コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m 再撮影開始: 撮了について
m Bot作業依頼#Cite webテンプレートのdeadlink、deadlinkdate引数の移行
 
(31人の利用者による、間の66版が非表示)
1行目: 1行目:
{{Infobox Film
{{Infobox film
| 作品名 = ドンキホーテを殺した男
| 作品名 = テリー・ギリアムのドンキホーテ
| 原題 = The Man Who Killed Don Quixote
| 原題 = The Man Who Killed Don Quixote
| 画像 =
| 画像 = Cannes 2018 33.jpg
| 画像サイズ =
| 画像サイズ = 240px
| 画像解説 = 第71回カンヌ国際映画祭での監督と主要キャスト
| 画像解説 =
| 監督 = [[テリー・ギリアム]]
| 監督 = [[テリー・ギリアム]]
| 製作 = {{仮リンク|ヘラルド・エレーロ|en|Gerardo Herrero}}<br />マリエラ・ベスイエフスキー<br />グレゴワール・メリン<br>エイミー・ギリアム{{efn|Gerardo Herrero, Mariela Besuievsky, Grégoire Melin, Amy Gilliam}}
| 脚本 =
| 原案 =
| 原作 =
| 製作 =
| 製作総指揮 =
| 製作総指揮 =
| 脚本 = {{仮リンク|トニー・グリソーニ|en|Tony Grisoni}}<br />テリー・ギリアム
| ナレーター =
| 原作 = {{Based on|『[[ドン・キホーテ]]』|[[ミゲル・デ・セルバンテス]]}}
| 出演者 = [[マイケル・ペイリン]]<br>[[アダム・ドライバー]]
| 出演者 = {{Plainlist|
| 音楽 =
* [[ジョナサン・プライス]]
| 主題歌 =
* [[アダム・ドライバー]]
| 撮影 =
* {{仮リンク|ジョアナ・ヒベイロ|es|Joana Ribeiro}}
| 編集 =
* [[オルガ・キュリレンコ]]
| 制作会社 =
* [[ステラン・スカルスガルド]]
| 製作会社 =
* {{仮リンク|オスカル・ハエナーダ|en|Óscar Jaenada}}
| 配給 =
* [[ジョルディ・モリャ]]
| 公開 =
}}
| 上映時間 =
| 音楽 = {{仮リンク|ロケ・バニョス|en|Roque Baños}}
| 製作国 =
| 撮影 = {{仮リンク|ニコラ・ペコリーニ|en|Nicola Pecorini}}
| 言語 =
| 編集 = {{仮リンク|レズリー・ウォーカー|en|Lesley Walker}}<br />テレサ・フォント{{efn|Teresa Font}}
| 製作費 =
| 製作会社 = {{仮リンク|レコーディド・ピクチャー・カンパニー|en|Recorded Picture Company}}<br />{{仮リンク|ユーリメージズ|en|Eurimages}}<br />[[モビスター]]<br>[[テレビシオン・エスパニョーラ]]<br />{{仮リンク|プロキシマスTV|en|Proximus TV}}<br />Tornasol Films<br />Kinology<br />Entre Chien et Loup<br />Alacran Pictures<br />Wallimage
| 興行収入 =
| 配給収入 =
| 配給 = {{plainlist|
* 北米:[[アマゾン・スタジオ]]<ref>{{cite web|url=https://www.hollywoodreporter.com/news/cannes-amazon-pulls-terry-gilliams-embattled-man-who-killed-don-quixote-1110083|title=Cannes: Amazon Pulls Out of Terry Gilliam's Embattled 'The Man Who Killed Don Quixote'|date=2018-05-09|accessdate=2018-05-10|publisher=[[ハリウッド・レポーター]]|first= Alex|last-Ritman}}</ref>→[[スクリーン・メディア・フィルムズ]]{{r|indiewire181217}}
| 前作 =
* {{flagicon|JPN}} [[ショウゲート]]<ref name="getnavi191109">{{Cite web|和書|url=https://getnavi.jp/entertainment/442297/|title=「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」ついに公開決定!構想30年、頓挫の過程も映画化された異色作|date=2019-11-09|accessdate=2020-01-26|publisher=|work=GetNaviWeb}}</ref>
| 次作 =
}}
| 公開 = {{film date|2018|5|19|[[第71回カンヌ国際映画祭]]<ref name="cannes180510">{{cite web|url=https://www.festival-cannes.com/en/infos-communiques/communique/articles/the-court-has-decided-don-quixote-will-be-the-71st-festival-de-cannes-closing-film|title=The court has decided : Don Quixote will be the 71st Festival de Cannes’ Closing film!|publisher=[[カンヌ国際映画祭|Festival de Cannes]]|accessdate=2018-05-17|date=2018-05-10|language=en}}</ref>|2019|3||{{USA}}・{{CAN}}<ref name="indiewire181217">{{cite web|url=https://www.indiewire.com/2018/12/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote-us-release-1202028545/|title=Terry Gilliam’s Long-Delayed ‘The Man Who Killed Don Quixote’ Set for 2019 Release|publisher=IndieWire|accessdate=2019-02-02|first=Kate|last=Erbland|date=2018-12-17}}</ref>|2020|1|24|{{JPN}}}}
| 上映時間 = 132分<ref name="TheWrapReview">{{cite web|url=https://www.thewrap.com/man-killed-don-quixote-film-review-terry-gilliam-finally-delivers-messy-fun/|title=‘The Man Who Killed Don Quixote’ Film Review: Terry Gilliam Finally Delivers Messy Fun |work=[[TheWrap]] |date=18 May 2018|author=Ben Croll|accessdate=18 May 2018}}</ref>
| 製作国 = {{GBR}}<br />{{ESP}}<br />{{FRA}}<br />{{POR}}<br />{{BEL}}
| 言語 = 英語
| 製作費 = €16,000,000<ref name="LeMonde">{{cite web |url=http://www.lemonde.fr/cinema/article/2018/04/03/pour-don-quichotte-la-malediction-continue_5279859_3476.html#meter_toaster|title=Pour " Don Quichotte ", le projet fou de Terry Gilliam, la malédiction continue |first=Gérard |last=Davet |work=[[Le Monde]] |date=3 April 2018 |accessdate=8 April 2018|language=fr}}</ref>
| 興行収入 = {{flagicon|World}} $2,411,044<ref>{{cite web|url=https://www.the-numbers.com/movie/Hombre-que-mato-a-Don-Quijote-El-(Spain)#tab=summary|title=The Man Who Killed Don Quixote|publisher=The Numbers|accessdate=15 June 2018}}</ref><br />{{flagicon|JPN}} 4,000万円<ref>『キネマ旬報』2021年3月下旬特別号 p.53</ref>
}}
}}
『'''テリー・ギリアムのドン・キホーテ'''』({{lang-en-short|''The Man Who Killed Don Quixote''}})は、[[テリー・ギリアム]]監督による2018年の[[ファンタジー]]・[[冒険活劇|アドベンチャー]]・[[コメディ映画]]。[[ミゲル・デ・セルバンテス]]の小説『[[ドン・キホーテ]]』を題材としている。映画史最大の[[開発地獄]]に陥った作品のひとつとして悪名高く、ギリアムは19年間の間に9回映画化に挑戦してその都度失敗した<ref name="日本語版公式">{{Cite web|和書|url=http://donquixote-movie.jp/|title=映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」公式サイト|accessdate=2020-01-26|publisher=[[博報堂DYミュージック&ピクチャーズ]]|work=ショウゲート|archivedate=2020-01-26|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200126123925/http://donquixote-movie.jp/}}</ref><ref name="rottentomatoes.com">{{cite web |url=http://www.rottentomatoes.com/m/toy_story/news/1932079/weekly_ketchup_disney_announces_toy_story_4_for_june_2017/ |title=Weekly Ketchup: Terry Gilliam's Don Quixote Finally Happening |date=7 November 2014 |work=[[Rotten Tomatoes]] |accessdate=25 May 2016}}</ref><ref name="slash">{{cite web |url=http://www.slashfilm.com/don-quixote-delayed/ |title=Terry Gilliam's 'The Man Who Killed Don Quixote' Delayed as John Hurt Undergoes Cancer Treatment |first=Russ |last=Fischer |date=22 September 2015 |work={{仮リンク|/film|en|/Film}} |accessdate=25 May 2016}}</ref><ref name="indie">{{cite web |url=http://www.indiewire.com/article/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote-curse-cannes-2016 |title=Terry Gilliam on 'The Man Who Killed Don Quixote': The Movie's Curse Is Bullsh*t |first=Graham |last=Winfrey |date=18 May 2016 |work={{仮リンク|インディワイア|en|Indiewire}} |accessdate=25 May 2016}}</ref><ref name="daze">{{cite web |url=http://www.dazeddigital.com/artsandculture/article/22614/1/the-secret-history-of-terry-gilliams-don-quixote |title=The secret history of Terry Gilliam's Don Quixote |first=Matt |last=Mansfield |work={{仮リンク|デイズド|en|Dazed|label=Dazed}} |year=2015 |accessdate=25 May 2016}}</ref><ref name="verge">{{cite web |url=https://www.theverge.com/2015/6/11/8765599/amazon-terry-gilliam-don-quixote-movie |title=Terry Gilliam's infamously delayed Don Quixote is finally happening on Amazon, says Terry Gilliam |first=Jacob |last=Kastrenakes |date=11 June 2015 |publisher={{仮リンク|ヴォックス・メディア|en|Vox Media}}|work=[[ザ・ヴァージ]]|accessdate=25 May 2016}}</ref>。この映画の日本語版公式サイトでは「映画史に刻まれる呪われた企画」と銘打たれている{{r|日本語版公式}}。
『'''ドンキホーテを殺した男'''』(ドンキホーテをころしたおとこ、''The Man Who Killed Don Quixote'')は、[[テリー・ギリアム]]監督の未完の映画。


脚本はギリアムと{{仮リンク|トニー・グリソーニ|en|Tony Grisoni}}が担当。原題は直訳すると「'''ドン・キホーテを殺した男'''」で、完成して正式な邦題が決まるまでは長らくこの名で呼ばれていた。
2000年に制作が開始されたが、ロケ地での自然災害や[[ドン・キホーテ|ドンキホーテ]]役の俳優[[ジャン・ロシュフォール]]の故障などアクシデントが相次ぎ、わずか1週間で制作が打ち切られた。その顛末を描いたドキュメンタリー映画『[[ロスト・イン・ラ・マンチャ|ロスト・イン・ラマンチャ]]』が2002年に公開された。


== ストーリー ==
新キャストで再度映画化に挑戦することをテリー・ギリアムが表明している。2011年公開予定としていたが、撮影が遅れている。
[[コマーシャルメッセージ|CM]]監督のトビーは小説「ドン・キホーテ」の偏執的なファンで、スペインで同作をモチーフにしたCMを撮っていたが、撮影に行き詰まり、いつまでも完成しなかった。夜にホテルで開かれた、自身の上司(通称:ボス)が主催する企画会議を兼ねた夕食会で、トビーは[[ロマ#スペイン|ジプシー]]の男から[[海賊版]][[DVD]]を売りつけられる。それは自身が10年前の学生時代に撮影した卒業制作映画で、やはり「ドン・キホーテ」を題材とした、現地の村人たちを役者に起用したものだった。行き詰まりを打開しようと、インスピレーションを得るべくDVDを観たくなったトビーは、夜更け、ボスの妻・ジャッキの部屋をたずね、映画を観ようとするが、好色なジャッキに誘惑される。さらに出張のはずだったボスの急な帰りに我を失い、変装して部屋を逃げ出す。


翌朝トビーは、卒業制作映画の舞台となった村がCM撮影現場の近くだったことに気付き、バイクを借りて向かう。再訪した村でトビーは、ヒロイン・{{仮リンク|ドゥルシネーア・デル・トボーソ|label=ドゥルシネア姫|en|Dulcinea del Toboso}}に起用した村の少女・アンヘリカが成人後、女優としての成功を夢見て都会へ飛び出し、さらにドン・キホーテ役を演じた靴職人のハビエルが、自身をドン・キホーテ本人と思い込む狂人と化したことを知る。村はずれの小屋で監禁されていたハビエルの元をたずねたトビーは、ハビエルに{{仮リンク|サンチョ・パンサ|en|Sancho Panza}}だと思われ、解放を乞われる。ふたりがもみくちゃになった末に失火が起き、トビーは燃える小屋を尻目に撮影現場へと逃げ帰る。
== 概要 ==
『ロスト・イン・ラマンチャ』に描かれた通り、最初のロケ地は[[スペイン]]の首都[[マドリード]]の北部にある荒れ地で、近くに[[北大西洋条約機構|NATO]]の軍事訓練所があった。[[軍用機]]が幾度となく頭上を飛行するため録音が使いものにならず、あとから[[ダビング]]しなおすことを余儀なくされた。


バイクのナンバーを目撃されたために、警察がCM撮影現場に急行し、トビーは護送車へ押し込まれる。護送車にはジャッキの部屋に入った「泥棒」として誤認逮捕されたジプシーの男もいた。道すがら、護送車の前に愛馬[[ロシナンテ]]に跨がったハビエル(以後、ドン・キホーテ)が立ちふさがり、制止しようとした警官のひとりが誤射で死亡する。ジプシーはこの隙を見てどこかへ逃亡する。警察の追跡を恐れたトビーは、ドン・キホーテとあてのない旅をすることになる。
撮影2日目に洪水が発生した。機材が損傷しただけでなく景観も変わってしまったため、それまでに撮影した分が使えなくなった。乗馬の名手であるジャン・ロシュフォールが馬上で演技を始めたが、明らかに顔が苦痛に歪んでいる。彼は馬から下りるにも歩くにも助けを必要とした。ロシュフォールは[[パリ]]に戻って主治医の診察を受け、[[椎間板ヘルニア]]と診断された。


道中ドン・キホーテは、風車を[[巨人 (伝説の生物)|巨人]]と見間違え、巨人が女性を襲おうとしていると思い込んで突撃し、怪我を負う。トビーはこの女性の住む村へドン・キホーテを担ぎ込むが、村が壁に囲まれた異様な構造であることや、住人が[[ムスリム]]であることを知り、[[イスラーム過激派|過激派]]のテロリストの巣窟ではないかとおびえ、夜更けを待って脱出を試みる。そこへ突如、中世の[[スペイン異端審問|異端尋問官]]が異教徒の取り締まりのために現れる。ひそかに紛れ込んでいたジプシーがおとりとなり、村は救われる。しかしこれらはすべて、眠るトビーが見た夢であった。翌朝には[[不法滞在|不法滞在者]]である住人たちの取り締まりのために警察が村に現れ、トビーとドン・キホーテは村を離れる。
数日間はロシュフォールの出ないシーンを撮ることにしたが、ロシュフォールが現場に復帰できないことがやがて明らかになった。ギリアムはそれを致命的と判断した。ギリアムはドンキホーテのキャスティングに2年を費やしており、ロシュフォールはこの役のために7か月かけて[[英語]]を学んでいた。制作は打ち切られた。


旅の途中で金貨を見つけたトビーは、岩場に隠そうとして岩の割れ目に転落する。落ちた先は滝壺で、トビーはそこで行水をしていたアンヘリカと再会する。アンヘリカは女優としてのチャンスをつかむため、「[[ウォッカ]]王」こと{{仮リンク|新ロシア人|label=ロシア系|en|New Russians}}の実業家・アレクセイの情婦となったことを明かす。そこへ現れたドン・キホーテに対し、アンヘリカは臆することなく当然のようにドゥルシネア姫としてふるまい、騎士であるドン・キホーテに敬意を示す。その後アンヘリカは迎えに来たアレクセイの部下とともに滝壺を離れた。
== その後の状況 ==
映画の制作が打ち切られた後、出資者に対し保険金1500万[[アメリカ合衆国ドル|米ドル]]が支払われたと伝えられる。現在、脚本の所有権は保険会社にある。2003年以降、ギリアムが制作を再開しようとしているという噂が時おり流れていた。


そんなドン・キホーテとトビーの前に、鏡で覆われた鎧を着た騎士が現れ、「決闘を申し込む。私が勝てば要求を飲め」と告げる。ドン・キホーテは受けて立ち、「鏡の騎士」を馬から叩き落とし、決闘に勝利する。兜を取ると、正体はアンヘリカの父・ラウルだった。周囲の従者に扮した人物も彼の周囲の村人たちで、決闘はドン・キホーテを連れ帰るための算段として仕組んだ芝居だった。村人たちを見て狼狽したドン・キホーテは馬で逃げ去る。トビーはラウルに「お前は危険人物を作り、愛する娘を奪った」となじられ、殴り飛ばされる。
2005年の[[カンヌ国際映画祭]]において、映画『[[ローズ・イン・タイドランド]]』のプロデューサーであるジェレミー・トーマスがこのプロジェクトの再開に関心を持っていることが公表された。2006年6月、権利関係の問題に決着がついた。ギリアムはミュンヘン映画祭でこのことを明らかにし、製作会社がギリアムに権利を譲渡する意志があること、ジェレミー・トーマスが依然として制作に乗り気であること、ロシュフォールは今でも乗馬ができないのでドンキホーテ役は別の俳優が演じるであろうことを明らかにした。


かつての自分の映画が村の人々に大きな影響をもたらしてしまったことを痛感したトビーはすべてに嫌気が差し、金貨をポケットに詰め込み、ひとりで荒野をさまよう。ある朝、廃墟で目を覚ますと、ドン・キホーテが自らの身体に木の枝を叩きつけ、傷だらけになっているところだった。ドン・キホーテは「こうして狂気を装えば、愛の深さや、愛がいかにして人を狂わせるかを、姫にわかってもらえるはずだ」とトビーに語る。そこへ、中世の装いをし、騎馬隊を連れたジャッキが現れる。ジャッキは近くにある古城で仮装パーティが開かれることをトビーに教え、古城のオーナーである酒造会社は次回のCMスポンサーだから、という理由でトビーをパーティに誘う。トビーが「自分のことをドン・キホーテと思い込んでいる老人を連れている」と言って断ろうとすると、ジャッキはかえって面白がり、[[スマートフォン]]でどこかへ連絡する。
2010年時点で、すでに脚本は完成してキャスティングと資金調達の真っ最中とのことで、同年に撮影が再開される予定であったがスケジュールが遅れているという<ref>{{cite web|url=http://www.cinematoday.jp/page/N0025879|title=テリー・ギリアム監督の悪夢再び? 『ドンキホーテを殺した男』撮影開始が延期|publisher=シネマトゥデイ|date=2010-07-28|accessdate=2016-05-13}}</ref>。なお、ジョニー・デップはスケジュール上の都合で再撮影にどうしても参加できないことになったようである。


古城の主は「ウォッカ王」アレクセイであり、アンヘリカやジプシーもそのそばに従者のごとく仕えていた。重臣のような装いをしたCM会社のスタッフたちも現れ、トビーに「警察については心配はいらない。彼こそがこの土地の主だ」と語る。アレクセイは部下が滝壺で隠し撮りしたトビーとアンヘリカの写真を示し、トビーに関係をただす。トビーは弁解するも、疑いが晴れないまま終わる。居心地の悪いトビーは、アンヘリカと落ち合って脱出を提案するが、「私は身分相応の場所にいるのよ」と話すアンヘリカと口論となり、思わず金貨を投げつける。しかしトビーが金貨と思い込んでいたものは[[座金|ワッシャー]]であった。
=== 再撮影開始 ===
2016年には、同年秋にこの作品の再撮影がスタートすることが報じられた。[[タイトル・ロール|タイトルロール]]のドン・キホーテには、2008年の段階でも同役だと報じられていた、[[モンティ・パイソン]]の[[マイケル・ペイリン]]が当たると発表された<ref name="flickreel1">{{cite web|url=http://www.flickreel.com/terry-gilliams-the-man-who-killed-don-quixote-to-star-adam-driver-and-michael-palin-new-concept-art-uncovered/|title=EXCLUSIVE: Terry Gilliam’s The Man Who Killed Don Quixote to star Adam Driver and Michael Palin; new concept art uncovered|outhor=Craig Skinner|publisher=Flickreel|accessdate=2016-05-13}}</ref><ref name="Indiewire1">{{cite web|title=Terry Gilliam's Long-Awaited 'The Man Who Killed Don Quixote' To Start Shooting in Fall, Star Adam Driver: Report|url=http://www.indiewire.com/article/terry-gilliam-film-don-quixote-adam-driver-report-20160512|author=Liz Calvario|publisher=Indiewire|date=2016-05-12|accessdate=2016-05-13}}</ref>。また同時に新たなコンセプト画も公開されている{{r|flickreel1}}。更に、トビー役への[[アダム・ドライバー]]のキャスティングが発表された{{r|flickreel1|Indiewire1}}。ドライバーの役は、勝ち気な広報マンで、スペインの村で『[[ドン・キホーテ]]』の翻案映画を撮影しようとする若い映画監督とされている{{r|Indiewire1}}。2017年6月には、ギリアムが撮影完了を報告した<ref>{{cite web|url=http://collider.com/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote/#images|publisher=Collider.com|accessdate=2017-06-05|title=Terry Gilliam Wraps Production on ‘The Man Who Killed Don Quixote’|first=CHRIS|last=CABIN|date=2017-06-04}}</ref>。


ジャッキの連絡を受けて面白がったアレクセイは、実際の『ドン・キホーテ』譚に沿った出し物(目隠しをさせて馬の模型に乗せ、月や太陽へ飛んだと思い込ませる)を作り上げて彼をからかう。馬の模型から転落したドン・キホーテは、それ以降狂気を失い、ふさぎ込むようになる。
== キャスト・スタッフ ==

=== 2000年版 ===
パーティの続くある夜、アンヘリカは「逃げましょう。私たちは殺される」とトビーに告げる。トビーはドン・キホーテも連れ出そうとするが、「ここは居心地がいい」と言って首を縦に振らないためにアレクセイの部下に見つかり、アンヘリカは連れ去られる。アンヘリカを追うトビーは城の中を探し回ったすえ、ジプシーの招きで、上階のとある部屋に飛び込み、アンヘリカを見つけるが、それは巧妙に変装したジャッキであった。本物のアンヘリカは中庭の火あぶり台に縛り付けられていた。ジャッキはトビーを手篭めにしようと、手錠で縛ろうとする。トビーとジャッキが揉み合いになっているのを目撃したドン・キホーテは、仲裁に入ろうとして部屋へ駆け込む。それをジャッキの夫の「ボス」だと思い込んだトビーがドン・キホーテを殴り飛ばしたため、ドン・キホーテは勢い余って中庭に転落する。落ちたのがドン・キホーテであることを認め、火あぶり台の炎が出し物のための特殊効果であることに気づいたトビーは激しく動揺する。駆け下りたトビーに対し、ドン・キホーテは「私は靴職人のハビエルだ。君もサンチョではない。本当はわかっていたのだ」と告げ、トビーに自らの[[サーベル]]を託して息絶える。
==== キャスト ====

{{columns-list|2|
トビーとアンヘリカは、ハビエルの亡骸を葬るため、故郷の村までの旅を始める。途中、トビーたちに3人の巨人が襲いかかり、トビーは必死に戦った末、地面に叩きつけられる。トビーが巨人と思い込んでいたのは、CM撮影現場のセットの風車だった。その言動からトビーが新たな「ドン・キホーテ」になったことを悟ったアンヘリカは、自ら「サンチョ・パンサ」を名乗り、ともに旅を続けるのだった。
* [[ジャン・ロシュフォール]]

* [[ジョニー・デップ]]
== キャスト ==
* [[ヴァネッサ・パラディ]]
<!--オープニングクレジット順-->
* [[ミランダ・リチャードソン]]
* トビー・グリソーニ:[[アダム・ドライバー]]
* [[クリストファー・エクルストン]]
** CM監督<ref>{{cite news|url=https://dramanavi.net/articles/106122|title=【特別篇】2020年の海ドラ俳優出演の新作映画|newspaper=海外ドラマNAVI|accessdate=2023-12-22|date=2020-01-03}}</ref>。{{仮リンク|サンチョ・パンサ|en|Sancho Panza}}としてドン・キホーテに帯同する。旅を通じ、現実と妄想の区別がつかなくなっていく。
* ビル・パターソン
* [[ジョナサン・プライス]]
* [[ドン・キホーテ]]/ハビエル・サンチェス:[[ジョナサン・プライス]]
** トビーがかつて卒業制作映画に起用した靴職人の老人。映画撮影以来、自分をドン・キホーテと思い込んでいる。
* [[イアン・ホルム]]
* アンヘリカ(アンジェリカ):{{仮リンク|ジョアナ・ヒベイロ|en|Joana Ribeiro}}
* [[ピーター・ヴォーン]]
** トビーがかつて卒業制作映画に起用した女性。酒造会社社長・アレクセイの情婦。トビーと再会時、体に多数のあざがあり、アレクセイの暴力が示唆されている。
* ジャッキ:[[オルガ・キュリレンコ]]
** トビーの上司の妻。あらゆる場所でトビーを誘惑する。
* ボス:[[ステラン・スカルスガルド]]
** トビーの雇い主で、ジャッキの夫。新たなCMクライアントとしてアレクセイを紹介する。
* ジプシー:{{仮リンク|オスカル・ハエナーダ|en|Óscar Jaenada}}<ref name="auto2">{{cite news|last1=N'Duka|first1=Amanda|last2=Hipes|first2=Patrick|title=Oscar Jaenada Cast In ‘The Man Who Killed Don Quixote’; Jordan Bridges Joins STX’s ‘Den Of Thieves’|url=http://deadline.com/2017/02/oscar-jaenada-the-man-who-killed-don-quixote-jordan-bridges-den-of-thieves-1201970004/|date=24 February 2017|newspaper=[[Deadline.com|Deadline]]|accessdate=9 March 2017}}</ref>
** トビーの前にたびたび姿を現す謎の人物。
* ルパート: {{仮リンク|ジェイソン・ワトキンス (俳優)|label=ジェイソン・ワトキンス|en|Jason Watkins (actor)}}<ref name="auto3">{{cite web|url=http://www.express.co.uk/showbiz/tv-radio/800869/Line-of-Duty-season-5-Jason-Watkins-H-spoiler-Hastings-balaclava-man-BBC|title=Line of Duty star Jason Watkins teases THIS major H spoiler and Balaclava Man theory|publisher=express.co.uk|date=5 May 2017|accessdate=13 May 2017}}</ref>
** トビーのエージェント。野心的な人物で、アレクセイに取り入る。
* 農民:[[セルジ・ロペス]]
** 不法滞在者。ドン・キホーテとトビーをかくまう。
* 農民の妻:[[ロッシ・デ・パルマ]]<ref name="instagram.com">{{cite web|url=https://www.instagram.com/p/BRAzAtXjNUn/?taken-by=rossydpalma|title=Instagram post by @rossydpalma • Feb 27, 2017 at 10:55am UTC|website=Instagram|accessdate=19 June 2017}}</ref>{{r|comingsoon.net180221}}
** 不法滞在者。ドン・キホーテとトビーをかくまう。
* ラウル:{{仮リンク|ホヴィク・ケウチケリアン|en|Hovik Keuchkerian}}<ref>{{Allcinema name|956862|ホヴィク・ケウチケリアン}}</ref>
** アンヘリカの父。酒場を経営。「鏡の騎士」に扮してドン・キホーテを連れ帰ろうとする。
* アレクセイ・ミシュキン:[[ジョルディ・モリャ]]<ref name="comingsoon.net180221">{{cite web|url=https://www.comingsoon.net/movies/news/924721-first-the-man-who-killed-don-quixote-photo-revealed|title=First The Man Who Killed Don Quixote Photo Revealed|first=Max|last=Evry|date=2018-02-21|accessdate=2020-01-26|publisher=|work=Comingsoon.net}}</ref>
** ロシア系の富豪。スペインの古城を購入して自邸とし、アンヘリカなどを囲っている。

<gallery caption="主要キャスト" mode="packed" height="180">
File:JonathanPryce2007 cropped.jpg|ジョナサン・プライス
File:Star Wars- The Last Jedi Japan Premiere Red Carpet- Adam Driver (27163437599) (cropped).jpg|アダム・ドライバー
File:Olga Kurylenko Berlin 2015.jpg|オルガ・キュリレンコ
File:Stellan Skarsgård 2014 (cropped).jpg|ステラン・スカルスガルド
File:Óscar Jaenada - Seminci 2012 (2).jpg|オスカル・ハエナーダ
File:Jordi Mollà (cropped).jpg|ジョルディ・モリャ
File:Rossy De Palma Cannes 2013.jpg|ロッシ・デ・パルマ</gallery>

== 制作 ==
映画のプリ・プロダクションは[[1998年]]に始まり、ヨーロッパ資本で3120万ドルの資金を集めた<ref name="productionnote_showgate">{{Cite web|和書|url=http://donquixote-movie.jp/prod.html|title=プロダクション・ノート - 映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」公式サイト|accessdate=2020-01-26|publisher=博報堂DYミュージック&ピクチャーズ|work=ショウゲート|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200126124152/http://donquixote-movie.jp/prod.html|archivedate=2020-01-26}}</ref>。主役のキホーテには[[ジャン・ロシュフォール]]、時を遡る21世紀のマーケティング幹部トビー・グリソーニ役に[[ジョニー・デップ]]、また女性の主役として[[ヴァネッサ・パラディ]]の起用が決まっていた。撮影は2000年に[[ナバラ州]]で始まったが、洪水によるセットや器材の被害、病気によるロシュフォールの降板、保険取得をはじめとした経済的難点など数多の困難に襲われ、突然の制作中止に陥った後キャンセルされた。最初の制作の様子は2002年の[[ドキュメンタリー映画]]『[[ロスト・イン・ラ・マンチャ]]』に収められているが、そもそもこの映像は作品のメイキング映像として企図されていたものだった。

ギリアムはその後も2005年から2015年にかけて複数回再始動に挑戦した。キホーテ役には[[ロバート・デュヴァル]]、かつて[[モンティ・パイソン]]で同僚だった[[マイケル・ペイリン]]、[[ジョン・ハート (俳優)|ジョン・ハート]]の名前が挙がり、またグリソーニ役にはデップの他に[[ユアン・マクレガー]]や[[ジャック・オコンネル (俳優)|ジャック・オコンネル]]が考えられたが、資金確保の失敗、デップの多忙なスケジュールと徐々な計画への意欲喪失、また後に彼の死因となったハートの癌診断など、多数の理由からどれも実現しなかった<ref>{{cite web |url=http://www.geeksofdoom.com/2012/02/28/terry-gilliams-the-man-who-killed-don-quixote-may-still-happen |title=Terry Gilliam's 'The Man Who Killed Don Quixote' May Still Happen |work=Geeks of Doom |date=28 February 2012|accessdate=2018-01-07}}</ref><ref name="Ian Mundell">{{cite web |first=Ian |last=Mundell |title=Gilliam's 'Quixote' problems continue |work=[[Variety (magazine)|Variety]] |date=5 September 2010 |url=http://www.variety.com/article/VR1118023740.html?categoryid=3216&cs=1 |accessdate=6 September 2010}}</ref><ref name="Jagernauth">{{cite web |title=Terry Gilliam's 'The Man Who Killed Don Quixote' Delayed Again Due To John Hurt's Cancer Diagnosis | url=http://blogs.indiewire.com/theplaylist/terry-gilliams-the-man-who-killed-don-quixote-delayed-again-due-to-john-hurts-cancer-diagnosis-20150922 |first=Kevin |last=Jagernauth |work=The Playlist |date=22 September 2015 |accessdate=6 January 2016}}</ref>。

ギリアムは2016年の[[第69回カンヌ国際映画祭]]の席で、ペイリンをキホーテ、[[アダム・ドライバー]]をグリソーニ、[[オルガ・キュリレンコ]]を女性の主役に据え、2016年10月から撮影が行われると発表した<ref name="auto">{{cite web |url=http://www.flickreel.com/terry-gilliams-the-man-who-killed-don-quixote-to-star-adam-driver-and-michael-palin-new-concept-art-uncovered/ |title=Exclusive: Terry Gilliam's The Man Who Killed Don Quixote to star Adam Driver and Michael Palin; new concept art uncovered |first=Craig |last=Skinner |work=Flickreel |year=2016 |accessdate=25 May 2016}}</ref><ref name="auto1">{{cite web |url= https://variety.com/2016/film/news/terry-gilliam-saddles-up-for-don-quixote-after-20-year-journey-1201777804/ |title=Terry Gilliam Saddles Up for ‘Don Quixote’ After 20-Year Journey |first=Henry |last=Chu |work=Variety |date=18 May 2016 |accessdate=25 May 2016}}</ref>。制作はプロデューサーの[[パウロ・ブランコ]]が資金確保に失敗したことから再度放棄されたが、2017年3月に、最初の制作開始から17年を経て[[クランクイン]]に漕ぎ着けたこと、またドライバーとキュリレンコは続投しており、キホーテ役が[[ジョナサン・プライス]]に替わったことが報じられた<ref name="filmingstarts">{{cite news|last1=Lapin|first1=Andrew|title=Terry Gilliam Has Begun Shooting ‘The Man Who Killed Don Quixote,’ For Real This Time|url=http://www.indiewire.com/2017/03/terry-gilliam-back-with-don-quixote-1201791646/|date=9 March 2017|work=IndieWire}}</ref>。同年6月4日にはギリアムが撮影完了を公表した<ref>{{cite web|url=https://twitter.com/TerryGilliam/status/871356842265505792|title=Sorry for the long silence|accessdate=4 June 2017|date=4 June 2017}}</ref>。作品は2018年5月19日に[[第71回カンヌ国際映画祭]]のクロージング・フィルムとして世界初上映された{{r|cannes180510}}。映画化の権利問題を巡る訴訟から、北米興行の配給は当初の[[アマゾン・スタジオ]]から[[スクリーン・メディア・フィルムズ]]へ変更され、北アメリカで2019年3月に封切られた{{r|indiewire181217}}。日本では[[ショウゲート]]が配給権を取得し、[[2020年]][[1月24日]]に公開された{{r|getnavi191109}}<ref name=FridayDigital200124>{{Cite web|和書|url=https://friday.kodansha.co.jp/article/91566|title=完成したのが大事件!『ドン・キホーテ』30年かかってついに公開|date=2020-01-24|accessdate=2020-01-26|author=大門磨央|work=[[FRIDAY (雑誌)|FRIDAY DIGITAL]]|publisher=[[講談社]]}}</ref>。
=== 放棄されたオリジナル版の制作(1998年から2000年) ===
{{main|ロスト・イン・ラ・マンチャ}}
==== 発展 ====
[[File:Arremetio a todo el galope de Rocinante.jpg|thumb|160px|監督のテリー・ギリアムは、『ドン・キホーテ』の中に自身の作品のテーマと通ずるものを見出した]]
監督の[[テリー・ギリアム]]は、『[[ドン・キホーテ]]』という作品の中に、個人対社会、正気という概念など、自身の作品に広く存在する多くのテーマを見出し、翻案に踏み切った<ref>{{cite web|url=https://www.tcd.ie/Medieval_Renaissance/assets/pdf-documents/FilmingtheMiddleAgesandtheRenaissanceProgram.pdf|title=Outreach Programme - FilmingtheMiddleAgesandtheRenaissanceProgram.pdf|format=PDF|accessdate=2018-01-07|publisher=[[トリニティ・カレッジ (ダブリン大学)]]}}</ref>。作品は[[大陸ヨーロッパ]]最大規模で制作される計画になり、当初は4,000万ドルの予算が組まれていたが、後に3,210万ドルに縮小された<ref>{{cite web|url=http://variety.com/2002/film/reviews/lost-in-la-mancha-1200551093/|title=Lost in La Mancha|accessdate=2018-01-07|publisher=[[バラエティ (アメリカ合衆国の雑誌)|Variety]]|date=2002-02-28|first=Derek|last=Elley}}</ref>。作品はギリアムにとって最も野心的な映画のひとつになる予定で、またアメリカ資本を使わずに、ヨーロッパ資本だけで制作されることになった{{r|guardian010204}}。

ギリアムと共著者の{{仮リンク|トニー・グリソーニ|en|Tony Grisoni}}は、[[ミゲル・デ・セルバンテス]]の作品を資料にするのはあまりに莫大だと気付き、『[[アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー]]』に触発された大きな筋の変更を加えて、自分たち自身の『ドン・キホーテ』譚を書くことに決めた<ref>{{cite book|url=https://books.google.co.jp/books?id=RCOfBQAAQBAJ&pg=PA143&lpg=PA143|page=143|accessdate=2018-01-07|title=The Films of Johnny Depp|first=William B.|last=Parrill|date=2009-08-11|publisher=McFarland|isbn=0786440228}}</ref>。{{仮リンク|サンチョ・パンサ|en|Sancho Panza}}は物語の最初に登場するだけで、その後は21世紀から時代を遡ってきたマーケティング幹部、トビー・グリソーニに取って代わられる。映画は全編[[スペイン]]、またヨーロッパ各地で撮影される予定だった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0021126|title=
テリー・ギリアムの未完の映画がついに完成か?ドンキホーテ役にロバート・デュヴァル!|date=2009-12-04|accessdate=2018-01-08|publisher=[[シネマトゥデイ]]}}</ref>。主役のドン・キホーテ役には[[ジャン・ロシュフォール]]が選ばれ、彼は7か月かけて英語の練習をしたという<ref>{{cite web|url=http://variety.com/2017/film/news/jean-rochefort-dead-dies-french-actor-don-quixote-1202584097/|title=Jean Rochefort Dies: French Actor Was Famously to Appear in ‘Don Quixote’|date=2017-10-09|first=Boyd|last=van Hoeij|accessdate=2018-01-07|publisher=Variety}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.themoviebit.com/2017/06/terry-gilliam-wraps-man-who-killed-don-quixote.html|title=Terry Gilliam Wraps On The Man Who Killed Don Quixote|first=Tom|last=White|date=2017-06-05|accessdate=2018-01-07|publisher=The Movie Bit}}</ref>。トビー・グリソーニ役には[[ジョニー・デップ]]が決まり<ref name="indiewire170605_history">{{cite web|url=http://www.indiewire.com/2017/06/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote-cursed-passion-project-amazon-1201837299/|title=Terry Gilliam’s ‘The Man Who Killed Don Quixote’: 6 Pivotal Moments in the ‘Cursed’ Passion Project|accessdate=2018-01-07|first=Graham|last=Winfrey|date=2017-06-05|publisher=IndieWire}}</ref>、また彼の恋の相手には、デップと実際に当時交際していた[[ヴァネッサ・パラディ]]が選ばれた<ref name="guardian010204">{{cite web |url=https://www.theguardian.com/film/2001/feb/04/miguelcervantes |title=Terry Gilliam on his Don Quixote disaster |first=Sean |last=O'Hagan |work=[[ガーディアン]] |date=4 February 2001|accessdate=2018-01-07}}</ref>。その他のキャストとしては、[[ミランダ・リチャードソン]]、[[クリストファー・エクルストン]]、{{仮リンク|ビル・パターソン (俳優)|label=ビル・パターソン|en|Bill Paterson (actor)}}、[[ロッシ・デ・パルマ]]、[[ジョナサン・プライス]]、[[イアン・ホルム]]、エヴァ・バステイロ=バートーリ (Eva Basteiro-Bertoli) 、[[ピーター・ヴォーン]]、{{仮リンク|サリー・フィリップス|en|Sally Phillips}}などの名前が挙がっていた{{r|daze}}<ref>{{cite web|url=http://www.express.co.uk/life-style/life/794638/Bridget-Jones-actress-Sally-Phillips-regrets-nickname-first-record|title=Bridget Jones actress Sally Phillips: I’m very good at burping|publisher=[[デイリー・エクスプレス]]|work=サンデー・エクスプレス|last=Richardson|first=Anne|date=23 April 2017|accessdate=23 April 2017}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.empireonline.com/movies/news/delays-don-quixote/|title=Delays For Don Quixote|date=2000-10-26|accessdate=2018-01-07|publisher=Empire Online}}</ref>。

広告店幹部のトビー・グリソーニ役には、当初[[ジョニー・デップ]]が考えられていたが<ref>{{cite web |url=http://www.worstpreviews.com/headline.php?id=13586 |title=Johnny Depp Confirmed for 'Don Quixote' Film |work=WorstPreviews.com |date=23 May 2009 |accessdate=25 May 2016}}</ref>、スケジュール上彼が参加できるのか、また作品に参加したいと思っているのかどうかは全く不明のままだった。2009年の映画『[[パブリック・エネミーズ]]』のプレス・ジャンケット(報道関係向けプロモーションイベント)の席で、デップは次のように述べている。
{{quotation|{{interp|ギリアムと}}そのことについて話した。でも正直な所、テリーの問題だと思う……テリーのことは大好きで、彼がやりたいことなら何でもやるつもりだ。でも『キホーテ』のこととなると……僕の優先事項リストはこれからの数年かなり項目が多いからね。だから自分のことを待たなくちゃいけない立場に、彼を置いたり—そう頼まなくちゃいけないのは嫌だと思う。悪いことに違いないさ。それでも、その通りにして何かやりたい気もするし、それが何であれ—要素と僕らがやったことの全てが—そこにあって、映画『[[ロスト・イン・ラ・マンチャ]]』で詳述されている。そういう訳で、自分があそこに戻るのが正しいのかどうか分からない。テリーにとっても同じことが言えるけれど、でももし彼がそう望んでいるなら……|ジョニー・デップ、2009年6月<ref>{{cite web |url=http://www.aintitcool.com/node/41494 |title=Johnny Depp Sez 'Pirates 4' To Be A Beckett Play Featuring Captain Jack Sparrow As A Geisha! |work=[[:en:Ain't It Cool News|Ain't It Cool News]] |date=23 June 2009 |accessdate=25 May 2016|quote=[Gilliam and I] have talked about it. But to be honest, the thing about Terry... I love Terry, and I'd do anything the guy wants to do. But with ''Quixote''... my dance card is pretty nutty for the next couple of years. So I'd hate to put him in a position—or ask to be in a position—where he'd have to wait for me. That would be wrong. But also, I feel like we went there and tried something, and whatever it was—the elements and all the things that got up underneath us—were there and happened and were documented well in that film ''Lost in La Mancha''. So I don't know if it's right for me to go back there. I don't know if it's right for Terry too, but if he wants to...}}</ref>}}

<gallery caption="当時名前が挙がっていた主要キャスト" mode="packed" width="180">
File:Jean Rochefort Césars 2011.jpg|ジャン・ロシュフォール
File:JohnnyDeppByArnoldWells2011.jpg|ジョニー・デップ
File:Vanessa Paradis Cannes 2016.jpg|ヴァネッサ・パラディ
File:MirandaRichardsonSept10TIFF.jpg|ミランダ・リチャードソン
File:Christopher Eccleston Thor 2 cropped.png|クリストファー・エクルストン
File:Ian Holm.jpg|イアン・ホルム</gallery>

==== 撮影と中止 ====
[[File:Bardenas reales 2.jpg|thumb|バルデナス・レアレスを映した一枚。不毛の崖が広がる景勝地である]]
[[撮影監督]]に{{仮リンク|ニコラ・ペコリーニ|en|Nicola Pecorini}}を据え、撮影は2000年9月に始まった<ref name="empire140808">{{cite web|url=https://www.empireonline.com/movies/features/timeline-gilliams-don-quixote/|title=The Impossible Dream: Terry Gilliam's Quest To Make The Man Who Killed Don Quixote|accessdate=2018-01-08|publisher=Empire Online|first=Helen|last=O'hara|date=2014-08-08}}</ref>。最初のロケ地は、[[スペイン]]・[[マドリード]]の北部にある不毛の景勝地[[バルデナス・レアレス]]で、[[NATO]]の軍用地にも程近かった{{r|empire140808}}。このため軍用戦闘機が頻繁に頭の上を飛び交い、録音テープが使い物にならなくなったので、スタッフたちは[[ポストプロダクション]]で後日[[アフレコ]]する指示を出した{{r|indiewire170605_history}}。撮影2日目には[[鉄砲水]]に襲われて撮影機材が流出し、またこれによって崖の色が変わってしまい、それまでに撮ったテープは使えなくなってしまった{{r|empire140808}}。馬術に秀でていたロシュフォールは乗馬と演技に挑戦したが、その際に痛みが走り、馬から下りるのにも、歩くのにも助けが要るほどになった。彼はその後[[パリ]]にいる主治医の元へ帰ったが、そこで2箇所の[[椎間板ヘルニア]]と診断された{{r|guardian131119}}<ref>{{cite web|url=http://www.denofgeek.com/movies/the-man-who-killed-don-quixote/37064/terry-gilliams-don-quixote-movie-delayed-again|title=Terry Gilliam's Don Quixote movie delayed again|date=2015-09-24|accessdate=2018-01-08|publisher=Den of Geek!|first=Simon|last=Brew}}</ref>。スタッフはその後数日、{{仮リンク|ピエドラ修道院|en|Monasterio de Piedra}}でデップを映すシーンなど、ロシュフォールの出演しないシーンを撮影しようとしたが、時が経つにつれロシュフォールの降板は確定的になる。ギリアムはドン・キホーテ役のキャスティングに2年をかけており、ロシュフォールも7か月にわたる英語の勉強を行っていたため、ギリアムはこの事態を自身のプロジェクトに対する致命的欠陥だと判断した<ref name="guardian131119">{{cite web|url=https://www.theguardian.com/film/2013/nov/19/terry-gilliam-revives-don-quixote-project|title=Terry Gilliam saddles up for seventh tilt at Don Quixote film |accessdate=2018-01-08|publisher=[[ガーディアン]]|first=Ben|last=Child|date=2013-11-19}}</ref>。最終的に制作は2000年11月にキャンセルされ{{r|guardian010204}}、この映画が作られなかった顛末を描くドキュメンタリー映画『[[ロスト・イン・ラ・マンチャ]]』が2002年に公開された<ref>{{cite web|url=https://www.empireonline.com/movies/lost-la-mancha/review/|title=Lost In La Mancha Review|date=|accessdate=2018-01-08|first=William|last=Thomas|work=[[エンパイア (雑誌)|エンパイア]]}}</ref>。

=== この後の制作挑戦(2005年から2016年) ===
[[File:Jeremy Thomas TIFF09-portrait.jpg|thumb|140px|映画制作に乗り出したと報じられたジェレミー・トーマス]]
オリジナル版の制作が頓挫した後、映画の出資者のために保険の支払が提起された。[[アメリカ合衆国ドル|アメリカドル]]で1500万ドルが支払われたと報じられており<ref>{{cite web|url=http://www.telegraph.co.uk/film/movie-news/terry-gilliam-don-quixote/|title=Terry Gilliam's Don Quixote gets the green light|accessdate=2018-01-08|publisher=[[デイリー・テレグラフ]]|first=Alice|last=Vincent|date=2016-04-02}}</ref>、また脚本の権利は保険会社へと移った。ギリアムがプロデューサーたちと共に、制作再開に向けた支援を取り付けようとしているという噂は、2003年以来幾度となく挙がっていた。2005年の[[第58回カンヌ国際映画祭]]では、ついに決定的なニュースがいくつか入り、イギリスのプロデューサーで『[[ローズ・イン・タイドランド]]』に関わった[[ジェレミー・トーマス]]が、プロジェクトの再始動に関心を持っていると発表された<ref name="smart">{{cite web |url=http://www.smart.co.uk/dreams/donqfact.htm |title=Dreams: The Man Who Killed Don Quixote |editor=Stubbs, Phil|editor-first=Phil|editor-last=Stubbs |work=smart.co.uk |year=2005|accessdate=2018-01-07}}</ref>。2005年には、ギリアムがドン・キホーテ役に[[ジェラール・ドパルデュー]]を望んでいると明かした<ref>{{cite web |title=Terry Gilliam — Gilliam gets to work on Quixote disaster |work=Movie Hole (via Contact Music) |date=13 September 2005 |url=http://www.contactmusic.com/new/xmlfeed.nsf/mndwebpages/gilliam%20gets%20to%20work%20on%20quixote%20disaster |accessdate=17 January 2009}}</ref>。

2006年7月、フランスのプロデューサーやドイツの保険会社との6年近くに及ぶ法的義務交渉の末、権利問題がクリアになった。ギリアムは{{仮リンク|フィルムフェスト・ミュンヘン|en|Filmfest München|label=ミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭<!--Munich International Documentary Film Festival-->}}で、制作会社がギリアムに権利を認める方針で、ジェレミー・トーマスが制作へ意欲を持ち続けていると述べた<ref>{{cite web|url=http://www.smart.co.uk/dreams/tgjun09.htm|title=Gilliam talks to Dreams about Parnassus, Zero Theorem and Quixote|editor=Edited by Phil Stubbs|accessdate=2018-01-08|publisher=smart.co.uk}}</ref>。2006年8月、ギリアムは『ローズ・イン・タイドランド』の上映後質問会の場で、制作頓挫による複雑な法的問題は最終的に片付き、脚本の権利は近い将来にギリアムと共作者グリソーニの元に戻るだろうとした。

{{multiple image
| footer = 再制作版で名前が挙がったデュヴァルとマクレガー| width= 120
| image1 =Robert Duvall by David Shankbone cropped.jpg
| image2 = Ewan McGregor 2012.jpg
}}
}}
2008年、ギリアムは再制作版のプリ・プロダクションを再開した。映画は全編再撮影されることになり、ロシュフォールが演じるはずだったドン・キホーテ役は別の俳優が演じることになった。2008年には、かつて[[モンティ・パイソン]]で同僚だった[[マイケル・ペイリン]]がギリアムと会談し、ロシュフォールの役を引き継いでドン・キホーテを演じると報じられた<ref>{{cite web |title=Monty Python - Palin to act alongside Depp? |work=Contact Music |date=26 May 2008 |url=http://www.contactmusic.com/news.nsf/article/palin%20to%20act%20alongside%20depp_1069633 |accessdate=25 July 2008}}</ref>。2009年11月には、ギリアムが再配役を完了したと述べたが、誰が選ばれたのかについては口を割ろうとしなかった<ref>{{cite web |last=Weintraub |first=Steve |date=3 November 2009 |url=http://www.collider.com/2009/11/03/exclusive-terry-gilliam-talks-don-quixote/ |title=Exclusive: Terry Gilliam talks Don Quixote |work=Collider|accessdate=2018-01-08}}</ref>。2009年12月に{{仮リンク|コリダー (ウェブサイト)|label=Collider.com|en|Collider (website)}}で行われたインタビューで、[[ロバート・デュヴァル]]がギリアムの新ドン・キホーテに選ばれたと明かし、ギリアムは後にこれを認めて、グリソーニ役にはまだデップを考えているとした<ref>{{cite web |first=Steve 'Frosty' |last=Weintraub |date=2 December 2009 |url=http://www.collider.com/2009/12/02/exclusive-terry-gilliam-wants-robert-duvall-to-play-don-quijote-de-la-mancha/ |title=Exclusive: Terry Gilliam Wants Robert Duvall to Play Don Quixote de la Mancha! |work=Collider.com|accessdate=2018-01-08}}</ref><ref>{{cite news |title=Pandora: Don Quixote rides again, says delighted Gilliam |first=Alica-Azania |last=Jarvis |newspaper=[[インデペンデント|The Independent]] |date=4 August 2008 |url=https://www.independent.co.uk/opinion/columnists/pandora/pandora-don-quixote-rides-again-says-delighted-gilliam-884243.html |accessdate=4 August 2008}}</ref>。デップは既に[[ウォルト・ディズニー・カンパニー|ディズニー]]映画2本にサインしており、さらなる制作の遅れが危ぶまれたが<ref>{{cite web |title=Johnny Depp's 'Don Quixote' Film is Back On |work=Contact Music |date=26 November 2008 |url=http://www.worstpreviews.com/headline.php?id=11002 |accessdate=26 November 2008}}</ref>、撮影開始は2010年初めに設定され難を逃れた<ref>{{cite web |title=Johnny Depp Confirmed for "Don Quixote" Film |work=Worst Previews |date=23 May 2009 |url=http://www.worstpreviews.com/headline.php?id=13586 |accessdate=23 May 2009}}</ref>。ところが、デップは自身のタイトなスケジュールにギリアムの映画が入る余地は無いと発言し、制作スケジュールがこのまま維持されるのかは不透明になった<ref>{{cite web |title=Johnny Depp Wants to be The Riddler in ''Batman 3'' |work=Worst Previews |date=23 June 2009 |url=http://www.worstpreviews.com/headline.php?id=13973 |accessdate=23 June 2009}}</ref>。またデップは、自分がこの映画の再製作に戻りたいと思っているのか、全く定かではないと発言した<ref>{{cite web |first=Alex |last=Billington |title=Johnny Depp Not Sure About Returning to Gilliam's Don Quixote |work=Firstshowing.net |date=22 June 2009 |url=http://www.firstshowing.net/2009/06/22/johnny-depp-not-sure-about-returning-to-gilliams-don-quixote/ |accessdate=23 June 2009}}</ref>。作品は{{仮リンク|レコーディド・ピクチャー・カンパニー|en|Recorded Picture Company}}のジェレミー・トーマス制作で作られると決まり<ref>{{cite web|url=http://variety.com/2009/biz/markets-festivals/seville-to-screen-thomas-favorites-1118008911/|title=Seville to screen Thomas’ favorites|date=2009-09-21|accessdate=2018-01-08|first=John|last=Hopewell|publisher=Variety}}</ref>、また国際配給は{{仮リンク|ハンウェイ・フィルムズ|en|HanWay Films}}に決まった。


ギリアムは2009年に、再度主要プリ・プロダクションを始めた。再び脚本の権利を得たギリアムとグリソーニは、2009年1月に脚本の再執筆を始め、1か月以内に終わる見込みだとした<ref>{{cite web |first=Phil |last=de Semlyen |title=Gilliam Back To Work On Don Quixote. Exclusive: new script underway |work=[[エンパイア (雑誌)|Empire]] |date=16 January 2009 |url=http://www.empireonline.com/news/feed.asp?NID=24019 |accessdate=17 January 2009}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0016705|title=テリー・ギリアム監督の次回作、主演はビリー・ボブ・ソーントン|date=2009-02-02|accessdate=2018-01-08|publisher=[[シネマトゥデイ]]}}</ref>。2009年8月にはデップの降板が発表され<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20090807/18/|title=ジョニー・デップ、テリー・ギリアム監督「ドン・キホーテ」への再出演はなし|accessdate=2018-01-08|publisher=[[映画.com]]|date=2009-08-07}}</ref>、2010年5月17日には[[ユアン・マクレガー]]の起用が発表された<ref>{{cite web |title=Gilliam's Don Quixote Bags Ewan McGregor |work=Empire Online |date=17 May 2010 |url=http://www.empireonline.com/news/story.asp?NID=27907 |accessdate=17 May 2010}}</ref>。
==== スタッフ ====
<!--*制作:-->
*脚本:テリー・ギリアム、トニー・グリソーニ
*監督:テリー・ギリアム
<!--*撮影:
*音楽:
*衣装:-->


2010年9月5日には、ギリアムが『[[バラエティ (アメリカ合衆国の雑誌)|バラエティ]]』誌で、1か月半前に資金繰りが頓挫し、再撮影がいまだに始まっていないと明かした{{r|Ian Mundell}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0026756|title=テリー・ギリアム監督、『ドンキホーテを殺した男』の製作は当分無理であることを発表!|date=2010-09-09|accessdate=2018-01-08|publisher=[[シネマトゥデイ]]}}</ref>。またギリアムは、[[タイトル・ロール]]にロバート・デュヴァルが決まり、ユアン・マクレガーも出演するとして、主要キャストが最終決定したと述べた{{r|Ian Mundell}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0025879|title=テリー・ギリアム監督の悪夢再び? 『ドンキホーテを殺した男』撮影開始が延期|publisher=シネマトゥデイ|date=2010-07-28|accessdate=2016-05-13}}</ref>。2011年末にはマクレガーの降板が報じられた<ref>{{Cite web|和書|url=eiga.com/news/20111231/1/|title=ユアン・マクレガー、T・ギリアム監督「ドン・キホーテ」から降板|date=2011-12-31|accessdate=2018-01-08|publisher=[[映画.com]]}}</ref>。2012年には、ジョニー・デップがプロデューサーとしてこの作品の制作に戻ると報じられた<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0048417|title=ジョニー・デップが再び「ドン・キホーテ」映画化に挑む!以前は頓挫|date=2012-12-06|accessdate=2018-01-08|publisher=[[シネマトゥデイ]]|author=福田麗}}</ref>。
=== 2016年版 ===
==== キャスト ====
* ドン・キホーテ - [[マイケル・ペイリン]]{{r|flickreel1|Indiewire1}}
* トビー - [[アダム・ドライバー]]{{r|flickreel1|Indiewire1}}


[[File:John Hurt at the London premiere of Tinker Tailor Soldier Sp.png|thumb|left|180px|ドン・キホーテ役にはジョン・ハートが決まったと報じられたが、彼の膵臓癌が元で再び暗礁に乗り上げることになる]]
==== スタッフ ====
2014年1月、ギリアムは自身の[[Facebook]]ページに、「ドン・キホーテの夢は再び始まった。{{interp|中略}}老いぼれのくそったれを、今年中に彼の馬に乗せてやれるだろうか?」と綴って、巨人が登場するコンセプト・アートを投稿した<ref>{{cite web |url=https://www.facebook.com/photo.php?fbid=640151836043634&set=a.256735074385314.62810.256730041052484&type=1&stream_ref=10 |title=Terry Gilliam - Timeline Photos |work=Facebook.com|quote=Dreams of Don Quixote have begun again. Dave Warren has started doodling. Will we get the old bastard back on his horse this year? Human sacrifices welcomed. Stay tuned.|accessdate=2018-01-08}}</ref>。『[[エンパイア (雑誌)|エンパイア]]』誌ウェブサイトでのインタビューで、ギリアムは2014年9月29日に[[カナリア諸島]]で制作が始まる予定だと明かした{{r|empire140207}}。同時に資金面で[[スペイン]]のプロデューサーであるアドリアン・グエラ({{lang-es-short|Adrián Guerra}})の参加も明かされ、ギリアムはグエラについて、「本当に頭が良くて映画を愛している。彼は未だに映画を愛しているくらい充分に若いわけだけど、自分たちは何を差し置いてもキャスティングをしてお金を用意しなくちゃいけないわけで、これが現状だ」と述べた<ref name="empire140207">{{cite web |url=https://www.empireonline.com/movies/news/terry-gilliam-reveals-don-quixote-start-date/ |title=Terry Gilliam Reveals Don Quixote Start Date |work=[[エンパイア (雑誌)|Empire]] |publisher={{仮リンク|バウアー・メディア・グループ|en|Bauer Media Group}} |date=7 February 2014 |accessdate=4 March 2014 |last=de Semlyen |first=Phil|quote=“He’s really smart, loves movies,” explains the director. “He’s young enough to still love movies. But we’ve still got to cast it and get the money but other than that, that’s the deal.”}}</ref><ref>{{cite web |url=http://screenrant.com/terry-gilliam-filming-man-who-killed-don-quixote-2014/ |title=Terry Gilliam Finally Filming ‘The Man Who Killed Don Quixote’ This Year |first=Michael |last=Kennedy |work=Screen Rant|accessdate=2018-01-08}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0060391|title=
<!--*制作:-->
テリー・ギリアム『ドン・キホーテを殺した男』再始動!9月から撮影開始!|date=2014-02-10|accessdate=2018-01-08|publisher=[[シネマトゥデイ]]|author=細木信宏/Nobuhiro Hosoki}}</ref>。またギリアムの共作者デイヴ・ウォレンによる新しいコンセプト・アートも発表された<ref>{{cite web|url=https://www.empireonline.com/movies/news/terry-gilliam-shares-new-don-quixote-concept-art/|title=Terry Gilliam Shares New Don Quixote Concept Art|first=James|last=White|accessdate=2018-01-08|work=[[エンパイア (雑誌)|エンパイア]]|date=2014-01-13}}</ref>。2014年8月、『{{仮リンク|TheWrap|en|TheWrap}}』のインタビューにおいて、ギリアムは資金確保を明かし、映画の筋書きが変わったとして、「僕らの主役は、実際にドン・キホーテ映画を何本も以前に制作しているが、その作品は大衆が満足できるものとは言い難い。荒れ狂うやつも、呑んだくれになるやつも、あばずれ女になるやつもいるんだ」と述べた<ref name="thewrap140807">{{cite web |url=http://www.thewrap.com/terry-gilliams-don-quixote-movie-will-shoot-after-christmas-with-modernized-plot/ |title=Terry Gilliam's 'Don Quixote' Movie Will Shoot After Christmas With Modernized Plot (Exclusive) |work=The Wrap |first=Jordan |last=Zakarin |date=7 August 2014|quote=Our main character actually made a Don Quixote movie a lot earlier in his history,” Gilliam revealed, “and the effect it had on many people wasn’t very nice. Some people go mad, some people turn to drink, some people become whores.|accessdate=2018-01-08}}</ref>。2014年9月には、[[ジョン・ハート (俳優)|ジョン・ハート]]がデュヴァルに代わってドン・キホーテ役に決定したと報じられた<ref>{{cite web |url=https://news.avclub.com/john-hurt-says-he-ll-star-in-terry-gilliam-s-don-quixot-1798272349|accessdate=2018-01-08|title=John Hurt says he’ll star in Terry Gilliam’s Don Quixote movie, if it ever happens |work=AV Club |date=23 September 2014}}</ref>。
<!--*脚本:-->
* 監督:テリー・ギリアム
<!--*撮影:
*音楽:
*衣装:-->


『[[ゼロの未来]]』プロモーションで『[[ローリング・ストーン]]』誌のインタビューを受けたギリアムは、次の映画について「自分の計画では{{interp|『ドンキホーテを殺した男』}}だが、現実味のある話はなにもない。{{interp|中略}}現時点で言える事は何も無くて、それはちょっとした小休止に陥っているからなんだ——またね」と述べた{{r|RS140919}}。何故この映画を作り続けるのか聞かれたギリアムは、「本当に自分でも全く分からないんだ。最近では『もし今回も上手く行かなかったら見限るぞ』って思い始めている。この仕事をするのに人生の多くを無駄にし過ぎたよ」と述べている<ref name="RS140919">{{cite web |url=https://www.rollingstone.com/movies/features/terry-gilliam-brazil-zero-theorem-monty-python-20140919 |title=Terry Gilliam Looks Back: "'Brazil' Will Be on My Gravestone" |first=Kory |last=Grow |date=19 September 2014 |work=Rolling Stone |accessdate=25 May 2016|quote=''{{interp|Q:}} Now you can get back to The Man Who Killed Don Quixote.''——{{interp|A:}} That is my plan, but plans have nothing to do with reality [laughs]. We shall see what happens. I really can't say anything at the moment, because there's been a little hiccup — once again. The Sisyphean rock that keeps rolling back. Just as we almost get to the top of the mountain.... We'll see what happens. I'm not a happy camper at the moment [laughs].<br />''{{interp|Q:}} Well, why do you keep going back to Quixote after so many failed attempts?''——{{interp|A:}} Oh, I don't know, pigheadedness, stupid – I really don't know anymore. I'm beginning to actually think, "If it his doesn't work this time, I'm gonna dump it." I've wasted far too much of my life doing it. If you're going to do Quixote, you have to become as mad as Quixote..<!--<br />''{{interp|Q:}} Is that happening?''——{{interp|A:}} Well, I've wasted how many years? Fifteen? Yeah, there's a certain point. It's kind of the determination to be crazy and unreasonable. Every intelligent person around me says, "Walk away from it." But those are reasonable people [laughs].-->}}</ref>。
== 脚注 ==

<references />
2015年6月9日、[[アマゾン・スタジオ]]が作品を劇場公開すると発表し、その後Amazonでストリーミング配信されると明かされた。ギリアムはこのことについて、「このやり方にそそられている。作品はまず映画館で公開され、1、2か月後にストリーミングされる。大きなスクリーンで観る機会があるのはいいことだと思うし、映画館で観るよりDVDで観る人の方が多くて、今じゃそれが普通のことだってことも分かってるしね」と述べた<ref>{{cite web |url=http://blogs.indiewire.com/theplaylist/terry-gilliams-amazon-deal-is-for-us-release-of-don-quixote-possibly-a-defective-detective-mini-series-20150609 |title=Terry Gilliam's Amazon Deal Is For U.S. Release Of 'Don Quixote' & Possibly A 'Defective Detective' Mini-Series |first=Rodrigo |last=Perez |date=9 June 2015 |work=The Playlist |accessdate=25 May 2016|quote=According to Gilliam, Amazon’s approach will be a theatrical window and release followed by a streaming Amazon debut at home. “I’m intrigued by their way of doing it,” the director said, noting streaming services were a fair extension of home video. “They go into the cinemas first and then a month or two afterwards they go into streaming. And I think that’s good because you get a chance to see it on the big screen, and yet I know that more people have seen my films on DVD than they have in the cinemas and that’s the reality of life now.”}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20150612/7/|title=テリー・ギリアム監督、悲願の作品「ドン・キホーテを殺した男」をアマゾンで製作|date=2015-06-12|accessdate=2018-01-08|publisher=[[映画.com]]}}</ref>。2015年9月には、ハートが撮影直前に[[膵臓癌]]と診断されたため、映画制作が再び中止されたと報じられた{{r|Jagernauth}}<ref name="eigacom150928">{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20150928/6/|title=テリー・ギリアム「ドン・キホーテ」にまたも不運 主演ジョン・ハートにがん発覚|date=2015-09-28|accessdate=2018-01-08|publisher=[[映画.com]]}}</ref>。この際グリソーニ役には[[ジャック・オコンネル (俳優)|ジャック・オコンネル]]の名前が挙がっていた{{r|eigacom150928}}。

[[File:An evening with Michael Palin.jpg|thumb|140px|ドン・キホーテ役には、モンティ・パイソンの同僚だったペイリンの名前も挙がっていた]]
2016年、ギリアムは[[第69回カンヌ国際映画祭]]の席で、撮影が2016年10月に始まる予定で、キホーテ役にペイリン、グリソーニ役に[[アダム・ドライバー]]、女性主役に[[オルガ・キュリレンコ]]が決まったと発表した{{r|auto|auto1}}<ref name="Indiewire160512">{{cite web|title=Terry Gilliam's Long-Awaited 'The Man Who Killed Don Quixote' To Start Shooting in Fall, Star Adam Driver: Report|url=http://www.indiewire.com/article/terry-gilliam-film-don-quixote-adam-driver-report-20160512|author=Liz Calvario|publisher=Indiewire|date=2016-05-12|accessdate=2016-05-13}}</ref>。新バージョンは舞台を現代に設定し、コマーシャルを撮影する監督で、かつて『ドン・キホーテ』物語を翻案した学生映画を撮影したグリソーニが、ロケ地にした小さな[[スペイン]]の村に戻り、映画が悲惨な影響を及ぼしていたと知る<ref>{{Cite web|和書|url=https://eiga.com/news/20160516/13/|title=テリー・ギリアム「ドン・キホーテ」にアダム・ドライバー&パイソンズのM・ペイリン|date=2016-05-16|accessdate=2018-01-08|publisher=[[映画.com]]}}</ref>。同時に新たなコンセプト・アートが公開された{{r|auto}}。しかしながら2016年10月2日、プロデューサーの[[パウロ・ブランコ]]が資金確保に失敗したことから制作の更なる遅れが発表された<ref name="indiewire1">{{cite web|author=Zack Sharf |url=http://www.indiewire.com/2016/09/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote-delayed-production-adam-driver-1201732231/ |title=Terry Gilliam’s ‘The Man Who Killed Don Quixote’ Delayed Once Again |publisher=IndieWire |date=30 September 2016 |accessdate=12 January 2017|quote=“I was supposed to start to be shooting it starting next Monday. It’s been slightly delayed,” Gilliam told Ross. “I had this producer, a Portuguese chap, who claimed he’d get all the money together in time. And a few weeks ago, he proved that he didn’t have the money. So we are still marching forward. It is not dead. I will be dead before the film is.”}}</ref>。この事態についてギリアムは、未だに撮影の意志はあると明かし、「映画が死ぬ前に自分が死ぬんじゃないかな」と茶化した{{r|indiewire1}}。

=== 公開(2017年~2019年) ===
==== 撮影 ====
2017年3月、ギリアム最初の挑戦以来初めて再撮影が始まったことが予期せず明らかになり、キホーテ役が[[ジョナサン・プライス]]に替わったこと、またドライバーとキュリレンコが以前の報道通りグリソーニと女性主役で続投していることが明かされた{{r|filmingstarts}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cinematoday.jp/news/N0090247|title=テリー・ギリアム『ドン・キホーテを殺した男』がついに撮影開始!|date=2017-03-13|accessdate=2018-01-08|publisher=[[シネマトゥデイ]]|author=石神恵美子}}</ref>。これに加え、{{仮リンク|オスカル・ハエナーダ|en|Óscar Jaenada}}、[[ロッシ・デ・パルマ]]、{{仮リンク|ジェイソン・ワトキンス (俳優)|label=ジェイソン・ワトキンス|en|Jason Watkins (actor)}}の出演も明らかになった{{r|auto2|instagram.com|auto3}}。2017年6月4日には、ギリアムが自身のFacebookページで、最初の撮影開始から17年かかって、[[クランクアップ]]の日を迎えたことを報告した<ref>{{ cite web | url = https://www.facebook.com/Terry.Gilliam/photos/a.256735074385314.62810.256730041052484/1421392574586219/?type=3&theater | title = Sorry for the long silence.—|date=2017-06-04|accessdate=2018-01-08|author=[[テリー・ギリアム]]|publisher=[[Facebook]]}}</ref><ref>{{cite web|url=http://collider.com/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote/#images|publisher=Collider.com|accessdate=2017-06-05|title=Terry Gilliam Wraps Production on ‘The Man Who Killed Don Quixote’|first=CHRIS|last=CABIN|date=2017-06-04}}</ref>。

==== ポストプロダクション ====
2017年11月、ギリアムは[[映像編集]]作業が完成間近であることを明かし、「自分たちは今絶えず手を動かしていて、仕事は2、3だけ、そして大体形は出来上がっている。もう何か月か[[視覚効果]]や音声、音楽について作業が必要だ。それでも物語としてはほとんど凝縮されたし、驚くくらい素晴らしい」と述べた<ref>{{cite web|url=https://www.nytimes.com/2017/11/21/movies/terry-gilliam-star-wars-jabberwocky-monty-python.html|date=2017-11-21|publisher=[[ニューヨーク・タイムズ]]|accessdate=2018-01-08|title=Terry Gilliam and the Time He Shared a Crew With ‘Star Wars’|first=SOPAN|last=DEB}}</ref><ref>{{ cite web | url = http://www.indiewire.com/2017/11/terry-gilliam-man-who-killed-don-quixote-update-editing-1201899931/ | title = Terry Gilliam Has a Great ‘Man Who Killed Don Quixote’ Update: ‘We’ve Almost Finished the Cut’|date=2017-11-21|first=Zack|last=Sharf|publisher=IndieWire|accessdate=2018-01-08|quote=We’re just fiddling now, figuring out a few things here and there so it’s pretty much what it is. We’ve got still months of work to do on visual effects, sound, music. But as far as the tale, it’s pretty tight now and it’s surprisingly wonderful. }}</ref>。また同年10月には初号試写が終わったと報じられ、2018年夏頃には封切られるのではないかとされた<ref>{{Cite web|和書|url=https://theriver.jp/don-quixote-first-screening/|title=テリー・ギリアム新作『ドン・キホーテを殺した男』初号試写は「すごく良かった」 ― 劇場公開は2018年夏か |accessdate=2018-01-08|publisher=THE RIVER|author=Takatoshi Inagaki |date=2017-10-08}}</ref>。

==== 制作への論争 ====
[[File:Tomartemplarschurch2.jpg|thumb|撮影が行われたトマールのキリスト教修道院]]
再撮影版にも、いくつかの問題が発生していることが明らかになっている。[[ポルトガル]]での撮影中、ギリアムのチームは公共物や、[[トマール]]の有名修道院で[[UNESCO]]の[[文化遺産 (世界遺産)|世界文化遺産]]に指定されている[[トマールのキリスト教修道院]]に損害を与えたとして訴えられたと報じられた。この糾弾はポルトガルのニュース・チャンネル{{仮リンク|RTP1|en|RTP1}}発のもので、クルーが「12世紀のトマールのキリスト教修道院で、欠けた石細工や、壊れた屋根タイル、根こそぎ引き抜かれた木などを放置して去った」とされている<ref>{{cite web|url=https://www.rtp.pt/noticias/pais/convento-de-tomar-parcialmente-destruido-durante-gravacao-de-um-filme_v1005800|title=Convento de Tomar parcialmente destruído durante gravação de um filme|date=2017-06-02|accessdate=2018-01-08|publisher=[[ポルトガル国営放送]]}}{{pt icon}}</ref>{{r|guardian170605}}。ギリアムはこの糾弾を否定し、「{{interp|修道院}}は自分が観た中で最も輝かしい建物のひとつだと思う。あそこで自分たちがやったことは、建物を損傷から守るためで——ちゃんと成功した。木は1本も切られていないし、石だって壊されていない」「敬意の無いことなんて少しもやっていない。ヒステリックに騒ぐ前に、事実をちゃんと得るべきだ」と述べた<ref name="guardian170605">{{cite web|url=https://www.theguardian.com/film/2017/jun/05/terry-gilliam-denies-damaging-portuguese-convent-during-filming-don-quixote-tomar|title=Terry Gilliam denies damaging Portuguese convent during filming|publisher=[[ガーディアン|The Guardian]]|date=5 June 2017|accessdate=17 June 2017|quote=A report by the Portuguese public broadcaster RTP suggested recent filming for The Man Who Killed Don Quixote left behind chipped masonry, broken roof tiles and uprooted trees at the 12th-century Convent of Christ in Tomar, central Portugal. {{interp|中略}}Writing on Facebook, he said: “I think the [Convento de Cristo] is one of the most glorious buildings I have ever seen. Everything we did there was to protect the building from harm … and we succeeded. Trees were not cut down, stones were not broken. ”The former Monty Python star added: “There was not an iota of disrespect involved. People should begin by getting the facts before howling hysterically.”}}</ref>。その後、報道が正しいのか判断するため、数週にわたってポルトガル政府による調査が行われ、「ある程度の損傷」("some damage") が見つかったものの、撮影を監督していた修道院職員に報告されていたものだったと分かった<ref>{{cite web|url=https://www.thestar.com/entertainment/movies/2017/06/05/terry-gilliam-film-shoot-investigated-by-portuguese-government.html|title=Terry Gilliam film shoot investigated by Portuguese government|publisher=TheStar.com|date=5 June 2017|accessdate=17 June 2017|location=[[リスボン|LISBON, PORTUGAL]]|author=[[AP通信|The Associated Press]]|}}</ref>。また木の損傷は、以前行われた別の無関係な映画の撮影中に起きたものだとされた<ref>{{cite web|url=https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/films/news/terry-gilliam-the-man-who-killed-don-quixote-filming-damage-portuguese-convent-a7774756.html|title=Terry Gilliam denies damaging Portuguese convent during filming|publisher=[[インデペンデント|The Independent]]|date=6 June 2017|accessdate=17 June 2017}}</ref>。2017年7月4日、ポルトガル当局はギリアムたちクルーが「些細な損害」("insignificant damage") にのみ責任があると結論付け、糾弾は「厳密さを欠き、科学的知識の欠如を明らかにした」ものだったと付け加えた<ref>{{cite web|url=http://www.hollywoodreporter.com/news/portugal-rejects-claim-terry-gilliams-don-quixote-shoot-harmed-convent-1018501|title=Portugal Rejects Claim That Terry Gilliam's 'Don Quixote' Shoot Harmed Convent|publisher=[[ハリウッド・レポーター|The Hollywood Reporter]]|date=5 July 2017|accessdate=3 July 2017|quote=The report published Monday said a program by public broadcaster RTP alleging wider damage "lacked rigor and revealed a lack of scientific knowledge."}}</ref>。

加えて、ギリアムが以前再撮影に挑んだ時にプロデューサーを務めていた[[パウロ・ブランコ]]が、新バージョンは「違法」("illegal") であり、映画に関する権利はギリアムではなく自分が持っているので、撮影した素材は全て、以前関与していた制作会社の1つであるアルファマ・フィルムズ (Alfama Films) にあると訴えた。現在のプロデューサー陣は、ブランコの訴えは「馬鹿げたもの」("preposterous") で、彼は「『ドン・キホーテ』に関する何の権利も持っていない」と述べた。{{仮リンク|レコーディド・ピクチャー・カンパニー|en|Recorded Picture Company}}のCEOを務めるピーター・ワトスンは、「ブランコ氏の法的関係に関する解釈はほとんど悪漢のようだ。もし彼が本当に尊敬すべきドンを殺そうとしているのなら、馬上槍試合でもやればいいんじゃないかな」と述べた<ref>{{cite web|url=http://www.hollywoodreporter.com/news/terry-gilliams-embattled-man-who-killed-don-quixote-hit-new-hurdle-1005865|title=Terry Gilliam's Embattled 'The Man Who Killed Don Quixote' Hit With New Hurdle|publisher=[[ハリウッド・レポーター|The Hollywood Reporter]]|date=20 May 2017|accessdate=17 June 2017|quote=A statement from the film’s producers, which includes Jeremy Thomas’ Recorded Picture Company, said Branco’s claims were “preposterous” and that he had “no rights whatsoever to Don Quixote,” adding that they had been forced to sue Branco in four countries.“Senhor Branco’s interpretation of the law borders on the picaresque,” added RPC CEO Peter Watson. “If he really wants to kill the venerable don, I suggest he takes up jousting.”}}</ref>。この争いは法廷に持ち込まれ、判決言い渡しが2018年6月15日に決まったことから、当初予定されていた2018年5月のフランス公開と[[第71回カンヌ国際映画祭]]でのプレミア上映は、延期を余儀なくされると考えられていた<ref>{{Cite web|和書|url=https://theriver.jp/don-quixote-in-court/|title=テリー・ギリアム新作『ドン・キホーテを殺した男』に再び暗雲 ― 元プロデューサーが提訴、5月公開が困難に |date=2018-04-06|publisher=THE RIVER|author=稲垣貴俊|accessdate=2018-04-06}}</ref><ref>{{cite web|url=https://theplaylist.net/terry-gilliam-don-quixote-20180404/|accessdate=2018-04-06|title=Terry Gilliam’s ‘The Man Who Killed Don Quixote’ Won’t Make It To Cannes As Film’s Release Is In Peril|date=2018-04-04|first=Charles|last=Barfield|publisher=The Playlist}}</ref>。その後、パリの裁判所で上映を認める判決が下ったことから、カンヌ国際映画祭のクロージング・フィルムとして上映されることが正式決定した{{r|cannes180510}}<ref>{{Cite web|和書|url=https://theriver.jp/don-quixote-cannes/|title=テリー・ギリアム監督『ドン・キホーテを殺した男』カンヌ映画祭で無事上映へ!ただし米国配給からAmazonが離脱 |accessdate=2018-05-10|date=2018-05-10|publisher=THE RIVER|author=稲垣貴俊}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.hollywoodreporter.com/news/cannes-terry-gilliam-s-don-quixote-beats-legal-bid-closing-night-screening-1110095|title=Cannes: Terry Gilliam’s 'Don Quixote' Beats Legal Bid Over Closing-Night Screening|date=2018-05-09|accessdate=2018-05-10|publisher=[[ハリウッド・レポーター]]|first=Alex|last=Ritman|first2=Rhonda|last2=Richford}}</ref>。6月15日に言い渡された判決では、ブランコの訴えを認めて映画化に関するギリアムの権利を剥奪したとされ、世界各地での公開については再び白紙となった<ref>{{Cite web|和書|url=https://theriver.jp/don-quixote-rights-loss/|title=テリー・ギリアム、『ドン・キホーテを殺した男』裁判で敗訴 ― 映画の権利認められず、各国での公開が不透明に|publisher=THE RIVER|author=稲垣貴俊|accessdate=2018-06-17|date=2018-06-17}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.screendaily.com/paris-appeals-court-rules-in-favour-of-paulo-branco-on-the-man-who-killed-don-quixote/5130200.article|accessdate=2018-06-17|date=2018-06-15|title=Paris appeals court rules in favour of Paulo Branco on ‘The Man Who Killed Don Quixote’|first=Melanie|last=Goodfellow|work=Screen Daily}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.indiewire.com/2018/06/the-man-who-killed-don-quixote-terry-gilliam-loses-trial-1201975422/|title=‘The Man Who Killed Don Quixote’: Terry Gilliam Loses Court Battle, No Longer Owns Rights to Long-Delayed Film|date=2018-06-16|accessdate=2018-06-17|first=Michael|last=Nordine|work=IndieWire}}</ref>。映画制作陣からは、ブランコが判決について誇張しており、ギリアム側から金銭の支払いがあるものの、上映権については引き続き制作陣が保持しているとの発表があった<ref name="playlist180622">{{cite web|url=https://theplaylist.net/don-quixote-rights-answer-20180622/|title=Despite Previous Court Ruling, The Rights To Terry Gilliam’s ‘Don Quixote’ Are With The Filmmaker|date=2018-06-22|accessdate=2018-06-23|first=Charles|last=Barfield|publisher=|work=The Playlist}}</ref>。このインタビューに答えたプロデューサーのマリエラ・ベスイエフスキーは、米国公開の見通しが立っていること、ヨーロッパ公開の調整を行っている最中であることを明かした{{r|playlist180622}}。

==== 正式公開 ====
2018年12月に[[スクリーン・メディア・フィルムズ]]が北米興行の配給権を獲得し、北アメリカで2019年3月に封切られた{{r|indiewire181217}}。日本では[[ショウゲート]]が配給権を取得し、[[2020年]][[1月24日]]に公開された{{r|getnavi191109|FridayDigital200124}}。

なお、公開版のエンディングクレジット冒頭では「[[ジャン・ロシュフォール]]と[[ジョン・ハート (俳優)|ジョン・ハート]]に捧ぐ」と表示される。

== 作品の評価 ==
=== 映画批評家によるレビュー ===
[[Rotten Tomatoes]]によれば、批評家の一致した見解は「『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』は長年に渡る期待には応えられないかもしれないが、テリー・ギリアム監督らしい独創的な作品で、ファンを満足させるには充分なものになっている。」であり、122件の評論のうち高評価は64%にあたる78件で、平均点は10点満点中5.94点となっている<ref>{{Cite web|url=https://www.rottentomatoes.com/m/the_man_who_killed_don_quixote|title=The Man Who Killed Don Quixote (2019)|publisher=[[Rotten Tomatoes]]|language=en|accessdate=2020-11-16}}</ref>。
[[Metacritic]]によれば、25件の評論のうち、高評価は12件、賛否混在は13件、低評価はなく、平均点は100点満点中58点となっている<ref>{{Cite web|url=https://www.metacritic.com/movie/the-man-who-killed-don-quixote|title=The Man Who Killed Don Quixote Reviews|publisher=[[Metacritic]]|language=en|accessdate=2020-11-16}}</ref>。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[ドン・キホーテ (未完成映画)]] - [[オーソン・ウェルズ]]の未完成プロジェクト。ウェルズは制作の意志を示していたが、未完のままこの世を去った。「ドン・キホーテの呪い」が噂される原因にもなった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.sankei.com/article/20140115-BH3OKQ263JLZ3GL2KHHXEQAO6I/|work=【鈍機翁のため息】|title=(22)間奏 III ドン・キホーテの呪い|date=2014-01-15|accessdate=2018-01-08|author=桑原聡|publisher=[[産経新聞]]}}</ref>。
* [[ロスト・イン・ラマンチャ]]
* [[ラ・マンチャの男]]
* [[ドン・キホーテ (未完成映画)]]
* [[スペイン宗教裁判 (モンティ・パイソン)]]

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist|30em}}
<!--=== 参考文献 ===-->

== 外部リンク ==
* {{Cite web|和書|url=http://donquixote-movie.jp/|title=映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」公式サイト|lang=ja|url-status=dead|url-status-date=2020-12-03|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200715053312/http://donquixote-movie.jp/|archivedate=2020-07-15|accessdate=2020-01-10}}{{ja icon}}
* {{official|http://www.quixotemovie.com/}}{{en icon}}
* {{Twitter|quixotemovie|The Man Who Killed Don Quixote}}{{en icon}}

=== 制作失敗について ===
* {{cite web |url=http://www.smart.co.uk/dreams/donqfact.htm |title=Dreams: The Man Who Killed Don Quixote |editor-first=Phil|editor-last=Stubbs |work=smart.co.uk |year=2005|accessdate=2018-01-07|editor=Stubbs, Phil|}} - 2000年の制作失敗に関する記事へリンクあり
* {{cite web |url=https://www.theguardian.com/film/2001/feb/04/miguelcervantes |title=Terry Gilliam on his Don Quixote disaster |first=Sean |last=O'Hagan |work=[[ガーディアン]] |date=4 February 2001|accessdate=2018-01-07}}
* {{YouTube|qMUGYayk_VQ|Lost in La Mancha - Trailer - Sundance Now}} - 『[[ロスト・イン・ラ・マンチャ]]』のトレイラー。2000年版撮影時の映像などが含まれる。
<!--* [http://www.imdb.com/video/screenplay/vi4287824153/ Trailer of ''Lost in La Mancha''] at [[IMDb]] (including footage from the film and the production of ''The Man Who Killed Don Quixote'')-->
=== 各種データベース ===
*{{Eigacom title|90534|テリー・ギリアムのドン・キホーテ}}
*{{Allcinema title|370416|テリー・ギリアムのドン・キホーテ}}
*{{Kinejun title|93273|テリー・ギリアムのドン・キホーテ}}
*{{シネマトゥデイ|T0024696|テリー・ギリアムのドン・キホーテ}}
*{{Movie Walker|mv69331|テリー・ギリアムのドン・キホーテ}}
*{{Amg movie|710472|The Man Who Killed Don Quixote}}
*{{IMDb title|1318517|The Man Who Killed Don Quixote}}
*{{metacritic film|the-man-who-killed-don-quixote|The Man Who Killed Don Quixote}}
*{{rotten-tomatoes|the_man_who_killed_don_quixote|The Man Who Killed Don Quixote}}


{{テリー・ギリアム監督作品}}
{{テリー・ギリアム監督作品}}
{{Authority Control}}
{{DEFAULTSORT:とんきほおてをころしたおとこ}}

[[Category:未完成の映画]]
{{DEFAULTSORT:てりいきりあむのとんきほおて}}
[[Category:ドン・キホーテを題材とした作品]]
[[Category:映画を題材とした映画作品]]
[[Category:テリー・ギリアムの監督映画]]
[[Category:テリー・ギリアムの監督映画]]
[[Category:ドン・キホーテを題材とした作品]]
[[Category:イギリスのファンタジー映画]]
[[Category:スペインのファンタジー映画]]
[[Category:フランスのファンタジー映画]]
[[Category:イギリスの冒険映画]]
[[Category:スペインの冒険映画]]
[[Category:フランスの冒険映画]]
[[Category:ベルギーの冒険映画]]
[[Category:イギリスのコメディ映画]]
[[Category:スペインのコメディ映画]]
[[Category:フランスのコメディ映画]]
[[Category:ベルギーのコメディ映画]]
[[Category:カナリア諸島で製作された映画作品]]
[[Category:ポルトガルで製作された映画作品]]
[[Category:ロケ・バニョスの作曲映画]]
[[Category:ショウゲートの映画作品]]

2024年7月9日 (火) 00:00時点における最新版

テリー・ギリアムのドン・キホーテ
The Man Who Killed Don Quixote
第71回カンヌ国際映画祭での監督と主要キャスト
監督 テリー・ギリアム
脚本 トニー・グリソーニ英語版
テリー・ギリアム
原作 ミゲル・デ・セルバンテス
ドン・キホーテ
製作 ヘラルド・エレーロ英語版
マリエラ・ベスイエフスキー
グレゴワール・メリン
エイミー・ギリアム[注釈 1]
出演者
音楽 ロケ・バニョス英語版
撮影 ニコラ・ペコリーニ英語版
編集 レズリー・ウォーカー英語版
テレサ・フォント[注釈 2]
製作会社 レコーディド・ピクチャー・カンパニー英語版
ユーリメージズ英語版
モビスター
テレビシオン・エスパニョーラ
プロキシマスTV英語版
Tornasol Films
Kinology
Entre Chien et Loup
Alacran Pictures
Wallimage
配給
公開
上映時間 132分[5]
製作国 イギリスの旗 イギリス
スペインの旗 スペイン
フランスの旗 フランス
ポルトガルの旗 ポルトガル
ベルギーの旗 ベルギー
言語 英語
製作費 €16,000,000[6]
興行収入 世界の旗 $2,411,044[7]
日本の旗 4,000万円[8]
テンプレートを表示

テリー・ギリアムのドン・キホーテ』(: The Man Who Killed Don Quixote)は、テリー・ギリアム監督による2018年のファンタジーアドベンチャーコメディ映画ミゲル・デ・セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』を題材としている。映画史最大の開発地獄に陥った作品のひとつとして悪名高く、ギリアムは19年間の間に9回映画化に挑戦してその都度失敗した[9][10][11][12][13][14]。この映画の日本語版公式サイトでは「映画史に刻まれる呪われた企画」と銘打たれている[9]

脚本はギリアムとトニー・グリソーニ英語版が担当。原題は直訳すると「ドン・キホーテを殺した男」で、完成して正式な邦題が決まるまでは長らくこの名で呼ばれていた。

ストーリー

[編集]

CM監督のトビーは小説「ドン・キホーテ」の偏執的なファンで、スペインで同作をモチーフにしたCMを撮っていたが、撮影に行き詰まり、いつまでも完成しなかった。夜にホテルで開かれた、自身の上司(通称:ボス)が主催する企画会議を兼ねた夕食会で、トビーはジプシーの男から海賊版DVDを売りつけられる。それは自身が10年前の学生時代に撮影した卒業制作映画で、やはり「ドン・キホーテ」を題材とした、現地の村人たちを役者に起用したものだった。行き詰まりを打開しようと、インスピレーションを得るべくDVDを観たくなったトビーは、夜更け、ボスの妻・ジャッキの部屋をたずね、映画を観ようとするが、好色なジャッキに誘惑される。さらに出張のはずだったボスの急な帰りに我を失い、変装して部屋を逃げ出す。

翌朝トビーは、卒業制作映画の舞台となった村がCM撮影現場の近くだったことに気付き、バイクを借りて向かう。再訪した村でトビーは、ヒロイン・ドゥルシネア姫英語版に起用した村の少女・アンヘリカが成人後、女優としての成功を夢見て都会へ飛び出し、さらにドン・キホーテ役を演じた靴職人のハビエルが、自身をドン・キホーテ本人と思い込む狂人と化したことを知る。村はずれの小屋で監禁されていたハビエルの元をたずねたトビーは、ハビエルにサンチョ・パンサ英語版だと思われ、解放を乞われる。ふたりがもみくちゃになった末に失火が起き、トビーは燃える小屋を尻目に撮影現場へと逃げ帰る。

バイクのナンバーを目撃されたために、警察がCM撮影現場に急行し、トビーは護送車へ押し込まれる。護送車にはジャッキの部屋に入った「泥棒」として誤認逮捕されたジプシーの男もいた。道すがら、護送車の前に愛馬ロシナンテに跨がったハビエル(以後、ドン・キホーテ)が立ちふさがり、制止しようとした警官のひとりが誤射で死亡する。ジプシーはこの隙を見てどこかへ逃亡する。警察の追跡を恐れたトビーは、ドン・キホーテとあてのない旅をすることになる。

道中ドン・キホーテは、風車を巨人と見間違え、巨人が女性を襲おうとしていると思い込んで突撃し、怪我を負う。トビーはこの女性の住む村へドン・キホーテを担ぎ込むが、村が壁に囲まれた異様な構造であることや、住人がムスリムであることを知り、過激派のテロリストの巣窟ではないかとおびえ、夜更けを待って脱出を試みる。そこへ突如、中世の異端尋問官が異教徒の取り締まりのために現れる。ひそかに紛れ込んでいたジプシーがおとりとなり、村は救われる。しかしこれらはすべて、眠るトビーが見た夢であった。翌朝には不法滞在者である住人たちの取り締まりのために警察が村に現れ、トビーとドン・キホーテは村を離れる。

旅の途中で金貨を見つけたトビーは、岩場に隠そうとして岩の割れ目に転落する。落ちた先は滝壺で、トビーはそこで行水をしていたアンヘリカと再会する。アンヘリカは女優としてのチャンスをつかむため、「ウォッカ王」ことロシア系英語版の実業家・アレクセイの情婦となったことを明かす。そこへ現れたドン・キホーテに対し、アンヘリカは臆することなく当然のようにドゥルシネア姫としてふるまい、騎士であるドン・キホーテに敬意を示す。その後アンヘリカは迎えに来たアレクセイの部下とともに滝壺を離れた。

そんなドン・キホーテとトビーの前に、鏡で覆われた鎧を着た騎士が現れ、「決闘を申し込む。私が勝てば要求を飲め」と告げる。ドン・キホーテは受けて立ち、「鏡の騎士」を馬から叩き落とし、決闘に勝利する。兜を取ると、正体はアンヘリカの父・ラウルだった。周囲の従者に扮した人物も彼の周囲の村人たちで、決闘はドン・キホーテを連れ帰るための算段として仕組んだ芝居だった。村人たちを見て狼狽したドン・キホーテは馬で逃げ去る。トビーはラウルに「お前は危険人物を作り、愛する娘を奪った」となじられ、殴り飛ばされる。

かつての自分の映画が村の人々に大きな影響をもたらしてしまったことを痛感したトビーはすべてに嫌気が差し、金貨をポケットに詰め込み、ひとりで荒野をさまよう。ある朝、廃墟で目を覚ますと、ドン・キホーテが自らの身体に木の枝を叩きつけ、傷だらけになっているところだった。ドン・キホーテは「こうして狂気を装えば、愛の深さや、愛がいかにして人を狂わせるかを、姫にわかってもらえるはずだ」とトビーに語る。そこへ、中世の装いをし、騎馬隊を連れたジャッキが現れる。ジャッキは近くにある古城で仮装パーティが開かれることをトビーに教え、古城のオーナーである酒造会社は次回のCMスポンサーだから、という理由でトビーをパーティに誘う。トビーが「自分のことをドン・キホーテと思い込んでいる老人を連れている」と言って断ろうとすると、ジャッキはかえって面白がり、スマートフォンでどこかへ連絡する。

古城の主は「ウォッカ王」アレクセイであり、アンヘリカやジプシーもそのそばに従者のごとく仕えていた。重臣のような装いをしたCM会社のスタッフたちも現れ、トビーに「警察については心配はいらない。彼こそがこの土地の主だ」と語る。アレクセイは部下が滝壺で隠し撮りしたトビーとアンヘリカの写真を示し、トビーに関係をただす。トビーは弁解するも、疑いが晴れないまま終わる。居心地の悪いトビーは、アンヘリカと落ち合って脱出を提案するが、「私は身分相応の場所にいるのよ」と話すアンヘリカと口論となり、思わず金貨を投げつける。しかしトビーが金貨と思い込んでいたものはワッシャーであった。

ジャッキの連絡を受けて面白がったアレクセイは、実際の『ドン・キホーテ』譚に沿った出し物(目隠しをさせて馬の模型に乗せ、月や太陽へ飛んだと思い込ませる)を作り上げて彼をからかう。馬の模型から転落したドン・キホーテは、それ以降狂気を失い、ふさぎ込むようになる。

パーティの続くある夜、アンヘリカは「逃げましょう。私たちは殺される」とトビーに告げる。トビーはドン・キホーテも連れ出そうとするが、「ここは居心地がいい」と言って首を縦に振らないためにアレクセイの部下に見つかり、アンヘリカは連れ去られる。アンヘリカを追うトビーは城の中を探し回ったすえ、ジプシーの招きで、上階のとある部屋に飛び込み、アンヘリカを見つけるが、それは巧妙に変装したジャッキであった。本物のアンヘリカは中庭の火あぶり台に縛り付けられていた。ジャッキはトビーを手篭めにしようと、手錠で縛ろうとする。トビーとジャッキが揉み合いになっているのを目撃したドン・キホーテは、仲裁に入ろうとして部屋へ駆け込む。それをジャッキの夫の「ボス」だと思い込んだトビーがドン・キホーテを殴り飛ばしたため、ドン・キホーテは勢い余って中庭に転落する。落ちたのがドン・キホーテであることを認め、火あぶり台の炎が出し物のための特殊効果であることに気づいたトビーは激しく動揺する。駆け下りたトビーに対し、ドン・キホーテは「私は靴職人のハビエルだ。君もサンチョではない。本当はわかっていたのだ」と告げ、トビーに自らのサーベルを託して息絶える。

トビーとアンヘリカは、ハビエルの亡骸を葬るため、故郷の村までの旅を始める。途中、トビーたちに3人の巨人が襲いかかり、トビーは必死に戦った末、地面に叩きつけられる。トビーが巨人と思い込んでいたのは、CM撮影現場のセットの風車だった。その言動からトビーが新たな「ドン・キホーテ」になったことを悟ったアンヘリカは、自ら「サンチョ・パンサ」を名乗り、ともに旅を続けるのだった。

キャスト

[編集]

制作

[編集]

映画のプリ・プロダクションは1998年に始まり、ヨーロッパ資本で3120万ドルの資金を集めた[21]。主役のキホーテにはジャン・ロシュフォール、時を遡る21世紀のマーケティング幹部トビー・グリソーニ役にジョニー・デップ、また女性の主役としてヴァネッサ・パラディの起用が決まっていた。撮影は2000年にナバラ州で始まったが、洪水によるセットや器材の被害、病気によるロシュフォールの降板、保険取得をはじめとした経済的難点など数多の困難に襲われ、突然の制作中止に陥った後キャンセルされた。最初の制作の様子は2002年のドキュメンタリー映画ロスト・イン・ラ・マンチャ』に収められているが、そもそもこの映像は作品のメイキング映像として企図されていたものだった。

ギリアムはその後も2005年から2015年にかけて複数回再始動に挑戦した。キホーテ役にはロバート・デュヴァル、かつてモンティ・パイソンで同僚だったマイケル・ペイリンジョン・ハートの名前が挙がり、またグリソーニ役にはデップの他にユアン・マクレガージャック・オコンネルが考えられたが、資金確保の失敗、デップの多忙なスケジュールと徐々な計画への意欲喪失、また後に彼の死因となったハートの癌診断など、多数の理由からどれも実現しなかった[22][23][24]

ギリアムは2016年の第69回カンヌ国際映画祭の席で、ペイリンをキホーテ、アダム・ドライバーをグリソーニ、オルガ・キュリレンコを女性の主役に据え、2016年10月から撮影が行われると発表した[25][26]。制作はプロデューサーのパウロ・ブランコが資金確保に失敗したことから再度放棄されたが、2017年3月に、最初の制作開始から17年を経てクランクインに漕ぎ着けたこと、またドライバーとキュリレンコは続投しており、キホーテ役がジョナサン・プライスに替わったことが報じられた[27]。同年6月4日にはギリアムが撮影完了を公表した[28]。作品は2018年5月19日に第71回カンヌ国際映画祭のクロージング・フィルムとして世界初上映された[4]。映画化の権利問題を巡る訴訟から、北米興行の配給は当初のアマゾン・スタジオからスクリーン・メディア・フィルムズへ変更され、北アメリカで2019年3月に封切られた[2]。日本ではショウゲートが配給権を取得し、2020年1月24日に公開された[3][29]

放棄されたオリジナル版の制作(1998年から2000年)

[編集]

発展

[編集]
監督のテリー・ギリアムは、『ドン・キホーテ』の中に自身の作品のテーマと通ずるものを見出した

監督のテリー・ギリアムは、『ドン・キホーテ』という作品の中に、個人対社会、正気という概念など、自身の作品に広く存在する多くのテーマを見出し、翻案に踏み切った[30]。作品は大陸ヨーロッパ最大規模で制作される計画になり、当初は4,000万ドルの予算が組まれていたが、後に3,210万ドルに縮小された[31]。作品はギリアムにとって最も野心的な映画のひとつになる予定で、またアメリカ資本を使わずに、ヨーロッパ資本だけで制作されることになった[32]

ギリアムと共著者のトニー・グリソーニ英語版は、ミゲル・デ・セルバンテスの作品を資料にするのはあまりに莫大だと気付き、『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』に触発された大きな筋の変更を加えて、自分たち自身の『ドン・キホーテ』譚を書くことに決めた[33]サンチョ・パンサ英語版は物語の最初に登場するだけで、その後は21世紀から時代を遡ってきたマーケティング幹部、トビー・グリソーニに取って代わられる。映画は全編スペイン、またヨーロッパ各地で撮影される予定だった[34]。主役のドン・キホーテ役にはジャン・ロシュフォールが選ばれ、彼は7か月かけて英語の練習をしたという[35][36]。トビー・グリソーニ役にはジョニー・デップが決まり[37]、また彼の恋の相手には、デップと実際に当時交際していたヴァネッサ・パラディが選ばれた[32]。その他のキャストとしては、ミランダ・リチャードソンクリストファー・エクルストンビル・パターソン英語版ロッシ・デ・パルマジョナサン・プライスイアン・ホルム、エヴァ・バステイロ=バートーリ (Eva Basteiro-Bertoli) 、ピーター・ヴォーンサリー・フィリップス英語版などの名前が挙がっていた[13][38][39]

広告店幹部のトビー・グリソーニ役には、当初ジョニー・デップが考えられていたが[40]、スケジュール上彼が参加できるのか、また作品に参加したいと思っているのかどうかは全く不明のままだった。2009年の映画『パブリック・エネミーズ』のプレス・ジャンケット(報道関係向けプロモーションイベント)の席で、デップは次のように述べている。

[ギリアムと]そのことについて話した。でも正直な所、テリーの問題だと思う……テリーのことは大好きで、彼がやりたいことなら何でもやるつもりだ。でも『キホーテ』のこととなると……僕の優先事項リストはこれからの数年かなり項目が多いからね。だから自分のことを待たなくちゃいけない立場に、彼を置いたり—そう頼まなくちゃいけないのは嫌だと思う。悪いことに違いないさ。それでも、その通りにして何かやりたい気もするし、それが何であれ—要素と僕らがやったことの全てが—そこにあって、映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』で詳述されている。そういう訳で、自分があそこに戻るのが正しいのかどうか分からない。テリーにとっても同じことが言えるけれど、でももし彼がそう望んでいるなら…… — ジョニー・デップ、2009年6月[41]

撮影と中止

[編集]
バルデナス・レアレスを映した一枚。不毛の崖が広がる景勝地である

撮影監督ニコラ・ペコリーニ英語版を据え、撮影は2000年9月に始まった[42]。最初のロケ地は、スペインマドリードの北部にある不毛の景勝地バルデナス・レアレスで、NATOの軍用地にも程近かった[42]。このため軍用戦闘機が頻繁に頭の上を飛び交い、録音テープが使い物にならなくなったので、スタッフたちはポストプロダクションで後日アフレコする指示を出した[37]。撮影2日目には鉄砲水に襲われて撮影機材が流出し、またこれによって崖の色が変わってしまい、それまでに撮ったテープは使えなくなってしまった[42]。馬術に秀でていたロシュフォールは乗馬と演技に挑戦したが、その際に痛みが走り、馬から下りるのにも、歩くのにも助けが要るほどになった。彼はその後パリにいる主治医の元へ帰ったが、そこで2箇所の椎間板ヘルニアと診断された[43][44]。スタッフはその後数日、ピエドラ修道院英語版でデップを映すシーンなど、ロシュフォールの出演しないシーンを撮影しようとしたが、時が経つにつれロシュフォールの降板は確定的になる。ギリアムはドン・キホーテ役のキャスティングに2年をかけており、ロシュフォールも7か月にわたる英語の勉強を行っていたため、ギリアムはこの事態を自身のプロジェクトに対する致命的欠陥だと判断した[43]。最終的に制作は2000年11月にキャンセルされ[32]、この映画が作られなかった顛末を描くドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』が2002年に公開された[45]

この後の制作挑戦(2005年から2016年)

[編集]
映画制作に乗り出したと報じられたジェレミー・トーマス

オリジナル版の制作が頓挫した後、映画の出資者のために保険の支払が提起された。アメリカドルで1500万ドルが支払われたと報じられており[46]、また脚本の権利は保険会社へと移った。ギリアムがプロデューサーたちと共に、制作再開に向けた支援を取り付けようとしているという噂は、2003年以来幾度となく挙がっていた。2005年の第58回カンヌ国際映画祭では、ついに決定的なニュースがいくつか入り、イギリスのプロデューサーで『ローズ・イン・タイドランド』に関わったジェレミー・トーマスが、プロジェクトの再始動に関心を持っていると発表された[47]。2005年には、ギリアムがドン・キホーテ役にジェラール・ドパルデューを望んでいると明かした[48]

2006年7月、フランスのプロデューサーやドイツの保険会社との6年近くに及ぶ法的義務交渉の末、権利問題がクリアになった。ギリアムはミュンヘン国際ドキュメンタリー映画祭英語版で、制作会社がギリアムに権利を認める方針で、ジェレミー・トーマスが制作へ意欲を持ち続けていると述べた[49]。2006年8月、ギリアムは『ローズ・イン・タイドランド』の上映後質問会の場で、制作頓挫による複雑な法的問題は最終的に片付き、脚本の権利は近い将来にギリアムと共作者グリソーニの元に戻るだろうとした。

再制作版で名前が挙がったデュヴァルとマクレガー

2008年、ギリアムは再制作版のプリ・プロダクションを再開した。映画は全編再撮影されることになり、ロシュフォールが演じるはずだったドン・キホーテ役は別の俳優が演じることになった。2008年には、かつてモンティ・パイソンで同僚だったマイケル・ペイリンがギリアムと会談し、ロシュフォールの役を引き継いでドン・キホーテを演じると報じられた[50]。2009年11月には、ギリアムが再配役を完了したと述べたが、誰が選ばれたのかについては口を割ろうとしなかった[51]。2009年12月にCollider.com英語版で行われたインタビューで、ロバート・デュヴァルがギリアムの新ドン・キホーテに選ばれたと明かし、ギリアムは後にこれを認めて、グリソーニ役にはまだデップを考えているとした[52][53]。デップは既にディズニー映画2本にサインしており、さらなる制作の遅れが危ぶまれたが[54]、撮影開始は2010年初めに設定され難を逃れた[55]。ところが、デップは自身のタイトなスケジュールにギリアムの映画が入る余地は無いと発言し、制作スケジュールがこのまま維持されるのかは不透明になった[56]。またデップは、自分がこの映画の再製作に戻りたいと思っているのか、全く定かではないと発言した[57]。作品はレコーディド・ピクチャー・カンパニー英語版のジェレミー・トーマス制作で作られると決まり[58]、また国際配給はハンウェイ・フィルムズ英語版に決まった。

ギリアムは2009年に、再度主要プリ・プロダクションを始めた。再び脚本の権利を得たギリアムとグリソーニは、2009年1月に脚本の再執筆を始め、1か月以内に終わる見込みだとした[59][60]。2009年8月にはデップの降板が発表され[61]、2010年5月17日にはユアン・マクレガーの起用が発表された[62]

2010年9月5日には、ギリアムが『バラエティ』誌で、1か月半前に資金繰りが頓挫し、再撮影がいまだに始まっていないと明かした[23][63]。またギリアムは、タイトル・ロールにロバート・デュヴァルが決まり、ユアン・マクレガーも出演するとして、主要キャストが最終決定したと述べた[23][64]。2011年末にはマクレガーの降板が報じられた[65]。2012年には、ジョニー・デップがプロデューサーとしてこの作品の制作に戻ると報じられた[66]

ドン・キホーテ役にはジョン・ハートが決まったと報じられたが、彼の膵臓癌が元で再び暗礁に乗り上げることになる

2014年1月、ギリアムは自身のFacebookページに、「ドン・キホーテの夢は再び始まった。[中略]老いぼれのくそったれを、今年中に彼の馬に乗せてやれるだろうか?」と綴って、巨人が登場するコンセプト・アートを投稿した[67]。『エンパイア』誌ウェブサイトでのインタビューで、ギリアムは2014年9月29日にカナリア諸島で制作が始まる予定だと明かした[68]。同時に資金面でスペインのプロデューサーであるアドリアン・グエラ(西: Adrián Guerra)の参加も明かされ、ギリアムはグエラについて、「本当に頭が良くて映画を愛している。彼は未だに映画を愛しているくらい充分に若いわけだけど、自分たちは何を差し置いてもキャスティングをしてお金を用意しなくちゃいけないわけで、これが現状だ」と述べた[68][69][70]。またギリアムの共作者デイヴ・ウォレンによる新しいコンセプト・アートも発表された[71]。2014年8月、『TheWrap英語版』のインタビューにおいて、ギリアムは資金確保を明かし、映画の筋書きが変わったとして、「僕らの主役は、実際にドン・キホーテ映画を何本も以前に制作しているが、その作品は大衆が満足できるものとは言い難い。荒れ狂うやつも、呑んだくれになるやつも、あばずれ女になるやつもいるんだ」と述べた[72]。2014年9月には、ジョン・ハートがデュヴァルに代わってドン・キホーテ役に決定したと報じられた[73]

ゼロの未来』プロモーションで『ローリング・ストーン』誌のインタビューを受けたギリアムは、次の映画について「自分の計画では[『ドンキホーテを殺した男』]だが、現実味のある話はなにもない。[中略]現時点で言える事は何も無くて、それはちょっとした小休止に陥っているからなんだ——またね」と述べた[74]。何故この映画を作り続けるのか聞かれたギリアムは、「本当に自分でも全く分からないんだ。最近では『もし今回も上手く行かなかったら見限るぞ』って思い始めている。この仕事をするのに人生の多くを無駄にし過ぎたよ」と述べている[74]

2015年6月9日、アマゾン・スタジオが作品を劇場公開すると発表し、その後Amazonでストリーミング配信されると明かされた。ギリアムはこのことについて、「このやり方にそそられている。作品はまず映画館で公開され、1、2か月後にストリーミングされる。大きなスクリーンで観る機会があるのはいいことだと思うし、映画館で観るよりDVDで観る人の方が多くて、今じゃそれが普通のことだってことも分かってるしね」と述べた[75][76]。2015年9月には、ハートが撮影直前に膵臓癌と診断されたため、映画制作が再び中止されたと報じられた[24][77]。この際グリソーニ役にはジャック・オコンネルの名前が挙がっていた[77]

ドン・キホーテ役には、モンティ・パイソンの同僚だったペイリンの名前も挙がっていた

2016年、ギリアムは第69回カンヌ国際映画祭の席で、撮影が2016年10月に始まる予定で、キホーテ役にペイリン、グリソーニ役にアダム・ドライバー、女性主役にオルガ・キュリレンコが決まったと発表した[25][26][78]。新バージョンは舞台を現代に設定し、コマーシャルを撮影する監督で、かつて『ドン・キホーテ』物語を翻案した学生映画を撮影したグリソーニが、ロケ地にした小さなスペインの村に戻り、映画が悲惨な影響を及ぼしていたと知る[79]。同時に新たなコンセプト・アートが公開された[25]。しかしながら2016年10月2日、プロデューサーのパウロ・ブランコが資金確保に失敗したことから制作の更なる遅れが発表された[80]。この事態についてギリアムは、未だに撮影の意志はあると明かし、「映画が死ぬ前に自分が死ぬんじゃないかな」と茶化した[80]

公開(2017年~2019年)

[編集]

撮影

[編集]

2017年3月、ギリアム最初の挑戦以来初めて再撮影が始まったことが予期せず明らかになり、キホーテ役がジョナサン・プライスに替わったこと、またドライバーとキュリレンコが以前の報道通りグリソーニと女性主役で続投していることが明かされた[27][81]。これに加え、オスカル・ハエナーダ英語版ロッシ・デ・パルマジェイソン・ワトキンス英語版の出演も明らかになった[16][18][17]。2017年6月4日には、ギリアムが自身のFacebookページで、最初の撮影開始から17年かかって、クランクアップの日を迎えたことを報告した[82][83]

ポストプロダクション

[編集]

2017年11月、ギリアムは映像編集作業が完成間近であることを明かし、「自分たちは今絶えず手を動かしていて、仕事は2、3だけ、そして大体形は出来上がっている。もう何か月か視覚効果や音声、音楽について作業が必要だ。それでも物語としてはほとんど凝縮されたし、驚くくらい素晴らしい」と述べた[84][85]。また同年10月には初号試写が終わったと報じられ、2018年夏頃には封切られるのではないかとされた[86]

制作への論争

[編集]
撮影が行われたトマールのキリスト教修道院

再撮影版にも、いくつかの問題が発生していることが明らかになっている。ポルトガルでの撮影中、ギリアムのチームは公共物や、トマールの有名修道院でUNESCO世界文化遺産に指定されているトマールのキリスト教修道院に損害を与えたとして訴えられたと報じられた。この糾弾はポルトガルのニュース・チャンネルRTP1英語版発のもので、クルーが「12世紀のトマールのキリスト教修道院で、欠けた石細工や、壊れた屋根タイル、根こそぎ引き抜かれた木などを放置して去った」とされている[87][88]。ギリアムはこの糾弾を否定し、「[修道院]は自分が観た中で最も輝かしい建物のひとつだと思う。あそこで自分たちがやったことは、建物を損傷から守るためで——ちゃんと成功した。木は1本も切られていないし、石だって壊されていない」「敬意の無いことなんて少しもやっていない。ヒステリックに騒ぐ前に、事実をちゃんと得るべきだ」と述べた[88]。その後、報道が正しいのか判断するため、数週にわたってポルトガル政府による調査が行われ、「ある程度の損傷」("some damage") が見つかったものの、撮影を監督していた修道院職員に報告されていたものだったと分かった[89]。また木の損傷は、以前行われた別の無関係な映画の撮影中に起きたものだとされた[90]。2017年7月4日、ポルトガル当局はギリアムたちクルーが「些細な損害」("insignificant damage") にのみ責任があると結論付け、糾弾は「厳密さを欠き、科学的知識の欠如を明らかにした」ものだったと付け加えた[91]

加えて、ギリアムが以前再撮影に挑んだ時にプロデューサーを務めていたパウロ・ブランコが、新バージョンは「違法」("illegal") であり、映画に関する権利はギリアムではなく自分が持っているので、撮影した素材は全て、以前関与していた制作会社の1つであるアルファマ・フィルムズ (Alfama Films) にあると訴えた。現在のプロデューサー陣は、ブランコの訴えは「馬鹿げたもの」("preposterous") で、彼は「『ドン・キホーテ』に関する何の権利も持っていない」と述べた。レコーディド・ピクチャー・カンパニー英語版のCEOを務めるピーター・ワトスンは、「ブランコ氏の法的関係に関する解釈はほとんど悪漢のようだ。もし彼が本当に尊敬すべきドンを殺そうとしているのなら、馬上槍試合でもやればいいんじゃないかな」と述べた[92]。この争いは法廷に持ち込まれ、判決言い渡しが2018年6月15日に決まったことから、当初予定されていた2018年5月のフランス公開と第71回カンヌ国際映画祭でのプレミア上映は、延期を余儀なくされると考えられていた[93][94]。その後、パリの裁判所で上映を認める判決が下ったことから、カンヌ国際映画祭のクロージング・フィルムとして上映されることが正式決定した[4][95][96]。6月15日に言い渡された判決では、ブランコの訴えを認めて映画化に関するギリアムの権利を剥奪したとされ、世界各地での公開については再び白紙となった[97][98][99]。映画制作陣からは、ブランコが判決について誇張しており、ギリアム側から金銭の支払いがあるものの、上映権については引き続き制作陣が保持しているとの発表があった[100]。このインタビューに答えたプロデューサーのマリエラ・ベスイエフスキーは、米国公開の見通しが立っていること、ヨーロッパ公開の調整を行っている最中であることを明かした[100]

正式公開

[編集]

2018年12月にスクリーン・メディア・フィルムズが北米興行の配給権を獲得し、北アメリカで2019年3月に封切られた[2]。日本ではショウゲートが配給権を取得し、2020年1月24日に公開された[3][29]

なお、公開版のエンディングクレジット冒頭では「ジャン・ロシュフォールジョン・ハートに捧ぐ」と表示される。

作品の評価

[編集]

映画批評家によるレビュー

[編集]

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』は長年に渡る期待には応えられないかもしれないが、テリー・ギリアム監督らしい独創的な作品で、ファンを満足させるには充分なものになっている。」であり、122件の評論のうち高評価は64%にあたる78件で、平均点は10点満点中5.94点となっている[101]Metacriticによれば、25件の評論のうち、高評価は12件、賛否混在は13件、低評価はなく、平均点は100点満点中58点となっている[102]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ Gerardo Herrero, Mariela Besuievsky, Grégoire Melin, Amy Gilliam
  2. ^ Teresa Font

出典

[編集]
  1. ^ Cannes: Amazon Pulls Out of Terry Gilliam's Embattled 'The Man Who Killed Don Quixote'”. ハリウッド・レポーター (2018年5月9日). 2018年5月10日閲覧。
  2. ^ a b c d Erbland, Kate (2018年12月17日). “Terry Gilliam’s Long-Delayed ‘The Man Who Killed Don Quixote’ Set for 2019 Release”. IndieWire. 2019年2月2日閲覧。
  3. ^ a b c 「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」ついに公開決定!構想30年、頓挫の過程も映画化された異色作”. GetNaviWeb (2019年11月9日). 2020年1月26日閲覧。
  4. ^ a b c The court has decided : Don Quixote will be the 71st Festival de Cannes’ Closing film!” (英語). Festival de Cannes (2018年5月10日). 2018年5月17日閲覧。
  5. ^ Ben Croll (18 May 2018). “‘The Man Who Killed Don Quixote’ Film Review: Terry Gilliam Finally Delivers Messy Fun”. TheWrap. 18 May 2018閲覧。
  6. ^ Davet, Gérard (3 April 2018). “Pour " Don Quichotte ", le projet fou de Terry Gilliam, la malédiction continue” (フランス語). Le Monde. 8 April 2018閲覧。
  7. ^ The Man Who Killed Don Quixote”. The Numbers. 15 June 2018閲覧。
  8. ^ 『キネマ旬報』2021年3月下旬特別号 p.53
  9. ^ a b 映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」公式サイト”. ショウゲート. 博報堂DYミュージック&ピクチャーズ. 2020年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月26日閲覧。
  10. ^ Weekly Ketchup: Terry Gilliam's Don Quixote Finally Happening”. Rotten Tomatoes (7 November 2014). 25 May 2016閲覧。
  11. ^ Fischer, Russ (22 September 2015). “Terry Gilliam's 'The Man Who Killed Don Quixote' Delayed as John Hurt Undergoes Cancer Treatment”. /film英語版. 25 May 2016閲覧。
  12. ^ Winfrey, Graham (18 May 2016). “Terry Gilliam on 'The Man Who Killed Don Quixote': The Movie's Curse Is Bullsh*t”. インディワイア英語版. 25 May 2016閲覧。
  13. ^ a b Mansfield, Matt (2015年). “The secret history of Terry Gilliam's Don Quixote”. Dazed英語版. 25 May 2016閲覧。
  14. ^ Kastrenakes, Jacob (11 June 2015). “Terry Gilliam's infamously delayed Don Quixote is finally happening on Amazon, says Terry Gilliam”. ザ・ヴァージ. ヴォックス・メディア英語版. 25 May 2016閲覧。
  15. ^ “【特別篇】2020年の海ドラ俳優出演の新作映画”. 海外ドラマNAVI. (2020年1月3日). https://dramanavi.net/articles/106122 2023年12月22日閲覧。 
  16. ^ a b N'Duka, Amanda; Hipes, Patrick (24 February 2017). “Oscar Jaenada Cast In ‘The Man Who Killed Don Quixote’; Jordan Bridges Joins STX’s ‘Den Of Thieves’”. Deadline. http://deadline.com/2017/02/oscar-jaenada-the-man-who-killed-don-quixote-jordan-bridges-den-of-thieves-1201970004/ 9 March 2017閲覧。 
  17. ^ a b Line of Duty star Jason Watkins teases THIS major H spoiler and Balaclava Man theory”. express.co.uk (5 May 2017). 13 May 2017閲覧。
  18. ^ a b Instagram post by @rossydpalma • Feb 27, 2017 at 10:55am UTC”. Instagram. 19 June 2017閲覧。
  19. ^ a b Evry, Max (2018年2月21日). “First The Man Who Killed Don Quixote Photo Revealed”. Comingsoon.net. 2020年1月26日閲覧。
  20. ^ ホヴィク・ケウチケリアン - allcinema
  21. ^ プロダクション・ノート - 映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」公式サイト”. ショウゲート. 博報堂DYミュージック&ピクチャーズ. 2020年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月26日閲覧。
  22. ^ Terry Gilliam's 'The Man Who Killed Don Quixote' May Still Happen”. Geeks of Doom (28 February 2012). 2018年1月7日閲覧。
  23. ^ a b c Mundell, Ian (5 September 2010). “Gilliam's 'Quixote' problems continue”. Variety. 6 September 2010閲覧。
  24. ^ a b Jagernauth, Kevin (22 September 2015). “Terry Gilliam's 'The Man Who Killed Don Quixote' Delayed Again Due To John Hurt's Cancer Diagnosis”. The Playlist. 6 January 2016閲覧。
  25. ^ a b c Skinner, Craig (2016年). “Exclusive: Terry Gilliam's The Man Who Killed Don Quixote to star Adam Driver and Michael Palin; new concept art uncovered”. Flickreel. 25 May 2016閲覧。
  26. ^ a b Chu, Henry (18 May 2016). “Terry Gilliam Saddles Up for ‘Don Quixote’ After 20-Year Journey”. Variety. 25 May 2016閲覧。
  27. ^ a b Lapin, Andrew (9 March 2017). “Terry Gilliam Has Begun Shooting ‘The Man Who Killed Don Quixote,’ For Real This Time”. IndieWire. http://www.indiewire.com/2017/03/terry-gilliam-back-with-don-quixote-1201791646/ 
  28. ^ Sorry for the long silence” (4 June 2017). 4 June 2017閲覧。
  29. ^ a b 大門磨央 (2020年1月24日). “完成したのが大事件!『ドン・キホーテ』30年かかってついに公開”. FRIDAY DIGITAL. 講談社. 2020年1月26日閲覧。
  30. ^ Outreach Programme - FilmingtheMiddleAgesandtheRenaissanceProgram.pdf” (PDF). トリニティ・カレッジ (ダブリン大学). 2018年1月7日閲覧。
  31. ^ Elley, Derek (2002年2月28日). “Lost in La Mancha”. Variety. 2018年1月7日閲覧。
  32. ^ a b c O'Hagan, Sean (4 February 2001). “Terry Gilliam on his Don Quixote disaster”. ガーディアン. 2018年1月7日閲覧。
  33. ^ Parrill, William B. (2009-08-11). The Films of Johnny Depp. McFarland. p. 143. ISBN 0786440228. https://books.google.co.jp/books?id=RCOfBQAAQBAJ&pg=PA143&lpg=PA143 2018年1月7日閲覧。 
  34. ^ テリー・ギリアムの未完の映画がついに完成か?ドンキホーテ役にロバート・デュヴァル!”. シネマトゥデイ (2009年12月4日). 2018年1月8日閲覧。
  35. ^ van Hoeij, Boyd (2017年10月9日). “Jean Rochefort Dies: French Actor Was Famously to Appear in ‘Don Quixote’”. Variety. 2018年1月7日閲覧。
  36. ^ White, Tom (2017年6月5日). “Terry Gilliam Wraps On The Man Who Killed Don Quixote”. The Movie Bit. 2018年1月7日閲覧。
  37. ^ a b Winfrey, Graham (2017年6月5日). “Terry Gilliam’s ‘The Man Who Killed Don Quixote’: 6 Pivotal Moments in the ‘Cursed’ Passion Project”. IndieWire. 2018年1月7日閲覧。
  38. ^ Richardson, Anne (23 April 2017). “Bridget Jones actress Sally Phillips: I’m very good at burping”. サンデー・エクスプレス. デイリー・エクスプレス. 23 April 2017閲覧。
  39. ^ Delays For Don Quixote”. Empire Online (2000年10月26日). 2018年1月7日閲覧。
  40. ^ Johnny Depp Confirmed for 'Don Quixote' Film”. WorstPreviews.com (23 May 2009). 25 May 2016閲覧。
  41. ^ Johnny Depp Sez 'Pirates 4' To Be A Beckett Play Featuring Captain Jack Sparrow As A Geisha!”. Ain't It Cool News (23 June 2009). 25 May 2016閲覧。 “[Gilliam and I] have talked about it. But to be honest, the thing about Terry... I love Terry, and I'd do anything the guy wants to do. But with Quixote... my dance card is pretty nutty for the next couple of years. So I'd hate to put him in a position—or ask to be in a position—where he'd have to wait for me. That would be wrong. But also, I feel like we went there and tried something, and whatever it was—the elements and all the things that got up underneath us—were there and happened and were documented well in that film Lost in La Mancha. So I don't know if it's right for me to go back there. I don't know if it's right for Terry too, but if he wants to...”
  42. ^ a b c O'hara, Helen (2014年8月8日). “The Impossible Dream: Terry Gilliam's Quest To Make The Man Who Killed Don Quixote”. Empire Online. 2018年1月8日閲覧。
  43. ^ a b Child, Ben (2013年11月19日). “Terry Gilliam saddles up for seventh tilt at Don Quixote film”. ガーディアン. 2018年1月8日閲覧。
  44. ^ Brew, Simon (2015年9月24日). “Terry Gilliam's Don Quixote movie delayed again”. Den of Geek!. 2018年1月8日閲覧。
  45. ^ Thomas, William. “Lost In La Mancha Review”. エンパイア. 2018年1月8日閲覧。
  46. ^ Vincent, Alice (2016年4月2日). “Terry Gilliam's Don Quixote gets the green light”. デイリー・テレグラフ. 2018年1月8日閲覧。
  47. ^ Stubbs, Phil: “Dreams: The Man Who Killed Don Quixote”. smart.co.uk (2005年). 2018年1月7日閲覧。
  48. ^ Terry Gilliam — Gilliam gets to work on Quixote disaster”. Movie Hole (via Contact Music) (13 September 2005). 17 January 2009閲覧。
  49. ^ Edited by Phil Stubbs: “Gilliam talks to Dreams about Parnassus, Zero Theorem and Quixote”. smart.co.uk. 2018年1月8日閲覧。
  50. ^ Monty Python - Palin to act alongside Depp?”. Contact Music (26 May 2008). 25 July 2008閲覧。
  51. ^ Weintraub, Steve (3 November 2009). “Exclusive: Terry Gilliam talks Don Quixote”. Collider. 2018年1月8日閲覧。
  52. ^ Weintraub, Steve 'Frosty' (2 December 2009). “Exclusive: Terry Gilliam Wants Robert Duvall to Play Don Quixote de la Mancha!”. Collider.com. 2018年1月8日閲覧。
  53. ^ Jarvis, Alica-Azania (4 August 2008). “Pandora: Don Quixote rides again, says delighted Gilliam”. The Independent. https://www.independent.co.uk/opinion/columnists/pandora/pandora-don-quixote-rides-again-says-delighted-gilliam-884243.html 4 August 2008閲覧。 
  54. ^ Johnny Depp's 'Don Quixote' Film is Back On”. Contact Music (26 November 2008). 26 November 2008閲覧。
  55. ^ Johnny Depp Confirmed for "Don Quixote" Film”. Worst Previews (23 May 2009). 23 May 2009閲覧。
  56. ^ Johnny Depp Wants to be The Riddler in Batman 3”. Worst Previews (23 June 2009). 23 June 2009閲覧。
  57. ^ Billington, Alex (22 June 2009). “Johnny Depp Not Sure About Returning to Gilliam's Don Quixote”. Firstshowing.net. 23 June 2009閲覧。
  58. ^ Hopewell, John (2009年9月21日). “Seville to screen Thomas’ favorites”. Variety. 2018年1月8日閲覧。
  59. ^ de Semlyen, Phil (16 January 2009). “Gilliam Back To Work On Don Quixote. Exclusive: new script underway”. Empire. 17 January 2009閲覧。
  60. ^ テリー・ギリアム監督の次回作、主演はビリー・ボブ・ソーントン”. シネマトゥデイ (2009年2月2日). 2018年1月8日閲覧。
  61. ^ ジョニー・デップ、テリー・ギリアム監督「ドン・キホーテ」への再出演はなし”. 映画.com (2009年8月7日). 2018年1月8日閲覧。
  62. ^ Gilliam's Don Quixote Bags Ewan McGregor”. Empire Online (17 May 2010). 17 May 2010閲覧。
  63. ^ テリー・ギリアム監督、『ドンキホーテを殺した男』の製作は当分無理であることを発表!”. シネマトゥデイ (2010年9月9日). 2018年1月8日閲覧。
  64. ^ テリー・ギリアム監督の悪夢再び? 『ドンキホーテを殺した男』撮影開始が延期”. シネマトゥデイ (2010年7月28日). 2016年5月13日閲覧。
  65. ^ “[eiga.com/news/20111231/1/ ユアン・マクレガー、T・ギリアム監督「ドン・キホーテ」から降板]”. 映画.com (2011年12月31日). 2018年1月8日閲覧。
  66. ^ 福田麗 (2012年12月6日). “ジョニー・デップが再び「ドン・キホーテ」映画化に挑む!以前は頓挫”. シネマトゥデイ. 2018年1月8日閲覧。
  67. ^ Terry Gilliam - Timeline Photos”. Facebook.com. 2018年1月8日閲覧。 “Dreams of Don Quixote have begun again. Dave Warren has started doodling. Will we get the old bastard back on his horse this year? Human sacrifices welcomed. Stay tuned.”
  68. ^ a b de Semlyen, Phil (7 February 2014). “Terry Gilliam Reveals Don Quixote Start Date”. Empire. バウアー・メディア・グループ英語版. 4 March 2014閲覧。 ““He’s really smart, loves movies,” explains the director. “He’s young enough to still love movies. But we’ve still got to cast it and get the money but other than that, that’s the deal.””
  69. ^ Kennedy, Michael. “Terry Gilliam Finally Filming ‘The Man Who Killed Don Quixote’ This Year”. Screen Rant. 2018年1月8日閲覧。
  70. ^ 細木信宏/Nobuhiro Hosoki (2014年2月10日). “テリー・ギリアム『ドン・キホーテを殺した男』再始動!9月から撮影開始!”. シネマトゥデイ. 2018年1月8日閲覧。
  71. ^ White, James (2014年1月13日). “Terry Gilliam Shares New Don Quixote Concept Art”. エンパイア. 2018年1月8日閲覧。
  72. ^ Zakarin, Jordan (7 August 2014). “Terry Gilliam's 'Don Quixote' Movie Will Shoot After Christmas With Modernized Plot (Exclusive)”. The Wrap. 2018年1月8日閲覧。 “Our main character actually made a Don Quixote movie a lot earlier in his history,” Gilliam revealed, “and the effect it had on many people wasn’t very nice. Some people go mad, some people turn to drink, some people become whores.”
  73. ^ John Hurt says he’ll star in Terry Gilliam’s Don Quixote movie, if it ever happens”. AV Club (23 September 2014). 2018年1月8日閲覧。
  74. ^ a b Grow, Kory (19 September 2014). “Terry Gilliam Looks Back: "'Brazil' Will Be on My Gravestone"”. Rolling Stone. 25 May 2016閲覧。 “[Q:] Now you can get back to The Man Who Killed Don Quixote.——[A:] That is my plan, but plans have nothing to do with reality [laughs]. We shall see what happens. I really can't say anything at the moment, because there's been a little hiccup — once again. The Sisyphean rock that keeps rolling back. Just as we almost get to the top of the mountain.... We'll see what happens. I'm not a happy camper at the moment [laughs].
    [Q:] Well, why do you keep going back to Quixote after so many failed attempts?——[A:] Oh, I don't know, pigheadedness, stupid – I really don't know anymore. I'm beginning to actually think, "If it his doesn't work this time, I'm gonna dump it." I've wasted far too much of my life doing it. If you're going to do Quixote, you have to become as mad as Quixote..”
  75. ^ Perez, Rodrigo (9 June 2015). “Terry Gilliam's Amazon Deal Is For U.S. Release Of 'Don Quixote' & Possibly A 'Defective Detective' Mini-Series”. The Playlist. 25 May 2016閲覧。 “According to Gilliam, Amazon’s approach will be a theatrical window and release followed by a streaming Amazon debut at home. “I’m intrigued by their way of doing it,” the director said, noting streaming services were a fair extension of home video. “They go into the cinemas first and then a month or two afterwards they go into streaming. And I think that’s good because you get a chance to see it on the big screen, and yet I know that more people have seen my films on DVD than they have in the cinemas and that’s the reality of life now.””
  76. ^ テリー・ギリアム監督、悲願の作品「ドン・キホーテを殺した男」をアマゾンで製作”. 映画.com (2015年6月12日). 2018年1月8日閲覧。
  77. ^ a b テリー・ギリアム「ドン・キホーテ」にまたも不運 主演ジョン・ハートにがん発覚”. 映画.com (2015年9月28日). 2018年1月8日閲覧。
  78. ^ Liz Calvario (2016年5月12日). “Terry Gilliam's Long-Awaited 'The Man Who Killed Don Quixote' To Start Shooting in Fall, Star Adam Driver: Report”. Indiewire. 2016年5月13日閲覧。
  79. ^ テリー・ギリアム「ドン・キホーテ」にアダム・ドライバー&パイソンズのM・ペイリン”. 映画.com (2016年5月16日). 2018年1月8日閲覧。
  80. ^ a b Zack Sharf (30 September 2016). “Terry Gilliam’s ‘The Man Who Killed Don Quixote’ Delayed Once Again”. IndieWire. 12 January 2017閲覧。 ““I was supposed to start to be shooting it starting next Monday. It’s been slightly delayed,” Gilliam told Ross. “I had this producer, a Portuguese chap, who claimed he’d get all the money together in time. And a few weeks ago, he proved that he didn’t have the money. So we are still marching forward. It is not dead. I will be dead before the film is.””
  81. ^ 石神恵美子 (2017年3月13日). “テリー・ギリアム『ドン・キホーテを殺した男』がついに撮影開始!”. シネマトゥデイ. 2018年1月8日閲覧。
  82. ^ テリー・ギリアム (2017年6月4日). “Sorry for the long silence.—”. Facebook. 2018年1月8日閲覧。
  83. ^ CABIN, CHRIS (2017年6月4日). “Terry Gilliam Wraps Production on ‘The Man Who Killed Don Quixote’”. Collider.com. 2017年6月5日閲覧。
  84. ^ DEB, SOPAN (2017年11月21日). “Terry Gilliam and the Time He Shared a Crew With ‘Star Wars’”. ニューヨーク・タイムズ. 2018年1月8日閲覧。
  85. ^ Sharf, Zack (2017年11月21日). “Terry Gilliam Has a Great ‘Man Who Killed Don Quixote’ Update: ‘We’ve Almost Finished the Cut’”. IndieWire. 2018年1月8日閲覧。 “We’re just fiddling now, figuring out a few things here and there so it’s pretty much what it is. We’ve got still months of work to do on visual effects, sound, music. But as far as the tale, it’s pretty tight now and it’s surprisingly wonderful.”
  86. ^ Takatoshi Inagaki (2017年10月8日). “テリー・ギリアム新作『ドン・キホーテを殺した男』初号試写は「すごく良かった」 ― 劇場公開は2018年夏か”. THE RIVER. 2018年1月8日閲覧。
  87. ^ Convento de Tomar parcialmente destruído durante gravação de um filme”. ポルトガル国営放送 (2017年6月2日). 2018年1月8日閲覧。(ポルトガル語)
  88. ^ a b Terry Gilliam denies damaging Portuguese convent during filming”. The Guardian (5 June 2017). 17 June 2017閲覧。 “A report by the Portuguese public broadcaster RTP suggested recent filming for The Man Who Killed Don Quixote left behind chipped masonry, broken roof tiles and uprooted trees at the 12th-century Convent of Christ in Tomar, central Portugal. [中略]Writing on Facebook, he said: “I think the [Convento de Cristo] is one of the most glorious buildings I have ever seen. Everything we did there was to protect the building from harm … and we succeeded. Trees were not cut down, stones were not broken. ”The former Monty Python star added: “There was not an iota of disrespect involved. People should begin by getting the facts before howling hysterically.””
  89. ^ The Associated Press (5 June 2017). “Terry Gilliam film shoot investigated by Portuguese government”. LISBON, PORTUGAL: TheStar.com. 17 June 2017閲覧。
  90. ^ Terry Gilliam denies damaging Portuguese convent during filming”. The Independent (6 June 2017). 17 June 2017閲覧。
  91. ^ Portugal Rejects Claim That Terry Gilliam's 'Don Quixote' Shoot Harmed Convent”. The Hollywood Reporter (5 July 2017). 3 July 2017閲覧。 “The report published Monday said a program by public broadcaster RTP alleging wider damage "lacked rigor and revealed a lack of scientific knowledge."”
  92. ^ Terry Gilliam's Embattled 'The Man Who Killed Don Quixote' Hit With New Hurdle”. The Hollywood Reporter (20 May 2017). 17 June 2017閲覧。 “A statement from the film’s producers, which includes Jeremy Thomas’ Recorded Picture Company, said Branco’s claims were “preposterous” and that he had “no rights whatsoever to Don Quixote,” adding that they had been forced to sue Branco in four countries.“Senhor Branco’s interpretation of the law borders on the picaresque,” added RPC CEO Peter Watson. “If he really wants to kill the venerable don, I suggest he takes up jousting.””
  93. ^ 稲垣貴俊 (2018年4月6日). “テリー・ギリアム新作『ドン・キホーテを殺した男』に再び暗雲 ― 元プロデューサーが提訴、5月公開が困難に”. THE RIVER. 2018年4月6日閲覧。
  94. ^ Barfield, Charles (2018年4月4日). “Terry Gilliam’s ‘The Man Who Killed Don Quixote’ Won’t Make It To Cannes As Film’s Release Is In Peril”. The Playlist. 2018年4月6日閲覧。
  95. ^ 稲垣貴俊 (2018年5月10日). “テリー・ギリアム監督『ドン・キホーテを殺した男』カンヌ映画祭で無事上映へ!ただし米国配給からAmazonが離脱”. THE RIVER. 2018年5月10日閲覧。
  96. ^ Ritman, Alex (2018年5月9日). “Cannes: Terry Gilliam’s 'Don Quixote' Beats Legal Bid Over Closing-Night Screening”. ハリウッド・レポーター. 2018年5月10日閲覧。
  97. ^ 稲垣貴俊 (2018年6月17日). “テリー・ギリアム、『ドン・キホーテを殺した男』裁判で敗訴 ― 映画の権利認められず、各国での公開が不透明に”. THE RIVER. 2018年6月17日閲覧。
  98. ^ Goodfellow, Melanie (2018年6月15日). “Paris appeals court rules in favour of Paulo Branco on ‘The Man Who Killed Don Quixote’”. Screen Daily. 2018年6月17日閲覧。
  99. ^ Nordine, Michael (2018年6月16日). “‘The Man Who Killed Don Quixote’: Terry Gilliam Loses Court Battle, No Longer Owns Rights to Long-Delayed Film”. IndieWire. 2018年6月17日閲覧。
  100. ^ a b Barfield, Charles (2018年6月22日). “Despite Previous Court Ruling, The Rights To Terry Gilliam’s ‘Don Quixote’ Are With The Filmmaker”. The Playlist. 2018年6月23日閲覧。
  101. ^ The Man Who Killed Don Quixote (2019)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年11月16日閲覧。
  102. ^ The Man Who Killed Don Quixote Reviews” (英語). Metacritic. 2020年11月16日閲覧。
  103. ^ 桑原聡 (2014年1月15日). “(22)間奏 III ドン・キホーテの呪い”. 【鈍機翁のため息】. 産経新聞. 2018年1月8日閲覧。

外部リンク

[編集]

制作失敗について

[編集]

各種データベース

[編集]