「ガーンズバック (フルメタル・パニック!)」の版間の差分
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フルメタル・パニック!アナザー から一部転記 |
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ミスリル仕様のE系列及びD系列は、第二世代型と比べてかなり細身なボディと戦闘機パイロットのヘルメットを連想させる丸い頭部が特徴。 |
ミスリル仕様のE系列及びD系列は、第二世代型と比べてかなり細身なボディと戦闘機パイロットのヘルメットを連想させる丸い頭部が特徴。 |
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元々は[[アメリカ合衆国軍|米軍]]の次期主力ASとして開発された機体であるが、『フルメタル・パニック!』本編の時代では未だ米軍でEMD機による運用実験が行われている段階であり<ref>『つどうメイク・マイ・デイ』において、米陸軍特殊部隊仕様のM9が登場した。こちらは、ミスリルで運用しているE系列機とは若干仕様が異なっていた。</ref>、1998年12月にアメリカ軍においてEMDフェーズが終了し、その後26機が調達され、2004年より'''M9 ガーンズバック米軍仕様'''として公式配備が開始されている。詳細については[[ |
元々は[[アメリカ合衆国軍|米軍]]の次期主力ASとして開発された機体であるが、『フルメタル・パニック!』本編の時代では未だ米軍でEMD機による運用実験が行われている段階であり<ref>『つどうメイク・マイ・デイ』において、米陸軍特殊部隊仕様のM9が登場した。こちらは、ミスリルで運用しているE系列機とは若干仕様が異なっていた。</ref>、1998年12月にアメリカ軍においてEMDフェーズが終了し、その後26機が調達され、2004年より'''M9 ガーンズバック米軍仕様'''として公式配備が開始されている。詳細については[[#米軍機|下記]]を参照。 |
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ガーンズバックというペットネームは設定上存在するが、作中の登場人物の殆どは単にM9('''エムナイン''')と呼称している。これは同じ米軍機であるM6('''エムシックス''')に関しても同様。地の文でも同様に型番のみの表記であることが大半。なお、『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』に登場した際のユニット名は、“M9 ガーンズバック”と型番と併記される形となっている([[アーバレスト]]なども同様の形式)。 |
ガーンズバックというペットネームは設定上存在するが、作中の登場人物の殆どは単にM9('''エムナイン''')と呼称している。これは同じ米軍機であるM6('''エムシックス''')に関しても同様。地の文でも同様に型番のみの表記であることが大半。なお、『[[スーパーロボット大戦シリーズ]]』に登場した際のユニット名は、“M9 ガーンズバック”と型番と併記される形となっている([[アーバレスト]]なども同様の形式)。 |
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[[zh:M9 Gernsback]] |
[[zh:M9 Gernsback]] |
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; M9 ガーンズバック米軍仕様 |
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: アメリカ軍に正式配備された第3世代AS。 |
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: 先行して運用されていたミスリル仕様の[[ガーンズバック (フルメタル・パニック!)|M9 ガーンズバック]]とは外見と性能が大きく異なっている。 |
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:* 外見上の違いとしては、頭部カメラアイが細長いゴーグルタイプから単眼の大型カメラアイになった点、肩部の装甲板が廃された点などが挙げられる。 |
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:* パラジウムリアクターはロス&ハンブルトンAPR2500から[[ゼネラル・エレクトリック|ジェネラルエレクトリック]]社のP101に変更され、出力が低下した代わりに作戦行動時間が延長されている。 |
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:* マッスルパッケージは金属材質とのハイブリッド式を採用し、防弾性能が強化されている。ただし、このタイプのマッスルパッケージは重量が増しているため、これによって若干運動性が低下した。 |
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:* 武装の面では頭部チェーンガンがオミットされた代わりに、右腕部にガトリングガン、左腕部にワイヤーガンを搭載。 |
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:* 頭部センサほか電子装備の強化が施され、さらにデータリンク能力も強化されている。 |
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:* 超高性能AIは簡易式のAIに変更され、システムのスリム化が図られた。更に、モーションマネージャをミスリル仕様からM6に近い設定に変更し、M6に慣れた操縦者にも機種転換がしやすいよう配慮されている。 |
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: ミスリル仕様と比べダウングレードしているのは否定できないが、世界トップクラスの性能を誇っている。 |
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: ただし、細くスマートだったミスリル仕様のM9と大きく異なり、全体的に太くガッチリとした外見に変化しているため、ミスリル仕様に愛着があるマオからは「こんな不細工でノロマなM9などM9ではない」と評されている。 |
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: 標準仕様の他にも、M9A2を特殊部隊用に改良し、ミスリル仕様M9を上回る'''M9A2SOP『シグマ・エリート』'''などのバリエーション機が開発され、米軍を中心に運用されている。 |
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;;M9A1 ガーンズバック『アーマード』 |
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:: 防御力を重視したバリエーション。30ミリ砲弾や成形炸薬弾などをストップできるほどに装甲が強化されているが、代償として運動性が低下している。 |
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:: 米軍に配備されたM9はほとんどがこのA1、または運動性やECSの性能を高めた'''M9A2『エンハンスド』'''に改修されているが、冷戦終結の煽りを受けて軍事予算が削られたことで十分な数が調達できていない。その為、任務に応じた部隊配置を行うか、第2世代機のM6A1・A2とのハイ・ローミックス編成で数不足を補っている。 |
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;;M9A1E1 ガーンズバック『アーセナル』 |
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:: A1アーマードを改修し、火力・電子戦支援用機としたバリエーション。外見上の特徴は頭部の巨大なレーダードームであり、その他にも多数の装備が外付けされ、原型機の面影を失いつつある。 |
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:: 最大の威力を誇る武装は、セワード・アーセナル製155ミリ榴弾砲『AGS-3 デモリッションガンⅢ』である。ASの関節構造を応用した反動吸収システムとGPS誘導システムによって、威力もさる事ながら射程20kmの目標に対し誤差1mという驚異的な命中精度を誇る。その他、電子戦装備として『ITCC-6 統合戦術通信管制システム』を搭載。機体と独立したAIにより最大24機の味方ユニットを自動管制し、システムに準拠した6機の兵器を遠隔操縦することを可能とする。 |
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:: 同じ火力支援機のM6A2E2型とは違い、敵ASとの交戦にも充分耐えうる能力を備えるが、機体の価格自体が標準型M9の2倍近くすること、運用コストも上昇していることから、運用できる組織は限定される。さらに、第三世界において未だ主役である第2世代機のサベージやミストラル2に比べて明らかにオーバースペックであるため、調達数も少なめである。 |
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;;M9A2 ガーンズバック『エンハンスド』 |
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:: 防御力重視だった設計を従来の第3世代ASのコンセプトへと戻したバリエーション。 |
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:: 最大の特徴は従来のセミ・マスター・スレイブとは異なる操縦方式であるテイマー・システム。レバーを一定のパターンで動かすだけで熟練者の操縦するASと同じ動きをさせることができる。ただし、このシステムを嫌う熟練操縦者のためにセミ・マスター・スレイブ仕様に換装することもでき、作中で搭乗したミハイロフと三条姉弟はセミ・マスター・スレイブで動かした。その他、火器の保持用にサブアームが設けられており、腕のフレーム疲労を軽減する工夫も凝らされている。表向きに知られている第3世代ASとしては最強の地位にあり、伍することができるのはヴォルフのみと言われている。それでもミスリル仕様のM9には及ばない。 |
2013年2月22日 (金) 09:58時点における版
M9 ガーンズバックは、賀東招二の小説『フルメタル・パニック!』に登場する架空の兵器。人型兵器アーム・スレイブ(AS)の1種である。
ガーンズバック | |
型式番号 | M9 |
生産形態 | 量産機(E,D系列) EMD(1999年) 量産機(2004年)[1](米軍) |
全高 | 8.4m |
重量 | 9.5t(E,D系列) 10.3t(米軍) |
動力源 | パラジウムリアクター ロス&ハンブルトンAPR2500a(E,D系列) ジェネラルエレクトリック P101(米軍) |
ジェネレータ出力 | 約2500ps または 約3300kW(E,D系列)[2] 2300kW(米軍) |
最大作戦行動時間 | 150時間(E,D系列) 160時間(米軍) |
最高自走速度 | 250km/h(E,D系列) 200km/h(米軍) |
最高跳躍高 | 45m(E,D系列) 40m(米軍) |
固定武装 | AM11 12.7mmチェーンガン×2 XM18ワイヤーガン×2(E,D系列) GAU-19-S 12.7mmガトリングガンx1 M18ワイヤーガン×1(米軍) |
基本携帯火器 | エリコン・コントラヴェスGDC-B 40mmライフル ロイヤル・オードナンスM1108対戦車ダガー レイセオン/ゼネラルエレクトリックK1 「ジャベリン」超高速ミサイル(共通) ボフォースASG96-B 57mm滑腔砲 ヒューズVGM-A2 (M) 「ヴァーサイルII」多目的ミサイル ジオトロン・エレクトロニクスGRAW-2単分子カッター(E,D系列) ジェネラルダイナミクス GAU-22S 25mmガトリングガン ジオトロン・エレクトロニクスGRAW-6単分子カッター(米軍) |
搭乗者 | 相良宗介(序盤のみ) クルツ・ウェーバー メリッサ・マオ ベルファンガン・クルーゾー(D系列の試作機に搭乗) 他 |
AIコールサイン | ユーカリ(クルツ機) フライデー(マオ機) ドラゴンフライ(クルーゾー機) |
機体解説
従来の機体を遥かに上回る性能を持つ「第二世代型AS」M6 ブッシュネルを、さらに発展させるために開発された「第三世代型AS」である。
ミスリル仕様のE系列及びD系列は、第二世代型と比べてかなり細身なボディと戦闘機パイロットのヘルメットを連想させる丸い頭部が特徴。
元々は米軍の次期主力ASとして開発された機体であるが、『フルメタル・パニック!』本編の時代では未だ米軍でEMD機による運用実験が行われている段階であり[3]、1998年12月にアメリカ軍においてEMDフェーズが終了し、その後26機が調達され、2004年よりM9 ガーンズバック米軍仕様として公式配備が開始されている。詳細については下記を参照。
ガーンズバックというペットネームは設定上存在するが、作中の登場人物の殆どは単にM9(エムナイン)と呼称している。これは同じ米軍機であるM6(エムシックス)に関しても同様。地の文でも同様に型番のみの表記であることが大半。なお、『スーパーロボット大戦シリーズ』に登場した際のユニット名は、“M9 ガーンズバック”と型番と併記される形となっている(アーバレストなども同様の形式)。
E系列
最新の軍事技術を多数採用した、数々の革新的要素を持つ機体である。パラジウムリアクターを搭載したことにより、ガスタービンエンジンで駆動する従来機と比較して極めて高い静粛性を獲得した[4]。
その潤沢なエネルギーにより、マッスル・パッケージと呼ばれる人工筋肉による完全電気駆動を実現したため、機体そのものが軽量化され運動性も極めて高く、その上ある程度の防弾性を備えており、耐久性もその見かけに反して向上している。機体の軽量化は展開能力の向上にもつながっており、専用の輸送ヘリに最大2機搭載して輸送可能な他[5]、XL-2 緊急展開ブースターを用いることで迅速な展開が可能となっている。
第二世代機までに搭載されていた油圧系のシステムを全廃したために、上記した機体の軽量化のみならず、ペイロードに大きな余裕が生まれた。その結果、高性能な電子兵装や内蔵型ウェポンラック、不可視モード実装型ECSを搭載可能となった。メリッサ・マオの搭乗する機体は特に電子戦能力を強化したものであり、頭部にブレードアンテナを有するなど、外見上の相違点もみられる。
さらに、第二世代型には無い高性能なAIが搭載されており、搭乗者の負担もかなり減少されている。また、アニメ版の描写ながら敵機の使用していた携帯火器のロックを短時間で解除することが可能である。なお、AIのボイスは初期設定では機械合成の男声(アーバレストのAI、アルの声がこれに当たる)だが、搭乗者の趣味などによって比較的自由に変えることが出来る。例えばクルツの場合、日本のアイドル声優の声をサンプリングして自機のAIのボイスに設定している。
ジオトロン・エレクトロニクスでの機体の設計にはマオも携わっており、ミスリルに正式採用される以前は「XM9」という開発番号で呼称されていた。短編『エンゲージ・シックス・セブン』にて、正式に「M9」という形式番号が与えられている。
なお、作中では本機のプラモデルが田宮模型から発売されていた[6]。その出来は実際に運用していた相良宗介が「あとは関節が動けば文句なし」と感心するほど。
D系列
作中、ミスリル側の機体として登場する殆どのM9はE系列であり、ジオトロン・エレクトロニクス社のドルトムント工場で製造されたD系列(通称「ファルケ」)というもう一つのバージョンがある。設定では2機製造されており、その内1機がベルファンガン・クルーゾーの乗機となった。この機体はE系列機に比べ、機体のペイロードに若干余裕があるのが特徴。
外見上の最大の差異は頭部形状であり、アーバレストと同様に双眼式のセンサーを搭載している(ただし、漫画版ではバイザー式)。また、肩装甲など各パーツの形状が異なり、カラーリングもクルーゾー機は黒となっている。
元々ラムダ・ドライバの搭載が予定されていたが、開発者であるバニ・モラウタが自殺したために搭載されていない。ただし、機体フレームにアーバレストと同様の物が使用されている可能性は否定できない。
『スーパーロボット大戦W』登場時は、M9マオ機・クルツ機との合体攻撃「ウルズ・スペシャル」を使用できる。マオ機・クルツ機以外にもさらに2機のM9を呼び寄せて、総勢5機による連携攻撃を披露する。
ミスリル仕様のデメリット
上記のようなメリットの反面、運用コストは従来のものとは比べ物にならないほど増えており、よほど資金が潤沢な組織でなければ運用できない。また、油圧システムを持たない故に、規格外の荷重に対しては第二世代機と比べると弱い面がある。
他にも、稼働時間の点で第2世代に劣るため、戦闘には向くものの哨戒等の長時間にわたる作戦行動では第2世代に分がある。駆動系や機体構造においても、時として第二世代機の方が有利な場合が見られ、構造の堅牢性ならばサベージ系列の方が勝っている面があり、『燃えるワン・マン・フォース』において、サベージに搭乗した宗介がM9との戦闘において寺院に誘い込んだ上で建物を破壊し、崩れてくる構造物に巻き込む事によってM9を動作不能にし勝利している。
また、M6に比べ静粛性・機動性は勝るものの、操縦に非常に繊細な動作を要求されるほか、高精度のチューニングがなされているため「超上級者向け」の機体に仕上がっており、扱いやすさの面ではM6の方が優位である。実際に、『猫と仔猫のR&R』で、当初M9に乗っていたテッサは全く操ることが出来ず、最終的にM6に乗り換えてマオとの模擬戦に臨んでいる。もっとも、これはテッサが有するウィスパードとしての才覚を生かしたものであり、一種の例外とも言える。いずれにせよM6にはAIによるサポートがないため、操縦それ自体はM9よりも煩雑である。
米軍機
1999年に技術試験(EMD)が終了し、アメリカ軍正式採用機として26機が調達されている。
- 2000年
- 『つどうメイク・マイ・デイ』に登場。非公式ながら、デルタ・フォースの強襲機兵チームに配備されている機体。ミスリルの運用するE系列機とは頭部センサのタイプ、肩部装甲の形などが異なり、「装甲も厚く、動きに切れがない」と宗介に評されている。
- 2004年
- 公式配備開始
- 2011年
- A系列機が『M9 ガーンズパック』として米軍に正式採用されている。また、装甲防御力を高めた『M9A1 アーマード』、運動性やステルス性を強化した対AS戦用の『M9A2 エンハンスド』、火力支援用の『M9A1E1 アーセナル』、そして特殊部隊専用のハイエンドモデル『M9A2SOP シグマ・エリート』など、多くのバリエーション機も運用されている。
- 兵士からは『M9』、もしくは『ガーンズ』と通称され、無印のM9は『オリジナル・ガーンズ』と呼ばれているが、『本当のオリジナル(E系列)』を知る人間は決してこの名で呼ぶことはない。調達のしやすさと、旧来型ASからの機種変換を考慮して各部のコストダウンや機能の簡素化を行った結果、重量が増して機動性が落ち、外観上も格好悪くなってしまったため、ミスリル仕様のM9開発に関わったマオは「ブサイクでノロマなデブ」と評している[7]。
- ミスリル仕様からの主な変更点[8]。
- パラジウムリアクターの変更。これにより、行動時間の向上が図られたが出力は若干低下。
- 防御性能を考慮し、マッスルパッケージに金属・ポリマーのハイブリッド式を採用。これにより、自重の増加と運動性能の低下を招いている。
- 固定武装の変更。頭部チェーンガンの廃止、腕部に機関銃を装備。
- 電子兵装、及びデータリンク機能の強化、及び先進型AIから簡易型AIへ変更。
- M6からの機種転換を考慮し、ミスリル仕様の鋭敏すぎるモーションマネージャーから簡易型のものに仕様変更。
- ECSの不可視モードの廃止。
- ミスリル仕様からの主な変更点[8]。
- 上記の仕様変更によって、ミスリルのM9に比べダウングレード感は否めないが、それでも世界最強クラスのASであることに変わりはない。
兵装
- AM11 12.7mmチェーンガン
- 側頭部に2門装備された機銃。主に敵ASへの牽制や装甲車両などへの攻撃、ロケット弾などの迎撃に用いられる。発射速度は毎分1800発。劣化ウラン弾を用いていたが、終盤ではタングステン弾に変更されている。
- 液体炸薬による強制給弾方式を用いており、排莢口は無い。
- XM18 ワイヤーガン
- 前腕部、手首の下に設置されたワイヤーガン。岩盤やビルの壁面に打ち込んで機体の移動を補助するのが基本的な用法。
- このワイヤーは僅か10mm程度の直径しかないが、瞬間的には100t以上の荷重に耐えられるだけの強度を持っており、『燃えるワン・マン・フォース』ではサベージに乗った宗介が、大破したM9の残骸からこのワイヤーを引き出して使用し、攻撃ヘリを撃墜している。
- エリコン・コントラヴェスGDC-B 40mmライフル
- 本機の最も一般的な主武装で、毎分1200発の発射速度を持つ。この装備に用いられる40mm弾は対AS用に新規開発されたもので、最新の液体炸薬を使用したケースレス弾である。
- 通常は57mm散弾砲「ボクサー」を愛用する宗介も、この武器を使用したことがある。
- ボフォースASG96-B 57mm滑腔砲
- 主に狙撃などのバックアップに用いられる大口径ライフル(もっとも、滑腔砲であるこの武器にライフリングは施されていないため、厳密な意味でのライフルではない)。
- 40mmライフルと同様に新規開発された砲弾を運用するが、こちらは技術的にはオーソドックスなもの。
- 主にクルツが使用する。ただし原作では、より大口径の76mm狙撃砲を使用することの方が多い。
- ヒューズVGM-A2(M) 「ヴァーサイルII」多目的ミサイル
- 実は作中で殆ど使用されていない武装。なお、これ以外に、AS用に改修されたヘルファイアの運用が可能で、本編に登場したのもヘルファイアの方が先。
- レイセオン/ゼネラルエレクトリックK1 「ジャベリン」超高速ミサイル
- 弾頭に搭載された炸薬の爆発力ではなく、ミサイルそれ自体の持つ運動エネルギーで対象を破壊する運動エネルギーミサイル。同名の対戦車ミサイルとは別物である。
- 『戦うボーイ・ミーツ・ガール』でマオが使用した他、『つづくオン・マイ・オウン』でもベヘモスに向けて発射された。
- ロイヤル・オードナンスM1108 対戦車ダガー
- 刀身部分に炸薬を内蔵した投げナイフ。標的に突き刺さると爆発し、目標を内部から破壊する。対戦車ダガーと銘打っているが、ASに対しても十分な威力を持つ。
- ジオトロン・エレクトロニクスGRAW-2 単分子カッター
- AS用のオーソドックスな格闘用武装。刀身部分がチェーンソー状になっており、これによって敵機の装甲などを切断する。
- クルーゾーはこれよりも大型の、グルカナイフのような形状をした「IAI 『クリムゾンエッジ』単分子カッター」を使用している。また、『戦うボーイ・ミーツ・ガール』中でマオが刀剣状(ASと比べて)の単分子カッターを使用したことがある。
- AS用拳銃
- ASサイズの拳銃。肩アーマー部にマウントされる。
- XL-2 緊急展開ブースター
- 背部に装着することで短時間の飛行を可能とするブースター。アーバレストにも装備可能。短時間で敵地にASを投入する際に用いられ、パラシュートも内蔵されている。『踊るベリー・メリー・クリスマス』において、航空機で逃走した敵を追跡するために補助ブースターを満載した状態でアーバレストが装備した例があるが、本装備はあくまで短距離を低高度で短時間で移動するための装備であり、高高度を航空機のように長時間飛行することは当然ながら全く考慮されておらず、他のクルーから「クレイジーだ」と言われるほど例外的で無謀な使い方である。
- ITCC-5 統合戦術通信管制システム
- 指揮官機用の通信管制システム。味方機との強力なデータリンク機能を備えている他、このシステムに準拠した兵器であれば、如何なる兵器でも種類を問わず遠隔操作することが可能となる。『つづくオン・マイ・オウン』において、メリダ島に侵攻するベヘモスの部隊に対し、クルーゾーとマオの両名が無人のM6を初めとする兵器を遠隔操作して迎撃戦を展開した。
その他、アニメ版オリジナルエピソード「故郷に舞う風」では、AS用ショットガン(宗介の愛用するボクサーとは異なり、ストックの折り畳み機構がないもの)を装備した機体が確認できる。
作中での活躍
ミスリルの主力機として登場しており、主人公の宗介も初期はこの機体に搭乗していた。基本的にはARX-7 アーバレストの支援にまわることが多い。また、Rk-92 サベージ等の前世代機が相手ならば、苦も無く撃破する事ができるが、コダール等のラムダ・ドライバ搭載機が相手では苦戦は避けられず、大した抵抗もできずに破壊されることも多かった。ミスリル側が戦闘データの蓄積、及び分析と対応シミュレーションを練った結果として、『つどうメイク・マイ・デイ』においてはほぼ互角の戦闘が可能になってきている(ただし、ミスリル側の熟練した搭乗者の技能を考慮してだが)。
- 『戦うボーイ・ミーツ・ガール』
- ウィスパードの少女を救出したミスリル情報部員を回収するために、ハバロフスク近郊に宗介、クルツ、マオの三人が派遣されたシーンが最初の登場。このときは宗介機の背中に、要人輸送用バックパックを装備していた。また、墜落するMi-24ハインドから少女を守るために宗介がそれを受け止めるという離れ業を演じている(M6では不可能)。その後東京で、かなめの護衛任務についた際に、ECS不可視モードで運用された。また、北朝鮮(アニメ版では「ハンカ自治区」)にハイジャックされた際には、国連軍の名目で救出作戦に投入されている。この際、クルツ機がガウルンのコダールによって撃破された。
- 『疾るワン・ナイト・スタンド』
- 冒頭では、テロリスト養成キャンプ制圧作戦に運用された。また、テロ組織「A21」に対応するために、東京にマオ機が派遣されたが、タクマの操縦するベヘモスにより撃破されている。
- 『揺れるイントゥ・ザ・ブルー』
- ペリオ諸島を占拠したテロリスト(実際にはアマルガムの部隊)に対して、アーバレストと併せて5機のM9が投入された。この際は海中からの侵攻という手段を採ったため、水中行動用オプションを装備している。この際、マオ機がガウルンのコダールiによって撃破された。
- 『終わる・デイ・バイ・デイ』
- ベルファンガン・クルーゾー中尉の乗るM9D型(通称ファルケ)が、シチリア島でマフィアの追撃を受ける宗介達の救援に現れた。その後メリダ島で行われた演習(と称したラムダ・ドライバの実験)では、アーバレストを完膚無きにまで叩きのめしている。香港でヴェノムが出現し、無差別攻撃を行った際にはファルケを含む6機が投入された。その際にはスペック機が撃破され、クルーゾー機も右腕を失う(TV版では片脚)が全員が生還する。
- 『踊るベリー・メリー・クリスマス』
- 冒頭、南沙諸島の海賊の拠点を制圧する際にクルツとマオが搭乗した。これ以降、クルツ機にはラムダ・ドライバの発動を検知する妖精の目が搭載されている。
- 『つづくオン・マイ・オウン』
- アマルガムのメリダ島に対する攻撃に対してトゥアハー・デ・ダナンに配備された全機が出撃し、ベヘモス3機と交戦した。この際、マオ機とクルーゾー機にITCC-5 統合戦術通信管制システムが搭載された。3機のうち1機をクルツ達による波状攻撃によって撃破するが、その過程でスペック機が大破(搭乗者は死亡)し、さらに2機が中破する。さらにその後の戦闘でキャステロ機が大破(搭乗者は死亡)し、マオも機体を放棄する。TDD-1がメリダ島から脱出する際、ドック出口で待ち受けるベリアルに特攻するTDD-1に気を取られた所に、クルツ機とクルーゾー機が不意打ちの援護射撃を行い、全速力のTDD-1に激突されたベリアルは巨大な運動量で吹き飛ばされ破壊された。この際、帰艦を果たしたのはクルツ機とクルーゾー機のみだった。
- 『燃えるワン・マン・フォース』
- アマルガムの手がかりを求めて訪れたナムサクにおいて、アマルガムが催している賭け試合を突き止めた宗介が、アマルガムに投降して寝返ったミスリル地中海戦隊パルホーロンの元SRT要員、ジョージ・ラブロックが搭乗するM9と対戦し、ナミ[9]がカスタマイズしたサベージで撃破している。
- 『つどうメイク・マイ・デイ』
- テッサをはじめとする西太平洋戦隊の残存勢力によって3機が運用された他、作中では米陸軍特殊部隊仕様のM9が登場した。
- 本エピソードにおいては、対ラムダ・ドライバ搭載機の戦術が確立しつつある。クルーゾーがTDD-1と連携してコダールの撃破に成功したほか、マオやクルツも宗介の乗るM6との連携によって同様にコダールの撃破に成功している。
- 『せまるニック・オブ・タイム』
- つどうメイク・マイ・デイ同様、3機が運用されている。また連戦による消耗と物資不足が深刻化している状態にある。
- アフリカ北西部でアマルガムに対する抵抗の準備を整えていたエスティス少佐らミスリル残存部隊を援護するために、レーバテインと共に3機全てが出撃。敵の攻撃部隊を撤退させることに成功する。
- その後、秘密都市ヤムスク11へと潜入するテッサと宗介を援護するためクルツ機が後方にて待機していたが、宗介達がアマルガムの襲撃を受け、撤退の為にエリゴールの狙撃を行うが失敗し、反撃に遭い大破している。
- 『ずっとスタンド・バイ・ミー』
- 『せまるニック・オブ・タイム』の頃よりも補給状況が悪化しており、補修パーツの調達が不可能になってきていることから、ミスリル仕様のM9は間もなく姿を消すことになると示唆されている。
- マオ・クルーゾーらの部隊がアフガニスタン北東部の核ミサイル基地を無力化するため、輸送機に搭載されて現地へ向かった。その後、マオ機はサビーナ機と、クルーゾー機はファウラー機とそれぞれ交戦。
- マオ機は両腕を失うという致命的な状況に陥るが、基地の砲台にハッキングを仕掛けての砲撃と、戦場に突如現れたZy-98シャドウ(狙撃仕様)の援護によって作られた隙をつき、頭部チェーンガンの零距離射撃によりサビーナ機を破壊。同時にマオ機も大破し行動不能となった。
- クルーゾー機はファウラー機との激しい格闘戦の末に右腕と背部装甲を失うなど大破同然になるが、パラジウムリアクターのリミッターを解除し、対戦車ダガーを構えて相打ち覚悟の突撃を敢行。両機共に大破するがファウラーは死亡、クルーゾーは重傷を負いながらも辛うじて生き残った。
短編でも登場しており、『猫と仔猫のR&R』ではマオとテッサが喧嘩の末に模擬戦にこの機体を持ち出したことがある。ASに関してド素人のテッサはこの機体を全く操れず、最後は結局M6に乗ることになった。また、『わりとヒマな戦隊長の一日』では、マオがクリスマスパーティーの隠し芸のために整備クルーと協力して、AIによる自律駆動で2機のM9にダンスを踊らせようとしていたが、転倒により基地設備等を損傷してしまい、プロジェクトメンバー全員がテッサから減俸を喰らっている。
サイドアームズ1『よいこのじかん~マオおねえさんとアーム・スレイブにのってみよう~』では、ASの操縦資格を持たないヤンが、マオの指導の下でM9に実際に搭乗して教習を受けている。こちらはテッサのように醜態を晒すこともなく、無事に基本動作(立ち上がり、歩き、武器を持って、撃つ)の教習を済ませることが出来た。
脚注
- ^ 『フルメタル・パニック! アナザー』2巻 p289
- ^ 『フルメタル・パニック! 燃えるワン・マン・フォース』のp.152は約2500馬力とあるが、p.153には3300kWとある。
- ^ 『つどうメイク・マイ・デイ』において、米陸軍特殊部隊仕様のM9が登場した。こちらは、ミスリルで運用しているE系列機とは若干仕様が異なっていた。
- ^ 作者の賀東招二はM9の性能を「レイバーより強いがモビルスーツより弱い」、「デストロイドより強いがバトロイドより弱い」と評している。
- ^ ただし、2機搭載する場合は武装を放棄する必要がある。
- ^ イタレリ社からもXM9タイプが販売されていたが、評判はあまりよくない。
- ^ 賀東とデザイナーの海老名は「がっかりM9」と呼んでいる。『フルメタル・パニック! アナザー』1巻 p271
- ^ 『フルメタル・パニック! アナザー』1巻 p271
- ^ 一般人なら知るはずの無いASの構造を熟知し、ハードの修理に留まらず管制ソフトウェアの改造まで行っており、「オムニ・スフィア」にてかなめとも会話している事から、ウィスパードと推定される。
関連項目
- M9 ガーンズバック米軍仕様
- アメリカ軍に正式配備された第3世代AS。
- 先行して運用されていたミスリル仕様のM9 ガーンズバックとは外見と性能が大きく異なっている。
- 外見上の違いとしては、頭部カメラアイが細長いゴーグルタイプから単眼の大型カメラアイになった点、肩部の装甲板が廃された点などが挙げられる。
- パラジウムリアクターはロス&ハンブルトンAPR2500からジェネラルエレクトリック社のP101に変更され、出力が低下した代わりに作戦行動時間が延長されている。
- マッスルパッケージは金属材質とのハイブリッド式を採用し、防弾性能が強化されている。ただし、このタイプのマッスルパッケージは重量が増しているため、これによって若干運動性が低下した。
- 武装の面では頭部チェーンガンがオミットされた代わりに、右腕部にガトリングガン、左腕部にワイヤーガンを搭載。
- 頭部センサほか電子装備の強化が施され、さらにデータリンク能力も強化されている。
- 超高性能AIは簡易式のAIに変更され、システムのスリム化が図られた。更に、モーションマネージャをミスリル仕様からM6に近い設定に変更し、M6に慣れた操縦者にも機種転換がしやすいよう配慮されている。
- ミスリル仕様と比べダウングレードしているのは否定できないが、世界トップクラスの性能を誇っている。
- ただし、細くスマートだったミスリル仕様のM9と大きく異なり、全体的に太くガッチリとした外見に変化しているため、ミスリル仕様に愛着があるマオからは「こんな不細工でノロマなM9などM9ではない」と評されている。
- 標準仕様の他にも、M9A2を特殊部隊用に改良し、ミスリル仕様M9を上回るM9A2SOP『シグマ・エリート』などのバリエーション機が開発され、米軍を中心に運用されている。
- M9A1 ガーンズバック『アーマード』
- 防御力を重視したバリエーション。30ミリ砲弾や成形炸薬弾などをストップできるほどに装甲が強化されているが、代償として運動性が低下している。
- 米軍に配備されたM9はほとんどがこのA1、または運動性やECSの性能を高めたM9A2『エンハンスド』に改修されているが、冷戦終結の煽りを受けて軍事予算が削られたことで十分な数が調達できていない。その為、任務に応じた部隊配置を行うか、第2世代機のM6A1・A2とのハイ・ローミックス編成で数不足を補っている。
- M9A1E1 ガーンズバック『アーセナル』
- A1アーマードを改修し、火力・電子戦支援用機としたバリエーション。外見上の特徴は頭部の巨大なレーダードームであり、その他にも多数の装備が外付けされ、原型機の面影を失いつつある。
- 最大の威力を誇る武装は、セワード・アーセナル製155ミリ榴弾砲『AGS-3 デモリッションガンⅢ』である。ASの関節構造を応用した反動吸収システムとGPS誘導システムによって、威力もさる事ながら射程20kmの目標に対し誤差1mという驚異的な命中精度を誇る。その他、電子戦装備として『ITCC-6 統合戦術通信管制システム』を搭載。機体と独立したAIにより最大24機の味方ユニットを自動管制し、システムに準拠した6機の兵器を遠隔操縦することを可能とする。
- 同じ火力支援機のM6A2E2型とは違い、敵ASとの交戦にも充分耐えうる能力を備えるが、機体の価格自体が標準型M9の2倍近くすること、運用コストも上昇していることから、運用できる組織は限定される。さらに、第三世界において未だ主役である第2世代機のサベージやミストラル2に比べて明らかにオーバースペックであるため、調達数も少なめである。
- M9A2 ガーンズバック『エンハンスド』
- 防御力重視だった設計を従来の第3世代ASのコンセプトへと戻したバリエーション。
- 最大の特徴は従来のセミ・マスター・スレイブとは異なる操縦方式であるテイマー・システム。レバーを一定のパターンで動かすだけで熟練者の操縦するASと同じ動きをさせることができる。ただし、このシステムを嫌う熟練操縦者のためにセミ・マスター・スレイブ仕様に換装することもでき、作中で搭乗したミハイロフと三条姉弟はセミ・マスター・スレイブで動かした。その他、火器の保持用にサブアームが設けられており、腕のフレーム疲労を軽減する工夫も凝らされている。表向きに知られている第3世代ASとしては最強の地位にあり、伍することができるのはヴォルフのみと言われている。それでもミスリル仕様のM9には及ばない。