[[数学]]の[[微分方程式]]の分野における'''初期値問題'''(しょきちもんだい、{{lang-en-short|''Initial value problem''}})とは、未知関数のある点における値を'''初期条件'''として備えた[[常微分方程式]]のことを言う('''コーシー問題'''とも呼ばれる)。[[物理学]]あるいは他の[[自然科学]]の分野において、あるシステムをモデル化することはある初期値問題を解くことと同義である場合が多い。そのような場合、微分方程式は与えられた初期条件に対してシステムがどのように[[時間発展]]するかを特徴付ける発展方程式と見なされる。
[[数学]]の[[微分方程式]]の分野における'''初期値問題'''(しょきちもんだい、{{lang-en-short|''Initial value problem''}})とは、未知関数のある点における値を'''初期条件'''として備えた[[常微分方程式]]のことを言う('''コーシー問題'''とも呼ばれる)。[[物理学]]あるいは他の[[自然科学]]の分野において、あるシステムをモデル化することはある初期値問題を解くことと同義である場合が多い。そのような場合、微分方程式は与えられた初期条件に対してシステムがどのように[[時間発展]]するかを特徴付ける発展方程式と見なされる。
数学の微分方程式の分野における初期値問題(しょきちもんだい、英: Initial value problem)とは、未知関数のある点における値を初期条件として備えた常微分方程式のことを言う(コーシー問題とも呼ばれる)。物理学あるいは他の自然科学の分野において、あるシステムをモデル化することはある初期値問題を解くことと同義である場合が多い。そのような場合、微分方程式は与えられた初期条件に対してシステムがどのように時間発展するかを特徴付ける発展方程式と見なされる。
導入
初期値問題とは、微分方程式
ただし
f: Ω → Rn, Ω は R × Rn の開集合、
にと期条件
が付帯されたもののことを言う。
初期値問題の解は、上記の微分方程式および
を満たすような関数 y のことを言う。
この定義は、関数 y をベクトルとするような高位の問題も含んでいる。二階あるいはより高階の微分を行うために、ベクトル y の要素としての新たな変数が導入される。
より一般的に、未知関数 y はバナッハ空間や超関数の空間などといった無限次元の空間上にも値を取りうる。
解の存在と一意性
広いクラスの初期値問題において、解の存在と一意性は計算機を用いることで示されることもある。
ピカール・リンデレフの定理は、t0 および y0 を含む領域において f が連続であり、変数 y について f がリプシッツ条件を満足する場合に、初期値問題の解が t0 を含むある区間で一意に存在することを保証する。定理の証明は、与えられた初期値問題を同値な積分方程式に変換することにより行われる。その場合、積分はある関数を別の関数へ写す作用素として見なされ、その不動点が求める解となる。バナッハの不動点定理が適用されることにより、初期値問題の解であるような不動点の存在および一意性が示される。
^Coddington, Earl A. and Levinson, Norman (1955). Theory of ordinary differential equations. New York-Toronto-London: McGraw-Hill Book Company, Inc.
^Robinson, James C. (2001). Infinite-dimensional dynamical systems: An introduction to dissipative parabolic PDEs and the theory of global attractors. Cambridge: Cambridge University Press. ISBN0-521-63204-8
参考文献
Hirsch, Morris W. and Smale, Stephen (1974). Differential equations, dynamical systems, and linear algebra. New York-London: Academic Press
Okamura, Hirosi (1942). “Condition nécessaire et suffisante remplie par les équations différentielles ordinaires sans points de Peano” (French). Mem. Coll. Sci. Univ. Kyoto Ser. A.24: 21–28.
Polyanin, Andrei D. and Zaitsev, Valentin F. (2003). Handbook of exact solutions for ordinary differential equations (2nd ed.). Boca Raton, FL: Chapman & Hall/CRC. ISBN1-58488-297-2