コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「プルヌス・アフリカナ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
導入部: くどいので手直し。
テンプレートの修正
 
(6人の利用者による、間の20版が非表示)
6行目: 6行目:
| status = VU2.3
| status = VU2.3
| status_ref = <ref name="iucn">World Conservation Monitoring Centre (1998).</ref>
| status_ref = <ref name="iucn">World Conservation Monitoring Centre (1998).</ref>
| status_text = [[絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約|ワシントン条約]]附属書II
| 分類体系 = [[APG III]]
| 分類体系 = [[APG IV]]
| 界 = [[植物界]] {{Sname||Plantae}}
| 界 = [[植物界]] {{Sname||Plantae}}
| 門 = ([[維管束植物]] {{Sname||Tracheophyta}})<ref name="iucn" />
| 門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||angiosperms}}
| 門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||angiosperms}}
| 綱 = ([[双子葉植物綱]] {{Sname||Magnoliopsida}}<ref name="iucn" /> <small>([[クロンキスト体系]])</small>)
| 綱階級なし = [[真正双子葉類]] {{Sname||eudicots}}
| 綱階級なし = [[真正双子葉類]] {{Sname||eudicots}}
| 亜綱階級なし = [[バラ類]] {{Sname||rosids}}
| 亜綱階級なし = [[コア真正双子葉類]] {{Sname||core eudicots}}
| 下綱階級なし = [[バラ上群]] {{Sname||superrosids}}
| 団階級なし = [[バラ類]] {{Sname||rosids}}
| 上目階級なし = [[マメ類]] {{Sname||fabids}} / rosid I
| 目 = [[バラ目]] {{Sname||Rosales}}<ref name="iucn" />
| 目 = [[バラ目]] {{Sname||Rosales}}<ref name="iucn" />
| 科 = [[バラ科]] {{Sname||Rosaceae}}<ref name="iucn" />
| 科 = [[バラ科]] {{Sname||Rosaceae}}<ref name="iucn" />
21行目: 23行目:
}}
}}


'''プルヌス・アフリカナ'''<ref>[http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/20180131_teishikankoku_wayaku.pdf ワシントン条約事務局発出の取引停止勧告対象国と勧告内容(2018年1月30日更新)]. {{Accessdate|2018-04-22}}</ref>あるいは'''プルヌス・アフリカーナ'''(''Prunus africana'')は[[バラ科]][[サクラ属]]の[[常緑樹]]の一種である。[[シノニム]]に'''ピュゲウム・アフリカナム'''(''Pygeum africanum'')がある<ref>''The Plant List'' (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ {{Accessdate|2018-04-22}}</ref>が、その属名の音写である'''ピジウム'''、'''パイゲウム'''、'''パイジウム'''、'''ピゲウム'''、'''ピジューム'''や、[[英語]]名 {{Lang|en|African cherry}} や {{Lang|en|African plum}} の音写'''[[アフリカンチェリー]]'''および'''[[アフリカンプラム]]'''、また別の英名 {{Lang|en|African prune}} の音写に類似した'''アフリカプルーン'''としても知られている。
'''プルヌス・アフリカナ'''<ref>[http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/download/20180131_teishikankoku_wayaku.pdf ワシントン条約事務局発出の取引停止勧告対象国と勧告内容(2018年1月30日更新)]. {{Accessdate|2018-04-22}}</ref> あるいは'''プルヌス・アフリカーナ'''(''Prunus africana'')は[[バラ科]][[サクラ属]]の[[常緑樹]]の一種である。[[シノニム]]に'''ピュゲウム・アフリカナム'''(''Pygeum africanum'')がある<ref>''The Plant List'' (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ {{Accessdate|2018-04-22}}</ref> が、その属名の音写である'''ピジウム'''、'''パイゲウム'''、'''パイジウム'''、'''ピゲウム'''、'''ピジューム'''や、[[英語]]名 {{Lang|en|red stinkwood}} や {{Lang|en|African cherry}}、{{Lang|en|African plum}} の音写'''レッド・スティンクウッド'''<ref>リズデイルら (2007).</ref>、'''[[アフリカンチェリー]]''''''[[アフリカンプラム]]'''、また別の英名 {{Lang|en|African prune}} の音写に類似した'''アフリカプルーン'''としても知られている。[[ケニア]]での名称から'''ムエリ'''(mueri)ともいう<ref name="Nettai">{{Harvcoltxt|熱帯植物研究会|1996}}.</ref>


[[アフリカ]]の主に山林に生育し(参照: [[#分布]])、伝統的に木材や薬として用いられ、[[前立腺肥大症]]の治療をはじめとする医学的な需要から[[ヨーロッパ]]向けに樹皮の採取が行われるようにもなった(参照: [[利用]])が、一方で保全状況に関する懸念も指摘され、[[ワシントン条約]]附属書IIに指定され、また[[IUCNレッドリスト]]においては Vulnerable とされるなど、将来的に絶滅する恐れがあると見る機関が存在する(参照: [[#保全状況]])。
[[アフリカ]]の主に山林に生育し(参照: [[#分布]])、伝統的に木材や薬として用いられ、[[前立腺肥大症]]の治療をはじめとする医学的な需要から[[ヨーロッパ]]向けに樹皮の採取が行われるようにもなった(参照: [[#利用]])が、一方で保全状況に関する懸念も指摘され、[[ワシントン条約]]附属書IIに指定され、また[[IUCNレッドリスト]]においては[[危急種]](Vulnerable)とされるなど、将来的に絶滅する恐れがあると見る機関が存在する(参照: [[#保全状況]])。


== 分布 ==
== 分布 ==
[[アンゴラ]]、[[ウガンダ]]、[[エチオピア]]、[[カメルーン]]、[[ケニア]]、[[コンゴ民主共和国]]、[[サントメ・プリンシペ]]([[サントメ島]])、[[ザンビア]]、[[ジンバブエ]]、[[スーダン]]、[[スワジランド]]、[[赤道ギニア]]([[ビオコ島]])、[[タンザニア]]、[[ブルンジ]]、[[マダガスカル]]、[[南アフリカ共和国]]([[クワズール・ナタール州]]、[[ハウテン州]]、[[東ケープ州]]、[[ムプマランガ州]]、[[リンポポ州]])、[[南スーダン]]、[[モザンビーク]]、[[ルワンダ]]、[[レソト]]に分布する<ref name="iucn" />。高度1800-2200メートルの山林に見られ、[[ツツジ科]]の ''[[species:Agarista salicifolia|Agarista salicifolia]]'' (syn. ''[[species:Agauria salicifolia|Agauria salicifolia]]'') や[[モチノキ科]][[モチノキ属]]の ''[[species:Ilex mitis|Ilex mitis]]''、[[ヤマモモ科]]の ''[[species:Myrica arborea|Myrica arborea]]'' など10種ほどとともに汎アフリカ的な山地の[[高木]]の一つである<ref name="iucn" />。[[草原]]にも見られる<ref name="m&t">Maundu & Tengnäs (2005).</ref>。
[[アンゴラ]]、[[ウガンダ]]、[[エチオピア]]、[[カメルーン]]、[[ケニア]]、[[コンゴ民主共和国]]、[[サントメ・プリンシペ]]([[サントメ島]])、[[ザンビア]]、[[ジンバブエ]]、[[スーダン]]、[[スワジランド]]、[[赤道ギニア]]([[ビオコ島]])、[[タンザニア]]、[[ブルンジ]]、[[マダガスカル]]、[[南アフリカ共和国]]([[クワズール・ナタール州]]、[[ハウテン州]]、[[東ケープ州]]、[[ムプマランガ州]]、[[リンポポ州]])、[[南スーダン]]、[[モザンビーク]]、[[ルワンダ]]、[[レソト]]に分布する<ref name="iucn" />。高度1800-2200メートルの山林に見られ、[[ツツジ科]]の ''[[species:Agarista salicifolia|Agarista salicifolia]]'' ([[シノニム]]: ''[[species:Agauria salicifolia|Agauria salicifolia]]'') や[[モチノキ科]][[モチノキ属]]の ''[[species:Ilex mitis|Ilex mitis]]''、[[ヤマモモ科]]の ''[[species:Myrica arborea|Myrica arborea]]'' など10種ほどとともに汎アフリカ的な山地の[[高木]]の一つである<ref name="iucn" />。[[草原]]にも見られる<ref name="m&t">Maundu & Tengnäs (2005).</ref>。


上記の国々のほか、[[ガーナ]]や[[コモロ]]の[[グランドコモロ島]]、[[マラウイ]]においても見られるとする文献が存在する<ref name="mmi">Iwu (2014).</ref>。
上記の国々のほか、[[ガーナ]]や[[コモロ]]の[[グランドコモロ島]]、[[マラウイ]]においても見られるとする文献が存在する<ref name="mmi">Iwu (2014).</ref>。
35行目: 37行目:
|date=2018年4月}}
|date=2018年4月}}


樹皮は不規則なうろこ状で、[[コルク]]質。末端の枝では空気を通す機能を持つ{{仮リンク|皮目|en|Lenticel}}{{Lang-en-short|lenticels}}によりまだら模様になる<ref name="lpm1994">Mbuya ''et al.'' (1994).</ref><ref>{{Harvcoltxt|Quattrocchi|2012}}.</ref>。
樹皮は不規則なうろこ状で、[[コルク]]質。末端の枝では{{仮リンク|皮目|en|Lenticel}}<ref group="注">{{Lang-en-short|lenticels}}。空気を通す機能を有する。[[樹皮]]の項も参照。</ref> によりまだら模様になる<ref name="lpm1994">Mbuya ''et al.'' (1994).</ref><ref>{{Harvcoltxt|Quattrocchi|2012}}.</ref>。


葉は深緑色、表面は革質で光沢があり、浅い[[鋸葉]]がある。葉を潰すと[[苦扁桃]]の香りがし<ref name="lpm1994" />、[[葉柄]]は通常ピンク色から赤茶色である<ref name="m&t" />。
葉は単葉で楕円形<ref name="Nettai" />、深緑色、表面は革質で光沢があり、浅い[[鋸葉]]がある。葉を潰すと[[苦扁桃]]の香りがし<ref name="lpm1994" />、[[葉柄]]は通常ピンク色から赤茶色である<ref name="m&t" />。


花序は長さ約8センチメートル。花は非常に小さくて緑白色、芳香がある<ref name="lpm1994" />。
花序は長さ約8センチメートル。花は非常に小さくて緑白色、芳香がある<ref name="lpm1994" />。
50行目: 52行目:
* Kuhn & Winston (2008) などを参考とした成分とその作用についての加筆
* Kuhn & Winston (2008) などを参考とした成分とその作用についての加筆
|date=2018年4月}}
|date=2018年4月}}

ピジウムは[[西アフリカ]]や[[中央アフリカ]]の伝統医学において[[マラリア]]や[[淋病]]、[[精神異常]]、[[矢毒]]、[[腹痛]]、[[腎疾患]]に対して、また生傷を覆うものや食欲増進剤、[[下剤]]として用いられてきたが<ref name="mmi" />、特に[[1990年代]]に[[前立腺肥大症]](BPH)の治療薬として脚光を浴びた<ref name="mmi" />。前立腺肥大症の関係する合併症の薬剤の製造のために、[[ケニア]]を含むアフリカ諸国から本種の樹皮が輸出されている<ref name="m&t" />。[[カメルーン山]]で採取された樹皮から粉が抽出されて[[フランス]]の会社向けに輸出されている<ref name="mmi" />が、樹皮の採取をめぐっては後述のように懸念要素も存在する(参照: [[#保全状況]])。
ピジウムは[[西アフリカ]]や[[中央アフリカ]]の伝統医学において[[マラリア]]や[[淋病]]、[[精神障害|精神異常]]、[[矢毒]]、[[腹痛]]、[[腎疾患]]に対して、また生傷を覆うものや食欲増進剤、[[下剤]]として用いられてきたが<ref name="mmi" />、特に[[1990年代]]に[[前立腺肥大症]](BPH)の治療薬として脚光を浴びた<ref name="mmi" />。前立腺肥大症の関係する合併症の薬剤の製造のために、[[ケニア]]を含むアフリカ諸国から本種の樹皮が輸出されている<ref name="m&t" />。[[カメルーン山]]で採取された樹皮から粉が抽出されて[[フランス]]の会社向けに輸出されている<ref name="mmi" /> が、樹皮の採取をめぐっては後述のように懸念要素も存在する(参照: [[#保全状況]])。


ケニアの[[キクユ人]]はかつて樹皮を[[肝臓]]の疾患に対して、また下剤の作用を止めるために用いており<ref name="lsbl">Leakey (1977).</ref>、近年では[[ニエリ (カウンティ)|ニエリ県]]において樹皮や葉の煎じ汁が食欲増進の目的で、また[[前立腺]]の問題、[[胃]]の疾患10種、[[便秘]]、マラリアなどに対して処方されているとの報告がある<ref>Kamau ''et al.'' (2016).</ref>。
ケニアの[[キクユ人]]はかつて樹皮を[[肝臓]]の疾患に対して、また下剤の作用を止めるために用いており<ref name="lsbl">Leakey (1977).</ref>、近年では[[ニエリ (カウンティ)|ニエリ県]]において樹皮や葉の煎じ汁が食欲増進の目的で、また[[前立腺]]の問題、[[胃]]の疾患10種、[[便秘]]、マラリアなどに対して処方されているとの報告がある<ref>Kamau ''et al.'' (2016).</ref>。


=== その他の用途 ===
=== その他の用途 ===
[[ウガンダ]]、[[エチオピア]]、[[ケニア]]、[[タンザニア]]では[[薪]]、[[木炭]]、[[建材]]、[[柱]]、[[臼]]などの道具類、[[ミツバチ]]の餌、[[防風林]]用に植樹するなどの用途で用いられる<ref name="b-t">Bekele-Tesemma (2007).</ref><ref name="abk">Katende ''et al.'' (2000).</ref><ref name="m&t" /><ref name="lpm1994" />。
[[ウガンダ]]、[[エチオピア]]、[[ケニア]]、[[タンザニア]]では[[薪]]、[[木炭]]、[[建材]]、[[柱]]、[[臼]]などの道具類、[[ミツバチ]]の餌、[[防風林]]用に植樹するなどの用途で用いられる<ref name="m&t" /><ref name="lpm1994" /><ref name="b-t">Bekele-Tesemma (2007).</ref><ref name="abk">Katende ''et al.'' (2000).</ref>。


ケニア南部のキクユ人の場合は[[サトウキビ]]酒用のつき臼<ref name="tgb">{{Harvcoltxt|Benson|1964}}.</ref><ref name="lsbl" />をはじめとして[[斧]]の柄<ref name="lsbl" />や家具<ref name="tgb" />、[[ワゴン (荷台)|ワゴン]]<ref name="tgb" />を作るための[[材木]]として用いていた。
ケニア南部のキクユ人の場合は[[サトウキビ]]酒用のつき臼<ref name="lsbl" /><ref name="tgb">{{Harvcoltxt|Benson|1964}}.</ref> をはじめとして[[斧]]の柄<ref name="lsbl" /> や家具<ref name="tgb" />、[[ワゴン (荷台)|ワゴン]]<ref name="tgb" /> を作るための[[材木]]として用いていた。


== 保全状況 ==
== 保全状況 ==
{{Vulnerable|IUCN=2.3|ref=<ref name="iucn" />}}
World Conservation Monitoring Centre (1998) によると、[[ヨーロッパ]]向けの薬市場のための樹皮の採集は本種の存続に対する脅威となっている。[[カメルーン山]]を含む分布域の一部においては樹皮が輪状に剥ぎ取られた結果多くの個体が枯死してしまっている<ref name="iucn" />。ただカメルーン山の場合は、詳細な調査の上で精力的な植樹活動が行われている<ref name="iucn" />。[[IUCNレッドリスト]]における本種の評価は Vulnerable とされているが、Cable & Cheek (1998) は広大な分布域内のどこかに山林が存在している限りはとても絶滅の危機に瀕しているとはいえないと主張し、せいぜい Vulnerable よりも深刻度の低い Lower Risk, near threatened の位置づけとするのが妥当であると提案を行っている<ref name="iucn" />。
World Conservation Monitoring Centre (1998) によると、[[ヨーロッパ]]向けの薬市場のための樹皮の採集は本種の存続に対する脅威となっている。[[カメルーン山]]を含む分布域の一部においては樹皮が輪状に剥ぎ取られた結果多くの個体が枯死してしまっている<ref name="iucn" />。ただカメルーン山の場合は、詳細な調査の上で精力的な植樹活動が行われている<ref name="iucn" />。[[IUCNレッドリスト]]における本種の評価は[[危急種]](Vulnerable)とされているが、Cable & Cheek (1998) は広大な分布域内のどこかに山林が存在している限りはとても絶滅の危機に瀕しているとはいえないと主張し、せいぜい危急種よりも深刻度の低い[[準絶滅危惧]](Lower Risk, near threatened)の位置づけとするのが妥当であると提案を行っている<ref name="iucn" />。


プルヌス・アフリカナは1995年には採取の[[持続可能性]]についての懸念(Cunningham & Mbenkum 1993)から、[[ワシントン条約]]附属書IIに記載されることとなった<ref name="mr2017">Rousseau ''et al.'' (2017:136).</ref>。本種がIUCNレッドリストに vulnerable (A1cd) の位置づけで初めて掲載されたのも1995年から2006年までの時期においてのことであった<ref>Cunningham ''et al.'' (2014:6).</ref>。2007年から[[ヨーロッパ連合]](EU)により実施されたプルヌス・アフリカナの輸入禁止措置は長期にわたって継続されていれば幹の状態の回復につながっていたと推定されている<ref>Cunningham ''et al''. (2014:3, 6 ,9).</ref>が、結局[[私企業]]やカメルーン政府からの圧力によって2011年にこの禁輸措置は解除され、主要産出国のための割り当てが設定されている(Cunningham ''et al.'' 2014)<ref name="mr2017" />。EUの輸入禁止措置を覆すために、カメルーンのエリートやヨーロッパの製薬会社が[[ロビー活動]]や弁舌を盛んに展開したのであった<ref>Cunningham ''et al.'' (2014:6f).</ref>。2012年時点でワシントン条約は[[ウガンダ]]、カメルーン、[[コンゴ民主共和国]]には輸出を許可する一方で[[ケニア]]、[[赤道ギニア]]、[[ブルンジ]]、[[マダガスカル]]には割り当てを認めていなかったが、これにより生じたプルヌス・アフリカナ樹皮の世界的な不足が樹皮の価格高騰につながり、プルヌス・アフリカナ樹皮市場におけるカメルーンの世界シェアの割合も増大した<ref>Cunningham ''et al.'' (2014:9).</ref>。ワシントン条約附属書IIの2017年10月4日から有効となっている版においては種子や花粉、苗木、人工繁殖させた個体の切り花を除く全部位の取引に制限が設けられている<ref>{{Cite web|title=Appendices|url=https://cites.org/eng/app/appendices.php|publisher=CITES|accessdate=2018-04-25}}</ref>。
プルヌス・アフリカナは1995年には採取の[[持続可能性]]についての懸念(Cunningham & Mbenkum 1993)から、[[ワシントン条約]]附属書IIに記載されることとなった<ref name="mr2017">Rousseau ''et al.'' (2017:136).</ref>。本種がIUCNレッドリストに vulnerable (A1cd) の位置づけで初めて掲載されたのも1995年から2006年までの時期においてのことであった<ref>Cunningham ''et al.'' (2014:6).</ref>。2007年から[[ヨーロッパ連合]](EU)により実施されたプルヌス・アフリカナの輸入禁止措置は長期にわたって継続されていれば幹の状態の回復につながっていたと推定されている<ref>Cunningham ''et al''. (2014:3, 6 ,9).</ref> が、結局[[企業|私企業]]やカメルーン政府からの圧力によって2011年にこの禁輸措置は解除され、主要産出国のための割り当てが設定されている(Cunningham ''et al.'' 2014)<ref name="mr2017" />。EUの輸入禁止措置を覆すために、カメルーンのエリートやヨーロッパの製薬会社が[[ロビー活動]]や弁舌を盛んに展開したのであった<ref>Cunningham ''et al.'' (2014:6f).</ref>。2012年時点でワシントン条約は[[ウガンダ]]、カメルーン、[[コンゴ民主共和国]]には輸出を許可する一方で[[ケニア]]、[[赤道ギニア]]、[[ブルンジ]]、[[マダガスカル]]には割り当てを認めていなかったが、これにより生じたプルヌス・アフリカナ樹皮の世界的な不足が樹皮の価格高騰につながり、プルヌス・アフリカナ樹皮市場におけるカメルーンの世界シェアの割合も増大した<ref>Cunningham ''et al.'' (2014:9).</ref>。ワシントン条約附属書IIの2017年10月4日から有効となっている版においては種子や花粉、苗木、人工繁殖させた個体の切り花を除く全部位の取引に制限が設けられ得る状態とされている<ref>{{Cite web|title=Appendices|url=https://cites.org/eng/app/appendices.php|publisher=CITES|accessdate=2018-06-05}}</ref>。


== 名称 ==
== 諸言語における名称 ==
本種を指す[[英語]]名には以下のように様々なものが存在する。
本種を指す[[英語]]名には以下のように様々なものが存在する。
* {{Lang|en|red stinkwood<ref name="b-t" /><ref name="tgb" /><ref name="mc2009" /><ref name="mmi" /><ref name="abk" /><ref name="lsbl">Leakey (1977).</ref><ref name="l&e-l">{{Harvcoltxt|Lewis|Elvin-Lewis|2003|p=533}}.</ref><ref name="m&t" /><ref name="lpm1994" /><ref name="iucn" />、African cherry<ref name="mc2009" /><ref name="mmi" /><ref>Rousseau ''et al.'' (2017).</ref><ref name="iucn" />、African plum<ref name="CABI">{{Harvcoltxt|CABI|2013}}.</ref><ref name="mc2009" /><ref>de Boer (2008:6).</ref><ref name="k&w">{{Harvcoltxt|Kuhn|Winston|2008}}.</ref>、African prune<ref name="mc2009" /><ref name="mmi" /><ref name="k&w" />、iron wood<ref name="mc2009" /><ref name="mmi" />、African Almond<ref name="iucn" />、African plum tree<ref name="l&e-l" />、bitter almond<ref name="mmi" />}}
* {{Lang|en|red stinkwood<ref name="iucn" /><ref name="m&t" /><ref name="mmi" /><ref name="lpm1994" /><ref name="mc2009" /><ref name="lsbl">Leakey (1977).</ref><ref name="b-t" /><ref name="abk" /><ref name="tgb" /><ref name="l&e-l">{{Harvcoltxt|Lewis|Elvin-Lewis|2003|p=533}}.</ref>、African cherry<ref name="iucn" /><ref name="mmi" /><ref name="mc2009" /><ref>Rousseau ''et al.'' (2017).</ref>、African plum<ref name="mc2009" /><ref name="CABI">{{Harvcoltxt|CABI|2013}}.</ref><ref>de Boer (2008:6).</ref><ref name="k&w">{{Harvcoltxt|Kuhn|Winston|2008}}.</ref>、African prune<ref name="mmi" /><ref name="mc2009" /><ref name="k&w" />、iron wood<ref name="mmi" /><ref name="mc2009" />、African Almond<ref name="iucn" />、African plum tree<ref name="l&e-l" />、bitter almond<ref name="mmi" />}}


上記のうち {{Lang|en|red stinkwood}} は[[#特徴]]にあるような苦い[[アーモンド]]のような刺激臭が名の由来となっている<ref name="mc2009" />。
上記のうち {{Lang|en|red stinkwood}} は[[#特徴]]にあるような苦い[[アーモンド]]のような刺激臭が名の由来となっている<ref name="mc2009" />。


また、アフリカの現地語名としては以下のようなものが見られる。
また、アフリカの現地語名としては以下のようなものが見られる。

* [[アフリカーンス語]]: {{Lang|af|[[:af:rooistinkhout|rooistinkhout]]}}<ref name="mmi" />
ウガンダ:
* [[アムハラ語]]: {{Lang|am|[[:am:ጥቁር እንጨት|ጥቁር እንጨት]]}}(ラテン文字転写: tikur inchet<ref name="b-t" /><ref name="mmi" />); 直訳すると〈黒い木(材)〉となる。
* [[ガンダ語]]: {{Lang|lg|[[:lg:ngwabuzito|ngwabuzito]]<ref name="mmi" /><ref name="abk" />, ntasesa<ref name="mmi" /><ref name="abk" />}}
* [[ガンダ語]]: {{Lang|lg|[[:lg:ngwabuzito|ngwabuzito]]<ref name="mmi" /><ref name="abk" />, ntasesa<ref name="mmi" /><ref name="abk" />}}
* [[キガ語]]: musuba<ref name="abk" />
* [[キクユ語]]: {{Lang|ki|[[wikt:mũiri|mũiri]]}}<ref name="tgb" /><ref name="lsbl" />; {{Harvcoltxt|Benson|1964}} は動詞 {{Lang|ki|[[wikt:ira#キクユ語|ira]]}}〈黒くなる〉との関連を指摘している。
* [[スワヒリ語]]:〔ケニア〕{{Lang|sw|[[:sw:kiburabura|kiburabura]]}}<ref name="m&t" />
<!--*[[マサバ語]](別名: Lugishu): chiramat, charamandi<ref name="abk" />-->
エチオピア:
* [[アムハラ語]]: {{Lang|am|[[:am:ጥቁር እንጨት|ጥቁር እንጨት]]}}(ラテン文字転写: tikur inchet<ref name="mmi" /><ref name="b-t" />); 直訳すると〈黒い木(材)〉となる。
ケニア:
* [[カンバ語]]: mutimailu<ref name="m&t" /><ref name="hjb">{{Harvcoltxt|Beentje|1994}}.</ref>
* [[キクユ語]]: {{Lang|ki|[[wikt:mũiri|mũiri]]}}<ref name="lsbl" /><ref name="tgb" />(モイーリ); {{Harvcoltxt|Benson|1964}} は動詞 {{Lang|ki|[[wikt:ira#キクユ語|ira]]}}〈黒くなる〉との関連を指摘している。
* [[ケヨ語]]([[:en:Keiyo language|Keiyo]]; 別名: Elgeyo, Keyo): tenduet<ref name="m&t" /><ref name="hjb" />
* [[サバオト語]]([[:en:Sabaot language|Sabaot]]; 別名: Sebei): oromoti<ref name="m&t" /><ref name="hjb" />
* [[スワヒリ語]](Swahili, Kiswahili): {{Lang|sw|[[:sw:kiburabura|kiburabura]]}}<ref name="m&t" /><ref group="注">{{Harvcoltxt|Beentje|1994}} では言語名の表示が "(KIS)" とされているが、索引ではこの略号は[[グシイ語]](Gusii; 別名の一つは '''Kis'''ii)に割り当てられている。索引に kiburabura という語は見当たらず、代わりにグシイ語として ekeburabura が見つかる。また、同じバラ科の[[コソノキ]]({{Snamei||Hagenia abyssinica}})にも "(KIS)" と振られた omukunakuna があるが、索引ページにはグシイ語として1字異なる om'''o'''konakona が見られる。</ref>
* [[ナンディ語]]([[:en:Naandi language|Nandi]]): tendwet<ref name="m&t" /> {{ipa|té̘ntwé̘ːt}}(テントウェート)<ref>{{Harvcoltxt|Creider|Creider|2001}}.</ref>, twendet<ref name="hjb" />
* [[マサイ語]]: ol-koijuka<ref name="hjb" />, olkoijuk<ref name="m&t" />
* [[マルクゥエタ語]](Markweeta; 別名: [[:en:Markwet language|Marakwet]]): tendwet<ref name="hjb" />, tenduet<ref name="m&t" />
* [[メル語]](ケニア)<ref group="注" name="Meru">ケニアのメル語もタンザニアのメル語もいずれも Meru と綴られる[[バントゥー語群|バントゥー諸語]]に属する言語であるが、その下の細かい分類には隔たりが見られる。[[Glottolog]] 4.3 ではケニアのメル語(別名: Kimîîru)はカンバ語やキクユ語と近く、タンザニアのメル語(別名: Rwa)はチャガ諸語の下位分類とされている。</ref>: mweria<ref name="m&t" /><ref name="hjb" />
* [[ルヒヤ語]]: mwiritsa<ref name="m&t" /><ref name="hjb" />
タンザニア
* [[イラク語]]: gwaami, gwami<ref name="lpm1994" />
* [[キンガ語]]([[:en:Kinga language|Kinga]]): mpembati<ref name="lpm1994" />
* [[ゴロア語]]([[:en:Gorowa language|Gorowa]]; 別名: Fiome): gwaami<ref name="lpm1994" />
* [[サンバー語]]: mkomahoya<ref name="lpm1994" />
* [[ジンザ語]]([[:en:Zinza language|Zinza]]): mufubia<ref name="lpm1994" />
* [[チャガ語]]: mkonde-konde, msendo, mudy, muuri<ref name="lpm1994" />
* [[ニハ語]]([[:en:Nyiha language|Nyiha]]): ligambo<ref name="lpm1994" />
* [[フィパ語]]([[:en:Fipa language|Fipa]]): mfila<ref name="lpm1994" />
* [[ヘヘ語]]([[:en:Hehe language|Hehe]]): mwiluti<ref name="lpm1994" />
* マサイ語: olkonjuku;〔[[アルーシャ州|アルーシャ]]方言〕ol gujuk<ref name="lpm1994" />
* メル語(タンザニア)<ref group="注" name="Meru" />: kondekonde<ref name="lpm1994" />
* [[ランギ語]]: wami<ref name="lpm1994" />
* [[ングル語 (タンザニア)|ングル語]]([[:en:Ngulu language|Ngulu]]; 別名: Nguu): mdundulu<ref name="lpm1994" />
南アフリカ共和国など:
* [[アフリカーンス語]]: {{Lang|af|[[:af:rooistinkhout|rooistinkhout]]}}<ref name="mmi" />
ルワンダ:
* [[ルワンダ語]]: {{Lang|rw|[[:rw:umwumba|umwumba]]}}<ref>"[http://kinyarwanda.net/index.php?q=umwumba&start=0 umwumba]" in {{Cite web|title=Kinyarwanda-English Dictionary|url=http://kinyarwanda.net/|accessdate=2018-04-25}}</ref>
* [[ルワンダ語]]: {{Lang|rw|[[:rw:umwumba|umwumba]]}}<ref>"[http://kinyarwanda.net/index.php?q=umwumba&start=0 umwumba]" in {{Cite web|title=Kinyarwanda-English Dictionary|url=http://kinyarwanda.net/|accessdate=2018-04-25}}</ref>


86行目: 120行目:
== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
<references />


=== 参考文献 ===
=== 注釈 ===
<references group="注" />
* Bekele-Tesemma, Azele (2007). ''Useful trees and shrubs of Ehiopia: Identification, Propagation and Management for 17 Agroclimatic Zones'', [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_ETH p. 420&ndash;1]. Nairobi, Kenya: RELMA in ICRAF Project. {{ISBN|92 9059 212 5}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees {{NCID|BA64717097}}

=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
英語:
* {{Cite book|last=Beentje|first=H.J.|year=1994|url=http://www.nzdl.org/gsdlmod?e=d-00000-00---off-0unescoen--00-0----0-10-0---0---0direct-10---4-------0-1l--11-en-50---20-about---00-0-1-00-0--4----0-0-11-10-0utfZz-8-10&a=d&c=unescoen&cl=CL1.6&d=HASH01b88f73433d5003648dbf5b.12.55|title=Kenya Trees, Shrubs and Lianas|location=Nairobi, Kenya|publisher=National Museum of Kenya|isbn=9966-9861-0-3|ref=harv}}
* Bekele-Tesemma, Azele (2007). ''Useful trees and shrubs of Ehiopia: Identification, Propagation and Management for 17 Agroclimatic Zones'', [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_ETH.pdf p. 420&ndash;1]. Nairobi, Kenya: RELMA in ICRAF Project. {{ISBN2|92 9059 212 5}} Accessed online 8 May 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees {{NCID|BA64717097}}
* "{{Lang|ki|''mũ''iri}}" in {{Cite book|last=Benson|first=T.G.|year=1964|title=Kikuyu-English dictionary|page=189|location=Oxford|publisher=Clarendon Press|ref=harv}} {{NCID|BA19787203}}
* "{{Lang|ki|''mũ''iri}}" in {{Cite book|last=Benson|first=T.G.|year=1964|title=Kikuyu-English dictionary|page=189|location=Oxford|publisher=Clarendon Press|ref=harv}} {{NCID|BA19787203}}
* {{Cite book|author=CABI|year=2013|title=The CABI Encyclopedia of Forest Trees|url=https://books.google.co.jp/books?id=cBf4AgAAQBAJ&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|pages=400&ndash;1|location=Wallingford, Oxfordshire and Boston, MA|publisher=CABI|isbn=978 1 78064 236 9|ref=harv}} {{NCID|BB16963770}}
* {{Cite book|author=CABI|year=2013|title=The CABI Encyclopedia of Forest Trees|url=https://books.google.co.jp/books?id=cBf4AgAAQBAJ&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|pages=400&ndash;1|location=Wallingford, Oxfordshire and Boston, MA|publisher=CABI|isbn=978 1 78064 236 9|ref=harv}} {{NCID|BB16963770}}
* {{Cite book|last=Castleman|first=Michael|year=2009|url=https://books.google.co.jp/books?id=mlyszsVFQ1kC&dq=African+plum&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|title=The New Healing Herbs: The Essential Guide to More Than 125 of Nature's Most Potent Herbal Remedies|pages=381&ndash;2|location=Emmaus, PA|publisher=Rodale|ref=harv}}
* {{Cite book|last=Castleman|first=Michael|year=2009|url=https://books.google.co.jp/books?id=mlyszsVFQ1kC&dq=African+plum&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|title=The New Healing Herbs: The Essential Guide to More Than 125 of Nature's Most Potent Herbal Remedies|pages=381&ndash;2|location=Emmaus, PA|publisher=Rodale|ref=harv}}
* {{Cite book|last=Creider|first=Jane Tapsubei|last2=Creider|first2=Chet A.|year=2001|title=A Dictionary of the Nandi Language|url=https://archive.org/details/dictionaryofnand00crei|page=285|location=Köln|publisher=Rüdiger Köppe Verlag|isbn=3-89645-134-0|ncid=BA62695608|ref=harv}}
* Cunningham, Anthony B. and Marie L. Avana Tientcheu and Valentine F. Anoncho and Robert Nkuinkeu and Terry Sunderland (2014). [https://www.cifor.org/library/4923/power-profits-and-policy-a-reality-check-on-the-prunus-africana-bark-trade/ ''Power, profits and policy: A reality check on the Prunus africana bark trade'']. Working Paper 153. Bogor, Indonesia: Center for International Forestry Research. {{DOI|10.17528/cifor/004923}}
* Cunningham, Anthony B. and Marie L. Avana Tientcheu and Valentine F. Anoncho and Robert Nkuinkeu and Terry Sunderland (2014). [https://www.cifor.org/library/4923/power-profits-and-policy-a-reality-check-on-the-prunus-africana-bark-trade/ ''Power, profits and policy: A reality check on the Prunus africana bark trade'']. Working Paper 153. Bogor, Indonesia: Center for International Forestry Research. {{DOI|10.17528/cifor/004923}}
* Cunningham, A.B. and Mbenkum F.T. (1993). [http://unesdoc.unesco.org/images/0009/000987/098761E.pdf Sustainability of harvesting ''Prunus africana'' bark in Cameroon: A medicinal plant in international trade.] ''People and Plants working paper'' 2: 1&ndash;28. Paris: UNESCO.
* Cunningham, A.B. and Mbenkum F.T. (1993). [http://unesdoc.unesco.org/images/0009/000987/098761E.pdf Sustainability of harvesting ''Prunus africana'' bark in Cameroon: A medicinal plant in international trade.] ''People and Plants working paper'' 2: 1&ndash;28. Paris: UNESCO.
* de Boer, Hugo J. (2008). "African Plants as Antipathogen Agents: Efficacy and Clinical Evidence." In Ronald R. Watson and Victor R. Preedy (eds.), [https://books.google.co.jp/books?id=j5PdVtMgVLYC&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s ''Botanical Medicine in Clinical Practice''], pp. 3&ndash;12. Wallingford and Cambridge, MA: CABI. {{ISBN|978-1-84593-413-2}}
* de Boer, Hugo J. (2008). "African Plants as Antipathogen Agents: Efficacy and Clinical Evidence." In Ronald R. Watson and Victor R. Preedy (eds.), [https://books.google.co.jp/books?id=j5PdVtMgVLYC&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s ''Botanical Medicine in Clinical Practice''], pp.&nbsp;3&ndash;12. Wallingford and Cambridge, MA: CABI. {{ISBN2|978-1-84593-413-2}}
* Iwu, Maurice M. (2014). [https://books.google.co.jp/books?id=GictAgAAQBAJ&dq=Red+Stinkwood+African+Prune&hl=ja&source=gbs_navlinks_s ''Handbook of African Medicinal Plants'', 2nd ed.], p. 282. Boca Raton, Florida: CRC Press. {{ISBN|978-1-4665-7197-6}} {{NCID|BB18203122}}
* Iwu, Maurice M. (2014). [https://books.google.co.jp/books?id=GictAgAAQBAJ&dq=Red+Stinkwood+African+Prune&hl=ja&source=gbs_navlinks_s ''Handbook of African Medicinal Plants'', 2nd ed.], p.&nbsp;282. Boca Raton, Florida: CRC Press. {{ISBN2|978-1-4665-7197-6}} {{NCID|BB18203122}}
* Kamau, Loice Njeri and Peter Mathiu Mbaabu and James Mucunu Mbaria and Peter Karuri Gathumbi and Stephen Gitahi Kiama (2016). "[http://hdl.handle.net/11295/100882 Ethnobotanical survey and threats to medicinal plants traditionally used for the management of human diseases in Nyeri County, Kenya]", p. 10.
* Kamau, Loice Njeri and Peter Mathiu Mbaabu and James Mucunu Mbaria and Peter Karuri Gathumbi and Stephen Gitahi Kiama (2016). "[https://hdl.handle.net/11295/100882 Ethnobotanical survey and threats to medicinal plants traditionally used for the management of human diseases in Nyeri County, Kenya]", p.&nbsp;10.
* Katende, A. B.; Birnie, Ann; Tengnäs, Bo (2000). ''Useful Trees and Shrubs for Uganda: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities'', [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_UGA.pdf pp. 514&ndash;5]. Nairobi, Kenya: Sida's Regional Land Management Unit. {{ISBN|9966-896-22-8}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees {{NCID|BA64717723}}
* Katende, A. B.; Birnie, Ann; Tengnäs, Bo (2000). ''Useful Trees and Shrubs for Uganda: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities'', [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_UGA.pdf pp. 514&ndash;5]. Nairobi, Kenya: Sida's Regional Land Management Unit. {{ISBN2|9966-896-22-8}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees {{NCID|BA64717723}}
* {{Cite book|last=Kuhn|first=Merrily A.|last2=Winston|first2=David|year=2008|title=Winston & Kuhn's Herbal Therapy and Supplements: A Scientific and Traditional Approach, ''2nd edition''|url=https://books.google.co.jp/books?id=gd4PAAAAQBAJ&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|pages=360&ndash;2|location=Philadelphia and Baltimore and New York and London and Buenos Aires and Hong Kong and Sydney and Tokyo|publisher=Walters Kluwer/Lippincott Williams & Wilkins|ref=harv}} {{NCID|BA84452381}}
* {{Cite book|last=Kuhn|first=Merrily A.|last2=Winston|first2=David|year=2008|title=Winston & Kuhn's Herbal Therapy and Supplements: A Scientific and Traditional Approach, ''2nd edition''|url=https://books.google.co.jp/books?id=gd4PAAAAQBAJ&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|pages=360&ndash;2|location=Philadelphia and Baltimore and New York and London and Buenos Aires and Hong Kong and Sydney and Tokyo|publisher=Walters Kluwer/Lippincott Williams & Wilkins|ref=harv}} {{NCID|BA84452381}}
* [[ルイス・リーキー|Leakey, L. S. B.]] (1977). ''The Southern Kikuyu before 1903'', v. III, [https://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=I5lyAAAAMAAJ&dq=munyururu&focus=searchwithinvolume&q=Pygeum p. 1337]. London and New York: Academic Press. {{ISBN|0-12-439903-7}} {{NCID|BA10346810}}
* [[ルイス・リーキー|Leakey, L. S. B.]] (1977). ''The Southern Kikuyu before 1903'', v. III, [https://books.google.co.jp/books?hl=ja&id=I5lyAAAAMAAJ&dq=munyururu&focus=searchwithinvolume&q=Pygeum p. 1337]. London and New York: Academic Press. {{ISBN2|0-12-439903-7}} {{NCID|BA10346810}}
* {{Cite book|last=Lewis|first=Walter H.|last2=Elvin-Lewis|first2=Memory P. F.|year=2003|title=Medical Botany: Plants Affecting Human Health, ''Second Edition''|url=https://books.google.co.jp/books?id=ipQmSriMF9sC&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|location=Hoboken, New Jersey|publisher=John Wiley & Sons, Inc|isbn=0-471-62882-4|ref=harv}} {{NCID|BA74314847}}
* {{Cite book|last=Lewis|first=Walter H.|last2=Elvin-Lewis|first2=Memory P. F.|year=2003|title=Medical Botany: Plants Affecting Human Health, ''Second Edition''|url=https://books.google.co.jp/books?id=ipQmSriMF9sC&dq=African+Plum+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|location=Hoboken, New Jersey|publisher=John Wiley & Sons, Inc|isbn=0-471-62882-4|ref=harv}} {{NCID|BA74314847}}
* Maundu, Patrick and Bo Tengnäs (eds.) (2005). [http://www.worldagroforestry.org/publication/useful-trees-and-shrubs-kenya ''Useful Trees and Shrubs for Kenya''], [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_KEN.pdf p. 361]. Nairobi, Kenya: World Agroforestry Centre&mdash;Eastern and Central Africa Regional Programme (ICRAF-ECA). {{ISBN|9966-896-70-8}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees
* Maundu, Patrick and Bo Tengnäs (eds.) (2005). [http://www.worldagroforestry.org/publication/useful-trees-and-shrubs-kenya ''Useful Trees and Shrubs for Kenya''], [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_KEN.pdf p. 361]. Nairobi, Kenya: World Agroforestry Centre&mdash;Eastern and Central Africa Regional Programme (ICRAF-ECA). {{ISBN2|9966-896-70-8}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees
* Mbuya, L.P.; Msanga, H.P.; Ruffo, C.K.; Birnie, Ann; Tengnäs, Bo (1994). [http://www.worldagroforestry.org/publication/useful-trees-and-shrubs-tanzania-identification-propagation-and-management-agricultural ''Useful Trees and Shrubs for Tanzania: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities''], [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_TZA.pdf pp. 412&ndash;3]. Nairobi, Kenya: SIDA's Regional Soil Conservation Unit, RSCU. {{ISBN|9966-896-16-3}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees
* Mbuya, L.P.; Msanga, H.P.; Ruffo, C.K.; Birnie, Ann; Tengnäs, Bo (1994). [http://www.worldagroforestry.org/publication/useful-trees-and-shrubs-tanzania-identification-propagation-and-management-agricultural ''Useful Trees and Shrubs for Tanzania: Identification, Propagation and Management for Agricultural and Pastoral Communities''], [http://www.worldagroforestry.org/usefultrees/pdflib/Prunus_africana_TZA.pdf pp. 412&ndash;3]. Nairobi, Kenya: SIDA's Regional Soil Conservation Unit, RSCU. {{ISBN2|9966-896-16-3}} Accessed online 22 April 2018 via http://www.worldagroforestry.org/usefultrees
* {{Cite book|last=Nienaber|first=Georgianne|year=2006|title=GORILLA DREAMS: The Legacy of Dian Fossey|url=https://books.google.co.jp/books?id=95rc-5qkZ0kC&dq=Mountain+gorilla+Pygeum&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|location=New York and Lincoln, NE and Shanghai|publisher=iUniverse, Inc|ref=harv}}
* {{Cite book|last=Nienaber|first=Georgianne|year=2006|title=GORILLA DREAMS: The Legacy of Dian Fossey|url=https://books.google.co.jp/books?id=95rc-5qkZ0kC&dq=Mountain+gorilla+Pygeum&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|location=New York and Lincoln, NE and Shanghai|publisher=iUniverse, Inc|ref=harv}}
* {{Cite book|last=Quattrocchi|first=Umberto|year=2012|title=CRC World Dictionary of Medicinal and Poisonous Plants: Common Names, Scientific Names, Eponyms, Synonyms, and Etymology|url=https://books.google.co.jp/books?id=-37OBQAAQBAJ&dq=lenticels+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|location=Boca Raton and London and New York|publisher=CRC Press|page=3088|isbn=978-1-4822-5064-0|ref=harv}} {{NCID|BB09914640}}
* {{Cite book|last=Quattrocchi|first=Umberto|year=2012|title=CRC World Dictionary of Medicinal and Poisonous Plants: Common Names, Scientific Names, Eponyms, Synonyms, and Etymology|url=https://books.google.co.jp/books?id=-37OBQAAQBAJ&dq=lenticels+Prunus+africana&hl=ja&source=gbs_navlinks_s|location=Boca Raton and London and New York|publisher=CRC Press|page=3088|isbn=978-1-4822-5064-0|ref=harv}} {{NCID|BB09914640}}
* Rousseau, Mélissa and Claire Delvaux and Ezekiel Edward Mwakalukwa and Lawrence Mbwambo and Marie Caroline Momo Solefack and Harisoa Bako Ravaomanalina and Coert J. Geldenhuys and Ntamwira Niranda Seintsheng and Nils Bourland and Hans Beeckman (2017). "''Prunus africana'' (Hook. f.) Kalkman (the African Cherry)." In Mohamed Neffati and Hanen Najjaa and Ákos Máthé (eds.), ''Medicinal and Aromatic Plants of the World - Africa Volume 3'' pp. 127&ndash;142. Dordrecht: Springer. {{DOI|10.1007/978-94-024-1120-1_6}}
* Rousseau, Mélissa and Claire Delvaux and Ezekiel Edward Mwakalukwa and Lawrence Mbwambo and Marie Caroline Momo Solefack and Harisoa Bako Ravaomanalina and Coert J. Geldenhuys and Ntamwira Niranda Seintsheng and Nils Bourland and Hans Beeckman (2017). "''Prunus africana'' (Hook. f.) Kalkman (the African Cherry)." In Mohamed Neffati and Hanen Najjaa and Ákos Máthé (eds.), ''Medicinal and Aromatic Plants of the World - Africa Volume 3'' pp.&nbsp;127&ndash;142. Dordrecht: Springer. {{DOI|10.1007/978-94-024-1120-1_6}}
* World Conservation Monitoring Centre (1998). ''Prunus africana''. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T33631A9799059. {{doi|10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T33631A9799059.en}}, Downloaded on '''08 May 2018'''.

日本語:
* World Conservation Monitoring Centre (1998). ''Prunus africana''. The IUCN Red List of Threatened Species 1998: e.T33631A9799059. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.1998.RLTS.T33631A9799059.en. '''Downloaded on 22 April 2018'''.
* コリン・リズデイル<!--Colin Ridsdale-->、ジョン・ホワイト<!--John White-->、キャロル・アッシャー<!--Carol Usher--> 著、杉山明子、清水晶子 訳『知の遊びコレクション 樹木』新樹社、2007年、212頁。{{ISBN2|978-4-7875-8556-1}}
* {{Cite book|和書|editor=熱帯植物研究会|title=熱帯植物要覧|edition=第4版|publisher=養賢堂|year=1996|page=140|isbn=4-924395-03-X|ref=harv}}


== 関連文献 ==
== 関連文献 ==
119行目: 163行目:
== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [https://cites.org/eng/prog/african_cherry.php African cherry Prunus africana]. (CITES) - {{Accessdate|2018-04-25}}
* [https://cites.org/eng/prog/african_cherry.php African cherry Prunus africana]. (CITES) - {{Accessdate|2018-04-25}}

{{Plant-stub}}
{{Plant-stub}}


{{DEFAULTSORT:ふるぬすあふりかな}}
{{DEFAULTSORT:ふるぬすあふりかな}}

[[Category:サクラ属]]
[[Category:サクラ属]]
[[Category:薬用植物]]
[[Category:薬用植物]]

2022年11月4日 (金) 19:30時点における最新版

プルヌス・アフリカナ
Prunus africana
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : バラ上群 superrosids
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids / rosid I
: バラ目 Rosales[1]
: バラ科 Rosaceae[1]
: サクラ属 Prunus
: プルヌス・アフリカナ Prunus africana (Hook.f.) Kalkman
シノニム
  • Pygeum africanum Hook.f.
英名
red stinkwood、African plum、African cherry、African prune など(詳細は#名称を参照)

プルヌス・アフリカナ[2] あるいはプルヌス・アフリカーナPrunus africana)はバラ科サクラ属常緑樹の一種である。シノニムピュゲウム・アフリカナムPygeum africanum)がある[3] が、その属名の音写であるピジウムパイゲウムパイジウムピゲウムピジュームや、英語red stinkwoodAfrican cherryAfrican plum の音写レッド・スティンクウッド[4]アフリカンチェリーアフリカンプラム、また別の英名 African prune の音写に類似したアフリカプルーンとしても知られている。ケニアでの名称からムエリ(mueri)ともいう[5]

アフリカの主に山林に生育し(参照: #分布)、伝統的に木材や薬として用いられ、前立腺肥大症の治療をはじめとする医学的な需要からヨーロッパ向けに樹皮の採取が行われるようにもなった(参照: #利用)が、一方で保全状況に関する懸念も指摘され、ワシントン条約附属書IIに指定され、またIUCNレッドリストにおいては危急種(Vulnerable)とされるなど、将来的に絶滅する恐れがあると見る機関が存在する(参照: #保全状況)。

分布

[編集]

アンゴラウガンダエチオピアカメルーンケニアコンゴ民主共和国サントメ・プリンシペサントメ島)、ザンビアジンバブエスーダンスワジランド赤道ギニアビオコ島)、タンザニアブルンジマダガスカル南アフリカ共和国クワズール・ナタール州ハウテン州東ケープ州ムプマランガ州リンポポ州)、南スーダンモザンビークルワンダレソトに分布する[1]。高度1800-2200メートルの山林に見られ、ツツジ科Agarista salicifolia (シノニム: Agauria salicifolia) やモチノキ科モチノキ属Ilex mitisヤマモモ科Myrica arborea など10種ほどとともに汎アフリカ的な山地の高木の一つである[1]草原にも見られる[6]

上記の国々のほか、ガーナコモログランドコモロ島マラウイにおいても見られるとする文献が存在する[7]

特徴

[編集]

樹皮は不規則なうろこ状で、コルク質。末端の枝では皮目[注 1] によりまだら模様になる[8][9]

葉は単葉で楕円形[5]、深緑色、表面は革質で光沢があり、浅い鋸葉がある。葉を潰すと苦扁桃の香りがし[8]葉柄は通常ピンク色から赤茶色である[6]

花序は長さ約8センチメートル。花は非常に小さくて緑白色、芳香がある[8]

果実は丸く直径約1センチメートル、暗紅色から黒紫色で[6]、しばしば2裂する。1-2個の種子を含む[8]。同じサクラ属プラムプルーンサクランボと似ているが人間にとっては苦すぎて食用には向いていない[10]。しかしマウンテンゴリラはこの実を好んで食べる[10][11]

利用

[編集]

大きく分けて薬としての用途とそれ以外の用途とが知られている。

薬用

[編集]

ピジウムは西アフリカ中央アフリカの伝統医学においてマラリア淋病精神異常矢毒腹痛腎疾患に対して、また生傷を覆うものや食欲増進剤、下剤として用いられてきたが[7]、特に1990年代前立腺肥大症(BPH)の治療薬として脚光を浴びた[7]。前立腺肥大症の関係する合併症の薬剤の製造のために、ケニアを含むアフリカ諸国から本種の樹皮が輸出されている[6]カメルーン山で採取された樹皮から粉が抽出されてフランスの会社向けに輸出されている[7] が、樹皮の採取をめぐっては後述のように懸念要素も存在する(参照: #保全状況)。

ケニアのキクユ人はかつて樹皮を肝臓の疾患に対して、また下剤の作用を止めるために用いており[12]、近年ではニエリ県において樹皮や葉の煎じ汁が食欲増進の目的で、また前立腺の問題、の疾患10種、便秘、マラリアなどに対して処方されているとの報告がある[13]

その他の用途

[編集]

ウガンダエチオピアケニアタンザニアでは木炭建材などの道具類、ミツバチの餌、防風林用に植樹するなどの用途で用いられる[6][8][14][15]

ケニア南部のキクユ人の場合はサトウキビ酒用のつき臼[12][16] をはじめとしての柄[12] や家具[16]ワゴン[16] を作るための材木として用いていた。

保全状況

[編集]

VULNERABLE (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))[1]

World Conservation Monitoring Centre (1998) によると、ヨーロッパ向けの薬市場のための樹皮の採集は本種の存続に対する脅威となっている。カメルーン山を含む分布域の一部においては樹皮が輪状に剥ぎ取られた結果多くの個体が枯死してしまっている[1]。ただカメルーン山の場合は、詳細な調査の上で精力的な植樹活動が行われている[1]IUCNレッドリストにおける本種の評価は危急種(Vulnerable)とされているが、Cable & Cheek (1998) は広大な分布域内のどこかに山林が存在している限りはとても絶滅の危機に瀕しているとはいえないと主張し、せいぜい危急種よりも深刻度の低い準絶滅危惧(Lower Risk, near threatened)の位置づけとするのが妥当であると提案を行っている[1]

プルヌス・アフリカナは1995年には採取の持続可能性についての懸念(Cunningham & Mbenkum 1993)から、ワシントン条約附属書IIに記載されることとなった[17]。本種がIUCNレッドリストに vulnerable (A1cd) の位置づけで初めて掲載されたのも1995年から2006年までの時期においてのことであった[18]。2007年からヨーロッパ連合(EU)により実施されたプルヌス・アフリカナの輸入禁止措置は長期にわたって継続されていれば幹の状態の回復につながっていたと推定されている[19] が、結局私企業やカメルーン政府からの圧力によって2011年にこの禁輸措置は解除され、主要産出国のための割り当てが設定されている(Cunningham et al. 2014)[17]。EUの輸入禁止措置を覆すために、カメルーンのエリートやヨーロッパの製薬会社がロビー活動や弁舌を盛んに展開したのであった[20]。2012年時点でワシントン条約はウガンダ、カメルーン、コンゴ民主共和国には輸出を許可する一方でケニア赤道ギニアブルンジマダガスカルには割り当てを認めていなかったが、これにより生じたプルヌス・アフリカナ樹皮の世界的な不足が樹皮の価格高騰につながり、プルヌス・アフリカナ樹皮市場におけるカメルーンの世界シェアの割合も増大した[21]。ワシントン条約附属書IIの2017年10月4日から有効となっている版においては種子や花粉、苗木、人工繁殖させた個体の切り花を除く全部位の取引に制限が設けられ得る状態とされている[22]

諸言語における名称

[編集]

本種を指す英語名には以下のように様々なものが存在する。

上記のうち red stinkwood#特徴にあるような苦いアーモンドのような刺激臭が名の由来となっている[10]

また、アフリカの現地語名としては以下のようなものが見られる。

ウガンダ:

エチオピア:

ケニア:

タンザニア

南アフリカ共和国など:

ルワンダ:

ギャラリー

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ : lenticels。空気を通す機能を有する。樹皮の項も参照。
  2. ^ Beentje (1994) では言語名の表示が "(KIS)" とされているが、索引ではこの略号はグシイ語(Gusii; 別名の一つは Kisii)に割り当てられている。索引に kiburabura という語は見当たらず、代わりにグシイ語として ekeburabura が見つかる。また、同じバラ科のコソノキHagenia abyssinica)にも "(KIS)" と振られた omukunakuna があるが、索引ページにはグシイ語として1字異なる omokonakona が見られる。
  3. ^ a b ケニアのメル語もタンザニアのメル語もいずれも Meru と綴られるバントゥー諸語に属する言語であるが、その下の細かい分類には隔たりが見られる。Glottolog 4.3 ではケニアのメル語(別名: Kimîîru)はカンバ語やキクユ語と近く、タンザニアのメル語(別名: Rwa)はチャガ諸語の下位分類とされている。

出典

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h i j k l World Conservation Monitoring Centre (1998).
  2. ^ ワシントン条約事務局発出の取引停止勧告対象国と勧告内容(2018年1月30日更新). 2018年4月22日閲覧。
  3. ^ The Plant List (2013). Version 1.1. Published on the Internet; http://www.theplantlist.org/ 2018年4月22日閲覧。
  4. ^ リズデイルら (2007).
  5. ^ a b 熱帯植物研究会 (1996).
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o Maundu & Tengnäs (2005).
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m Iwu (2014).
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Mbuya et al. (1994).
  9. ^ Quattrocchi (2012).
  10. ^ a b c d e f g h Castleman (2009).
  11. ^ Nienaber (2006:21).
  12. ^ a b c d e Leakey (1977).
  13. ^ Kamau et al. (2016).
  14. ^ a b c Bekele-Tesemma (2007).
  15. ^ a b c d e Katende et al. (2000).
  16. ^ a b c d e Benson (1964).
  17. ^ a b Rousseau et al. (2017:136).
  18. ^ Cunningham et al. (2014:6).
  19. ^ Cunningham et al. (2014:3, 6 ,9).
  20. ^ Cunningham et al. (2014:6f).
  21. ^ Cunningham et al. (2014:9).
  22. ^ Appendices”. CITES. 2018年6月5日閲覧。
  23. ^ a b Lewis & Elvin-Lewis (2003:533).
  24. ^ Rousseau et al. (2017).
  25. ^ CABI (2013).
  26. ^ de Boer (2008:6).
  27. ^ a b Kuhn & Winston (2008).
  28. ^ a b c d e f g h Beentje (1994).
  29. ^ Creider & Creider (2001).
  30. ^ "umwumba" in Kinyarwanda-English Dictionary”. 2018年4月25日閲覧。

参考文献

[編集]

英語:

日本語:

  • コリン・リズデイル、ジョン・ホワイト、キャロル・アッシャー 著、杉山明子、清水晶子 訳『知の遊びコレクション 樹木』新樹社、2007年、212頁。ISBN 978-4-7875-8556-1
  • 熱帯植物研究会 編『熱帯植物要覧』(第4版)養賢堂、1996年、140頁。ISBN 4-924395-03-X 

関連文献

[編集]
  • Cable, Stuart and Martin Cheek (1998). The Plants of Mount Cameroon: A Conservation Checklist. Richmond, United Kingdom: Royal Botanic Gardens, Kew.

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]