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「アラートループ事件」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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→‎反響: 流れを把握しづらいので時系列で並べ替え。+WP:RS#特別な主張には特別な証拠が求められるに基づき、兵庫県警サイバー犯罪対策課の発言に関し取材元を明示。
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== 反響 ==
== 反響 ==
この事案に対して国内外様々な反響があった<ref>{{Cite web|title=ブラクラURL書き込みで中学生補導。広がる警察とIT業界のデジタル・デバイド、募る不信感|url=https://hbol.jp/188391|website=ハーバービジネスオンライン|date=2019-03-20|accessdate=2019-03-27|language=ja|last=柳井政和}}</ref><ref>{{Cite web|title=JavaScript infinite alert prank lands 13-year-old Japanese girl in hot water|url=https://arstechnica.com/tech-policy/2019/03/japanese-police-charge-13-year-old-girl-for-infinite-javascript-popup-prank/|website=Ars Technica|date=2019-03-08|accessdate=2019-03-27|language=en-us|first=Peter|last=Bright}}</ref><ref name="japanese-police-charge-13-year-old-for-sharing-unclosable-popup-prank-online" />。この事案に触発されて、同様のコードを記述して公開することにより逮捕されることを目指すプロジェクトが[[GitHub]]上で開始された<ref name="NETIB-NEWS_28329">{{Cite web|title=「みんなで逮捕されようプロジェクト」がネット上で拡散中~サイバー犯罪対策課は「自分の子どもにもそんなことが言えるのか」と反発|url=https://www.data-max.co.jp/article/28329|publisher=NETIB-NEWS|date=2019-03-08|accessdate=2019-03-09}}</ref><ref>{{Cite web | title = 「いたずらURL貼って補導」がIT業界の萎縮をまねく理由 (2/2) | url = https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/08/news119_2.html | publisher = [[ITmedia]] | author = [[岡田有花]] | website = ITmedia NEWS | date = March 8, 2019 | access-date = March 26, 2019 }}</ref>。兵庫県警サイバー犯罪対策課はこのプロジェクトについて「自分の子どもにもそんなことが言えるのか」とコメントした<ref name="NETIB-NEWS_28329" />。
この事案に対して国内外様々な反響があった<ref>{{Cite web|title=ブラクラURL書き込みで中学生補導。広がる警察とIT業界のデジタル・デバイド、募る不信感|url=https://hbol.jp/188391|website=ハーバービジネスオンライン|date=2019-03-20|accessdate=2019-03-27|language=ja|last=柳井政和}}</ref><ref>{{Cite web|title=JavaScript infinite alert prank lands 13-year-old Japanese girl in hot water|url=https://arstechnica.com/tech-policy/2019/03/japanese-police-charge-13-year-old-girl-for-infinite-javascript-popup-prank/|website=Ars Technica|date=2019-03-08|accessdate=2019-03-27|language=en-us|first=Peter|last=Bright}}</ref><ref name="japanese-police-charge-13-year-old-for-sharing-unclosable-popup-prank-online" />。


2019年3月5日に[[スマイリーキクチ]]は補導の報道<ref name="nhk" />を受けて、ネット犯罪であることを前提にして「中1の少女が簡単にネット犯罪に手を染めてしまう。もうゲーム感覚なんでしょうね。この現実を大人がどのように受け止めればよいのか。。。」<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/smiley_kikuchi/status/1102707274991038464|title=スマイリーキクチの日本時間2019年3月5日8時7分のツイート|date=2019-03-05|deadlinkdate=2019-05-29|archiveurl=http://archive.fo/9lUgN|archivedate=2019-03-05|accessdate=2019-05-31}}</ref>とツイートし、批判が殺到した。問題点を説明した[[高木浩光]]のツイート<ref>{{Twitter status|HiromitsuTakagi|1102709176386564096}}</ref>をモザイク加工して転載しながら「『ツイッターに犯罪ではないって書いてあった』は通じません。」「全て自己責任になります。」<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/smiley_kikuchi/status/1102779666937479169|title=スマイリーキクチの日本時間2019年3月5日12時55分のツイート|date=2019-03-05|deadlinkdate=2019-05-29|archiveurl=http://archive.fo/ZSGu5|archivedate=2019-03-05|accessdate=2019-05-31}}</ref>とツイートしてさらに炎上を招いた。翌6日に「現状では兵庫県警と裁判所が事件として扱っていますが、今後検察や裁判で冤罪と認めた際に、お許しを頂けたら三名の方に直接謝罪に伺います。」<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/smiley_kikuchi/status/1103138537585561600|http://archive.fo/ay0IY||title=スマイリーキクチの日本時間2019年3月6日12時41分のツイート|date=2019-03-06|deadlinkdate=2019-05-29|archiveurl=http://archive.fo/ay0IY|archivedate=2019-03-06|accessdate=2019-05-31}}</ref>と謝罪し、いったんは収束した<ref>{{cite web|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/07/news134.html|title=「ブラクラ」補導、不当か妥当か ネットリテラシーと大衆化のジレンマ|author=井上輝一|publisher=ITmedia|date=2019-03-07|accessdate=2019-05-31}}</ref>。その後、スマイリーキクチは関連ツイートを削除した{{refnest|group="注釈"|削除時期についてスマイリーキクチは3月と説明し<ref>{{Twitter status|smiley_kikuchi|1134455872422203392}}</ref>、3月中に削除されていることを記した第三者のブログ<ref>{{cite web|url=https://kumachan.biz/2019/03/13_1924/4976/|title=スマイリーキクチ氏による事実誤認と炎上について【その後】 |publisher=別館「S3日記」|date=2019-03-13|accessdate=2019-05-01}}</ref>やツイート<ref>{{Twitter status|aratori|1110445864386850816}}</ref>がある。}}。
JavaScriptの生みの親である[[ブレンダン・アイク]]は、「[[Google Chrome|Chrome]]の初版よりも10年も前にリリースされた[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape 4]]でもユーザーがループするJavaScriptを[[kill|キル]]することができた。」「この事件の公判で専門家証人になるつもりでいる。これはウイルスなどではなく、犯罪扱いされるべきではない。」などとツイートした<ref>{{Twitter status|BrendanEich|1102953296719802369}}</ref><ref>{{Twitter status|BrendanEich|1104170683045564416}}</ref>。[[電子フロンティア財団]](EFF)、「無限ループは犯罪ではない。」とツイートした<ref>{{Twitter status|EFF|1104214831916212225}}</ref>。


3月6日、JavaScriptの生みの親である[[ブレンダン・アイク]]は、「[[Google Chrome|Chrome]]の初版よりも10年も前にリリースされた[[Netscape Navigator (ネットスケープコミュニケーションズ)|Netscape 4]]でもユーザーがループするJavaScriptを[[kill|キル]]することができた。」「この事件の公判で専門家証人になるつもりでいる。これはウイルスなどではなく、犯罪扱いされるべきではない。」などとツイートした<ref>{{Twitter status|BrendanEich|1102953296719802369}}</ref><ref>{{Twitter status|BrendanEich|1104170683045564416}}</ref>。3月9日には[[電子フロンティア財団]](EFF)、「無限ループは犯罪ではない。」とツイートした<ref>{{Twitter status|EFF|1104214831916212225}}</ref>。
3月25日、[[日本ハッカー協会]]が男性2人の[[弁護士]]・[[裁判]]費用の援助のための[[寄付]]の受付を開始した<ref name="alertloop" />。翌26日、同団体は計553人の支援者から約700万円の寄付が集まったことを公表し、寄付の受付を終了することを発表した<ref name="alertloop" /><ref>{{Cite web|title=兵庫県警による「無限Alert」摘発への支援金募集、1日で700万円近く集まり終了 {{!}} 財経新聞|url=https://www.zaikei.co.jp/article/20190327/502615.html|website=www.zaikei.co.jp|date=2019-03-27|accessdate=2019-03-27|language=ja}}</ref>。5月29日、この寄付金の支援対象だった男性2人が[[起訴猶予]]を理由とする[[不起訴]]処分になったことが発表された<ref>{{Twitter status|JapanhackerA|1133652626967416832}}</ref><ref name="nlab_1905_27_news134"/>。検察側は「特定のスマホ機種で該当URLをクリックすると、なかなか画面が閉じられなかったり、場合によっては修理が必要になったり、専門家への対応を依頼する必要となる可能性があるため、これがウイルス罪を成立させる要件の1つ『人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録』の『意図に反する』の部分に抵触する。そのため男性の行為はウイルス罪に該当する」との認識を示し、「アラートループのページへ飛ぶURLを貼り付ける行為が不正指令電磁的記録供用罪に該当する」という主張自体は変えなかった<ref name="nlab_1905_27_news134"/>。これを受けて、男性2名の弁護を担当した横浜パーク法律事務所の弁護士2名が、[[起訴猶予処分]]であったことに関して「『犯罪にあたると考えるが今回だけは起訴しないでおいた』という姿勢でお茶を濁した」「有罪に問えると考えているが,個別事情で起訴しないとした起訴猶予処分は,まさに法曹の一翼を担う検察官としては,その職責を全うしていないと社会から批判されてもやむを得ません」と、検察を批判する声明を発表した<ref>{{Cite web|title=アラートループ事件の被疑者2名に対する起訴猶予処分を受けて {{!}} 横浜パーク法律事務所|url=http://www.yokohama-park-law.com/news/20190529.html|website=www.yokohama-park-law.com|accessdate=2019-06-05}}</ref><ref>{{Cite web|title=「アラートループ」で書類送検の男性2人、不起訴処分 弁護人「検察はお茶を濁した」|url=https://www.bengo4.com/c_23/n_9697/|website=弁護士ドットコム|accessdate=2019-06-05|language=ja}}</ref>


3月8日、兵庫県警サイバー犯罪対策課は[[データ・マックス|NETIB-NEWS]]の取材に対し、このプロジェクトについて「自分の子どもにもそんなことが言えるのか」とコメントした<ref name="NETIB-NEWS_28329" />。また、同日中にはこの事案に触発されて、同様のコードを記述して公開することにより逮捕されることを目指すプロジェクトが[[GitHub]]上で開始された<ref name="NETIB-NEWS_28329">{{Cite web|title=「みんなで逮捕されようプロジェクト」がネット上で拡散中~サイバー犯罪対策課は「自分の子どもにもそんなことが言えるのか」と反発|url=https://www.data-max.co.jp/article/28329|publisher=NETIB-NEWS|date=2019-03-08|accessdate=2019-03-09}}</ref><ref>{{Cite web | title = 「いたずらURL貼って補導」がIT業界の萎縮をまねく理由 (2/2) | url = https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/08/news119_2.html | publisher = [[ITmedia]] | author = [[岡田有花]] | website = ITmedia NEWS | date = March 8, 2019 | access-date = March 26, 2019 }}</ref>。
2019年3月5日に[[スマイリーキクチ]]は補導の報道<ref name="nhk" />を受けて、ネット犯罪であることを前提にして「中1の少女が簡単にネット犯罪に手を染めてしまう。もうゲーム感覚なんでしょうね。この現実を大人がどのように受け止めればよいのか。。。」<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/smiley_kikuchi/status/1102707274991038464|title=スマイリーキクチの日本時間2019年3月5日8時7分のツイート|date=2019-03-05|deadlinkdate=2019-05-29|archiveurl=http://archive.fo/9lUgN|archivedate=2019-03-05|accessdate=2019-05-31}}</ref>とツイートし、批判が殺到した。問題点を説明した[[高木浩光]]のツイート<ref>{{Twitter status|HiromitsuTakagi|1102709176386564096}}</ref>をモザイク加工して転載しながら「『ツイッターに犯罪ではないって書いてあった』は通じません。」「全て自己責任になります。」<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/smiley_kikuchi/status/1102779666937479169|title=スマイリーキクチの日本時間2019年3月5日12時55分のツイート|date=2019-03-05|deadlinkdate=2019-05-29|archiveurl=http://archive.fo/ZSGu5|archivedate=2019-03-05|accessdate=2019-05-31}}</ref>とツイートしてさらに炎上を招いた。翌6日に「現状では兵庫県警と裁判所が事件として扱っていますが、今後検察や裁判で冤罪と認めた際に、お許しを頂けたら三名の方に直接謝罪に伺います。」<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/smiley_kikuchi/status/1103138537585561600|http://archive.fo/ay0IY||title=スマイリーキクチの日本時間2019年3月6日12時41分のツイート|date=2019-03-06|deadlinkdate=2019-05-29|archiveurl=http://archive.fo/ay0IY|archivedate=2019-03-06|accessdate=2019-05-31}}</ref>と謝罪し、いったんは収束した<ref>{{cite web|url=https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/07/news134.html|title=「ブラクラ」補導、不当か妥当か ネットリテラシーと大衆化のジレンマ|author=井上輝一|publisher=ITmedia|date=2019-03-07|accessdate=2019-05-31}}</ref>。その後、スマイリーキクチは関連ツイートを削除した{{refnest|group="注釈"|削除時期についてスマイリーキクチは3月と説明し<ref>{{Twitter status|smiley_kikuchi|1134455872422203392}}</ref>、3月中に削除されていることを記した第三者のブログ<ref>{{cite web|url=https://kumachan.biz/2019/03/13_1924/4976/|title=スマイリーキクチ氏による事実誤認と炎上について【その後】 |publisher=別館「S3日記」|date=2019-03-13|accessdate=2019-05-01}}</ref>やツイート<ref>{{Twitter status|aratori|1110445864386850816}}</ref>がある。}}。

3月25日、[[日本ハッカー協会]]が男性2人の[[弁護士]]・[[裁判]]費用の援助のための[[寄付]]の受付を開始した<ref name="alertloop" />。翌26日、同団体は計553人の支援者から約700万円の寄付が集まったことを公表し、寄付の受付を終了することを発表した<ref name="alertloop" /><ref>{{Cite web|title=兵庫県警による「無限Alert」摘発への支援金募集、1日で700万円近く集まり終了 {{!}} 財経新聞|url=https://www.zaikei.co.jp/article/20190327/502615.html|website=www.zaikei.co.jp|date=2019-03-27|accessdate=2019-03-27|language=ja}}</ref>。

5月29日、この寄付金の支援対象だった男性2人が[[起訴猶予]]を理由とする[[不起訴]]処分になったことが発表された<ref>{{Twitter status|JapanhackerA|1133652626967416832}}</ref><ref name="nlab_1905_27_news134"/>。検察側は「特定のスマホ機種で該当URLをクリックすると、なかなか画面が閉じられなかったり、場合によっては修理が必要になったり、専門家への対応を依頼する必要となる可能性があるため、これがウイルス罪を成立させる要件の1つ『人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録』の『意図に反する』の部分に抵触する。そのため男性の行為はウイルス罪に該当する」との認識を示し、「アラートループのページへ飛ぶURLを貼り付ける行為が不正指令電磁的記録供用罪に該当する」という主張自体は変えなかった<ref name="nlab_1905_27_news134"/>。これを受けて、男性2名の弁護を担当した横浜パーク法律事務所の弁護士2名が、[[起訴猶予処分]]であったことに関して「『犯罪にあたると考えるが今回だけは起訴しないでおいた』という姿勢でお茶を濁した」「有罪に問えると考えているが,個別事情で起訴しないとした起訴猶予処分は,まさに法曹の一翼を担う検察官としては,その職責を全うしていないと社会から批判されてもやむを得ません」と、検察を批判する声明を発表した<ref>{{Cite web|title=アラートループ事件の被疑者2名に対する起訴猶予処分を受けて {{!}} 横浜パーク法律事務所|url=http://www.yokohama-park-law.com/news/20190529.html|website=www.yokohama-park-law.com|accessdate=2019-06-05}}</ref><ref>{{Cite web|title=「アラートループ」で書類送検の男性2人、不起訴処分 弁護人「検察はお茶を濁した」|url=https://www.bengo4.com/c_23/n_9697/|website=弁護士ドットコム|accessdate=2019-06-05|language=ja}}</ref>


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2019年6月9日 (日) 12:08時点における版

無限アラート事件(むげんアラートじけん)は、電子掲示板に不正プログラムを書き込んだとして5人が摘発された事件である[注釈 1][1][2]。この事件については『アラートループ家宅捜索事件』、『兵庫県警ブラクラ摘発事件』などの名称でも呼ばれている[3][4]

問題のプログラムはクリックすると画面の真ん中に「何回閉じても無駄ですよ〜」という文字や、顔文字、猫のアスキーアートなどを表示し続けるという動作をした[5][6]

摘発

2019年3月、兵庫県警は電子掲示板に不正プログラムへのリンクを書き込んだ不正指令電磁的記録供用未遂の疑いで女子中学生を家宅捜索のち触法少年として補導、男性2人を家宅捜索書類送検した[1][6][5]。3月26日、2018年に男子中学生と男子大学生も摘発されていたことが判明した[2]

同年5月29日、男性2人の起訴猶予を理由とした不起訴処分が報じられた。なお、本事案における被害者はいなかった[7][8]

プログラム

当該プログラムは以下のようなJavaScriptコードである[9]

なお、一部の限られた環境ではタブが閉じられないなどの問題が発生する場合があるので、実行には注意が必要である[10][11]

for ( ; ; ) {
window.alert(" ∧_∧ ババババ\n( ・ω・)=つ≡つ\n(っ ≡つ=つ\n`/  )\n(ノΠU\n何回閉じても無駄ですよ~ww\nm9(^Д^)プギャー!!")
}

window.alertは引数で指定された文字列とOKボタンを持つダイアログを表示する。OKボタンか閉じるボタンを押すことでダイアログを閉じることができる。

このプログラムの場合は無限ループなので、ダイアログを閉じた後に再度ダイアログが表示され、この繰り返しがタブそのものを閉じるまで続けられる(無限アラートと呼ばれているが、一度に表示されるダイアログボックスは一つであり、無限に増殖していくわけではない。)

window.alertはダイアログを閉じるまでは処理が進まないので、このプログラムはブラウザの動作に影響を与えるものではなく、したがってブラウザクラッシャーではなくジョークプログラムに該当するものである。

多くのPC用ブラウザの場合、このプログラムはタブを閉じるなどの方法で簡単に終了することができる(携帯端末用ブラウザの場合閉じることができない場合がある)。また、現代のブラウザでは一定回数以上ループした場合に警告が表示されるので、それによって終了することもできる。[9][10][11]

反響

この事案に対して国内外様々な反響があった[12][13][9]

2019年3月5日にスマイリーキクチは補導の報道[5]を受けて、ネット犯罪であることを前提にして「中1の少女が簡単にネット犯罪に手を染めてしまう。もうゲーム感覚なんでしょうね。この現実を大人がどのように受け止めればよいのか。。。」[14]とツイートし、批判が殺到した。問題点を説明した高木浩光のツイート[15]をモザイク加工して転載しながら「『ツイッターに犯罪ではないって書いてあった』は通じません。」「全て自己責任になります。」[16]とツイートしてさらに炎上を招いた。翌6日に「現状では兵庫県警と裁判所が事件として扱っていますが、今後検察や裁判で冤罪と認めた際に、お許しを頂けたら三名の方に直接謝罪に伺います。」[17]と謝罪し、いったんは収束した[18]。その後、スマイリーキクチは関連ツイートを削除した[注釈 2]

3月6日、JavaScriptの生みの親であるブレンダン・アイクは、「Chromeの初版よりも10年も前にリリースされたNetscape 4でもユーザーがループするJavaScriptをキルすることができた。」「この事件の公判で専門家証人になるつもりでいる。これはウイルスなどではなく、犯罪扱いされるべきではない。」などとツイートした[22][23]。3月9日には電子フロンティア財団(EFF)も、「無限ループは犯罪ではない。」とツイートした[24]

3月8日、兵庫県警サイバー犯罪対策課はNETIB-NEWSの取材に対し、このプロジェクトについて「自分の子どもにもそんなことが言えるのか」とコメントした[25]。また、同日中にはこの事案に触発されて、同様のコードを記述して公開することにより逮捕されることを目指すプロジェクトがGitHub上で開始された[25][26]

3月25日、日本ハッカー協会が男性2人の弁護士裁判費用の援助のための寄付の受付を開始した[3]。翌26日、同団体は計553人の支援者から約700万円の寄付が集まったことを公表し、寄付の受付を終了することを発表した[3][27]

5月29日、この寄付金の支援対象だった男性2人が起訴猶予を理由とする不起訴処分になったことが発表された[28][7]。検察側は「特定のスマホ機種で該当URLをクリックすると、なかなか画面が閉じられなかったり、場合によっては修理が必要になったり、専門家への対応を依頼する必要となる可能性があるため、これがウイルス罪を成立させる要件の1つ『人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録』の『意図に反する』の部分に抵触する。そのため男性の行為はウイルス罪に該当する」との認識を示し、「アラートループのページへ飛ぶURLを貼り付ける行為が不正指令電磁的記録供用罪に該当する」という主張自体は変えなかった[7]。これを受けて、男性2名の弁護を担当した横浜パーク法律事務所の弁護士2名が、起訴猶予処分であったことに関して「『犯罪にあたると考えるが今回だけは起訴しないでおいた』という姿勢でお茶を濁した」「有罪に問えると考えているが,個別事情で起訴しないとした起訴猶予処分は,まさに法曹の一翼を担う検察官としては,その職責を全うしていないと社会から批判されてもやむを得ません」と、検察を批判する声明を発表した[29][30]

脚注

注釈

  1. ^ この5人が行ったことは問題となったプログラムのページへのリンクを書き込むことであり、当該プログラムの設置者ではない。
  2. ^ 削除時期についてスマイリーキクチは3月と説明し[19]、3月中に削除されていることを記した第三者のブログ[20]やツイート[21]がある。

出典

  1. ^ a b 消せない画面…不正URL貼り付けた疑いで中1女子ら家宅捜索”. SANSPO.COM (2019年3月4日). 2019年3月9日閲覧。
  2. ^ a b 不正プログラム摘発 懸念の声も”. 日本放送協会 (2019年3月26日). 2019年3月27日閲覧。
  3. ^ a b c アラートループ家宅捜索(いわゆる「兵庫県警ブラクラ摘発」)事件に関する寄付の呼びかけ”. 日本ハッカー協会 (2019年3月25日). 2019年3月26日閲覧。
  4. ^ HiromitsuTakagiのツイート(1109687320704225280)
  5. ^ a b c “不正プログラム書き込み疑い補導”. NHK (NHK). (2019年3月4日). オリジナルの2019年3月4日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20190304142945/https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20190304/2020003239.html 2019年3月24日閲覧。 
  6. ^ a b 「あなたブラクラ貼ったでしょ?」→39歳男性を書類送検 検挙男性が明かす「兵庫県警“決めつけ”捜査の実態」”. ねとらぼ. p. 1 (2019年3月20日). 2019年3月24日閲覧。
  7. ^ a b c 神戸地検、「ブラクラ貼った」と書類送検された男性2人を起訴猶予処分に 「ウイルス罪に該当」との認識は変わらず - ねとらぼ”. ねとらぼ (2019年5月29日). 2019年5月29日閲覧。
  8. ^ 不正プログラム事件2人起訴猶予”. NHK (2019年5月29日). 2019年5月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月31日閲覧。
  9. ^ a b c Cimpanu, Catalin. “Japanese police charge 13-year-old for sharing 'unclosable popup' prank online” (英語). ZDNet. 2019年3月27日閲覧。
  10. ^ a b 三上 洋 (2019年3月5日). “兵庫県警で中学生が補導された書き込み事件についてのメモ(個人的見解)”. 2019年3月26日閲覧。
  11. ^ a b JavaScript無限アラートのiOSブラウザ別対処法(追記あり)”. Kyu3’s Blog (2019年3月20日). 2019年3月26日閲覧。
  12. ^ 柳井政和 (2019年3月20日). “ブラクラURL書き込みで中学生補導。広がる警察とIT業界のデジタル・デバイド、募る不信感”. ハーバービジネスオンライン. 2019年3月27日閲覧。
  13. ^ Bright, Peter (2019年3月8日). “JavaScript infinite alert prank lands 13-year-old Japanese girl in hot water” (英語). Ars Technica. 2019年3月27日閲覧。
  14. ^ スマイリーキクチの日本時間2019年3月5日8時7分のツイート” (2019年3月5日). 2019年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月31日閲覧。
  15. ^ HiromitsuTakagiのツイート(1102709176386564096)
  16. ^ スマイリーキクチの日本時間2019年3月5日12時55分のツイート” (2019年3月5日). 2019年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月31日閲覧。
  17. ^ スマイリーキクチの日本時間2019年3月6日12時41分のツイート” (2019年3月6日). 2019年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月31日閲覧。
  18. ^ 井上輝一 (2019年3月7日). “「ブラクラ」補導、不当か妥当か ネットリテラシーと大衆化のジレンマ”. ITmedia. 2019年5月31日閲覧。
  19. ^ smiley_kikuchiのツイート(1134455872422203392)
  20. ^ スマイリーキクチ氏による事実誤認と炎上について【その後】”. 別館「S3日記」 (2019年3月13日). 2019年5月1日閲覧。
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関連項目

外部リンク