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2020年7月11日 (土) 12:17時点における版
実録外伝 大阪電撃作戦 | |
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監督 | 中島貞夫 |
脚本 | 高田宏治 |
出演者 |
松方弘樹 梅宮辰夫 渡瀬恒彦 片桐夕子 小林旭 |
音楽 | 津島利章 |
撮影 | 増田敏雄 |
編集 | 堀池幸三 |
製作会社 | 東映 |
配給 | 東映 |
公開 | 1976年1月31日 |
上映時間 | 92分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『実録外伝 大阪電撃作戦』(じつろくがいでん おおさかでんげきさくせん)は、1976年の日本映画。主演:松方弘樹、監督:中島貞夫、製作:東映。
概要
1973年の『仁義なき戦い』の大ヒット以降、東映は実録ヤクザ路線と銘打ち[1]、各地の暴力団抗争をモデルとした映画を製作した[2][3]。特に同年『山口組三代目』が大ヒットし、山口組の全国進攻は実録路線の元ネタとしては最適であったため[4]、これを題材とする映画を次々製作したが、このうち明友会事件をモデルとして山口組側から描いたものが前年に製作された『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』で[5]、逆に明友会側から描いたものが本作となる[5][6][7]。両者は同じ題材を扱っており、1974年の『山口組外伝 九州進攻作戦』も明友会事件が一部含まれる[8]。
あらすじ
昭和35年大阪ミナミの盛り場は、石村組と南原組が勢力を二分していた。南原組の高山敬は獰猛なチンピラが揃う双竜会の安田寿行に話を持ちかけ、彼らを実行部隊に仕立て上げる。しかし大阪進出を企てる日本最大のやくざ組織・神戸川田組の組長・川田利明に双竜会のチンピラがクラブで絡んでしまう。川田組の逆燐に触れ、殲滅作戦「人間狩り」が開始される[2][9]。
キャスト
- 安田寿行 : 松方弘樹
- 宮武平吉 : 梅宮辰夫
- 高山敬: 渡瀬恒彦
- 金崎徹 : 目黒祐樹
- 小山淑子 : 片桐夕子
- 南原正幸 : 織本順吉
- 真田一郎 : 三上寛
- 石村貞助 : 小松方正
- 井川千恵 : 中原早苗
- 趙宗泰 : 室田日出男
- 丁在元 : 川谷拓三
- 平岡銀次 : 郷鍈治
- 大岩弘 : 石橋蓮司
- 杉谷勝造 : 名和宏
- 荒木鉄男 : 林彰太郎
- 金元基: 志賀勝
- 前田茂 : 野口貴史
- 津田 : 成瀬正
- 松井: 島米八
- 陽子 : 掘めぐみ
- 戸川太一郎: 曽根晴美
- 高並功
- 吉岡弁治 : 国一太郎
- 前川鶴吉 : 中村錦司
- 丘路千
- 友田宇一郎: 有川正治
- 崔浩哲: 大前鈞
- 五城影二
- 朴源昌: 岩尾正隆
- 大東の部下: 福本清三
- 古川順次: 根岸一正
- ホステス : 内村レナ
- 京子: 奈三恭子
- マシンガン・ジョー: 松本泰郎
- 村田: 片桐竜次
- 岩井政道: 西田良
- 藤沢徹夫
- 志茂山高也
- 鈴木成夫: 宮城幸生
- レフェリー: 沢美鶴
- 原田君事
- 根津義男: 阿波地大輔
- 岡真吉: 笹木俊志
- 李善鐘: 秋山勝俊
- 松木実 (モデル・田端義夫) : 衣竜快次(宮城健太狼)
- 徳田米造: 疋田泰盛
- 舟橋竜次
- 酒井哲
- 白川浩二郎
- 旅館の仲居: 星野美恵子
- 富永佳代子
- 伊達 : 大木晤郎
- 森村幸吉: 唐沢民賢
- 蓑和田良太
- 五十嵐義弘
- 木谷邦臣
- 伊藤秀夫: 白井孝司
- 奈辺悟
- 大矢敬典
- 久保元: 司裕介
- 氷室浩二
- 山田良樹
- 平河正雄
- 北川俊夫
- 勝野賢三
- 鳥井敏彦
- 新居芳行
- 三島康正
- ナレーター : 酒井哲
- 掛田貫一(モデル・山本健一) : 伊吹吾郎
- 大東武司(モデル・柳川次郎) : 成田三樹夫
- 川田利明(モデル・田岡一雄) : 丹波哲郎
- 山地武雄(モデル・地道行雄) : 小林旭
- 以下ノンクレジット
- 金光八郎: 楠本健二
スタッフ
- 監督 : 中島貞夫
- 企画 : 日下部五朗・田岡満・橋本慶一・奈村協
- 脚本 : 高田宏治
- 撮影 : 増田敏雄
- 音楽 : 津島利章
- 美術 : 佐野義和
- 照明 : 北口光三郎
- 編集 : 堀池幸三
- 助監督 : 牧口雄二
興行
日本では『必殺女拳士』(志穂美悦子主演、小平裕監督)と併映された。
製作
企画と脚本
中島貞夫が1969年の『日本暗殺秘録』の後に、次は徹底的に暴力をテーマにした映画を作りたいと明友会事件を真正面から描いた『暴力団抗争 殲滅』という脚本を書き[6][10]当時の岡田茂東映常務(のち、同社社長)に提出したが、「こんなもん、映画になるか!」と却下された[6]。しかし1973年以降、山口組関係の映画がヒットすると岡田茂社長(当時)が「実録外伝 大阪電撃作戦」という題名を思いつき企画が再浮上[6]、中島ではなく、脚本の高田宏治に企画が持ち込まれ脚本が書かれた[6]。実録"外伝"、と微妙なタイトルを付けているが大筋やエピソードは大半が実話である[5]。高田は「(中島脚本の)『暴力団抗争 殲滅』は、終始弱いものいじめでドラマがない。それを俺がドラマにした」「明友会事件をやられる側から描いたのが本作」「フィクショナブルでなおかつ実録的な構成」「演出は抜群で中島監督の最高傑作の一つなんじゃないかと思う」[6]、「私と中島はやられる側から描くことにこだわった。叩かれる側からの視点で作りたいという思いは共通していた。出世物語を書いてもつまらない。滅びていく側の物語こそドラマがある」[5]、などと述べている。
撮影
車に引き摺られるシーンをスタントマン無しで演じる渡瀬恒彦を始め、『仁義なき戦い』以降の実録路線勃興で意気上がる役者がむせ返るような熱い芝居を見せる[5][11]。『日本暴力列島 京阪神殺しの軍団』は在日問題が表立ってあったが[10]、本作は松方弘樹、渡瀬恒彦というチンピラが大組織に立ち向かうという中島貞夫の得意とする若者の話になっている[10]。「人間狩り」と凄惨なリンチシーンを撮影したのは、この頃からエログロ映画を量産する助監督の牧口雄二[2]。
逸話
予告編のBGMには、『殺人拳2』、『新仁義なき戦い 組長の首』、『狂走セックス族』、『山口組三代目』
関連映画
- 仁義なき戦い 代理戦争(1973年) - 広島抗争
- 仁義なき戦い 頂上作戦(1974年) - 広島抗争
- 山口組外伝 九州進攻作戦(1974年) - 別府抗争、明友会事件、博多事件
- 日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975年) - 明友会事件
- 実録外伝 大阪電撃作戦(1976年) - 明友会事件
- 沖縄やくざ戦争(1976年) - 第4次沖縄抗争
- 日本の首領(1977年) - 明友会事件
- 北陸代理戦争(1977年)
- 沖縄10年戦争(1978年) - 第4次沖縄抗争
脚注
- ^ 「『仁義なき戦い』製作発表」『キネマ旬報』1973年1月新年特別号、177頁。『キネマ旬報』1973年2月決算特別号、39頁。
- ^ a b c 「実録やくざ映画大全」『映画秘宝』、洋泉社、2013年5月、122-123、130-135頁。
- ^ 東映実録路線中毒 ANARCHY & VIOLENCE/ラピュタ阿佐ケ谷
- ^ 高田宏治『東映実録路線 最後の真実』メディアックス、2014年、71頁。ISBN 978-4-86201-487-0。
- ^ a b c d e 高田宏治「作品紹介:高田宏治」『東映実録路線 最後の真実』メディアックス、2014年、80-81頁。ISBN 978-4-86201-487-0。
- ^ a b c d e f 「対談:中島貞夫vs高田宏治」『東映実録路線 最後の真実』、82-82頁
- ^ 東映実録路線中毒 ANARCHY & VIOLENCE/ラピュタ阿佐ケ谷
- ^ 「作品紹介:高田宏治」『東映実録路線 最後の真実』、78-79頁
- ^ 実録外伝 大阪電撃作戦/東映チャンネル
- ^ a b c 中島貞夫『遊撃の美学 映画監督中島貞夫』ワイズ出版、2004年、264-276頁。ISBN 4-89830-173-8。
- ^ 春日太一『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』文藝春秋、2013年、318頁。ISBN 4-1637-68-10-6。