「ナパーム弾」の版間の差分
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[[1971年]]1月に全米8位にまで上り、[[日本]]でも大ヒットした、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ロックバンド]]、[[クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル]]によって歌われた「[[雨を見たかい]]」の曲中には"Have you ever seen the rain?"という歌詞がある。<!--普通の会話では-->rainにtheがついていることから、「あなたはこれまでに雨を見たことがありますか」ではなく、「あなたはこれまでに'''例の'''雨を見たことがありますか」という意味であるから、<!--などと質問することなどあり得ない。-->この場合の"the rain"は、ナパーム弾を指し示した暗喩であり、この曲は[[ベトナム戦争]]への批判と考えるのが妥当で、実際にアメリカでは[[放送禁止]]処分になった{{要出典|date=2015年10月}}。ただし、後年になって、作詞作曲者ジョン・フォガティ自身は、この「例の雨」について、ナパーム弾ではなく、ベイエリアで有名な、陽が照っているのに降る、虹とともに降る雨のことだと述べており、この歌は[[クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル]]の崩壊の歌だとしている(Hank Bordowitz著 "Bad Moon Rising" p.107-108)。 |
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また、ドラムのダグは、ひとつ前のアルバムの曲「Who'll Stop The Rain」と混同されたのではないかと語っている。この曲の「雨」は、当時のニクソン政権による[[ベトナム]][[空襲|空爆]]を指しているという(BS-TBS 「Song To Soul」#44 雨を見たかい)。 |
また、ドラムのダグは、ひとつ前のアルバムの曲「Who'll Stop The Rain」と混同されたのではないかと語っている。この曲の「雨」は、当時のニクソン政権による[[ベトナム]][[空襲|空爆]]を指しているという(BS-TBS 「Song To Soul」#44 雨を見たかい)。 |
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2016年11月15日 (火) 13:21時点における版
ナパーム弾(ナパームだん、英: Napalm bomb)は、主燃焼材のナフサにナパーム剤と呼ばれる増粘剤を添加してゼリー状にしたものを充填した油脂焼夷弾である。アメリカ軍が開発したもので、きわめて高温(900-1,300度)で燃焼し、広範囲を焼尽・破壊する。
概要
軍の要請を受けたハーバード大学のルイス・フィーザーが開発した。 初期に開発されたナパーム弾の構造は、主燃焼材のナフサ、増粘剤としてパーム油から抽出したパルミチン酸のアルミニウム塩、乳化剤としてのナフテン酸などを混合したものを落下燃料タンクに充填したもの。これに信管をつけて航空機から投下した物である。製法はUS Patent number 2606107として特許が取得されている。[1] また、同じ混合液体は、火炎放射器の噴射剤としても用いられた。
ナパーム弾の充填物は、人体や木材などに付着するとその親油性のために落ちにくく、水をかけても消火が困難である。消火するためには界面活性剤を含む水か、ガソリン火災用の消火器が必要である。また、ナパーム弾の燃焼の際には大量の酸素が使われるため、着弾地点から離れていても酸欠によって窒息死、あるいは一酸化炭素中毒死することがある。
もともと「ナパーム」(Napalm)とは、ナフテン酸(naphthenic acid)とパルミチン酸(palmitic acid)のアルミニウム塩(Aluminum Salts)の略語で、ガソリンやジェット燃料などの石油類と混合するとゼリー状にゲル化する性質を持った増粘剤である「ナパーム剤」のことである。ナパーム剤というのは俗称であり、正規名称は増粘剤(Thickener)である。
だが、これを使用したゲル化油脂焼夷弾の主原料がナフサとパーム油だったため、ナフサの「ナ」+パーム油の「パーム」で「ナパーム」という説が一般に信じられるようになった。
火炎放射器などに使用するナパームは、現地で製造できるようにM2混合装置が開発され、現在でも使用されている。使い方は簡単で、材料となるナフサかガソリンと粉末の増粘剤を入れてかき混ぜた後、タンクに注入するだけである。このような現地製造装置が必要なのは、工場などで大型タンクで混ぜて大量に生産してしまうと、粘性が高いため小さいタンクに移すのに通常のポンプでは注入できないためである。そのため、製品の状態で前線へ輸送するよりも、現地で製造してタンクに移す方が効率が良い。この方法なら専用ポンプは最終の充填用の小型ポンプだけで済む。増粘剤は重量比で2%程度の混合なので、20キロあれば1トンのナパームが作れる。ナフサを使用しているのは、工場で充填されるナパーム弾で、火炎放射器は燃料用のガソリンから現地で製造と充填を行っている。
種類
ナパームとは、増粘剤(Thickener)をナフサに混ぜて増粘した物である。増粘剤には以下のような物があり、現在はM4がアメリカ軍で使用されている。改良が続いているものの、基本的な組成はアルミニウムと脂肪酸の塩である。
航空機投下用のナパーム弾と、火炎放射器用のナパームは成分も性質も異なる別物であるが、一般的に混同されている。
- M1 Thickener(MIL規格番号:MIL-T-589A)
- 火炎放射器用として、朝鮮戦争で活用された。吸湿性があり、吸湿するとゲル状態が不安定になって使えなくなった。ベトナム戦争で、小型船舶から川の両岸を焼き払うのに使用された映像が有名である。
- アルミニウムナフテン酸塩 25%
- アルミニウムオレイン酸塩 25%
- アルミニウムラウリン酸塩 50%
- M2 Thickener(MIL規格番号:MIL-T-0903025B)
- M1 95%に二酸化ケイ素5%と凝固防止剤を加えた改良型である。すぐにM4に代わったため、あまり使用されなかった。
- M4 flame fuel thickening compound(MIL規格番号:MIL-T-50009A)
- M1に比べて吸湿性がなく、取り扱いやすくなっている。ベトナム戦争のころから大量生産されるようになり、現在のアメリカ軍の標準的なナパームとして、火炎放射器で使用されている。成分はビス(2-エチルヘキサノアト)ヒドロキシアルミニウム(hydroxyl aluminum bis(2-ethylhexanoate)。
- ナパームB(特殊焼夷弾用燃焼剤)
- 空軍によって開発された、航空機投下用のナパーム弾の中味である。世間一般的にベトナム戦争で森林や住民を焼き払ったナパームというと、このナパームBのことを指している場合が多い。M2 ナパームに比べて粘性が低く、効果的に拡散するように作られていた。また、燃焼時間も長くなるように作られており、M2 ナパームが10-30秒程度で燃え尽きるのに対して10分前後も燃え続けた。ベトナム戦争で400,000トンが航空機から投下された。現在では、残酷で非人道的との批判から公式に廃棄処分され、アメリカ軍は保有していない。ただ、公式に確認はされていないが、アフガニスタンやイラクで使用されたという証言がある。
戦争での使用
ナパーム弾の元となった爆弾が使用された戦争
- 1944年7月17日、サン=ロー近くのクタンスで、アメリカ軍P-38 ライトニング により、最初に使用される。
- 太平洋戦争では、アメリカ海兵隊戦闘機により、ビアク島の戦いで最初に使用。
- 第二次世界大戦では、アメリカ陸軍は日本領地への空爆に使用。
ナパーム弾が使用された戦争・紛争
- 朝鮮戦争では、アメリカを初めとする国連軍によって、敵の陣地攻撃のために投下された。
- フィリピン軍が、反政府ゲリラとの戦闘に使用。
- トルコ軍が クルド人武装勢力との戦闘やキプロス侵攻の際に使用。
- 第一次インドシナ戦争では、フランス軍によりベトミンへの攻撃に使用。
- メキシコ軍が、ゲレーロ州ゲリラとの戦闘に使用。
- ベトナム戦争では、アメリカ軍により、敵の陣地攻撃や森の中にヘリコプターの降下地点を作るのに使用された他、ジャングルに潜む敵歩兵を殲滅するために投下された。
- 第3次中東戦争と第4次中東戦争では、エジプトやシリア、ヨルダンを初めとするアラブ連合軍によってイスラエル軍の陣地を攻撃するために使用された。
- アンゴラ内戦では、アンゴラ軍やキューバ軍による反政府勢力と南アフリカ防衛軍への攻撃に使用された。
- シエラレオネ内戦では、 ナイジェリア軍やギニア軍といった ECOMOGの軍隊やEO社による支援で設立されたシエラレオネ空軍によって反政府勢力RUFへの攻撃に使用される。
- エリトリア独立戦争や オガデン戦争では、エチオピア軍によってソマリア軍や分離独立勢力への攻撃に使用される。
- アルジェリア戦争では、 フランス軍が汎用ヘリコプターやCOIN機にナパーム弾を搭載して使用。
- イラン・イラク戦争や 印パ戦争では、対立している双方の国が使用した。
- 旧イラク軍がクルド人武装勢力への攻撃に使用。
- レバノン内戦では、シリア軍が敵対する勢力への攻撃のために使用する。
- 第2次コンゴ戦争では、アンゴラ軍やジンバブエ軍といったコンゴ民主共和国政府を支持する勢力によって反政府勢力やそれを支援するウガンダ軍やブルンジ軍への攻撃のために使用される。
- 西サハラ紛争では、モロッコ軍によって分離独立勢力への攻撃のために使用される。
- モザンビーク内戦では、モザンビーク軍によって反政府勢力への攻撃のために使用される。
- 第1次ニカラグア内戦では、 国家警備隊によって サンディニスタ民族解放戦線に対する攻撃に使用される。
- コロンビア軍では、現代に至るまでの コロンビア革命軍との戦闘で使用されている。
- 湾岸戦争では、アメリカ軍がイラクの戦車隊に使用した。これが非人道的だと見なされ、のちにアメリカ軍のナパーム弾の廃止(後述)につながった。[要出典]
米軍装備からの廃止
2001年4月4日に最後のナパーム弾が処分され、現在のアメリカ軍では公式には航空機から投下するナパーム弾は保有していないことになっている。2001年12月14日にアルジャジーラのニュースでアフガニスタンでナパーム弾が使用されたと報道されたが、アメリカ軍のトミー・フランクス将軍は否定している。
米国国防総省は、イラクの自由作戦でのナパーム使用を禁止しており、公式に使用していないことになっているが、反戦団体からは使用したとの主張が出ている。
実際にアフガニスタンとイラクで使用されたのはナパームの代替品であるMark77爆弾であり、ペンタゴンはこれはナパームではないと主張している。しかし、見た目にも実際の効果にしてもナパームとそっくりであり、Mark77爆弾はナパームとほとんど同じものだと言われているが、あくまでもアメリカ国防総省の公式見解は「ナパームのように見えるナパームとは違う兵器を使用しただけ」である。
その他
1971年1月に全米8位にまで上り、日本でも大ヒットした、アメリカのロックバンド、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルによって歌われた「雨を見たかい」の曲中には"Have you ever seen the rain?"という歌詞がある。rainにtheがついていることから、「あなたはこれまでに雨を見たことがありますか」ではなく、「あなたはこれまでに例の雨を見たことがありますか」という意味であるから、この場合の"the rain"は、ナパーム弾を指し示した暗喩であり、この曲はベトナム戦争への批判と考えるのが妥当で、実際にアメリカでは放送禁止処分になった[要出典]。ただし、後年になって、作詞作曲者ジョン・フォガティ自身は、この「例の雨」について、ナパーム弾ではなく、ベイエリアで有名な、陽が照っているのに降る、虹とともに降る雨のことだと述べており、この歌はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの崩壊の歌だとしている(Hank Bordowitz著 "Bad Moon Rising" p.107-108)。 また、ドラムのダグは、ひとつ前のアルバムの曲「Who'll Stop The Rain」と混同されたのではないかと語っている。この曲の「雨」は、当時のニクソン政権によるベトナム空爆を指しているという(BS-TBS 「Song To Soul」#44 雨を見たかい)。
脚注
関連項目
出典
- ナパーム空爆史 日本人をもっとも多く殺した兵器 ロバート・M・ニーア著 ISBN 978-4-7783-1506-1