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[[新横浜ラーメン博物館]]によれば、京都ラーメンは1938年に[[京都駅]]付近で[[中国]][[浙江省]]出身の徐永俤が始めた屋台が発祥であると言う。この人物が京都駅東方の[[下京区]][[塩小路通|塩小路]][[高倉通|高倉]](通称、高橋・たかばし)に「新福菜館」を出店し、現在に至っている<ref group = *>『京都ラーメン物語』、『京都のラーメンはカルチャーだ』では1945年「創業」としているが、新横浜ラーメン博物館は1944年「出店」としている。『京都ルール』p.49では1938年「創業」としている。</ref>。 |
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その後、スープの表面に豚の背脂を散らしたラーメンが[[1949年]]創業の「ますたに」から広まり、京都ラーメンのもう一つのスタイルとなる。「背脂ラーメン」または「チャッチャ系ラーメン」(背脂を散らす時の様子からの命名)などと呼ばれる。[[エッセイスト]][[入江敦彦]]の「やっぱり京都人だけが知っている<ref>入江敦彦著:やっぱり京都人だけが知っている 洋泉社新書y ISBN |
その後、スープの表面に豚の背脂を散らしたラーメンが[[1949年]]創業の「ますたに」から広まり、京都ラーメンのもう一つのスタイルとなる。「背脂ラーメン」または「チャッチャ系ラーメン」(背脂を散らす時の様子からの命名)などと呼ばれる。[[エッセイスト]][[入江敦彦]]の「やっぱり京都人だけが知っている<ref>入江敦彦著:やっぱり京都人だけが知っている 洋泉社新書y ISBN 978-4896916249</ref>」では、「京都のラーメンは日本一こってりしている」とされる。 |
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[[1971年]]に創業した『[[天下一品]]』は、[[醤油]]ラーメンとは言い難い濃厚な鶏ガラスープが特徴であるが、これは70年代初期に京都で流行った鶏ガラ白湯ブームのスープをベースとしている(実際、現在の店舗でも創業当初の味を再現したラーメンが提供されており、そちらは典型的な京都の鶏ガラ白湯スープで現在のスープと比較するとかなり濃度は薄い)。現在は、京都を代表するラーメンチェーンの一つに成長し、日本全国に店舗展開している。 |
[[1971年]]に創業した『[[天下一品]]』は、[[醤油]]ラーメンとは言い難い濃厚な鶏ガラスープが特徴であるが、これは70年代初期に京都で流行った鶏ガラ白湯ブームのスープをベースとしている(実際、現在の店舗でも創業当初の味を再現したラーメンが提供されており、そちらは典型的な京都の鶏ガラ白湯スープで現在のスープと比較するとかなり濃度は薄い)。現在は、京都を代表するラーメンチェーンの一つに成長し、日本全国に店舗展開している。 |
2018年6月11日 (月) 01:09時点における版
京都ラーメン(きょうとラーメン)とは、日本の京都府京都市を中心に提供・消費されるラーメンの総称である。京都ではラーメンが人気が有り、京都府・滋賀県を対象としたタウン情報誌『Leaf』によれば、2013年現在、年間約50店舗の開店がみられているという[1]。
概要
京都ラーメンは、こってりと濃厚なスープが特徴である[2]。京料理をイメージした薄味のラーメンが京都人ではない人物の手で発案[3]されたものの、薄味のラーメンは京都では少数派[4]である。ラーメン研究家の大崎裕史はこれを「京風ラーメン」としているほか[5]、京風ラーメンで著名であった「京都あかさたな」も「和風」または「京風」を名乗っている[6]。『京都ルール』ではこれらを「京都っぽいイメージを模しただけ」とし、当の京都人はこれを京都ラーメンとは認めていないと解説している[7]。
新横浜ラーメン博物館によれば、京都ラーメンは1938年に京都駅付近で中国浙江省出身の徐永俤が始めた屋台が発祥であると言う。この人物が京都駅東方の下京区塩小路高倉(通称、高橋・たかばし)に「新福菜館」を出店し、現在に至っている[* 1]。
その後、スープの表面に豚の背脂を散らしたラーメンが1949年創業の「ますたに」から広まり、京都ラーメンのもう一つのスタイルとなる。「背脂ラーメン」または「チャッチャ系ラーメン」(背脂を散らす時の様子からの命名)などと呼ばれる。エッセイスト入江敦彦の「やっぱり京都人だけが知っている[8]」では、「京都のラーメンは日本一こってりしている」とされる。
1971年に創業した『天下一品』は、醤油ラーメンとは言い難い濃厚な鶏ガラスープが特徴であるが、これは70年代初期に京都で流行った鶏ガラ白湯ブームのスープをベースとしている(実際、現在の店舗でも創業当初の味を再現したラーメンが提供されており、そちらは典型的な京都の鶏ガラ白湯スープで現在のスープと比較するとかなり濃度は薄い)。現在は、京都を代表するラーメンチェーンの一つに成長し、日本全国に店舗展開している。
麺については、かん水の少ない、ストレートのやや細めの角麺が多い(この麺のルーツは第一旭と思われる)。また、存在感が希薄で、しかも柔らかすぎだ、などと言われることがあるという[9]。
左京区一乗寺・東大路通界隈[10]は「ラーメン激戦区」、「ラーメン街道」、「ラーメンストリート」などと言われ、多くの店舗が競合している[11][12][13][14][15][16]。『Leaf』では、伏見区も激戦区であるとしている[17]。
主なチェーン店など
新福菜館
本店1軒のみで、本店は京都駅東方の下京区塩小路高倉(通称、たかばし)。創業は1938年[* 2]、店舗形態での営業開始は1945年と古く、京都一の老舗、京都ラーメンの源流・ルーツなどと言われる[18]が現在の多くの京都のラーメン店が採用している麺よりもやや太めの麺を採用している。鶏ガラと豚骨をダシとし、醤油だれに叉焼(煮豚)作った際の煮汁を加えているのが特徴で、色はかなり黒く、独特の香ばしさとわずかなほろ苦さがあるスープが特徴。見た目はこってりであるが実際に食すとあっさり味であるという京都ラーメンの一風潮を作ったと評する文献もある[18]。第一旭本店とは隣同士という立地である[19][20][21][22][23][24]。過去にチェーン展開をしていたこともあるが、現在はしていない。ただし、暖簾分けは行っており、「新福菜館」を名乗る店は全国に十数店舗存在する。
本家第一旭
本店1軒のみで、本店は前述の通り新福菜館本店の隣に立地。創業は1953年[25]という老舗であり、当時は「旭食堂」という洋食屋であったが、1956年からラーメン専門店となった[26]。麺はストレートの角麺でやや細く、現在でも多くの京都のラーメン店が同じ様式の麺を使っており、ここがルーツと思われる。豚骨、豚肉を出汁としてタマネギを加え、タレは醤油ベース。創業者一族が、暖簾分けで店舗を出したり、また一部の暖簾分け店舗がチェーン展開をしたりしたため、「第一旭」を名乗る店は全国に数十店舗存在する(一説によると細かく分けると6系統有るという)。また「たかばしらーめん」を名乗るチェーン店も派生店である。『さすがといわせる京都選抜グルメ 2014』によれば、2013年時点で京都屈指の人気店であるとのこと[27][28][29]。
ますたに
左京区銀閣寺地域に店舗を構え、背脂ラーメンの元祖と言われる。1947年に屋台からはじめ、1949年に店舗で創業した老舗であり、スープは鶏ガラベースの背脂醤油。チェーン店のほか、のれん分けも行なっている[30][31][32]。また、この店で修行した後にラーメン店を起こした店主も多い。
天下一品
チェーン店。1971年の創業時は左京区銀閣寺近辺の屋台であった。麺にからみつく濃厚なスープが特徴である。2018年04月14日 現在、239店舗[33][34]。
ラーメン横綱
チェーン店。1972年の創業時は南区吉祥院近辺の屋台であった。関西以外に東海地方や千葉県にも展開。2012年時点で30店舗以上となっている。ラーメンは豚骨醤油味[35][36][37][38]。
ラーメン魁力屋
チェーン店。2005年に北白川店(京都府京都市左京区一乗寺)を開店[39]。2017年8月11日現在、79店舗を日本全国に展開[40]。「京都北白川背脂醤油ラーメン」を標榜しており、醤油味の鶏ガラスープに背脂を入れた醤油味で、麺は中細ストレートのものを使用している[41]。醤油ラーメン系では来来亭に次いで店舗数が多い。
京都拉麺小路
京都駅ビルの10階に展開するラーメンのフードテーマパーク。京都のラーメン店に加えて日本各地のラーメン店が出店しており、2012年現在、8店舗が営業中である[42][43][44]。
来来亭
チェーン店。創業1997年。元々は京都府京都市伏見区深草にあったラーメン店。本店は潰れたが、当時、野洲店の店主だった現在の社長が創業者から店名とレシピ(ちなみに創業者は「ほそかわ」で修行をしたといわれている)、野洲店の権利を買い取り、引き継いだ。暖簾分け店舗も含め、2017年11月現在、関東から鹿児島県にかけての32都府県に出店している。店舗数は234。[45][46]「京都風醤油ラーメン」を標榜するそのラーメンは、醤油味のあっさりした鶏ガラスープに背脂を入れ、麺は細麺を使用しており、いわゆる典型的な京都の「背脂ラーメン」といえる。
脚注
注釈
出典
- ^ 『Leaf』 2013年3月号 p.22 リーフ・パブリケーションズ
- ^ こちらの外部リンクも参照。
- ^ 外部リンク
- ^ 外部リンク先では、存在することは認めているが少数派とは断定されていない。
- ^ 『無敵のラーメン論』(講談社現代新書)
- ^ 新横浜ラーメン博物館
- ^ pp.48-49「ルール12 "京風"は許さない」より引用。
- ^ 入江敦彦著:やっぱり京都人だけが知っている 洋泉社新書y ISBN 978-4896916249
- ^ 『やっぱり京都人だけが知っている』
- ^ 『左京区さんぽ』pp.88-89
- ^ 『ほんとにおいしい京都の100ラーメン』p.48、『叡電ゆるり各駅めぐり』p.33、『京都ラーメン物語』p.41、p.47、『おこしやす京都』p.76など。『ぞっこん!めんライフ。』p.102では、ラーメン店がコンビニエンスストアよりも多いと紹介している。『左京区さんぽ』p.88によれば、関西でも屈指の激戦区。
- ^ 『ほんとにおいしい京都の100ラーメン。』pp.2-7 - この節全体について。
- ^ 『無敵のラーメン論』- この節全体について。
- ^ 『裏京都検定』pp.54-56 - 麺の傾向、背脂・チャッチャ系について。
- ^ 新横浜ラーメン博物館「京都ラーメン」 - 京風ラーメン、麺の傾向、新福菜館について。
- ^ 『京都新聞』「探検余話」 - 京都ラーメンはこってりの傾向があることについて。
- ^ 『Leaf』 2014年7月号 p.33
- ^ a b 『京都のラーメンはカルチャーだ』p.124
- ^ 『京都ラーメン物語』 p.98
- ^ 『京都のラーメンはカルチャーだ』 p.124
- ^ 『最新ラーメンの本 関西版 vol.2』 p.85
- ^ 新横浜ラーメン博物館「京都ラーメン」
- ^ 「ラーメン探検 30 新福菜館」
- ^ 『京都ルール』 p.49
- ^ 『京都のラーメンはカルチャーだ』
- ^ 「ラーメン探検 4 本家第一旭」
- ^ 『京都ラーメン物語』 p.100
- ^ 『京都のラーメンはカルチャーだ』 p.126
- ^ 『さすがといわせる京都選抜グルメ 2014』 p.228 なお、発行年が2013年11月であるため、本文中では「2013年時点」とした。
- ^ 『京都ラーメン物語』 p.54
- ^ 『ほんとにおいしい京都の100ラーメン』 p.5, p.49
- ^ 「ラーメン探検 5 ますたに」
- ^ 『京都のラーメンはカルチャーだ』 p.24
- ^ “天下一品検索”. 株式会社天下一品. 2018年4月16日閲覧。 - 店舗数について。
- ^ 『京都ラーメン物語』 p.152
- ^ 『京都のラーメンはカルチャーだ』 p.136
- ^ 『ほんとにおいしい京都の100ラーメン』 p.104
- ^ “ラーメン横綱 店舗ご案内-「ラーメン横綱」店舗一覧”. 株式会社 横 綱. 2012年2月26日閲覧。 - 店舗の展開と店舗数について。
- ^ “らーめん魁力屋 企業情報”. 魁力屋. 2017年8月11日閲覧。
- ^ “らーめん魁力屋 店舗情報”. 魁力屋. 2017年8月11日閲覧。
- ^ “京都北白川の元祖背脂醤油ラーメン、魁力屋のサイト 魁力屋のこだわり”. 魁力屋. 2017年8月11日閲覧。
- ^ “ラーメン店のご紹介”. 京都拉麺小路. 2012年2月26日閲覧。
- ^ 『京都のラーメンはカルチャーだ』 p.170
- ^ 『ほんとにおいしい京都の100ラーメン』pp.10-13
- ^ “来来亭店舗検索”. 来来亭. 2018年4月16日閲覧。
- ^ “「来来亭」全店、創業20周年大感謝祭開催”. PR TIMES. 2018年4月16日閲覧。
参考文献
- アリカ(編)、2009、『京都 左京区さんぽ』、リベラル社 ISBN 978-4434135743
- 入江敦彦、2006、『裏京都検定』、幻冬舎 ISBN 978-4344012202
- 入江敦彦、2002、『やっぱり京都人だけが知っている』、洋泉社 ISBN 4-89691-624-7 pp. 「ラーメン - こってり進化論」
- 大崎裕史、2002、「ラーメンの日本地図」、『無敵のラーメン論』、講談社 ISBN 4-06-149595-X
- 門上武司、2013、『さすがといわせる京都選抜グルメ 2014』、ジェイティビィパブリッシング ISBN 978-4533094422
- 京都新聞出版センター、2002、『京都ラーメン物語』、京都新聞出版センター ISBN 4-7638-0509-6
- 京都新聞出版センター、2007、『京都のラーメンはカルチャーだ』、京都新聞出版センター ISBN 978-4-7638-0595-9
- 京阪神エルマガジン社、2011、『ぞっこん!めんライフ。 - 京阪神のしあわせな270玉。』、京阪神エルマガジン社
- 都会生活研究プロジェクト [京都チーム]、2011、「ルール12 "京風" は許さない」、『京都ルール』、中径出版 ISBN 978-4-8061-4208-9 pp. 48-49
- 福田光一、ATU(編)、2011、『最新ラーメンの本 関西版』2、交通タイムス社 ISBN 978-4875148661
- ヨシダカツミ、山村純也(編)、2007、『叡電ゆるり各駅めぐり』021、 〈ポケットに京都ひとつ らくたび文庫〉
- リーフ・パブリケーションズ、廣田幸祐 他(編)、2003、『ほんとにおいしい京都の100ラーメン。』、リーフ・パブリケーションズ
- リーフ・パブリケーションズ、寺下優子 他(編)、2010、『おこしやす京都』、リーフ・パブリケーションズ
- 『京都新聞』「ラーメン探検」 4 第一旭本店 (1993年6月25日夕刊)、5 ますたに (1993年7月2日夕刊)、30 新福菜館 (1993年12月24日夕刊)、探検余話 (1993年8月7日) - 京都新聞のラーメン好きの8人の記者が主に京都のラーメン各店舗の取材などを行う企画。
外部リンク
- “全国ご当地ラーメン 京都ラーメン”. 新横浜ラーメン博物館 (2006年). 2012年2月28日閲覧。