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「こと座ベータ星」の版間の差分

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[[ファイル:Accretion disk.jpg|left|thumb|250px|伴星からガスが流入する様子を表した図。降着円盤が形成され、電磁波が放射されている。]]
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こと座β星は、[[アメリカ国立電波天文台]]のR. M. Hjellming と C. M. Wadeによって、1971年に[[電波天文学|電波星]]であることが分かった。星の間での物質移動が原因であると考えられる
こと座β星は、[[アメリカ国立電波天文台]]のR. M. Hjellming と C. M. Wadeによって、1971年に[[電波天文学|電波星]]であることが分かった。星の間での物質移動が原因であると考えられる
<ref>[https://web.archive.org/web/20100228035818/http://www.seds.org/~spider/spider/Vars/betaLyr.html Sheliak, Beta Lyrae](2010年2月28日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>{{R|Kaler}}。
<ref>[https://web.archive.org/web/20100228035818/http://www.seds.org/~spider/spider/Vars/betaLyr.html Sheliak, Beta Lyrae](2010年2月28日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>{{R|Kaler}}。


連星系の一方から流出したガスは、主星の周りに[[降着円盤]]を形成している。降着円盤にたまったガスはやがて主星へと落ち、その時に電磁波が放射される。電磁波は、降着円盤の回転面に対して90度で放射されている
連星系の一方から流出したガスは、主星の周りに[[降着円盤]]を形成している。降着円盤にたまったガスはやがて主星へと落ち、その時に電磁波が放射される。電磁波は、降着円盤の回転面に対して90度で放射されている
<ref>[https://web.archive.org/web/20100902151438/http://grammai.org/jhoffman/betlyr/ Jennifer L. Hoffman: beta Lyr](2010年9月2日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。A型星である伴星は、[[太陽質量]]の3倍程度で、[[ロッシュ・ローブ]]を満たしており、ガスを主星に奪われている。伴星は毎年、太陽質量の 2{{e|-5}} 倍の質量を失い続けている。B型星の主星は、太陽質量の13倍程度である<ref>[https://web.archive.org/web/20080829162140/http://www.astro.virginia.edu/~dam3ma/benews/volume36/abs36/hec0.html Volume 36 Abstracts: Emission-line Binary beta Lyr](2008年8月29日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。
<ref>[https://web.archive.org/web/20100902151438/http://grammai.org/jhoffman/betlyr/ Jennifer L. Hoffman: beta Lyr](2010年9月2日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。A型星である伴星は、[[太陽質量]]の3倍程度で、[[ロッシュ・ローブ]]を満たしており、ガスを主星に奪われている。伴星は毎年、太陽質量の 2{{e|-5}} 倍の質量を失い続けている。B型星の主星は、太陽質量の13倍程度である<ref>[https://web.archive.org/web/20080829162140/http://www.astro.virginia.edu/~dam3ma/benews/volume36/abs36/hec0.html Volume 36 Abstracts: Emission-line Binary beta Lyr](2008年8月29日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。


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2017年9月4日 (月) 23:16時点における版

こと座β星[1]
Beta Lyrae
仮符号・別名 シェリアク[2], Sheliak[3][4]
星座 こと座
見かけの等級 (mv) 3.42[1]
3.25 - 4.36(変光)[5]
変光星型 こと座β型変光星(EB)[5]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  18h 50m 04.79525s[1]
赤緯 (Dec, δ) +33° 21′ 45.6100″[1]
赤方偏移 0.000007[1]
視線速度 (Rv) 2.20 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 1.90 ミリ秒/年[1]
赤緯: -3.53 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 3.39 ± 0.17 ミリ秒[1]
距離 961.65 ± 50.77光年[注 1]
(294.99 ± 15.57パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) -3.929[注 2]
β星の位置
物理的性質
スペクトル分類 B8II-IIIep [1]
色指数 (B-V) 0.00[6]
色指数 (U-B) -0.56[6]
色指数 (R-I) +0.02[6]
他のカタログでの名称
こと座10番星[1]
BD +33 3223[1]
FK5 705[1], HD 174638[1]
HIP 92420[1], HR 7106[1]
SAO 67451-2[1]
Template (ノート 解説) ■Project

こと座β星(ことざベータせい、 Beta Lyrae、β Lyr)は、こと座の恒星で3等星。

物理的性質

  連星系のデータ
半径 19 R 15 R
質量 2 M 12 M
光度 2,500 L 230 L
表面温度 13,000 K 8,000 K

この星は、青白色の巨星と準巨星からなる連星である。2つの星は非常に近い位置にあり、お互いの星が重力で引き合うことによって、星の形が楕円に引き伸ばされている。

この連星系には3つめの星が存在する。45.7秒離れて見え、双眼鏡で容易に分離することができる。スペクトル分類はB7Vで、眼視等級は7.2。光度は太陽の80倍。4.34日の周期を持つ分光連星である。

また、さらに別の伴星β星Fも存在し、86秒離れて見える。眼視等級は9.9等級で、光度は太陽の7倍あると考えられている。

こと座β型変光星

近接連星の公転によって生ずる変光を光度曲線とともに示す。

こと座β型変光星は、食変光星の一種であり、その呼称はこの星に由来している。このタイプの変光星では、星が楕円形に引き伸ばされているため、アルゴル型食変光星のように急激な変光が起こることはなく、徐々に変光していく。また、回転周期にあわせて、規則的に変光することも特徴である。星が近接しているため、一方の光球からガスがもう一方に流れ込む。

こと座β星はこのタイプの変光星の典型例であり、およそ300km/sで、高熱のガスなどが流れ込んでいる。物質の流出により、大きいほうの星は質量を失っていく。こと座β星の場合、1万3000Kの星が、8000Kの星の周りを回っていると考えられている。

こと座β星の変光は、暗い場所であれば、肉眼で容易に見つけることができるため、1784年に、イギリス人のアマチュア天文家のジョン・グッドリックにより変光星として発見された。アルゴルと違い、近接していて分離が難しいため、変光原因の解明は容易ではなかった。

こと座β星は、約12.9日の周期で、+3.25等級から+4.36等級の間で変光する[5]。2つの星が非常に近接しているため、光学望遠鏡では分離することはできない。

電波星

伴星からガスが流入する様子を表した図。降着円盤が形成され、電磁波が放射されている。

こと座β星は、アメリカ国立電波天文台のR. M. Hjellming と C. M. Wadeによって、1971年に電波星であることが分かった。星の間での物質移動が原因であると考えられる [7][8]

連星系の一方から流出したガスは、主星の周りに降着円盤を形成している。降着円盤にたまったガスはやがて主星へと落ち、その時に電磁波が放射される。電磁波は、降着円盤の回転面に対して90度で放射されている [9]。A型星である伴星は、太陽質量の3倍程度で、ロッシュ・ローブを満たしており、ガスを主星に奪われている。伴星は毎年、太陽質量の 2×10−5 倍の質量を失い続けている。B型星の主星は、太陽質量の13倍程度である[10]

名称

固有名シェリアク[2] (Sheliak[3][4]) は、アラビア語で「琴」を意味する al-salbāq に由来する[3]salbāq は琴の一種を指すギリシャ語 σαμβυκη からの外来語である[3]。2016年8月21日、国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Sheliak をこと座β星の固有名として正式に承認した[4]

脚注

注釈

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r SIMBAD Astronomical Database”. Results for bet Lyr. 2015年10月6日閲覧。
  2. ^ a b 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、163-164頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  3. ^ a b c d Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern Star Names. Sky Publishing. p. 44. ISBN 978-1-931559-44-7 
  4. ^ a b c IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年12月5日閲覧。
  5. ^ a b c GCVS”. Results for bet Lyr. 2015年10月6日閲覧。
  6. ^ a b c 輝星星表第5版
  7. ^ Sheliak, Beta Lyrae(2010年2月28日時点のアーカイブ
  8. ^ Jim Kaler. “Sheliak”. STARS. 2016年12月5日閲覧。
  9. ^ Jennifer L. Hoffman: beta Lyr(2010年9月2日時点のアーカイブ
  10. ^ Volume 36 Abstracts: Emission-line Binary beta Lyr(2008年8月29日時点のアーカイブ

外部リンク