「レチノイン酸レチニル」の版間の差分
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'''レチノイン酸レチニル''' (Retinyl retinoate) 、'''レチニルレチノエート'''は、[[レチノイン酸]]と[[レチノール]]が結合した[[エステル]]<ref name="pmid19849696"/>。既存の[[レチノイド]]の皮膚刺激性<ref name="pmid22607296"/>、また熱や光に対する安定性を大きく改良している<ref name="pmid18511283"/>。化粧品の成分として配合され<ref name="pmid18511283"/>、[[ニキビ]]や[[皺|シワ]]に有効だとされる。 |
'''レチノイン酸レチニル''' (Retinyl retinoate) 、'''レチニルレチノエート'''は、[[レチノイン酸]]と[[レチノール]]が結合した[[エステル]]<ref name="pmid19849696"/>。既存の[[レチノイド]]の皮膚刺激性<ref name="pmid22607296"/>、また熱や光に対する安定性を大きく改良している<ref name="pmid18511283"/>。化粧品の成分として配合され<ref name="pmid18511283"/>、[[尋常性痤瘡|ニキビ]]や[[皺|シワ]]に有効だとされる。 |
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== 特性 == |
== 特性 == |
2020年8月25日 (火) 00:04時点における最新版
レチノイン酸レチニル | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 15498-86-9 |
PubChem | 10303376 |
ChemSpider | 8478842 |
UNII | 5AT5X9J439 |
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特性 | |
化学式 | C40H56O2 |
モル質量 | 568.87 g mol−1 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
レチノイン酸レチニル (Retinyl retinoate) 、レチニルレチノエートは、レチノイン酸とレチノールが結合したエステル[1]。既存のレチノイドの皮膚刺激性[2]、また熱や光に対する安定性を大きく改良している[3]。化粧品の成分として配合され[3]、ニキビやシワに有効だとされる。
特性
[編集]レチノイン酸レチニルは、オールトランスレチノイン酸とオールトランスレチノールのエステルである[3]。 レチノイン酸末端基のカルボキシ基と、レチノール末端基の水酸基が、脱水縮合してエステル結合した化合物である。
既存のレチノイドは光に対して不安定でまた皮膚刺激を起こす[1]。皮膚刺激性による強い皮膚炎が生じることもあるため、この皮膚刺激性を改良したレチノイン酸レチニルが韓国で開発された[2]。
また、光学的な安定性、熱への安定性が改良され、細胞毒性も低下している[3]。レチノールでは光に対して2時間後にほとんどすべてが分解されており、レチノイン酸レチニルでは24時間後に分解のピークが見られ、熱に対しては常温で4週間後にはレチノイン酸レチニルではまだ90%が分解せず保たれているが、レチノールでは70%であった[3]。
有効性
[編集]15人のランダム化比較試験 (RCT) で2か月後、0.05%濃度のレチノイン酸レチニルは炎症性・非炎症性ニキビと皮脂量を偽薬よりも有意に減少した[4]。
46人のRCTで2-3か月後、0.06%濃度のレチノイン酸レチニルは、偽薬および0.075%レチノールよりも目の周囲のシワを改善した[1]。11人でのRCTで、0.06%濃度のレチノイン酸レチニルは0.075%レチノールよりも、光老化によるシワの深さや面積を減少させ、レチノイン酸レチニルでは紅斑、痛み、熱感といった副作用の報告はなかった[5]。
出典
[編集]- ^ a b c Kim, H.; Kim, N.; Jung, S.; et al (2010). “Improvement in skin wrinkles from the use of photostable retinyl retinoate: a randomized controlled trial”. British Journal of Dermatology 162 (3): 497–502. doi:10.1111/j.1365-2133.2009.09483.x. PMID 19849696.
- ^ a b Kim, Bora; Kim, Jin E.; Kim, Hyuk; et al (2012). “Co-treatment with retinyl retinoate and a PPARα agonist reduces retinoid dermatitis”. International Journal of Dermatology 51 (6): 733–741. doi:10.1111/j.1365-4632.2011.05332.x. PMID 22607296.
- ^ a b c d e Kim, Hyojung; Kim, Bora; Kim, Hyuk; et al (2008). “Synthesis and in vitro biological activity of retinyl retinoate, a novel hybrid retinoid derivative”. Bioorganic & Medicinal Chemistry 16 (12): 6387–6393. doi:10.1016/j.bmc.2008.05.005. PMID 18511283.
- ^ Kim, Bora; Kim, Hyunjung; Kim, Jin Eun; et al (2013). “Retinyl retinoate, a retinoid derivative improves acne vulgaris in double-blind, vehicle-controlled clinical study”. Tissue Engineering and Regenerative Medicine 10 (5): 260–265. doi:10.1007/s13770-012-1088-z.
- ^ Kim, H.; Koh, J.; Baek, J.; et al (2011). “Retinyl retinoate, a novel hybrid vitamin derivative, improves photoaged skin: a double-blind, randomized-controlled trial”. Skin Research and Technology 17 (3): 380–385. doi:10.1111/j.1600-0846.2011.00512.x. PMID 21435021. "Also, the adverse effects, such as erythema, edema, caling, itching, stinging, burning, tightness, and prickling, were not reported in the 0.06% retinyl retinoate cream."
関連項目
[編集]- ヒドロキシピナコロンレチノアート 似たように改良されたレチノイン酸のエステル。