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{{Otheruses||[[ポケットモンスターの地名一覧|ポケットモンスターの地名]]の「チョウジタウン」|ジョウト地方}} |
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{{otheruses|植物|単位|ネイル (単位)}} |
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{{生物分類表 |
{{生物分類表 |
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|色=lightgreen |
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|名称=チョウジノキ (クローブ) |
|名称=チョウジノキ (クローブ) |
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|色 = lightgreen |
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|画像=[[ファイル:Syzygium_aromaticum_-_Köhler–s_Medizinal-Pflanzen-030.jpg|200px]] |
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|画像=[[ファイル:Syzygium aromaticum - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-030.jpg|200px]] |
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|分類体系 = [[APG IV]] |
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|界 = [[植物|植物界]] {{Sname||Plantae}} |
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|門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||Angiosperms}} |
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|目=[[フトモモ目]] [[:en:Myrtales|Myrtales]] |
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|下綱階級なし = [[バラ上群]] {{Sname||superrosids}} |
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|科=[[フトモモ科]] [[:en:Myrtaceae|Myrtaceae]] |
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|属=フトモモ属 ''[[:en:Syzygium|Syzygium]]'' |
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|種=チョウジノキ ''S. aramaticum'' |
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|目 = [[フトモモ目]] {{Sname||Myrtales}} |
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|学名=''Syzygium aromaticum'' ([[カール・フォン・リンネ|L.]]) Merrill & Perry |
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|科 = [[フトモモ科]] {{Sname||Myrtaceae}} |
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|シノニム= |
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|属=フトモモ属 ''[[w:Syzygium|Syzygium]]'' |
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''Caryophyllus aromaticus'' <small>L.</small> |
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|種=チョウジノキ ''[[w:Syzygium aromaticum|S. aromaticum]]'' |
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|学名= ''[[w:Syzygium aromaticum|Syzygium aromaticum]]''<br>({{AU|L.}}) {{AU|Merr.}} et {{AU|L.M.Perry}}<ref name="YList">{{YList |
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|taxon=Syzygium aromaticum (L.) Merr. et L.M.Perry |
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|accessdate=2020-06-04 |
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|シノニム=<ref name="GRIN">{{GRIN | name = ''Syzygium aromaticum'' (L.) Merr. & L. M. Perry | id = 50069 | accessdate = June 9, 2011}}</ref> |
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* ''Caryophyllus aromaticus'' <small>L.</small> |
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*''Eugenia aromatica'' <small>(L.) Baill.</small> |
*''Eugenia aromatica'' <small>(L.) Baill.</small> |
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*''Eugenia caryophyllata'' <small>Thunb.</small> |
*''Eugenia caryophyllata'' <small>Thunb.</small> |
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*''Eugenia caryophyllus'' <small>(Spreng.) Bullock & S. G. Harrison</small> |
*''Eugenia caryophyllus'' <small>(Spreng.) Bullock & S. G. Harrison</small> |
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|和名=チョウジノキ< |
|和名=チョウジノキ<br>クローブ<br>チョウジ<br>チョウコウ |
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|英名=Clove |
|英名=Clove |
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}}<!-- このテンプレートは、PJ:BIOでの議論に基づき、Bot(User:Point136)により移行されました。 --> |
}}<!-- このテンプレートは、PJ:BIOでの議論に基づき、Bot(User:Point136)により移行されました。 --> |
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[[File:Cloves.JPG|thumb|干したクローブは釘や丁の字に似た形をしている]] |
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'''クローブ'''({{lang-en|Clove}})は、[[フトモモ科]]の植物'''チョウジノキ'''(''Syzygium aromaticum''、[[シノニム|syn.]] ''Eugenia aromatica'')の開花前の花蕾を乾燥させた[[香辛料]]の名。 |
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原産地は[[インドネシア]]の[[モルッカ群島]]{{sfn|ツァラ|2014|pp=13-16}}。 |
'''チョウジ'''('''丁子'''、'''丁字''')または'''クローブ'''({{lang-en-short|Clove}})は、[[フトモモ科]]の樹木'''チョウジノキ'''([[学名]]:''Syzygium aromaticum'')の香りのよい[[花]][[蕾]]である。原産地は[[インドネシア]]の[[モルッカ群島]]であり{{sfn|ツァラ|2014|pp=13-16}}、[[香辛料]]として一般的に使われるほか、[[生薬]]としても使われる。漢名に従って'''丁香'''(ちょうこう)とも呼ばれる。 |
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== 名称 == |
== 名称 == |
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[[Image:ClovesDried.jpg|left|thumb|乾燥したチョウジ(クローブ)。ちょうど丁の字や、錆びた釘の形に似ている。]] |
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クローブの花蕾は[[釘]]に似た形をしているため、[[中国]]では「[[釘]]」と同義の「丁」の字を使って「丁香」、「丁子」の名があてられ、[[フランス語]]では釘を意味する ''Clou'' と呼ばれ、[[英語]]の ''Clove'' もこれを語源とする。 |
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チョウジの花蕾は[[釘]]に似た形、また乾燥させたものは錆びた古釘のような色をしており、[[中国]]では紀元前3世紀に口臭を消すのに用いられ、「釘子(テインツ)」の名を略して[[釘]]と同義の「丁」の字を使って「丁子」の字があてられ、[[呉音]]で「チャウジ」と発音したことから、日本では'''チョウジ'''の[[和名]]がつけられた{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。[[フランス語]]で釘を意味するクル (''Clou'') から、仏名で「クル・ド・ジローフル」 (''clous de girofle'') と呼ばれ、[[英語]]名でこれが「クロウジローフル」(''clow of gilofer'')となり、略されて「クローブ」 (''Clove'') になった{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}<ref>{{Cite journal|last=Uchibayashi|first=M.|date=2001|title=[Etymology of clove]|url=https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11971288|journal=Yakushigaku Zasshi|volume=36|issue=2|pages=167–170|issn=0285-2314|pmid=11971288}}</ref>。 |
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非常に強い香気を持っているので、'''百里香'''という別名もある。 |
日本における植物[[和名]]は'''チョウジノキ'''<ref name="YList"/>{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。非常に強い香気を持っているので、'''百里香'''という別名もある。 |
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{{-}} |
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==栽培== |
== 栽培 == |
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[[File:The flowers of clove tree in Pemba island.JPG|thumb|チョウジノキの花]] |
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チョウジノキは中高木であり常緑樹。種子から発芽し20年ほどで10メートルほどの高さに成長する。作物としてのクローブは7-8年目頃から収穫が可能である。 |
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[[モルッカ諸島]]の原産で、日本では植物園の温室などで育てられている{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。おもに[[インドネシア]]、[[ザンジバル]]、[[スリランカ]]、[[モーリシャス]]、[[マダガスカル]]、[[コモロ]]、[[ペナン]]、[[ドミニカ]]{{要曖昧さ回避|date=2022年6月}}などで[[栽培]]されている。 |
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もともとクローブはスラウェシ島の北東に位置するティドレ島とテルナテ島を含む5つの火山島にしか生えていなかった。<ref name=":0">{{Cite book|和書|title=スパイスの歴史|date=2014年4月30日|publisher=株式会社原書房|pages=28,29}}</ref> |
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熱帯多雨の地域が原産であり、温室で十分に管理すれば栽培は可能であるが、露地植えでの商業栽培に適する地域は限られる。7月から9月と1月から2月つぼみを付け、年2回収穫を行う。花弁は本木の高い場所になるため、かつては高い作業やぐらをたて手摘みしていた。これが商品の価格の高さにも反映している。現在では枝や葉からもクローブオイルが抽出できるため、作業者が直接クローブの木にのぼり枝ごと切り落とし作業する<ref>{{Cite web | url = http://www.tz.emb-japan.go.jp/arekore18_j.html | work = 在タンザニア日本国大使館 | title = ザンジバルのクローブ生産 | accessdate = 2012-08-18}}</ref>。 |
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チョウジノキは小高木の常緑樹で、種子から発芽して20年ほどで10[[メートル]]ほどの高さに成長する。作物としてのチョウジは7〜8年目頃から収穫が可能である。 |
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おもに[[インドネシア]]、[[ザンジバル]]、[[スリランカ]]、[[モーリシャス]]、[[マダガスカル]]、[[コモロ]]、[[ペナン]]、[[ドミニカ]]などで栽培されている。 |
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熱帯多雨の地域が原産地であり、温室で十分に管理すれば栽培は可能であるが、露地植えでの商業栽培に適する地域は限られる。7月から9月と1月から2月につぼみを付け、年2回収穫を行う。花弁は本木の高い場所になるため、かつては高い作業やぐらをたて手摘みしていた。これが商品の価格の高さにも反映している。現在では枝や葉からもクローブオイルが抽出できるため、作業者が直接チョウジの木にのぼり枝ごと切り落とし作業する<ref>{{Cite web|和書| url = http://www.tz.emb-japan.go.jp/arekore18_j.html | work = [[在タンザニア日本国大使館]] | title = ザンジバルのクローブ生産 | accessdate = 2012-08-18}}</ref>。 |
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==利用== |
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[[File:NCI_clove_ham.jpg|thumb|クローブを挿した[[ハム]]]] |
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香辛料として肉料理によく使われるが、他の香辛料とブレンドして[[カレー]]などに使用することが多い。また、[[カルダモン]]、[[桂皮]]、[[ショウガ]]などと合わせて[[チャイ]]の香り付けに使われる。肉塊にそのまま刺し、ローストして臭みを消す料理法にも用いられる。 |
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<gallery> |
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[[生薬]]としての花蕾を丁子(ちょうじ)または丁香(ちょうこう)ということもあり、芳香健胃剤である(日本薬局方にも収録されている)。漢方では[[女神散]]、[[柿蒂湯]]などに使われる。 |
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Syzygium aromaticum on tree.jpg|チョウジの花([[インドネシア]]・[[バリ島]]) |
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Munduk Bali Syzygium aromaticum drying.jpg|路上での丁子干し(バリ島) |
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Cloves fresh in hand.JPG|花蕾と発育中の果実 |
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</gallery> |
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== 利用 == |
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[[含香]]として、[[密教]]で灌頂や勤行前の口内のお清めに乾燥した丁子を刻んだものを口に含み噛んで使用する。ただし花の部分は使わない。 |
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おもには[[香辛料]]として知られ、[[花蕾]]には[[精油]]16 - 20%を含んでいて、薬用にも使われる{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。精油の成分は、主に[[オイゲノール]]約80 - 90%前後を含んでいて、{{仮リンク|アセチルオイゲノール|en|Acetyleugenol|preserve=1}}3%、[[カリオフィレン]]、[[バニリン]]の他、[[樹脂]]、[[脂肪]]、[[蝋]]、[[ゴム]]、[[酢酸]]、[[サリチル酸]]、[[タンニン]]なども含んでいる{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。精油は揮発性植物油とも言われ、人に対して口内で味覚細胞を刺激して[[胃液]]の分泌を高めたり、芳香性健胃作用、腸内ガスの排出(駆風)作用を持つことで知られる{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。 |
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=== 歴史 === |
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特徴的な香気成分は[[オイゲノール]] (Eugenol)。クローブの精油には殺菌・防腐作用がある。また弱い麻酔・鎮痛作用もあり、歯痛の鎮痛剤として使われる。[[ゴキブリ]]がこの香りを嫌うのでゴキブリ除けとしても使用されることがある。また、クローブの精油(丁子油)は[[日本刀]]のさび止めにも用いられた。江戸幕府は享保11年(1726)に幕府医の桂川甫筑([[桂川甫周]]の始祖)に丁字油の製造を命じた<ref>[https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=3880&query=&class=&d=all&page=2 中北薬品(株)『中北薬品二百五十年史』(1977.11)]渋沢社史データベース</ref>。 |
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[[File:Seasonal clove buds drying on Pemba1.jpg|thumb|日光で乾燥中のチョウジ]] |
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[[File:丸に一つ丁子紋.jpg|thumb|丸に一つ丁子紋(日本の家紋)]] |
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[[紀元前]]3世紀、[[漢王朝]]の皇帝に謁見するものは口臭を消すためにチョウジを口に含んで噛む必要があった<ref>{{Cite book |chapter=1: Cultural State Formation in Eastern Indonesia |first=Leonard Y. |last=Andaya |title=Southeast Asia in the early modern era: trade, power, and belief |editor-first=Anthony |editor-last=Reid |publisher=Cornell University Press |year=1993 |isbn=978-0-8014-8093-5|pages=32}}</ref><ref>{{cite book|author=Burkill, I.H. |title=Dictionary of the economic products of the Malay Peninsula. 2 vols|location=London|publisher= Crown agents for the colonies|year= 1935|oclc= 229219 }}</ref>。チョウジは1世紀までにローマ世界へと到達し、[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|大プリニウス]]によって記述された<ref name="Lape">{{cite journal |last1=Lape |first1=Peter V. |title=Political dynamics and religious change in the late pre-colonial Banda Islands, Eastern Indonesia |journal=World Archaeology |date=5 November 2010 |volume=32 |issue=1 |pages=138–155 |doi=10.1080/004382400409934|citeseerx=10.1.1.500.4009 }}</ref>。 |
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明らかに時代が確定した最初のチョウジの発見は、文献資料よりもかなり時代を下ったものである。2例が[[スリランカ]]の貿易港で発見され、これらはおおよそ西暦900–1100年に遡る<ref name="Kingwell-Banham">{{cite web |last1=Kingwell-Banham |first1=Eleanor |title=World's oldest clove? Here's what our find in Sri Lanka says about the early spice trade |url=http://theconversation.com/worlds-oldest-clove-heres-what-our-find-in-sri-lanka-says-about-the-early-spice-trade-109686 |website=The Conversation |language=en | accessdate = 2019-07-05 }}</ref>。[[シリア]]において紀元前1700年頃に遡ると以前報告された発見は、チョウジであるとはもはや考えられていない{{r|Lape|Kingwell-Banham}}。 |
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[[インドネシア]]や[[インド]]では丁子油で香りを付けた[[タバコ]]もあり、[[インドネシア語]]では「rokok kretek([[クレテック|ロコッ・クレテッ]])」と称する。タバコブランドとしては「[[ガラム]]」が一般的に知られている。 |
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紀元1000年頃、イブラヒム・イブン・ワシフ=シャーは「不思議物語集 Summary of Marvels」に次のように示した。 |
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中世ヨーロッパでは[[ペスト]]などから身を守るのにポマンダーという香りのお守りを下げることが有効だと考えられていた。これをオレンジなどの果物をベースに、クローブを一面に刺して乾燥させて作ったものが[[ポプリ#ポプリの仲間|フルーツポマンダー]]である。<ref>中野智美、[http://allabout.co.jp/gm/gc/56584/ 幸運をよぶ香りのお守りフルーツポマンダー]、[[All About]]、2016年5月3日閲覧。</ref> |
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『インドに近いどこかの島に「クローブの谷」がある。商人であれ船乗りであれ、その谷に行った者も、クローブのなる木を見た者もいない。彼らに言わせると、クローブの実が売っているのは精霊なのだそうだ。その島に到着すると、船乗りたちは浜辺に商品を置いて船に戻る。翌朝になると、それぞれの商品の横にクローブの山ができている・・・・・・摘んだばかりのクローブはじつに美味らしい。島の住民はクローブを常食としているため、病気にかかることもなければ年老いることもない。』<ref name=":0" /> |
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==歴史== |
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インドや中国では紀元前から殺菌・消毒剤に使われていた。[[シリア]]では紀元前1721年内外の陶器の壺の中からクローブが発見されている<ref>{{cite book | author=Turner, Jack | title=Spice: The History of a Temptation | publisher=Vintage Books | year=2004 | isbn=0-375-70705-0 | pages=xv}}</ref> 。古代中国では臣下が皇帝の前に出るときにはクローブを口に含んだという記録がある。[[ヨーロッパ]]には中国商人が[[絹]]などと共に[[セイロン島]]経由でもたらし、6-7世紀頃には貴族の間で珍重されるようになる。古くは原産地でクローブの価値が把握されておらず、そのため中国商人たちが長く原産地を秘匿したまま交易商品として取り扱っていた。[[大航海時代]]になると[[コショウ]]、[[ナツメグ]]とともにスパイス[[貿易]]の中心的な商品となり一般にも出回るようになった。西欧がクローブの原産地をようやく「発見」したのは[[1511年]]の[[ポルトガル]]人デ・アブレウ([[w:António de Abreu|António de Abreu]])とセラウン([[w:Francisco Serrão|Francisco Serrão]])の[[バンダ諸島]]発見以降である([[ブルネイの歴史]])。1770年にフランスが[[モーリシャス]]と[[レユニオン]]での栽培に成功し、そこからアフリカ東岸の[[ザンジバル]]と[[ペンバ島]]に伝わり今日の大農園化へ導いた。 |
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チョウジは、[[中世]]の間、もうかる{{仮リンク|インド洋海域交易|en|Indian Ocean trade}}において、インドから大陸およびアフリカへの貿易を行う[[オマーン]]人の船乗りと商人によって取り引きされた{{citation needed|date=April 2019}}。 |
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日本にもかなり古く、5–6世紀には紹介されていた。[[正倉院]]の宝物のなかにも当時輸入された丁子がある。 |
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[[ヨーロッパ]]には中国商人が[[絹]]などと共に[[セイロン島]]経由でもたらし、6–7世紀頃には貴族の間で珍重されるようになった。古くは原産地でチョウジの価値が把握されておらず、そのため中国商人たちが長く原産地を秘匿したまま交易商品として取り扱っていた。[[大航海時代]]になると[[コショウ]]、[[ナツメグ]]とともにスパイス[[貿易]]の中心的な商品となり一般にも出回るようになった。西欧がチョウジの原産地をようやく「発見」したのは[[1511年]]の[[ポルトガル]]人[[アントニオ・デ・アブレウ|デ・アブレウ]]と[[フランシスコ・セラウン|セラウン]]の[[バンダ諸島]]発見以降である([[ブルネイの歴史]]を参照)。1770年にフランスが[[モーリシャス]]と[[レユニオン]]での栽培に成功し、そこからアフリカ東岸の[[ザンジバル]]と[[ペンバ島]]に伝わり今日の大農園化へ導いた。 |
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== ギャラリー == |
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近代まで、チョウジはモルッカ群島(歴史的に[[香料諸島]]と呼ばれていた)のいくつかの島でのみ生育していた。これらの島には{{仮リンク|バカン諸島|en|Bacan Islands|label=バカン島}}、{{仮リンク|マキアン島|en| Makian}}、{{仮リンク|モティ島|en|Moti Island}}、[[テルナテ]]、{{仮リンク|ティドレ|en| Tidore}}が含まれる<ref name="Turner">{{Cite book |author=Turner, Jack |title=Spice: The History of a Temptation |publisher=Vintage Books |year=2004 |isbn=978-0-375-70705-6 |pages=xxvii–xxviii}}</ref>。実際、専門家が世界最古と考えている「Afo」と名付けられたチョウジノキの樹木はテルナテにある。この木の樹齢は350年から450年である<ref name="BBC">{{cite news |url=https://www.bbc.co.uk/news/magazine-18551857 |title=The world's oldest clove tree |publisher=BBC News Magazine |date=23 June 2012 |author=Worrall, Simon |accessdate=June 24, 2012}}</ref>。旅行者は、この木から1700年に[[ピエール・ポワブル]]という名前のフランス人によって盗まれた種子が、[[フランス領フランス島 (モーリシャス)|フランス島]]([[モーリシャス]])、次に[[ザンジバル]](かつては世界最大のチョウジの生産地だった)へと運ばれた、と伝えられる<ref name="BBC" />。 |
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File:Syzygium aromaticum on tree.jpg|丁子の花([[インドネシア]]・[[バリ島]]) |
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File:Munduk Bali Syzygium aromaticum drying.jpg|路上での丁子干し(バリ島) |
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チョウジがモルッカ群島外で育てられるまで、石油のように輸出に強制的な制限がかけられ取り引きされた<ref name="BBC" />。[[オランダ東インド会社]]が17世紀に[[香辛料貿易]]の統制を強化すると、[[ナツメグ]]で行ったようにチョウジについても[[独占]]を手にしようとした。しかしながら、「小さな[[バンダ諸島]]に限定されていたナツメグや[[ナツメグ|メイス]]とは異なり、チョウジの木はモルッカ群島全体にわたって生育しており、チョウジ交易には東インド会社の限定された警察権の能力を超えていた<ref>Krondl, Michael. ''The Taste of Conquest: The Rise and Fall of the Three Great Cities of Spice''. New York: Ballantine Books, 2007.</ref>」。 |
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日本にもかなり古く、5〜6世紀には紹介されていた{{要出典|date=2019年8月}}。[[正倉院]]の帳外薬物のなかにも丁子(丁香)がある<ref>{{cite journal|和書|journal=正倉院紀要|author=柴田承二|year=1998|issue=20|title=正倉院薬物第二次調査報告|pages=41–58|url=http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin?p=2}}</ref>。 |
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また「南蛮料理書」には現在の[[から揚げ]]の原型と思しき料理に「魚の料理。何魚なりとも脊切り、麦の粉をつけ、油にて揚げ、その後、丁字の粉、にんにく磨りかけ、汁よき様にして煮〆申也」とあり、古くから食用としても認知されてきた。 |
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貴重な輸入品であり、七宝にも数えられていたことから紋章としても人気が出ていった。[[家紋]]として用いた氏族に[[三条西家]]や[[押小路家 (閑院流)|押小路家]]が挙げられる。 |
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=== 香辛料 === |
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[[File:NCI clove ham.jpg|thumb|チョウジを挿した[[ハム]]]] |
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チョウジは料理で使われるので、[[市場|マーケット]]の香辛料売り場で売られている{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。[[アジア料理の一覧|アジア]]、[[アフリカ料理|アフリカ]]、および{{仮リンク|レバント料理|en|Levantine cuisine|label=近東}}・{{仮リンク|中東料理|en|Middle Eastern cuisine|label=中東}}諸国の料理において、肉や[[カレー]]、[[マリネ]]、その他リンゴ、ナシ、あるいは[[ルバーブ]]といった果物、に風味を付けるために使われる。チョウジは熱い飲料に芳香や風味を与えるために、しばしばレモンや砂糖といったその他の食材と組み合わせて使われることもある。チョウジは[[パンプキンスパイス]]や[[スペキュラース]]用スパイスといった[[混合香辛料]]の共通要素である。 |
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香辛料として肉料理によく使われるが、他の香辛料とブレンドして[[カレー]]などに使用することが多い。また、[[カルダモン]]、[[桂皮]]、[[ショウガ]]などと合わせて[[チャイ]]の香り付けに使われる。肉塊にそのまま刺し、ローストして臭みを消す料理法にも用いられる。 |
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[[メキシコ料理]]において、チョウジは「''clavo de olor''(香りのクローブ)」として最もよく知られており、しばしば[[クミン]]や[[シナモン]]と共に使われる<ref>Dorenburg, Andrew and Page, Karen. ''The New American Chef: Cooking with the Best Flavors and Techniques from Around the World'', John Wiley and Sons Inc., 2003</ref>。また、[[ペルー料理]]においても、[[カラプルクラ]]や[[アロス・コン・レチェ]]のような幅広い料理において使われる。 |
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チョウジの風味の主要な要素は[[オイゲノール]]によって与えられており<ref name="eugenol">{{cite journal |journal=Molecules |year=2012 |volume=17 |issue=6|pages=6953–81| doi=10.3390/molecules17066953|pmid=22728369|pmc=6268661|title=Eugenol--from the remote Maluku Islands to the international market place: a review of a remarkable and versatile molecule|author=Kamatou, G. P. |author2=Vermaak, I. |author3=Viljoen, A. M.}}</ref>、必要なこの香辛料の量は通常は少ない。シナモンや[[オールスパイス]]、[[バニラ]]、[[赤ワイン]]、および[[バジル]]、その他[[タマネギ]]、[[ピール (食材)|柑橘の皮]]、[[トウシキミ|八角]]、[[コショウ]]の実とよく合う。 |
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口臭があるときに丁香(乾燥した花蕾)を口に含んでいると臭い消しに役立つ{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。[[含香]]として、[[密教]]で灌頂や勤行前の口内のお清めに乾燥した丁子を刻んだものを口に含み噛んで使用する。 |
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=== 料理以外での利用 === |
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チョウジの精油「[[チョウジ油|丁子油]]」は丁子入り[[たばこ|タバコ]]に使用され、ヨーロッパ、アジア、およびアメリカ合衆国の至るところで吸われてきた。クローブの原産地であるインドネシアでは[[クレテック]]と呼ばれる[[紙巻きたばこ|巻きタバコ]]が一般的であり<ref name="GRIN"/>、消費量はクローブを含まないタバコに比べ圧倒的に多い。タバコブランドとしては日本では{{仮リンク|ジャルム|en|Djarum|preserve=1}}や[[ガラム]]が知られている。なお、丁子入りタバコは、米国においては2009年からフレーバー紙巻きタバコが禁止されたため、[[葉巻きたばこ]]に分類されている<ref>{{cite web |url=https://web.archive.org/web/20100316174950/https://www.fda.gov/TobaccoProducts/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/FlavoredTobacco/default.htm |title=Flavored Tobacco |publisher=FDA |accessdate=September 7, 2012}}</ref>。 |
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丁香(花蕾)を蒸留した[[チョウジ油|丁子油]]は、刀剣や精密機械のさび止めに使う{{sfn|田中孝治|1995|p=140}}。[[日本刀]]のさび止めにも用いられ、江戸幕府は享保11年(1726)に幕府医の桂川甫筑([[桂川甫周]]の始祖)に丁字油の製造を命じた<ref>[https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=3880&query=&class=&d=all&page=2 中北薬品(株)『中北薬品二百五十年史』(1977.11)]渋沢社史データベース</ref>。 |
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チョウジはその芳香から[[ポプリ]]の材料として使用される。オレンジなどの果実に釘のように刺して乾燥させたものが[[チョウジ#料理以外での利用|フルーツポマンダー]]である<ref>中野智美、[https://allabout.co.jp/gm/gc/56584/ 幸運をよぶ香りのお守りフルーツポマンダー]、[[All About]]、2016年5月3日閲覧。</ref>。中世ヨーロッパでは[[ペスト]]などから身を守るのにお守りとしてポマンダーを下げることが有効だと考えられていた。ヴィクトリア朝時代のイングランドにおいて贈り物として贈られた時、こういった[[匂い玉]]<!---「におい玉」とすると[[膿栓]]と混同のおそれ有り。--->は心温まる感情を示した。 |
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日本では古くから、「丁子風炉」が使われた。これは炉の上に釜をかけ、その中に丁子を入れて煎じて香気を出させるもので、室内の防臭・防湿に用いた<ref>[https://kotobank.jp/word/%E4%B8%81%E5%AD%90%E9%A2%A8%E7%82%89-568499 丁子風炉(読み)ちょうじぶろ]コトバンク</ref>。 |
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File:Orange pomander.jpg|匂い玉としてオレンジに使われるチョウジ |
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File:Clove censer Japan.png|丁子風炉 |
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</gallery> |
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チョウジはインドの[[アーユルヴェーダ]]、[[中国医学]]、そして西洋の[[本草学|ハーバリズム]]と[[歯学]]において使われており、[[歯科]]において[[チョウジ油|精油]]は{{仮リンク|歯科救急|en|Dental emergency}}と様々なその他の疾患に対して[[鎮痛剤|痛み止め]]として使われている<ref>Balch, Phyllis and Balch, James. ''Prescription for Nutritional Healing'', 3rd ed., Avery Publishing, 2000, p. 94</ref>。精油は[[アロマテラピー]]において使われている<ref name=drugs/>。 |
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[[生薬]]としての花蕾を陰干しして乾燥させたものを'''丁子'''(ちょうじ)、または'''丁香'''(ちょうこう)といい、芳香健胃剤として[[日本薬局方]]に収録されている<ref>{{Cite web|和書|title=第十七改正日本薬局方 – 医薬品各条 – 生薬等|url=https://jpdb.nihs.go.jp/jp17/|publisher=国立医薬品食品衛生研究所|author=厚生労働省|date=2016-09-02|pages=1854|accessdate=2019-06-17}}</ref>。[[漢方]]では女神散(にょしんさん)<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr_ja:D07026|title=DRUG: 女神散|author=KEGG DRUG Database|accessdate=2019-08-19}}</ref>、柿蒂湯(していとう){{sfn|田中孝治|1995|p=140}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr_ja:D09109|title=DRUG: 柿蒂湯|author=KEGG DRUG Database|accessdate=2019-08-19}}</ref>、丁香茯苓湯(ちょうこうぷくりょうとう){{sfn|田中孝治|1995|p=140}}などに配剤されている。 |
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[[伝統医学]]において長年使われているものの、オイゲノールを含む[[チョウジ油]]が[[歯痛]]またはその他の種類の痛みに有効であるとする証拠はほとんど存在せず<ref name="drugs">{{cite web |title=Clove |url=https://www.drugs.com/mtm/clove.html |publisher=Drugs.com |accessdate=9 November 2018 |date=5 March 2018}}</ref><ref name="nih">{{cite web |url=https://www.nlm.nih.gov/medlineplus/druginfo/natural/251.html|title=Clove|publisher=MedlinePlus, U.S. National Library of Medicine and National Institutes of Health |date=2014 |accessdate=August 18, 2014}}</ref>、1報の総説が[[ドライソケット]]に対して[[鎮痛剤]]として[[酸化亜鉛]]と組み合わせたオイゲノールの有効性を報告している<ref>{{cite journal |pmc=4598935 |year=2015 |author1=Taberner-Vallverdú |first1=M. |title=Efficacy of different methods used for dry socket management: A systematic review |journal=Medicina Oral Patología Oral y Cirugia Bucal |volume=20 |issue=5 |pages=e633–e639 |last2=Nazir |first2=M. |last3=Sanchez-Garces |first3=M. Á. |last4=Gay-Escoda |first4=C. |doi=10.4317/medoral.20589 |pmid=26116842}}</ref>。熱軽減に対してや、[[蚊]]忌避剤として、そして[[早漏]]を防ぐためのその有効性を決定する研究は決定的でない<ref name=drugs/><ref name=nih/>。チョウジまたはチョウジ油によって[[血糖値]]が低下するかどうかについては立証されないままである<ref name=nih/>。いかなる医療のためのチョウジの使用も[[アメリカ食品医薬品局]](FDA)によって認可されておらず、[[肝障害]]、[[凝固・線溶系|血液凝固]]、および[[免疫系]]疾患、または[[食物アレルギー]]を持つ人が経口摂取すると[[副作用]]が引き起こされる可能性がある<ref name=drugs/>。 |
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== 化学成分 == |
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[[チョウジ油]]のその他の重要な精油成分には、アセチルオイゲノール、β-[[カリオフィレン]]、[[バニリン]]、{{仮リンク|マスリン酸|en|Maslinic acid|label=マスリン酸}}、{{仮リンク|ビコルニン|en| Bicornin}}といった[[タンニン]]<ref name="eugenol"/><ref>{{cite journal |author1=Li-Ming Bao, Eerdunbayaer |author2=Nozaki, Akiko |author3=Takahashi, Eizo |author4=Okamoto, Keinosuke |author5=Ito, Hideyuki |author6=Hatano, Tsutomu |title=Hydrolysable Tannins Isolated from Syzygium aromaticum: Structure of a New C-Glucosidic Ellagitannin and Spectral Features of Tannins with a Tergalloyl Group. |journal=Heterocycles |year=2012 |volume=85 |issue=2 |pages=365–381 |doi=10.3987/COM-11-12392}}</ref> [[タンニン酸|ガロタンニン酸]]、[[サリチル酸メチル]](痛み止め)、[[フラボノイド]]の[[オイゲニン]]、[[ケンフェロール]]、[[ラムネチン]]、および[[オイゲニチン]]、{{仮リンク|オレアノリン酸|en|Oleanolic acid}}、{{仮リンク|スチグマステロール|en| Stigmasterol}}、[[カンペステロール]]といったトリ[[テルペノイド]]、いくつかの[[セスキテルペン]]が含まれる<ref>''Chinese Herbal Medicine: Materia Medica'', Third Edition by Dan Bensky, Steven Clavey, Erich Stoger, and Andrew Gamble. 2004</ref> 。 |
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オイゲノールは比較的少量で毒性がある。例えば、5–10 mLの用量は2歳児の致死的量であると報告されている<ref>{{cite journal |last1=Hartnoll |first1=G. |last2=Moore |first2=D. |last3=Douek |first3=D. |year=1993 |title=Near fatal ingestion of oil of cloves |journal=Archives of Disease in Childhood |volume=69 |issue=3 |pages=392–393 |doi=10.1136/adc.69.3.392 |pmid=8215554 |pmc=1029532}}</ref>。 |
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== 参考文献 == |
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* [[丁子屋]] - 丁子に由来する[[屋号]] |
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* [[刃文]] -「丁子」や「重花丁子」というのがあるが、これはチョウジの実を並べたようであることから。 |
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2024年9月5日 (木) 13:24時点における最新版
チョウジノキ (クローブ) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Syzygium aromaticum (L.) Merr. et L.M.Perry[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
チョウジノキ クローブ チョウジ チョウコウ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Clove |
チョウジ(丁子、丁字)またはクローブ(英: Clove)は、フトモモ科の樹木チョウジノキ(学名:Syzygium aromaticum)の香りのよい花蕾である。原産地はインドネシアのモルッカ群島であり[3]、香辛料として一般的に使われるほか、生薬としても使われる。漢名に従って丁香(ちょうこう)とも呼ばれる。
名称
[編集]チョウジの花蕾は釘に似た形、また乾燥させたものは錆びた古釘のような色をしており、中国では紀元前3世紀に口臭を消すのに用いられ、「釘子(テインツ)」の名を略して釘と同義の「丁」の字を使って「丁子」の字があてられ、呉音で「チャウジ」と発音したことから、日本ではチョウジの和名がつけられた[4]。フランス語で釘を意味するクル (Clou) から、仏名で「クル・ド・ジローフル」 (clous de girofle) と呼ばれ、英語名でこれが「クロウジローフル」(clow of gilofer)となり、略されて「クローブ」 (Clove) になった[4][5]。
日本における植物和名はチョウジノキ[1][4]。非常に強い香気を持っているので、百里香という別名もある。
栽培
[編集]モルッカ諸島の原産で、日本では植物園の温室などで育てられている[4]。おもにインドネシア、ザンジバル、スリランカ、モーリシャス、マダガスカル、コモロ、ペナン、ドミニカ[要曖昧さ回避]などで栽培されている。
もともとクローブはスラウェシ島の北東に位置するティドレ島とテルナテ島を含む5つの火山島にしか生えていなかった。[6]
チョウジノキは小高木の常緑樹で、種子から発芽して20年ほどで10メートルほどの高さに成長する。作物としてのチョウジは7〜8年目頃から収穫が可能である。
熱帯多雨の地域が原産地であり、温室で十分に管理すれば栽培は可能であるが、露地植えでの商業栽培に適する地域は限られる。7月から9月と1月から2月につぼみを付け、年2回収穫を行う。花弁は本木の高い場所になるため、かつては高い作業やぐらをたて手摘みしていた。これが商品の価格の高さにも反映している。現在では枝や葉からもクローブオイルが抽出できるため、作業者が直接チョウジの木にのぼり枝ごと切り落とし作業する[7]。
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路上での丁子干し(バリ島)
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花蕾と発育中の果実
利用
[編集]おもには香辛料として知られ、花蕾には精油16 - 20%を含んでいて、薬用にも使われる[4]。精油の成分は、主にオイゲノール約80 - 90%前後を含んでいて、アセチルオイゲノール3%、カリオフィレン、バニリンの他、樹脂、脂肪、蝋、ゴム、酢酸、サリチル酸、タンニンなども含んでいる[4]。精油は揮発性植物油とも言われ、人に対して口内で味覚細胞を刺激して胃液の分泌を高めたり、芳香性健胃作用、腸内ガスの排出(駆風)作用を持つことで知られる[4]。
歴史
[編集]紀元前3世紀、漢王朝の皇帝に謁見するものは口臭を消すためにチョウジを口に含んで噛む必要があった[8][9]。チョウジは1世紀までにローマ世界へと到達し、大プリニウスによって記述された[10]。
明らかに時代が確定した最初のチョウジの発見は、文献資料よりもかなり時代を下ったものである。2例がスリランカの貿易港で発見され、これらはおおよそ西暦900–1100年に遡る[11]。シリアにおいて紀元前1700年頃に遡ると以前報告された発見は、チョウジであるとはもはや考えられていない[10][11]。
紀元1000年頃、イブラヒム・イブン・ワシフ=シャーは「不思議物語集 Summary of Marvels」に次のように示した。
『インドに近いどこかの島に「クローブの谷」がある。商人であれ船乗りであれ、その谷に行った者も、クローブのなる木を見た者もいない。彼らに言わせると、クローブの実が売っているのは精霊なのだそうだ。その島に到着すると、船乗りたちは浜辺に商品を置いて船に戻る。翌朝になると、それぞれの商品の横にクローブの山ができている・・・・・・摘んだばかりのクローブはじつに美味らしい。島の住民はクローブを常食としているため、病気にかかることもなければ年老いることもない。』[6]
チョウジは、中世の間、もうかるインド洋海域交易において、インドから大陸およびアフリカへの貿易を行うオマーン人の船乗りと商人によって取り引きされた[要出典]。
ヨーロッパには中国商人が絹などと共にセイロン島経由でもたらし、6–7世紀頃には貴族の間で珍重されるようになった。古くは原産地でチョウジの価値が把握されておらず、そのため中国商人たちが長く原産地を秘匿したまま交易商品として取り扱っていた。大航海時代になるとコショウ、ナツメグとともにスパイス貿易の中心的な商品となり一般にも出回るようになった。西欧がチョウジの原産地をようやく「発見」したのは1511年のポルトガル人デ・アブレウとセラウンのバンダ諸島発見以降である(ブルネイの歴史を参照)。1770年にフランスがモーリシャスとレユニオンでの栽培に成功し、そこからアフリカ東岸のザンジバルとペンバ島に伝わり今日の大農園化へ導いた。
近代まで、チョウジはモルッカ群島(歴史的に香料諸島と呼ばれていた)のいくつかの島でのみ生育していた。これらの島にはバカン島、マキアン島、モティ島、テルナテ、ティドレが含まれる[12]。実際、専門家が世界最古と考えている「Afo」と名付けられたチョウジノキの樹木はテルナテにある。この木の樹齢は350年から450年である[13]。旅行者は、この木から1700年にピエール・ポワブルという名前のフランス人によって盗まれた種子が、フランス島(モーリシャス)、次にザンジバル(かつては世界最大のチョウジの生産地だった)へと運ばれた、と伝えられる[13]。
チョウジがモルッカ群島外で育てられるまで、石油のように輸出に強制的な制限がかけられ取り引きされた[13]。オランダ東インド会社が17世紀に香辛料貿易の統制を強化すると、ナツメグで行ったようにチョウジについても独占を手にしようとした。しかしながら、「小さなバンダ諸島に限定されていたナツメグやメイスとは異なり、チョウジの木はモルッカ群島全体にわたって生育しており、チョウジ交易には東インド会社の限定された警察権の能力を超えていた[14]」。
日本にもかなり古く、5〜6世紀には紹介されていた[要出典]。正倉院の帳外薬物のなかにも丁子(丁香)がある[15]。 また「南蛮料理書」には現在のから揚げの原型と思しき料理に「魚の料理。何魚なりとも脊切り、麦の粉をつけ、油にて揚げ、その後、丁字の粉、にんにく磨りかけ、汁よき様にして煮〆申也」とあり、古くから食用としても認知されてきた。
貴重な輸入品であり、七宝にも数えられていたことから紋章としても人気が出ていった。家紋として用いた氏族に三条西家や押小路家が挙げられる。
香辛料
[編集]チョウジは料理で使われるので、マーケットの香辛料売り場で売られている[4]。アジア、アフリカ、および近東・中東諸国の料理において、肉やカレー、マリネ、その他リンゴ、ナシ、あるいはルバーブといった果物、に風味を付けるために使われる。チョウジは熱い飲料に芳香や風味を与えるために、しばしばレモンや砂糖といったその他の食材と組み合わせて使われることもある。チョウジはパンプキンスパイスやスペキュラース用スパイスといった混合香辛料の共通要素である。
香辛料として肉料理によく使われるが、他の香辛料とブレンドしてカレーなどに使用することが多い。また、カルダモン、桂皮、ショウガなどと合わせてチャイの香り付けに使われる。肉塊にそのまま刺し、ローストして臭みを消す料理法にも用いられる。
メキシコ料理において、チョウジは「clavo de olor(香りのクローブ)」として最もよく知られており、しばしばクミンやシナモンと共に使われる[16]。また、ペルー料理においても、カラプルクラやアロス・コン・レチェのような幅広い料理において使われる。
チョウジの風味の主要な要素はオイゲノールによって与えられており[17]、必要なこの香辛料の量は通常は少ない。シナモンやオールスパイス、バニラ、赤ワイン、およびバジル、その他タマネギ、柑橘の皮、八角、コショウの実とよく合う。
口臭があるときに丁香(乾燥した花蕾)を口に含んでいると臭い消しに役立つ[4]。含香として、密教で灌頂や勤行前の口内のお清めに乾燥した丁子を刻んだものを口に含み噛んで使用する。
料理以外での利用
[編集]チョウジの精油「丁子油」は丁子入りタバコに使用され、ヨーロッパ、アジア、およびアメリカ合衆国の至るところで吸われてきた。クローブの原産地であるインドネシアではクレテックと呼ばれる巻きタバコが一般的であり[2]、消費量はクローブを含まないタバコに比べ圧倒的に多い。タバコブランドとしては日本ではジャルムやガラムが知られている。なお、丁子入りタバコは、米国においては2009年からフレーバー紙巻きタバコが禁止されたため、葉巻きたばこに分類されている[18]。
丁香(花蕾)を蒸留した丁子油は、刀剣や精密機械のさび止めに使う[4]。日本刀のさび止めにも用いられ、江戸幕府は享保11年(1726)に幕府医の桂川甫筑(桂川甫周の始祖)に丁字油の製造を命じた[19]。
チョウジはその芳香からポプリの材料として使用される。オレンジなどの果実に釘のように刺して乾燥させたものがフルーツポマンダーである[20]。中世ヨーロッパではペストなどから身を守るのにお守りとしてポマンダーを下げることが有効だと考えられていた。ヴィクトリア朝時代のイングランドにおいて贈り物として贈られた時、こういった匂い玉は心温まる感情を示した。
日本では古くから、「丁子風炉」が使われた。これは炉の上に釜をかけ、その中に丁子を入れて煎じて香気を出させるもので、室内の防臭・防湿に用いた[21]。
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匂い玉としてオレンジに使われるチョウジ
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丁子風炉
伝統医学
[編集]チョウジはインドのアーユルヴェーダ、中国医学、そして西洋のハーバリズムと歯学において使われており、歯科において精油は歯科救急と様々なその他の疾患に対して痛み止めとして使われている[23]。精油はアロマテラピーにおいて使われている[24]。
生薬としての花蕾を陰干しして乾燥させたものを丁子(ちょうじ)、または丁香(ちょうこう)といい、芳香健胃剤として日本薬局方に収録されている[25]。漢方では女神散(にょしんさん)[26]、柿蒂湯(していとう)[4][27]、丁香茯苓湯(ちょうこうぷくりょうとう)[4]などに配剤されている。
伝統医学において長年使われているものの、オイゲノールを含むチョウジ油が歯痛またはその他の種類の痛みに有効であるとする証拠はほとんど存在せず[24][28]、1報の総説がドライソケットに対して鎮痛剤として酸化亜鉛と組み合わせたオイゲノールの有効性を報告している[29]。熱軽減に対してや、蚊忌避剤として、そして早漏を防ぐためのその有効性を決定する研究は決定的でない[24][28]。チョウジまたはチョウジ油によって血糖値が低下するかどうかについては立証されないままである[28]。いかなる医療のためのチョウジの使用もアメリカ食品医薬品局(FDA)によって認可されておらず、肝障害、血液凝固、および免疫系疾患、または食物アレルギーを持つ人が経口摂取すると副作用が引き起こされる可能性がある[24]。
民間療法の使い方で知られるものは、食べ過ぎ、飲み過ぎで胃の調子が悪いときや、腸内ガスが溜まって食欲不振の時に、紅茶に丁字を1本入れて数分おいてから飲むと、健胃や駆風に役立つと言われている[4]。
化学成分
[編集]オイゲノールはチョウジから抽出された精油の72–90%を占め、チョウジの芳香を最もつかさどる化合物である[17]。100%の抽出は125 °Cの加圧水中80分で起こる[30]。超音波およびマイクロ波抽出法によってより低いエネルギーコストでより迅速な抽出が可能である[31]。
チョウジ油のその他の重要な精油成分には、アセチルオイゲノール、β-カリオフィレン、バニリン、マスリン酸、ビコルニンといったタンニン[17][32] ガロタンニン酸、サリチル酸メチル(痛み止め)、フラボノイドのオイゲニン、ケンフェロール、ラムネチン、およびオイゲニチン、オレアノリン酸、スチグマステロール、カンペステロールといったトリテルペノイド、いくつかのセスキテルペンが含まれる[33] 。
オイゲノールは比較的少量で毒性がある。例えば、5–10 mLの用量は2歳児の致死的量であると報告されている[34]。
脚注
[編集]- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Syzygium aromaticum (L.) Merr. et L.M.Perry”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年6月4日閲覧。
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参考文献
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- ツァラ, フレッド 著、竹田円 訳『スパイスの歴史』原書房、2014年。