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「既読スルー」の版間の差分

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{{Otheruses|LINEのメッセージ機能に関する俗語|HKT48の曲|桜、みんなで食べた|}}
'''既読スルー'''(きどくスルー)とは、[[LINE (アプリケーション)|LINE]]や[[Facebook]]などの[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]] (SNS) で、メッセージ機能で送った文章を送った相手が読んでいることが確認できたにも関わらず、相手からの返信がこない状態を指す。'''既読無視'''(きどくむし)、'''KS'''とも呼ばれる<ref name=a>[http://www.sophia-it.com/content/%E6%97%A2%E8%AA%AD%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%BC 既読スルーとは 「既読無視, KS」 きどくスルー: - IT用語辞典バイナリ]</ref>。
{{複数の問題
| 出典の明記 = 2021年3月
| 更新 = 2021年3月
}}
'''既読スルー'''(きどくスルー)とは、[[インスタントメッセンジャー]]の[[LINE (アプリケーション)|LINE]]において、「メッセージ機能(トーク機能)によって送信した内容を、相手が読んでいるにもかかわらず[[返信]]が来ないこと」あるいは「受信した内容を読んだにもかかわらず返信をしないこと」を意味する[[俗語]]である<ref name="読売20131015">{{cite news|newspaper=[[読売新聞]]|date=2013-10-05|title=LINE依存 憎悪加速 言葉の行き違い暴力に 広島・4少年逮捕|language=[[日本語]]}} - 読売プレミアムにて2014年6月30日閲覧。</ref><ref name="朝日20140422">{{cite news|newspaper=[[朝日新聞]](福井全県、1地方)|date=2014-04-22|title=ネットの危険性、生徒が情報教室 坂井中の放送部/福井県|page=28|language=[[日本語]]|author=坂本純也}} - 聞蔵IIビジュアルにて2014年4月26日閲覧。</ref><ref name="産経20140302">{{cite news|newspaper=[[産経新聞]]|date=2014-03-02|author=北村博子|title=「かわいくない?」の「?」忘れて送信で人間関係悪化…「LINE」の便利さと怖さ、高校生の依存度高く(関西の議論)|url=http://www.sankei.com/west/news/140302/wst1403020062-n1.html|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref><ref name="コトバンク">{{Cite web|和書|date=2013-11-20|url=https://kotobank.jp/word/%E6%97%A2%E8%AA%AD%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%BC-191551|title=既読スルー|work=[[コトバンク]]『[[知恵蔵]]mini』|publisher=[[朝日新聞出版]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref><ref name="日経トレンディ">{{Cite web|和書|date=2013-11-28|author=花岡貴子|url=http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20131126/1053757/|title=“既読スルー”ってご存じ?LINEの“既読”機能が生む悩みと回避ワザ(JCダートの本命は6番)|work=[[日経トレンディ|日経トレンディネット]]|publisher=[[日経BP]]|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20141020124704/http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20131126/1053757/|archivedate=2014-10-20|accessdate=2019-07-05|url-status=dead|url-status-date=2019-07-05}}</ref><ref name="ITPro">{{Cite web|和書|date=2014-07-02|author=高橋暁子|url=https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20140624/566482/|title=拉致監禁事件の動機にも、LINEの「既読スルー」が生むストレス(「ソーシャル新人類」の不夜城〜10代は何を考えているのか)|work=ITpro(日経コンピュータ)|publisher=[[日経BP]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-03}}</ref><ref name="現代用語">{{Cite book|year=2013|title=[[現代用語の基礎知識|現代用語の基礎知識2014年版]]|publisher=[[自由国民社]]|pages=592, 1178|isbn=978-4426101329}}</ref>。

'''既読無視'''(きどくむし)<ref name="産経20140302"/><ref name="ITPro"/><ref name="朝日20140306">{{cite news|newspaper=[[朝日新聞]](朝刊、生活1)|date=2014-03-06|title=中高生が語るLINE生活 返信しなきゃと脅迫観念・大半「寝る時も近くに」|page=32|language=[[日本語]]|author=山根由起子}} - 聞蔵IIビジュアルにて2014年4月26日閲覧。</ref><ref name="毎日20130521">{{cite news|newspaper=[[毎日新聞]]|date=2013-05-21|title=発信箱:LINEのオキテ(夕刊編集部)|url=http://mainichi.jp/opinion/news/20130521k0000m070115000c.html|language=[[日本語]]|author=小国綾子|archiveurl=https://archive.is/20140427150022/http://mainichi.jp/opinion/news/20130521k0000m070115000c.html|archivedate=2014-04-27|deadlinkdate=2014-06-30|accessdate=2014-06-30}}</ref><ref name="東京20130913">{{cite news|newspaper=[[東京新聞]]|author=砂本紅年|date=2013-09-13|title=「ラインいじめ」使い方 ルール決めさせて(子どもとネット)|url=http://www.tokyo-np.co.jp/feature/kodomotonet/list/20130913.html|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20141023200333/http://www.tokyo-np.co.jp/feature/kodomotonet/list/20130913.html|archivedate=2014-10-23|accessdate=2015-01-12|deadlinkdate=2015-01-12}}</ref>、'''既読ブッチ'''(きどくブッチ)<ref name="読売20131015"/><ref>{{Cite web|和書|date=2014-06-17|url=http://www.news-postseven.com/archives/20140617_260910.html|title=スマホ裏単語 知らなくても時代遅れではないと専門家が指摘|work=[[NEWSポストセブン]]|publisher=[[小学館]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-06-30}}</ref>、「既読スルー」の[[ローマ字]]表記である“Kidoku Surū”の頭文字を取って“'''KS'''”(ケーエス)<ref name="コトバンク"/><ref name="現代用語"/><ref name="産経20140310">{{cite news|newspaper=[[産経新聞]]|date=2014-03-10|title=既読スルーはマナー違反?(ネットの歩き方)|url=http://www.sankei.com/economy/news/140310/ecn1403100053-n1.html|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref><ref name="ヤフー">{{Cite web|和書|author=五百田達成|authorlink=五百田達成|date=2013-11-17|url=http://bylines.news.yahoo.co.jp/iotatatsunari/20131117-00029850/|title=LINE世代は「返信」をしない!?「KS(既読スルー)」でコミュニケーションが変わる|work=[[Yahoo!ニュース]]|publisher=[[ヤフー (企業)|ヤフー]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref><ref name="WEBR2520130705">{{Cite web|和書|date=2013-07-05|url=http://r25.jp/topic/00030937/|title=新ギャル語「KS」にツッコミ多数|work=[[R25 (雑誌)|web R25]]|publisher=[[リクルートホールディングス|リクルート]]/メディア・シェイカーズ|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160920021058/http://r25.jp/topic/00030937/ |archivedate=2016-09-20 |accessdate=2017-05-05 |url-status=dead|url-status-date=2017-05-05}}</ref>{{Refnest|group="†"|「スルー」を正しく[[英語]]表記すると“[[wikt:through|Through]]”となるが、一般的に“'''KT'''”とは略さないとされており、一部ニュースサイトでは“KT”ではなく“KS”と略すことに対して批判的ニュアンスで報じられているものがある<ref name="ヤフー"/><ref name="WEBR2520130705"/>。}}などとも呼ばれる。


== 概要 ==
== 概要 ==
{{ external media
LINEやFacebookなどでは、メッセージ機能によって送った文章が送った相手に読まれると、送った側の画面に「既読」という文字が表示される。これを「既読機能」と呼ぶ<ref name=a />。これには以下のような問題点がある。
| align = right
| width = 300px
| image1 = [https://xtech.nikkei.com/it/article/COLUMN/20140624/566482/001.jpg スマートフォン上のLINEにおける「既読」表示の例]<br />送信したメッセージを相手が閲覧する(端末上にメッセージが表示される)と、投稿時刻の上に「既読」の文字が表示される([[日経BP]]による再現<ref name="ITPro"/>)。
}}
=== 語義 ===
LINEでは、メッセージ機能(トーク機能)によって送信された内容が送った相手に読まれる(相手の端末にメッセージが表示される)と、送信側の画面に「'''既読'''(きどく)」という文字が自動的に表示される機能が実装されている<ref name="産経20140302"/><ref name="コトバンク"/><ref name="ITPro"/><ref name="毎日20130521"/><ref name="読売20130628">{{cite news|author=三上洋|authorlink=三上洋|newspaper=[[読売新聞]]|date=2013-06-28|title=LINE「既読問題」と大学生のLINE疲れ(サイバー護身術)|url=http://www.yomiuri.co.jp/it/security/goshinjyutsu/20130628-OYT8T00970.html|language=[[日本語]]|archiveurl=https://archive.is/20140516135203/http://www.yomiuri.co.jp/it/security/goshinjyutsu/20130628-OYT8T00970.html|archivedate=2014-05-16|accessdate=2016-08-13|deadlinkdate=2016-08-13}}</ref>。このことから、既読表示が出ている、すなわち相手が既にメッセージを読んでいるにもかかわらず(すぐに)返事が来ない状態を「既読スルー」「既読無視」などと呼称する文化がLINE利用者の間に存在している。多くはメッセージを送信した立場から見た「'''相手からの返信が来ない状態'''」を指す言葉として定義されることが多いが<ref name="産経20140302"/><ref name="コトバンク"/><ref name="日経トレンディ"/><ref name="ITPro"/><ref name="朝日20140306"/>、受信した立場から見た「'''相手への返信をしないこと'''」を意味する言葉として報じられる場合もある<ref name="朝日20140422"/><ref name="毎日20130521"/><ref name="東京20130913"/>{{Refnest|group="†"|[[自由国民社]]が発行する『[[現代用語の基礎知識]]』(2014年版)でも「既読スルー」の語釈は一定しておらず、1178ページでは「読んだメッセージに返信'''しないこと'''」と定義されているのに対して、[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]関連用語を特集した592ページでは「既読になっているにもかかわらず返信が'''ない状態'''」として定義されている<ref name="現代用語"/>。[[小学館]]の『[[日本大百科全書]]』(ニッポニカ)でも、LINE用語集の「既読スルー」について「返信が'''こない'''こと、またあえて返信を'''しない'''状態をさす」と両論併記されている<ref name="LINE用語集">{{Cite web|和書|date=2015-01|url=https://kotobank.jp/word/LINE%E7%94%A8%E8%AA%9E%E9%9B%86-1726413|title=LINE用語集|work=[[コトバンク]]『[[日本大百科全書]](ニッポニカ)』|publisher=[[朝日新聞社]]/[[小学館]]|language=[[日本語]]|accessdate=2017-05-05}}</ref>。}}。


とりわけ「返事が期待できそう」なメッセージに既読が付いたにもかかわらず返信がない状況では「既読スルー」と表現し、「明らかに返事を求めている」メッセージに返信がない状況では語気を強めて「既読無視」と表現する、など送信側の状況によって区別する見解も存在するほか<ref name="日経トレンディ"/>、「返信が無くても既読表示になれば相手に伝わったことは分かる(“了解”と同じ意味)」という見解も存在するなど<ref name="ITPro"/>、「既読」の捉え方は様々である。
既読スルーをする立場からの見解として、無意識的に既読スルーしてしまっている人も多いが、中には連続的に送られるメッセージの返信がめんどくさくてするなどと意識してする人もいるとされる。一方、既読スルーをされる側はネガテイブな感情に陥る場合がある。<ref name=b>[http://blogramtsushin.blogram.jp/2013/07/09.html 既読スルーする側、される側の思いとは?|blogram通信] 2013年7月9日</ref>


「既読」の表示を「実際にメッセージを読んだか否か」の判断ではなく、対人関係における「思いやり」の確認として利用される傾向もあり<ref name="産経20140302"/>、「返事に迷う内容や嫌なメッセージを受け取った際に敢えて“既読”の表示を付けて返事をしない」{{Refnest|group="†"|LINEではメッセージの受信時にポップアップで内容の冒頭が表示されるため、「既読」表示を付けずに一部を読むことが可能であるほか<ref name="読売20130628"/>、後述の通り「既読」表示を付けずにメッセージを閲覧するアプリケーションも存在している<ref name="日経トレンディ"/><ref name="ITPro"/><ref name="産経20140310"/>。}}などといった風に「既読機能」そのものをコミュニケーションの一部として利用される場合もある<ref name="読売20130628"/>。そのため、LINE利用者の間では「'''既読を付ける'''」「'''既読を付けない'''」といった表現がなされる傾向にある<ref name="読売20130628"/>。
結局、する側とされる側の歯車はかみ合わず、トラブルのもとになる場合もある。一方、この機能の長所として「相手が読んだことが確実に分かる」などという意見もある<ref name=b />。

なお、メッセージを読まずに(「既読」表示を付けずに)放置することは「'''未読放置'''」<ref name="ITPro"/><ref name="コトバンク未読">{{Cite web|和書|date=2015-02-24|url=https://kotobank.jp/word/%E6%9C%AA%E8%AA%AD%E6%94%BE%E7%BD%AE|title=未読放置|work=[[コトバンク]]『[[知恵蔵]]mini』|publisher=[[朝日新聞出版]]|language=[[日本語]]|accessdate=2015-05-19}}</ref>「'''未読無視'''」<ref name="コトバンク未読"/><ref name="読売中高生">{{cite news|newspaper=[[読売中高生新聞]]|date=2014-11-27|title=LINEの既読無視と未読無視、どっちがイヤ?(10代総研 TEENの結論)|url=http://www.yomiuri.co.jp/teen/labo/ketsuron/20141126-OYT8T50134.html|language=[[日本語]]|archiveurl=https://archive.is/20150520061712/http://www.yomiuri.co.jp/teen/labo/ketsuron/20141126-OYT8T50134.html|archivedate=2015-05-20|accessdate=2016-02-20|deadlinkdate=2016-02-20}}</ref>「'''未読スルー'''」<ref name="コトバンク未読"/><ref>{{cite news|newspaper=[[山陽新聞]](朝刊、社会、15版)|date=2015-01-18|title=子どもが危ない 深刻化するネットの闇II 第1部 ルールの波紋(2) 9時からが本番 次々舞い込む着信 リミットなんて無視|language=[[日本語]]|page=38}} - G-Searchにて2015年5月19日閲覧。</ref>「'''MH'''」<ref name="コトバンク未読"/>と呼称するとも報じられている。また、LINEではなく通常の[[郵便物]]([[手紙]])において「読んだのに返事を出さないこと」に対して「既読スルー」の用語が使われるケースもある<ref>{{Cite web|和書|author=榎並紀行/やじろべえ|date=2014-12-06|url=http://r25.jp/business/00039416/|title=年賀状「既読スルー」の印象悪化度|work=[[R25 (雑誌)|web R25]]|publisher=[[リクルートホールディングス|リクルート]]/メディア・シェイカーズ|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160920023002/http://r25.jp/business/00039416/ |archivedate=2016-09-20 |accessdate=2017-05-05 |url-status=dead|url-status-date=2017-05-05 }}</ref><ref>{{cite news|author=鶴谷真|newspaper=[[毎日新聞]](大阪朝刊)|date=2014-07-09|title=川端康成:22歳の未投函恋文 返事がないので、心配で心配で 川端も「既読スルー」に悩んだ|url=http://mainichi.jp/feature/news/20140709ddn012040052000c.html|language=[[日本語]]|archiveurl=https://archive.is/20140729194329/http://mainichi.jp/feature/news/20140709ddn012040052000c.html|archivedate=2014-07-29|accessdate=2015-01-12|deadlinkdate=2015-01-12}}</ref>。

=== 「既読機能」 ===
この「既読機能」は、元々[[東日本大震災]]の発生をきっかけとしてLINEが開発された際に<ref name="中央日報">{{cite news|newspaper=[[中央日報]](日本語版)|date=2012-03-16|title=「日本大地震で家族を探す被災者を見て開発」…急成長する"ネイバーライン"=韓国|url=https://japanese.joins.com/JArticle/149227|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref><ref name="日経デジタル">{{Cite web|和書|date=2014-03-11|author=小林直樹|url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmgp/20140310/260877/|title=あれから3年、"震災生まれ"のLINEが命を救い、スマホが募金プラットフォームに(国内企業インサイド)|work=日経デジタルマーケティング|publisher=[[日経BP]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref>、災害時など返信がすぐにできない状況においても安否確認ができるようにすることを目的として実装されたものであった<ref name="産経20140302"/><ref name="東京20130913"/><ref name="日経デジタル"/>。[[LINE (企業)|LINE]]の[[広報]]に対するインタビューでは、「LINEは匿名の第三者ではなく家族・友人とのコミュニケーションツールとして生まれたサービスであり、実際の会話に近いコミュニケーションを取るため、確実に言葉が相手に届いていることを示す既読機能を付けた」との回答がなされている<ref name="ダヴィンチ">{{Cite web|和書|date=2013-12-04|author=矢口あやは|url=https://ddnavi.com/news/173830/|title=「今後もなくす予定なし」LINEの既読通知機能を続ける理由を、LINEさんに聞いてみた!|work=[[ダ・ヴィンチ (雑誌)|ダ・ヴィンチニュース]]|publisher=[[KADOKAWA]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-03}}</ref>。[[マイナビニュース]]が実施した[[アンケート]]によれば、LINEにおいて廃止して欲しい機能で最も多かった回答が「既読機能」であったとしているが<ref>{{Cite web|和書|date=2014-03-23|author=浅沼敦|url=https://news.mynavi.jp/article/20140323-keitai_enquete/|title=LINEユーザー500人に聞く、失くして欲しい機能は?―マイナビニュース調査|work=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-03}}</ref>、LINEでは今後既読機能を廃止する予定は無いとしている<ref name="ダヴィンチ"/>。また、既読を付けずにLINEのメッセージを閲覧する方法として、専用のアプリケーション([[Android (オペレーティングシステム)|Android]]では「ちらみ」<ref name="日経トレンディ"/><ref name="産経20140310"/>、[[iOS]]では「Unread」<ref name="産経20140310"/>)を使用する、端末を「[[機内モード]]」にして閲覧する<ref name="日経トレンディ"/>、などの方法が報じられている。

「既読」表示は[[フィーチャーフォン]]でLINEを利用している場合は表示されないため、いわゆる「[[ガラパゴス化|ガラパゴスケータイ]]」と称されるような通常の[[日本における携帯電話|携帯電話]]を使用している場合は相手がメッセージを読んだか否かを判断することはできない<ref>{{Cite web|和書|date=2013-07-09|author=林恭子|url=https://diamond.jp/articles/-/38531|title=スマホユーザーが一生知る由もない「ガラケー版LINE」の正体(デジライフNAVI)|work=[[週刊ダイヤモンド|ダイヤモンド・オンライン]]|publisher=[[ダイヤモンド社]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref>。

また、「既読機能」などのシステムをビジネス向けに応用するサービス(LINEビジネスコネクト)が発表されており、企業と消費者の間で「既読機能」を活用する構想があるほか<ref name="日経20140312">{{cite news|newspaper=[[日経産業新聞]]|date=2014-03-12|title=対話アプリの実力(下)日本、再び先頭走る―LINE、ビジネスの基盤に|page=1|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年4月26日閲覧。</ref>、[[視覚障害者|視覚]]・[[聴覚障害者]]の連絡手段において従来の[[ファクシミリ]]や[[電子メール]]の場合は相手に「読んだ旨」を返信する必要があったが、LINEの「既読機能」の登場によってその手間が無くなったとの好意的な指摘もある<ref>{{Cite web|和書|date=2014-07-31|url=https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/interview/659862.html|title=「モバイルプロジェクト・アワード2014」受賞者に聞く 青森で始まった視覚・聴覚障害者にiPadを教える人財育成事業|work=ケータイWatch|publisher=[[インプレス]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-08-07}}</ref>。

=== 発祥 ===
「既読スルー」「既読無視」という言葉の明確な発祥時期は未詳であるが、概ね[[2012年]]から[[2013年]]にかけて「既読無視」の方が先行して発祥したものと見られる{{Refnest|group="†"|2012年8月1日に配信された[[エキサイトニュース]]の記事において、「LINEで“ウザい”と思う瞬間」の一つとして「'''無視できないのがウザい'''」が挙げられているが[https://web.archive.org/web/20160305010732/http://www.excite.co.jp/News/woman_clm/20120801/Gowmagazine_00002009.html]、当該記事には「既読スルー」「既読無視」いずれの言葉も登場していない。2013年2月19日に配信された[[ライブドアニュース]]の記事において、「LINEでやってはいけないことの王道」として「'''既読無視'''」が挙げられており[https://news.livedoor.com/article/detail/7426947/]、この2つの記事の間に発祥した可能性が高いと見られる。また、[[朝日新聞]]では2013年5月23日夕刊の記事で「既読機能が苦痛」であるとするLINE利用者の意見を掲載しているが<ref name="朝日20130523">{{cite news|newspaper=[[朝日新聞]](夕刊、女子組)|date=2013-05-23|title=返信はいつするか? 今でしょ! 後でしょ! 女子組(みんなどうしてる?)|page=10|language=[[日本語]]|author=尾崎千裕}} - 聞蔵IIビジュアルにて2014年10月14日閲覧。</ref>、当該記事にも「既読スルー」「既読無視」といった言葉は用いられておらず、「既読無視」が記事上で用いられるようになったのは2014年に入ってからである<ref name="朝日20140306"/>。}}。

前述した「既読スルー」の略語である“KS”は、かつて[[インフォレスト]]が発行していた[[ファッション雑誌]]「[[小悪魔ageha]]」2013年8月号の誌上において「age嬢が考案した“新・[[ギャル語]]”」として紹介された例があり<ref name="WEBR2520130705"/><ref>{{Cite web|和書|date=2013-07-02|url=https://mdpr.jp/gal/detail/1256732|title=「ヤグる」「KS」 ブレイク寸前“新ギャル語”トップ3を発表|work=[[モデルプレス]]|publisher=ネットネイティブ|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-09}}</ref>、いわゆる「[[ギャル]]」と称されるような女性層から発祥した可能性もある。このことから、LINE利用者の中でも特に若い世代で使用される言葉とされている<ref name="コトバンク"/><ref name="日経トレンディ"/>。

=== 「既読スルー」の基準 ===
[[山形大学]][[准教授]]の[[加納寛子]]によれば、[[在籍者 (学習者)|中高生]]の間では「既読」表示になってから概ね15分ないし30分以内に返信をしなければ「既読スルー」に該当するとしているほか<ref name="ベネッセ">{{Cite web|和書|date=2013-12-04|author=加納寛子|authorlink=加納寛子|url=http://benesse.jp/kyouiku/201312/20131204-2.html|title=「ネットいじめ」を防ぐために保護者ができること(第1回)|work=Benesse教育情報サイト|publisher=[[ベネッセコーポレーション]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-10}}</ref>、1 - 2秒以内に反応(いわゆる「即レス」)しなければならないとする[[不文律]]が存在するとの報道もある<ref name="読売20131202">{{cite news|newspaper=[[読売新聞]]|date=2013-12-02|author=森川明義|title=LINE返信疲れ スマホに縛られる子供たち 脱出へ 大人がルールを|language=[[日本語]]}} - 読売プレミアムにて2014年7月3日閲覧。</ref><ref name="日経20140407">{{cite news|newspaper=[[日本経済新聞]](朝刊)|date=2014-04-07|title=子供のスマホ、危うさ、「人気アプリ使いたい…」―フィルタリング使用率、初の低下、家庭内ルール求める声(フォローアップ)|page=35|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年4月26日閲覧。</ref><ref name="アエラ">{{Cite journal|和書|author=金城珠代|title=子どものLINE依存地獄 中高生1万人LINE依存いじめ実態調査|date=2013-12-09|publisher=[[朝日新聞出版]]|journal=[[AERA]]|page=28}} - 聞蔵IIビジュアルにて2014年4月26日閲覧。</ref>。また、ファストアスクが20 - 30代のLINE利用者を対象として[[2014年]]に実施した調査によれば、約半数が概ね30分から6時間以内に返事がなければ「既読スルー」と判断するとのアンケート結果がある<ref>{{Cite web|和書|author=池田園子|date=2014-10-23|url=http://www.standby-media.jp/news/119457|title=9割が経験! LINE既読スルーの本音は?|work=STANDBY([[R25 (雑誌)|R25スマホ情報局]])|publisher=ライブラ|language=[[日本語]]|accessdate=2017-05-05}}</ref>。[[MMD研究所]]が[[スマートフォン]]を所有している15 - 49歳の男女を対象として2014年に実施した調査によれば、「既読スルー」に対して「気になる」「やや気になる」と回答した割合は合計で44.3%、「気にならない」「あまり気にならない」と回答した割合は合計で49.2%であったとしている<ref>{{Cite web|和書|date=2014-05-02|url=https://news.mynavi.jp/article/20140502-a475/|title=「既読スルー」をどう思う? MMD研究所が無料通話/チャットアプリ利用を調査|work=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]|language=[[日本語]]|accessdate=2015-01-12}}</ref>。

[[#要因と対策|後述]]するように、一般的に「[[社会人]]([[大人]])と比較して中高生([[若者]])の方が『既読スルー』に対して敏感である」と報じられる傾向にある<ref name="ITPro"/><ref name="日経20140728">{{cite news|newspaper=[[日本経済新聞]](夕刊)|date=2014-07-28|title=スマホキッズ(上)アプリの呪縛親知らず、「外し」やいじめ、犯罪にも―「つながり」依存、進む低年齢化(生活)|page=11|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年10月14日閲覧。</ref>。一方で、他の民間による調査では性別・世代別における「既読スルー」への考え方は一定した結果が得られていない。ファストアスクが20 - 30代のLINE利用者を対象として2014年に実施した「既読のまま放置されてイライラするまでの時間」を調査したアンケートによると「イライラすることは無い」という回答が33.3%で最も多くを占めているほか<ref>{{Cite web|和書|author=有栖川匠|date=2014-06-13|url=http://www.standby-media.jp/news/111861|title=LINEの「既読スルー」何分まで許される?|work=STANDBY([[R25 (雑誌)|R25スマホ情報局]])|publisher=ライブラ|language=[[日本語]]|accessdate=2017-05-05}}</ref>、[[マイナビ]]が22 - 39歳の社会人男性を対象として2014年に実施した「既読スルーをどう思うか」調査したアンケートによれば、社会人男性の8割以上は「既読スルー」を気にしていない<ref>{{Cite web|和書|date=2014-07-22|author=ファナティック|url=https://woman.mynavi.jp/article/140722-39/|title=LINEの既読スルーが“気にならない”男性は82.9%!「既読にならないことのほうが気になる」|work=[[マイナビニュース|マイナビウーマン]]|publisher=[[マイナビ]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-08-07}}</ref>などといった調査結果がある。一方で、[[ふみコミュ!]]が中高生を対象として2014年に実施した「既読スルーはマナー違反だと思うか」調査したアンケートによれば、8割以上の女子中高生は「既読スルー」を気にしておらず<ref name="マイナビ20140730">{{Cite web|和書|date=2014-07-30|author=AppWoman|url=http://news.mynavi.jp/news/2014/07/30/540/|title=現役JKに学べ!「既読スルー」スルー術とは?|work=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20141021080010/http://news.mynavi.jp/news/2014/07/30/540/|archivedate=2014-10-21|accessdate=2016-08-13|url-status=dead|url-status-date=2016-08-13}}</ref><ref name="日経20140725">{{cite news|newspaper=[[日経流通新聞]]|date=2014-07-25|title=LINEの「既読スルー」、女子中高生9割「OK」、民間調査|page=6|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年10月14日閲覧。</ref>、反対に[[アットホーム|at home VOX]]が実施した同様の調査によれば40代の男性層の方が「既読スルー」に対して否定的であるとの報道もある<ref name="マイナビ20140730"/>。

== 社会問題 ==
=== 心理的負担 ===
「既読機能」は、送信側にとってメッセージが相手に伝わったことが一目で確認できる<ref name="産経20140302"/><ref name="日経トレンディ"/>、「読んでくれたのか否か」という心配が解消される<ref name="毎日20130521"/>メリットがある一方で、送信しても「既読」にならない場合に「なぜ読んでくれないのか」、「既読」になっても返事が無い場合に「無視されているのではないか」などの孤独感や不安を誘発する一因となっており、そのことからメッセージの受信側にとっても「すぐに返信をしなければいけない」というプレッシャーを生じさせているとされ、双方のコミュニケーションの負担になっていると報じられている<ref name="産経20140302"/><ref name="日経トレンディ"/><ref name="ITPro"/><ref name="毎日20130521"/><ref name="読売20130628"/><ref name="日経20140407"/>。

[[ジャストシステム]]が大学生を対象にして実施したアンケートによれば、「既読が相手に分かるため返事をしなければ悪いと感じる」との回答が約7割を占めており<ref name="ITPro"/>、これらの心理的負担から来る疲弊はしばしば「'''LINE疲れ'''」と称して報じられる<ref name="読売20131015"/><ref name="読売20130628"/><ref name="読売20131202"/><ref>{{Cite web|和書|date=2014-05-08|url=http://dot.asahi.com/dot/2014050800087.html|title=深刻化するLINE疲れ 学生の3人に1人が「やめたいグループトークがある」|work=[[AERA dot.]]|publisher=[[朝日新聞出版]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-08-07}}</ref>。このことから、前述のように「既読」の表示を付けないままメッセージを閲覧するための[[アプリケーション]]や[[裏技]]が考案・開発されている<ref name="日経トレンディ"/><ref name="ITPro"/><ref name="産経20140310"/>。

=== 「依存」と「いじめ」 ===
「既読スルー」は、特に中高生の間で「大きな問題」<ref name="ITPro"/>「[[タブー]]視」<ref name="読売20131202"/><ref name="アエラ"/>されていると報じられており、「既読スルー」をしないために睡眠時や入浴時などを問わずスマートフォンを手放せなくなるといった問題や<ref name="朝日20140306"/><ref name="ベネッセ"/><ref name="読売20131202"/>、「既読スルー」を発端とした人間関係の悪化、[[いじめ]]、事件などが多く報道されるようになった<ref name="読売20131015"/><ref name="ITPro"/><ref name="ベネッセ"/><ref name="アエラ"/><ref name="読売20131225">{{cite news|newspaper=[[読売新聞]]|date=2013-12-25|title=(8)閉鎖空間 LINEいじめ(サイバーウォーズ3)|language=[[日本語]]}} - 読売プレミアムにて2014年7月3日閲覧。</ref>。

[[総務省]][[情報通信政策研究所]]が2014年に実施した調査によれば、高校生の1日におけるスマートフォン・フィーチャーフォンの平均利用時間は161.9分と他のデバイス([[パーソナルコンピュータ|パソコン]]、[[タブレット (コンピュータ)|タブレット]])より圧倒的に長くなっているほか、ソーシャルメディア利用状況の割合もLINEが85.5%と最も高くなっている<ref name="総務省">{{Cite web|和書|date=2014-5|url=https://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2014/internet-addiction.pdf|title=高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査(速報)|format=PDF|publisher=[[総務省]]/[[情報通信政策研究所]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-26}}</ref>。スマートフォンの利用に伴って減った時間として「勉強時間」(40.7%)と「睡眠時間」(34.1%)が高い割合を示しており、日常生活への影響として「暇さえあればスマートフォンでネットをしている」(42.6%)、「自身をネット依存だと実感している」(25%)などの回答が多くなっている<ref name="総務省"/>。

「既読スルー」を発端としたいじめや事件では、相手がLINEを利用できない状況を意図的に狙ってトークを盛り上げ、その際に「既読スルー」したことをきっかけとして[[共同絶交|絶交]]する<ref name="ベネッセ"/>、グループ内でトークをやり取りしている際に特定人物に対してのみ「既読スルー」する<ref name="LINE用語集"/>、「既読スルー」した相手やその関係者に対して[[拉致]][[監禁]]、[[暴力|暴行]]を加える<ref name="読売20131015"/><ref name="ITPro"/>、「既読スルー」をきっかけに現実世界では無視され、LINE上では[[誹謗中傷]]を受ける<ref name="読売20131225"/>、などが前例として報じられている。

=== 要因と対策 ===
「既読スルー」を発端としたいじめや事件が多発する要因として、[[ジャーナリスト|ITジャーナリスト]]の[[高橋暁子]]によれば、通常の社会人であれば「既読スルー」をされても「仕事などで忙しくて返事ができない」と判断するのに対して、自身が「忙しくて返事ができない」状況になることが少ない中高生などの立場から見ると「既読になったにもかかわらず返事がない」ことを「意図的に返事をしない、返事をしたくない」という明確な「'''拒絶'''」として判断されるためだとする、送り手と受け手における意識の「ズレ」が原因であるとの指摘をしている<ref name="ITPro"/>。[[社会学者]]の[[土井隆義]]によれば、「大人は“相手が都合の良い時に返してくれればいい”と考えるが、若者は常に繋がっていることが重要」との指摘をしている<ref name="日経20140728"/>。

ジャーナリストの[[烏賀陽弘道]]によれば、LINE利用者の間で「既読スルーをどう受け取るか」という[[合意形成|コンセンサス]]が全く存在していないためだとしている<ref name="誠">{{Cite web|和書|author=烏賀陽弘道|authorlink=烏賀陽弘道|date=2014-12-04|url=https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1412/04/news009.html|title=なぜLINEの「既読スルー」にイラッとするのか コンセンサスなき紛争(烏賀陽弘道の時事日想)|work=ITmediaビジネスオンライン|publisher=[[アイティメディア]]|language=[[日本語]]|accessdate=2015-01-12}}</ref>。これは[[#「既読スルー」の基準|前述]]のような年齢差によってもたらされるものではなく、「LINEを使っているかどうか」の差によってもたらされるものであり、[[Twitter]]の「リツイート」機能にも同様の問題があるとしている<ref name="誠"/>。また、いわゆる[[同調圧力]]の一つとして論じられることもある<ref name="読売20131202"/><ref>{{Cite web|和書|date=2013-11-06|author=梅田カズヒコ|url=https://diamond.jp/articles/-/43992|title=「バカッター」「LINE既読」問題はなぜ起こる? ソーシャルメディア時代の同調圧力 ソーシャルメディアと承認(認められたい私、認めてくれない社会〜「承認不安時代」の生き方〜)|work=[[週刊ダイヤモンド|ダイヤモンド・オンライン]]|publisher=[[ダイヤモンド社]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-26}}</ref>。

[[学校裏サイト]]などと違い、LINEのコミュニティにはメンバーからの承認が無ければ入ることができないこと<ref name="読売20131225"/>、LINE上のトークには[[電気通信事業法]]における「[[通信の秘密]]」が守られているため第三者による監視ができないこと<ref name="アエラ"/>が問題点として挙げられており、[[学校]]や[[教育委員会]]、[[地方公共団体|地方自治体]]によってLINEの使用方法を授業や講習等で取り上げた事例や<ref name="朝日20140422"/><ref name="産経20140302"/><ref name="朝日20140306"/>、学校への携帯端末の持ち込みやLINEの使用そのものを禁止する動きがある<ref name="アエラ"/>。一例として、[[愛知県]][[刈谷市]]では2014年4月から市内の小中学生に対して午後9時以降のスマートフォン・携帯電話の使用を禁じる通達がなされており、夜間は親に端末を預ける状況にすることによって強制的にLINEを利用できなくさせる狙いや、夜遊びへの招集の防止、生活習慣の乱れの回避などの目的があるとされている<ref>{{cite news|newspaper=[[ハフポスト|ハフポスト日本版]]|author=Engadget|authorlink=Engadget|date=2014-03-18|title=LINE既読スルー問題の解決になるか、刈谷市が子供のスマホ利用を21時以降禁止|url=https://www.huffingtonpost.jp/engadget-japan/kariya-city-smartphone-ban_b_4983965.html|language=[[日本語]]|accessdate=2014-07-04}}</ref><ref name="産経20140317">{{cite news|newspaper=[[産経新聞]]|date=2014-03-17|title=夜9時から家でもスマホ禁止に 愛知・刈谷の全小中学校|url=http://www.sankei.com/life/news/140317/lif1403170005-n1.html|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20141218122103/http://www.sankei.com/life/news/140317/lif1403170005-n1.html|archivedate=2014-12-18|accessdate=2016-02-20|deadlinkdate=2016-02-20}}</ref>。この規制は保護者や児童・生徒側から「勉強時間・睡眠時間が増えた」「トラブルが防止できる」など好意的な意見がある<ref name="産経20140501">{{cite news|newspaper=[[産経新聞]]|date=2014-05-01|title=刈谷市のスマホ夜間制限1カ月 浸透は? 「勉強時間増えた」前向き意見|url=http://www.sankei.com/life/news/140501/lif1405010006-n1.html|language=[[日本語]]|accessdate=2014-12-18}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2014-08-08|author=齋藤長行|url=https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/14/073100032/080100002/|title=刈谷市のスマホ利用制限が功を奏した理由、家庭内の合意から地域に拡大(夏休みスペシャル2014)|work=ITpro(日経コンピュータ)|publisher=[[日経BP]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-12-18}}</ref>一方、LINEにおけるいじめはネット上だけではなく現実世界でのいじめに繋がっていることが多く、携帯電話やスマートフォンの禁止は根本的な解決にはならないとする指摘もある<ref name="ベネッセ"/>。

LINEは日本国外でも利用されているが、海外ではいじめに利用されているという報告は無いとされている<ref name="東京20130913"/>。

== 影響 ==
{{ external media
| width = 350px
| align = right
| video1 = [https://www.youtube.com/watch?v=_97mLMea8bw ソナーポケット『片思い。〜リナリア〜』]<br />
Bメロ(開始1分付近)で「既読になったにもかかわらず返信がなく不安になる」趣旨の歌詞が登場する<ref name="ねとらぼ">{{Cite web|和書|date=2013-05-02|url=https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1305/02/news074.html|title="既読"なのに返信が来ない… ソナーポケットの新曲の歌詞が今っぽいと話題に|work=ねとらぼ|publisher=[[アイティメディア]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref>([[YouTube]]の[[徳間ジャパンコミュニケーションズ]]公式チャンネルにおける[[ミュージック・ビデオ]])。
}}
=== 他社製アプリ ===
前述の問題を踏まえ、「既読表示は利用者に負担が掛かる」として他社が開発したチャットアプリには既読機能を敢えて実装しなかった例がある<ref name="日経20130910">{{cite news|newspaper=[[日経産業新聞]]|date=2013-09-10|title=チャットワーク―ビジネス向けメッセージ交換(小さな巨人)|page=7|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年4月26日閲覧。</ref><ref name="CybozuLive">{{Cite web|和書|date=2014-02-27|url=https://live.cybozu.co.jp/extras/hatena-chat.html|title=チャットとグループウェアが1つになった、無料で使えるサイボウズLiveの魅力|work=サイボウズLive×はてなブックマークニュース出張所|publisher=[[サイボウズ]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-08-17}}</ref>。また、[[Apple]]が[[iOS]]向けに提供する[[iMessage]]では既読機能をオフにすることが可能である<ref>{{Cite web|和書|author=meet i|date=2014-02-10|url=http://news.ameba.jp/20140210-458/|title=意外と知らない小技!iMessageの既読機能をきみは知っているか|work=[[Ameba (ネットサービス)|アメーバニュース]]|publisher=[[サイバーエージェント]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-08-25}}</ref>。

=== 楽曲 ===
このような「既読文化」は[[邦楽]]([[J-POP]])において言及される場合がある{{Refnest|group="†"|歌詞検索サービスの[[歌ネット]][https://www.uta-net.com/]において「既読」でフレーズ検索を行うと170件のヒットがあり、そのほとんどがLINEに関係する内容である(2019年5月26日現在)。}}。

例として、[[ソナーポケット]]が2013年に発売した[[シングル]]『[[片想い。〜リナリア〜/スタートライン!]]』のリード曲には「既読になったにもかかわらず返信がなく不安になる」趣旨の歌詞があるとして話題になったほか<ref name="ねとらぼ"/><ref name="WEBR2520130510">{{Cite web|和書|date=2013-05-10|url=http://r25.jp/entertainment/00029681/|title=LINE「既読」ついに歌詞に登場|work=[[R25 (雑誌)|web R25]]|publisher=[[リクルートホールディングス|リクルート]]/メディア・シェイカーズ|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160920022912/http://r25.jp/entertainment/00029681/ |archivedate=2016-09-20 |accessdate=2017-05-05 |url-status=dead|url-status-date=2017-05-05 }}</ref><ref name="歌ネット">{{Cite web|和書|date=2013-05|url=https://www.uta-net.com/user/close_up/sonapke_ranking/ranking.html#top|title=史上最速で歌ネットのゴールドリリックを達成!「片想い。~リナリア~」ソナーポケット(特集 スペシャルピックアップ)|work=[[歌ネット]]|publisher=ページワン|language=[[日本語]]|accessdate=2014-04-27}}</ref>、[[HKT48]]が2014年に発売したシングル『[[桜、みんなで食べた]]』(Type-A)の[[カップリング曲]]には、そのまま『既読スルー』という名前の楽曲が収録されており、歌詞にも『LINE』が入っている<ref>{{cite news|newspaper=[[毎日新聞]]|date=2014-03-14|title=HKT48:「桜、みんなで食べた」楽しい思い出と別れの切なさを歌う卒業の歌|url=http://mainichi.jp/mantan/news/20140313dyo00m200022000c.html|language=[[日本語]]|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140314134614/http://mainichi.jp/mantan/news/20140313dyo00m200022000c.html|archivedate=2014-03-14|accessdate=2014-10-16|deadlinkdate=2014-10-16}}</ref>。

邦楽では、[[1993年]]に発売された[[国武万里]]の『[[ポケベルが鳴らなくて (曲)|ポケベルが鳴らなくて]]』などに見られるように、その時代を象徴する通信手段が歌詞において表現されることがあるが、前述したソナーポケットの楽曲もその一つとして報じられることがある<ref name="ねとらぼ"/><ref name="WEBR2520130510"/><ref name="歌ネット"/>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{reflist}}
{{Reflist|group="†"}}
=== 出典 ===
{{reflist|2}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[LINE (アプリケーション)]]
* [[Rの法則]] - 既読スルーを取り上げたコントを2つ制作。
* [[ネットいじめ]]

* [[携帯電話依存症]]
* [[桜、みんなで食べた]] - 「既読スルー」という曲を収録。
* [[インターネット依存症]]
* [[日本の携帯電話文化]]
* [[KY語]]
* [[mixi]] - かつて「'''足あと'''」機能を巡って類似の問題が発生した。
* [[facebook]] - LINEの「既読」と同様に、メッセージを閲覧すると「'''開封'''」の表示が出るシステムになっている。


{{デフォルトソート:きとくするう}}
{{デフォルトソート:きとくするう}}
[[Category:インターネットの文化]]
[[Category:インターネットの文化]]
[[Category:日本のインターネットスラング]]
[[Category:日本の社会問題]]
[[Category:日本のいじめ]]
[[Category:2013年の日本]]

2024年11月20日 (水) 23:18時点における最新版

既読スルー(きどくスルー)とは、インスタントメッセンジャーLINEにおいて、「メッセージ機能(トーク機能)によって送信した内容を、相手が読んでいるにもかかわらず返信が来ないこと」あるいは「受信した内容を読んだにもかかわらず返信をしないこと」を意味する俗語である[1][2][3][4][5][6][7]

既読無視(きどくむし)[3][6][8][9][10]既読ブッチ(きどくブッチ)[1][11]、「既読スルー」のローマ字表記である“Kidoku Surū”の頭文字を取って“KS”(ケーエス)[4][7][12][13][14][† 1]などとも呼ばれる。

概要

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画像外部リンク
スマートフォン上のLINEにおける「既読」表示の例
送信したメッセージを相手が閲覧する(端末上にメッセージが表示される)と、投稿時刻の上に「既読」の文字が表示される(日経BPによる再現[6])。

語義

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LINEでは、メッセージ機能(トーク機能)によって送信された内容が送った相手に読まれる(相手の端末にメッセージが表示される)と、送信側の画面に「既読(きどく)」という文字が自動的に表示される機能が実装されている[3][4][6][9][15]。このことから、既読表示が出ている、すなわち相手が既にメッセージを読んでいるにもかかわらず(すぐに)返事が来ない状態を「既読スルー」「既読無視」などと呼称する文化がLINE利用者の間に存在している。多くはメッセージを送信した立場から見た「相手からの返信が来ない状態」を指す言葉として定義されることが多いが[3][4][5][6][8]、受信した立場から見た「相手への返信をしないこと」を意味する言葉として報じられる場合もある[2][9][10][† 2]

とりわけ「返事が期待できそう」なメッセージに既読が付いたにもかかわらず返信がない状況では「既読スルー」と表現し、「明らかに返事を求めている」メッセージに返信がない状況では語気を強めて「既読無視」と表現する、など送信側の状況によって区別する見解も存在するほか[5]、「返信が無くても既読表示になれば相手に伝わったことは分かる(“了解”と同じ意味)」という見解も存在するなど[6]、「既読」の捉え方は様々である。

「既読」の表示を「実際にメッセージを読んだか否か」の判断ではなく、対人関係における「思いやり」の確認として利用される傾向もあり[3]、「返事に迷う内容や嫌なメッセージを受け取った際に敢えて“既読”の表示を付けて返事をしない」[† 3]などといった風に「既読機能」そのものをコミュニケーションの一部として利用される場合もある[15]。そのため、LINE利用者の間では「既読を付ける」「既読を付けない」といった表現がなされる傾向にある[15]

なお、メッセージを読まずに(「既読」表示を付けずに)放置することは「未読放置[6][17]未読無視[17][18]未読スルー[17][19]MH[17]と呼称するとも報じられている。また、LINEではなく通常の郵便物手紙)において「読んだのに返事を出さないこと」に対して「既読スルー」の用語が使われるケースもある[20][21]

「既読機能」

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この「既読機能」は、元々東日本大震災の発生をきっかけとしてLINEが開発された際に[22][23]、災害時など返信がすぐにできない状況においても安否確認ができるようにすることを目的として実装されたものであった[3][10][23]LINE広報に対するインタビューでは、「LINEは匿名の第三者ではなく家族・友人とのコミュニケーションツールとして生まれたサービスであり、実際の会話に近いコミュニケーションを取るため、確実に言葉が相手に届いていることを示す既読機能を付けた」との回答がなされている[24]マイナビニュースが実施したアンケートによれば、LINEにおいて廃止して欲しい機能で最も多かった回答が「既読機能」であったとしているが[25]、LINEでは今後既読機能を廃止する予定は無いとしている[24]。また、既読を付けずにLINEのメッセージを閲覧する方法として、専用のアプリケーション(Androidでは「ちらみ」[5][12]iOSでは「Unread」[12])を使用する、端末を「機内モード」にして閲覧する[5]、などの方法が報じられている。

「既読」表示はフィーチャーフォンでLINEを利用している場合は表示されないため、いわゆる「ガラパゴスケータイ」と称されるような通常の携帯電話を使用している場合は相手がメッセージを読んだか否かを判断することはできない[26]

また、「既読機能」などのシステムをビジネス向けに応用するサービス(LINEビジネスコネクト)が発表されており、企業と消費者の間で「既読機能」を活用する構想があるほか[27]視覚聴覚障害者の連絡手段において従来のファクシミリ電子メールの場合は相手に「読んだ旨」を返信する必要があったが、LINEの「既読機能」の登場によってその手間が無くなったとの好意的な指摘もある[28]

発祥

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「既読スルー」「既読無視」という言葉の明確な発祥時期は未詳であるが、概ね2012年から2013年にかけて「既読無視」の方が先行して発祥したものと見られる[† 4]

前述した「既読スルー」の略語である“KS”は、かつてインフォレストが発行していたファッション雑誌小悪魔ageha」2013年8月号の誌上において「age嬢が考案した“新・ギャル語”」として紹介された例があり[14][30]、いわゆる「ギャル」と称されるような女性層から発祥した可能性もある。このことから、LINE利用者の中でも特に若い世代で使用される言葉とされている[4][5]

「既読スルー」の基準

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山形大学准教授加納寛子によれば、中高生の間では「既読」表示になってから概ね15分ないし30分以内に返信をしなければ「既読スルー」に該当するとしているほか[31]、1 - 2秒以内に反応(いわゆる「即レス」)しなければならないとする不文律が存在するとの報道もある[32][33][34]。また、ファストアスクが20 - 30代のLINE利用者を対象として2014年に実施した調査によれば、約半数が概ね30分から6時間以内に返事がなければ「既読スルー」と判断するとのアンケート結果がある[35]MMD研究所スマートフォンを所有している15 - 49歳の男女を対象として2014年に実施した調査によれば、「既読スルー」に対して「気になる」「やや気になる」と回答した割合は合計で44.3%、「気にならない」「あまり気にならない」と回答した割合は合計で49.2%であったとしている[36]

後述するように、一般的に「社会人大人)と比較して中高生(若者)の方が『既読スルー』に対して敏感である」と報じられる傾向にある[6][37]。一方で、他の民間による調査では性別・世代別における「既読スルー」への考え方は一定した結果が得られていない。ファストアスクが20 - 30代のLINE利用者を対象として2014年に実施した「既読のまま放置されてイライラするまでの時間」を調査したアンケートによると「イライラすることは無い」という回答が33.3%で最も多くを占めているほか[38]マイナビが22 - 39歳の社会人男性を対象として2014年に実施した「既読スルーをどう思うか」調査したアンケートによれば、社会人男性の8割以上は「既読スルー」を気にしていない[39]などといった調査結果がある。一方で、ふみコミュ!が中高生を対象として2014年に実施した「既読スルーはマナー違反だと思うか」調査したアンケートによれば、8割以上の女子中高生は「既読スルー」を気にしておらず[40][41]、反対にat home VOXが実施した同様の調査によれば40代の男性層の方が「既読スルー」に対して否定的であるとの報道もある[40]

社会問題

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心理的負担

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「既読機能」は、送信側にとってメッセージが相手に伝わったことが一目で確認できる[3][5]、「読んでくれたのか否か」という心配が解消される[9]メリットがある一方で、送信しても「既読」にならない場合に「なぜ読んでくれないのか」、「既読」になっても返事が無い場合に「無視されているのではないか」などの孤独感や不安を誘発する一因となっており、そのことからメッセージの受信側にとっても「すぐに返信をしなければいけない」というプレッシャーを生じさせているとされ、双方のコミュニケーションの負担になっていると報じられている[3][5][6][9][15][33]

ジャストシステムが大学生を対象にして実施したアンケートによれば、「既読が相手に分かるため返事をしなければ悪いと感じる」との回答が約7割を占めており[6]、これらの心理的負担から来る疲弊はしばしば「LINE疲れ」と称して報じられる[1][15][32][42]。このことから、前述のように「既読」の表示を付けないままメッセージを閲覧するためのアプリケーション裏技が考案・開発されている[5][6][12]

「依存」と「いじめ」

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「既読スルー」は、特に中高生の間で「大きな問題」[6]タブー視」[32][34]されていると報じられており、「既読スルー」をしないために睡眠時や入浴時などを問わずスマートフォンを手放せなくなるといった問題や[8][31][32]、「既読スルー」を発端とした人間関係の悪化、いじめ、事件などが多く報道されるようになった[1][6][31][34][43]

総務省情報通信政策研究所が2014年に実施した調査によれば、高校生の1日におけるスマートフォン・フィーチャーフォンの平均利用時間は161.9分と他のデバイス(パソコンタブレット)より圧倒的に長くなっているほか、ソーシャルメディア利用状況の割合もLINEが85.5%と最も高くなっている[44]。スマートフォンの利用に伴って減った時間として「勉強時間」(40.7%)と「睡眠時間」(34.1%)が高い割合を示しており、日常生活への影響として「暇さえあればスマートフォンでネットをしている」(42.6%)、「自身をネット依存だと実感している」(25%)などの回答が多くなっている[44]

「既読スルー」を発端としたいじめや事件では、相手がLINEを利用できない状況を意図的に狙ってトークを盛り上げ、その際に「既読スルー」したことをきっかけとして絶交する[31]、グループ内でトークをやり取りしている際に特定人物に対してのみ「既読スルー」する[16]、「既読スルー」した相手やその関係者に対して拉致監禁暴行を加える[1][6]、「既読スルー」をきっかけに現実世界では無視され、LINE上では誹謗中傷を受ける[43]、などが前例として報じられている。

要因と対策

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「既読スルー」を発端としたいじめや事件が多発する要因として、ITジャーナリスト高橋暁子によれば、通常の社会人であれば「既読スルー」をされても「仕事などで忙しくて返事ができない」と判断するのに対して、自身が「忙しくて返事ができない」状況になることが少ない中高生などの立場から見ると「既読になったにもかかわらず返事がない」ことを「意図的に返事をしない、返事をしたくない」という明確な「拒絶」として判断されるためだとする、送り手と受け手における意識の「ズレ」が原因であるとの指摘をしている[6]社会学者土井隆義によれば、「大人は“相手が都合の良い時に返してくれればいい”と考えるが、若者は常に繋がっていることが重要」との指摘をしている[37]

ジャーナリストの烏賀陽弘道によれば、LINE利用者の間で「既読スルーをどう受け取るか」というコンセンサスが全く存在していないためだとしている[45]。これは前述のような年齢差によってもたらされるものではなく、「LINEを使っているかどうか」の差によってもたらされるものであり、Twitterの「リツイート」機能にも同様の問題があるとしている[45]。また、いわゆる同調圧力の一つとして論じられることもある[32][46]

学校裏サイトなどと違い、LINEのコミュニティにはメンバーからの承認が無ければ入ることができないこと[43]、LINE上のトークには電気通信事業法における「通信の秘密」が守られているため第三者による監視ができないこと[34]が問題点として挙げられており、学校教育委員会地方自治体によってLINEの使用方法を授業や講習等で取り上げた事例や[2][3][8]、学校への携帯端末の持ち込みやLINEの使用そのものを禁止する動きがある[34]。一例として、愛知県刈谷市では2014年4月から市内の小中学生に対して午後9時以降のスマートフォン・携帯電話の使用を禁じる通達がなされており、夜間は親に端末を預ける状況にすることによって強制的にLINEを利用できなくさせる狙いや、夜遊びへの招集の防止、生活習慣の乱れの回避などの目的があるとされている[47][48]。この規制は保護者や児童・生徒側から「勉強時間・睡眠時間が増えた」「トラブルが防止できる」など好意的な意見がある[49][50]一方、LINEにおけるいじめはネット上だけではなく現実世界でのいじめに繋がっていることが多く、携帯電話やスマートフォンの禁止は根本的な解決にはならないとする指摘もある[31]

LINEは日本国外でも利用されているが、海外ではいじめに利用されているという報告は無いとされている[10]

影響

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映像外部リンク

ソナーポケット『片思い。〜リナリア〜』

Bメロ(開始1分付近)で「既読になったにもかかわらず返信がなく不安になる」趣旨の歌詞が登場する[51]YouTube徳間ジャパンコミュニケーションズ公式チャンネルにおけるミュージック・ビデオ)。

他社製アプリ

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前述の問題を踏まえ、「既読表示は利用者に負担が掛かる」として他社が開発したチャットアプリには既読機能を敢えて実装しなかった例がある[52][53]。また、AppleiOS向けに提供するiMessageでは既読機能をオフにすることが可能である[54]

楽曲

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このような「既読文化」は邦楽J-POP)において言及される場合がある[† 5]

例として、ソナーポケットが2013年に発売したシングル片想い。〜リナリア〜/スタートライン!』のリード曲には「既読になったにもかかわらず返信がなく不安になる」趣旨の歌詞があるとして話題になったほか[51][55][56]HKT48が2014年に発売したシングル『桜、みんなで食べた』(Type-A)のカップリング曲には、そのまま『既読スルー』という名前の楽曲が収録されており、歌詞にも『LINE』が入っている[57]

邦楽では、1993年に発売された国武万里の『ポケベルが鳴らなくて』などに見られるように、その時代を象徴する通信手段が歌詞において表現されることがあるが、前述したソナーポケットの楽曲もその一つとして報じられることがある[51][55][56]

脚注

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注釈

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  1. ^ 「スルー」を正しく英語表記すると“Through”となるが、一般的に“KT”とは略さないとされており、一部ニュースサイトでは“KT”ではなく“KS”と略すことに対して批判的ニュアンスで報じられているものがある[13][14]
  2. ^ 自由国民社が発行する『現代用語の基礎知識』(2014年版)でも「既読スルー」の語釈は一定しておらず、1178ページでは「読んだメッセージに返信しないこと」と定義されているのに対して、SNS関連用語を特集した592ページでは「既読になっているにもかかわらず返信がない状態」として定義されている[7]小学館の『日本大百科全書』(ニッポニカ)でも、LINE用語集の「既読スルー」について「返信がこないこと、またあえて返信をしない状態をさす」と両論併記されている[16]
  3. ^ LINEではメッセージの受信時にポップアップで内容の冒頭が表示されるため、「既読」表示を付けずに一部を読むことが可能であるほか[15]、後述の通り「既読」表示を付けずにメッセージを閲覧するアプリケーションも存在している[5][6][12]
  4. ^ 2012年8月1日に配信されたエキサイトニュースの記事において、「LINEで“ウザい”と思う瞬間」の一つとして「無視できないのがウザい」が挙げられているが[1]、当該記事には「既読スルー」「既読無視」いずれの言葉も登場していない。2013年2月19日に配信されたライブドアニュースの記事において、「LINEでやってはいけないことの王道」として「既読無視」が挙げられており[2]、この2つの記事の間に発祥した可能性が高いと見られる。また、朝日新聞では2013年5月23日夕刊の記事で「既読機能が苦痛」であるとするLINE利用者の意見を掲載しているが[29]、当該記事にも「既読スルー」「既読無視」といった言葉は用いられておらず、「既読無視」が記事上で用いられるようになったのは2014年に入ってからである[8]
  5. ^ 歌詞検索サービスの歌ネット[3]において「既読」でフレーズ検索を行うと170件のヒットがあり、そのほとんどがLINEに関係する内容である(2019年5月26日現在)。

出典

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関連項目

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