「幻想絵画」の版間の差分
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幻想絵画を[[西洋美術史]]の中に見いだせる範囲はきわめて広く、一般的には、[[ヒエロニムス・ボス]](Hieronimus Bosch; [[1450年]]頃-[[1516年]])辺りを始まりとすることが多いが、その後、[[ウィリアム・ブレイク]](William Blake; [[1757年]]-[[1827年]])、[[ラファエル前派]]、[[象徴主義]]とその周辺から、世紀末前後の[[素朴派]]、世界大戦前後の[[シュルレアリスム]]、戦後オーストリアの[[ウィーン幻想派]]、アメリカにおける60年代のヴィジョナリー・アートや70年代における[[ローブローアート]](ポップ・シュルレアリスム)まで、時代と国を問わず、幻想絵画と呼びうる作品が存在する。 |
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===幻想と幻視=== |
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{{See also|幻視芸術}} |
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90年代フランス・パリにおけるヴィジョネール(ラール・ヴィジョネール)が、幻想 |
90年代フランス・パリにおけるヴィジョネール(ラール・ヴィジョネール)と呼ばれる画家達が、「幻想画家」として日本で紹介されたことがある。その解説書では、ヴィジョネールは「幻視芸術」と訳されており、一方、幻想芸術はファンタスティックの訳語であると詳しく説明されている<ref name="LesVisio">{{Cite book|和書|author=|title=現代パリの幻想画家たち|publisher=朝日新聞社|date=1994}} フランス題''Les Visionnarires Contemporains de Paris''</ref>。巖谷國士による用語の問題をめぐる小論『「幻想」と「幻視」』において、ディマシオといった画家達は自らをファンタスティックと呼ばれることは好まずヴィジョネールと自称していることが明らかにされている。日本で一般的な「幻想」(幻想絵画)という言葉はファンタスティックの訳語であり、ヴィジョネールの仏語にも「幻想」の訳を当てることができ、ファンタスティックに反するものでは無いが、日本語では「幻視」のほうがより近い概念であろうと示唆し、両者を区別している<ref name="LesVisio"/>。この解説書における主な執筆者、エルヴェ・セランは、幻想芸術(ファンタスティック)と幻視芸術(ヴィジョネール)が安易に混同される問題があるとして、ファンタスティックの奥にあるヴィジョネールの本質に関する考察している。また、ここではVisionaries, Visionnaire といった仏語の訳の大半は「幻視」となっている<ref name="LesVisio"/>。 |
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==幻想絵画と関連した日本人の作家== |
==幻想絵画と関連した日本人の作家== |
2017年11月30日 (木) 13:24時点における版
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幻想絵画(げんそうかいが)とは、幻想芸術のジャンルである。「幻想芸術」は英語のファンタスティックアートに対応する日本語であるが、通常それは絵画を中心的に意味するため、慣習上、幻想絵画という呼称がある部分の日本美術界や美術愛好家の間に定着してきた。厳密には絵画以外に幻想彫刻や幻想工芸、幻想建築といったものを幻想芸術のジャンルとして想定することもできるが、実際はそれらは絵画と比較して一般的な呼称になっていない。
幻想絵画の特徴
日本語における幻想絵画は、その言葉を文字通りに受けると、現実には存在していないものをあるかのように描かれた絵のことになる。しかし、非現実的な主題であっても、それが画家自身の内的必然性から浮かび上がってきたものではない場合は、幻想絵画と呼べるとは限らない。
基本的に幻想絵画のスタイルはリアリズムとしての具象絵画である。そしてその表面は平滑であることが多い。それは二次元の表面の奥に画家のヴィジョンやイメージが鏡像のように描き出されているからである。さらにその描写の仕方はしばしば精密である。幻想画家は彫刻や工芸に携わることもあり、必ずしも二次元平面のみに関心があるのではなく、建築作品の構想を持つ幻想画家も存在している。
表現の内容としては、シュルレアリスムを現代において引継いでいるもの、あるいはエロティックな夢想、人間心理の中に潜在している様々なトラウマや悪夢、グロテスクで病的なイメージを表出させようとするスタイル、あるいは宗教的な啓示や神話や民話、精霊や妖精といったものを、有機的なフォルムや幾何図形を用いて表現しているものなどがある。さらには幻想文学やSF小説に感化されて、それらを視覚化しようと試みる中で生まれた幻想絵画もある。
幻想絵画の現状
日本においては幻想絵画を描いている画家が必ずしも「幻想画家」として自認しているとは限らない。その理由の一つとしては、「幻想絵画」が示唆するジャンルを限定し難いという状況があるからだと思われる。つまり日本美術界において幻想絵画と呼びうるスタイルは、洋画、日本画といった伝統的な具象絵画のみならず現代美術にも幅広く確認することができるため、あるいは芸術全般の本質が歴史を通じてそもそも幻想性を担ってきたために「幻想絵画」は用語として曖昧ではある。しかしながら日本において1960年代あたりから意識化されてきた幻想絵画と呼ばれる方向性は、今日、国際的規模で失われかけている古典的な版画、テンペラの技術や伝統的な宗教芸術で培われた霊的表現力を現代的な形で再生し実践する上で大きく貢献している。
西洋美術史における幻想絵画
幻想絵画を西洋美術史の中に見いだせる範囲はきわめて広く、一般的には、ヒエロニムス・ボス(Hieronimus Bosch; 1450年頃-1516年)辺りを始まりとすることが多いが、その後、ウィリアム・ブレイク(William Blake; 1757年-1827年)、ラファエル前派、象徴主義とその周辺から、世紀末前後の素朴派、世界大戦前後のシュルレアリスム、戦後オーストリアのウィーン幻想派、アメリカにおける60年代のヴィジョナリー・アートや70年代におけるローブローアート(ポップ・シュルレアリスム)まで、時代と国を問わず、幻想絵画と呼びうる作品が存在する。
幻想と幻視
90年代フランス・パリにおけるヴィジョネール(ラール・ヴィジョネール)と呼ばれる画家達が、「幻想画家」として日本で紹介されたことがある。その解説書では、ヴィジョネールは「幻視芸術」と訳されており、一方、幻想芸術はファンタスティックの訳語であると詳しく説明されている[1]。巖谷國士による用語の問題をめぐる小論『「幻想」と「幻視」』において、ディマシオといった画家達は自らをファンタスティックと呼ばれることは好まずヴィジョネールと自称していることが明らかにされている。日本で一般的な「幻想」(幻想絵画)という言葉はファンタスティックの訳語であり、ヴィジョネールの仏語にも「幻想」の訳を当てることができ、ファンタスティックに反するものでは無いが、日本語では「幻視」のほうがより近い概念であろうと示唆し、両者を区別している[1]。この解説書における主な執筆者、エルヴェ・セランは、幻想芸術(ファンタスティック)と幻視芸術(ヴィジョネール)が安易に混同される問題があるとして、ファンタスティックの奥にあるヴィジョネールの本質に関する考察している。また、ここではVisionaries, Visionnaire といった仏語の訳の大半は「幻視」となっている[1]。
幻想絵画と関連した日本人の作家
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- 北脇昇(1901〜1951)
- 三岸好太郎(1903〜1934)
- 靉光(1907〜1946)
- 高山辰雄(1914〜1991)
- 小山田二郎(1914〜1991)
- 武部本一郎(1914〜1980)
- 小松崎茂(1915〜2001)
- 工藤甲人(1915〜2011)
- 高山良策(1917〜1982)
- 山下菊二(1919〜1986)
- 國領經郎(1919〜1999)
- 斎藤真一(1922〜1994)
- 牧野邦夫(1925〜1986)
- 前田常作(1926〜2007)
- 松樹路人(1927〜)
- 鴨居玲(1928〜1985)
- 澁澤龍彦1928〜1987)
- 藤田吉香(1929〜1999)
- 中村宏(1930〜)
- 平山郁夫(1932〜2009)
- 佐藤晨(1935〜)
- 奥谷博(1934〜)
- 金子國義(1935〜)
- 長岡秀星(1936〜)
- 横尾忠則(1936〜)
- 司修(1936〜)
- 山本文彦(1939〜)
- 合田佐和子(1940〜)
- キヌコヤマベ・クラフト(1940〜)
- タイガー立石(1941〜1998)
- 四谷シモン(1944〜)
- 有元利夫(1946〜1985)
- 遠藤彰子(1947〜)
- 智内兄助(1948〜)
- 井上直久(1948〜)
- 蛇雄(1948〜)
- 建石修志(1949〜)
- 加藤直之(1952〜)
- 天野喜孝(1952〜)
- 籔内佐斗司(1953〜)
- 野又穫(1955〜)
- 池田学 (画家)(1973〜)
- 石田徹也(1973〜2005)
- 松井冬子(1974〜)
- ヒグチユウコ(生年不詳)