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2020年9月15日 (火) 15:22時点における版
4割打者(よんわりだしゃ)とは、野球において1シーズンの打率が4割(.400)を超えたことがある打者のこと(規定打席未満の場合は除外)。
概要
リトルリーグや高校野球、大学野球などでは4割を超える打率を残す選手は珍しくない。しかし、プロ野球で4割打者になることはきわめて難しい。1試合で回って来る打席は一般に4回くらいなので、達成するには1試合あたり、2本は安打を打たねばならないことになる。プロでは一般には3割超え(1試合で最低1本)を維持すれば一流と見做される。
メジャーリーグでの最近の4割打者は1941年のテッド・ウィリアムズにまで遡る。これ以降で4割打者に迫った記録としては、1977年にロッド・カルーが達成した.388、1980年にジョージ・ブレットが達成した.390、1994年にトニー・グウィンが達成した.394が挙げられる。もっとも迫った例として2000年にトッド・ヘルトンが規定打席に達して4割を超えていたが試合に出場を続け打率を下げてしまっている。また、テッド・ウィリアムズは23歳1か月で4割打者になっており、これは打率4割達成者の最年少記録である。4割打者の中では唯一、タック・ターナーのみがスイッチヒッター(左投げ両打ち)であり、1894年に.418を記録している。
NPBに於いてはランディ・バースが1986年に達成した.389が打率のシーズン最高記録であり、いまだに4割を超えた打者は存在しない(詳しくは打率を参照のこと)。なお、1989年にウォーレン・クロマティは規定打席に達した時点で4割を超えていたが、チームが優勝争いをしていたために試合に出続けた結果、打率を下げてしまい4割達成は成らなかった。
NPB以外ではベースボール・チャレンジ・リーグの野原祐也(富山、元阪神)が2007年に.412の記録を、BASEBALL FIRST LEAGUEの田中耀飛(兵庫、現楽天)が2017年に.422の記録を[1][2]、NPBの2軍のイースタン・リーグでは上条皇裕(大毎)が1961年に.424[3]、鈴木健(西武)が1991年に.401の記録を残している。また、国民野球連盟1947年夏季リーグで宇高レッドソックスの茅野秀三が.403を記録している。
分析
テッド・ウィリアムズ以降、メジャーリーグに4割打者が生まれていない理由として、古生物学者であるスティーヴン・ジェイ・グールド博士は、進化論の観点から以下のような仮説を立てている[4]。グールドは、打率が投手と打者の勝負の結果で決まる相対的な指標であることに注目し、以下のような仮説を立てた。
- (事実1)レギュラー選手の平均打率は、どの時代でもおおむね2割台後半を維持している。
- (事実2)レギュラー選手の打率の標準偏差は、時代が進むほど減少している。
- (推論1)メジャーリーグをプロスポーツとして成立させるために、ルールの細かい改正が行われ、平均打率は一定の範囲内に保たれていた。
- (推論2)初期のメジャーリーグでは多様な技術が試されたため、打率の標準偏差も大きかったが、最良の結果を残した技術のみが模倣されて多様性が減少したため、打率の標準偏差は減少した。
- (結論)打者の能力は時代が進むにつれ向上しており、現在ではかつてないほど多くの人数が最良の打者の範疇に近づいている。そのため、最良の打者の打率と平均打率との差が小さくなり、結果的に4割打者は出現しなくなった。
この仮説によると、4割打者が消滅したのは、打者の能力が低下したためではなく、打者の能力が全体的に向上して野球というスポーツが成熟したことの証拠である。
歴代4割打者
順位は打率上位順
日本プロ野球
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 田中耀飛 | 兵庫ブルーサンダーズ | 右 | .422 | 2017年 |
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 野原祐也 | 富山サンダーバーズ | 左 | .412 | 2007年 |
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 茅野秀三 | 宇高レッドソックス | 左 | .403 | 1947年夏 |
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 | 達成回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 三浦伊織 | ウエスト・フローラ | 左 | .500 | 2014年 | 2回目 |
2 | 岩谷美里 | 埼玉アストライア | 右 | .441 | 2017年 | |
3 | 川端友紀 | イースト・アストライア | 左 | .431 | 2013年 | 2回目 |
4 | 大山唯 | 兵庫ディオーネ | 左 | .4074 | 2015年 | 1回目 |
4 | 大山唯 | 兵庫ディオーネ | 左 | .4074 | 2016年 | 2回目 |
6 | 三浦伊織 | ウエスト・フローラ | 左 | .4071 | 2013年 | 1回目 |
7 | 川端友紀 | 京都アストドリームス | 左 | .406 | 2011年 | 1回目 |
メジャーリーグ
- 1900年以降の近代野球が対象
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 | 達成回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ナップ・ラジョイ | フィラデルフィア・アスレチックス | 右 | .426 | 1901年 | |
2 | ロジャース・ホーンスビー | セントルイス・カージナルス | 右 | .424 | 1924年 | 2回目 |
3 | ジョージ・シスラー | セントルイス・ブラウンズ | 左 | .4197 | 1922年 | 2回目 |
4 | タイ・カッブ | デトロイト・タイガース | 左 | .4196 | 1911年 | 1回目 |
5 | タイ・カッブ | デトロイト・タイガース | 左 | .409 | 1912年 | 2回目 |
6 | ジョー・ジャクソン | クリーブランド・ナップス | 左 | .408 | 1911年 | |
7 | ジョージ・シスラー | セントルイス・ブラウンズ | 左 | .407 | 1920年 | 1回目 |
8 | テッド・ウィリアムズ | ボストン・レッドソックス | 左 | .406 | 1941年 | |
9 | ハリー・ハイルマン | デトロイト・タイガース | 右 | .403 | 1923年 | |
10 | ロジャース・ホーンスビー | セントルイス・カージナルス | 右 | .4027 | 1925年 | 3回目 |
11 | ロジャース・ホーンスビー | セントルイス・カージナルス | 右 | .40128 | 1922年 | 1回目 |
12 | ビル・テリー | ニューヨーク・ジャイアンツ | 左 | .40126 | 1930年 | |
13 | タイ・カッブ | デトロイト・タイガース | 左 | .4011 | 1922年 | 3回目 |
アメリカメジャーリーグにおいて1900年以降、打率4割が達成されたのは13回、わずか8人の選手によってのみである。また、19世紀の記録も含めた場合でも合計28回であり、19世紀には12人の選手によって15回記録されている。
- 19世紀、近代野球前の記録
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 | 達成回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ヒュー・ダフィー | ボストン・ビーンイーターズ | 右 | .440 | 1894年 | |
2 | ティップ・オニール | セントルイス・ブラウンズ | 右 | .435 | 1887年 | |
3 | ロス・バーンズ | シカゴ・ホワイトストッキングス | 右 | .429 | 1876年 | *4回目 |
4 | ウィリー・キーラー | ボルチモア・オリオールズ | 左 | .424 | 1897年 | |
5 | タック・ターナー | フィラデルフィア・フィリーズ | 両 | .418 | 1894年 | |
6 | *フレッド・ダンラップ | セントルイス・マルーンズ | 右 | .412 | 1884年 | |
7 | エド・デラハンティ | フィラデルフィア・フィリーズ | 右 | .4096 | 1899年 | 3回目 |
8 | ジェシー・バーケット | クリーブランド・スパイダーズ | 左 | .4095 | 1896年 | 2回目 |
9 | サム・トンプソン | フィラデルフィア・フィリーズ | 左 | .407 | 1894年 | |
10 | ジェシー・バーケット | クリーブランド・スパイダーズ | 左 | .405 | 1895年 | 1回目 |
11 | エド・デラハンティ | フィラデルフィア・フィリーズ | 右 | .4041 | 1895年 | 2回目 |
12 | エド・デラハンティ | フィラデルフィア・フィリーズ | 右 | .4040 | 1894年 | 1回目 |
13 | ビリー・ハミルトン | フィラデルフィア・フィリーズ | 左 | .403 | 1894年 | |
14 | ピート・ブラウニング | ルイビル・カーネルズ | 右 | .402 | 1887年 | |
15 | ヒューイー・ジェニングス | ボルチモア・オリオールズ | 右 | .401 | 1896年 |
フレッド・ダンラップは、ユニオン・アソシエーションでの記録。ロス・バーンズはナショナル・アソシエーションも含めた場合の達成回数
- ナショナル・アソシエーション(NA)の記録
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 | 達成回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | リーヴァイ・メイエール | フィラデルフィア・アスレチックス | 右 | .492 | 1871年 | |
2 | カル・マクヴィー | ボストン・レッドストッキングス | 右 | .4313 | 1871年 | |
3 | ロス・バーンズ | ボストン・レッドストッキングス | 右 | .4312 | 1873年 | 3回目 |
4 | ロス・バーンズ | ボストン・レッドストッキングス | 右 | .430 | 1872年 | 2回目 |
5 | デイヴイ・フォース | ボルチモア・カナリーズ | 右 | .418 | 1872年 | |
6 | キャップ・アンソン | フィラデルフィア・アスレチックス | 右 | .415 | 1872年 | |
7 | ロス・バーンズ | ボストン・レッドストッキングス | 右 | .401 | 1871年 | 1回目 |
ナショナル・アソシエーションの記録は特殊な扱いを受けているため、詳しくはNAPBBPはメジャーリーグかを参照。
- 各種記録 (*)は近代野球前の記録
- 個人最多達成回数 : エド・デラハンティ(*)、タイ・カッブ、ロジャース・ホーンスビーらの3回
(NAの記録も含む場合はロス・バーンズの4回が最多)
- 個人シーズン連続達成記録 : エド・デラハンティ(*)、ジェシー・バーケット(*)、タイ・カッブ、ロジャース・ホーンスビーらの2年連続
(NAの記録も含む場合はロス・バーンズの3年連続が最高)
韓国プロ野球
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 白仁天 | MBC青龍 | 右 | .412 | 1982年 |
台湾プロ野球
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成年 | 達成回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 王柏融 | Lamigoモンキーズ | 左 | .414 | 2016年 | |
2 | 王柏融 | Lamigoモンキーズ | 左 | .407 | 2017年 | 2回目 |
3 | 蔣智賢 | 中信兄弟エレファンツ | 左 | .402 | 2016年 | |
4 | 林泓育 | Lamigoモンキーズ | 右 | .400 | 2016年 |
台湾プロ野球界は2015年から「打高投低」現象が強まっている[5]。2016年から台湾プロ野球界は4割打者は次々と生み出し、当シーズンのリーグ野手平均OPSは.851であった[6]。常にリーグ野手平均OPSを.7ぐらいに維持してきた日本プロ野球界から見れば[7]、石井一久、城所龍磨などのプロ野球選手の想像をはるかに絶する甚だしい打高投低だった[8][9]。台湾の人々もそれを自覚しており、郭泰源も統一セブンイレブン・ライオンズの監督を務めている時、CPBLの「打高投低」現象を問題視した[10]。
キューバリーグ(木製バット導入以降)
順位 | 名前 | 所属 | 打席 | 打率 | 達成シーズン | 達成回数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | オスマニー・ウルティア | レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス | 右 | .469 | 2003-04 | 4回目 |
2 | ホセ・アブレイユ | エレファンテス・デ・シエンフエーゴス | 右 | .453 | 2010-11 | |
3 | ミチェル・エンリケス | トロンヘロス・デ・イスラ・デ・ラ・フベントゥ | 右 | .447 | 2005-06 | |
4 | オスマニー・ウルティア | レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス | 右 | .431 | 2000-01 | 1回目 |
5 | オスマニー・ウルティア | レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス | 右 | .425 | 2005-06 | 5回目 |
6 | オスマニー・ウルティア | レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス | 右 | .421 | 2002-03 | 3回目 |
7 | オスマニー・ウルティア | レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス | 右 | .408 | 2001-02 | 2回目 |
8 | アルフレド・デスパイネ | アラサネス・デ・グランマ | 右 | .404 | 2009-10 | |
9 | ノルリス・コンセプシオン | レニャドレス・デ・ラス・トゥーナス | 右 | .402 | 2001-02 | |
10 | ミチェル・エンリケス | トロンヘロス・デ・イスラ・デ・ラ・フベントゥ | 右 | .401 | 2008-09 | 1回目 |
11 | ミチェル・エンリケス | トロンヘロス・デ・イスラ・デ・ラ・フベントゥ | 右 | .401 | 2010-11 | 2回目 |
関連項目
脚注
- ^ 選手成績 (PDF) - BASEBALL FIRST LEAGUE
- ^ “<ドラフト>楽天5位・田中耀飛外野手(兵庫ブルーサンダーズ)飛距離が持ち味”. 河北新報. (2017年10月27日) 2017年10月28日閲覧。
- ^ 森岡浩 『プロ野球人名事典 1995』(紀伊國屋書店、1995年)122頁。
- ^ スティーヴン・ジェイ・グールド 『フルハウス 生命の全容―四割打者の絶滅と進化の逆説』 早川書房
- ^ 中華職棒歷年數據 TW#Baseball (2016年10月16日) 2018年5月30日閲覧
- ^ 2016年中華職棒進階打擊數據 TW#Baseball (2016年10月16日) 2017年8月30日閲覧
- ^ Batting Stats (2018年5月30日) 2018年5月30日閲覧
- ^ 中職打高投低嚴重 大聯盟前日籍強投憂心台灣 (2017年11月24日) 2018年5月30日閲覧
- ^ 台灣職棒打高投低 軟銀球員好奇:好投手都到哪裡? (2017年12月19日) 2018年5月31日閲覧
- ^ 陽耀勳「碰」出全壘打 中職「彈力球」紅到大聯盟 自由體育 (2016年8月29日) 2017年8月30日閲覧