コンテンツにスキップ

「泛緑連盟」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
長らく当選してない政党の除去
Cewbot (会話 | 投稿記録)
41行目: 41行目:
しかし、連盟の主張の実施は究極的には[[台湾独立運動|台湾独立]]([[台湾共和国]]建国)につながるものであるため、台湾を中国の一部と見なした上で中国の再統一を目指している泛藍連盟や[[中華人民共和国]]は「台湾独立を促す動き」であるとして反発している([[台湾問題]]も参照)。
しかし、連盟の主張の実施は究極的には[[台湾独立運動|台湾独立]]([[台湾共和国]]建国)につながるものであるため、台湾を中国の一部と見なした上で中国の再統一を目指している泛藍連盟や[[中華人民共和国]]は「台湾独立を促す動き」であるとして反発している([[台湾問題]]も参照)。


また、泛緑連盟と対立する泛藍連盟が立法院(日本の国会に相当)における議席を泛緑連盟より多く獲得しているため、「台湾本土化」を目指した[[陳水扁]]総統も中華人民共和国・泛藍連盟の立場を意識せざるを得ない状況にあった。だが、陳水扁2期目の2004年以降、台湾の世論が徐々に台湾独立に傾斜し、台湾主体性意識(独自性意識)が急速に広がっていることもあって、2006年以降は民進党政権も、「国家統一綱領」運用停止、国営企業の正名、[[介石]]を象徴するものの排除など、台湾独立色の強い政策を進めた。
また、泛緑連盟と対立する泛藍連盟が立法院(日本の国会に相当)における議席を泛緑連盟より多く獲得しているため、「台湾本土化」を目指した[[陳水扁]]総統も中華人民共和国・泛藍連盟の立場を意識せざるを得ない状況にあった。だが、陳水扁2期目の2004年以降、台湾の世論が徐々に台湾独立に傾斜し、台湾主体性意識(独自性意識)が急速に広がっていることもあって、2006年以降は民進党政権も、「国家統一綱領」運用停止、国営企業の正名、[[介石]]を象徴するものの排除など、台湾独立色の強い政策を進めた。


泛緑連盟の中では「台湾本土化」をめぐって温度差が見られ、「台湾独立」の定義も違いがみられる。民進党内でも[[中華人民共和国]]に対する配慮を行いながら徐々に「台湾本土化」を行うという勢力と、より急進的な即時独立建国を目指す勢力とが拮抗している。また、台連は陳総統の「台湾本土化」を支持する一方で、中華民国・中華人民共和国の関係が「国対国」であるという中華人民共和国が反発する主張を明言している。
泛緑連盟の中では「台湾本土化」をめぐって温度差が見られ、「台湾独立」の定義も違いがみられる。民進党内でも[[中華人民共和国]]に対する配慮を行いながら徐々に「台湾本土化」を行うという勢力と、より急進的な即時独立建国を目指す勢力とが拮抗している。また、台連は陳総統の「台湾本土化」を支持する一方で、中華民国・中華人民共和国の関係が「国対国」であるという中華人民共和国が反発する主張を明言している。

2020年9月15日 (火) 13:19時点における版


中華民国政治関連項目

中華民国の政治
中華民国憲法
中華民国憲法増修条文
中華民国政府

総統頼清徳
副総統蕭美琴

中華民国総統府
中華民国総統選挙
中華民国立法委員選挙
中華民国立法委員選挙区

行政院 • 立法院
司法院 • 監察院
考試院

国民大会(-2005年

最高法院

政党制度政党一覧

与党(少数与党)
民主進歩党
51 長5)
立法委員を有する野党
中国国民党
(立52 県市長14)
台湾民衆党
(立8 県市長1)

台湾問題中台関係

台湾独立運動
中国統一
担当機関:大陸委員会

その他台湾関係記事

文化 - 経済 - 地理
政治 - 教育 - 軍事
人口 - 言語 - 交通
歴史

中華民国関係記事

中華文化
中国の歴史

泛緑
各種表記
繁体字 泛綠
簡体字 泛绿
拼音 Fànlǜ
注音符号 ㄈㄢˋㄌㄩˋ
台湾語白話字 Hoàn-le̍k
テンプレートを表示

泛緑連盟(はんりょくれんめい、中国語繁体字:泛綠聯盟)とは、中華民国において台湾の位置づけについてほぼ共通の政治的主張を行っている複数の政治集団の通称。具体的に組織化された集団の集合体ではない。泛綠聯盟のほかに“泛綠陣營”や“泛綠軍”という別称もあるが、いずれの名称も主力団体である民主進歩党(民進党)のイメージ・カラーに由来している。なお、日本では泛緑連盟のほかに汎緑連合と呼ばれることも多い。

対立勢力に、中華民国アイデンティティーの強い中国国民党を中心とした泛藍連盟がある。

概説

民進党の他に時代力量と台湾基進党がある[1]。民進党は2000年5月から陳水扁総統の与党、2008年5月からの馬英九政権下では野党、2016年1月からの蔡英文政権では与党という立場にある。時代力量、台湾基進党は野党ではあるが対中関係などでは民進党と台湾アイデンティティーを共有していることから民進党に協力することが多い。泛緑連盟の構成員・支持者は総じて台湾の独自性を強調し、台湾人としてのアイデンティティーを求める傾向が強く、そのことは主張する政策に明確に反映されている。

連盟の主張

泛緑連盟の構成員が行っているほぼ共通の政治的主張とは、現在の中華民国の国家体制を変革して中華民国の「台湾本土化」を達成することである。

そもそも中華民国は中国大陸を統治する「中国 (China) の国家」として建国されたものである。1945年の日本敗戦に伴いその領土であった台湾連合国の委託を受けた中華民国軍が進駐して以来、台湾は中国の中の一地方という位置づけを中華民国はしていた。そのため1948年以降の中国国民党政権も中国全土を統治することを前提とした国家体制を形成しており、国共内戦における相次ぐ敗北によって実効支配地域が台湾を中心とする現在のものになってからも、自身を「全中国の正統政権」であるとして、中国共産党という反乱勢力(共匪)に統治されている大陸部を、将来武力により領土を回復することを目指し、基本姿勢としてきた。

そのため台湾には、全中国を代表する中央政治機構(中華民国政府)と台湾省統括のための政治機構(台湾省政府)が並立してきたが、中華民国の国家体制には徐々に制度的矛盾が生じるようになり、1980年代末から国家体制の変革が行われるようになった。

1990年代に入ると李登輝がそれまでの「中国の国家たる中華民国」という国家の基本概念から脱し、「中華民国在台湾」・「台湾中華民国」との位置づけの下、中華人民共和国との関係を「特殊な国と国の関係」とするなど、中華民国の範囲を台湾のみに限定する「国家体制の台湾化」を図るようになっていった。李による「政治体制の台湾化」は不十分な結果に終わった(中華民国の政治を参照)が、泛緑連盟は李の後を継いで「中国の国家」として中国大陸を本土とみなす現在の中華民国の国家体制を変革し、最終的には中華民国を現在の統治区域に即した「台湾の国家」として再編成することを目標としている。

現在、連盟とその支持者たちは台湾正名運動という形で「台湾本土化」の啓発・促進のための活動をおこなっている。連盟の支持者の中にはアメリカ日本親台派の人々に協力を求める者もおり、両国でも台湾正名運動が行われている。

連盟の現状

泛緑連盟が主張している「台湾本土化」は近年では泛藍連盟と国論を二分するまでに「台湾本土化」を支持する人々が増えている。このことは中華民国総統選挙の結果にも現れており、陳水扁・民進党主席が当選した2000年の総統選挙における約39%の得票率は再選を狙う2004年の総統選挙では約50.1%にまで上昇した。

しかし、連盟の主張の実施は究極的には台湾独立台湾共和国建国)につながるものであるため、台湾を中国の一部と見なした上で中国の再統一を目指している泛藍連盟や中華人民共和国は「台湾独立を促す動き」であるとして反発している(台湾問題も参照)。

また、泛緑連盟と対立する泛藍連盟が立法院(日本の国会に相当)における議席を泛緑連盟より多く獲得しているため、「台湾本土化」を目指した陳水扁総統も中華人民共和国・泛藍連盟の立場を意識せざるを得ない状況にあった。だが、陳水扁2期目の2004年以降、台湾の世論が徐々に台湾独立に傾斜し、台湾主体性意識(独自性意識)が急速に広がっていることもあって、2006年以降は民進党政権も、「国家統一綱領」運用停止、国営企業の正名、蔣介石を象徴するものの排除など、台湾独立色の強い政策を進めた。

泛緑連盟の中では「台湾本土化」をめぐって温度差が見られ、「台湾独立」の定義も違いがみられる。民進党内でも中華人民共和国に対する配慮を行いながら徐々に「台湾本土化」を行うという勢力と、より急進的な即時独立建国を目指す勢力とが拮抗している。また、台連は陳総統の「台湾本土化」を支持する一方で、中華民国・中華人民共和国の関係が「国対国」であるという中華人民共和国が反発する主張を明言している。

脚注

  1. ^ 日本のマスメディアでは、陳水扁政権時代に台連も「与党連合」としたものが多いが誤り。台連の立場は公式にはあくまでも野党であり、民進党とは政策協定も結んでおらず、党としての入閣もしていない。

関連項目