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2017年8月28日 (月) 23:59時点における版
U.S.S.エンタープライズ(英: U.S.S. Enterprise)は、アメリカのSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の恒星間宇宙船である。なお、「U.S.S.」とは「United Federation of Planets Starship」(惑星連邦宇宙艦)を略した艦船接頭辞である[1]。
概要
1966年、アメリカのSFテレビドラマ『宇宙大作戦』にて、主人公ジェイムズ・T・カーク船長の艦として初登場。その後、続編にあたるテレビドラマや劇場版にも新デザインで再登場し、シリーズの成功からその人気を不動の物とした、アメリカを代表する宇宙船である。
劇中では、23世紀のカーク船長の多大な功績から惑星連邦宇宙艦隊の象徴的な艦と位置づけられており、23世紀以後の時代でも船体を更新しながらエンタープライズの名を受け継ぐ多数の艦が登場している。これは、アメリカの原子力航空母艦エンタープライズが、第二次世界大戦中の航空母艦エンタープライズの名を襲名しているのと同様である。もちろん、惑星連邦宇宙艦隊にはエンタープライズ以外にも名を襲名している艦は存在するが、登録番号 "NCC-1701" まで受け継いでいるのはエンタープライズのみである[2][3]。
『宇宙大作戦』に登場したエンタープライズのデザインはマット・ジェフリーズによる。ジェフリーズは「円盤」と「ロケット」という、宇宙船のデザインにおいていかにもありきたりで多くのデザイナーが忌避するものを合体させ、今日でも斬新さを感じさせるまったく新しいデザインを生み出した。円盤状の「第1船体(円盤部)」と円柱状の「第2船体(機関部)」を板状の「ドーサルネック」で繋ぎ、第2船体の後部から左右に広がる2本の翼のような「パイロン」の先端にそれぞれ円柱状の「ワープナセル」がついた形状をしている。円柱のデッサン要素のみで構成されたこのシンプルなデザインは、非常に印象に残りやすい秀逸なデザインで、「エンタープライズを描けないアメリカ人の子供はいない」とまで言われたほどである。このデザインは後の作品に登場する艦にもアレンジを加えつつ継承され、惑星連邦宇宙艦隊所属艦の基本形となっている。
なおこれ以降、同名の個艦を区別するため、『宇宙大作戦』の主役艦を「初代エンタープライズ」、その登録番号を受け継いだ艦をアルファベットで「○型艦」、それ以外の艦を登録番号で呼ぶものとする。また映像として登場した順ではなく、劇中の年代順に並べる。映像として登場した順では、初代エンタープライズ、XCV-330、A型艦、D型艦、C型艦、B型艦、E型艦、NX-01、リブート版初代エンタープライズ、リブート版A型艦である。このうち最も有名なのは初代艦とD型艦である。
共通の特徴
すべてのエンタープライズに共通する特徴として、その時代の最新鋭の艦である点が挙げられる。エンタープライズという名の艦が主役艦として登場する作品は、22世紀が舞台の『エンタープライズ』、23世紀が舞台の『宇宙大作戦』と『まんが宇宙大作戦』、24世紀が舞台の『新スタートレック』があるが、そのいずれもその時代の最先端技術が詰め込まれた惑星連邦宇宙艦隊の旗艦となっている。
船体構造としては、第1船体には居住区、科学実験室、貨物室等があり、司令室であるブリッジが第1船体の中央最上部に、通常エンジン(インパルスエンジン)が第1船体の最後尾に設置されている。第2船体はワープエンジン(ワープコア)や燃料である重水素タンク、センサー兼デブリ除去装置のデフレクター盤など、艦のワープ航法に重要な機関が詰め込まれている。また、第2船体の最後尾にはシャトルベイがあり、小型艇のシャトルクラフトを搭載している。クルーは艦内をターボリフトと呼ばれる縦横に動くエレベーターで移動する。またクルーが惑星上陸任務などの移動をする際には、母艦やシャトルクラフトで直接大気圏突破をするのではなく、転送というテレポーテーション技術で移動する。
エンタープライズ XCV-330
基本情報[4] | |
---|---|
艦級 | デクラレーション級 |
経歴 | |
就航期間 | 2123年頃 |
現状 | 退役 |
要目[4] | |
全長 | 300m |
全幅 | 210m |
全高 | 210m |
最高速度 | ワープ3.2(旧ファクター/光速の32.8倍) |
乗員数 | 950(うち乗客850) |
登場作品 | |
未登場(絵や模型による言及のみ) |
来歴
劇場版第1作に、歴代エンタープライズを記念した絵の一つとして登場。スペースシャトル・オービタと初代エンタープライズの間に展示されている。同じ絵や模型は『エンタープライズ』や劇場版第12作にも登場している。他のエンタープライズとは異なり、航行する様子が描かれたことはない。
性能
核融合推進を採用した、初の恒星間宇宙船ということになっている。旅客用として後に957隻の同型船が就航し、同時代において最も成功した旅客用宇宙船となった。最大で1200光年の距離を連続飛行でき、その際の航続期間は2年半に及ぶ。
以上は、1980年発行の "Star Trek Spaceflight Chronology" で与えられた設定であり、2001年開始の『エンタープライズ』で語られた内容とは矛盾しているため、注意が必要である。『エンタープライズ』では、2143年に地球連合の艦が初めてワープ2の速度に達したことになっているが、XCV-330はその時点ですでに過去の船となっている。この場合、XCV-330の最高速度はワープ2未満だったことになる。
デザイン
紡錘状の主船体を円環状の推進部が取り囲んでおり、これはマット・ジェフリーズによる初代エンタープライズの没デザインを流用したものである。特徴的な円環状の推進部は、ジェフリーズの「強力で危険な推進部は他の部分から離れているはず」という考えを反映しており、これはのちに初代エンタープライズのワープナセルとして結実することになる。
エンタープライズ NX-01
基本情報 | |
---|---|
艦級 | NX級 |
建造所 | サンフランシスコ造船所(地球) |
運用者 | 地球連合宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2151年 - 2161年 |
現状 | 退役 |
船長[5] | ジョナサン・アーチャー |
要目 | |
全長 | 225m |
全幅 | 135.8m |
全高 | 33.3m |
最高速度 | ワープ5(旧ファクター/光速の125倍) |
デッキ数 | 7 |
乗員数 | 83 |
登場作品 | |
『エンタープライズ』 |
来歴
『エンタープライズ』の主役艦。2063年のゼフラム・コクレーンによるワープ機関発明からおよそ90年、ワープ5エンジンによってついに光速の125倍の速度を実現し、本格的な深宇宙探査が可能となった記念すべき地球連合初の艦である。地球連合から惑星連邦へ移管される前の宇宙艦隊所属艦であるため "U.S.S." はつかず、接頭辞をつける場合には単に "starship" と呼ぶ。また、艦級1番艦であるものの艦級は「エンタープライズ級」ではなく「NX級」となっており、2番艦コロンビアも "NCC-02" ではなく "NX-02" と、後の宇宙艦隊所属艦とは艦の命名規則が微妙に異なっている[6]。
22世紀のアルファ宇宙域黎明期における10年の任務において、それまで対立していたバルカン、アンドリア帝国、テラライトの仲をとりまとめ、地球連合を含めた4種族による惑星連邦の設立に多大な貢献をした艦である。
性能
『エンタープライズ』の舞台は直前の『ヴォイジャー』から200年以上過去の惑星連邦の設立以前に戻っており、NX-01に搭載されている各種装備はどれも試行錯誤の段階で、後年と比べると非常に未熟である。進行方向のデブリを除去するデフレクタービーム技術と艦内人工重力技術はあるものの、防御シールド、トラクタービーム、フォースフィールド、ホロデッキといった高度な重力子技術はない。そのため、防御に関しては、防御シールドではなく分極メッキによる「装甲モード(防御プレート)」を備え、外部隔壁を分極化フィールドによって質的に変えることで防御力を上げていた。牽引に関しては、トラクタービームではなく直接ワイヤーを飛ばすグラップラーフックを装備している。船体隔壁が裂けた際に艦内を保護する緊急フォースフィールドはなく、ワープ負荷から船体を守る構造維持フィールドに代わって艦内は鉄骨のような補強隔壁が剥き出しである。
また、タンパク質再配列機はあるもののレプリケーターはない。そのため備品や機械部品を安易に作ることができず、船体にある一定規模以上の被害を受けると恒星間宇宙になす術なく漂流するという危険性を常にはらんでいる(どうしようもなくなり異星人船のワープコイルを奪うという、後の惑星連邦宇宙艦隊にあるまじき行為もなされた)。
武装に関しては、空間魚雷とフェイズ砲を装備している。これらは航路上の宇宙塵の排斥には充分な威力ではあるが、地球より技術の進んだクリンゴン艦らとの交戦には明らかに力不足であった。そのため、就航3年目に危険なデルフィック領域へ赴く際、新兵器である反物質弾頭の光子性魚雷を搭載した。
ただし驚くべきことに、NX-01は宇宙艦隊最初期の艦であるにも関わらず、転送装置を装備していた。当時、転送技術はかなり高度で、多くの異星人は所持していなかった。ジョナサン・アーチャー船長は転送装置のアドバンテージを活かして、数々の戦術において優位な戦況を作り上げた。ただし、24世紀の転送技術ほど完成されたものではないため、人間を転送するのはやむを得ない場合のみで、惑星上陸や異星人艦とのランデブーの多くはシャトルを使用していた。また、後の惑星連邦宇宙艦隊所属艦では可能なサイト・トゥ・サイト転送(転送機を直接経由しない転送)、動くシャトルをまるごと転送収容する動点ロック・大質量転送といった技術はない。
ワープ機関の技術は、この当時のバルカン艦の最大速度がワープ7(光速の343倍)であることから、他の主要種族から比べるとやや遅れている。ワープコア(当時はワープリアクター)内にダイリチウム結晶を反物質反応の収束レンズとして設置する技術をまだ持たないため、ワープ5以上の速度に必要な高密度ワーププラズマを精製できないためである。最大速度はワープ5(光速の125倍)ではあるものの、通常はワープ3(光速の27倍)程度、緊急時にワープ4.9(光速の117倍)といった運用がされていた。しかし、第23話「追放された者への祈り」でマザール人の追跡から逃れるために初めてワープ5を記録、第88話「バベル1号星」ではロミュラン人から逃れるために、ワープ5の壁を越えワープ5.06(光速の129倍)に達した。そして、第91話「クリンゴンの苦境」と第92話「優生クリンゴン」では、クリンゴン人による破壊工作のため速度を落とせなくなり、ワープ5.2(光速の140倍)を記録している。インパルスエンジン(通常エンジン)は24世紀のものと差はなく、フルインパルス速度は光速の25%である。
デザイン
デザインはダグ・ドレクスラー、CGIはエデンFX社による。後のエンタープライズと異なる外観上の特徴として、第2船体がないことが挙げられる。第1船体から紡錘状の構造物が二本左右並列に伸び、その後端から左右を繋ぐ構造物とワープナセルを支えるパイロンへと続く。ワープナセルは正円筒形で初代エンタープライズのそれに近い形状をしているが、22世紀の未成熟な技術を表現するかのようにワープナセルにはワープフィールドグリルがなく、内部のワープコイルが剥き出しである。デフレクター盤は円盤部先端にあり、青色に発光する長方形の切欠きにパラボラアンテナ型の皿が設置されている。全体的なフォルムがアキラ級に酷似しているため、ファンからは「アキラプライズ」と呼ばれることもある。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701
基本情報 | |
---|---|
艦級 | コンスティテューション級 |
建造所 | サンフランシスコ造船所(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2245年 - 2285年 |
現状 | ジェネシスにて自爆消失 |
船長[7] |
ロバート・エイプリル クリストファー・パイク ジェイムズ・T・カーク ウィラード・デッカー スポック |
要目(改装前/改装後) | |
全長 | 288.6m / 304.8m |
全幅 | 127.1m / 141.7m |
全高 | 72.6m / 71.3m |
最高速度 | ワープ9(旧ファクター/光速の729倍) |
デッキ数 | 21 |
乗員数 | 430 / 500 |
登場作品 | |
『宇宙大作戦』 『まんが宇宙大作戦』 『ディープ・スペース・ナイン』 『エンタープライズ』 劇場版第1作 劇場版第2作 劇場版第3作 |
来歴
『宇宙大作戦』と『まんが宇宙大作戦』、および劇場版第1作から劇場版第3作までの主役艦。俗に言う「初代エンタープライズ」である。23世紀における最新鋭のコンスティテューション級の艦として、カーク大佐の指揮の下、ファイブイヤー・ミッションと呼ばれる5年間に及ぶ深宇宙探査任務を成し遂げる。カーク船長のこの深宇宙探査は数多くの発見を成し遂げ、惑星連邦宇宙艦隊において知らぬ者はいない伝説となっている。また、この艦は惑星連邦設立後初めてエンタープライズと名付けられた艦であり、命名式には、先代のNX-01で船長を務めたアーチャー提督が出席した(アーチャー提督はその翌日にニューヨーク北部の自宅にて他界している)。
深宇宙探査任務の完了後に老朽化を理由に退役の予定だったが、およそ1年半に及ぶ大規模な改装作業を経て、新たな姿に生まれ変わる。改装を終えたばかりの初代エンタープライズは劇場版第1作において、カーク提督の指揮の下、地球に接近する謎の物体ヴィジャーを迎え撃った。その後、劇場版第2作では士官学校の訓練艦として就役していたが、人員練度が不十分な中、カーン・ノニエン・シン率いる優勢人類らと交戦することになる。劇場版第3作では、クリンゴン艦のバード・オブ・プレイとの戦闘でさらに著しく損傷し、クリンゴン艦乗組員を艦内におびき寄せた上で自爆消失する。
性能
技術分野に関しては、初代エンタープライズはワープ機関の性能を向上させるため、ワープコア内にダイリチウム結晶を利用しはじめた初期の艦であり、先代のNX-01とは比較にならない高速ワープを実現している。武装は殺傷力の強い素粒子ビーム兵器のフェイザー砲(タイプ5フェイザー)、反物質弾頭の光子魚雷を装備。その他、船体を外部攻撃等から守る防御シールド、惑星上陸を非常に安易に行える転送装置など、後の惑星連邦の艦にも見られる『スタートレック』科学の原型がこの時点で完成されている。
また、劇中にその場面はないが、『宇宙大作戦』第38話「死のパラダイス」において第1船体を分離することが可能であると言及されている。ただし、後のD型艦のように自力で合体復元することはできない。
デザイン
デザインはマット・ジェフリーズ、模型はリチャード・C・デイティンによる。この当時の撮影用ミニチュアはFRP製ではなく、サトウマツ材でできていた。後の作品に登場する艦では特徴となっているワープナセルとデフレクター盤の青い発光はまだ見られないが、視覚的にパワーを感じさせるものとして、ワープナセル先端のバサードラムスクープに回転しながら赤く発光するギミックが仕込まれているほか、航行灯(航空機や船舶と同様に点滅する赤と緑の光)はこの時点ですでに付けられている。
改装後のデザインはマット・ジェフリーズが手掛けた『フェイズII』のデザインを元に、ラルフ・マクウォーリーとケン・アダムの手を得て完成した。模型はマジキャム社が手掛けた模型を元に、ダグラス・トランブルの改造を経て完成した[8]。改装前が全体に滑らかで曲線を帯びた女性的な艦姿をしていたのに対し、こちらは直線を多用した精悍で男性的な艦姿である。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-A
基本情報 | |
---|---|
艦級 | コンスティテューション級(改装型) |
建造所 | サンフランシスコ造船所(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2286年 - 2293年 |
現状 | 退役 |
艦長 | ジェイムズ・T・カーク |
要目 | |
全長 | 304.8m |
全幅 | 141.7m |
全高 | 71.3m |
最高速度 | ワープ9(旧ファクター/光速の729倍) |
デッキ数 | 21 |
乗員数 | 500 |
登場作品 | |
劇場版第4作 劇場版第5作 劇場版第6作 |
来歴
劇場版第5作と劇場版第6作の主役艦。劇場版第3作において惑星ジェネシス軌道上で自爆消失した初代エンタープライズに代わり、劇場版第4作において大佐に降格となったカーク提督に、惑星連邦宇宙艦隊が与えた新たな艦。新造艦ではなく、宇宙基地にてクジラ探査船によるダメージを修理中だった同級のヨークタウンの艦名と登録番号を書き換える形で、初代エンタープライズの艦籍が引き継がれた[9]。この際、初代エンタープライズと区別するために登録番号 "NCC-1701" の末尾に "-A" が付け加えられ、エンタープライズは船体更新の際に登録番号全体ではなく末尾のアルファベットのみが更新されていく特例的な伝統が生まれた(例えばイントレピッドは "NCC-1631" "NCC-38907" "NCC-74000" と更新されたが、エンタープライズに限っては "NCC-1701" "NCC-1701-A" "NCC-1701-B" と更新されていく)。
劇場版第6作では、衛星プラクシスの爆発によって窮地に陥ったクリンゴン帝国と惑星連邦とが和平条約を締結する上で、クリンゴン帝国のゴルコン宰相を地球までエスコートをする任務を受ける。しかしながら、惑星連邦にもクリンゴン帝国にもお互いの長年の対立による偏見から同盟には否定的な派閥があり、カーク艦長もまた息子をクリンゴン人に殺害されていることから内心否定的であった。そんな中、ゴルコン宰相が暗殺され、カーク艦長とレナード・マッコイ船医が容疑者として捕まり、流刑惑星ルラ・ペンテへ送られてしまう。過酷な鉱山から自力で脱出したカークとマッコイは、スポック副長ら残ったA型艦のクルー、エクセルシオールのヒカル・スールー艦長と合流。カーク艦長は自身の偏見を乗り越え、同盟反対派の陰謀を阻止し、クリンゴン帝国との長い和平のきっかけとなる重要な役割を果たした。
なお、このA型艦は劇場版第4作の最後の場面にて、「カーク艦長の新しい乗艦はエクセルシオールか?」と観客に思わせた上でサプライズ的に登場し、登録番号 "NCC-1701-A" が書かれた船体を堂々と披露しつつワープで飛び去っていく。この作品の直後に開始した『新スタートレック』では登録番号 "NCC-1701-D" を持つD型艦が登場しており、1世紀後における同一世界観のシリーズであることを指し示す上手な表現である。
性能
初代エンタープライズは老朽化が目立ち、士官候補生の訓練艦を経て引退をも言い渡されていたが、A型艦は同じコンスティテューション級の艦ではあるものの、ワープコアやコンピュータ、内装が新型のものに換装された後期型のモデルとなる。ただし、クジラ探査船によるダメージのためか、劇場版第5作では十分に性能を発揮できず、モンゴメリー・スコット機関主任からは「この船は猿が作ったのか」と評されてしまっていた。
デザイン
デザインは改装後の初代エンタープライズとほぼ同じ。模型も再塗装したものが用いられているが、部品の欠損や修理の関係で、一部のデザインが変更されている。劇場版第6作では、『宇宙大作戦』のスタッフに敬意を表す形で、改装前の初代エンタープライズと同じ幾何学模様が第2船体の底部に付け加えられた。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-B
基本情報 | |
---|---|
艦級 | エクセルシオール級(強化型) |
建造所 | サンフランシスコ造船所(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2293年 - 2329年 |
現状 | 退役 |
艦長 | ジョン・ハリマン |
要目 | |
全長 | 466.6m |
全幅 | 185.9m |
全高 | 77.7m |
最高速度 | ワープ9.4(旧ファクター/光速の831倍) |
デッキ数 | 32 |
乗員数 | 570 |
登場作品 | |
劇場版第7作 |
来歴
劇場版第7作の冒頭に登場。小さめの第1船体に長大なワープナセルというスレンダーなシルエットが特徴のエクセルシオール級の艦である。艦長はジョン・ハリマン大佐、操舵主はスールー大佐の娘、デモラ・スールー少尉が務めている。C型艦は『新スタートレック』第63話「亡霊戦艦エンタープライズ"C"」にてすでに登場していたが、B型艦は未登場で、いわばミッシングリンクを埋める形となった。登場時間は歴代エンタープライズの中では最も短い。
2293年、B型艦は先代のA型艦で艦長を務めたカーク大佐、機関主任のスコット大佐、航海士のパヴェル・チェコフ中佐ほか各種メディアを招いて出港式と冥王星までの処女航海を行う。その最中、B型艦は輸送船ラクール号からの緊急救難信号を受信、救助に向かうと輸送船を飲み込み破壊しようとする謎のエネルギーリボンに遭遇する。正式就航前のB型艦はトラクタービームや光子魚雷を搭載しておらず、クルーの数も不十分な状態であった。しかし、転送可能域まで接近し、エネルギーリボンに巻き込まれながらもエル・オーリア人の難民を47名救助することに成功。さらに、デフレクター盤を改造し光子魚雷の爆発に近い性質のビームを発射することで、エネルギーリボンからの脱出をも成功させることができた。しかしながら、エネルギーリボンから脱出する際に第2船体の外部隔壁が裂け、デフレクター制御室にいたカーク大佐が殉職してしまうという、不名誉な経歴を残してしまうこととなった。
その後、退役までの間に142もの星系の探索と星図の作成を行い、さらに17の文明とのファーストコンタクトを成し遂げたとされている[10]。
性能
B型艦は通常のエクセルシオール級ではなく、第2船体のバルジやインパルスエンジン、バサードラムスクープなどが増設された、俗に「強化型エクセルシオール級」と呼ばれる数少ないタイプの艦である。強化型エクセルシオール級をあまり目にする機会はないが、『ディープ・スペース・ナイン』第83・84話「地球厳戒令」に登場するラコタがそれにあたる。
デザイン
デザインはビル・ジョージが手掛けたエクセルシオールのデザインを元に、ジョン・イーブスとハーマン・ジマーマンの手を得て完成した(「B型艦はエクセルシオール級である」という設定は『新スタートレック』放映当時から存在していた)。模型はILM社が手掛けたエクセルシオールの模型を改造したもの[8]。劇場版第7作にはエネルギーリボンによって第2船体に亀裂が入る場面があるが、第2船体に張り出したバルジ部分を設けることで、亀裂を入れてもエクセルシオールの模型が無傷で残るように工夫されていたという。ところが、バルジ部分の接着に用いた接着剤があまりに強力で、剥がそうとするとエクセルシオールの模型も損傷することが明らかとなり、結局原状復帰はされなかった。そのため、後の作品に登場する強化型でないエクセルシオール級は、すべて新造された模型かCGIである。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-C
基本情報 | |
---|---|
艦級 | アンバサダー級 |
建造所 | マッキンリー基地(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2332年 - 2344年 |
現状 | ナレンドラ3号星にて撃沈消失 |
艦長 | レイチェル・ギャレット |
要目 | |
全長 | 525.8m |
全幅 | 321.9m |
全高 | 133.2m |
最高速度 | ワープ9(光速の1516倍) |
デッキ数 | 32 |
乗員数 | 700 |
登場作品 | |
『新スタートレック』 |
来歴
『新スタートレック』第63話「亡霊戦艦エンタープライズ"C"」に登場。歴代エンタープライズで初の女性艦長となるレイチェル・ギャレット大佐の指揮の下就航したアンバサダー級の艦である。
2344年、C型艦はロミュラン帝国とクリンゴン帝国の紛争において、ナレンドラ3号星のクリンゴン基地がロミュラン艦の攻撃を受けた際に単身で援助に向かうが、複数のロミュラン艦らの攻撃を受けて撃沈されてしまう。名誉を重んじる誇り高きクリンゴン帝国は同艦の犠牲により、惑星連邦を「名誉ある者」、防衛手段を持たない基地を襲撃したロミュラン帝国を「恥ずべき者」とした。これにより、クリンゴン帝国と惑星連邦はその友好関係をより決定的とし、同時にクリンゴン帝国とロミュラン帝国の決裂をも決定的とした。実はこの際、ロミュラン艦との激しい交戦によって時空の裂け目ができており、著しい損傷を受けたC型艦が時空の裂け目に逃げ込んだ結果、同艦は22年後の2366年に移動、次世代のD型艦に遭遇してしまうという異常事態が発生した。さらに、C型艦が消えたことによって歴史が変わり、惑星連邦はクリンゴン帝国と同盟関係ではなく戦争状態に至り、敗戦寸前という悲惨な状況になってしまった。様変わりした惑星連邦の惨状に事態を重く見たギャレット艦長とC型艦のクルーは、元の時代に戻れば自分たちが生き残れる可能性がゼロであることを知りながら、勇敢にも再度時空の裂け目を通って元の時代に戻っていく。これにより歴史は元に戻り、惑星連邦とクリンゴン帝国は同盟関係と平和を維持したのである[11]。
性能
装備されているタイプ9フェイザーは、発射装置がレール状に敷かれた「フェイザーアレイ」となり、射撃角度の死角がほぼ皆無となった。コンピュータシステムは23世紀のデュオトロニクスコンピュータから、超光速演算が可能なアイソリニアオプティカルコンピュータとなり、24世紀初期の最先端技術が詰め込まれている(ただしはOSはLCARSではなく、23世紀からのものを引き続き使用している)。また、機動性が高く、同時代のロミュラン艦のそれより優れている。
デザイン
デザインはアンドリュー・プロバートが手掛けたD型艦のコンセプト画を元に、リック・スターンバックの手を得て完成した。この段階においてB型艦は未登場であったが、B型艦はエクセルシオール級の艦であるという設定は存在したため、1話のみの登場ながらエクセルシオール級とギャラクシー級の中間的なデザインがよく練られた艦となった。全体的なフォルムは、大きめにとられた正円型の第1船体にコンパクトなワープナセルという、24世紀の惑星連邦宇宙艦隊所属艦の最もスタンダードな形となっている。ただし、ギャラクシー級と遠目で区別がつきにくいことから、アンバサダー級が画面に登場する機会は少ない。模型はグレッグ・ジーンによる[8]。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-D
基本情報 | |
---|---|
艦級 | ギャラクシー級 |
建造所 | ユートピア・プラニシア造船所(火星) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2363年 - 2371年 |
現状 | ヴェリディアン3号星にて撃沈消失 |
艦長 |
ジャン=リュック・ピカード ウィリアム・T・ライカー エドワード・ジェリコ |
要目 | |
全長 | 641m |
全幅 | 467.1m |
全高 | 137.5m |
最高速度 | ワープ9.6(光速の1909倍) |
デッキ数 | 42 |
乗員数 | 1,012 |
登場作品 | |
『新スタートレック』 『ディープ・スペース・ナイン』 『エンタープライズ』 劇場版第7作 |
来歴
『新スタートレック』および劇場版第7作の主役艦。惑星連邦宇宙艦隊の旗艦として設計された最新鋭のギャラクシー級巡洋探査艦である。同級としては、ギャラクシー、ヤマトに次ぐ3番艦として就航した。歴代エンタープライズの中では登場時間がもっとも長く、作品の成功から数々の劇場版やスピンオフ作品が派生したことから、エンタープライズと聞いてまず思い浮かべる艦が初代エンタープライズではなくこのD型艦であるというファンも多い。
ジャン=リュック・ピカード大佐の指揮の下に就航したD型艦は7年間にわたる任務において、『スタートレック』の作品世界を広げる数々の活躍を成した。『新スタートレック』第1話「未知への飛翔」において神のごとく全能の種族Q連続体と遭遇したのを発端とし、カーク船長の時代からおなじみのクリンゴン人やロミュラン人と惑星連邦の関わり、フェレンギ人やカーデシア人などの初登場の種族とのやりとり、ボーグ集合体の地球侵略を阻止するなど、D型艦の活躍は全7シーズンの数々のエピソードで新しい『スタートレック』ファンの獲得に成功する。拡張された世界観は『新スタートレック』では描ききれず、スピンオフ作品の『ディープ・スペース・ナイン』、後継作品の『ヴォイジャー』に引き継がれてさらなる広がりを見せていった。
24世紀の世界を舞台としたこれら3つのスタートレックシリーズは合計21シーズン526話と4本の劇場版を有する。完全に同一世界観かつ同一時代を主題としたSFテレビシリーズでこれほど巨大な規模を持つものは他にはない。
劇場版第7作では、ヴェリディアン3号星の衛星軌道上で、デュラス家のルーサとベトール姉妹が指揮するクリンゴン艦バード・オブ・プレイと交戦。防御シールドの周波数を知られたために、D型艦は敵艦の光子魚雷やディスラプターの直撃を受け続ける。辛くも敵艦を撃退したものの、第2船体に集中攻撃を受けたためワープコアに修復不能なダメージを負い、第2船体は爆発四散する。直前に緊急分離した第1船体は、第2船体の爆風に巻き込まれて操縦不能になり、ヴェリディアン3号星の重力から抜けられず大気圏に突入して地表の森林地帯に不時着した[12]。人的被害は最小限であったが艦は修復不能になってしまい、結果として歴代エンタープライズの中では登場時間がもっとも長い艦であるにもかかわわらず、最も運用期間の短命(8年)なエンタープライズとなった[13]。
性能
全長641m、質量500万トン、デッキ数42という、24世紀の艦の中で最大規模の船体を誇り、1,000人以上の乗員を収容可能。クルーの家族や民間人も乗艦でき、艦内には子供用の学校まで存在している。また、最大サイズの艦であるにも関わらず、最高でワープ9.6もの速度で12時間航行可能、7年間無補給で活動できる。
23世紀のものと比較して格段に大威力となったタイプ10フェイザーを装備し、光子魚雷も内部の反物質パケットが増設され23世紀より破壊力がより強く増している。防御シールドも単純な重力子壁から多位相シールド(マルチフェイズシールド)となったことで、船体密着型ではなく船体周囲を卵の殻状に覆う形となり、より強固に船体を保護する。初代エンタープライズやA型艦に見られた防御シールドはあくまで船体強度を強化しているに過ぎず、被弾した箇所は防御シールドがあっても黒く焦げ損傷するが、多位相シールドは正常に稼働している限り船体にダメージは通らない。コンピュータシステムは超光速演算が可能なアイソリニアオプティカルコンピュータで、莫大な情報量をLCARSと呼ばれる新たなOSで管理している。さらにコンピュータは「会話認識」が可能となり(23世紀は「音声認識」)、ユーザーは会話するようにコンピュータに命令をすることができる。
23世紀になかった装備として、ホロデッキとレプリケーターが挙げられる。ホロデッキは光子とフォースフィールドを使った高度なバーチャルリアリティーシミュレーションであり、任務のシミュレーションから娯楽のホロノベルまで多様に利用される。レプリケーターは転送技術の高度な応用で、エネルギーを使って物体を作り出す技術である。このレプリケーターによって機械部品を非常に簡単に作ることができ、また食料や特殊な大気なども自由自在に作り出すことができるようになった。
さらに、D型艦は高度な船体分離・合体機能を備えており、第1船体と第2船体をそれぞれ別の艦として機能させ、再度合体させることが可能である。船体分離はワープエンジンに爆発の危険が迫る緊急事態、および戦闘時における戦術の選択のひとつとして用いられる。第2船体は機動力、火力、防御力に優れ、指揮官はドーサルネック上部にある戦闘ブリッジから艦を指揮をすることができる。一方で、第1船体は推進エンジンがインパルスエンジンのみであるためにワープ推進能力はなく(ワープフィールド維持装置はあるためワープ中の船体分離は可能)、武器もフェイザーのみである。そのため、ギャラクシー級の基本的な船体分離戦術としては、「民間人などの非戦闘員を第1船体に残し、攻撃力の高い第2船体で敵を撃退すること」とされている。ウィリアム・T・ライカー艦長(ピカード艦長の不在により副長から一時的に昇格)は、ボーグに改造されてしまったピカード艦長が指揮するボーグキューブとの戦闘時に、船体分離の際、ピカード艦長は攻撃力の弱い第1船体を無視するだろうと推測、裏をかいて見事な戦術を披露した。
デザイン
デザインはアンドリュー・プロバートが手掛けた『フェイズII』のコンセプト画を元に、ハーマン・ジマーマンとリチャード・ジェームスの手を得て完成した。最初の模型はILM社によって制作されたが、壊れやすく撮影スタッフの評判が悪かったため、第4シーズンから主にグレッグ・ジーンの模型が使われている[8]。全体的な特徴としては、第1船体が正円ではなく横長の楕円形をしており、第2船体も正円筒型ではなく偏平な形状をしている。デフレクター盤も正円ではなく横幅の長い楕円形をしており、いわば長さよりも幅を強調したデザインとなっている。パイロンは船体に対し水平に伸びた後に滑らかに垂直方向へ湾曲し、扁平な円筒型のワープナセルに接続される。D型艦は2基のワープナセルの力強い青い発光をほとんどの角度から同時に目視することができ、視覚的にパワーを感じさせるデザインとなっている。また、全長が抑えられたD型艦はテレビ画面の縦横比にもっとも合致するデザインバランスとなっているため、歴代エンタープライズの中では最もテレビドラマにおける画面効果が高い艦である。D型艦は楕円形の第1船体が正円に見えるアングルが最も美しいとされ、その優雅な姿から「銀河の白鳥」とも呼ばれている。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-D(ドレッドノート型)
『新スタートレック』最終回「永遠への旅」に登場。高次元生命体のQ連続体が見せた「可能性の未来」での25年後のD型艦。ライカー提督が廃艦にされそうになっていたD型艦を私物化したもので、古い船ではあるものの隅々までよく整備されている。大規模な改装がされており、ワープナセルが第2船体中央に増設され3基となったほか、第1船体上部にフェイザー砲2門、第1船体下部にクリンゴン帝国の新型戦艦ネグヴァー級を一撃で撃ち貫く程の大威力を持った大型フェイザーキャノン(『Onilie』では「フェイザースパイラルランス」と呼称)が1門増設され、さらに遮蔽装置も搭載されているなど、重装備化し防衛力が大幅に強化されているのが特徴。またワープ13で航行可能であるが、これはそれまでの24世紀式ワープ係数とは異なり、22~23世紀式に戻ったのかトランスワープ技術となったのかは不明である。もし22~23世紀式ワープ13だとすると、およそワープ9.65ということになる。
デザイナーは不明。模型はグレッグ・ジーンが手掛けたD型艦の模型を改造したものである[8]。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-E
基本情報 | |
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艦級 | ソヴェリン級 |
建造所 | サンフランシスコ造船所(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2372年 -[14] |
現状 | 現役(2379年時点) |
艦長 | ジャン=リュック・ピカード[15] |
要目 | |
全長 | 685m |
全幅 | 250m |
全高 | 88m |
最高速度 | ワープ9.985(諸説あり) |
デッキ数 | 29 |
乗員数 | 854 |
登場作品 | |
劇場版第8作 劇場版第9作 劇場版第10作 |
来歴
詳細はU.S.S.エンタープライズEを参照。
劇場版第8作から劇場版第10作までの主役艦。劇場版第7作においてヴェリディアン3号星で撃沈消失したD型艦に代わり、新たに登場したエンタープライズ[16]。クルーの多くはD型艦から引き継がれている。ギャラクシー級に代わる新たな旗艦として設計されたソヴェリン級の2番艦で、ボーグ、ドミニオン、カーデシア帝国などとの交戦を想定し、火力、推力、防御力が格段に強化されている。船体全長はD型艦より伸びたものの、総質量は320万トンと船体の規模はC型艦より小さくなり、D型艦にあったようなクルーの家族や民間人が同乗するような余剰空間は設けられていない。
性能
探査任務だけでなく戦術的任務をも前提としたE型艦の各種武装は、D型艦のそれよりはるかに強力となっている。フェイザーは惑星連邦宇宙艦隊所属艦最強の出力を誇るタイプ12フェイザーを装備。また従来の反物質弾頭・光子魚雷に加えて、真空エネルギー弾頭の量子魚雷をも搭載してる数少ない艦である。船体外部隔壁は断熱被膜塗装(アブレーティブ装甲)がされており、敵艦からのビームの直撃を蒸発させてある程度はじくことができる。ソヴェリン級の武装はディファイアント級のそれが踏襲されている。
E型艦以降、惑星連邦宇宙艦隊所属艦のワープナセルはコンパクトな形状ものから長大なデザインのものへと移行した。これは艦が超光速推進する際に人工的に作り出す強力なワープフィールドが、時空連続体に徐々にダメージを与え最終的に亜空間断裂(宇宙空間が突然大爆発し以後その周辺域でワープ航法ができなくなる)を起こすことが判明し、ワープ技術の見直しがされたからである。イントレピッド級はワープナセルを可動式にしワープフィールドの形状を常に調整することでこの問題を解決したが、E型艦の新型ワープナセルは固定式でありながら時空連続体にダメージを与えることなく高速ワープを可能にしている。最高速度に関してはD型艦やイントレピッド級のように明言されたものはなく、書籍によりばらつきがある。
なお、E型艦はD型艦のような船体分離・合体機能を持っているのかは不明である。船体外部には分離ラインらしき深いスリットはあるものの、D型艦と異なり劇中に登場する艦の断面図表示(MSD)に明確な分離ラインはなく、さらに第2船体にはインパルスエンジンがないので分離した場合身動きがとれなくなることが指摘されている。加えて第2船体にはフェイザーアレイが船腹にしかなく(劇場版第10作「ネメシス」からはワープナセルパイロンにもフェイザーアレイが増設された)、武装が十分とは言い難い。また、D型艦は大勢の民間人を乗船させる手前、「民間人などの非戦闘員を第1船体に残し、攻撃力の高い第2船体で敵を撃退すること」という戦術が有効であったが、最初から民間人が同乗していないE型艦には不要である。
デザイン
デザインはジョン・イーブス、模型はILM社による。イーブスお気に入りのエクセルシオールを意識したとされ、縦長の楕円形の円盤部にすらりと伸びた第2船体とワープナセルが接続された、幅よりも長さを強調したスタイリッシュかつ力強い流線型デザインとなっている。ワープナセルは円筒型ではなく艦尾に行くにつれて細くなる三角柱型をしており、加えて青く発光するワープフィールドグリルが側面ではなく背面となっている(側面にワープフィールドグリルの名残りを思わせるディティールがあるため、制作段階で発光部分を変更した可能性もある)。イーブスによれば「D型艦がキャデラック、E型艦がポルシェ」であるらしい。またイーブスは「初代艦とA型艦はドーサルネックが細すぎて危険」という考えを持ち、U.S.S.ヴォイジャー同様のドーサルネックのない艦となったが、イーブスはE型艦のデザイン時にU.S.S.ヴォイジャーのデザインを見ていなかった。そのため以後のドーサルネックのない連邦艦デザインの流れは、偶然の産物ともいえるものであった。撮影は劇場版第8作ではミニチュアが使われたが、劇場版第9作からはCGIが使われている[8]。劇場版第10作では、CGIがデジタル・ドメイン社の担当となった関係もあり、魚雷ランチャーやフェイザーアレイの増設、パイロン角度変更など一部のデザインがマイナーチェンジされている(イーブスらによれば手直ししたかった部分でもあったという)。
また、E型艦のデフレクター盤はD型艦やイントレピッド級と比較するとかなり小型で、かつ発光色が黄色で他の惑星連邦宇宙艦隊所属艦とは異なる(同型のデフレクター盤を持つアキラ級やプロメテウス級のそれは青色の発光である)。これは劇場版第8作の脚本上、デフレクター盤の上でボーグドローンとの白兵戦が行われるために実物大のセットを組まなければならなかったことと、青色の発光では緊迫感のあるシーンにならないことに由来する。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-F
基本情報 | |
---|---|
艦級 | オデッセイ級(改装型) |
建造所 | サンフランシスコ造船所(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2409年 - |
現状 | 現役(2410年時点) |
艦長 | Va'Kel Shon |
要目 | |
全長 | 1,060m[17] |
最高速度 | ワープ9.996/トランスワープ |
乗員数 | 2,500 |
登場作品 | |
未登場 |
来歴
詳細はU.S.S.エンタープライズFを参照。
本編には登場していない、オンラインゲーム『Star Trek Online』内におけるエンタープライズ。オデッセイ級の2番艦で、イントレピッド級のような第1船体、D型艦のような第2船体、E型艦のようなワープナセルを持つ。また、初のアンドリア人艦長を持つエンタープライズである。
性能
ヴォイジャーが持ち帰ったトランスワープ技術・量子スリップストリームドライブ技術を取り入れた初めてのエンタープライズであり、この艦級で初めて採用された2つのドーサルネック(デュアルドーサルネック)により、トランスワープを安定して実用することが可能となった。
デザイン
ゲームの企画の一環として、デザインは一般公募された中からプレイヤーによる人気投票で決定された。このコンテストは開発会社とCBSとの公式な共同開催イベントであり、公募されたデザインの選定、艦やクルーの詳細設定にはCBSが関わっている[18]。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-J
基本情報 | |
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艦級 | ユニバース級 |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 26世紀 |
要目 | |
全長 | 3,210m |
登場作品 | |
『エンタープライズ』 |
来歴
『エンタープライズ』第70話「爬虫類族の攻撃」に登場。とはいうものの登場は一場面のみ、しかも船内セットのみであり、外部から見た艦の姿を見ることはできない。なお、現在のところG型艦、H型艦、I型艦は登場していない。全長3,210mの巨大な世代交代型深宇宙探査船であり、異次元宇宙からの侵略者である、球体創造者との戦闘(プロシオン5の戦い)に参加した[19]。
性能
D型艦のような船体に対して横向きに楕円形の巨大な円盤部に、すらりとしたワープナセルがついた形状をしている。またNX-01のようにメインディフレクター盤が第2船体ではなく円盤部についているのも特徴となっている。非常に巨大な艦であるため、艦内には大きな公園や歓楽街、大学までもがあり、艦内移動はターボリフトの他に転送で行われることも多いとされている。
デザイン
デザインはダグ・ドレクスラー、CGIはエデンFX社による。船内から窓の外に円盤部の下面と紡錘部の一部が見えるものの、劇中では全体像は船内図が表示されているのみで、実際の艦影は描かれなかった。後になって、ドレクスラーらが毎年制作しているカレンダー「Ships of the Line」の2005年版に全体像が掲載されたほか、トッド・グウィンらによる宇宙船の解説番組「Trekyards」にドレクスラーが自ら出演、解説を行うとともにワープ航行シーンなどの映像が公開された[20]。また、イギリスのイーグルモス社が刊行している『スタートレック・オフィシャル・スターシップ・コレクション』第89号にラインナップされ、初の完成品模型の商品化となった[21]。
リブート版エンタープライズ
劇場版第11作ではタイムトラベルとそれにともなう歴史改変が描かれており、以前の作品とは異なる歴史をたどった平行宇宙が舞台となった。そのため、登場するエンタープライズも、外見や経歴が大きく異なっている。なお、CBSは劇場版第11作に始まる平行宇宙を主要宇宙(『宇宙大作戦』の世界)と区別し、「ケルヴィン・タイムライン[22][23]」という正式呼称を設けている。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701
基本情報 | |
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艦級 | コンスティテューション級 |
建造所 | リバーサイド造船所(地球) |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2258年 - 2263年 |
現状 | アルタミッドにて撃沈消失 |
船長 |
クリストファー・パイク ジェイムズ・T・カーク |
要目 | |
全長 | 725m(諸説あり) |
登場作品 | |
劇場版第11作 劇場版第12作 劇場版第13作 |
来歴
劇場版第11作から劇場版第13作までの主役艦。ネロが主要宇宙の未来から次元を超えてタイムスリップしてきた影響で、主要宇宙と異なる姿となった初代エンタープライズ。両者の区別のため、ファンからは「リブート版エンタープライズ」、もしくは劇場版第11作の監督J.J.エイブラムスにちなんだ「JJプライズ」という通称で呼ばれる事もある。
就役は主要宇宙より13年遅い2258年となった。建造も衛星軌道上のサンフランシスコ造船所ではなく、地球上のリバーサイド造船所で行われ、地上から宇宙に進宙している。同型艦の存在は映画では描写されていないが、劇場版第11作と劇場版第12作の間の物語として発売されたゲームでは、同型艦が12隻登場している[24]。セットの就航記念版には「コンスティテューション級」ではなく「スターシップ級」と書かれているが、これは後述の設定変更を意識したものと考えられる。
劇場版第11作においてリブート版初代エンタープライズは2258年、クリストファー・パイク船長とスポック副長の指揮の下、惑星連邦宇宙艦隊最新鋭の旗艦として就航する予定であった。しかしヴァルカン母星のヴァルカニスの緊急救難信号を受けたことにより予定を前倒しして就航式もせずに進宙する。ヴァルカニスでは圧倒的火力を持つ巨大なロミュラン艦のナラーダ号が、先着していた宇宙艦隊の艦をすべて破壊しており、パイク船長の拉致とヴァルカニスの破壊までも許してしまう。一方で士官候補生のジェイムズ・カークはヴァルカン星系のLクラス惑星で24世紀末から時間移動してきたスポック大使と遭遇し、ナラーダ号とその指揮官のネロ船長もまた100年後の未来からやってきたと告げる。24世紀末、ネロ船長はロミュラン帝国母星のロミュラス滅亡が惑星連邦の責任であるという恨みを持ち、スポック大使の船を攻撃する。それにより赤色物質と呼ばれる液体から発生したブラックホールに飲み込まれ、スポック大使の船ともども23世紀半ばに飛ばされてしまった。過去の世界に取り残されたネロ船長は、惑星連邦を滅亡させ、より強大なロミュラン帝国の確立を目論む。この未来からの大規模な干渉により23世紀の世界はもはや先の予測のつかない、本来のタイムラインとは異なる並行宇宙(ケルヴィン・タイムライン)と化してしまった。ナラーダ号はただの採掘船ではあるが100年後のテクノロジーを持つために苦戦を強いられるものの、カークはスポック副長と力を合わせパイク船長を救出、拿捕されていたスポック大使の船を奪取し、地球の破壊を阻止することに成功する。その功績により、カークは25歳の若さで大佐に飛び級昇進し、同じく昇進したパイク提督に代わり、最新鋭宇宙艦U.S.S.エンタープライズNCC-1701の船長に任命される。
劇場版第12作では、カーク船長はマーカス提督から、ロンドンのデータセンターと宇宙艦隊デイストロム研究所を襲撃したジョン・ハリソンという男の新型光子魚雷による抹殺任務を受け、クリンゴン帝国母星のクロノスへ向かう。ハリソンはパイク提督の命をも奪っており、カークはハリソンに対して強い憎悪を持っていたものの、スコット機関主任やスポック副長の説得もあり抹殺することなく拿捕するにとどめる。捕えられたハリソンは、自身が20世紀末の生まれの優勢人類であり、マーカス提督のもと惑星連邦の秘密組織セクション31が密かに蘇らせたカーン・ヌニエン・シンであると告白する。さらにマーカス提督に持たされた新型光子魚雷の中にはカーンの仲間の数十人の優勢人類が冷凍保存されていた。マーカス提督は、蘇らせたものの超人的頭脳と肉体を持つカーンに脅威を感じつつも何とか利用できないかと画策するが、結局カーンに殺害されてしまう。またカーンはカークと一時協力するが、自身の仲間とカークとの人質交換を成功させると、エンタープライズを破壊しようとする。大ダメージを負い、ワープコアもシールドも停止したエンタープライズは地球の重力につかまり墜落しかかってしまうが、カークが決死の覚悟でワープコアを修復し危機を脱する。しかしカークはワープコアの高レベル放射能に晒されたことにより死亡してしまう。カークの最期を目の前にし、カーンへの怒りを爆発させたスポックはサンフランシスコの街で逃亡を続けるカーンを足で追跡しとうとう追い詰める。その後マッコイ医師はカーンの血液と冷凍保存装置を利用し、カークを蘇らせることに成功。カーンは再度冷凍保存され、修復されたエンタープライズはカーク船長の指揮の下、5年間に及ぶ深宇宙探査任務であるファイブイヤー・ミッションを開始する。
劇場版第13作ではカーク船長のファイブイヤー・ミッションにおいて3年が経過した2263年、立ち寄った惑星連邦領域外縁近くの巨大宇宙基地ヨークタウンでカラーラという異星人からの救難信号を受け、未知の星雲内の惑星アルタミットを目指す。アルタミット軌道上に到着したエンタープライズはそこで数千隻にもおよぶハチのような小型宇宙艇群の襲撃を受ける。フェイザーも光子魚雷もこのような広範囲に群がる敵に対してはまったく効果的ではなく、群れの集中的な突撃でワープナセルパイロンが引きちぎられ、さらにはドーサルネックも引き裂かれて円盤部だけになってしまう。侵入者にも襲われ、艦が機能を失う中、カークはギリギリまでクルーを逃がし、最後に脱出ポッドで脱出。カークは、無残に傷だらけになりアルタミット星の森に墜落する円盤部をその目で見ることになる。その後はぐれたクルーの探索と侵入者の目的の遺物を探すために、カークはチェコフ少尉とカラーラと共に深い森を進み墜落した円盤部に戻る。カラーラの裏切りと侵入者の襲撃を予測していたカークは不意を突いて反撃に出る。カークは姿勢制御スラスターをフェイザー射撃で強引に起動させ、円盤部をひっくり返すことに成功。しかし同時にエンタープライズは完全に修復不能になってしまった。
性能
シールド、フェイザー、光子魚雷、転送、通信機など、搭載されているテクノロジーは初代艦とA型艦のそれをそのまま踏襲しており、24世紀にあったホロデッキやレプリケーターのようなテクノロジーの描写はない。シールドはD、E型艦に見られた船体を覆う卵の殻状のシールドではなく、単純に船体強度を強化しているのみの初代艦やA型艦のそれである。フェイザーはD、E型艦のような1直線のビームではなく、劇場版第2作にみられた改装型初代艦のように短めに発射したビームを連射する形式になっている。
しかしながら一方で初代艦やA型艦には見られなかった惑星への直接上陸能力を持っている。転送装置を持つ惑星連邦の艦は基本的に宇宙で造船されるため、惑星に巨大な母艦ごと直接降下する必要はなく、主要宇宙でもイントレピッド級やディファイアント級などの一部の艦級が可能なのみである。またワープ速度が極めて速く、劇場版第11作では地球からヴァルカニスまでを、劇場版第12作ではクロノスから地球までをわずか数分で移動しているが、これはそれまでのスタートレックの科学設定とは明らかに矛盾しているので注意が必要である。
本艦や劇場版第12作のドレッドノート級が主要宇宙の同時期の艦に比べてオーバースペックになったのは、U.S.S.ケルヴィンNCC-0514がナラーダ号と遭遇したことにより、危機感を感じた惑星連邦が技術の開発を急いだことと、ケルヴィンの生存者が未来のロミュラン艦であるナラーダ号のスキャンデータを持ち帰ったことによるとされている(元が掘削船であるためスキャン対策が不十分だった)。クリンゴン側も不調を起こしたナラーダ号を一時鹵獲したため、惑星連邦とクリンゴン帝国の間で大きな技術格差が発生することはなかった。なお、劇場版第12作の前日談として発売されたコミックでは、2258年に就役したこのエンタープライズは、ナラーダ号のデータから解析された未来の技術を導入するため新規に建造された2代目のエンタープライズであるとされ、これ以前に主要宇宙と似た形状をした初代エンタープライズが登場している[25]。劇場版第12作で大破した後は、およそ1年に及ぶ修理と改装を行っており、第1船体後端のインパルスエンジンの形状などが変更された。劇場版第13作では、ドーサルネックやワープナセルの小型化などが施されており、全体のプロポーションが大きく異なっている。
デザイン
デザインはライアン・チャーチ、CGIはILM社による。リブート版初代艦のデザインは初代艦とA型艦のもの掛け合わせ、21世紀らしいスタイリッシュなフォルムに進化させた秀逸なものとなっている。第1船体はA型艦、第2船体とワープナセルは初代艦に近い形状をしている。第2船体がA型艦よりずっとスリムになった反面、ワープナセルは第2船体に匹敵するパワフルな太さを持ち、E型艦のように艦尾に近づくにつれ細くなり長さを強調している。NX-01やD型艦に見られたワープナセル側面の青く発光するワープフィールドグリルがない代わりに、ワープジャンプの際にはナセル上部のエアロパーツと最尾部が力強く白色発光する。ワープナセル先端のバサードラムスクープはこれまでのエンタープライズの赤い発光と異なり青い発光となっているものの、内部のパーツが回転するギミックは初代艦のそれを踏襲している。またワープナセルパイロンは直線ではなくわずかに上向きに湾曲しており、加えてかなりワープナセルの先端寄りに接続されているのも特徴である。デフレクター盤は初代艦同様のパラボラアンテナ型であるが、初代艦のようなのっぺらしたものではなくE型艦のデフレクター盤のような複雑な形状をしており、かつパラボラアンテナ自体が青く発光する。これはミニチュアによる撮影では出来ない画面効果であり、最新のCGI技術を駆使した美しい表現となっている。初代艦とA型艦の弱点とも言われていた細いドーサルネックは太目になっており、ドーサルネック背面は艦尾のシャトルベイシャッターまでなだらかにつながっている。フェイザーバンクや魚雷ランチャー、ドッキングハッチなどのディティールの配置はA型艦と同じ位置になっている。
全長に関しては、デザインの段階ではA型艦(全長305m)と同規模の366mとなっていたが、制作の段階で725mと設定しなおされた。この場合D型艦よりも大型な艦になるために船体規模に合わせてドッキングハッチや船窓、スラスターなどのメカをそれ相応の形にするリファインが必要なのであるが、エイブラムス監督はこれらをまったく修正することなくそのまま拡大した。そのため各種ディティールが非常にオーバースケールで、これまでの惑星連邦宇宙艦のデザインを無視するような矛盾が生じており議論の的となっている。劇中での描写にもシーンによって一貫性がなく、具体的な例としては、広大なシャトルベイが挙げられる。劇中では全長10m以上あるシャトルが10機以上、横向きに2段2列に格納されている。そのため第2船体の幅は約40mと目算でき、この場合の全長は725mである。また、ホールウェイと呼ばれる円盤部中央の複数デッキを貫く吹き抜け(全長725mの場合、円盤部中央は14デッキある)や、広大な機関部も全長が725mでないと説明できない。一方で、全長が366mでないと説明できない例としては、第1船体外縁のリム幅(円盤部の厚み)やドッキングハッチの大きさが挙げられる。劇場版12作目で船体外部隔壁が裂けた時に確認できるが、第1船体外縁のリム幅は2デッキ分に相当し、この場合の全長は366mである[26](全長725mの場合、船窓2列に対して円盤部リム幅は4デッキ分あることになる)。さらにドッキングハッチの大きさに関してはA型艦同様に直径2m程度であると目算でき、そこから逆算すると366mとなる。また劇場版13作目では広大な機関部のシーンがなく、序盤でカークとマッコイがウイスキーを飲むシーンの船窓の大きさ、敵の小型船のサイズ等から全長366mに見える。
ミニチュア玩具を発売する各メーカーの表示にも異差があり、全長302m、366m、725mと統一性がない。ただし、『Star Trek Online』に同級が登場するに当たり、開発メーカーで宇宙船CGモデリングを担当しているトーマス・マローンが版権元であるCBS(『Star Trek Online』の監修も行なっている)から提供された設定では、725mが正しい大きさであるとされている[27]。
U.S.S.エンタープライズ NCC-1701-A
基本情報 | |
---|---|
艦級 | コンスティテューション級(改装型) |
建造所 | ヨークタウン宇宙基地 |
運用者 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2260年代 |
現状 | 建造中(2263年現在) |
船長 | ジェイムズ・T・カーク |
登場作品 | |
劇場版第13作 |
来歴
劇場版第13作において消失した初代エンタープライズに代わり、巨大宇宙基地ヨークタウンを救ったカーク船長へ贈られた新造艦。クルーの多くは初代エンタープライズから引き継がれた。
なおヨークタウン宇宙基地の名称は、主要宇宙のA型艦がU.S.S.ヨークタウンNCC-1717の船籍を書き換える形で用意された艦であったことによるオマージュである。
性能
初代エンタープライズと同じコンスティテューション級ではあるものの、第1船体やワープナセルなどを中心にマイナーチェンジがなされている。劇場版第13作劇中では、「(初代)エンタープライズを上回る艦を建造中である」という台詞があり、初代エンタープライズより性能が向上していることが示唆されている。
デザイン
デザインはシーン・ハーグリーブス、CGIはILM社による。全体的な姿はリブート版初代エンタープライズに似ているが、各ディティールがかなりアレンジされ、『宇宙大作戦』のオリジナル初代艦を彷彿とさせる姿となった。円盤部はリム部分が垂直ではなく艦底に向かってかなり鋭く斜めに切り込まれており、ワープナセルの形状も非常にシンプルなものとなった。ワープナセルパイロンはロミュラン艦を思わせるような鳥の翼状になり、加えてワープナセルとの接続部分もリブート版初代艦よりさらに艦首側となっている。
鏡像宇宙におけるエンタープライズ
『宇宙大作戦』第39話「イオン嵐の恐怖」が初出となる「鏡像宇宙」は、地球が惑星連邦ではなく侵略的な地球帝国を形成した平行宇宙であり、そこには地球帝国宇宙艦隊所属の「I.S.S.エンタープライズ」が存在する。このエンタープライズは戦艦であるため、主要宇宙のエンタープライズと比べ武装が大幅に強化されている。なお、「I.S.S.」とは「Imperial Starship」(帝国宇宙艦)を略した艦船接頭辞である。
I.S.S.エンタープライズ NX-01
基本情報 | |
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艦級 | NX級 |
運用者 | 地球帝国宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | - 2155年 |
現状 | ソリア領域にて撃沈消失 |
船長[5] | マクシミリアン・フォレスト |
要目 | |
全長 | 225m |
全幅 | 135.8m |
全高 | 33.3m |
デッキ数 | 7 |
登場作品 | |
『エンタープライズ』 |
『エンタープライズ』第94・95話「暗黒の地球帝国」に登場。構造は主要宇宙のNX-01と同じであるが、ロミュラン艦のような遮蔽装置を搭載し、船体に「短剣を背景にした地球」という国章と稲妻のような文様が描かれているなどの差異がある。船長はマクシミリアン・フォレスト大佐(主要宇宙では提督で名前も異なる)。
2155年、ソリア連合はトリコバルト弾頭によって空間の亀裂を引き起こし、平行宇宙から未来の艦を拿捕することに成功する。この未来の艦こそ、初代エンタープライズと同じコンスティテューション級で、主要宇宙から行方不明となっていたディファイアントであった。この情報を耳にしたアーチャー副長はフォレスト船長に反逆、ディファイアントを奪って未来の技術を手に入れるべく、NX-01をソリア領域へと向かわせた。アーチャー副長らはディファイアントを発見して乗り込むことに成功するが、その間に、NX-01はソリア連合からの激しい攻撃を受け、フォレスト船長ともども破壊されてしまう。
I.S.S.エンタープライズ NCC-1701
基本情報 | |
---|---|
艦級 | コンスティテューション級 |
運用者 | 地球帝国宇宙艦隊 |
経歴 | |
就航期間 | 2260年代 |
船長 |
クリストファー・パイク ジェイムズ・T・カーク |
要目 | |
全長 | 288.6m |
全幅 | 127.1m |
全高 | 72.6m |
デッキ数 | 21 |
登場作品 | |
『宇宙大作戦』 |
『宇宙大作戦』第39話「イオン嵐の恐怖」に登場。2267年、転送装置がイオン嵐の影響を受け、主要宇宙のカークらと鏡像宇宙のカークらが入れ替わってしまう事態が発生した。主要宇宙のカークらによって惑星連邦の理念を伝えられた鏡像宇宙のスポックは、のちに20年以上の年月をかけて地球帝国の改革を推進することになる。
史実におけるエンタープライズ
セットの小道具として、歴代エンタープライズを記念した模型や絵が飾られていることがあり、その中に史実のエンタープライズのいくつかも登場する。
エンタープライズ(帆船)
劇場版第1作と『エンタープライズ』に、歴代エンタープライズを記念した絵の一つとして登場したほか、劇場版第7作ではウォーフ大尉の少佐昇進を祝うホロデッキでの式典に登場。実際の撮影にはレディ・ワシントンというブリッグが使用された。
史上初めて「エンタープライズ」の名をつけられた船は18世紀初頭のイギリス海軍の軍艦(帆船)である。もともとはラントルプリズ(L'Entreprise)というフランスの24門フリゲートで、1705年に鹵獲・改名された。また、史上初の「U.S.S.エンタープライズ」はアメリカ独立戦争に参加した大陸海軍のスループで、1775年にイギリス船ジョージが鹵獲・改名されたものである。
U.S.S.エンタープライズ CV-6
劇場版第1作に、歴代エンタープライズを記念した絵の一つとして登場。
アメリカ海軍所属の航空母艦。アメリカ海軍の伝統に従い、本艦も「U.S.S.エンタープライズ」と呼ばれる。第二次世界大戦(太平洋戦争)では、姉妹艦のヨークタウンやホーネットが日本海軍との戦闘で撃沈されたのに対し、本艦は、終戦時まで健在であり、戦争後期は、対日反攻作戦の主力空母として大量に建造されたエセックス級空母などとともに活躍した。ただし、終戦時は、沖縄戦(アイスバーグ作戦)時の日本軍側の航空総攻撃作戦である「菊水作戦」において、1945年5月14日に日本海軍の神風特別攻撃隊(爆装零戦1機)の体当たり攻撃により大破したため、アメリカ本国において修理中であった。
U.S.S.エンタープライズ CVN-65
『新スタートレック』と『エンタープライズ』に、歴代エンタープライズを記念した模型や絵の一つとして登場したほか、劇場版第4作では舞台の一つとして登場。なお、同艦は撮影許可が下りていたにもかかわらず、急遽作戦行動に入ってしまったため、実際の撮影には航空母艦レンジャーが使用された。
アメリカ海軍所属の世界初の原子力航空母艦。CV-6と同じく、本艦も「U.S.S.エンタープライズ」と呼ばれる。原子炉からダイリチウム結晶の再結晶化に必要な放射線を得るため、チェコフとウフーラが潜入した。
エンタープライズ OV-101
劇場版第1作と『エンタープライズ』に、歴代エンタープライズを記念した絵の一つとして登場。劇場版第12作でも、宇宙飛行の発展を記念した模型の一つとして登場している。
アメリカ航空宇宙局 (NASA) が開発・運用したスペースシャトル・オービタの初号機。当初は「コンスティテューション」と名付けられるはずであったが、トレッキーたちがエンタープライズと命名するように署名運動を行い、この名前となった。この返礼として、初代エンタープライズはスターシップ級宇宙船という設定から、コンスティテューション級宇宙船という設定に改められている。
初号機ではあるが、滑空その他の試験を目的としたプロトタイプであり、大気圏外には出ていない。『スタートレック』の世界では、大気圏外へ飛行可能なように改装されたことになっているが、実世界では実現しなかった[28]。
ワープ係数について
『スタートレック』のワープ航法は、相対性理論の通用しない特殊な場である「亜空間」を人工的に作り出し、それを非対称な泡状(ワープフィールド)に展開し船体を包んで光速の壁を突破する。このワープフィールドを強化するほど、つまりワープエンジンのパワーを上げるほど艦の速度は上がる。ワープ速度は「ワープ1」「ワープ2」のように表現され、数字(ワープ係数)が大きいほど速くなる。
しかしながら、22世紀から23世紀までが舞台の『エンタープライズ』『宇宙大作戦』と、24世紀が舞台の『新スタートレック』『ディープ・スペース・ナイン』『ヴォイジャー』とではワープ係数の定義が異なり、数字とその速度の相互関係が異なっている。どちらもワープ1が光速と等倍の速度であることは同じだが、22~23世紀式では「ワープ係数の3乗×光速」で速度計算がされ、24世紀式では「ワープ係数の10/3乗×光速」で計算される。さらに、24世紀式ではワープ10は無限の速度(到達不能速度)と定義され、ワープ9以降は小数点以下の数字が増えるにつれ指数関数的に速度が増していく。つまり、数字が同じであっても後者のほうが速い。これは、時代の変遷により何をワープ速度の係数とするかが見直されたということであり、ワープ航法の技術そのものが変化したものではない。22~23世紀式では何を係数としているか不明であるが、24世紀式では艦の周囲に張りだすワープフィールドの枚数を係数としている(22~23世紀式はワープナセル内のワープコイルの規模や設置数、つまり単純なエンジンパワーによりワープ係数が決まるかのような描写がある)。
22~23世紀式と24世紀式はワープ係数の運用の仕方も異なり、前者が「ワープ3.9」や「ワープ4.8」など係数に小数点を積極的に絡ませてくるのに対し、後者は小数点を好まず極力整数の係数を用いる。小数点を絡ませる場合でも「ワープ6.2」など、ワープ9未満の速度で小数点以下が5を超えることは稀である。これは小数点以下の数字が大きくなればなるほどエンジンパワー効率が悪くなるからであり、ワープ6.5で航行するよりワープ7で航行するほうがパワー効率も速度も上なのである。ワープ9以降はさらにパワー効率は悪くなり、D型艦も最大速度のワープ9.6(光速の1909倍)では最大12時間でエンジンパワーを消失してしまう。
一方で、ケルヴィン・タイムラインの劇場版第11作では、ワープ8の速度で16光年先にあるバルカン星に数分で到達するような描写があり、これまでのシリーズのワープ技術とは明らかに矛盾する。
パロディ
- アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍の宇宙巡洋艦ムサイは、初代エンタープライズの裏表を逆さにしたものが原イメージになっている。
- 漫画『Dr.スランプ』に登場するスコップくん(スポックのパロディ)の自宅は初代エンタープライズの裏表を逆さにしたもの。ワープナセルが煙突になっている。
- ビデオゲーム『ギャラガ』のチャレンジングステージの最終ステージには、敵キャラとして「エンタープライズ」が登場する。名前だけではなく形まで初代エンタープライズそのままである。
- アニメ映画『うる星やつら4 ラム・ザ・フォーエバー』にて、メガネの部屋が爆風で吹き飛ばされた際に、初代エンタープライズらしきプラモデルの描写が見られた。
- アニメ『機動戦艦ナデシコ』に登場するネルガル重工の宇宙戦艦ナデシコは、初代エンタープライズをモデルにしている。船体の一部が分離可能、後継艦が「B」「C」を名乗るなどの相似点もある。作中には、エンタープライズのプラモデルのものと思われる、「NCC-1701」と書かれた箱が映るカットがある。
- SFテレビドラマ『スターゲイト SG-1』122話「レプリケーター人間」において、アメリカ合衆国空軍のジャック・オニール大佐が、搭乗していた宇宙戦艦X-303の艦名を「エンタープライズ」と命名しようとするが、ジョージ・ハモンド少将に却下されている。同乗していたサマンサ・カーター少佐も「エンタープライズはまずいです」と発言している。なお、そのときの会話から、既に艦名は「プロメテウス」に決定していたと思われる。
その他
2013年にアメリカ航空宇宙局のある研究チームが提示した「IXS エンタープライズ(IXS-110 Enterprise)」は、イメージのベースとして、のちにXCV-330に流用された初代エンタープライズの没デザインを参考にしたものであり、スタートレック関連イラスト作品を数多く描いているアーティストのマーク・レドメーカーがその画像の制作に参加している[29]。
脚注
- ^ 登録番号の「NCC」が何の略であるかは公式に説明されたことがない。1975年発行の "Star Trek Blueprints" 及び "Star Fleet Technical Manual" では「Naval Construction Code Number」(艦隊建造登録番号)の略ということになっている。
- ^ 『新スタートレック』第28話「闇の住人」に登場したヤマトの登録番号は "NCC-1305-E" であり、登録番号の継承を示唆していたが、第37話「埋もれた文明」に再登場した際に "NCC-71807" に変更されている。『新スタートレック』の技術コンサルタントを務めたマイケル・オクダの著書『スタートレックエンサイクロペディア』によると、ヤマトの登録番号 "NCC-1305-E" は誤りとされている。
- ^ 『ヴォイジャー』第116話「過去に仕掛けられた罪」に登場したレラティヴィティの登録番号は "NCV-474439-G" であったが、レラティヴィティは宇宙船ではなく29世紀の時間船である
- ^ a b "Star Trek Spaceflight Chronology"
- ^ a b 時代設定が『宇宙大作戦』より以前のため、原語の "captain" は「艦長」ではなく「船長」と訳されている。
- ^ 23世紀以降では、登録番号が "NX" で始まる艦は試作艦・1番艦を表し、通常任務に就いた際に "NCC" に改められる。
- ^ 原語の "captain" は劇場版では「艦長」と訳されている。
- ^ a b c d e f 岸川靖(1999)、『スタートレック メカニクス』、ぶんか社
- ^ 劇中では言及されていない。
- ^ 『新スタートレック』の技術コンサルタントを務めたマイケル・オクダの著書 "Star Trek: The Next Generation Technical Manual" での記述であり、劇中では表現されていない。
- ^ 『Star Trek Online』では、2366年から2344年に戻る間にもう一つ別の時間軸へ迷い込んでいたとするエピソードが描かれている。惑星連邦が滅亡しソリア人に支配されているとある時間軸において、ソリア人に船を鹵獲され鉱山労働者として使役されているヤー大尉やカスティーヨ大尉が、同様の境遇にある者たちと協力して元の時間軸への脱出をはかるというストーリーで、デニーズ・クロスビーが約20年ぶりにヤー大尉を演じた事で話題となった。
- ^ 第1船体の緊急分離から惑星の大気圏突入の避難プロセスも "Star Trek: The Next Generation Technical Manual" の記述に基づいたものであり、マニュアル通りに脱出手順を遂行した形である。
- ^ 平行宇宙を含めれば、5年で失われたケルヴィン・タイムラインの初代エンタープライズのほうが短い。
- ^ 『Star Trek Online』では、生命体8472の攻撃により2408年に撃沈されている。
- ^ "Star Trek: Countdown" では、データ が指揮を執っている。
- ^ "Star Trek: The Next Generation - Ship of the Line" では、初代エンタープライズからA型艦への更新時と同様、D型艦からE型艦への更新期間が短すぎることから、本来はエンタープライズではなくホノリウスとして就航予定の新造艦であったとされている。
- ^ reddit上での開発スタッフtumerboyの発言2015.11.
- ^ Cryptic Announces ‘Design The Next Enterprise’ Contest For Star Trek OnlineTrekMovie.com 2010.11.18.
- ^ 『Star Trek Online』では、時間冷戦とプロシオン5号星の戦いの詳細を描いたエピソードが描かれ、ダックスが艦長を務めている。
- ^ EP10 — “Enterprise J (Part 1)”
- ^ Starships Collection updates: Enterprise-J and much more
- ^ The ‘Abramsverse’ Is Dead, Long Live The Kelvin TimelineTREKNEWS.NET 2016.6.23.
- ^ 『Star Trek Online』の開発スタッフであるトーマス・マローンのTwitter発言2016.8.5.2016年10月発行予定の『The Star Trek Encyclopedia, Revised and Expanded Edition: A Reference Guide to the Future』(『スタートレックエンサイクロペディア』の最新版)に「Kelvin Timeline」の項があることを示している。
- ^ 『Star Trek: D-A-C』
- ^ "Star Trek: Countdown to Darkness"
- ^ Ex Astris Scientia - The New Enterprise Design
- ^ 開発スタッフのトーマス・マローンのTwitter発言2016.7.2.
- ^ 2号機チャレンジャーも地上試験機であったが、実世界ではそちらが改装されることとなった。その後、チャレンジャーの事故の後にも、エンタープライズを改装する案も出たが、エンデバーを新造する案が通り、実現しなかった。
- ^ これがワープ実現の宇宙船――NASAが画像公開CNN.co.jp(2014年6月13日)2017年1月7日閲覧