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{{Infobox 鉱物 |
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|鉱物名 = 琥珀 |
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|画像 = [[File:Colours_of_Baltic_Amber.jpg|250px|Baltic amber. Polished stones]]] |
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|画像キャプション = バルト海産の琥珀 |
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[[ファイル:Amber.pendants.800pix.050203.jpg|thumb|琥珀のペンダント]] |
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[[File:PL Kalisz TrasaBNoc.JPG|thumb|[[古代]]から続く[[琥珀の道]](古代から琥珀市場が開かれていたポーランド、[[カリシュ]]市)]] |
[[File:PL Kalisz TrasaBNoc.JPG|thumb|[[古代]]から続く[[琥珀の道]](古代から琥珀市場が開かれていたポーランド、[[カリシュ]]市)]] |
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[[鉱物]]ではないが、[[硬度]]は鉱物に匹敵する。色は、黄色を帯びたあめ色のものが多い。 |
[[鉱物]]ではないが、[[硬度]]は鉱物に匹敵する。色は、黄色を帯びたあめ色のものが多い。 |
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⚫ | もっとも古い琥珀は、[[石炭紀|上部石炭紀]]の地層の物とされている<ref name=Grimaldi2009>{{Cite journal |doi=10.1126/science.1179328|pmid=19797645|title=Pushing Back Amber Production|year=2009|last1=Grimaldi|first1=D.|journal=Science|volume=326|issue=5949|bibcode=2009Sci...326...51G|pages=51–2}}</ref><ref name=Bray2009>{{cite journal |doi=10.1126/science.1177539|title=Identification of Carboniferous (320 Million Years Old) Class Ic Amber|year=2009|last1=Bray|first1=P. S.|last2=Anderson|first2=K. B.|journal=Science|volume=326|issue=5949|pages=132–134|pmid=19797659|bibcode=2009Sci...326..132B}}</ref>。 |
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⚫ | 琥珀について最初に記述したのはローマの[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|プリニウス]]で、石化した樹脂であることを論じている。また、取引されている琥珀はヨーロッパ北部([[バルト海]]周辺)の産であることも知っていた<ref name="kaseki"/><ref>{{cite wikisource|wslanguage=la|title=Naturalis Historia|chapter=Liber XXXVII|anchor = .5Bll.5D|trans_title = [[博物誌]]| nobullet=yes | show-language=yes |author=[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス]]|quote=Certum est gigni in insulis septentrionalis oceani et ab Germanis appellari glaesum, itaque et ab nostris ob id unam insularum Glaesariam appellatam, Germanico Caesare res ibi gerente classibus, Austeraviam a barbaris dictam. nascitur autem defluente medulla pinei generis arboribus, ut cummis in cerasis, resina in pinis erumpit umoris abundantia.}} |
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==組成== |
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;英語 |
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英名 '''amber''' は{{lang-ar|'''عنبر'''}} ('anbar)に由来する。[[古代ギリシア]]ではエーレクトロン ({{lang-grc-short|ἤλεκτρον}}) |
英名 '''amber''' は{{lang-ar|'''عنبر'''}} ('anbar)に由来する。 |
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;古代ギリシア |
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[[古代ギリシア]]ではエーレクトロン ({{lang-grc-short|ἤλεκτρον}})と呼ばれる。意味は「太陽の輝き」という意味である<ref name=King1> |
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[[Homeric Greek|Homeric]] ([[Iliad]] 6.513, 19.398). {{Cite book | last = King|first = Rev. C.W.|title = The Natural History of Gems or Decorative Stones|publisher = Cambridge (UK)|year = 1867|page= 315|url= http://www.farlang.com/gemstones/king-gems-decorative-stones/page_315}}</ref>。 |
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英語で電気を意味する''electricity''は琥珀を擦ると[[静電気]]を生じることに由来している<ref name="kaseki">P.A.セルデン・J.R.ナッズ著、鎮西清高訳『世界の化石遺産 -化石生態系の進化-』 朝倉書店 2009年 132ページ</ref>。 |
英語で電気を意味する''electricity''は琥珀を擦ると[[静電気]]を生じることに由来している<ref name="kaseki">P.A.セルデン・J.R.ナッズ著、鎮西清高訳『世界の化石遺産 -化石生態系の進化-』 朝倉書店 2009年 132ページ</ref>。 |
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なお、市販の「虫入り琥珀」については、コーパルなどを溶解させ現生の昆虫の死骸などを封入した、いわば「人造虫入り琥珀」である場合がある。 |
なお、市販の「虫入り琥珀」については、コーパルなどを溶解させ現生の昆虫の死骸などを封入した、いわば「人造虫入り琥珀」である場合がある。 |
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;香料 |
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;電気 |
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特定の条件で琥珀を燃やした時に松木を燃やしたような香りがするが、近年の琥珀の香りと呼ばれるものは、人工的に再現された香が特許として取得され使用されている<ref>[http://sorceryofscent.blogspot.com/2008/07/amber-perfumery-myth.html Sorcery of Scent: Amber: A perfume myth]. Sorceryofscent.blogspot.com (30 July 2008). Retrieved on 23 April 2011.</ref><ref>{{US patent|3703479}}</ref><ref>{{US patent|3681464}}</ref>。 |
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[[電気]]現象の発見は[[摩擦電気]]の発見が1つのきっかけであるが、これは琥珀を羊皮などで擦った後に琥珀がほこりなどを吸い寄せたことに気づいたことが発見の起源と言われる。電気を表す英単語 electricity はギリシア語の ηλεκτρον ([elektron], 琥珀)に由来する。 |
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それとは別に、近年のアンバーと呼ばれる香には、[[アンバーグリス]]を再現したものも指している<ref name=Aber>{{cite web | url = http://www.emporia.edu/earthsci/amber/amber.htm|author = Aber, Susie Ward |publisher = Emporia State University|title = Welcome to the World of Amber|accessdate = 11 May 2007| archiveurl= https://web.archive.org/web/20070428124042/http://www.emporia.edu/earthsci/amber/amber.htm| archivedate= 28 April 2007 <!--DASHBot-->| deadurl= no}}</ref><ref>{{cite web |url=http://www.patent-invent.com/electricity/inventions/electron.html |title=Origin of word Electron |publisher=Patent-invent.com |accessdate=30 July 2010}}</ref>。このアンバーグリスは、琥珀と同様に浜に打ち上げられた[[マッコウクジラ]]の[[結石]]である。 |
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琥珀と似たような[[香木]]には、同様に樹脂の化石である[[薫陸]]というのも存在するがコハク酸を含まない。 |
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==産地== |
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;ポーランド |
;ポーランド |
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[[ファイル:White P.jpg|thumb|白リン]] |
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ポーランドは琥珀の生産において圧倒的な世界一を誇り、世界の琥珀産業の80%が[[グダンスク]]市にあり、世界の純正琥珀製品のほとんどがこのグダンスク地方で製造される<ref>http://books.google.co.jp/books?id=g6NVVpqhixIC&pg=PA137&lpg=PA137&dq=amber+poland+per+cent&source=bl&ots=nzSlMk-CEB&sig=9wrGCk6cBWnH5uLDxB_274GoYvw&hl=ja&ei=7W0WTcOzDI3Qca206eEK&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=5&ved=0CEcQ6AEwBA#v=onepage&q&f=false</ref>。 |
ポーランドは琥珀の生産において圧倒的な世界一を誇り、世界の琥珀産業の80%が[[グダンスク]]市にあり、世界の純正琥珀製品のほとんどがこのグダンスク地方で製造される<ref>http://books.google.co.jp/books?id=g6NVVpqhixIC&pg=PA137&lpg=PA137&dq=amber+poland+per+cent&source=bl&ots=nzSlMk-CEB&sig=9wrGCk6cBWnH5uLDxB_274GoYvw&hl=ja&ei=7W0WTcOzDI3Qca206eEK&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=5&ved=0CEcQ6AEwBA#v=onepage&q&f=false</ref>。 |
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毎年、グダニスクでは国際宝飾展AMBERMARTが催される。また、[[:pl:Muzeum Bursztynu w Gdańsku|琥珀博物館]]も建てられている。 |
毎年、グダニスクでは国際宝飾展AMBERMARTが催される。また、[[:pl:Muzeum Bursztynu w Gdańsku|琥珀博物館]]も建てられている。 |
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:'''※注意''' |
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:バルト海沿岸では、[[第二次世界大戦]]に使われた[[白リン弾]]から[[白リン]]が漏出し、琥珀と間違われ[[火傷]]を負わせる事故が起きている。白リンは海中では発火しないが、人体に接触すると発熱する為、注意が呼びかけられている<ref>{{Internetquelle | url=http://www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/phosphor-aehnelt-bernstein-und-verbrennt-mann-am-strand-a-943631.html | titel=Phosphorklumpen: Vermeintlicher Bernstein verbrennt Strandbesucher | autor= | hrsg=[[Spiegel Online]] | datum=2014-01-15 | zugriff=2014-01-15}}</ref>。 |
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;アジア |
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* 中国の[[雲南]]、[[河南]]、[[広西]]、[[福建]]、[[貴州]] |
* 中国の[[雲南]]、[[河南]]、[[広西]]、[[福建]]、[[貴州]] |
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* [[日本]]においては[[岩手県]][[久慈市]]近辺や[[千葉県]][[銚子市]]で産出される<ref name="kampoiyaku"/>。 |
* [[日本]]においては[[岩手県]][[久慈市]]近辺や[[千葉県]][[銚子市]]で産出される<ref name="kampoiyaku"/>。 |
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⚫ | もっとも古い琥珀は、[[石炭紀|上部石炭紀]]の地層の物とされている<ref name=Grimaldi2009>{{Cite journal |doi=10.1126/science.1179328|pmid=19797645|title=Pushing Back Amber Production|year=2009|last1=Grimaldi|first1=D.|journal=Science|volume=326|issue=5949|bibcode=2009Sci...326...51G|pages=51–2}}</ref><ref name=Bray2009>{{cite journal |doi=10.1126/science.1177539|title=Identification of Carboniferous (320 Million Years Old) Class Ic Amber|year=2009|last1=Bray|first1=P. S.|last2=Anderson|first2=K. B.|journal=Science|volume=326|issue=5949|pages=132–134|pmid=19797659|bibcode=2009Sci...326..132B}}</ref>。 |
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⚫ | 琥珀について最初に記述したのはローマの[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス|プリニウス]]で、石化した樹脂であることを論じている。また、取引されている琥珀はヨーロッパ北部([[バルト海]]周辺)の産であることも知っていた<ref name="kaseki"/><ref>{{cite wikisource|wslanguage=la|title=Naturalis Historia|chapter=Liber XXXVII|anchor = .5Bll.5D|trans_title = [[博物誌]]| nobullet=yes | show-language=yes |author=[[ガイウス・プリニウス・セクンドゥス]]|quote=Certum est gigni in insulis septentrionalis oceani et ab Germanis appellari glaesum, itaque et ab nostris ob id unam insularum Glaesariam appellatam, Germanico Caesare res ibi gerente classibus, Austeraviam a barbaris dictam. nascitur autem defluente medulla pinei generis arboribus, ut cummis in cerasis, resina in pinis erumpit umoris abundantia.}} |
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;科学史 |
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琥珀の蒸留物である琥珀油は、12世紀に知られていた。1546年に[[ゲオルク・アグリコラ]]は、[[コハク酸]]を発見した。18世紀、ロシアの化学者[[ミハイル・ロモノーソフ]]は、琥珀が木の樹脂が化石化したものであることを証明した。1829年に[[イェンス・ベルセリウス]]は、現代的な手法で化学分析を行い琥珀が可溶性および不溶性成分からなることを発見した。 |
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== 琥珀色 == |
== 琥珀色 == |
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* [[岩石]] - [[堆積岩]] |
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* [[宝石]]、[[宝石の一覧]] |
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* [[コハク酸]] |
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* [[琥珀の間]] |
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* [[ユラテとカスティティス]] - [[リトアニア]]で有名な「バルト海で琥珀が打ち上げられる現象」に話を付けた[[民話]]。 |
* [[ユラテとカスティティス]] - [[リトアニア]]で有名な「バルト海で琥珀が打ち上げられる現象」に話を付けた[[民話]]。 |
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* [[ヘーリアデス]] -[[ギリシア神話]]に登場する[[太陽神]][[ヘーリオス]]の娘たち。涙が琥珀になったという伝説を持つ。 |
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== 外部リンク == |
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2016年5月18日 (水) 08:08時点における版
琥珀 | |
---|---|
] バルト海産の琥珀 | |
分類 | 有機鉱物 |
シュツルンツ分類 | 10.C その他の有機鉱物 |
化学式 | 主成分C10H16O+(H2S)> |
結晶系 | 非晶質 |
へき開 | なし |
断口 | 貝殻状断口 |
モース硬度 | 2 ~ 2.5 |
光沢 | 樹脂光沢、無光沢 |
色 | 蜂蜜色、白色、黒色、赤、緑 |
条痕 | 白色 |
密度 | 1,05 ~ 1,096(g/cm3) |
光学性 | 透明、半透明、不透明 |
プロジェクト:鉱物/Portal:地球科学 |
琥珀(こはく)またはコハク(英: Amber、アンバー)は、天然樹脂の化石であり、宝石である。半化石の琥珀は、コーパル(英: Copal)という。
バルト海沿岸で多く産出するため、ヨーロッパでは古くから知られ、宝飾品として珍重されてきた。
鉱物ではないが、硬度は鉱物に匹敵する。色は、黄色を帯びたあめ色のものが多い。
組成
琥珀は純物質ではないが、主成分は高分子のイソプレノイドである。これは、樹液に含まれるテルペンが天然樹脂やその化石となる過程の高温・高圧の下で、酸化、蒸発、重合などの化学変化を起こし、その結果として生じた重合体である[1]。
200℃以上に加熱すると、油状の琥珀油に分解され、過熱を続けると黒色の残留物である「琥珀ヤニ、琥珀ピッチ」という液体になる[2]。
名称
「琥」の文字は、中国において虎が死後に石になったものだと信じられていたことに由来する[3]。 久慈の方言では、くんのこ。
- 英語
英名 amber はアラビア語: عنبر ('anbar)に由来する。
- 古代ギリシア
古代ギリシアではエーレクトロン (古希: ἤλεκτρον)と呼ばれる。意味は「太陽の輝き」という意味である[4]。 英語で電気を意味するelectricityは琥珀を擦ると静電気を生じることに由来している[5]。
- 古代ローマ
古代ローマでは、 electrum、sucinum (succinum)、glaesum、glesum[6]などと呼ばれていた[7]。
- ドイツ語
ベルンシュタイン(ドイツ語:Bernstein) -ドイツ語で「燃える石」の意で、琥珀を指す。これは可燃性である石であることから名づけられた。
琥珀の利用
- 装飾
ネックレス、ペンダント、ネクタイピン、 ボタンやカフリンクス、指輪などの装身具に利用されることが多い。人類における琥珀の利用は旧石器時代にまでさかのぼり、北海道の「湯の里4遺跡」、「柏台1遺跡」出土の琥珀玉(穴があり、加工されている)はいずれも2万年前の遺物とされ、アジア最古の出土(使用)例となっている[8](ゆえに「人類が最初に使用した宝石」とも言われる)。また、バイオリンの弓の高級なものでは、フロッグと呼ばれる部品に用いられることがある。
- ニス
テレビン油またはアマニ油に溶解させた場合は、「琥珀ニス」と呼ばれる状態になり、木材に塗布される。
- 薬用
その他の利用法として、漢方医学で用いられることがあったという。 南北朝時代の医学者陶弘景は、著書『名医別録』の中で、琥珀の効能について「一に去驚定神、二に活血散淤、三に利尿通淋」(精神を安定させ、滞る血液を流し、排尿障害を改善するとの意)と著している[3]。
ポーランドのグダンスク地方では琥珀を酒に浸し、琥珀を取り出して飲んでいる。
- 考古学
琥珀は樹脂が地中で固化してできるものであるため、石の内部に昆虫(ハエ、アブ、アリ、クモなど)や植物の葉などが混入していることがある。こうしたものを一般に「虫入り琥珀」と呼ぶ[3]。 昆虫やクモ類などは通常の化石ではあり得ないような細部まで保存されていることから化石資料としてきわめて有用である。ただし、小説『ジュラシックパーク』の設定のように、数千万年前に琥珀に閉じ込められた生体片のDNAを復元することは実際には不可能である[9]。
なお、市販の「虫入り琥珀」については、コーパルなどを溶解させ現生の昆虫の死骸などを封入した、いわば「人造虫入り琥珀」である場合がある。
- 香料
特定の条件で琥珀を燃やした時に松木を燃やしたような香りがするが、近年の琥珀の香りと呼ばれるものは、人工的に再現された香が特許として取得され使用されている[10][11][12]。
それとは別に、近年のアンバーと呼ばれる香には、アンバーグリスを再現したものも指している[13][14]。このアンバーグリスは、琥珀と同様に浜に打ち上げられたマッコウクジラの結石である。
琥珀と似たような香木には、同様に樹脂の化石である薫陸というのも存在するがコハク酸を含まない。
産地
主な産地はかつてのプロイセンに相当する地域である、ポーランドのグダンスク沿岸と、ロシア連邦のカリーニングラード州で、ポーランド・グダンスク沿岸とカリーニングラード州だけで世界の琥珀の85%を産出[15]し、そのほかでも、リトアニア共和国、ラトビア共和国など大半がバルト海の南岸・東岸地域である。
- 琥珀の道
産地であるバルト海沿岸を中心に、琥珀の交易路が整備された。この交易路は琥珀の道(琥珀街道)という名称が付けられた。
- ポーランド
ポーランドは琥珀の生産において圧倒的な世界一を誇り、世界の琥珀産業の80%がグダンスク市にあり、世界の純正琥珀製品のほとんどがこのグダンスク地方で製造される[16]。 毎年、グダニスクでは国際宝飾展AMBERMARTが催される。また、琥珀博物館も建てられている。
- ※注意
- バルト海沿岸では、第二次世界大戦に使われた白リン弾から白リンが漏出し、琥珀と間違われ火傷を負わせる事故が起きている。白リンは海中では発火しないが、人体に接触すると発熱する為、注意が呼びかけられている[17]。
- アジア
歴史
もっとも古い琥珀は、上部石炭紀の地層の物とされている[18][19]。 琥珀について最初に記述したのはローマのプリニウスで、石化した樹脂であることを論じている。また、取引されている琥珀はヨーロッパ北部(バルト海周辺)の産であることも知っていた[5][20]。
- 科学史
琥珀の蒸留物である琥珀油は、12世紀に知られていた。1546年にゲオルク・アグリコラは、コハク酸を発見した。18世紀、ロシアの化学者ミハイル・ロモノーソフは、琥珀が木の樹脂が化石化したものであることを証明した。1829年にイェンス・ベルセリウスは、現代的な手法で化学分析を行い琥珀が可溶性および不溶性成分からなることを発見した。
琥珀色
| |
16進表記 | #FFBF00 |
---|---|
RGB | (255, 191, 0) |
HSV | (45°, 100%, 100%) |
表示されている色は一例です |
琥珀のような色、すなわち、透明感のある黄褐色や、黄色よりの橙色を、琥珀色、または英語にならってアンバーと呼ぶ。たとえば、ウイスキーの色あいをやや詩情を込めて述べるとき、この言葉を使うことがある。また自動車関連で、方向指示器などの色は一般に「アンバー」と呼ばれる。
また、純色のうち、黄色と橙色の間にあたる色を amber と呼ぶことがある[21]。信号機の黄色も英語では amber と表現する場合がある[22]。
なお、JIS慣用色名の中の「アンバー」や、「バーント・アンバー」「ロー・アンバー」というときの「アンバー」は、土から作る顔料の umber(アンバー (顔料))に由来する、茶系の濁った色である。混同しないように注意を要する。
脚注
- ^ Elizabeth Owen; Eve Daintith (2009) (英語). The Facts on File Dictionary of Evolutionary Biology. Infobase Publishing. p. 8. ISBN 9781438109435
- ^ Rudler 1911, p. 792
- ^ a b c d 仝選甫「薬食兼用の天産物 No.34 琥珀(コハク)」『漢方医薬新聞』2010年11月25日、8面。
- ^ Homeric (Iliad 6.513, 19.398). King, Rev. C.W. (1867). The Natural History of Gems or Decorative Stones. Cambridge (UK). p. 315
- ^ a b P.A.セルデン・J.R.ナッズ著、鎮西清高訳『世界の化石遺産 -化石生態系の進化-』 朝倉書店 2009年 132ページ
- ^ タキトゥス (ラテン語), De origine et situ Germanorum (Germania), ウィキソースより閲覧, "ac soli omnium sucinum, quod ipsi glesum vocant,"
- ^ Chisholm, Hugh, ed. (1911). . Encyclopædia Britannica (英語) (11th ed.). Cambridge University Press.}
- ^ 『日本の時代史1 白石太一郎編 倭国誕生』 吉川弘文館 2002年 ISBN 4-642-00801-2 p.118 - p.120
- ^ 生物遺体のDNA情報は521年に半分の割合で失われるという研究がある。これに基づけば、数千万年前の恐竜時代のDNA情報はほぼゼロとなる。(Matt Kaplan "DNA has a 521-year half-life : Nature News & Comment",2012年10月10日)
- ^ Sorcery of Scent: Amber: A perfume myth. Sorceryofscent.blogspot.com (30 July 2008). Retrieved on 23 April 2011.
- ^ アメリカ合衆国特許第 3,703,479号
- ^ アメリカ合衆国特許第 3,681,464号
- ^ Aber, Susie Ward. “Welcome to the World of Amber”. Emporia State University. 28 April 2007時点のオリジナルよりアーカイブ。11 May 2007閲覧。
- ^ “Origin of word Electron”. Patent-invent.com. 30 July 2010閲覧。
- ^ http://www.polamjournal.com/Library/APHistory/Amber_in_Poland/amber_in_poland.html
- ^ http://books.google.co.jp/books?id=g6NVVpqhixIC&pg=PA137&lpg=PA137&dq=amber+poland+per+cent&source=bl&ots=nzSlMk-CEB&sig=9wrGCk6cBWnH5uLDxB_274GoYvw&hl=ja&ei=7W0WTcOzDI3Qca206eEK&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=5&ved=0CEcQ6AEwBA#v=onepage&q&f=false
- ^ "Phosphorklumpen: Vermeintlicher Bernstein verbrennt Strandbesucher". Spiegel Online. 15 January 2014. 2014年1月15日閲覧。
- ^ Grimaldi, D. (2009). “Pushing Back Amber Production”. Science 326 (5949): 51–2. Bibcode: 2009Sci...326...51G. doi:10.1126/science.1179328. PMID 19797645.
- ^ Bray, P. S.; Anderson, K. B. (2009). “Identification of Carboniferous (320 Million Years Old) Class Ic Amber”. Science 326 (5949): 132–134. Bibcode: 2009Sci...326..132B. doi:10.1126/science.1177539. PMID 19797659.
- ^ ガイウス・プリニウス・セクンドゥス, “Liber XXXVII” (ラテン語), Naturalis Historia, ウィキソースより閲覧, "Certum est gigni in insulis septentrionalis oceani et ab Germanis appellari glaesum, itaque et ab nostris ob id unam insularum Glaesariam appellatam, Germanico Caesare res ibi gerente classibus, Austeraviam a barbaris dictam. nascitur autem defluente medulla pinei generis arboribus, ut cummis in cerasis, resina in pinis erumpit umoris abundantia."
- ^ 英語版 en:Amber (color) を参照。
- ^ “Definition of amber in Oxford Dictionaries (British & World English)”. Oxford Dictionaries. オックスフォード大学出版局. 2013年3月27日閲覧。“Definition of amber in Oxford Dictionaries (US English)”. Oxford Dictionaries. オックスフォード大学出版局. 2013年3月27日閲覧。yellow, orange の語も用いられる。
関連項目
- 岩石 - 堆積岩
- 宝石、宝石の一覧
- 琥珀の間
- ユラテとカスティティス - リトアニアで有名な「バルト海で琥珀が打ち上げられる現象」に話を付けた民話。
- ヘーリアデス -ギリシア神話に登場する太陽神ヘーリオスの娘たち。涙が琥珀になったという伝説を持つ。
外部リンク
- 久慈琥珀博物館
- mindat.org - Amber: Amber mineral information and data