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「その他の醸造酒」の版間の差分

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'''その他の醸造酒'''(そのたのじょうぞうしゅ)は、[[酒税法]]上の[[酒]]の分類。本項では発泡性ものも扱う
'''その他の醸造酒'''(そのたのじょうぞうしゅ)は、日本の[[酒税法]](昭和28年2月28日法律第6号)および関連法令上の[[酒]]の分類。酒の分類方法としては酒税法上の分類以外に、製造方法による分類の大きく2種類があり{{Sfn|税務署販売テキスト|2018|pp=1–2}}、本項では前者分類方法に基づき解説する


== 概要 ==
== 概要 ==
2006年(平成18年)の[[所得税法]]等の一部を改正する等の法律(同年3月31日公布){{R|NDL-Shotoku2006}}の成立を受け、酒税関連法令が改正されたことによって「その他の醸造酒」区分が新設され、同年5月1日より施行した{{Sfn|税務署告知|2006|pp=1–2, 10}}。
2006年(平成18年)5月の酒税法改正により生まれた区分。酒税法第3条十九に規定があり、穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(いわゆる醸造酒)のうち、[[ビール]]・[[発泡酒]]・[[清酒]]・[[果実酒]]を除くもので、アルコール分が20度未満かつエキス分が2度以上のものとされる<ref>{{Cite web |date=2013-12-13 |url=https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC0000000006|title=酒税法 |publisher=総務省 |accessdate=2015-03-01}}</ref>。この内、発泡性酒類<ref>酒税法第3条三で規定。</ref>に分類されるものは「その他の醸造酒(発泡性){{Unicode|①}}<ref>{{Unicode|①}}は[https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sake/8-08.htm 「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」第86条の5(酒類の品目等の表示義務)]中の「5 酒類の品目の表示以外の表示義務事項の表示」の(2)のロで規定されており、特別税率が適用されるものを意味する。</ref>」と表示される。
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 イ 清酒<br>
 ロ 果実酒<br>
 ハ その他の醸造酒<br>
(...)<br>
十九 その他の醸造酒 穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第七号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が二十度未満のもの(エキス分が二度以上のものに限る。)をいう。
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上述の4分類は製法や性状が異なることから、この4分類ごとに適用される税率設定を変えることを原則としている{{Sfn|税務署告知|2006|p=2}}。今日における「その他の醸造酒」に相当する酒類は、2006年改正以前「雑酒 - その他の雑酒」として区分されていたが、この区分の一部を当改正によって切り出して再編成している{{Sfn|税務署告知|2006|pp=2, 4}}。

類語として「その他の発泡性酒類」があるが、これはその他の醸造酒が属する「醸造酒類」ではなく、「発泡性酒類」に分類される{{Sfn|税務署販売テキスト|2018|p=2}}。その他の醸造酒は「発酵」かつ「アルコール分が20度未満」を要件とする一方{{R|eGov-Law-Art3}}、その他の発泡性酒類は「発泡」かつ「アルコール分が10度未満」と定義に違いがある{{R|eGov-Law-Art3}}{{Sfn|税務署販売テキスト|2018|p=2}}。

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また、商品表示義務についても、清酒や果実酒とその他の醸造酒では異なる。たとえば清酒の場合、吟醸酒や純米酒など製法の違いによって細かく表示を分ける必要がある(平成元年11月22日国税庁告示第8号){{Sfn|税務署販売テキスト|2018|pp=6&ndash;7}}。また果実酒に分類されるワインも原材料のブドウの産地や、ワイン製造地などを基準に商品表示に規制がかかっている(平成27年10月30日国税庁告示第18号、2018年10月からルール適用開始){{Sfn|税務署販売テキスト|2018|pp=7&ndash;8}}。しかし、その他の醸造酒についてはこれらの表示個別規定は設けられていない{{Sfn|税務署販売テキスト|2018|pp=6&ndash;8}}。


== 主な商品 ==
== 主な商品 ==
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*いわゆる[[第三のビール]]の一部 - ビール会社が製造販売する、ビールに性質が類似するアルコール飲料の内、[[ムギ|麦]]をまったく使わず、[[とうもろこし]]や[[豆]]類等のその他の[[穀物]]を原料とする醸造酒。
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*[[黄酒]] - 主に[[中華人民共和国]]で生産される、米を原料とする醸造酒。
*[[蜂蜜酒]] - 主に[[ヨーロッパ|欧州]]で生産される、[[蜂蜜]]を原料とする醸造酒。
*[[蜂蜜酒]] - 主に[[ヨーロッパ|欧州]]で生産される、[[蜂蜜]]を原料とする醸造酒。


== 脚注 ==
== 出典 ==
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<references />
<ref name=NDL-Shotoku2006>{{Cite web |url=https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?lawId=0000105890&current=1 |title=所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18年3月31日法律第10号) |publisher=[[国立国会図書館]] |website=日本法令索引 |accessdate=2020-01-24 |quote=「公布年月日:平成18年3月31日」「改正:酒税法(昭和28年2月28日法律第6号)」}}</ref>

<ref name=eGov-Law-Art2>{{Cite web |date=2019-06-14 |url=https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC0000000006#5 |title=酒税法(昭和二十八年法律第六号)第2条 酒類の定義及び種類 |publisher=[[総務省]] |website=[[e-Gov法令検索]] |accessdate=2020-01-24 |quote=令和元年法律第三十七号改正、2019年6月14日施行分の閲覧}}</ref>

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; 引用文献
* {{Cite report |url=https://www.nta.go.jp/taxes/sake/senmonjoho/kaisei/aramashi2006/manufacture.pdf |title=酒税法等の改正のあらまし(酒類製造者向け) |format=PDF |publisher=[[国税庁]]税務署 |date=2006-04 |ref={{SfnRef|税務署告知|2006}}}}
* {{Cite report |url=https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hambai/moderutekisuto/pdf/h30_02_2.pdf |title=酒類販売管理研修モデルテキスト(平成30年4月)第2編 酒類の商品知識等 第1章 酒類の商品知識等 |format=PDF |publisher=[[国税庁]]税務署 |date=2018-04 |ref={{SfnRef|税務署販売テキスト|2018}}}} <!-- テキスト全体のダウンロード用URLは https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hambai/moderutekisuto/05.htm -->


== 外部リンク ==
* [https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sake/01.htm 酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達] - [[国税庁]]


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2020年1月24日 (金) 08:00時点における版

その他の醸造酒(そのたのじょうぞうしゅ)は、日本の酒税法(昭和28年2月28日法律第6号)および関連法令上のの分類。酒の分類方法としては酒税法上の分類以外に、製造方法による分類の大きく2種類があり[1]、本項では前者の分類方法に基づき解説する。

概要

2006年(平成18年)の所得税法等の一部を改正する等の法律(同年3月31日公布)[2]の成立を受け、酒税関連法令が改正されたことによって「その他の醸造酒」区分が新設され、同年5月1日より施行した[3]

その他の醸造酒の定義(酒税法 第3条)
四 醸造酒類 次に掲げる酒類(その他の発泡性酒類を除く。)をいう。

 イ 清酒
 ロ 果実酒
 ハ その他の醸造酒
(...)

十九 その他の醸造酒 穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第七号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が二十度未満のもの(エキス分が二度以上のものに限る。)をいう。
酒税法 第3条 その他の用語の定義[4]
  • 酒税法における酒類の4分類[5]
    • 発泡性酒類 - ビール、発泡酒、その他発泡性酒類[4]
    • 醸造酒類[4]
      • 清酒
      • 果実酒(ワインなど)
      • その他の醸造酒
    • 蒸留酒類 - ウィスキー、スピッツなど[4]
    • 混成酒類 - みりん、リキュールなど[4]

上述の4分類は製法や性状が異なることから、この4分類ごとに適用される税率設定を変えることを原則としている[6]。今日における「その他の醸造酒」に相当する酒類は、2006年改正以前「雑酒 - その他の雑酒」として区分されていたが、この区分の一部を当改正によって切り出して再編成している[7]

類語として「その他の発泡性酒類」があるが、これはその他の醸造酒が属する「醸造酒類」ではなく、「発泡性酒類」に分類される[8]。その他の醸造酒は「発酵」かつ「アルコール分が20度未満」を要件とする一方[4]、その他の発泡性酒類は「発泡」かつ「アルコール分が10度未満」と定義に違いがある[4][8]

酒税法 第23条が具体的な税率(1キロリットルあたり)を定めており[9][10]、2020年1月現在、その他の醸造酒は14万円となっている。なお、同じ醸造酒類に分類される清酒は12万円、果実酒は8万円となっており、その他の醸造酒よりも税率が軽減されている[9]

また、商品表示義務についても、清酒や果実酒とその他の醸造酒では異なる。たとえば清酒の場合、吟醸酒や純米酒など製法の違いによって細かく表示を分ける必要がある(平成元年11月22日国税庁告示第8号)[11]。また果実酒に分類されるワインも原材料のブドウの産地や、ワイン製造地などを基準に商品表示に規制がかかっている(平成27年10月30日国税庁告示第18号、2018年10月からルール適用開始)[12]。しかし、その他の醸造酒についてはこれらの表示個別規定は設けられていない[13]

主な商品

出典

  1. ^ 税務署販売テキスト 2018, pp. 1–2.
  2. ^ 所得税法等の一部を改正する等の法律(平成18年3月31日法律第10号)”. 日本法令索引. 国立国会図書館. 2020年1月24日閲覧。 “「公布年月日:平成18年3月31日」「改正:酒税法(昭和28年2月28日法律第6号)」”
  3. ^ 税務署告知 2006, pp. 1–2, 10.
  4. ^ a b c d e f g 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第3条 その他の用語の定義”. e-Gov法令検索. 総務省 (2019年6月14日). 2020年1月24日閲覧。 “令和元年法律第三十七号改正、2019年6月14日施行分の閲覧”
  5. ^ 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第2条 酒類の定義及び種類”. e-Gov法令検索. 総務省 (2019年6月14日). 2020年1月24日閲覧。 “令和元年法律第三十七号改正、2019年6月14日施行分の閲覧”
  6. ^ 税務署告知 2006, p. 2.
  7. ^ 税務署告知 2006, pp. 2, 4.
  8. ^ a b 税務署販売テキスト 2018, p. 2.
  9. ^ a b 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第23条 税率”. e-Gov法令検索. 総務省 (2019年6月14日). 2020年1月24日閲覧。 “令和元年法律第三十七号改正、2019年6月14日施行分の閲覧”
  10. ^ 税務署販売テキスト 2018, p. 4.
  11. ^ 税務署販売テキスト 2018, pp. 6–7.
  12. ^ 税務署販売テキスト 2018, pp. 7–8.
  13. ^ 税務署販売テキスト 2018, pp. 6–8.
引用文献
  • 酒税法等の改正のあらまし(酒類製造者向け) (PDF) (Report). 国税庁税務署. 2006-04. {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明)
  • 酒類販売管理研修モデルテキスト(平成30年4月)第2編 酒類の商品知識等 第1章 酒類の商品知識等 (PDF) (Report). 国税庁税務署. 2018-04. {{cite report}}: |date=の日付が不正です。 (説明)

外部リンク