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2020年9月15日 (火) 13:28時点における版
ブレン Mk.I | |
概要 | |
---|---|
種類 | 軽機関銃 |
製造国 | イギリス |
設計・製造 | エンフィールド王立造兵廠 |
性能 | |
口径 | 7.7mm(0.303インチ) |
銃身長 |
635mm(Mk.1/Mk.2) 569mm(Mk.3/Mk.4) |
使用弾薬 | .303ブリティッシュ弾(L4への改修後は7.62x51mm NATO弾) |
装弾数 | 30発 |
作動方式 | ガス圧利用・ティルトボルト |
全長 |
1.156mm(Mk.1/Mk.2) 1.090mm(Mk.3/Mk.4) |
重量 | 10.35kg(Mk.1/Mk.2非装填状態)8.68kg(Mk.3/Mk.4非装填状態) |
発射速度 | 500-520発/分 |
銃口初速 | 747.3m/s |
有効射程 | 550m(600ヤード) |
ブレン軽機関銃(ブレンけいきかんじゅう、英: Bren Light Machine Gun)、通称ブレンガンは、1930年代から広く使用されたイギリス製の軽機関銃である。特に第二次世界大戦中、イギリス軍とその同盟国軍で、歩兵部隊に欠かせない軽機関銃として作戦に多用された。その後も、朝鮮戦争、フォークランド紛争、湾岸戦争に至るまで使用され続けた。
概要
1930年代、イギリス軍は新型軽機関銃について競作を行った。その結果、採用されたチェコスロバキアのZB vz 26軽機関銃を、使用弾薬を.303ブリティッシュ弾に変更してライセンス生産したのがブレン軽機関銃である。1950年代からは、7.62x51mm NATO弾が使えるように改修され、L4として運用され続けた。二脚が標準装備されているが、三脚を使うこともでき、また、車両への搭載も積極的に行われた。
イギリス軍の後の作戦では、ベルト装弾式のL7汎用機関銃(FN MAGをベースにしたもの)に置き換えられた。また、分隊支援火器としては、5.56x45mm NATO弾を使用するL86(SA80の分隊支援バージョン)や、ミニミ軽機関銃(イギリス名L108、L110)に置き換えられた。
開発経緯
イギリス陸軍は1935年に、ルイス軽機関銃などに代わる新型軽機関銃の競作(トライアル)を実施した。選考の結果、チェコスロバキアのブルノ(Brno)ZB vz 26軽機関銃系列のZB27が、ブローニング・アームズ社のBARやマドセン社などを破って採用され、ライセンス生産契約が結ばれた。若干の設計変更が行われ、最も大きな変更点は、弾薬に.303ブリティッシュ弾を使用するために、リム(起縁)付きの銃弾の形状に合わせて弾倉を直線箱形から湾曲箱形に切り替えたことと、銃身およびガスチューブ・ガスピストンの設計を変更したことである。ブレン(Bren)の名前は、「Brno」と「Enfield」から採られている。エンフィールドには、ロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー(RSAF)がある。
動作は、原型のZB26系列のままガスオペレーション式で、弾薬はイギリス軍の当時の標準小銃、エンフィールド Mk.4(No.4とも)のものと共通化している。発射速度はモデルによるが毎分約480-540発である。持続射撃を行って銃身過熱(オーバーヒート)を起こした時や、銃身が摩耗した時などのために、スペアの銃身に即座に交換できるような設計も原型と同じである。さらにL4A4以降からは銃身にクロム処理が行われ、耐久性が向上している。
オリジナルのZB26との一番大きな違いは銃身とガスチューブのデザインで、ZB26が銃口付近に7段階調節式のガスレギュレーターを備え、ここからガスチューブへ発射ガスを導入しているのに対し、ブレンガンのガスレギュレーターは銃身中央付近に移され、4段階に調節するよう改められた。またZB26の銃身は環形の空冷リブを備えていたが、ブレンガン銃身の外面にはリブやフルート(縦溝)のような加工は施されていない。
この銃はベルト給弾式の機関銃よりもはるかに軽く、それにより移動や、さらには立射なども容易になっている。弾倉は、以前の50連ベルト給弾を使う場合などのように弾薬が汚れることを防いだ。
運用
ブレンガンは、他の武器と同様、弾倉のバネが強すぎることによる給弾不良やジャム(弾詰まり)を防ぐために、通常28-29発だけ装填して使用された。なお、対空用途には、100連のドラムマガジンも使われることがあった。
何人かの使用者は、射弾の散布界が非常に狭いため、ブレンガンの射撃精度が高すぎると指摘した。しかし、制圧射撃の際に使えないということはなかった。正確に射撃できた方が効果が高いと考えられたからである。通常の制圧射撃では、弾丸を拡散させることで鎮圧効力を持たせるが、銃の正確さと射手の熟練度があれば、必ずしも弾薬を拡散させる必要はなかった。
ブレンガンは、Mk.Iでは約8.7kgと、軽機関銃としては平均的な重量を持つ。このことは作戦中に、軽機関銃としてだけでなく、三脚に載せることで重機関銃(イギリス軍の分類では厳密には中機関銃)として、射手と装填手の2名による持続射撃を行うことも可能とした。長距離を行軍する場合にはしばしば分解され、二人の兵士が分担して運ぶことがあった。
ジョージ・マクドナルド・フレイザーが彼の経験として書き記したこととして、1丁のブレンガンが8名からなる小銃分隊に配備されていたとしている。一人のブレンガン射手に対して、他の兵士は彼の「第二の射手」として、全員が予備のブレンガン用弾倉、交換用銃身を持ち、戦闘時には弾倉の交換を行った。時折は、一人の射手が自動小銃を扱うかのようにブレンガンを使用した。
小銃分隊の各兵士が携行するべきブレンガン用弾倉(装填済み)の数量は、時期によって定数が異なるが、一般的には2個ないし3個ずつであった。イギリス軍の1937年パターン装具において、各兵士が体の前面に2包ずつ携行する弾薬パウチは縦長の形状をしているが、これは小銃弾(紙箱に包装された装弾クリップ)や手榴弾のほか、対戦車銃の弾薬や迫撃砲の砲弾、そしてブレンガンや各種短機関銃の弾倉にも対応できるよう考慮されているためである。同パウチはブレンガン弾倉の場合、2個を収納できた。この様式の弾薬パウチは1939年・1944年・1958年の各パターン装具でも踏襲されている。
ブレンガンは車両搭載用の機関銃として使用されることも多く、ユニバーサル・キャリア(一部はブレンガン・キャリアと呼ばれた)、戦車、装甲車に搭載された。ただし、戦車においては同軸機銃としてでなく、レイクマン対空機銃架などを用いた車載機銃として使用され、同軸機銃にはBesa(チェコスロバキアのZB vb53のイギリス仕様)が使用された。
ブレンガンは、イギリス軍兵士の間では、その高い信頼性と戦闘効果により、高い評価を得た。このため、長い間他の武器と代替されなかった。何名もの元兵士は、現在までに作られた最高の軽機関銃であると評価している。
NATO弾(7.62mm弾)が制定されてからは、この弾丸に適合するように、制式名称L4として改修され、1980年代まで第一線にあった。それまでのリム付き弾薬からリムレス弾薬に変更されたため、大きく湾曲していた弾倉は(もとのチェコ設計の直線弾倉に似た)、より使いやすい湾曲の少ない弾倉に切り替えられた。円錐型のフラッシュハイダーは、同時代のL1 ライフルおよびL7汎用機関銃と同じような、スリット式のものに改修された。
歩兵用軽機関銃が、5.56mm弾薬を使用するミニミ軽機関銃に置き換えられたことをもって、ブレンガンL4はその運用を終えた。
インドやパキスタンなどの旧英領諸国では、現在も現役兵器として使用されている。
派生型
- Mark 1(Mk.I)
- 1938年8月から運用開始された。チェコの設計を元にしたブレンガンの基本形である。
- Mark 2(Mk.II)
- 1941年に登場した。Mk.Iを簡略化したものである。Mk.IIの特徴として、リアサイトがドラム調整型から起倒式のタンジェントサイト型になった事などが挙げられる。モノタイプ社を通じて、多数の工場で部品が製造された。
- Mark 3(Mk.III)
- エンフィールド工廠により、Mk.Iを短くし、軽量化を図ったもので、1943年の東部戦線向けに製造された。ソビエト連邦にレンドリース形式で供与されたが、弾薬が英軍仕様のままであったため、前線では使用されなかった。
- Mark 4(Mk.IV)
- 1944年に登場。Mk.IIにMk.IIIに準じた改造を施した仕様。
- L4
- 1958年に登場。すべてのブレンL4で7.62x51mm NATO弾が使用できる。L4の30連弾倉は湾曲の角度が浅くなっているため、303ブリティッシュ弾仕様と形状が異なり容易に見分けがつく。また同世代の制式小銃であるL1A1の弾倉も使用できた。L4のバージョンについては、次の表を参照。
制式名 | 特徴 |
---|---|
L4A1 | ブレン Mk.IIIの二脚と鋼鉄製銃身をそのままに、口径のみ改修したもの |
L4A2 | ブレン Mk.IIIを基に口径を改修すると共に、二脚を軽量化したもの |
L4A3 | ブレン Mk.IIを改修したもの |
L4A4 | L4A2の鋼鉄製銃身を、クロムメッキを施した銃身に改修したもの |
L4A5 | L4A3をイギリス海軍向けに、銃身をクロム処理したもの |
L4A6 | L4A1の銃身をクロム処理したもの |
L4A9 | L7汎用機関銃実用化までのつなぎとして、ブレンを車載用に改修したもの |
製造状況
使用状況
- イギリス軍全般
- イギリス連邦加盟国、および旧イギリス領諸国
- アイルランド国防軍(PDF & FCÁ)
- 蔣介石時代の中華民国国軍
- ソビエト連邦軍(東部戦線)
- 第一次中東戦争(独立戦争)当時のイスラエル国防軍
登場作品
映画
- 『007シリーズ』
-
- 『007 ドクター・ノオ』
- ドクター・ノオの私兵が使用。
- 『007 ロシアより愛をこめて』
- 『巨大猿怪獣コンガ』
- 『史上最大の作戦』
- フラナガン一等兵が使用。
- 『太陽の帝国』
- 日本陸軍の九六式軽機関銃ないし九九式軽機関銃の代役として登場。
- 『つぐない』
- 『遠すぎた橋』
- イギリス軍兵士が使用。
- 『ナヴァロンの要塞』
- 『ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝』
- ジョナサン・カナハンが飛行機から射撃する。
- 『燃える戦場』
- 『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』
- 『ワイルド・ギース』
TVドラマ
- 『プリズナーNo.6』
- 「おとぎ話」(THE GIRL WHO WAS DEATH)の回で登場。
アニメ・漫画・小説
- 『ストライクウィッチーズ』
- ペリーヌ・クロステルマン中尉が使用。
- 『零距離射撃88』
- 日本軍の軽機関銃と撃ちあうイギリス軍が使用。劇中で「イギリスのブレンガンも日本の99式も、元をただせばチェコのZB26。機関銃の親戚同士の大喧嘩」との台詞がある。厳密には、九九式軽機関銃はZB26やブレンガンとは基本設計が異なる。
- 『平和への弾痕』
- ベトコンの分隊支援火器。弾倉が湾曲していないので、7.62mm NATO弾仕様だと分かる。
ゲーム
- 『HIDDEN & DANGEROUS 2』
- 『コール オブ デューティシリーズ』
- 『バトルフィールド1942 シークレット・ウェポン』
- SASの追加軽機関銃として登場する。
- 『バトルフィールドV』
- 援護兵の武器として登場。高い精度を誇る。イギリス軍のビークルにもドラムマガジン付きの物が搭載されている。