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「ノストラダムスの大予言」の版間の差分

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中東編までの発行部数は左が[[SPA!]] 1991年3月20日号「ノストラダムス本どれを信じたらいいのか」、右が[[日経エンタテインメント!]]ウェブサイト掲載「これが最も売れている予言書トップ30」<ref>[http://web.archive.org/web/20010211204834/http://netnavi.nikkeibp.co.jp/ent/index/9710/report/news0302.html 本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)]([[インターネットアーカイブ]]のミラー)</ref>に、地獄編の発行部数は前述の「これが最も売れている予言書トップ30」、最終解答編の発行部数は『[[日本の論点|日本の論点1999]]』(文藝春秋社、1998年)による。また、出版ニュース社調べのベストセラーランキングは、[[塩沢実信]]『昭和ベストセラー世相史』 ISBN 4-476-03145-5 に、トーハン、日販調べのランキングは『Book Page 本の年鑑』(ブックページ刊行会)各年版による。
中東編までの発行部数は左が[[SPA!]] 1991年3月20日号「ノストラダムス本どれを信じたらいいのか」、右が[[日経エンタテインメント!]]ウェブサイト掲載「これが最も売れている予言書トップ30」<ref>[http://web.archive.org/web/20010211204834/http://netnavi.nikkeibp.co.jp/ent/index/9710/report/news0302.html 本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)]([[インターネットアーカイブ]]のミラー)</ref>に、地獄編の発行部数は前述の「これが最も売れている予言書トップ30」、最終解答編の発行部数は『[[日本の論点|日本の論点1999]]』(文藝春秋社、1998年)による。また、出版ニュース社調べのベストセラーランキングは、[[塩沢実信]]『昭和ベストセラー世相史』 ISBN 4-476-03145-5 に、トーハン、日販調べのランキングは『Book Page 本の年鑑』(ブックページ刊行会)各年版による。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2017年9月4日 (月) 19:02時点における版

ノストラダムスの大予言』(ノストラダムスのだいよげん)は、1973年祥伝社から発行された五島勉の著書。フランス医師占星術師ノストラダムスが著した『予言集』(初版1555年)について、彼の伝記や逸話を交えて解釈するという体裁をとっていた。その中で、1999年7の月に人類が滅亡するという解釈を掲載したことにより、公害問題などで将来に対する不安を抱えていた当時の日本でベストセラーとなった。実質的に日本のノストラダムス現象の幕開けとなった著作である。

1974年には、東宝でこれを原作にした文部省推薦の同名の映画も制作公開されている。その作品については、「ノストラダムスの大予言 (映画)」を参照のこと。

反響とシリーズ化

1973年11月25日に初版が発行されると、3ヶ月ほどで公称100万部を突破した。これは『朝日新聞』1974年3月2日朝刊の広告によるものだが、同広告ではこの本が戦後のミリオンセラーとしては15冊目であることも謳われている。出版ニュース社の調査では、1974年のノンフィクション部門ベストセラー1位、総合部門2位(1位は五木寛之訳『かもめのジョナサン』)となった。1998年8月時点で発行部数は209万部、450版となった[1]

こうした売れ行きによって何冊もの続編が刊行された。第五冊目の『ノストラダムスの大予言 5』(1986年)で一応「完結編」と銘打たれたものの、その後もなし崩しに『ノストラダムスの大予言・最終解答編』(1998年)までシリーズは続き、全10冊のシリーズとなった。初巻の売れ行きには到底及ばなかったものの、シリーズ作品はいずれも売れ、ベストセラーランキングにもしばしば登場した(下掲発行部数参照)。

内容

(注)以下はあくまでも『ノストラダムスの大予言』の内容紹介であり、ノストラダムスや彼の予言集について史実や文学研究に基づいて紹介したものではない。そうした情報は各当該記事を参照のこと。

この本では、ノストラダムスが未来を先取りした医術でペストを鎮めたことや、その予知能力を買われてフランス国王アンリ2世の顧問となったこと、その顧問を辞めたあとに予言詩集『諸世紀』を著したことがまず紹介されている。

そして、彼の『諸世紀』では、パスツールフランコヒトラーカギ十字といった歴史上の有名人や団体、あるいはクレジットカーマニアなどといった社会現象に関する用語が、固有名詞入りで的確に予言されていたことが例証されている。

その上で、「1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」という予言について、ノストラダムスがアンリ2世に対して1999年に人類が滅びると語ったとする史料などを引き合いに出し、人類滅亡を予言したものであると解釈した。そして、環境問題核兵器彗星など、「恐怖の大王」の候補とされている各説について検証を行っている。また、その前後には、関連するという詩の解釈を行い、1999年までに襲い来る極度の大気汚染水質汚濁(五島は「超汚染」と呼んでいる)や大震災による、陰惨な未来像を畳み掛けるように展開している。さらに、1999年以降に生き残った僅かな人類を待ち受ける悲惨な運命についても言及している。

最後に、数ページを使い希望を模索している。そこでは、まず、1999年の人類滅亡が先延ばしに出来る可能性や、局所的な破壊にとどまり人類が絶滅はしない可能性への希望を表明している。その上で、ノストラダムスの予言の的中は不可避としつつも、哲学思想として捉えたならば、西洋キリスト教文明に対置しうる東洋思想の実践などによって救われる可能性もあるかもしれないと説いている。

内容の問題点

本来「百詩篇集」などと訳されるべき『予言集』の主要部分の名称が、英訳からの転訳によって生じた誤訳である『諸世紀』となっていたり(ここでは『予言集』そのものの換称として用いられている)、架空の研究家の名前や創作と思われる詩や史料が登場していたり、いたずらに「1999年7の月」の詩を誇張したり、ノストラダムスの生涯に関する記述などにもかなりフィクションが含まれているなど、実際にはノストラダムスの予言解釈本というよりも、五島勉の小説という色合いが強いと指摘されている[2]

だが、と学会関係者が本格的に俎上にのせるまでの長い間、そういった問題点はほとんど指摘されることがなく[3]、ノストラダムスの予言を扱ったテレビ番組などでも五島の著書に沿う形で紹介されることがあったため、この著書による誤ったノストラダムス像が多くの人びとに影響を与える結果となった。

また、『大予言』第一作は、当時の「終末ブーム」への便乗という執筆動機は明らかであるものの[4]、地球規模の環境汚染や全面核戦争など、真摯な近未来の危機への警告書という体裁を一応はもっていた。反面、予言が間違いなく当たるものだということも強調されるという矛盾した姿勢が存在していた。これについては、外れたときの弁明の余地を残したのではないかという指摘もある[5]。後のシリーズでは、中国人民解放軍ヨーロッパ侵略を予想するなど、国際情勢の読みを大きく誤った記述が見られるほか、ユダヤ陰謀論への言及などが見られるようになり、さらには(五島の著書に通底する)白人および欧米文明への嫌悪感などもより強く現れるようになった[6]

そして、続編でも創作と思われるエピソードが多用される傾向は変わることがなく、特に、「ブロワ城の問答」と呼ばれるエピソードは、他の多くの信奉者たちの著作にも影響を及ぼした[7]。これは、ノストラダムスがカトリーヌ・ド・メディシスに対し、「恐怖の大王」の正体は目に見えないものだと語り、「恐怖の大王」の出現の前に「別のもの」が現れれば人類は救われると語ったとするエピソードだが、裏付けとなる史料が確認できておらず、五島の創作と指摘されている[8]

社会的な影響

宮崎哲弥山本弘は、ベストセラーになったこの本が1980年代以降の新宗教に少なからぬ影響を与えたと指摘している。実際、この時期の新宗教には、自分の教団(もしくは教祖)こそが、上記の世界を救う「別のもの」[9]であると主張するものも見られた。さらにこうした影響がその後のオウム真理教の主張する「ハルマゲドン」による地下鉄サリン事件発生の遠因になったと指摘する者たちもいる[10]

その他の影響としては、キリスト教ユダヤ教終末論とはかけ離れた終末思想を生み出し、深刻に受け止めた若い世代の読者が、世界や日本の未来のみならず自己の未来をも暗澹たるものと考えてしまったため刹那的な行動に走ったり、将来設計を怠るなどの問題があったという見方がある[要出典]

シリーズ

書誌情報

タイトル 発行元/シリーズ 発行年月 ISBN
ノストラダムスの大予言 - 迫りくる1999年7の月、人類滅亡の日 祥伝社 55〈ノン・ブック〉 1973年11月25日 4396100558
ノストラダムスの大予言 2 - 1999年の破局を不可避にする大十字 祥伝社〈ノン・ブック 161〉 1979年12月 4396101619
ノストラダムスの大予言 3 - 1999年の破滅を決定する「最後の秘詩」 祥伝社〈ノン・ブック 181〉 1981年2月 4396101813
ノストラダムスの大予言 4 - 1999年、日本に課された"第四の選択" 祥伝社〈ノン・ブック 205〉 1982年7月 4396102054
ノストラダムスの大予言 5 - ついに解けた1999年、人類滅亡の謎 祥伝社〈ノン・ブック 260〉 1986年2月 4396102607
ノストラダムスの大予言 スペシャル日本編 - 人類の滅亡を救うのは「日の国」だ 祥伝社〈ノン・ブック 280〉 1988年1月 4396102801
ノストラダムスの大予言 中東編 - 中東(フセイン)危機は人類破局への序曲だ 祥伝社〈ノン・ブック 309〉 1990年11月 4396103093
ノストラダムスの大予言 残された希望編 - 世界破滅を防ぐ日本の使命 祥伝社〈ノン・ブック 322〉 1992年2月 4396103220
ノストラダムスの大予言 地獄編 - 1999年未知の超エルニーニョが地球を襲う 祥伝社〈ノン・ブック 349〉 1994年4月 4396103492
ノストラダムスの大予言 最終解答編 - 1999年、"恐怖の大王"の正体と最後の活路 祥伝社〈ノン・ブック 400〉 1998年7月 4396104006

発行部数

タイトル 公称発行部数
(SPA)
公称発行部数
(日経エンタ)
順位
ノストラダムスの大予言 250万部 209万部
ノストラダムスの大予言 2 100万部 92万部 1980年度ベストセラー総合第3位。出版ニュース社調べ。
ノストラダムスの大予言 3 70万部 67万部 1981年度総合第7位。出版ニュース社調べ。
ノストラダムスの大予言 4 50万部 記載なし
ノストラダムスの大予言 5 45万部 43万部
ノストラダムスの大予言 日本編 40万部 44万部
ノストラダムスの大予言 中東編 40万部 39万部 東販調べでのベストセラー「新書・ノンフィクション」部門1990年第6位、91年第3位。
ノストラダムスの大予言 残された希望編 トーハン調べでのベストセラー「新書・ノンフィクション」部門92年第9位
ノストラダムスの大予言 地獄編 11万部 日販調べでのベストセラー「新書(一般・教養)」部門94年第10位
ノストラダムスの大予言 最終解答編 発売一ヶ月で公称13万部 トーハン調べでのベストセラー「新書・ノンフィクション」部門98年第3位

中東編までの発行部数は左がSPA! 1991年3月20日号「ノストラダムス本どれを信じたらいいのか」、右が日経エンタテインメント!ウェブサイト掲載「これが最も売れている予言書トップ30」[11]に、地獄編の発行部数は前述の「これが最も売れている予言書トップ30」、最終解答編の発行部数は『日本の論点1999』(文藝春秋社、1998年)による。また、出版ニュース社調べのベストセラーランキングは、塩沢実信『昭和ベストセラー世相史』 ISBN 4-476-03145-5 に、トーハン、日販調べのランキングは『Book Page 本の年鑑』(ブックページ刊行会)各年版による。

脚注

  1. ^ 日本の論点1999』 p.688。なお、発行部数については、「発行部数」の節も参照のこと。
  2. ^ 志水 1992山本 1998山本 2000 etc.
  3. ^ 刊行直後の時期に本書への批判・反論をおこなった著作として、高木彬光の『ノストラダムス 大予言の秘密』(1975年、日本文華社)がある。
  4. ^ 山本 2000 pp.46-48
  5. ^ 田窪 1999 pp.146-147
  6. ^ cf. 山本 1999 pp.79-89
  7. ^ 山本 2000 p.85
  8. ^ 志水 1998 pp.39-40, 山本 2000 pp.85-86
  9. ^ 五島の解釈に従えば「7000年に別のものが」とでも訳されるはずの "Sept mil ans autre" について、ピエール・ブランダムールは "Sept mil ans outre"(7000年を越えて)の誤植とみなしている。これは極端な例であるにせよ、「恐怖の大王」に「別のもの」を対置するという解釈は五島による特殊な解釈であって、日本以外では一般的とは言いがたいものである。
  10. ^ 宮崎 1996山本 1999 pp.96-98 etc.
  11. ^ 本誌独自調査 予言書ベストセラーランキング これが最も売れている予言書トップ30(ホームページ版オリジナル)インターネットアーカイブのミラー)

参考文献

  • 塩沢実信『昭和ベストセラー世相史』第三文明社、1988年10月。ISBN 4-476-03145-5 
  • 志水一夫『大予言の嘘――占いからノストラダムスまで その手口と内幕』データハウス、1992年3月。ISBN 4-88718-112-4 
    • 志水一夫『大予言の嘘――占いからノストラダムスまで その手口と内幕』(改訂版)データハウス、1997年11月。ISBN 4-88718-467-0 
  • 志水一夫『トンデモ・ノストラダムス解剖学――本当のことを、みんな知らない』データハウス、1998年12月。ISBN 4-88718-493-X 
  • 高木彬光『ノストラダムス大予言の秘密――1999年7月はたして人類は滅亡するか!』日本文華社〈文華新書〉、1974年。 
    • 高木彬光『ノストラダムス大予言の秘密』角川書店〈角川文庫〉、1975年。 
  • 田窪勇人「日本におけるノストラダムス受容史」『ユリイカ』第31巻第2号、青土社、1999年2月、pp. 143-153、ISSN 1342-5641 
  • 文藝春秋編 編『日本の論点1999』文藝春秋、1998年11月。ISBN 4-16-501500-8 
  • 山本弘『トンデモ ノストラダムス本の世界』洋泉社、1998年7月。ISBN 4-89691-326-4 
    • 山本弘『トンデモ ノストラダムス本の世界』宝島社〈宝島社文庫〉、1999年6月。ISBN 4-7966-1525-3 
  • 山本弘『トンデモ大予言の後始末』洋泉社、2000年6月。ISBN 4-89691-469-4 
  • 宮崎哲弥「すべては『ノストラダムスの大予言』から始まった」、『正義の見方』洋泉社、1996年7月。ISBN 4-89691-220-9 
    • 宮崎哲弥「すべては『ノストラダムスの大予言』から始まった」、『正義の見方』新潮社〈新潮OH!文庫〉、2001年3月。ISBN 4-10-290083-7 

関連項目