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「簡易無線」の版間の差分

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==旧技術基準の無線設備の免許==
==旧技術基準の無線設備の免許==
無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正
無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正
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により旧技術基準に基づく無線設備の使用期限
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2019年7月11日 (木) 01:18時点における版

簡易無線(かんいむせん)は、27MHz帯、150MHz帯400MHz帯(348MHz帯、351MHz帯、 465MHz帯、 467MHz帯、468MHz帯の総称) [1]50GHz帯を利用する、無線従事者を必要としない無線である。CR(Convenience Radio)という略称で呼ばれることがある。 900MHz帯に規定されていたものは、パーソナル無線として詳述されているので本項目では最小限の記述にとどめる。

定義

総務省令電波法施行規則第4条第1項第25号に簡易無線局を「簡易無線業務を行う無線局」と、簡易無線業務を第3条第1項第16号に「簡易な無線通信業務であつて前号に該当しないもの」と定義している。 この前号とは「アマチユア業務 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」である。

促音、拗音の表記は原文ママ

開設の基準

総務省令無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第7条による。

簡易無線業務用無線局は、次の各号の条件を満たすものでなければならない。

1 その局は、免許人以外の者の使用に供するものでないこと。
2 その局を開設する目的、通信の相手方の選定及び通信事項が法令に違反せず、且つ、公共の福祉を害しないものであること。
3 その局を開設することが既設の無線局等の運用又は電波の監視に支障を与えないこと。
  • この基準は、他の業務の局よりも簡素なものである。電波法制定時に電波の利用を普及させる為、条件を簡略にしたことによる。

概要

利用にあたっては、総合通信局沖縄総合通信事務所を含む。)より、351MHz帯以外は無線局免許状の、351MHz帯は無線局登録状の取得を要する。 それぞれ、免許局登録局と呼ばれる。

周波数・空中線電力など

電波法施行規則に基づく告示 [2] による周波数空中線電力電波型式による変調方式及び無線設備規則の技術基準並びにこれに基づく電波産業会(略称はARIB、旧称は電波システム開発センターで略称はRCR)策定の標準規格やその他による情報を次の表に示す。 原則として使用できるのは、日本国内の陸上(河川湖沼その他これらに準ずる水域又は防波堤若しくはこれに準ずる施設の内側の水域を含む。) で海上または上空すなわち船舶(船舶内のみの使用は可)または航空機からの使用はできない。 [3]

周波数帯 周波数 空中線電力 備考
27MHz帯 事実上廃止されているので#廃止を参照。
150MHz帯 154.45MHz~

154.61MHzまで
20kHz間隔の9波

最大5W
  • 周波数変調(FM)(アナログ)方式の無線電話(音声通信)用
  • 送信空中線は水平面内無指向性で地上高30m以下でなければならない。
  • RCR STD-9 150MHz帯簡易無線局の無線設備[4]
  • 筐体にアナログとデジタルの計37波を搭載できる。
154.44375MHz~

154.61250MHzまで
6.25kHz間隔の28波

最大5W
  • 「デジタル簡易無線」と呼ばれる。
  • デジタル方式の音声通信およびデータや画像伝送に使用できる。
    • 19波が音声通信用、9波がデータ伝送用である。
  • ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備[5]
348MHz帯 348.5625MHz~

348.7750MHzまで
12.5kHz間隔の18波
348.7875MHz
348.8000MHz

最大1W
  • 「新簡易無線」、「小エリア無線」と呼ばれる。
  • FM方式の音声通信に主として使用されているがデータ伝送にも使用できる。
  • 1筐体に18波(通話波)及び348.7875MHz、348.8000MHz(データ伝送波)の計20波を搭載できる。
  • RCR STD-44 小エリア無線通信システムの無線設備[6]
351MHz帯 351.16875MHz~

351.19375MHzまで
6.25kHz間隔の5波

最大1W
  • 「デジタル簡易無線」と呼ばれる。
  • デジタル方式の音声通信用に主として使用されているが、データ信号用装置を付加し、データや画像伝送または中継器に接続し通信範囲を拡大できる。
  • ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備
  • 一筐体に5波すべてを搭載している。
  • 日本国内の陸上及び周辺海上とその上空で使用できる。
351.20000MHz~

351.38125MHzまで
6.25kHz間隔の30波

最大5W
  • 一筐体に30波すべてを搭載している。
  • 上空使用できる5波が受信できる機種もある。
  • 日本国内の陸上及び周辺海上で使用できる。
465MHz帯 465.0375MHz~

465.1500MHzまで
12.5kHz間隔の10波

最大5W
  • アナログ方式の音声通信用
  • 送信空中線は水平面内無指向性で地上高30m以下でなければならない。
  • RCR STD-10 400MHz帯簡易無線局の無線設備[7]
  • 一筐体に三つの周波数帯の計100波を搭載できる。(デュアル機と呼ばれる。)
  • デジタルは日本国内の陸上及び周辺海上で使用できる。
467MHz帯 467.00000MHz~

467.40000MHzまで
6.25kHz間隔の65波

最大5W
  • 「デジタル簡易無線」と呼ばれる。
  • デジタル方式の音声通信用に主として使用されているが、データ信号用装置を付加し、データや画像伝送または中継器に接続し通信範囲を拡大できる。
  • ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備
468MHz帯 468.55MHz~

468.85MHzまで
12.5kHz間隔の25波

最大5W
  • アナログ方式の音声通信用
  • 送信空中線は水平面内無指向性で地上高30m以下でなければならない。
  • RCR STD-10 400MHz帯簡易無線局の無線設備
50GHz帯 50.44GHz~

50.62GHzまで
10MHz間隔の19波
50.94GHz~
51.12GHzまで
10MHz間隔の19波

最大30mW
  • 変調方式の規定はなく、アナログもデジタルも使用できる。
  • 音声通信、データ伝送、画像、動画伝送に使用できる。
  • 送信空中線の絶対利得は45dB以下でなければならない。
  • 主に「パソリンク」(NECネットワークプロダクツの商品名)などにより近距離のデータ、動画伝送に使用される。
  • 降雨時には大きな減衰を受ける。晴天時でも空気中の水蒸気などの気体により減衰するので回線設計にあたっては天候を考慮することが必須となる。晴天時のみであれば10~20km程度の伝送が可能である。[8][9]
150MHz帯と400MHz帯についての詳細
  • アナログには自動識別装置の、デジタルには呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられている。
  • 400MHz帯デジタルは、免許局・登録局とも日本周辺の海上でも使用できる。これは排他的経済水域(沿岸から200海里)で使用できることを意味するが、船舶局の代用ではなく、海上交通管制には使用できない。
免許局
  • 免許状には「通信の相手方」があり、免許人所属の簡易無線局(異免許人間通信を同意した他の免許人所属の簡易無線局を含む。)としか交信できない。また、「通信事項」も「簡易な事項」とされ、免許人の事業に関する内容が対象である。
  • 主に中小零細な法人団体の業務連絡に使用される。また、「エリアトーク」(同名の社で開発した商品名)などの自治会向けの同報通信[10]システムにも使われることがある。
登録局
  • 登録状には「通信の相手方」は無く不特定の相手と交信できる。また、「通信事項」も無いので交信内容も自由である。
  • 免許局と同様な用途はもちろん、アマチュア無線に類似した交信もできる。上空使用できるものはスカイスポーツにも利用される。
免許・登録

無線局の免許人として外国籍の者が原則として排除されることは、電波法第5条第1項に欠格事由として規定されているが、第2項に例外が列挙されその第7号に「自動車その他の陸上を移動するものに開設し、若しくは携帯して使用するために開設する無線局又はこれらの無線局若しくは携帯して使用するための受信設備と通信を行うために陸上に開設する移動しない無線局」があるので、これに該当するものは外国人や外国の会社・団体でも開局できる。 登録については、外国籍の排除は規定されていない。

免許状、登録状の有効期間は5年。 種別コードCR。 351MHz帯では包括登録が認められるので任意の時点で無線設備を追加できる。 登録状にも局数は記載されない。

無線設備は事実上、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則による適合表示無線設備による。 これ以外の機器による免許申請を否定するものではないが、簡易な免許手続が適用されないので予備免許を取得し落成検査に合格しなければならず、操作の電波法施行規則第33条第7号(4)にもあるとおり無線従事者を要することとなる。 また、登録局の無線設備は適合表示無線設備でなければならない [11]。 つまり、適合表示無線設備を使用することが事実上の必須条件である。

'申請手数料については、政令電波法関係手数料令より抜粋する。

2008年(平成20年)4月1日[12]現在
料額
免許局 登録局
空中線電力1W以下 空中線電力1Wを超え5W以下 個別登録 包括登録
3,550円 (2,550円) 4,250円 (3,050円) 2,300円 (1,700円) 2,900円 (2,150円)
()内は電子申請による。
運用
  • 備え付ける書類は免許状のみで、時計、無線業務日誌は省略[13]できる。
  • 無線局運用規則第128条の2により簡易無線局は、原則として1回の通信時間は5分を超えてはならないものとし、1回の通信を終了した後は、1分以上経過した後でなければ通信を行ってはならないとしている。デジタル簡易無線では、これが自動的に設定されている。
操作

電波法施行規則第33条の無線従事者を要しない「簡易な操作」の規定から簡易無線局に関係するものを抜粋する。

第4号(1) 特定無線局以外の陸上に開設した無線局でかつ海岸局航空局船上通信局無線航行局海岸地球局又は航空地球局以外のものの通信操作
  • 簡易無線局も該当する。
第6号(3) 適合表示無線設備のみを使用する無線局の無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
第7号(4) 第6号(3)以外の簡易無線局の無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作で他の無線局の無線従事者に管理されるもの

免許・登録にもあるように、簡易無線局には事実上無線従事者が不要である。

検査
  • 落成検査は、上述の通り適合表示無線設備を使用すれば、簡易な免許手続の対象とされて行われない。
  • 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第23号により行われない。
  • 変更検査は、落成検査と同様である。
チャネル番号

電波産業会標準規格にあるものを次表に掲げる。

音声通信用
150MHz帯 400MHz帯
免許局 登録局
アナログ デジタル アナログ デジタル
ch 周波数 ch 周波数 ch 周波数 ch 周波数 ch 周波数 備考
1 154.45MHz 1 154.44375MHz 1 465.0375MHz 1 467.00000MHz S1 351.16875MHz 上空利用できる。
2 154.47MHz 2 154.45000MHz 2 465.0500MHz 2 467.00625MHz S2 351.17500MHz
3 154.49MHz 3 154.45625MHz 3 465.0625MHz 3 467.01250MHz S3 351.18125MHz
4 154.51MHz 4 154.46250MHz 4 465.0750MHz 4 467.01875MHz S4 351.18750MHz
5 154.53MHz 5 154.46875MHz 5 465.0875MHz 5 467.02500MHz S5 351.19375MHz
6 154.55MHz 6 154.48500MHz 6 465.1000MHz 6 467.03125MHz 1 351.20000MHz  
7 154.57MHz 7 154.48125MHz 7 465.1125MHz 7 467.03750MHz 2 351.20625MHz
8 154.59MHz 8 154.48750MHz 8 465.1250MHz 8 467.04375MHz 3 351.21250MHz
9 154.61MHz 9 154.49375MHz 9 465.1375MHz 9 467.05000MHz 4 351.21875MHz
  10 154.50000MHz 10 465.1500MHz 10 467.05625MHz 5 351.22500MHz
11 154.50625MHz 11 468.5500MHz 11 467.06250MHz 6 351.23125MHz
12 154.51250MHz 12 468.5625MHz 12 467.06875MHz 7 351.23750MHz
13 154.51875MHz 13 468.5750MHz 13 467.07500MHz 8 351.24375MHz
14 154.52500MHz 14 468.5875MHz 14 467.08125MHz 9 351.25000MHz
15 154.53125MHz 15 468.6000MHz 15 467.08750MHz 10 351.25625MHz
16 154.53750MHz 16 468.6125MHz 16 467.09375MHz 11 351.26250MHz
17 154.54375MHz 17 468.6250MHz 17 467.10000MHz 12 351.26875MHz
18 154.55000MHz 18 468.6375MHz 18 467.10625MHz 13 351.27500MHz
19 154.55625MHz 19 468.6500MHz 19 467.11250MHz 14 351.28125MHz
20 154.56250MHz 20 468.6625MHz 20 467.11875MHz 15 351.28750MHz
21 154.56875MHz 21 468.6750MHz 21 467.12500MHz 16 351.29375MHz
22 154.57500MHz 22 468.6875MHz 22 467.13125MHz 17 351.30000MHz
23 154.58125MHz 23 468.7000MHz 23 467.13750MHz 18 351.30625MHz
24 154.58750MHz 24 468.7125MHz 24 467.14375MHz 19 351.31250MHz
25 154.59375MHz 25 468.7250MHz 25 467.15000MHz 20 351.31875MHz
26 154.60000MHz 26 468.7375MHz 26 467.15625MHz 21 351.32500MHz
27 154.60625MHz 27 468.7500MHz 27 467.16250MHz 22 351.33125MHz
28 154.61250MHz 28 468.7625MHz 28 467.16875MHz 23 351.33750MHz
  29 468.7750MHz 29 467.17500MHz 24 351.34375MHz
30 468.7875MHz 30 467.18125MHz 25 351.35000MHz
31 468.8000MHz 31 467.18750MHz 26 351.35625MHz
32 468.8125MHz 32 467.19375MHz 27 351.36250MHz
33 468.8250MHz 33 467.20000MHz 12 351.36875MHz
34 468.8375MHz 34 467.20625MHz 29 351.37500MHz
35 468.8500MHz 35 467.21250MHz 30 351.38125MHz
  36 467.21875MHz  
37 467.22500MHz
38 467.23125MHz
39 467.23750MHz
40 467.24375MHz
41 467.25000MHz
42 467.25625MHz
43 467.26250MHz
44 467.26875MHz
45 467.27500MHz
46 467.28125MHz
47 467.28750MHz
48 467.29375MHz
49 467.30000MHz
50 467.30625MHz
51 467.31250MHz
52 467.31875MHz
53 467.32500MHz
54 467.33125MHz
55 467.33750MHz
56 467.34375MHz
57 467.35000MHz
58 467.35625MHz
59 467.36250MHz
60 467.36875MHz
61 467.37500MHz
62 467.38125MHz
63 467.38750MHz
64 467.39375MHz
65 467.40000MHz

デジタル簡易無線

DigitalCRを組み合わせDCRという略称で呼ばれる。

  • 150MHz帯、467MHz帯は免許局、351MHz帯は登録局である。登録局には上空で利用できるものとできないものがある。
  • 変調方式にπ/4シフトQPSK、RZSSB、4値FSKの3方式があり、相互に交信できない。

これに対応して、無線機と梱包箱およびカタログなどに下記のように種別コード[14]が記載される。

変調方式 電波の型式 免許局 登録局 登録局(上空利用)
150MHz帯 467MHz帯
π/4シフトQPSK G1C G1D G1E G1F 1A 1B 1R 1S
RZSSB R2C R2D R3E R3F 2A 2B 2R 2S
4値FSK F1C F1D F1E F1F 3A 3B 3R 3S

3A、3B、3R、3Sの機種が主に生産されている。

  • 送信時間が5分を超えようとすると発射が停止され、この場合停止から1分経たないと送信できない[15]
  • 呼出名称記憶装置により呼出名称の自動発射が義務付けられている[16]
  • ユーザーコード、秘話機能を搭載し、チャネル毎に設定すること[14]ができる。
    • 各々3桁数字001~511、5桁数字00001~32767を設定することによる。
    • ユーザーコードは、特定の相手のみを選択受信するスケルチ機能であり、一時解除すればそのチャネルで
      • 秘話機能を設定していないときは秘話機能を設定されていない局をすべて受信できる。
      • 秘話機能を設定しているときは秘話機能の数字が一致した局のみ受信できる。
    • 秘話機能は、数字が(ユーザーコードが設定されていれば併せて)一致した局のみ受信できる。
  • データ信号用装置を付加してデータや画像伝送または中継器を接続できる。また、データ伝送専用機種もある。
    • 製造者規格の定義[14]があるのみで異なるメーカーの機種間では通信または接続できない。
  • メーカー独自の音声圧縮、伸張機能を搭載することを妨げていない。
    • 一部メーカーでは、「3Rでも○○方式以外とは交信できません」などと広告しているので注意を要する。
登録局
  • 1S、2S、3Sの機種は、空中線が筐体と一体化していなければならない[15]
    • アンテナは取り外せない。
  • キャリアセンス機能により他局の送信中はそのチャネルで送信できない[15]
  • 無線機をレンタルできる。
    • 登録人以外の者が使用する際には、「無線局の運用の特例に係る届出書」(レンタルの届出) の提出が必要となる。
  • 不特定の者との交信ができる。
    • 1R、2R、3Rの機種のch15(351.2875MHz)は、呼出チャネルとされユーザーコード、秘話機能が動作しない[14]
    • 1S、2S、3Sの機種に呼出チャネルは無いが、不特定の相手との交信は禁止されてはいない。
  • 個人的な利用、レジャーへの利用ができる。
  • 対応機種が限られるが、IP回線を介し特定小電力トランシーバーIP電話との通信や交信範囲の拡大をできる中継器がある。
免許局

467MHz帯

  • データ、画像伝送は、メーカー及びユーザーの自主規制により、ch61~65を利用している。
  • LANに接続して無線機を遠隔操作、中継器動作できる機種がある。
    • インターネットへの接続は免許人の機器を確実に制御できる保証が無い為、認められない。

150MHz帯

  • ch20~28は、データ、画像伝送用とされ、音声通信ができないよう設定[14]されている。

表示

適合表示無線設備には、当初は技術基準適合証明の文言を含む楕円形のマークが、1991年(平成3年)9月からを含んだ円形のマークの表示が義務付けられている。 なお、1995年(平成7年)4月からのマークは、技適マークと通称される。

適合表示無線設備には技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号の表示も必須とされ、簡易無線の機器を表す記号は、これらの番号の英字の1字目または1-2字目にあり、種別毎に次のとおりである。(特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則 様式7)

種別 記号
13560kHz(注1) WC[17]
27MHz帯無線操縦 UY
150MHz帯FM、465MHz帯、468MHz帯 TY
348MHz帯 OZ
351MHz帯 TV
150MHz帯デジタル、467MHz帯 SV
900MHz帯 R又はU[18]
920MHz帯(注2) ZT[19]
950MHz帯[20] WU[21]
ZT
50GHz帯 C
は廃止されたもの
  • 注1 稼動しているものは高周波利用設備として扱われる。
  • 注2 簡易無線としての廃止後は陸上移動局として扱われる。

但し、2013年(平成25年)4月以降の工事設計認証番号(4字目がハイフン(-))には記号表示は無い。 [22]

特定無線設備が制度化される以前の無線設備は、無線機器型式検定規則による検定に合格した「検定機器」によるもので、円形の検定マーク、検定番号および機器の型式名の表示が義務付けられていた。 簡易無線の記号は、検定番号および機器の型式名の1字目のであったので、150MHz帯及び400MHz帯FM機器を製造・販売業者などはC検定機と呼んでいた。(ちなみに一般業務用無線機はF検定機)

沿革

できごと
1950年

(昭和25年)

電波法成立時に電波監理委員会は、米国の"Citizens Radio Service"制度にならい簡易無線を制度化した。

電波法施行規則制定[23]時に、簡易無線業務と簡易無線局が定義された。 免許の有効期間は免許の日から5年。

電波法施行規則全部改正[24]時に、

  • 免許の有効期間は3年。但し、当初の有効期限は電波法施行の日から2年後(昭和27年5月31日)までとされた。
  • 周波数、空中線電力、変調方式は 、
    • 463Mcまたは467Mc、最大3W、AMまたはFM(自励発振
    • 154.53Mcまたは460~470Mc、最大30W AMまたはFM(水晶発振)
    • 無線設備が検定機器なら特殊無線技士(簡易無線電話)以上の、検定機器以外なら第二級無線通信士以上の無線従事者が必要。
1951年

(昭和26年)

早稲田大学上高地登山の為として、簡易無線局の第一号、第二号が免許された。周波数467Mc、空中線電力0.1W、電波型式AM。[25]
1952年

(昭和27年)

5月31日に最初の免許更新がなされた。
  • 以後3年毎の5月31日に満了するように免許された。
1957年

(昭和32年)

簡易無線への周波数割当ては150Mc帯の154.45Mc、154.53Mc、154.61Mcの3波と467Mc、最大空中線電力5Wとなった。[26]

  • 現に免許を受けている簡易無線局は昭和33年5月31日までは従前の周波数と空中線電力によるものとされた。[27]
1958年

(昭和33年)

運用開始の届出および公示を要しない無線局となり、検定機器の操作を行う場合は無線従事者が不要とされ簡易な免許手続も適用されることとなった。[28]
1960年

(昭和35年)

無線業務日誌の備付けが不要とされた。[29]
1961年

(昭和36年)

電波法施行規則が改正[30]された。
  • 免許の有効期間は免許の日から5年となった。
  • 27Mc帯を使用する簡易無線局として、いわゆる市民ラジオが法制化された。
    • この「市民ラジオ」は無線電話と無線操縦の両者を併せていう。
    • 無線電話の変遷については市民ラジオの制度を参照のこと。
    • 無線操縦については#廃止を参照。
  • 150Mc帯は周波数間隔が80kcから40kcへ狭帯域化(ナロー化)され2波追加で計5波になった。
  • 465Mc帯に465.05Mcと465.15Mc、468Mc帯に468.75Mcと468.85Mcが割り当てられ、467Mcは削除された。
1969年

(昭和44年)

電波法施行規則が改正[31]された。
  • 150Mc帯は周波数間隔が40kcから20kcへ更に狭帯域化(再ナロー化)され4波追加で計9波になった。
  • 465Mc帯、468Mc帯は周波数間隔が100kcから25kcへナロー化され各々3波追加で各波数帯毎に5波になった。
1972年

(昭和47年)

計量法改正により、周波数の単位がサイクル(c)からヘルツ(Hz)となった。
1973年

(昭和48年)

移動する簡易無線局は無線局免許証票を備え付けるものとされた。[32]
1982年

(昭和57年)

900MHz帯に80波が割り当てられ、「パーソナル無線」と呼ばれることとなった。(その後の変遷についてはパーソナル無線を参照)
1983年

(昭和58年)

1月1日より市民ラジオは無線電話のみを指すこととなり、免許不要局となった。[33]

50GHz帯に38波が割り当てられ[34]、特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の対象(証明機器)とされた。[35]

1984年

(昭和59年)

465MHz帯、468MHz帯で周波数間隔が25kHzから12.5kHzへ再ナロー化され、465MHz帯は465.0375~465.15MHzの10波、468MHz帯は468.7375~468.85MHzの10波となった。[36]

電波法に規定する条件を満たす国の国籍の者への免許が認められることとなった。[37]

1987年

(昭和62年)

電波システム開発センター(現 電波産業会)が簡易無線の標準規格の策定を開始した。

1990年

(平成2年)

468MHz帯に468.675~468.725MHzの12.5kHz間隔5波が追加され計15波となった。[38]

150MHz帯、400MHz帯の簡易無線局には、平成12年6月1日までに自動識別装置を装置することが義務付けられた。[39]

1993年

(平成5年)

電波利用料制度が始まる。料額の変遷は下表参照。

468MHz帯に468.55~468.6625MHzの12.5kHz間隔10波が追加され計25波となった。[40]

1994年

(平成6年)

電波法に規定する条件を満たせば国籍にかかわらず免許が認められることとなった。[41]

348MHz帯に20波が割り当てられ[42]、証明機器とされた[43]

1998年

(平成10年)

RFIDを応用した非接触型ICカードシステムにワイヤレスカードシステムとして13560kHzが割り当てられた。[44]
  • 空中線電力と使用場所の相違により、同周波数に構内無線局と免許を要しない無線局もあった。
1999年

(平成11年)

一筐体に150MHz帯は3波まで、465MHz帯または468MHz帯は5波まで搭載できることとなった。

簡易無線局の無線設備がすべて検定機器から証明機器(現 適合表示無線設備)の対象となった。[45]

2000年

(平成12年)

簡易無線局の無線設備が検定機器の対象から削除された。[46]
  • 検定合格の効力は有効であり、検定機器は従前の条件で免許できる。[47]
2002年

(平成14年)

電波産業会が150MHz帯と400MHz帯(465MHz帯と468MHz帯)の標準規格を改定した。

一筐体に150MHz帯は9波すべてを、400MHz帯は465MHz帯10波と468MHz帯25波の計35波すべてを搭載できることとなった。

13560kHzのワイヤレスカードシステムは誘導式読み書き通信設備という許可不要の高周波利用設備となった。[48]

2005年

(平成17年)

スプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準が改正[49]され、旧技術基準に基づく無線設備(検定機器および平成19年11月30日まで認証された適合表示無線設備)による新規開局や変更の期限は平成19年11月30日まで、使用は平成34年11月30日までとされた。
  • 電波産業会も標準規格を新技術基準にあわせ改定した。
2007年

(平成19年)

旧技術基準に基づく無線設備による新規開局や変更の期限が平成29年11月30日まで延長された。[50]

「周波数再編アクションプラン(平成19年11月改定版)」[51]において「400MHz帯は、アナログ方式撤廃とデジタル方式導入及びナロー化について技術基準検討を行い、平成20年度早期に関係規定を整備する。」とされた。

2008年

(平成20年)

総務省令・告示改正により

  • 351MHz帯に計35波、467MHz帯65波が割り当てられた一方で348MHz帯・465MHz帯・468MHz帯の使用は平成34年11月30日までとされた。[52]
  • 351MHz帯・467MHz帯はデジタルによるものとされた。[53][54]
  • 400MHz帯デジタル化普及の為、1筐体に(デジタル)467MHz帯65波と(アナログ)465MHz帯と468MHz帯の計35波を併せて搭載したものは、一つの無線局として申請できることとされた。[55]

「周波数再編アクションプラン(平成20年11月改定版)」[56]において「400MHz帯は、デジタル方式の普及を進めアナログ方式からの移行を図る。」とされた。

2009年

(平成21年)

4月より400MHz帯デジタルの登録、免許が開始された。

7月に「平成20年度電波の利用状況調査の調査結果及び評価結果」[57]において「150MHz帯は、山間部における需要[58]を踏まえデジタル・狭帯域化し、アナログ廃止が望ましい」と評価された。

2010年

(平成22年)

「周波数再編アクションプラン(平成22年2月改定版)」[59]において、次のように取り組むとされた。
  • 27MHz帯は、他周波数でのラジコンの普及と今後の需要が見込めないため、廃止を検討する。
  • 150MHz帯は、山岳部における需要を考慮しデジタル化を検討する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式を普及し、平成34年11月30日までにアナログ方式からの移行を図る。
  • 950MHz帯のRFIDの帯域950~956MHzを950~958MHzに拡大する(構内無線と特定小電力無線との中間にあたる登録制の簡易無線を新設する)ため、平成22年度中に技術基準を策定する。

5月に954.2MHzが割り当てられ[60]された。

2011年

(平成23年)

7月に「平成22年度電波の利用状況調査の調査結果及び評価結果」[61]において「RFIDは国際協調を踏まえ915~928MHz帯へ移行を図ることが適当」と評価された。

「周波数再編アクションプラン(平成23年9月改定版)」[62]において、次のように取り組むとされた。

  • 27MHz帯は、他周波数でのラジコンの普及と今後の需要が見込めないため、廃止を検討する。
  • 150MHz帯は、山岳部における需要を考慮しデジタル化を検討する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式を普及し、平成34年11月30日までにアナログ方式からの移行を図る。
  • 950MHz帯は、920MHz帯(915~928MHz)へ平成24年7月25日から移行開始できるように技術基準や移行計画の策定や環境整備を実施する。また、現行周波数帯の最終使用期限を平成30年3月31日とする。

12月に総務省令・告示が改正[63][64][65]された。

  • 900MHz帯は、割当期限を平成27年11月30日とする。
  • 920.5~923.5MHzを平成24年7月25日より割り当てることとされた。
  • 950MHz帯の新規登録・再登録は平成24年12月31日まで、無線設備の変更および使用期限は平成30年3月31日までとされた。
2012年

(平成24年)

7月に「平成23年度電波の利用状況調査の調査結果及び評価結果」[66]において、
  • 27MHz帯は、無線局数が0で今後の開設も見込めないため、周波数分配を削除することが適当
  • 150MHz帯は、データ通信及び多チャンネル化への対応として、デジタル化が望ましい

と評価された。

8月より920MHz帯の登録が開始された。

「周波数再編アクションプラン(平成24年10月改定版)」[67]において、次のように取り組むとされた。

  • 27MHz帯は、無線局数が0で今後の開設も見込めないため、周波数分配を削除する。
  • 150MHz帯は、データ通信及び多チャンネル化への対応として、デジタル方式導入を検討する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式の普及を進め、平成34年11月30日までにアナログ方式からの移行を図る。

12月に150MHz帯にデジタル方式28波が追加[68]された。

  • アナログと周波数帯を併用する。

12月末で950MHz帯の新規登録・再登録は終了した

2013年

(平成25年)

1月に27MHz帯が告示周波数割当計画から削除[69]された。

150MHz帯音声通信用としてアナログ9波とデジタル19波を一筐体に搭載した機種が発売された。

2月より150MHz帯デジタルの免許が開始された。

「周波数再編アクションプラン(平成25年10月改定版)」[70]において、次のように取り組むとされた。

  • 150MHz帯は、割当て可能になったデジタル方式の普及を進めアナログ方式からの移行を促進する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式の普及を進め、平成34年11月30日までと使用期限が付されているアナログ方式からの移行を図る。
2014年

(平成26年)

「周波数再編アクションプラン(平成26年10月改定版)」[71]において、次のように取り組むとされた。
  • 150MHz帯は、デジタル方式の普及を進めアナログ方式からの移行を促進する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式の普及を進め、平成34年11月30日までと使用期限が付されているアナログ方式からの移行を図る。

10月より400MHz帯デジタル免許局と登録局が日本周辺海域で使用できることとなった。[72]

  • 従前に免許又は登録された局は、免許状又は登録状の移動範囲について変更を受けなければならない。
2015年

(平成27年)

「周波数再編アクションプラン(平成27年10月改定版)」[73]において、次のように取り組むとされた。
  • 150MHz帯は、デジタル方式の普及を進めアナログ方式からの移行を促進する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式の普及を進め、平成34年11月30日までと使用期限が付されているアナログ方式からの移行を図る。

11月末に900MHz帯が周波数割当計画から削除[74]された。

2016年

(平成28年)

「周波数再編アクションプラン(平成28年11月改定版)」[75]において、次のように取り組むとされた。
  • 150MHz帯は、デジタル方式の普及を進めアナログ方式からの移行を促進する。
  • 400MHz帯は、デジタル方式の普及を進め、平成34年11月30日までと使用期限が付されているアナログ方式からの移行を図る。

総務省電波利用ホームページに「簡易無線局のデジタル化について」のページができた。[76]

2017年

(平成29年)

9月末に920MHz帯が周波数割当計画から簡易無線業務への割当てが削除[77]、簡易無線局の周波数及び空中線電力を規定する告示からも削除[78]された。
  • 10月以降は一般業務とされ陸上移動局として免許される。既設局も陸上移動局にみなされる。[79]

「周波数再編アクションプラン(平成29年11月改定版)」[80]において、次のように取り組むとされた。

  • 150MHz帯は、平成24年12月に新たに割当てが可能になったデジタル方式の簡易無線の普及を進めアナログ方式からの移行を促進する。
  • 400MHz帯は、平成20年8月に技術基準の整備を行ったデジタル方式の簡易無線の普及を進め、周波数割当計画において平成34年11月30日までと使用期限が付されているアナログ方式からの移行を図る。
2018年

(平成30年)

移動する簡易無線局は、2月末に無線局免許証票の備付けが廃止され、3月より無線局免許状を常置場所に備え付けるものとされた。[81]

3月末に950MHz帯が周波数割当計画から削除[74]された。

「周波数再編アクションプラン(平成30年11月改定版)」[82]において、次のように取り組むとされた。

  • 150MHz帯は、平成24年12月に新たに割当てが可能になったデジタル方式の簡易無線の普及を進めアナログ方式からの移行を促進する。
  • 400MHz帯は、平成20年8月に技術基準の整備を行ったデジタル方式の簡易無線の普及を進め、周波数割当計画において平成34年11月30日までと使用期限が付されているアナログ方式からの移行を図る。

12月末にパーソナル無線を規定していた総務省令・告示が改正[83]され、「パーソナル無線」という文言が消滅した。

2019年

(平成31年)

2月に400MHz帯の免許局と登録局を一筐体に搭載した機種が発表[84]された。
電波利用料額
年月 免許局 登録局 包括登録 備考
1993年(平成5年)4月[85] 600円  
1997年(平成9年)10月[86]  
2006年(平成18年)4月[87]  
2008年(平成20年)10月[88] 400円 400円 360円 登録局、包括登録が導入
2011年(平成23年)10月[89] 500円 500円 450円  
2014年(平成26年)10月[90] 600円 600円 540円  
2017年(平成29年)10月[91] 420円  
局数の推移
年度 平成元年度末 平成2年度末 平成3年度末 平成4年度末 平成5年度末 平成6年度末 平成7年度末 平成8年度末
局数 755,000 995,660 876,539 875,911 773,717 755,344 755,468 720,628
年度 平成9年度末 平成10年度末 平成11年度末 平成12年度末 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末
局数 773,179 660,021 660,883 579,823 587,184 583,028 591,462 599,425
年度 平成17年度末 平成18年度末 平成19年度末 平成20年度末 平成21年度末 平成22年度末 平成23年度末 平成24年度末
局数 613,063 632,541 658,371 673,973 697,785 701,003 756,493 822,861
年度 平成25年度末 平成26年度末 平成27年度末 平成28年度末 平成29年度末 平成30年度末    
局数 891,175 961,056 1,042,522 1,114,576 1,183,448 1,250,949    
総務省情報通信統計データベース
  • 地域・局種別無線局数[92]
  • 用途別無線局数[93](平成13年度以降)

による。

  • パーソナル無線は除く。
  • 平成21年度より免許局と登録局が合算されている。
50GHz帯局数の推移
年度 調査基準日 局数 出典
平成18年度 平成18年3月1日 3,198 システム名 50GHz帯簡易無線[94]
平成21年度 平成21年3月5日 2,760 電波利用システム名 50GHz帯簡易無線[95]
平成24年度 平成24年3月1日 1,898 電波利用システム名 50GHz帯簡易無線[96]
平成27年度 平成27年3月2日 1,281 36GHz超の周波数を利用する主な電波システム[97]
平成30年度 平成30年3月30日 937 電波利用システム名 50GHz帯簡易無線[98]

免許されない業務

音声通信用の簡易無線は、法人・団体(個人事業主を含む。)内(異免許人間通信を同意した他の免許人所属の簡易無線局を含む。)における簡易な通信や伝送を行うための無線であり、電気通信業務や海上・航空交通業務を遂行するためには免許されない[3]。 また、鉄道バス等の陸上交通業務や消防防災警備等の人命や財産を保護する業務などには、各業務の専用波が免許される。 ただ、開設の基準が簡素で無線従事者も不要であることから、専用波が財務などの理由でとれない小規模事業者が利用しているのも実情であり、一般事業用や公共事業用の無線局が免許されることが可能な事業者でも簡易無線を利用することがあるのは、制度化当初から見られたこと [99]である。

なおデジタル登録局は、個人での登録、レジャー目的での使用や不特定の相手との交信ができ、パーソナル無線も同様であった。

旧技術基準の無線設備の免許

無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正 [49] により旧技術基準に基づく無線設備の使用期限 [100] は「平成34年11月30日」とされた。旧技術基準の無線設備とは、

  • 「平成17年11月30日」[101]までに検定合格した検定機器または認証された適合表示無線設備
  • 経過措置として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに認証された適合表示無線設備[102]

であり、これらの無線設備が条件なしで免許されるのは「平成29年11月30日」まで [103] とされた。

また周波数割当計画改正 [52] により、「400MHz帯アナログ簡易無線免許局の使用期限は平成34年11月30日」とされ、「デュアル機についても使用期限までにアナログ電波の発射を停止する改修を要する」とされた [104]

該当するのは400MHz帯アナログ方式の全部ならびに150MHz帯アナログ方式および50GHz帯の各一部である。

2017年(平成29年)12月1日以降の免許手続き[105]は次の通り

  • 400MHz帯アナログ方式
    • 新規免許(変更・追加を含む。以下同じ。)は不可
    • 再免許はできるが有効期限(改修しないデュアル機も含む。)は「令和4年11月30日」までとなる。
  • 150MHz帯アナログ方式と50GHz帯
    • 新規免許は不可
    • 適合表示無線設備の再免許はできるが有効期限は「令和4年11月30日」までとなる。
    • 検定機器は設置が継続される限り検定合格の効力は有効[106]
      • 150MHz帯アナログ方式の検定機器は、設置し続ける限り再免許できる。

廃止

簡易無線として廃止されたものの廃止時点の情報を参考として掲げる。 配列は周波数順で簡易無線としての廃止日順ではない。 チャネル番号は電波産業会標準規格による。

13560kHz

空中線電力最大1W、変調方式の規定なし、標準規格 ARIB STD-T60 ワイヤレスカードシステム[107]

27MHz帯
  • 無線電話
市民ラジオの制度を参照
  • 無線操縦
周波数 空中線電力 変調方式 備考
27048kHz 最大1W 振幅変調(AM)
  • 周波数割当計画から割当てが削除されているので、総務省令・告示にある技術基準を満たす無線機器による免許申請をしても、拒絶される。
  • 技術基準は削除時に至るまで変更がなかった。
  • 検定機器は一種のみ、適合表示無線設備はなく長年に渡り使用実績は無かった。
27120kHz 最大0.5W
27136kHz 最大0.5W
27152kHz 最大1W
900MHz帯

規定廃止後も経過措置があるのでパーソナル無線を参照

920MHz帯
周波数 単位チャネル 空中線電力 備考
番号 中心周波数
920.5MHz~

923.5MHzまで
詳細は右記参照

24 920.6MHz 最大250mW
  • 950MHz帯と同様のパッシブ型ICタグシステム以外にアクティブ型のリーダライタ及び各種センサーを用いた遠隔測定や遠隔制御、データ伝送などにも使用。
  • 周波数は、
    • 占有周波数帯域200kHz以下 920.6~923.4MHzまで100kHz間隔
    • 同200kHzを超え400kHz以下 920.7~923.3MHzまで100kHz間隔
    • 同400kHzを超え600kHz以下 920.8~923.2MHzまで100kHz間隔
    • 同600kHzを超え800kHz以下 920.9~923.1MHzまで100kHz間隔
    • 同800kHzを超え1MHz以下  921~923MHzまで100kHz間隔
  • 最大5隣接単位チャネルまで同時に動作可。但し、922.2MHz以下はパッシブ型が優先する為、チャネル32以下とチャネル33以上の同時使用は禁止。
  • 変調方式の規定なし。
  • 915.9~928.1MHzは、
    • パッシブ型移動体識別用の最大空中線電力1Wの登録を要する構内無線局
    • 簡易無線局と同用途の最大空中線電力250mWの特定小電力無線局
に割り当てられ周波数帯を共用
  • 標準規格 ARIB STD-T108 920MHz帯テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備[108]
25 920.8MHz
26 921.0MHz
27 921.2MHz
28 921.4MHz
29 921.6MHz
30 921.8MHz
31 922.0MHz
32 922.2MHz
33 922.4MHz
34 922.6MHz
35 922.8MHz
36 923.0MHz
37 923.2MHz
38 923.4MHz
950MHz帯
周波数 単位チャネル 空中線電力 備考
番号 中心周波数
954.2MHz

詳細は右記参照

7 952.2MHz 最大250mW

950~958MHzは、同用途の

  • 最大空中線電力1Wの登録を要する構内無線局
  • 同10mWの特定小電力無線局

があって、空中線電力が両者の中間にあるため「中出力型電子タグシステム」と呼ばれた。

  • 工場や倉庫などでICタグを荷物や商品につけ、流通の効率化や在庫管理に使用
  • 変調方式の規定なし。
  • 最大21隣接単位チャネルまで同時に動作可
  • 標準規格 ARIB STD-T100 簡易無線局950MHz帯移動体識別用無線設備(廃止済み)[109]
8 952.4MHz
9 952.6MHz
10 952.8MHz
11 953.0MHz
12 953.2MHz
13 953.4MHz
14 953.6MHz
15 953.8MHz
16 954.0MHz
17 954.2MHz
18 954.4MHz
19 954.6MHz
20 954.8MHz
21 955.0MHz
22 955.2MHz
23 955.4MHz
24 955.6MHz
25 955.8MHz
26 956.0MHz
27 956.2MHz
局数の推移
平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年
10月 4月 10月 4月 10月 4月 10月 4月 10月 4月 10月 4月
登録局 4,529 4,829 5,028 6,144 5,808 1,576 896 388 231 155 49 38
周波数の使用期限に定めのある電波利用システム等の無線局数の推移[110]による。

注 構内無線局との合算である。

移行促進の為、新たにこの周波数を使用する認定開設者のソフトバンク(旧称ソフトバンクモバイル)が期限内に無線機を取り替える為の費用を負担する「終了促進措置」を実施していた [111]

脚注

  1. ^ 平成6年郵政省告示第405号第2項に150MHz帯を「142MHzを超え170MHz以下の周波数帯」と400MHz帯を「335.4MHzを超え470MHz以下の周波数帯」と規定している。
  2. ^ 平成6年郵政省告示第405号 簡易無線局の周波数及び空中線電力 総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集
  3. ^ a b 簡易無線の手続きについて 関東総合通信局
  4. ^ 標準規格概要(STD-9) ARIB - 標準規格等一覧
  5. ^ 標準規格概要(STD-T98) ARIB - 標準規格等一覧
  6. ^ 標準規格概要(STD-44) ARIB - 標準規格等一覧
  7. ^ 標準規格概要(STD-10) ARIB - 標準規格等一覧
  8. ^ 古濱洋治, 島貫義太郎、50GHz帯通信 『テレビジョン学会誌』 1984年 38巻 8号 p.730-735, doi:10.3169/itej1978.38.730
  9. ^ 50GHz簡易無線装置’’Hi-Link50’’ (PDF) p.932 日立評論 1990年9月号
  10. ^ 電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。
  11. ^ 電波法第27条の18第1項参照
  12. ^ 平成20年政令第12号による電波法関係手数料令改正
  13. ^ 昭和35年郵政省告示第1017号 時計、業務書類等の備付けを省略できる無線局及び省略できるものの範囲並びにその備付け場所の特例又は共用できる場合 総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集
  14. ^ a b c d e ARIB STD-T98 デジタル簡易無線局の無線設備
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  84. ^ <業界初の変わり種!「登録局」と「免許局」が1台で…>JVCケンウッド、デジタル簡易無線「TCP-D751 CT」とデジ&アナ業務機「TCP-D751 FT」の2モデルを発表 hamlife.jp 2019年2月5日 - ウェイバックマシン(2019年4月2日アーカイブ分)
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  102. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第4項
  103. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項および平成19年総務省令第99号による同附則同条同項改正
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  107. ^ 標準規格概要(STD-T60) ARIB - 標準規格等一覧(STD-T82 誘導式読み書き通信設備(ワイヤレスカードシステム等)に継承、「STD-T60」も既設置品の利用を可能とするため存続している。)
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関連項目

外部リンク