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肛門性交（こうもんせいこう、英: anal sex 聞く^{[ヘルプ/ファイル]}、アナルセックス）は男性器（陰茎）または性具を肛門・直腸へ挿入する行為。『創世記』のソドムの誤まった解釈により派生した語のソドミーと呼ばれることもある。

同性愛においては男性器同士では挿入することが出来ないため、肛門性交が用いられる。

概要

肛門に陰茎または性具を挿入する行為。

肛門の出口周辺は、神経終末が密集し非常に敏感であるため、性別を問わず性感帯となりうる。

男女とも直腸壁を腹側に圧迫することで、個人差はあれど男性の場合は前立腺や精嚢が、女性の場合は隣り合った膣後壁、子宮の裏側付近、ポルチオ周辺などが刺激され快感を生むことがある。受け手の男性が射精した場合は「トコロテン射精」と呼ぶ^[要出典]。

特に宗教上の理由で人工的な避妊が禁じられている場合や、結婚前で処女膜を維持する必要がある場合、抜け道として利用される。

ただし、肛門は膣よりも傷つきやすい粘膜のため、出血や痔の原因にもなりやすい^[1]。

肛門性交をする際には、直腸洗浄することが望ましく^[2]^{[出典無効]}、少しずつほぐしていかなければ快感は感じにくい^[3]^{[出典無効]}。

女性にとっての肛門へのアプローチとしては、3分の1の女性が生涯に一度は、肛門に男性器を受け入れるとされ^[4]、2022年に米インディアナ大学の「女性がどのように肛門で快楽を得ているか」という史上初の研究では^[5]、18歳から93歳の米国人女性・3017人のサンプル調査で、およそ40％が肛門表面への刺激で快感を感じ、約35％が肛門への浅い挿入で快感を覚え、約40％が肛門への挿入と、性器も同時に刺激することで快感を得ている実態が明らかにされた^[4]^[5]。またその快楽を得ている被験者の半数以上が、当初の体験よりも時の経過によって、やがて楽しめるようになったといい^[4]、快楽を知る女性の40％は、パートナーとの感情的な繋がりを重要な要素に挙げている^[4]。被験者が初めて肛門を刺激する心地良さに気付いた年齢は、14歳から72歳と幅広く（平均27歳）、肛門の快楽の目覚めは、年齢にかかわりなく訪れるという実像が示された^[4]。

性風俗産業

異性愛男性にも快感を得る目的で、アナルオナニーを行う・SM 風俗店の風俗嬢がペニスバンドを装着し肛門に挿入するサービス・あるいは性風俗店などで前立腺マッサージのサービスを受ける者もいる。またニューハーフ風俗では陰茎を持つ風俗嬢が男性客に挿入するサービスがオプションで行われている。

アダルトコミックやポルノ小説で、性器の未成熟な女児との性交渉の手段として描写される事もあるが、児童にそうした性行為に及んだ場合には不同意性交等罪で罰せられる。また、男性2人と女性1人で行うグループセックスの際、1人の男性が膣に、もう1人の男性が肛門に挿入する例もある。

アナルプレイにフォーカスを当てたポルノは多数存在する。

生理的背景

肛門は口や女性器などと同様に粘膜組織が体外に露出している箇所であり、感覚が敏感で脳の体性感覚の地図で大きな面積を占めている。これらの箇所は性的な快感とも関係があるとされており、適切な方法で行えば性的な満足感の得られる行為になる^[要出典]。挿入する側も膣括約筋よりも強い力で男性器が締め付けられるため、女性器で性行為を行うよりも強い快感を得やすいとされる。膣でいう膣分泌液（愛液）のように、肛門・直腸からは腸液と呼ばれる消化液が分泌される。

危険性

インターネットの普及により、アダルトビデオや性的な動画コンテンツにおいては誤った情報が溢れているため、科学的な観点から危険性を認識する必要がある^[6]。

肛門は、消化管の最終部分にして排泄を行うための臓器として生物に備わっている。直腸につながっており、性器や異物を入れることは、特異な感染症(例：アメーバ赤痢、エイズ）や身体機能に障害をきたすことがあるため推奨されない^[7]。

肛門の2つの役割「便をだす」「おなら（ガス）をだす」を内側にある「内肛門括約筋」の、高度な感覚で判別しており、この判別が不能になる危険性がある^[8]。

肛門は異物の挿入によって裂傷や擦過傷とそれによる出血、裂肛（切れ痔）、直腸脱、炎症性腸疾患までを引き起こすことがある。また、挿入側にも様々な性感染症（B型肝炎、HIV感染を含む）、腸内の大腸菌などの細菌による尿道炎等の尿路感染症を引き起こす恐れがある。大きな異物や鋭利なものを挿入した場合は、直腸穿孔を合併することがある。またビン、ペットボトル、大人の玩具を挿入した場合などに、抜去不可能となり、医療機関にて腰椎麻酔の上、肛門鏡やワインのコルク抜きの様なミオームボーラーを使用して摘出したり、腹を切る手術が必要になることもある。最悪の場合には、人工肛門になる^[9]。

そして、肛門括約筋には自らの意思で収縮・弛緩させることのできる（随意筋）外括約筋と、意図的に弛緩させることのできない（不随意筋）内括約筋とがあり、十分な準備をせずに肛門性交を行ったり、本人の意に反する形（場合によってはレイプなど）で行うと、表皮のみならず皮下組織、筋肉組織をも損傷し、甚だしい場合には便失禁に至ることもある。

そのため、肛門性交する前には、浣腸などによる腸の洗浄、大量の潤滑剤の使用などの対応をする必要がある。挿入する側は挿入される側の体調に配慮し、挿入される側の意思をできる限り尊重することが望ましい。直腸内に射精しても妊娠しないことからコンドームなしで性交しても何ら問題はないという情報もあるが、これは間違いである。肛門は多くの細菌が存在し、直腸は消化器官であり、感染症予防の観点からはコンドームの着用が高く求められる^[10]。

肛門性交における性感染症は基本的に膣性交における性感染症と同じであるが、診療にあたる医師の念頭に肛門性交の可能性がない場合、しばしば診断の遅れや誤診に繋がる危険性がある。適切な治療を受けるためには、肛門性交の有無を医師にも伝えることが望ましい。

歴史と文化

肛門性交はその体位が動物的な場合が多いこと・子孫繁栄とは無関係の性行為であること・排泄を行う箇所を性交に使うことへの抵抗など、宗教文化や習俗と合わせて行為に不快感を抱く者が現在でも存在する。

特に男性同士の同性愛行為をソドミーと呼び、中東などのイスラム圏、アフリカ諸国、中央アジアなど、世界のいくつかの地域、文化圏ではいまだにタブー視したり、法により禁止しているところさえ残っている。

男性同性愛者の間においても、女性との性行為の模倣に過ぎないという考えや、痛みや出血を伴うことや準備や片付けに手間を要することから肛門性交を嫌う者も多い。

マルキ・ド・サド（サディストの語源）の著書には、自分が捕らえられた時、妻へ差し入れを頼んだ際に自分の肛門に入れる張り型を持って来るように指示し、これを独房内で自慰のために使用した記録がある。

欧米およびキリスト教文化圏

キリスト教が広まる前のヨーロッパや地中海世界では、キリスト教の教義による禁令がなかったため、男性同士及び異性間の肛門性交は普遍的に行われていた。

基本的にはカトリックでは子供を作る目的以外の性行為は認めておらず、快楽の追求のための性行為は否定されているため、肛門性交も禁じている。

また法律での禁止例として、アメリカ合衆国で施行されていた、いわゆる「ソドミー法」がある。この法律は同性愛を禁じるための法律であるが、頭の中を規制することは出来ないため、その行為である肛門性交を禁じるものである（異性同士の肛門性交も含まれる）。これは、かつては50州すべてに存在していたが、2004年現在では13州までに減少している。また、テキサス州の法律は、2003年 6月26日にアメリカ最高裁により違憲との判決を下された。

イスラム教文化圏

→詳しくは「イスラーム世界の少年愛」を参照

日本

肛門のことを性的な俗語やゲイのスラングで、菊門・菊座という他、女性の名器になぞらえて男性の場合のこれを名門と呼ぶ。また江戸時代にはおいど、おかまともいい、男色家の間では後庭華・牛蒡（ゴボウ）の切り口ということもあった。

肛門性交はおかまを掘る（略して「掘られる」「掘る」と表現することがある）とも言い、転じて交通事故での後部への追突を表すスラングとしても用いられる。江戸時代には「おかまを割る」とも言った。

江戸時代の呼称には上記のものの他にも「けつ取り」や「大悦」などがある。大悦は主に僧侶が用いた隠語で、通常の性交を「天悦」とも呼び、これは「天」という漢字を分解すると「二人」となり2人で悦楽が得られることを表すのに対して、大は分解すると「一人」となり、挿入される側は痛みを伴って悦楽が得られないことが多く、挿入する側１人のみが悦楽を得られる事を表している。なお、大悦は自慰の隠語でもあった。

日本の強姦罪は男性器を女性器に挿入する事を前提としているため肛門性交でのレイプは強姦罪にあたらず、傷害罪や猥褻物陳列罪等が適用されていた。しかし肛門性交、口腔性交等の準性交も強姦罪の対象となるよう法改正が検討され、2017年（平成29年）7月13日に、男性が被害者の場合を含む強制性交等罪の規定が設けられたことに伴い、強姦罪は廃止され強制性交等罪がその役割を引き継ぐとともに準性交も法の対象となった。

女色における肛門性交

江戸時代の性の指南書では、女性器が怪我などで使用できないときの為の肛門性交の方法を指南したものがある。遊女屋の客の中には遊女と「尻取り」（けつとり）をしたがる人もいるため、遊女たちは肛門での受け入れ準備もしていた^[11]。陰間の盛りが短かったことから、陰間茶屋は高額なため^[12]^[13]、自分の妻や遊女で試そうという好色家も存在した。

現在の売春防止法は男性器を女性器に挿入する事を前提としているため、法律上は肛門性交は売春行為にはあたらない。そのためデリバリーヘルス等の男性器を女性器に挿入する行為（いわゆる「本番」）が禁止されている風俗業でも特別料金を払って行えるプレイとして提示されていることがある。しかし風俗嬢が個人として行えない行為に肛門性交を掲示している場合が多く、店側としては行えるプレイとして提示されていても勤務している風俗嬢全員が行っていない場合も珍しくない。逆に肛門性交が可能な女性を集めた専門店も存在する。

男色における肛門性交

→「日本における同性愛」も参照

日本でも、僧侶と稚児の男色、武士の世界の衆道、陰間茶屋など男色文化の歴史が存在する。奈良時代・平安時代頃からは、天台宗などでは僧と稚児の初夜の直前に行われる「稚児灌頂（ちごかんじょう）」という儀式があり、稲垣足穂『少年愛の美学』にはそのやり方が詳しく書かれている。灌頂を受けた稚児は観音菩薩の化身とされ、僧は灌頂を受けた稚児とのみ性交が許された。

衆道においては先述の「大悦」の字が示すように若衆が自身は痛みに耐え、年長者や主君の為に身を捧げるという意味合いも持つ。相手が僧侶の場合は功徳になるとされた。

江戸時代には、夢中庵魯鈍作の『男色四十八手指南』（文化6年）などに男色（肛門性交）のやり方が指南されていて、挿入する時には「通和散」または「練（り）木」と称したトロロアオイの根・ふのりなどで製した白い粉の粘滑剤^[14]が市販されており、それを用いた。江戸時代には性に関して多くの指南書が出版されたが、中には男色相手の少年や陰間を肛門のヒダの数で品評した本も出版されている。

また江戸時代には「小僧は脚気の薬」と言われ、若い男児と肛門性交をすると脚気の治癒に効果があるという俗信が存在し、「お住持の脚気は治り小僧は痔」といった川柳も残されている^[15]。

日本では西欧社会の影響で、明治時代の一時期肛門性交が禁止されたが（鶏姦罪）、直ぐにこの規定は撤廃された（日本における同性愛#幕末・明治初期：男色文化衰退、地方レベルではなく全国で初の違法化（一時的）も参照）。この頃から日本では肛門性交を鶏姦と呼ぶことがある。

現行法では女性の場合と同じく肛門性交、加えて男性同士の場合は売春防止法上の売春行為には当たらないため、売り専などのゲイ向け風俗店でサービスとして行われていることが多い。その際の隠語では挿入される側を「受け」「バック受け」などと呼び、挿入する側を「タチ」「バックタチ」などと呼ぶ。(ゲイ用語を参照)

年が明けて初めてのセックスを「姫始め」と呼ぶが、男性同士の性交の場合、「殿始め」と呼ばれる。

ラブホテルを利用する場合、肛門性交により設備が汚れ清掃に手間がかかることが多いため、男性同士での利用は断られる場合がある。

その他

パプアニューギニアやザンビアの一部地域では、男性の成人の儀式として実施されている。これらの地域では、精液が男性を男性たらしめる根源と見なされており、充分な精液を持たない不完全な男性であるとされる少年を真の男性に転換させるため、肛門性交や口交によって成人の精液を摂取させるという^[16]。

性感染症リスクの高さ・直腸粘膜

直腸の粘膜は薄いため、肛門挿入等で傷付き出血しやすく、感染症に感染しやすい。そのため、肛門性交はさまざまな性感染症の感染を広げるリスクが高く^[17]^[18]、性行為は(男性同士の)肛門性行為となる男性同性愛者や両性愛男性の献血は禁じられてきた^[17]。HIV感染者のほとんどはゲイ・バイ男性であり、感染経路にはコンドーム無しの肛門性交経由感染が占める^[18]。2023年には米国赤十字社は「直近3ヶ月以内の肛門性行為無し」なら献血可に緩和した^[17]。

他の生物での例

ボノボは性交や性器への刺激をストレス緩和のコミュニケーション（ホカホカ）の一つとして行っており、一部のオス同士などで、肛門性交が行われていることが確認されている。

軟骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類および一部の原始的な哺乳類は総排出腔が直腸・排尿口・生殖口を兼ね、その中で体内受精を行うものは総排出腔に陰茎が挿入される。そのため肛門性交は鳥類であるニワトリの交尾から「鶏姦」とも呼ばれる。

脚注・出典

[脚注の使い方]

^ アナルセックス初体験のやり方と注意点
^ 【正しいアナルの洗い方】お尻の準備！綺麗に直腸洗浄をする方法
^ “アナルセックスの快感について【正しいやり方完全マニュアル】”
^ ^a ^b ^c ^d ^e 川勝康弘 (2022年7月2日). “女性が肛門でどのように快楽を感じるかをマジメに研究した論文が発表される！”. ナゾロジー. kusuguru株式会社. 2022年7月7日閲覧。
^ ^a ^b Devon J. Hensel; Christiana D. von Hippel; Charles C. Lapage; Robert H. Perkins (2022-06-29). “Women’s techniques for pleasure from anal touch: Results from a U.S. probability sample of women ages 18–93”. PLOS ONE (PLOS) 2022年7月7日閲覧。.
^ “あなたが知らない「アナル」に関する4つのトリビア”. 2024年1月27日閲覧。
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^ DENNY喜多川 (2017年1月30日). “恋愛コラム「大江戸ラブマニュアル」（18）女郎のための指南書『おさめかまいじょう』が伝える肛門性交術とは？”. ラブコスメ. 株式会社ナチュラルプランツ. 2022年7月14日閲覧。
^ 永井義男 (2020年7月30日). "男色専門の男娼「陰間」のお仕事第1回～江戸の街に散在した陰間茶屋～（江戸の性職業 #018）". 歴史人WEB. ABCアーク. 2023年11月28日閲覧。
^ 永井義男 (2020年8月13日). "男色専門の男娼「陰間」のお仕事第2回～陰間遊びの手順～（江戸の性職業 #019）". 歴史人WEB. ABCアーク. 2023年11月28日閲覧。
^ 大辞林
^ 渡辺信一郎著『江戸の色道　古川柳から覗く男色の世界』、ISBN 978-4-10-603733-7　
^ 氏家幹人著『武士道とエロス』講談社〈新書〉、2000年、151-152頁　ISBN 978-4-06-149239-4
^ ^a ^b ^c “米赤十字、男性同性愛者ら対象の献血制限撤廃（ＡＦＰ＝時事）”. Yahoo!ニュース. 2023年8月8日閲覧。
^ ^a ^b “楽しいセックスライフには、定期的に「HIV検査」を受けよう”. 楽しいセックスライフには、定期的に「HIV検査」を受けよう. 2023年8月8日閲覧。

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-{{成人向け}}
+{{性的}}
+{{複数の問題
-'''アナルセックス'''、'''肛門性交'''（こうもんせいこう）とは、人間の性行動の一種で、男性器（[[陰茎]]）を[[女性]]または[[男性]]の[[肛門]]、[[直腸]]へ挿入する行為のこと。'''ソドミー'''ともいう（[[旧約聖書]]の[[ソドム]]から）。広義には玩具などを使うなどして肛門、直腸に関わる性行為のすべてを含む。
+| 独自研究 = 2008年12月 ✳︎
+| 出典の明記 = 2011年7月
+| 参照方法 = 2011年7月
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+'''肛門性交'''（こうもんせいこう、{{lang-en-short|anal sex}} {{Audio|En-anal_sex.ogg|聞く}}、'''アナルセックス'''）は[[男性器]]（[[陰茎]]）または[[性具]]を[[肛門]]・[[直腸]]へ挿入する行為。『[[創世記]]』の[[ソドムとゴモラ|ソドム]]の誤まった[[解釈]]により派生した語の[[ソドミー]]と呼ばれることもある。
-欧米の[[ポルノ]]では定番となっている性行為のひとつで、日本でも[[アダルトビデオ]]等で一つのジャンルとして確立している。日本でも過去に、男性同士の間でおこなわれており（[[僧侶]]と[[稚児]]、衆道、陰間茶屋など）、近年においては、男女間でも一般的になりつつある。
+[[同性愛]]においては[[男性器]]同士では挿入することが出来ないため、肛門性交が用いられる。
-しかし、その際の体位が動物的であること、排泄をおこなう箇所を性交に使うことへの抵抗など、文化や習俗と合わせて、こうした体位に不快感を抱く人も少なくない。こうした行為を、世界のいくつかの地域、文化圏ではタブー視したり、法により禁止しているところもある。その例として、[[アメリカ合衆国]]で施行されていた「ソドミー法」がある。この法律は同性愛を禁じるための法律であるが、頭の中を規制することは出来ないため、その行為であるアナルセックスを禁じるものである（異性同士のアナルセックスも含まれる）。かつては50州に存在していたが、[[2004年]]現在で13州にまでなっている。[[テキサス]]州の法律は、[[2003年]][[6月26日]]にアメリカ最高裁により違憲との判決を下された。
-カトリックでは処女性が強く求められていたことと中絶を認めていなかったため、中世ヨーロッパで広まった、という説がある。
+== 概要 ==
-異性愛者間のアナルセックスにおいて、時には避妊や、結婚するまで処女を守る目的でおこなわれることもある。[[月経]]の際、[[膣]][[性交]]を避けるということで、肛門性交をすることもある。
+[[肛門]]に[[陰茎]]または[[性具]]を挿入する行為。
+肛門の出口周辺は、神経終末が密集し非常に敏感であるため、性別を問わず[[性感帯]]となりうる。
-[[ゲイ]]の間では広くおこなわれるものとされるが、それに反論する人もいる（[[同性愛]]を参照）。<!--アメリカの80％のゲイが経験しているという。--><!--その調査がどこの何年のものかを示してください。-->ただし、いずれの場合にも注意しなければならないのは、出血しやすいこと、[[性行為感染症]]を引き起こす恐れがある、ということである。あわせて、この行為に伴って、器具を使用する際には裂傷などを引き起こさないように、注意する必要がある。
+男女とも直腸壁を腹側に圧迫することで、個人差はあれど男性の場合は[[前立腺]]や[[精嚢]]が、女性の場合は隣り合った[[膣]]後壁、[[子宮]]の裏側付近、[[ポルチオ]]周辺などが刺激され快感を生むことがある。受け手の男性が射精した場合は「トコロテン射精」と呼ぶ<sup class="Template-Fact plainlinks">[''[[Wikipedia:「要出典」をクリックされた方へ|<span title="この記述には信頼できる情報源の提示が求められています。（y年m月）" style="white-space:nowrap">要出典</span>]]'']</sup>。
-肛門は排泄器官であるので、肛門性交する前には[[浣腸]]し[[避妊]]具を着用する等の対応をしないと、挿入した男性が尿道炎や各種性病等にかかる可能性が高くなる。これに関して、[[後天性免疫不全症候群]]（エイズ）の初期の症例に同性愛者が多かった事から、同病がアナルセックスによってのみ感染するとする説が（高名な研究者の間でさえ）蔓延し、患者や同性愛者への偏見・迫害に繋がったが、その後通常の性交や[[輸血]]、[[血液製剤]]によっても感染する事が確認された。
+特に[[宗教]]上の理由で人工的な避妊が禁じられている場合や、結婚前で[[処女膜]]を維持する必要がある場合、抜け道として利用される。
-== 関連項目 ==
-*[[アナルフィスト]]
-*[[アニリングス]]
-*[[浣腸]]
-*[[性的指向]]
-*[[少年愛]]
-*[[肛内射精]]
-*[[痔]]
+ただし、肛門は膣よりも傷つきやすい粘膜のため、出血や痔の原因にもなりやすい<ref>[https://www.lovecosmetic.jp/shc/analsex/ アナルセックス初体験のやり方と注意点]</ref>。
-[[Category:性行為|あなるせつくす]]
+肛門性交をする際には、直腸洗浄することが望ましく<ref>[https://geothek.org/51049.html 【正しいアナルの洗い方】お尻の準備！綺麗に直腸洗浄をする方法]</ref>{{出典無効|date=2021-04-05 |title=自主公表された情報源であり信頼できる情報源に該当せず}}、少しずつほぐしていかなければ快感は感じにくい<ref>“[https://geothek.org/2626.html アナルセックスの快感について【正しいやり方完全マニュアル】]”</ref>{{出典無効|date=2021-04-05 |title=自主公表された情報源であり信頼できる情報源に該当せず}}。
+女性にとっての肛門へのアプローチとしては、3分の1の女性が生涯に一度は、肛門に男性器を受け入れるとされ{{R|nazology 2022-07-02}}、2022年に米[[インディアナ大学システム|インディアナ大学]]の「女性がどのように肛門で快楽を得ているか」という史上初の研究では<ref name="Women’s techniques for …">{{Cite journal|author1=Devon J. Hensel|author2=Christiana D. von Hippel|author3=Charles C. Lapage|author4=Robert H. Perkins|date=2022-06-29|title=Women’s techniques for pleasure from anal touch: Results from a U.S. probability sample of women ages 18–93|journal=[[PLOS ONE]]|publisher=[[PLOS]]|url=https://doi.org/10.1371/journal.pone.0268785|accessdate=2022-07-07}}</ref>、18歳から93歳の米国人女性・3017人のサンプル調査で、およそ40％が肛門表面への刺激で快感を感じ、約35％が肛門への浅い挿入で快感を覚え、約40％が肛門への挿入と、性器も同時に刺激することで快感を得ている実態が明らかにされた<ref name="nazology 2022-07-02">{{Cite web|和書|author=川勝康弘|url=https://nazology.net/archives/111436|title=女性が肛門でどのように快楽を感じるかをマジメに研究した論文が発表される！|website=ナゾロジー|publisher=kusuguru株式会社|date=2022-07-02|accessdate=2022-07-07}}</ref>{{R|Women’s techniques for …}}。またその快楽を得ている被験者の半数以上が、当初の体験よりも時の経過によって、やがて楽しめるようになったといい{{R|nazology 2022-07-02}}、快楽を知る女性の40％は、パートナーとの感情的な繋がりを重要な要素に挙げている{{R|nazology 2022-07-02}}。被験者が初めて肛門を刺激する心地良さに気付いた年齢は、14歳から72歳と幅広く（平均27歳）、肛門の快楽の目覚めは、年齢にかかわりなく訪れるという実像が示された{{R|nazology 2022-07-02}}。
+== 性風俗産業 ==
+異性愛男性にも快感を得る目的で、アナル[[オナニー]]を行う・[[SM (性風俗) |SM]][[風俗店]]の[[風俗嬢]]が[[ペニスバンド]]を装着し肛門に挿入するサービス・あるいは性風俗店などで[[前立腺]]マッサージのサービスを受ける者もいる。また[[ニューハーフ]]風俗では陰茎を持つ風俗嬢が男性客に挿入するサービスがオプションで行われている。
+アダルトコミックやポルノ小説で、性器の未成熟な女児との性交渉の手段として描写される事もあるが、児童にそうした性行為に及んだ場合には[[不同意性交等罪]]で罰せられる。また、男性2人と女性1人で行う[[グループセックス]]の際、1人の男性が膣に、もう1人の男性が肛門に挿入する例もある。
+[https://anal-av.net/ アナルプレイ]にフォーカスを当てたポルノは多数存在する。
+== 生理的背景 ==
+肛門は[[口]]や[[女性器]]などと同様に[[粘膜]]組織が体外に露出している箇所であり、感覚が敏感で脳の[[体性感覚]]の地図で大きな面積を占めている。これらの箇所は性的な快感とも関係があるとされており、適切な方法で行えば性的な満足感の得られる行為になる{{要出典|date=2020年2月}}。挿入する側も膣[[括約筋]]よりも強い力で男性器が締め付けられるため、女性器で性行為を行うよりも強い快感を得やすいとされる。膣でいう[[膣分泌液]]（愛液）のように、肛門・直腸からは[[腸液]]と呼ばれる消化液が分泌される。
+== 危険性 ==
+インターネットの普及により、アダルトビデオや性的な動画コンテンツにおいては誤った情報が溢れているため、科学的な観点から危険性を認識する必要がある<ref>{{Cite web |url=https://genxy-net.com/post_theme04/20651l/ |title=あなたが知らない「アナル」に関する4つのトリビア |publisher = |accessdate=2024-01-27}}</ref>。
+肛門は、消化管の最終部分にして[[排泄]]を行うための臓器として生物に備わっている。直腸につながっており、性器や異物を入れることは、特異な感染症(例：[[アメーバ赤痢]]、[[エイズ]]）や身体機能に障害をきたすことがあるため推奨されない<ref>{{Cite web |url=https://genxy-net.com/post_theme04/20651l/ |title=あなたが知らない「アナル」に関する4つのトリビア |publisher = |accessdate=2024-01-27}}</ref>。
+肛門の2つの役割「便をだす」「おなら（ガス）をだす」を内側にある「内肛門括約筋」の、高度な感覚で判別しており、この判別が不能になる危険性がある<ref>{{Cite web |url=https://genxy-net.com/post_theme04/20651l/ |title=あなたが知らない「アナル」に関する4つのトリビア |publisher = |accessdate=2024-01-27}}</ref>。
+肛門は異物の挿入によって裂傷や擦過傷とそれによる出血、[[裂肛|裂肛（切れ痔）]]、[[直腸脱]]、[[炎症性腸疾患]]までを引き起こすことがある。また、挿入側にも様々な[[性感染症]]（[[B型肝炎]]、[[HIV]]感染を含む）、腸内の大腸菌などの細菌による尿道炎等の[[尿路感染症]]を引き起こす恐れがある。大きな異物や鋭利なものを挿入した場合は、直腸穿孔を合併することがある。また[[ビン]]、[[ペットボトル]]、大人の玩具を挿入した場合などに、抜去不可能となり、医療機関にて腰椎麻酔の上、肛門鏡やワインのコルク抜きの様なミオームボーラーを使用して摘出したり、腹を切る手術が必要になることもある。最悪の場合には、人工肛門になる<ref>{{Cite web |url=https://genxy-net.com/post_theme04/20651l/ |title=あなたが知らない「アナル」に関する4つのトリビア |publisher = |accessdate=2024-01-27}}</ref>。
+そして、肛門[[括約筋]]には自らの意思で[[収縮]]・[[弛緩]]させることのできる（[[随意筋]]）外括約筋と、意図的に[[弛緩]]させることのできない（不随意筋）内括約筋とがあり、十分な準備をせずに肛門性交を行ったり、本人の意に反する形（場合によっては[[強姦|レイプ]]など）で行うと、[[表皮]]のみならず皮下組織、[[筋肉|筋肉組織]]をも損傷し、甚だしい場合には便[[失禁]]に至ることもある。
+そのため、肛門性交する前には、[[浣腸]]などによる腸の洗浄、大量の[[性具#ラブローション|潤滑剤]]の使用などの対応をする必要がある。挿入する側は挿入される側の体調に配慮し、挿入される側の意思をできる限り尊重することが望ましい。直腸内に射精しても妊娠しないことからコンドームなしで性交しても何ら問題はないという情報もあるが、これは間違いである。肛門は多くの細菌が存在し、直腸は消化器官であり、感染症予防の観点からは[[コンドーム]]の着用が高く求められる<ref>{{Cite web |url=https://genxy-net.com/post_theme04/20651l/ |title=あなたが知らない「アナル」に関する4つのトリビア |publisher = |accessdate=2024-01-27}}</ref>。
+肛門性交における性感染症は基本的に膣性交における性感染症と同じであるが、診療にあたる医師の念頭に肛門性交の可能性がない場合、しばしば診断の遅れや誤診に繋がる危険性がある。適切な治療を受けるためには、肛門性交の有無を医師にも伝えることが望ましい。
+== 歴史と文化 ==
+肛門性交はその体位が動物的な場合が多いこと・子孫繁栄とは無関係の性行為であること・排泄を行う箇所を性交に使うことへの抵抗など、宗教文化や習俗と合わせて行為に不快感を抱く者が現在でも存在する。
+特に男性同士の同性愛行為をソドミーと呼び、中東などのイスラム圏、アフリカ諸国、中央アジアなど、世界のいくつかの地域、文化圏ではいまだにタブー視したり、法により禁止しているところさえ残っている。
+男性同性愛者の間においても、女性との性行為の模倣に過ぎないという考えや、痛みや出血を伴うことや準備や片付けに手間を要することから肛門性交を嫌う者も多い。
+[[マルキ・ド・サド]]（サディストの語源）の著書には、自分が捕らえられた時、妻へ差し入れを頼んだ際に自分の肛門に入れる張り型を持って来るように指示し、これを独房内で自慰のために使用した記録がある。
+=== 欧米およびキリスト教文化圏 ===
+{{出典の明記 | date =2011-07 | section = 1}}
+ [[ファイル:Édouard-Henri Avril (18).jpg|サムネイル|250px|男性同士の肛門性交（[[ハドリアヌス]]と[[アンティノウス]]。[[エドゥアール＝アンリ・アヴリル]]画)]]
+[[キリスト教]]が広まる前のヨーロッパや地中海世界では、[[キリスト教]]の教義による禁令がなかったため、男性同士及び異性間の肛門性交は普遍的に行われていた。
+基本的にはカトリックでは子供を作る目的以外の性行為は認めておらず、快楽の追求のための性行為は否定されているため、肛門性交も禁じている。
+また法律での禁止例として、[[アメリカ合衆国]]で施行されていた、いわゆる「ソドミー法」がある。この法律は同性愛を禁じるための法律であるが、頭の中を規制することは出来ないため、その行為である肛門性交を禁じるものである（異性同士の肛門性交も含まれる）。これは、かつては50州すべてに存在していたが、[[2004年]]現在では13州までに減少している。また、テキサス州の法律は、[[2003年]][[6月26日]]にアメリカ最高裁により違憲との判決を下された。
+=== イスラム教文化圏 ===
+{{See2|詳しくは「[[イスラーム世界の少年愛]]」を}}
+[[ファイル:An ottoman miniature from the book Sawaqub al-Manaquib depicting Homosexuality.jpg|サムネイル|19世紀の[[オスマン帝国]]時代の絵画]]
+=== 日本 ===
+肛門のことを性的な俗語やゲイの[[スラング]]で、菊門・菊座という他、女性の名器になぞらえて男性の場合のこれを名門と呼ぶ。また[[江戸時代]]には[[井戸|おいど]]、[[おかま]]ともいい、男色家の間では後庭華・[[牛蒡]]（ゴボウ）の切り口ということもあった。
+肛門性交はおかまを掘る（略して「掘られる」「掘る」と表現することがある）とも言い、転じて[[交通事故]]での後部への追突を表すスラングとしても用いられる。江戸時代には「おかまを割る」とも言った。
+江戸時代の呼称には上記のものの他にも「けつ取り」や「大悦」などがある。大悦は主に僧侶が用いた隠語で、通常の性交を「天悦」とも呼び、これは「天」という漢字を分解すると「二人」となり2人で悦楽が得られることを表すのに対して、大は分解すると「一人」となり、挿入される側は痛みを伴って悦楽が得られないことが多く、挿入する側１人のみが悦楽を得られる事を表している。なお、大悦は自慰の隠語でもあった。
+日本の[[不同意性交等罪|強姦罪]]は男性器を女性器に挿入する事を前提としているため肛門性交での[[強姦|レイプ]]は強姦罪にあたらず、[[傷害罪]]や[[わいせつ物頒布等の罪|猥褻物陳列罪]]等が適用されていた。しかし肛門性交、[[フェラチオ|口腔性交]]等の準性交も強姦罪の対象となるよう法改正が検討され、[[2017年]]（平成29年）[[7月13日]]に、男性が被害者の場合を含む強制性交等罪の規定が設けられたことに伴い、強姦罪は廃止され強制性交等罪がその役割を引き継ぐとともに準性交も法の対象となった。
+==== 女色における肛門性交 ====
+江戸時代の性の指南書では、女性器が怪我などで使用できないときの為の肛門性交の方法を指南したものがある。[[遊廓|遊女屋]]の客の中には[[遊女]]と「尻取り」（けつとり）をしたがる人もいるため、遊女たちは肛門での受け入れ準備もしていた<ref>{{Cite web|和書|author=DENNY喜多川|url=https://column.lovecosmetic.jp/ooedolove/ooedolove_18.html|title=恋愛コラム「大江戸ラブマニュアル」（18） 女郎のための指南書『おさめかまいじょう』が伝える肛門性交術とは？|website=ラブコスメ|publisher=株式会社ナチュラルプランツ|date=2017-01-30|accessdate=2022-07-14}}</ref>。[[陰間]]の盛りが短かったことから、[[陰間茶屋]]は高額なため<ref>{{Cite magazine2|author=永井義男|author-link=永井義男|date=2020-07-30|title=男色専門の男娼「陰間」のお仕事 第1回～江戸の街に散在した陰間茶屋～（江戸の性職業 #018）|url=https://www.rekishijin.com/8777|magazine=[[歴史人|歴史人WEB]]|publisher=ABCアーク|access-date=2023-11-28|df=ja}}</ref><ref>{{Cite magazine2|author=永井義男|author-link=永井義男|date=2020-08-13|title=男色専門の男娼「陰間」のお仕事 第2回～陰間遊びの手順～（江戸の性職業 #019）|url=https://www.rekishijin.com/8894|magazine=[[歴史人|歴史人WEB]]|publisher=ABCアーク|access-date=2023-11-28|df=ja}}</ref>、自分の妻や遊女で試そうという好色家も存在した。
+現在の[[売春防止法]]は男性器を女性器に挿入する事を前提としているため、法律上は肛門性交は売春行為にはあたらない。そのため[[デリバリーヘルス]]等の男性器を女性器に挿入する行為（いわゆる「本番」）が禁止されている風俗業でも特別料金を払って行えるプレイとして提示されていることがある。しかし風俗嬢が個人として行えない行為に肛門性交を掲示している場合が多く、店側としては行えるプレイとして提示されていても勤務している風俗嬢全員が行っていない場合も珍しくない。逆に肛門性交が可能な女性を集めた専門店も存在する。
+{{Sectstub}}
+==== 男色における肛門性交 ====
+{{See also|日本における同性愛}}
+[[ファイル:Hiroshige-shunga3.jpg|サムネイル|250px|[[袋井宿]]を描いた[[春画]]（1840年代）]]
+日本でも、[[僧|僧侶]]と稚児の[[男色]]、[[武士]]の世界の[[衆道]]、[[陰間茶屋]]など男色文化の歴史が存在する。[[奈良時代]]・[[平安時代]]頃からは、[[天台宗]]などでは僧と稚児の[[結婚初夜|初夜]]の直前に行われる「稚児灌頂（ちごかんじょう）」という儀式があり、[[稲垣足穂]]『少年愛の美学』にはそのやり方が詳しく書かれている。灌頂を受けた稚児は観音菩薩の化身とされ、僧は灌頂を受けた稚児とのみ性交が許された。
+衆道においては先述の「大悦」の字が示すように若衆が自身は痛みに耐え、年長者や主君の為に身を捧げるという意味合いも持つ。相手が僧侶の場合は[[功徳]]になるとされた。
+江戸時代には、夢中庵魯鈍作の『男色四十八手指南』（[[文化 (元号)|文化]]6年）などに男色（肛門性交）のやり方が指南されていて、挿入する時には「[[通和散]]」または「練（り）木」と称した[[トロロアオイ]]の根・[[ふのり]]などで製した白い粉の粘滑剤<ref>大辞林</ref>が市販されており、それを用いた。江戸時代には性に関して多くの指南書が出版されたが、中には男色相手の少年や陰間を肛門のヒダの数で品評した本も出版されている。
+また江戸時代には「小僧は[[脚気]]の薬」と言われ、若い男児と肛門性交をすると脚気の治癒に効果があるという俗信が存在し、「お住持の脚気は治り小僧は痔」といった川柳も残されている<ref>[[渡辺信一郎 (文化人類学者)|渡辺信一郎]]著『江戸の色道　古川柳から覗く男色の世界』、ISBN 978-4-10-603733-7　</ref>。
+日本では西欧社会の影響で、[[明治]]時代の一時期肛門性交が禁止されたが（鶏姦罪）、直ぐにこの規定は撤廃された（[[日本における同性愛#幕末・明治初期：男色文化衰退、地方レベルではなく全国で初の違法化（一時的）]]も参照）。この頃から日本では肛門性交を鶏姦と呼ぶことがある。
+現行法では女性の場合と同じく肛門性交、加えて男性同士の場合は売春防止法上の売春行為には当たらないため、売り専などの[[ゲイ向け風俗店]]でサービスとして行われていることが多い。その際の隠語では挿入される側を「受け」「バック受け」などと呼び、挿入する側を「タチ」「バックタチ」などと呼ぶ。([[ゲイ用語]]を参照)
+年が明けて初めてのセックスを「[[姫始め]]」と呼ぶが、男性同士の性交の場合、「殿始め」と呼ばれる。
+[[ラブホテル]]を利用する場合、肛門性交により設備が汚れ清掃に手間がかかることが多いため、男性同士での利用は断られる場合がある。
+=== その他 ===
+[[パプアニューギニア]]や[[ザンビア]]の一部地域では、男性の[[通過儀礼|成人の儀式]]として実施されている。これらの地域では、[[精液]]が男性を男性たらしめる根源と見なされており、充分な精液を持たない不完全な男性であるとされる[[少年]]を真の男性に転換させるため、肛門性交や[[フェラチオ|口交]]によって成人の精液を摂取させるという<ref>[[氏家幹人]]著 『武士道とエロス』 [[講談社]]〈新書〉、2000年、151-152頁　ISBN 978-4-06-149239-4</ref>。
+== 性感染症リスクの高さ・直腸粘膜==
+[[直腸]]の[[粘膜]]は薄いため、肛門挿入等で傷付き[[出血]]しやすく、感染症に感染しやすい。そのため、肛門性交はさまざまな性感染症の感染を広げるリスクが高く<ref name=":0" /><ref name=":1">{{Cite web|和書|title=楽しいセックスライフには、定期的に「HIV検査」を受けよう |url=http://www4.tmsks.jp/event/ |website=楽しいセックスライフには、定期的に「HIV検査」を受けよう |access-date=2023-08-08 |language=ja}}</ref>、性行為は(男性同士の)肛門性行為となる[[男性同性愛者]]や[[両性愛者|両性愛男性]]の[[献血]]は禁じられてきた<ref name=":0" />。HIV感染者のほとんどはゲイ・バイ男性であり、感染経路にはコンドーム無しの肛門性交経由感染が占める<ref name=":1" />。2023年には米国赤十字社は「直近3ヶ月以内の肛門性行為無し」なら献血可に緩和した<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=米赤十字、男性同性愛者ら対象の献血制限撤廃（ＡＦＰ＝時事） |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/f47da74bcf451938f9f98dd71daf1ccf0a82fc72 |website=Yahoo!ニュース |access-date=2023-08-08 |language=ja}}</ref>。
+== 他の生物での例 ==
+[[ボノボ]]は性交や性器への刺激をストレス緩和のコミュニケーション（ホカホカ）の一つとして行っており、一部のオス同士などで、肛門性交が行われていることが確認されている。
+[[軟骨魚綱|軟骨魚類]]、[[両生類]]、[[爬虫類]]、[[鳥類]]および一部の原始的な[[哺乳類]]は[[総排出腔]]が直腸・排尿口・生殖口を兼ね、その中で[[体内受精]]を行うものは総排出腔に陰茎が挿入される。そのため肛門性交は鳥類である[[ニワトリ]]の交尾から「鶏姦」とも呼ばれる。
+== 脚注・出典 ==
+{{脚注ヘルプ}}
+{{Reflist}}
+== 関連項目 ==
+{{commons|Category:Anal sex}}
+* [[浣腸プレイ]]
+* [[性行為]]
+*[[ピストン運動]]
+**[[アナルフィスト]]
+** [[アニリングス]]
+** [[肛内射精]]
+** [[アナニー]]
+* [[疾病]]
+** [[性感染症]]
+** [[痔]]
+** [[直腸脱]]
+** [[炎症性腸疾患]]
+** [[尿路感染症]]
+* [[総排出腔]]
+** [[単孔目]]
+* [[ジョルジェ・マルティノヴィッチ事件]] - アナルオナニー（アナニー）の事故が民族紛争にまで発展した事件
+{{性交体位}}
-[[bg:Анален секс]]
+{{性}}
-[[cs:Anální sex]]
+{{Normdaten}}
-[[da:Analsex]]
+{{DEFAULTSORT:こうもんせいこう}}
-[[de:Analverkehr]]
+[[Category:肛門性愛|*]]
-[[en:Anal sex]]
-[[es:Sexo anal]]
+[[Category:BDSM]]
+[[Category:LGBTの文化]]
-[[fi:Anaaliseksi]]
-[[fr:Sodomie]]
-[[it:Sesso anale]]
-[[lt:Analinis seksas]]
-[[nl:Anale seks]]
-[[pl:Stosunek analny]]
-[[pt:Sexo anal]]
-[[simple:Anal sex]]
-[[sv:Analsex]]
-[[zh:肛交]]

表話編歴人間の性
性別	性 (生物学) 性的二形男性女性性別の割り当て性分化疾患インターセックス
性器	男性器女性器陰茎ヒトの陰茎のサイズ小陰茎症陰核陰核肥大タナー段階第一次性徴第二次性徴
学問	婦人科学泌尿器科学性科学生理学生物学
行為と人間	性行為男性間女性間性行動男性間性交渉者女性間性交渉者日本人の性
ジェンダーアイデンティティ	ジェンダー性とジェンダーの区別性別二元制性役割 Xジェンダークエスチョニングノンバイナリージェンダークィアジェンダー・フルイドアジェンダーシスジェンダートランスジェンダー性別不合第3の性別
性的指向	セクシュアル・アイデンティティ異性愛同性愛レズビアンゲイ両性愛バイセクシュアル男性愛と女性愛多性愛全性愛無性愛恋愛的指向
生理的事象	月経性欲性的興奮オーガズム潮吹き (男性) 潮吹き (女性) 妊娠精通勃起勃起不全射精夢精膣内射精強迫的性行動症更年期障害膣内射精障害
健康と教育	性教育避妊性感染症コンドームセーファーセックス経口避妊薬緊急避妊薬不妊人工妊娠中絶
性的行動	性交前戯後戯性交体位オーラルセックス口内射精シックスナインオナニーペッティング手マン手淫素股アニリングス肛門性交 BDSM 膣内射精膣外射精顔射フィストファックグループセックスサイバーセックス露出狂キメセク性的挿入股間交接
歴史	フェミニスト・セックス戦争性の革命性と生殖に関する健康と権利
法律	風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律売春防止法児童ポルノ禁止法児童福祉法34条1項6号青少年保護育成条例淫行条例性的同意年齢近親相姦性犯罪公然わいせつ罪わいせつ物頒布等の罪不同意わいせつ罪不同意性交等罪性暴力性的暴行強姦輪姦男性への性暴力屍姦性的虐待セクシャルハラスメント AV出演被害防止・救済法 LGBT理解増進法
性的関係と社会	性道徳子供の性アナキズムと性カップルポリアモリー結婚夫婦同性結婚性差別ホモフォビアトランスフォビア性的倒錯フェティシズムキンクロマンス純潔運動セックス・ストライキ色気配偶システム
性風俗産業	売春セックスワーカー娼婦男娼性風俗関連特殊営業ソープランドデリバリーヘルスピンクサロンマッサージパーラーイメージクラブファッションヘルス性風俗産業に対する差別 SM (性風俗) ゴーゴーバー春画アダルトビデオアダルトアニメアダルトゲームエロティカポルノグラフィ買春ツアーアダルトグッズショップ性具ダッチワイフディルドペニスバンドオナホール貞操帯セックスボット日本のポルノ
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