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'''ピックアップトラック'''(''Pickup truck'' )とは、[[アメリカ合衆国|米国]]での[[自動車]]の分類のひとつで、大型以外の[[貨物自動車|トラック]]の総称である。ボディ形状は、[[キャビン]]以降に開放式の荷台を有する。
'''ピックアップトラック'''(''Pickup truck'' )とは、[[アメリカ合衆国|米国]]での[[自動車]]の分類のひとつで、大型以外の[[貨物自動車|トラック]]の総称である。ボディ形状は、[[キャビン]]以降に開放式の荷台を有する。
日本の[[車検証]]の車体の形状欄は、キャビンと荷台が一体のもの(例・[[マツダ・ファミリア|ファミリアピックアップ]]、[[トヨタ・パブリカ|パブリカピックアップ]]、[[日産・サニートラック|サニートラック]]、[[スズキ・マイティボーイ|マイティボーイ]]等)は<b>ピックアップ</b>、別体のもの(例・[[トヨタ・ハイラックス|ハイラックス]]、[[マツダ・プロシード|プロシード]]等)は<b>[[ボンネット (自動車)|ボンネット]]</b>と記載され、後者はボンネットトラックの一種と見なされる。[[日産・ダットサントラック|ダットサントラック]]には7代目までその両方があった。
日本の[[車検証]]の車体の形状欄は、キャビンと荷台が一体のもの(例・[[マツダ・ファミリア|ファミリアピックアップ]]、[[トヨタ・パブリカ|パブリカピックアップ]]、[[日産・サニートラック|サニートラック]]、[[スズキ・マイティボーイ|マイティボーイ]]等)は'''ピックアップ'''、別体のもの(例・[[トヨタ・ハイラックス|ハイラックス]]、[[マツダ・プロシード|プロシード]]等)は'''[[ボンネット (自動車)|ボンネット]]'''と記載され、後者はボンネットトラックの一種と見なされる。[[日産・ダットサントラック|ダットサントラック]]には7代目までその両方があった。


== 概要 ==
== 概要 ==

2016年11月15日 (火) 13:22時点における版

自動車 > ピックアップトラック
ピックアップトラックのイメージ
三菱・トライトン
GMCサイクロン
2代目 フォード・F-100
GMCトップキック

ピックアップトラックPickup truck )とは、米国での自動車の分類のひとつで、大型以外のトラックの総称である。ボディ形状は、キャビン以降に開放式の荷台を有する。 日本の車検証の車体の形状欄は、キャビンと荷台が一体のもの(例・ファミリアピックアップパブリカピックアップサニートラックマイティボーイ等)はピックアップ、別体のもの(例・ハイラックスプロシード等)はボンネットと記載され、後者はボンネットトラックの一種と見なされる。ダットサントラックには7代目までその両方があった。

概要

ピックアップ(pickup)という名称の由来はハッキリしないが、1913年にスチュードベーカーが使い始め、1930年代にはpick-upとハイフンで区切る表記が一般化した。日本では、キャブオーバー形は、小型のものでもピックアップには含まず、単にトラックと呼ばれることが多いが、en:Pickup truckではボンネットの有無には触れられておらず、日本の軽トラックもピックアップトラックだとされている。

開発費抑制のため、多くは乗用車SUV車台を共用し、中にはFF式の乗用車をベースとしているものもある。アメリカ合衆国製の車両では、荷台開閉時、積み降ろし作業者の足元に排気ガスが直接あたらないよう、排気管の口の位置が一般的な車と異なり、車体の荷台後方側面から出ているものがとても多い。

が多く燃料価格が高価で、1台あたりの輸送効率が重視される日本やヨーロッパでの需要は少ないが、北米をはじめ、タイを中心とした東南アジアアフリカ南米などで人気がある。またオーストラリアニュージーランドではute(ユート)と呼ばれ、個人向けから商用まで高い人気を誇る。アメリカやアジアなどでは独立したフレームを持つSUVベースがほとんどだが、オセアニアや南米で生産されているのは乗用車ベースである。

軍事利用されるピックアップトラック

ピックアップトラックの汎用性の高さを示す使用法に軍事利用があげられる。 発展途上国や独立武装勢力を中心に大量のピックアップトラックがほとんどそのままの形で、人員や物資の輸送に使用されている。さらには荷台に重機関銃や対戦車火器(無反動砲対戦車ミサイル)を搭載して、車上射撃を可能にしたテクニカルと呼ばれる車両が広く使われており、紛争の趨勢を決める存在にすらなっている。大型のピックアップトラックに長距離ロケット砲対空砲を搭載したものすらある。信頼性の高い日本製ピックアップが好んで使用され、チャド紛争はトヨタ戦争などと形容された。

アメリカにおけるピックアップトラック

1913年にオハイオ州コーチビルダーであった、ガリヨン・グッドウィン・トラックボディ社がフォード・モデルTを改造して、後部にトレイを載せた物が発祥とされる。これが農場等で好評だったため、1924年にはダッジも3/4トントラックのウッドボディ・ピックアップを登場させ、さらに翌1925年にはフォードも自らピックアップの生産を開始することになる。1931年にはシボレーも参入。1950年代になると各社はよりスタイリッシュなモデルを続々と登場させ、貨物用途車というよりファッション性で選ぶ消費者が増えてきた。さらにピックアップトラックの自動車税が州によって無税か割安になるため所得の少ない若者達がこぞって乗り始めたため急速に普及した[要出典]。また中西部南部では、その武骨で力強いスタイルが西部開拓時代シンボルであるを彷彿させ、ピックアップトラックに乗ることが一種のステータスのようにとらえられている。これに迎合し、ピックアップトラックのテレビCMの大半にカントリー・ミュージックが使われている。そのステータス性は映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティーが憧れる車として描かれたことでも窺える。これらの人気要素に着目した米国の旧ビッグスリーと、現地のトヨタ日産ホンダフルサイズピックアップを生産をしている。ほとんどの車種が自社のSUVと共通のはしご形フレームを有しているが、ホンダ・リッジラインUSアコードレジェンドの派生車であるため独立したフレームを持たず、ライトデューティーとなっている。

アメリカにおいては道路が広く、サイズが大きな車でも扱いやすい。このためフルサイズピックアップに人気が集中している。そのV8エンジン独特の太いに愛好家が多く、マフラーの改造も盛んに行われている。さらに費用の面でも他国と比べて石油価格が安く、税金や保険料が乗用車よりも安く設定されている事や、自動車メーカーが購入者に対して多額の奨励金(キャッシュバック)を出している事も普及が進んできた理由である。

トラックオブNASCARのダッジ・ラム

アメリカでの使われ方は発展途上国のように荷物や人を満載するような使い方ではなく、パーソナルカーとして普段は空荷で走らせることが多い。そして引越しレジャーなどにだけ荷物を載せ、あるいは後ろにトレーラーを繋げて走らせたりする。商用よりはむしろ通勤通学用、レジャー用、家庭用として使用されることが圧倒的に多い。2002年の調査によれば、販売されたピックアップトラックのうち商用としては約19 %しか使用されていないのに対し、約77 %が個人用として使われているという結果であった[1]。アメリカでのピックアップトラックの人気の高さは、全米で最も売れている車がフォード・Fシリーズ(年間90万台以上)、2番目に売れている車がシボレー・シルバラードであるということからも分かる。中でもテキサス州では非常に人気が高く、全米のピックアップトラックのおよそ14 %が売れており[2]、全米最大の市場となっている。堅調なセールスを受け2006年にはトヨタがフルサイズピックアップトラックタンドラ生産工場サンアントニオで稼動させている。

ピックアップトラック人気の高いアメリカでは、モータースポーツにおいてもピックアップトラックベースの車によって争われるカテゴリーが数多く存在する。中でもNASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズはNASCARの「三大カップ戦」の一つに数えられるトップカテゴリーであり、ジャック・ヴィルヌーヴなど元F1ドライバーも参戦する人気カテゴリーとなっている。

オセアニアにおけるute(ユート)

オーストラリア、ニュージーランドなどではピックアップトラックではなく「ユート」(クーペ・ユーティリティ/coupe utility が語源)と呼ばれ、その発祥は1932年にオーストラリア・ヴィクトリア州のある農場夫の妻が、フォード・オーストラリア社に送った「貨客どちらにも都合良く使える車はできないのものか?」という要望に応える形で1934年に製作した「クーペ・ユーティリティ」が最初。ライバル社である、ホールデンも1951年に同じようなコンセプトの車を登場させており、以来この2社が乗用車をベースとしたタイプを歴代ラインナップ。アメリカ同様、若者達がファッションとして乗るのをはじめ、警察車両、農場、建設業など商用として使われる用途まで幅広い人気を誇っているが、2016年にフォード・オーストラリアが、そして2017年にホールデンが生産工場の閉鎖を決定しているので、それと同時にオーストラリア製のユートは完全に消滅することになる。

その他の地域におけるピックアップトラック

アジア中南米南アフリカなどで生産されているものは、以前の日本製ピックアップに近い、小型から中型サイズのものばかりである。

かつて1940年代から1970年代にかけては、日本でも1t積み程度のものを中心に、すべてのメーカーがピックアップトラックを生産、販売していた。個人商店では配送業務に、農家では農機具農作物の運搬などに利用され、休日にはレジャー用として家族のドライブにも活躍していた。乗用車が高嶺の花であった時代、トラックの「時々、乗用車」という用途には、運転姿勢が立ち気味で、騒音や熱気の侵入が多いキャブオーバー型は適しておらず、ボンネット型の伸びやかなスタイルと、ゆとりある着座姿勢が大きなアドバンテージとなっていた。昭和中期までの軽トラックは現在よりも相当小型・窮屈で、積載時の走行性能も満足の行くものではなかったことも、小型ピックアップを選択する要因の一つであった。

その後小型トラックの多くは、スペース効率の高いキャブオーバータイプへ移行し、ボンネット型は主流ではなくなるが、生活レベルの向上とともに、天候による荷傷みの心配や、荷造りが面倒なトラック自体が次第に敬遠されるようになり、軽トラックを除くキャブオーバートラックすらもライトバンに仕事を奪われ、また軽自動車の規格改定による大型化も手伝い、小型トラックの販売台数は急激に減少していく。

さらに2000年代以降は、NOx規制PM条例、加えてエコカー減税などの影響もあって販売の終了が相次ぎ、唯一正規輸入されていた三菱・トライトン(タイ生産)が2011年夏、フォード・エクスプローラースポーツトラックも同年10月にそれぞれ販売を終了しており、そのほかに関しては、少数の並行輸入車が販売されている程度である。

また、日本の自動車メーカーの日本国内でのピックアップトラック生産は、輸出向けとして生産が続いていた日産・ダットサントラック2012年3月に国内生産を終了したことで[3]トヨタ・ランドクルーザー70日産・サファリのみとなっており、他は全て海外工場への移管が完了している。中でもタイは販売台数・生産台数共に多く、タイでの販売のみならず世界各地へ輸出されており、今日ではピックアップトラックの主要生産・輸出国となっている。タイでのピックアップトラックの販売シェアは、トヨタいすゞ三菱の3社が多くを占める。

かつて日本国内で生産・販売されていたピックアップトラック

日本メーカーの日本国外での生産車 (過去のものを含む)

日本国外メーカーのピックアップトラック (過去のものを含む)

関連項目

外部リンク

出典