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「イノシトール」の版間の差分

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== 外部リンク ==
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* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?607 イノシトール - 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[国立健康・栄養研究所]])
* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?607 イノシトール - 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[国立健康・栄養研究所]])
* [http://web.archive.org/web/20080118133051/http://www.ip-6.jp/ IP-6.jp IP6とイノシトール](2008年1月18日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])
* [http://web.archive.org/web/20080118133051/http://www.ip-6.jp/ IP-6.jp IP6とイノシトール](2008年1月18日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])


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2017年9月4日 (月) 19:21時点における版

myo-イノシトール[1]
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識別情報
CAS登録番号 87-89-8
PubChem 892
ChemSpider 10239179
UNII 4L6452S749
J-GLOBAL ID 200907033761829276
KEGG C00137
ChEBI
ChEMBL CHEMBL1222251
ATC分類 A11HA07
特性
化学式 C6H12O6
モル質量 180.16 g mol−1
外観 無色結晶
密度 1.752 g/cm³, 個体
融点

225–227 °C

への溶解度 14 g/100 mL (水, 25 ℃)
危険性
NFPA 704
0
1
0
引火点 143 °C (289 °F)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

イノシトール (inositol) は、シクロヘキサンの各炭素上の水素原子が1つずつヒドロキシ基に置き換わった構造(1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオール)を持つ、シクリトールの1種である。ビタミンB群の1種とも言われており、ヒトの場合、糖尿病などが原因で体内でイノシトールが不足すると、神経症状が起こるなどの悪影響が知られている。

概要

イノシトールは無色の結晶であり、これを口にすると、ヒトには甘く感じられる。イノシトールは地球上の生物の生体成分の1つとしてグルコースを原料として生合成される。このため、例えば、穀物豆類果物といった植物にも含まれるし、動物の肉や魚などにも含まれるなど、地球上の多くの生物の体内に含有されている。また、多くの植物の種子などに含まれることが知られているフィチン酸は、イノシトールの持つ6個のヒドロキシ基の全てがリン酸エステルとなった構造をしており、これは植物の組織内でのリン酸の貯蔵形態として知られている。この他、ヒトのグリア細胞神経細胞は、細胞の浸透圧の調整にイノシトールもオスモライトとして利用されていることが知られている。もしも数日以上続く細胞外液の浸透圧の上昇があれば、それに対抗するため細胞内にイノシトールを蓄積させて、細胞内の浸透圧を上げることで、細胞内の水分を保持しようとする。このグリア細胞や神経細胞におけるイノシトールの濃度変化には数日を要するため、長く続いた細胞外液の浸透圧が高い状態を、もしも急激に補正するようなことをしてしまうと、すぐには蓄積させたイノシトールを細胞外に捨てることができないため、細胞内に水が流入して、脳浮腫を起こす可能性があることも知られているので、この補正は時間をかけて行わなければならない。逆に数日以上続く細胞外液の浸透圧の低下があれば、細胞内のイノシトールを減らして浸透圧を下げて、細胞内への水分の流入を阻止しようとするなど、全く逆のことが起こるので、やはり補正には時間をかけなくなてはならない。なお、脂肪肝高脂血症の治療に用いられる。また、セロトニン異常に起因するうつ病パニック障害強迫性障害に有効とされる研究結果もある。

立体異性体

イノシトールには、ヒドロキシ基の位置により 9種類の異性体が存在する。最も一般的なものは myo-イノシトール(ミオイノシトール)である。

IUPAC命名法において、「イノシトール」は、1,2,3,4,5,6-シクロヘキサンヘキサオールの慣用名として認められている。立体化学を表すときは、各ヒドロキシル基がシクロヘキサン環の上下どちらを向いているかに着目し、以下のような形式で表す。対応する接頭辞とともに示す。

  • cis-イノシトール (1,2,3,4,5,6/0-イノシトール)
  • epi-イノシトール (1,2,3,4,5/6-イノシトール)
  • allo-イノシトール (1,2,3,4/5,6-イノシトール)
  • myo-イノシトール (1,2,3,5/4,6-イノシトール) Infobox 内に構造を図示
  • muco-イノシトール (1,2,4,5/3,6-イノシトール)
  • neo-イノシトール (1,2,3/4,5,6-イノシトール)
  • chiro-イノシトール (1,2,4/3,5,6-イノシトール) D体、L体が存在
  • scyllo-イノシトール(1,3,5/2,4,6-イノシトール)

これらのうち、chiro-イノシトールのみが光学活性化合物であり、ほかはすべてメソ体である。

myo- scyllo- muco- chiro-
neo- allo- epi- cis-

多く含む食品

myo-イノシトール(ミオイノシトール)は自然界の各種の食品に含まれている。ただし名前が挙げられた食品でも、体内に吸収され利用され得るレシチン(ホスファチジルイノシトールやホスホイノシタイドなど)の形態と、穀物に含まれているが利用不可能なフィチン酸とを必ずしも常に区別していない。[2]研究によると、myo-イノシトール(化合物も含め)を高濃度に含む食品は、果物、豆類、穀物やナッツ類である。[2]ただ、豆類や穀物は種子ということから、イノシトールの多くがフィチン酸である。エネルギー飲料でイノシトールを含んでいるものもある。

糖尿病性神経障害との関連

イノシトールは、通常糸球体より排泄され、尿細管で再吸収されるが、高血糖状態においては、グルコースと競合するため、再吸収されず尿中排泄量が増加する。その結果、体内のイノシトール量が低下し、ポリオール代謝異常によって、糖尿病性神経障害の成因となる[3][4]

パニック障害との関連

イノシトールは、パニック障害強迫性障害の患者が服用することで、その症状を緩和する作用が報告されている。特に、不安感の発生頻度とその程度を顕著に低下させる効果があるとされる。二重盲検試験によると、18gのイノシトール摂取によってパニック障害及び、強迫性障害の症状が軽減したと報告されている[5]。 また、フルボキサミンより症状の軽減に効果があったとする論文報告もある[6]

イノシトールのうつ病に対する効果も検証されており、12gのイノシトール摂取によって、うつ病の症状が改善したとの臨床結果も報告されているが[7]、 一方で、その効果が識別できないとする見解もある[8]

脚注

  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 4883.
  2. ^ a b Clements, Rex; Betty Darnell (1980). “Myo-inositol content of common foods: development of a high-myo-inositol diet”. American Journal of Clinical Nutrition 33 (9): 1954–1967. PMID 7416064. http://www.ajcn.org/cgi/reprint/33/9/1954.pdf 2009年5月18日閲覧。. 
  3. ^ Lucica MI urinary myoinositol kit: a new diagnostic test for diabetes mellitus and glucose intolerance.
  4. ^ Urinary chiro- and myo-inositol levels as a biological marker for type 2 diabetes mellitus.
  5. ^ Fux M, Levine J, Aviv A, Belmaker RH (1996). “Inositol treatment of obsessive-compulsive disorder”. American Journal of Psychiatry 153 (9): 1219–21. PMID 8780431. 
  6. ^ Palatnik A, Frolov K, Fux M, Benjamin J (2001). “Double-blind, controlled, crossover trial of inositol versus fluvoxamine for the treatment of panic disorder”. Journal of Clinical Psychopharmacology 21 (3): 335–339. doi:10.1097/00004714-200106000-00014. PMID 11386498. 
  7. ^ Levine J, Barak Y, Gonzalves M, Szor H, Elizur A, Kofman O, Belmaker RH. (1995). “Double-blind, controlled trial of inositol treatment of depression”. American Journal of Psychiatry 152 (5): 792–794. PMID 7726322. 
  8. ^ Taylor MJ, Wilder H, Bhagwagar Z, Geddes J (2004). Taylor, Matthew J. ed. “Inositol for depressive disorders”. Cochrane Database Syst Rev (2): CD004049. doi:10.1002/14651858.CD004049.pub2. PMID 15106232. 

関連項目

外部リンク