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== 名前の由来 ==
== 名前の由来 ==
「唐松」は、「唐松風の絵」に名前を由来している。短枝上に集まった葉っぱが、唐松風の絵を彷彿とさせることがその根拠である<ref name="岡本"/>。
「唐松」は、「唐松風の絵」に名前を由来している。短枝上に集まった葉っぱが、唐松風の絵を彷彿とさせることがその根拠である<ref name="岡本"/>。
なお、長野県北佐久郡御代田町長倉諏訪神社にカラマツの御神木(巨木)がある。豊臣秀吉が朝鮮出兵した時、小諸城主仙石秀久も参加し、朝鮮から苗木を持ち帰り、小諸に植樹したという。その作業に従事した御代田の住民が「珍しい木だ」というので、自分の弁当箱に隠して持ち帰り、地元の神社に植えたのが、この御神木だという。カラの国の松で「カラマツ」となったという。また小諸にカラの国の松を植樹した土地は、唐松(からまつ)地籍となっている。また、佐久の下県区にも唐松地籍や唐松坂があるが、佐久に最初にカラマツを植えたという伝承がある<ref>『北佐久口碑伝説集佐久編限定復刻版』発行者長野県佐久市教育委員会全434中289P 昭和53年11月15日発行</ref>。

== 病害 ==
== 病害 ==
[[イギリス]]の[[デヴォン]]や[[コーンウォール]]などで、[[エキビョウキン]]の一種である[[カシ突然枯死病菌]] {{Snamei||Phytophthora ramorum}} によるカラマツの枯死が初めて発見された。この病原菌は[[ブナ科]]樹木などに感染し、アメリカでは1995年以降に、この病原菌によるカシ類の突然死が発生して大きな問題となっている<ref>村田政穂、山田利博、松田陽介、伊藤進一郎 (2011) 「{{Snamei||Raffaelea quercivora}}を接種したブナ科樹木4種の菌糸分布と防御反応の比較」東京大学農学部演習林報告. '''125''' 11-21</ref>。
[[イギリス]]の[[デヴォン]]や[[コーンウォール]]などで、[[エキビョウキン]]の一種である[[カシ突然枯死病菌]] {{Snamei||Phytophthora ramorum}} によるカラマツの枯死が初めて発見された。この病原菌は[[ブナ科]]樹木などに感染し、アメリカでは1995年以降に、この病原菌によるカシ類の突然死が発生して大きな問題となっている<ref>村田政穂、山田利博、松田陽介、伊藤進一郎 (2011) 「{{Snamei||Raffaelea quercivora}}を接種したブナ科樹木4種の菌糸分布と防御反応の比較」東京大学農学部演習林報告. '''125''' 11-21</ref>。

2015年11月28日 (土) 07:24時点における版

カラマツ
カラマツ (赤石山脈北沢峠
保全状況評価[1]
LOWER RISK - Least Concern
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Pinophyta
: マツ綱 Pinopsida
: マツ目 Pinales
: マツ科 Pinaceae
: カラマツ属 Larix
: カラマツ L. kaempferi
学名
Larix kaempferi (Lamb.) Carrière[1][2]
シノニム

Larix leptolepis (Sieb. et Zucc.) Gordon[3]

和名
カラマツ、フジマツ、ラクヨウショウ[2][4]
英名
Japanese Larch
品種
  • f. pendula (Sugim.) Yonek. シダレカラマツ[5]
  • f. rubescens (Inokuma) T.Shimizu アカミカラマツ[6]

カラマツ(落葉松、唐松、学名Larix kaempferi)は、マツ科カラマツ属落葉針葉樹日本固有種[1]で、東北地方南部・関東地方中部地方亜高山帯から高山帯に分布し[7]天然林は少なく日当たりのよい乾燥した場所が生育に適する[8]

学名の種小名エンゲルベルト・ケンペルへの献名である。

特徴

樹高20-40 mになる落葉針葉樹。日本の針葉樹の中で、カラマツはただ一つの落葉性の高木である[9]。幹の太さは1 mに達する。枝は長枝と短枝という二形性を示し[4]、長枝は10-50 cmになる一方、短枝はひとつの芽のみからなり、1-2 mmの長さしか無い。葉は針形で、白い粉に覆われた薄い緑色であり、長さは2-5 cm。秋には葉は黄色く色づき、褐色の冬芽を残して落葉する[7]。成木の樹皮は灰黒色から暗い赤褐色となり、表面は短冊状に剥がれる[10]

松かさは長さ2.0-3.5 cmで、中に30-50個の種子を生産する。松かさははじめ緑色であるが、受粉後4-6ヶ月が経過して十分に熟すと茶色に変化し、種子を散布する。通常、古くなった松かさは樹にそのままついており、鈍い灰黒色に変色している[7]。下向きの雄花と紅紫色の雌花が同じ株の樹木で、花期は5月[8]基準標本は日本のもの[8]

利用

カラマツは、森林を造林する際に用いる樹木として重要な種であるとされていた。

北海道では、明治30年代(1897年~)から本格的なカラマツの造林が始まった。折しも当時の北海道は、大規模な山火事が各所で頻発。明治39年1906年)から大正4年1915年)の10年間だけでも約48万haが焼失[11]しており、育苗が簡単で成長が速いカラマツの特徴が認められ、被災跡地や無立木地に一斉造林が盛んに行われた。大正12年1923年)の例では、全道で約1万haの植栽が行われたが、そのほとんどはカラマツであった。こうしたカラマツの造林は、第二次世界大戦後の中断を挟んで昭和30年代後半まで、年間2~4万haの規模で行われている[12]

また、長野県でも根づきやすく成長が速いことから戦後大規模な植林が行われ、造林面積の約50%がカラマツ林となった[13]。このように各地で造林に用いられたため、場所によってはその地域のカラマツが自生していたものであるのかが不明である場合もある[4]。材は硬く丈夫であるが、螺旋状に繊維が育つため乾燥後に割れや狂いが出やすく、板材としては使いにくい材料である[13]が、現在は構造用合板やLVLに加工され、木造建築で幅広く用いられている。電柱、枕木、橋梁などの土木素材として使われる他[9]、建築財、船舶材、バルブ原木の材料としても用いられている[9]

その他、盆栽の材料としても広く利用される[14]尾瀬では遊歩道の木道に用いられている[13]

名前の由来

「唐松」は、「唐松風の絵」に名前を由来している。短枝上に集まった葉っぱが、唐松風の絵を彷彿とさせることがその根拠である[9]。 なお、長野県北佐久郡御代田町長倉諏訪神社にカラマツの御神木(巨木)がある。豊臣秀吉が朝鮮出兵した時、小諸城主仙石秀久も参加し、朝鮮から苗木を持ち帰り、小諸に植樹したという。その作業に従事した御代田の住民が「珍しい木だ」というので、自分の弁当箱に隠して持ち帰り、地元の神社に植えたのが、この御神木だという。カラの国の松で「カラマツ」となったという。また小諸にカラの国の松を植樹した土地は、唐松(からまつ)地籍となっている。また、佐久の下県区にも唐松地籍や唐松坂があるが、佐久に最初にカラマツを植えたという伝承がある[15]

病害

イギリスデヴォンコーンウォールなどで、エキビョウキンの一種であるカシ突然枯死病菌 Phytophthora ramorum によるカラマツの枯死が初めて発見された。この病原菌はブナ科樹木などに感染し、アメリカでは1995年以降に、この病原菌によるカシ類の突然死が発生して大きな問題となっている[16]

保全状況評価

LOWER RISK - Least Concern (IUCN Red List Ver. 2.3 (1994))[1]

IUCNレッドリストでは、1998年版で軽度懸念に評価されたが、更新が必要とされている[1]

日本の環境省レッドリストには掲載されていない[17]宮城県の要注目種、新潟県地域個体群 (LP) に掲載されている[18]

画像

脚注

  1. ^ a b c d e Conifer Specialist Group 1998. Larix kaempferi. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.” (英語). IUCN. 2011年9月8日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - カラマツ(2011年9月5日閲覧)
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - カラマツ synonym (2011年9月5日閲覧)
  4. ^ a b c 佐竹義輔原寛亘理俊次冨成忠夫『フィールド版 日本の野生植物 木本』(1993年、平凡社)p.3-4
  5. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - シダレカラマツ(2011年9月5日閲覧)
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList) - アカミカラマツ(2011年9月5日閲覧)
  7. ^ a b c Farjon, A. (1990). Pinaceae. Drawings and Descriptions of the Genera. Koeltz Scientific Books ISBN 3-87429-298-3.
  8. ^ a b c 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月、644頁。ISBN 4-635-09019-1 
  9. ^ a b c d 岡本省吾「樹木」(保育社・エコロン自然シリーズ) ISBN 4-586-32112-1 ・6頁
  10. ^ 梅本浩史『樹皮ハンディ図鑑』(永岡書店, 2010年)p.257
  11. ^ 北海道山林史-p553(北海道山林史編集者会議)
  12. ^ 北海道山林史戦後編-カラマツ問題p592(北海道山林史編集者会議)
  13. ^ a b c カラマツ”. 森林林業学習館. 2011年9月8日閲覧。
  14. ^ D'Cruz, Mark. “Ma-Ke Bonsai Care Guide for Larix kaempferi”. Ma-Ke Bonsai. 2011年4月18日閲覧。
  15. ^ 『北佐久口碑伝説集佐久編限定復刻版』発行者長野県佐久市教育委員会全434中289P 昭和53年11月15日発行
  16. ^ 村田政穂、山田利博、松田陽介、伊藤進一郎 (2011) 「Raffaelea quercivoraを接種したブナ科樹木4種の菌糸分布と防御反応の比較」東京大学農学部演習林報告. 125 11-21
  17. ^ 哺乳類、汽水・淡水魚類、昆虫類、貝類、植物I及び植物IIのレッドリストの見直しについて”. 環境省 (2007年8月3日). 2011年9月20日閲覧。
  18. ^ 日本のレッドデータ検索システム(カラマツ)”. エンビジョン環境保全事務局. 2011年9月8日閲覧。

外部リンク