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2020年7月6日 (月) 22:02時点における版
コンバートとは、スポーツにおいて、選手の守備位置(ポジション)を転向させることを言う。コンバートのもともとの意味は「(宗教の)改宗」である。[要出典]
概要
野球では、チーム事情、選手の守備力などの関係で、ポジションがコンバートされることがある。プロ野球では、春季もしくは秋季キャンプから練習を始める選手がほとんどである。
コンバートの実例
この節には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
内野におけるコンバート
プロ野球では、一定以上の期間、内野の要である遊撃手あるいは二塁手としてプレーしてきた選手が、自身の衰え、または守備力の高い選手の新加入によって、守備範囲が狭くてすむ三塁手または一塁手にコンバートされるケースがある。また、三塁手から一塁手にコンバートされるケースもある。
代表的な例としては、落合博満(ロッテ→中日→巨人→日本ハム、二塁手→三塁手→一塁手)、藤田平(阪神、遊撃手→一塁手)、石毛宏典(西武→ダイエー、遊撃手→三塁手)、野村謙二郎(広島、遊撃手→三塁手→一塁手)、田中幸雄(日本ハム、遊撃手→三塁手→一塁手)、宮本慎也(ヤクルト、遊撃手→三塁手)、小久保裕紀(ダイエー→巨人→ソフトバンク、二塁手→三塁手→一塁手)、井口資仁(ダイエー→MLB→ロッテ、遊撃手→二塁手→一塁手)などが挙げられる。
現役選手としては、鳥谷敬(阪神→ロッテ、遊撃手→三塁手→二塁手)、浅村栄斗(西武→楽天、遊撃手→一塁手→二塁手)、中島宏之(西武→MLB→オリックス→巨人、遊撃手→三塁手→一塁手)などが挙げられる。
ただし、遊撃と二塁や、遊撃と三塁や、三塁と一塁などといった、複数のポジションを守れる内野手は珍しくないため、コンバートとは異なるが守備位置を変えて出場(例えば、本来三塁手の選手が一塁手として出場)するケースは非常によく見られる。
投手→野手
日本の高校野球などアマチュア野球では、ポジションの適性を重視するよりも、「最も運動能力が優れている」という理由で投手を決めることが多いため(いわゆる「エースで4番」)、投手として入団し、間もなく野手にコンバートされる(もしくは、投手としても活躍していた選手が、野手としてドラフト指名を受ける)ケースも多い。その例としては川上哲治(巨人)、王貞治(巨人)らが代表的である。アメリカや中南米では遊撃手が一番重要なポシジョンと見られているため、同じ理由で遊撃手として入団した後コンバートされる例が多い。
プロ入りから一定期間経ってから投手から野手へコンバートされた選手としては、石井琢朗(大洋・横浜→広島、投手→三塁手→遊撃手)、福浦和也(ロッテ、投手→一塁手)、嶋重宣(広島→西武、投手→一塁手→外野手)などが挙げられる。
現役選手としては、ヤクルトの雄平(投手→外野手)、阪神の糸井嘉男(投手→外野手)、西武の木村文紀(投手→外野手)などが挙げられる。
投手と野手の両方で実績を残した選手としては、元阪急の野口二郎(830安打・237勝)、元中日の西沢道夫(1717安打・60勝)、元近鉄の関根潤三(1137本安打・65勝)などが挙げられる。
捕手→内野手
捕手というポジションは特殊な技術が要求されるため、打力は高いが、リードに難のある選手や、肩に不安を抱える若手選手が出場機会を増やす目的でコンバートされるケースがある。また、長年正捕手として活躍してきた選手が、守備の負担を軽減する目的で内野手(主に一塁手)にコンバートされるケースもある。
一塁手や、三塁手へのコンバートは、捕手から内野手へのコンバートの中でも、特に多いものである。
前者の代表的な例としては、衣笠祥雄(広島、捕手→一塁手・三塁手)、江藤智(広島→巨人→西武、捕手→三塁手→一塁手)、小笠原道大(日本ハム→巨人→中日、捕手→一塁手・三塁手)、岩村明憲(ヤクルト→MLB→楽天→ヤクルト、捕手→三塁手)などが挙げられる。
後者の代表的な例としては、田淵幸一(阪神→西武、捕手→一塁手)や、阿部慎之助(巨人、捕手→一塁手)が挙げられる。
現役選手では、楽天の銀次(捕手→二塁手→三塁手→一塁手)、阪神の原口文仁(捕手→一塁手)、中日の福田永将(捕手→一塁手・三塁手・左翼手)、巨人の大城卓三(捕手→一塁手)などが挙げられる。
捕手→外野手
内野手へのコンバート同様、打力が評価されてのコンバートが多い。俊敏な選手は走力を生かすため、一塁手や三塁手ではなく、外野手にコンバートされる傾向にある。また、肩は強いが、リードに難がある選手は、その強肩を活かす目的で外野手にコンバートされることもある。
代表的な例としては、石嶺和彦(阪急・オリックス→阪神)、屋鋪要(大洋・横浜→巨人)、飯田哲也(ヤクルト→楽天)、関川浩一(阪神→中日→楽天)、和田一浩(西武→中日)、磯部公一(近鉄→楽天)などが挙げられる。
現役選手では阪神の中谷将大、日本ハムの近藤健介(捕手→三塁手→捕手→外野手)などの例がある。
内野手→外野手(おもに中堅手・右翼手)
守備に難があるが身体能力に優れた内野手は、その強肩・俊足を生かすために外野手にコンバートされる場合がある。
秋山幸二(西武→ダイエー)はプロ入り直後、投手から三塁手にコンバートされたが、スローイングに難があり、当時の監督であった森祇晶から「これからは外野を走り回る選手が華となる時代だから、外野に行け」と言われ、センターにコンバートされたことで守備の才能が一気に開花した。同様に田口壮(オリックス→MLB)、福留孝介(中日→MLB→阪神)は内野手として入団したが、守備で難がある部分が多く外野コンバート、その後外野守備の名手に成長している。松井秀喜(巨人→MLB)はプロ入り前は三塁手であったが、プロ入り後は外野手にコンバートされている。
新庄剛志(阪神→MLB→日本ハム)は外野手としてプロ入りしたが、プロ1年目に立浪和義(中日)の守備から刺激を受け、志願して遊撃手へ転向し一軍で使われ始めた[1]。他に三塁手・二塁手としての一軍出場経験があり、オールスターゲームに三塁手で出場したこともある。しかしやはりその俊足と強肩は外野手にしないともったいないということで中堅手にコンバートされ、その後外野手として華々しい活躍を収めた(なお、コンバート以後も時々内野手として出場している)。
他には、広瀬叔功(南海、遊撃手→中堅手)、真弓明信(西鉄・太平洋クラブ・クラウン→阪神、遊撃手→二塁手→外野手)、西村徳文(ロッテ、二塁手→外野手)、鈴木尚広(巨人、遊撃手→二塁手→外野手)、福地寿樹(広島→西武→ヤクルト、二塁手→外野手)、吉村裕基(DeNA→ソフトバンク、三塁手→一塁手→外野手)などが挙げられる。
現役選手では、DeNAの梶谷隆幸(遊撃手→外野手)、桑原将志(二塁手→外野手)、日本ハムの西川遥輝(二塁手→外野手)、大田泰示(三塁手・一塁手→外野手)、巨人の立岡宗一郎(三塁手→外野手)、陽岱鋼(遊撃手・三塁手→外野手)、広島の鈴木誠也(遊撃手→外野手)、西川龍馬(三塁手→外野手)、西武の金子侑司(遊撃手→外野手)などの例がある。
内野手→外野手(おもに左翼手)
左翼手は他の外野と違い、守備範囲が狭い上に強肩も中堅手、右翼手に比べると必要とされず、比較的守りやすいポジションである。そのため他ポジションからのコンバートが多く、「最もハードルが低いポジション」とも言われる。中には内野手としての適性を見切られた選手や、一塁手や指名打者に起用したい選手が複数いる場合などにやむを得ず左翼を守らせたり、打撃が好調だが内野にポジションが無いなどといった、いわば「後ろ向きのコンバート」もある。また、現役晩年に内野手では守備範囲が狭くなり、左翼にコンバートされるケースも多い。
代表的な例としては、松中信彦(ダイエー・ソフトバンク、一塁手→左翼手)、筒香嘉智(DeNA→MLB、一塁手・三塁手→左翼手)が挙げられる。また、現役晩年に左翼を守ったケースとして、有藤通世(ロッテ、三塁手→左翼手)、高橋慶彦(広島→ロッテ→阪神、遊撃手→左翼手)、原辰徳(巨人、二塁手→三塁手→左翼手)、立浪和義(中日、遊撃手→二塁手→三塁手→左翼手)、松井稼頭央(西武→MLB→楽天→西武、遊撃手→左翼手)などがある。
現役選手では、ソフトバンクの内川聖一(二塁手→一塁手→左翼手・一塁手)、日本ハムの中田翔(三塁手→一塁手→左翼手→一塁手)、清宮幸太郎(一塁手→左翼手)、ヤクルトの畠山和洋(一塁手→左翼手→一塁手)、中日の遠藤一星(遊撃手→左翼手・右翼手)などがある。
外野手→内野手
プロ野球では、肩や守備力の衰えた外野手が打撃力を活かす目的で一塁手へコンバートされる事がよくある。主な例としては大島康徳(中日→日本ハム)や、山﨑武司(中日→オリックス→楽天→中日)や、稲葉篤紀(ヤクルト→日本ハム)などが挙げられる(ただし、その場合は過去に豊富な打撃成績を残していることが求められるケースが多い)。
また、プロ野球では比較的少ないが、外野手から一塁手以外の内野のコンバートで成功したケースとしては、日本ハムからトレードで移籍してきた張本勲(東映・日拓・日本ハム→巨人→ロッテ)に左翼手のレギュラーポジションを奪われる形で三塁手へ転向した高田繁(巨人)が挙げられる。
投手・捕手へのコンバート
日本球界では、プロ入り後、他のポジションから投手や捕手にコンバートされる例は極めて珍しい。
ここに挙げた5人はいずれもプロ入り前のコンバートであるが、プロ入り後のコンバートは、以下の選手が挙げられる程度である。
- 萩原淳(内野手→投手、高校以降転向まで投手経験なし)
- 上原厚治郎(投手→捕手→投手) - 捕手へのコンバートを巡ってヤクルトを退団し西武へ移籍した経緯がある
- 遠山奬志(投手→外野手→投手)
- 嘉㔟敏弘(外野手→投手、ただし、高校時代は投手)
- 今村文昭(内野手→投手、ただし、高校時代は投手兼任)
- 張奕(外野手→投手、ただし、高校時代は投手兼任)
- 藤井宏海(内野手→投手、ただし、高校時代は投手)
- 織田淳哉(投手→捕手→投手)
- 須山成二(捕手→投手)
- 筧裕次郎(捕手→内野手→捕手)
- 内之倉隆志(内野手→捕手)
- 斉藤巧(内野手→捕手)
- 沖泰司(内野手→捕手)
- 笹川隆(内野手→捕手)
- 尾崎匡哉(内野手→捕手)
- 中東直己(外野手→捕手)
例外に、元広島のフェリックス・ペルドモが内野手から投手へ転向(二刀流)した例がある。新庄剛志は、阪神時代に投手としてオープン戦に出場した事がある。山川晃司はヤクルト時代、捕手登録ながらイースタン・リーグの公式戦で登板経験があり、2019年の12球団合同トライアウトは捕手として参加する一方でマウンドにも上がり、その後富山GRNサンダーバーズには投手として入団した。
コンバートとは異なるが池辺巌(元阪神)[2]、五十嵐章人(元ロッテ)、金村義明(元近鉄)、井生崇光(元広島)などは捕手を全部使い切ったときに急造捕手として出場したことがあった。
メジャーリーグにおけるコンバート
マイナーリーグでは選手の適性を見極めて育成が行われるためコンバートが頻繁に行われる。
アメリカや中南米のアマチュア野球では最も身体能力の優れた選手は投手ではなく遊撃手になる。 そのため、日本とは違い投手から野手へのコンバートは意外に少なく、遊撃手から投手を含めた他のポジションにコンバートされることのほうが多い。そのため、遊撃手から投手へコンバートされた選手も少なくない(トレバー・ホフマン、ジョー・ネイサンなど)。
また、肩の強さを生かすために捕手から投手へと転向する選手もいる(トロイ・パーシバル、ジェイソン・モット、ケンリー・ジャンセンなど)。
ナックルボーラーとして有名なボストン・レッドソックスのティム・ウェイクフィールドもピッツバーグ・パイレーツ時代にナックルボールを習得し、内野手から投手に転向している。
外野手から投手への転向は、最多セーブを獲得したラファエル・ソリアーノなどがいる。
その他
- コンバートせずにいろいろなポジションをこなすことが出来る選手をユーティリティープレイヤーと呼ぶ。内野全てを守れる選手、内野と外野を共通して守れる選手、さらに捕手まで守れる選手などさまざまである。
- 過去の例としては木村拓也(日本ハム→広島→巨人、投手以外の全て)、元木大介(巨人、内野の全て)、万永貴司(横浜、内野の全て)、秀太(阪神、内野の全て)、飯山裕志(日本ハム、内野の全て)、平野恵一(オリックス→阪神→オリックス、一塁手を除く内野の全て及び外野)、森野将彦(中日、内野の全て及び外野)などが挙げられる。
現役選手ではDeNAの大和(内野の全て及び外野)、中井大介(遊撃手を除く内野の全て及び外野)、ネフタリ・ソト(遊撃手を除く内野の全て及び左翼手、右翼手)、ソフトバンクの明石健志(内野の全て及び外野)、川島慶三(内野の全て及び外野)、中村晃(左翼手、右翼手、一塁手)、ジュリスベル・グラシアル(遊撃手を除く内野の全て及び左翼手、右翼手)、牧原大成(二塁手、遊撃手及び外野)、日本ハムの杉谷拳士(内野の全て及び外野)、西武の外崎修汰(内野の全て及び外野)、オリックスの大城滉二(一塁手を除く内野の全て、及び外野)、ロッテの中村奨吾(内野の全て及び外野)、福田秀平(一塁手、二塁手及び外野)、楽天の渡辺直人(内野の全て)、鈴木大地(内野の全て及び左翼手)、巨人の岡本和真(一塁手、三塁手、左翼手)、若林晃弘(内野の全て及び外野)などがこれに該当する。
ここに挙げた選手の多くは守備固めで出場することが多いが、中村晃、外崎、岡本、鈴木、ソト、グラシアル、中村奨などのような打力のある選手は、 複数のポジションで併用されながらレギュラーとして起用されている。
日本プロ野球では、これまでに高橋博士、五十嵐章人の2名が投手を含めた9ポジションでの出場を達成している。
過去のプロ野球では投手と野手を兼任する選手も少なくなく、投手でノーヒットノーラン、野手で首位打者を達成した呉昌征、投手と外野手の両方でオールスターゲーム・ファン投票選出された関根潤三、規定投球回に到達した投手が後年外野手に転向し規定打席に到達した畠山準などの例がある。現在では大谷翔平が投手と野手を兼任している(登録は投手)。
メジャーリーグではユーティリティープレーヤーでありながら試合毎に守備位置を変えながらレギュラーとして活躍する選手が少なくない(代表的な事例ではショーン・フィギンズ、ライアン・フリール、ビル・ホール、現役選手ではベン・ゾブリスト、ダニー・バレンシア、エドゥアルド・ヌニェス、クリス・テイラー、マーウィン・ゴンザレス、ダニエル・デスカルソなど)。日本プロ野球に比べて、移籍やマイナーリーグへの降格、レギュラー選手の休養などでチームのメンバーが大きく代わってしまうことが多いこと、あるいは打者よりもリリーフ投手にベンチ入りの枠を多く割り当てることが少なくないメジャーリーグにおいては、日本以上に重宝される傾向が強い。
脚注
- ^ 【5月26日】1992年(平4) 予告していた!新庄剛志 92年初打席は初球プロ初本塁打Sponichi Annex、2015年11月8日閲覧。
- ^ 内田雅也 (2012年3月27日). “猛虎人国記(14)~長崎県~ 初体験の捕手でピンチ救った”. スポーツニッポン 2013年5月3日閲覧。