「ゲルセミウム・エレガンス」の版間の差分
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== 人間との関わり == |
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[[漢方医]]の方面では根を水洗いして乾燥させたものを「'''鉤吻'''」と呼び、[[喘息]]治療や解熱、鎮痛などに用いる。しかし、あまりに毒性が強いため、『[[本草綱目]]』をはじめ数多の[[医学書]]には、「内服は厳禁」と記されている。 |
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[[正倉院]]宝物の中にも冶葛が残されている。冶葛壷<ref>{{Cite web|和書|url=http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000010284 |title=冶葛壷(やかつのつぼ) |publisher=[[宮内庁]] |author=[[正倉院]] |accessdate=2017-11-8 }}</ref>に32斤(16kg)収められていたが、記録によればかなり使われた形跡がある(用途は不明)という(現存するのは390g)。[[1996年]]、[[千葉大学]]薬学部の相見則郎教授が依頼を受けて提供された2.8gの冶葛を分析したところ、1200年以上経っていたにもかかわらず、ゲルセミン、コウミン、ゲルセビリン、センペルビリン (sempervirine) の計4種のゲルセミウムアルカロイドが検出され、冶葛がゲルセミウム・エレガンスであることが証明された<ref>{{Cite journal|和書 |
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2024年1月9日 (火) 02:47時点における最新版
ゲルセミウム・エレガンス | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ゲルセミウム・エレガンスの花と葉
(香港、ウィルソン・トレイルにて) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Gelsemium elegans Benth.[1][2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
冶葛 | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Chinese Gelsemium |
ゲルセミウム・エレガンス(学名: Gelsemium elegans)は、ゲルセミウム科またはマチン科ゲルセミウム属のつる性常緑低木。別名は冶葛(やかつ)、鉤吻、断腸草[2]、胡曼藤(草)[2]、野葛[2]、毒根、黄藤、大茶薬(藤)[2]、除辛、爛腸草[2]、ランゴン、シュア・ノーツァ。
形態・生態
[編集]常緑の蔓性樹木で、長さは3 m から12 m になる[2]。根は黄色である。葉は革質で対生し、光沢を持ち厚みがある。形は楕円形または狭卵状披針形[2]。花弁は黄色で花期は5月から11月[2]。果実は蒴果で2筋の縦線をもち、熟すとこれに沿って裂ける。種子は腎形または楕円形[2]。
分布
[編集]原産は東南アジアから中国南部[2]で、この付近に自生する。日当たりの良い山の斜面、道端の草むら、低木の茂み、雑木林を好み、海抜 500-2,000 m [2]の地域に分布する。
人間との関わり
[編集]世界最強の植物毒を持っているといわれるほどの猛毒植物。有毒成分はゲルセミン、コウミン (koumine)、ゲルセミシン (gelsemicine)、ゲルセヴェリン (gelseverine)、ゲルセジン (gelsedine)、フマンテニリン (humantenirine) などのアルカロイド。毒部位は全草で、もっとも毒の強い部位は若芽である。植物体のどの部分を食したかによって中毒症状の出る速さが違い、新鮮な若葉・根の煎汁・葉の乾燥粉末を摂取した場合は速く、根本体では遅いという。平均すれば1時間前後となる。消化管から最もよく吸収される。
最もポピュラーな中毒症状は呼吸麻痺であるが、これはゲルセミウム・エレガンスの毒が延髄の呼吸中枢を麻痺させることに起因する。心拍ははじめ緩慢だが、のち速くなる。ほかに、眩暈、嘔吐、口腔・咽頭の灼熱感、流涎、腹痛、下痢、筋弛緩、呼吸筋周囲の神経麻痺、視力減退、瞳孔散大、呼吸の浅深が不規則になる(これが副次的にアシドーシスを引き起こす場合も)、嗜睡、全身痙攣、後弓反張、運動失調、昏迷などがある。
漢方医の方面では根を水洗いして乾燥させたものを「鉤吻」と呼び、喘息治療や解熱、鎮痛などに用いる。しかし、あまりに毒性が強いため、『本草綱目』をはじめ数多の医学書には、「内服は厳禁」と記されている。
正倉院宝物の中にも冶葛が残されている。冶葛壷[3]に32斤(16kg)収められていたが、記録によればかなり使われた形跡がある(用途は不明)という(現存するのは390g)。1996年、千葉大学薬学部の相見則郎教授が依頼を受けて提供された2.8gの冶葛を分析したところ、1200年以上経っていたにもかかわらず、ゲルセミン、コウミン、ゲルセビリン、センペルビリン (sempervirine) の計4種のゲルセミウムアルカロイドが検出され、冶葛がゲルセミウム・エレガンスであることが証明された[4]。正倉院の「冶葛」は、文献に記録された冶葛としては「唯一現存するもの」である[5]。
注と出典
[編集]- ^ "Plant Name Details for Gelsemium elegans". International Plant Names Index (IPNI). International Organization for Plant Information (IOPI). 2016年4月18日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 中国科学院中国植物志編輯委員会, ed. (1992年). "鉤吻 Gelsemium elegans". 中国植物志. Vol. 61. 科学出版社. pp. 251–253. 2016年4月18日閲覧。
- ^ 正倉院. “冶葛壷(やかつのつぼ)”. 宮内庁. 2017年11月8日閲覧。
- ^ 相見則郎「正倉院の「冶葛」(やかつ)」『化学と教育』第48巻第2号、日本化学会、2000年、103-105頁、ISSN 0386-2151、NAID 110008591907。
- ^ 宮内庁正倉院事務所編 編『図説正倉院薬物』柴田承二監修、中央公論新社、2000年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-12-002845-3。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- "Gelsemium elegans". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語).
- "Gelsemium elegans" - Encyclopedia of Life
- 日本新薬 (2006年12月). “ヤカツ”. ハーブの館. 2016年4月18日閲覧。
- 北落師門 (2009年7月3日). “ゲルセミウム・エレガンス総まとめ―前半”. InAequabilitas. FC2. 2016年4月18日閲覧。
- 古泉秀夫 (2007年8月17日). “治葛(ヤカツ)の毒性”. 医薬品情報21. 2016年4月18日閲覧。