「通信妨害」の版間の差分
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→現在: 中華人民共和国の試験会場でのジャミングを追記。 |
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2013年7月10日 (水) 10:28時点における版
ジャミング(英語: Jamming、電波妨害や妨害電波 とも)とは、混信もしくは電波障害を引き起こす電波、すなわち正規の電波通信に対してそれとは異なる同じ周波数または周波数帯の電波を発信して正規の通信を妨碍する電波のこと、または自国民に視聴させたくない放送(主に国際放送)に妨碍をかけることを指す。ラジオ放送が中心だが、テレビジョン放送でもあり得る。
軍事の分野においては、レーダーなどの無線通信設備が授受する電波を攪乱させ、正常な通信ができないようにすることを指す。この目的に適合するように作られた航空機を電子戦機と呼ぶ。またミサイルなどの誘導兵器の誘導電波などを妨碍して無力化する行為を指す事もある(この場合、レーザーなどの光学的誘導手段の妨碍も含まれる)。
主なものとして以下のものが挙げられる。
- 政治的理由によるもの(地下放送(ゲリラ放送)に対する権力側からの妨碍、逆に国営放送に対する反政府勢力からの電波ジャック)
- 公共の場の風紀を守ったり、防犯のためのもの(携帯電話に対する規制など。但し、こうした用法は法律上厳しく制限されている)
主なジャミング
過去
- 古くは、第二次世界大戦(大東亜戦争)中、アメリカが日本(大日本帝国)向けアメリカの声放送(Voice of America、VOA)をアメリカ本土からの短波放送を実施していたが、これに対して日本当局は、これにジャミングをかけた。しかし、1944年、アメリカ軍がサイパン島を占領すると、中波放送を実施した。これは、当時、短波受信機(ラジオ)を所持すること自体が違法であった(1936年3月に「オールウェーブ受信機ノ取締ニ関スル件」が通達されたことによる)が、中波放送ならば、通常のラジオ受信機でも受信出来た為である。
- ※「オールウェーブ受信機ノ取締ニ関スル件」の通達は、終戦後の1945年10月、東京逓信局から社団法人日本放送協会会長宛て「全、短波受信機ニ関スル件」が通達されたことによって、全ての短波受信施設の禁止措置が解除されるまで続く。
- 短波9690kHzには、日本向けRAE(アルゼンチン国営放送)が発信されていたが、台湾(中華民国)が同一周波数で大陸(中華人民共和国)向け中央広播電台を出し、大陸側がこれにジャミングをかけていたため、RAEの受信は非常に困難であった。
- 韓国のKBS第1ラジオソウル局(中波711kHzと短波3930kHz)には北朝鮮がジャミングをかけていた.(短波3930kHzは2007年1月に廃止)。
- NHKの国際放送であるNHKワールド・ラジオ日本の朝鮮語放送にも、北朝鮮がジャミングをかけることがあった。
- 1982年10月から1984年3月までラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)で放送されていたセクシー・オールナイトにはその内容の強烈さが問題とされたか、海外の一部でジャミングがかけられていた。この当時、中波の夜間の番組でも、性的にきわどい内容に話が及ぶと突如どこからかジャミングがかかり、その話が終わるとジャミングがとまることが頻繁にあった。
現在
- 中国政府が、BBC、VOA、RFA、RTI等の中国語放送に、中央人民広播電台が京劇音楽(いわゆる火龍)などを使ってジャミングを行っている。
- 北朝鮮は、韓国向け朝鮮中央テレビ(朝鮮教育文化テレビ)を韓国の第8チャンネルで実施しているが、韓国はこれにジャミングをかけている。
- 2006年5月5日から民間運営である北朝鮮拉致被害者向けの短波放送「しおかぜ」(5890kHz)に北朝鮮がジャミングを行い始めた。その後この周波数は廃止され周波数を変更しながら(2011年4月9日現在は、日本国内から第一放送5955kHz 5965kHz 6045kHzの何れか、第二放送5985kHz 6020kHz 6135kHzの何れか)送信しているが、いずれもジャミングされている。また主に政府認定の拉致被害者向けを目的として「しおかぜ」に遅れて開局された日本政府による短波放送「ふるさとの風」(同朝鮮語放送「イルボネパラム」)各周波についても2012年9月30日現在、ジャミングされ続けている。
- コンサートホールや図書館・医療施設などにおいて、騒音等の防止などを目的として「携帯電話に対するジャミング」を行うケースがある[1]。こうした行為は無線局の設置とみなされるため総合通信局の許可・陸上特殊無線技士の配置が必要であり、無許可での実行は未遂を含め電波法違反となり処罰の対象となる。総務省の方針として許可はコンサートホールやそれに順ずる施設に限ることとなっており、特に移動局の許可はほぼ取得できないとしている。
- 2008年12月、関東総合通信局はATM(現金自動預け払い機)において携帯電話の通話を抑制する無線局を免許した[2]。これは千葉銀行が振り込め詐欺対策のため試験的に導入した装置に対するものである。
- バチカン市国では、2005年以降のコンクラーヴェにおいて、社会のIT化や携帯電話の小型軽量化・Twitter・盗聴技術の発達などの理由から、聖マルタの家とシスティーナ礼拝堂において、コンクラーベ史上初めて強力なジャミングによる情報統制が行われた。これ以降、2013年のコンクラーヴェでも強力なジャミングが実施されており、そのジャミングの強さは携帯電話のみならず、放送電波まで切断する程の影響を与える強さである[3]。
- 中華人民共和国の全国普通高等学校招生入学考試(いわゆる大学入試試験)では、無線通信装置を使ったカンニング防止の為に「試験会場全体に対するジャミング」を実施している。
脚注
- ^ “携帯電話抑止装置 テレ・ポーズSP”. マクロスジャパン. 2011年7月18日閲覧。
- ^ 携帯電話の通話を抑止する実験試験局を免許(総務省関東総合通信局)
- ^ “情報時代の法王庁:ジャミングと絵文字ツイート”. Wired.jp. (2013年3月14日) 2013年3月14日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 一般財団法人VCCI協会(旧・情報処理装置等電波障害自主規制協議会)
- 携帯電話抑止装置 テレ・ポーズSP