、コックピット・ブロック単体での大気圏突入も可能となっている。この部分を防御するため、両腕部にウイング・シールドをマウント。シールドは原型機と同様のウェポンラックでもあり、予備のEパックとマイクロミサイルも収納される。
武装(ガンダムGファースト)
- ビーム・サーベル
- 肩・腰・膝アーマー内部(展開式ニー・クラッシャー)にはビーム・サーベルが2本ずつ収納されている。
- 実戦で使用した際にはガンダムの見た目から、リベット・アッカーによりハリネズミ呼ばわりされる[58]。
- ビーム・ライフル
- Eパック方式のビーム・ライフル。
- 第14話「散り花の戦い」で出撃前に整備長のワレリー・シュトロゼックによって細工が施され、ガンダムGファーストDXのパワーをそのままライフルに回せる機能が持たされた[59]。これにより本武装はνガンダム同様、Eパック方式と本体からのエネルギー供給式のハイブリッド方式となった。
- ビーム・ディフューザー
- シールド側面部に備え付けられた拡散ビーム放射機構。出力不足から下記のDX形態でしか使用できない。
ガンダムGファーストDX
ガンダムGファーストDX GUNDAM G-FIRST-DX | |
---|---|
型式番号 | RIX-001[GA] |
頭頂高 | 21.8m |
本体重量 | 49.6t |
全備重量 | 88.3t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 チタンセラミック複合材 |
出力 | 4,340kW |
推力 | 179,760kg |
センサー 有効半径 |
29,700m |
武装 | ビーム・サーベル ビーム・ラッシュ・ライフル 60mmバルカン砲 マイクロ・ミサイル ウイング・シールド ロング・ビーム・ジャベリン ミサイル・コンテナ エクス・キャノン ビーム・ディフューザー |
搭乗者 | ジョリオン・デイ ガンズ・ラン |
『ラスト・サン』に登場。なお、"DX"は"Dual-X(trans)cend"(二重の超越)を意味する。
GファーストとGFタンクがドッキングした形態。両機体のレーザーサーチャーを同調させ、GFタンクはBW(バックウェポン)モードにチェンジしてドッキングは行われる[60]。
総合性能が大幅に向上し、シールドのビーム・ディフューザーも使用可能となる。コクピットはGファースト側とGFタンク側を繋ぐ連絡通路があり、往来が可能[61]。
機能
- サイコフレーム
- 整備長のワレリー・シュトロゼックによればGファーストには、かつてアクシズ・ショックを引き起こしたサイコフレームは組み込まれていないとされる。Gファーストに関してAE社からは最低限のメンテナンス要項しか書かれた仕様書しか貰っておらず、ドッキング機能さえダン・コルトンに教えてもらうまで知らなかったのである[62]。
- しかし実際は、GFタンク側にサイコフレームが仕込まれており、ニュータイプの存在を感知してアクティブとなる[63]。サイコフレーム展開時には、ツインアイ(メインカメラとサブカメラ)が緑色から黄色へと変化、額のスリットからはサイコフレーム由来の光が激しく漏れ出す[64]。
- ナイトロ隊を相手に行われた月の裏側でのジョリオン救出作戦時にはニュータイプの素養をもつガンズに呼応しGFタンク側のサイコフレームが起動し、200%を超える想定外の出力上昇現象が生じた。オーバーロードによる機体の自壊が懸念される状況となるが、ガンズの機転によりGファーストに装備されている6本のビーム・サーベルの放射口を利用して、ジェネレーターから発生する余剰エネルギーを強制的に開放することで出力を安定させた[65]。
武装(ガンダムGファーストDX)
- ビーム・ラッシュ・ライフル
- GFタンクのエクス・カートリッジを連結させた高出力ビーム兵装。開放型バレルとメガ粒子偏光器により複数機をロックオン可能な拡散メガ粒子砲、高収束の通常メガ粒子砲の2つの特性をもつ[66]。
- 接近戦ではロング・ビーム・ジャベリンとして使用も可[67]。
劇中での活躍(ガンダムGファーストDX)
- 第10話「ドッキング」にて、Gファーストがサン・プレースとダン・コルトンの搭乗したGFタンクとドッキングして登場する。
- 第11話「GファーストDX、そして」では、エネルギーゲインが制御出来ないほどの速度で183%まで上昇[68]。「アンチェインド」状態となったユニコーンガンダム3号機「フェネクス」の機能を停止させるほどのパワーを発揮する。その後エネルギーゲイン(性能数値)は150%を維持した[69]。
- 第26話「悪夢」で専任パイロットのジョリオンがザナドゥによってイジェクション・ポッドごと連れ去られてしまった後、第27話「再会の時」からはジョリオンたちを救出するためにGファースト側にジオン残党の2世であるガンズ・ランが、GFタンク側にキャノンガンのパイロットであるゾーイ・ヤンソンと民間人のニュータイプの子供であるサン・プレースが搭乗。
- 第29話「宇宙を超えて」では、ガンズの呼び掛けに呼応して秘匿されていたサイコフレーム機能が発現。6本のビームサーベルで余剰エネルギーを放出しながら、エネルギーゲイン200%を維持したガンダムGファーストDX(サイコフレーム起動)となった。
そのほかのバリエーション
μガンダム
読みはミューガンダム。『ガンダム・センチネル』のアナハイムガンダム一覧表に記載されているサイコフレーム試験機で形式番号は「RX-90」。
これとは別に、PC-9801用ゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション』にも同じ名称の機体が登場するが設定は異なっている。(型式番号:YRX-90A[注 15])。外観はνガンダムと同様であるがサイコミュは未搭載で、PX-00531同様の試作機である。U.C.0092年のエーゲ海周辺におけるネオ・ジオン地上軍との戦闘に参加し、パイロットはアムロ・レイ大尉とされる。
PX-00531
漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』に登場。νガンダムの試作型でサイコミュは搭載していない。テストのために地上に下ろされた際にネオ・ジオン軍の襲撃に遭遇し、輸送担当者の独断で戦闘に投入されたが、オーバーヒートを起こして撃破される。そのためνガンダムの完成は遅れることになったとされる。「00531」は生産工場における製造番号。なお、初出の資料では「RX-00531」であった[70]。
Gコマンダー
漫画『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に登場(型式番号:RX-92LAS)。宇宙用のヘビーウェポンシステムと対をなす陸戦用の重装化プラン(型式番号のLASはLand Armor Systemの略)であり、シールドなどは共通のものを装備している。母機としてPX-00531同様のνガンダム試作型(RX-92B)を使用している。全備状態は非常に大型な機動兵器となり、モビルアーマーに近い様相となる。
フルアーマーνガンダム
ムック『機動戦士ガンダム
νガンダム FAMAS仕様
漫画『機動戦士ガンダムReon』に登場。νガンダムの改良型である。ガンダムReon奪取のためにFAMASのレディス・レオノフスキーが搭乗した。フィン・ファンネルの搭載数が増加され、外観も黒い塗装に変更されている。
武者νガンダム
武者νガンダム | |
---|---|
型式番号 | RX-93 (TYPE-M) |
全高 | 25.5m |
本体重量 | 59.9t |
全備重量 | 61.3t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
出力 | 7,240kw |
武装 | サイコミュソード「妖剣ムラマサ」 60mmバルカン砲 ビーム・サーベル |
搭乗者 | 不明 |
『SD戦国伝』シリーズとは別に、宇宙世紀の世界観上で展開された『コミックボンボン』のオリジナルストーリー「プロジェクトMUSHA」に登場(1989年3月号掲載)。
木星の宇宙海賊掃討を目的として始動した地球連邦軍の「プロジェクトMUSHA」機体群の内のひとつ。サイド2で製造されたνガンダムのレプリカをベースに開発された機体。その名が示すとおり、旧世紀の日本の鎧武者を模した外観をもつ。サイコミュソード「妖剣ムラマサ」を装備したニュータイプ専用機。
脚注
注釈
- ^ 『機動戦士Ζガンダム』第1話冒頭では、アポリーがテスト飛行中だったガンダムMk-IIを「ニューガンダム」と呼ぶ場面がある。
- ^ 加えて、ラフな組み立てなら二週間で可能であり、MS製造の歴史の証明と小説版作中でオクトーバーが語っている。その製造スピードについて、アムロは「まるでプラスチック・モデル並のスピードだな」と感嘆の声を上げる[7]。
- ^ マスターグレード付属説明書でもこれを踏襲し、本機の基礎設計は歴代のガンダム・タイプの平均値を参考に、技術発展によるアップデートがほどこされているとしている[10]。
- ^ Ζガンダムにおいては高性能ではあるものの、操縦系統の反応が先鋭化しており、その操作はデリケートなものとなっていた[10]。
- ^ 劇中では戦場に割って入ったνガンダムのライフル射撃を、敵パイロットのレズンが艦戴のメガ粒子砲だと一瞬勘違いするシーンがある。
- ^ 劇中では、バリアー展開中にその内側から攻撃を行い、敵ファンネルを撃墜している描写が見られる。
- ^ 『逆襲のシャア』劇中では、サイコフレームの導入により機体重量が3キログラム減ったとされるが、重量を含む本仕様のスペックの数値はすべて実戦配備仕様と同じになっている[30]。
- ^ 後発機のユニコーンガンダムのデストロイモードの装甲展開ギミックをνガンダムまで逆算した形。同時期に発売された『MG サザビー
Ver.Ka 』も同様にサイコフレーム発動状態が追加されている。 - ^ プラモデルなどで採用している型番。
- ^ 執筆者の富野由悠季は同作のあとがきに際し、「ベルトーチカ・チルドレンは逆襲のシャアのシナリオ第一稿をベースとしたモチーフ小説」という立場を説明している[35]。
- ^ 『Gジェネレーション』シリーズ、『
MS 大全集2013』などで分類している。しかし『データコレクション』では未定義、CCA-MSVを扱っている『MS 大全集98』ではHi-νガンダムを掲載しておらず、『2003』ではM-MSVのページに掲載している。 - ^ 小説の「サイコ・ドーガ」は映画におけるヤクト・ドーガに相当する機体で、『CCA-MSV』に同名機が存在するが、別のものである。
- ^ 『Gジェネレーションオーバーワールド』ほか。『データコレクション』の解説文にも「ハイパー・メガビーム・ランチャー」と記載されている[25]。
- ^ 商品の箱などに明記。
- ^ 付属解説書では「YRA-90A」だが、ゲーム本編では「YRX-90A」であり、こちらのほうが地球連邦軍
MS の型式番号の法則にも合致する。
出典
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MS 大図鑑 PART.8 SPECIALガンダム大鑑』バンダイ、1993年2月28日初版発行、39-40頁。(ISBN 978-4891892067) - ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集98』メディアワークス、1998年4月、146頁。ISBN 4073085190
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参考文献
- プラモデル付属説明書
- 『ガンダムファンクラブリミテッド HGUC 1/144 RX-93 νガンダム(ファーストロットカラーver.)』BANDAI SPIRITS、2020年7月。