「おしぼり」の版間の差分
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ロール紙と除菌液を機械にセットしボタンを押すと使い捨ての温かいおしぼりが出てくるという |
近年、ロール紙と除菌液を機械にセットしボタンを押すと使い捨ての温かいおしぼりが出てくるという機械がある。セルフ要素のある飲食店のドリンクバー付近やフードコートでも見られることがある。また、医療機関や介護施設の現場では衛生面という視点からディスポーザブル(使い捨て)化がすすんでおり、リネン業の貸おしぼりからディスポーザブルのタオルを用いた身体の清拭や排泄のケアへと変化しつつあり、このような機器の導入も見られるようになってきた。 |
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== 関連項目 == |
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2018年2月27日 (火) 14:26時点における版
おしぼりは、日本では客向けに飲食店などで使用される、手を拭く道具である。「(お)てふき」ともいう。通常はひらがなで表記し、漢字を交ぜた「お絞り」「御絞り」と書くことはあまりない。おしぼりを使用する一部の間では、温かいおしぼりをアツシボ、冷たいおしぼりをツメシボと略すこともある。日本発祥のおしぼりは、今や全世界に広がりつつある。
日本の10月29日は、10本の指を2(ふ)9(く)の語呂合わせで『おしぼりの日』と定められており、全国おしぼり協同組合連合会において2004年に制定された。
おしぼりの歴史
おしぼりの歴史は、『古事記』や『源氏物語』が書かれた時代まで遡ると考えられている。前身となっているのは、お公家さんが客人を家に招く際に提供した、“濡れた布”。江戸時代になると木綿の手ぬぐいが普及し、旅籠(はたご)と呼ばれた宿屋の玄関に、旅人のために水を張った桶と手ぬぐいが用意されるようなり、客は手ぬぐいを桶の水に浸してしぼり、汚れた手や足をぬぐった。この“しぼる”という行為が、おしぼりの語源になっていると言われている。
戦後復興で日本に少しずつ飲食店が増えていくと、戦時中の混乱で消えかけていたおしぼりの習慣が徐々に普及し始めた。当時はおしぼりを自店で洗い、丸めて自家製のおしぼりをつくり提供していたが、客数が増えると手作業では追いつかなくなり、“おしぼりを貸す”ビジネスが生まれた。最初は自家製の洗濯機を使い、1本1本手で巻いて飲食店などに卸していたが、その後外食産業がさらに発展したことで、業者は量産体制を備えるまでになり、貸しおしぼり業が一つの立派なビジネスとして確立された。
一般的なおしぼり
最も一般的なおしぼりは、タオル地の布片を水に浸して絞り、適度に湿ったものとすることで、食事前や食事中などに食卓において手を拭くのに便利なように供したものである。布片は巻くか畳むなどして細長く成形され、ビニールに密封されるかまたは「おしぼり受け」に乗せて出されることが多い。なお、おしぼりを載せたり筒状等の携帯用容器一般を「おしぼり入れ」という[1]。
おしぼり受けを用いない場合であっても細長く成形されるが、弁当などに添付される場合にはその限りでない。 最近では、環境への意識の高まりから、持ち歩くことができる“マイおしぼり”なども販売されている。
また、更なる環境貢献を実践していくための人材育成の一環として『おしぼりエコマイスター制度』を創設し、おしぼり業界における環境対応について考える活動も行われている。
素材は布のほかに、紙製ないしは不織布によるものもあり、その場合には、使い捨てとして利用されることが多く、その消費量は年間で29億枚にのぼる。紙製の場合にはアルコールや安定化二酸化塩素等を含有する液体を用いることもある。布片を用いる場合と比べて、畳んであるいは丸めて収納するとごく薄いパッケージに入れることができるために、弁当などの市販の食品に予め添付して喫食前の手の清拭に用いるよう供されることがある。また、不織布をエタノールなどに浸したウェットティシュという製品が市販され、一般家庭やオフィスなどでおしぼりの代用として使われている。
接客サービスを提供するバーやクラブなどでは、ホステスやホストが客におしぼりを開いて手渡すのが一般的である。また、最近では接客サービスの向上により、居酒屋でもおしぼりを開いて渡す店が多くなっている。客は手や顔などを拭き、おしぼりはそのままテーブルの「おしぼり受け」に乗せておき、手やテーブルが汚れた時に再び使う。汚れたおしぼりは適宜交換される。また客がトイレから出てくる際には未使用のおしぼりが手渡される。トイレ後に使用したおしぼりは、テーブルに置かずに回収される。
温かいおしぼり、冷たいおしぼり
水分を与える際に、温水ないしはスチーム等により適度に温かい水分を布片にしみこませることによって、温かいおしぼりとしたり、水分を含ませた状態で冷蔵等することで夏季等に用いるのに適した冷たいおしぼりとしたりすることが可能である。おしぼりを加熱する器械としておしぼり加熱器がある[1]。星新一は「朝、ひげを剃る際におしぼりを顔に当ててひげをやわらかくするが、タオルを手で絞るときに熱くて仕方がない。熱がることなくタオルを絞る器具を作れないものか」とエッセイに記している[2]。
本来的には、手を拭くために供するものであるが、一部には手以外の身体の部位を含め拭くために用いられることもある。一分程度目の上に載せておくことで、血流が良くなる効果がある。 最近では、香りが付けられたおしぼりなどを提供し、客の癒し効果を狙う店もある。
また、理容室では髭剃などの際、髭や皮膚に水分を与え剃りやすい状態にする為に蒸しタオルが使われるが、これも広義の意味ではおしぼりの一種である。また、この理容室の蒸しタオルを、後述する貸しおしぼり業者が取り扱っている事も多い。
「電子レンジで濡れタオルを温めることで擬似的なおしぼりを作ることができる」と考える人がおり、 これに起因する事故が発生している[3]。
貸しおしぼり(レンタルおしぼり)
飲食店などで大量に供する場合、自店にておしぼりを準備するのではなく、おしぼりを用意する業者によるレンタルが利用されることがある。
一般には、その場合薄い透明のビニール状(ポリエチレンフィルム)の袋に収められて利用に供され、使用後は業者に返還される。返還されたおしぼりは幾度もの洗濯を経て再び貸し出しに供される。利用不可能になったおしぼりは廃棄されるがダスターとして専門の業者によりリサイクルされることも多い。おしぼりの平均レンタル回数(耐久性)はおよそ25回となっている。今までは、その手軽さから紙製・不織布のおしぼりを使用する店が多かったが、最近では、環境の観点から紙・不織布のおしぼりの使用を控え、リサイクル可能な布製のおしぼりを取り入れる飲食店が増えてきている。
貸しおしぼりには、衛生面で非常に厳しい基準が設けられており、異色・変色がないことはもちろん、大腸菌や黄色ブドウ球菌が検出されないか、おしぼり1枚あたり10万個という数値(一般細菌数)を超えていないか等の衛生基準が厚生労働省より設定されている。この指導基準に基づき、全国おしぼり協同組合連合会は管理基準の「衛生マーク」を制定し、組合に加盟している約300社のおしぼりは、必ずこのマークを表示している。
また、正規ルートではない賃貸業者も存在しており、犯罪組織の資金源の一つとして社会問題化している。その対策として、暴対法が1992年(平成4年)施行され、このような行為は徐々に減少傾向にある。
海外でのおしぼり
1959年より日本航空は国際線で離陸前の搭乗客におしぼりを提供し始めた。このサービスが好評で、日本以外の航空会社でも国際線で熱いおしぼりを出すようになり、現在、離陸前におしぼりを提供するサービスは珍しくない。
また、海外の雑誌にも取り上げられるほど、日本以外の各国に普及し始めている。中国では比較的普及が早く、高級料理店ではおしぼりが登場することも少なくない。米国や欧州のレストランでは、ナプキンを使用する習慣があるため現段階ではそれ程普及していないが、おしぼりのローリング・包装を自動的に行う機械を販売する日本企業では、既に米国、欧州、カナダに販売実績を持っており、海外ではニュージーランド(The Hot Towel Company)、オーストラリア(Xceed Oshibori)、イギリス(Yeppy (UK))(Mito)という会社がおしぼりの提供を行っている。
自動おしぼり機
近年、ロール紙と除菌液を機械にセットしボタンを押すと使い捨ての温かいおしぼりが出てくるという機械がある。セルフ要素のある飲食店のドリンクバー付近やフードコートでも見られることがある。また、医療機関や介護施設の現場では衛生面という視点からディスポーザブル(使い捨て)化がすすんでおり、リネン業の貸おしぼりからディスポーザブルのタオルを用いた身体の清拭や排泄のケアへと変化しつつあり、このような機器の導入も見られるようになってきた。
関連項目
出典
- ^ a b 意匠分類定義カード(C4) 特許庁
- ^ 星新一 『できそこない博物館』 新潮文庫 [ほ-4-30] ISBN 4101098301、260-263p(2013年2月に活字が大きくなって復刊されたものではない。そのためページ数が異なることがあることに留意されたい)
- ^ 電子レンジを使用したおしぼりの作成に起因する火災に対する再発防止の周知について (PDF) くらしの危険 No.283 電子レンジを調理以外目的で使用する危険 (PDF)
外部リンク