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「ラジコン模型自動車」の版間の差分

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2010年1月15日 (金) 06:36時点における版

ラジコン模型自動車またはRCカーとは、RC装置によって遠隔操作されている模型自動車である。

概容

  • RC模型自動車には、トイ(玩具)級とホビー級の、2段階がある。
  • 動力は、電動と内燃機関に大別される。
  • 電動車は、小型で強力な、ブラシ型またはブラシレス型モーターで駆動され、電源は充電式のニッケル・カドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウム電池である。
  • 大部分の小型内燃機関搭載車は、ニトロメタン、メタノール、オイル(カストル・オイルおよび合成オイル)の混合燃料を使い、「ニトロ車」と呼ばれる。
  • 最近、超大型車は、芝刈り機と同じ混合燃料の小型ガソリンエンジンを使う。
  • ニトロ車とガソリン車を「燃料車」と総称する。
  • 電動車は、一般にやさしいと言われるが、最高水準のものは燃料車同様に高度の技術と、高額な費用を必要とする。
  • 両車種ともに、オンロード車、オフロード車がある。オフロード車は、さまざまな路面状態に対応する専用のサスペンションを装備している。これに対し、オンロード車のサスペンションは、効果が限定され、さらには無しの場合もあり、滑らかな舗装面しか走れない。

トイ・グレードRC車

「トイ」または「トイ・グレードのRC車とは、完成車で、量販店や家電店に並んでいるものと言える。だから俗に「ラジオ・シャック(ゆっくり走る)車」と呼ばれる。 若い購買者を狙って、模型店に並べられるトイ・グレードRC車もあるが、一般的には子どものオモチャである。

トイRC車の利点

安価であることが最大の利点で、ホビー級の入門車に比べて50~100ドルは安い。 操縦は容易で、安全である。速度は20マイル/時以下で、多くは10~15マイル/時である。 走らせるまでの段取りも、ホビー級のうちで最も簡単なRTR(すぐに走れる:後述)車より容易である。 トイ級の車は、実車のスケールモデルであるが、ホビー級ではほとんどがそうではない。だから、ホビー級の車には付いていない細かい付属装置、たとえばヘッドライト、警笛、窓、ドア、フッド、内装などが実車のように装備され、作動する。中にはラジオやプレイヤーのような音響システムを搭載するものもある。 トイRC車の車種は、限りなく拡大され、普通車やトラックはもちろん、タンク、ブルドーザ、モーターサイクルなど、普通ではない形式・設計の車に及んでいる。

トイRC車の欠点

トイRC車の欠点は、設計や構造が粗末で、性能が悪く、安物で、スペア部品が無い点である。 サスペンションは全く付いていないか、付いていてもきわめて初歩的な形式である。 RCシステムに付いても同様で、ステアリング操作はプロポーショナルではく、「右いっぱい、中立、左いっぱい」の3つの舵角しか取れない。スロットルも、「停止」、「全速力」の2つだけである。走行性能も低い。 大部分の車が、非力な小型モーターを安価なアルカリ電池やニッカド電池で駆動しているため、最高速度は10~15マイル/時程度で、短時間で電池交換を必要とした。小型・軽量・強力なリチウム電池が使われるようになると、バッテリーの状態の表示灯も付き、性能は向上した。 通常、トイRC車の走行は、オンロードに限られている。オフロード的な外見であっても、実際には満足に走れない。 トイRC車の寿命は、壊れるまでで、修理は難しく、補修部品はほとんど売っていない。車に付属している取替え部品は、電池と充電器ぐらいで、主要取替え部品を揃えたメーカーは極めて少なく、納期も長い。無産機は、ホビー級のように標準化されていない。

ホビー・グレードRC車

最近、ホビー・グレードであるが、手間をかけずにすぐに走らせることが出来る「RTR(レディー・ツー・ラン)」RC車が、大きなメーカーから発売になっている。これは、「ARTR(オールモストRTR)」車でも手間を惜しむファンに受けている。 RTR車は、バッテリーを購入して装着する以外の手間が、全く、あるいはほとんどかからない。多くの場合、車体は塗装済みで、トリムも書き込まれている。 たくさんの乗用車やトラックが、RTR車として販売されている。RTR車の購買層の拡大につれて、メーカーはファンをその上級版のキット車に誘導しようとしている。キット車には、RC装置、モーター、スピードコントローラーは付属していない。

電動車

電動車のスピードコントローラーは、機械的に、あるいは電子的に、モーターに供給する電力を調整する。供給する電力の量は、発信器のスロットル位置に比例していて、トリガーを強く引くほど車は加速される。 機械式のスピードコントローラーは、たくさんのレジスターとスイッチの集まりで、接点を回転させるとレジスターが変わって電流が増減する。この形式は反応が遅く、レジスターの発熱によって効率が低下する傾向がある。また、汚れやすく、作動が間欠的で、微妙なブレーキ操作がやり難い。但し、電子式よりも安価で、旧型ホビー・グレード車に付いていることが多い。 電子式スピードコントロールは電子回路によって周波数を変え、モーターに供給する電流を調整する。また、多くはモーターを電磁ブレーキ化できるので、機械式よりもうまく車速をコントロールできる。

今までの電動車はブラシ型のモーターを搭載していたが、ブラシレス型モーターのほうが高出力でメインテナンスも簡単なので、大勢は移りつつある。 モーターは回転数あるいは「Kv」で格付けられている。Kv数値は「1ボルトあたりの回転数」を示す。駆動システムの出力性能は、使用バッテリーの性能に依存する。ブラシレス型モーターは強力であるので、超大型トラックや1/8縮尺バギーなどを電動車に改造するときにも利用される。

燃料車

ニトロメタン燃料エンジンの車は、スロットルにサーボをつないで加・減速を操作する。 サーボをある方向に回すと、キャブレターの上のスロットルが開き、混合気の吸入量を増やす。サーボを逆に回すと、ブレーキシューが押し付けられて摩擦を起こし、ブレーキがかかる。ブレーキは、駆動軸にかかり、2駆車は2輪に、4駆車は4輪が制動される。

エンジンの大きさは.12~.35立方インチのものが多い。この大きさは、RC車競技規定の制限に基づく。もっと大きな規格外エンジンも生産されているが、用途は公式競技以外であり、規則に関わり無く使用されている。 エンジンの大きさは競技級によって決められる。1/10縮尺の競争車は、オンロード、オフロードともに.12~.18エンジンを使う。1/8縮尺では.21~.32エンジンである。

ニトロ燃料車

燃料車は、特に改造しなくてもかなり速く走れる。最大出力は、エンジンの回転数が中速と最高速の間で発揮される。スロットルの反応は、電動車より鈍い。電動車は瞬間的にトルクを発揮するが、燃料車は実車のクラッチ接続時のようにもたつく。 ニトロ車など燃料車は、数秒の給油によって直ちにレースに復帰できるが、電動車はボディーを外してバッテリーの着脱を行なわなければならない。 燃料車は完全な空冷式になっていて、冷却するための中断をせずに連続走行できる。 ニトロ車は、平均的には電動車より大きい。電動車が高性能を発揮する大きさは1/10縮尺以下である。但し、両車種に同縮尺のものもある。

ニトロ車は2サイクル・エンジンであるから、電動モーター車よりもはるかに実車的な挙動をする。エンジン音や伝動装置が実車と似ていることは、ニトロ車の魅力である。 但し、排気中の油が車体にくっつくので電動車よりも汚れやすく、変成アルコールなどの溶剤をコンプレッサーで吹き付けて、たびたび洗車を行なう必要がある。 ニトロ車を調子よく走らせるには、RTR車の様な初歩的なものでも、エンジンを調子よく回し続け、燃費を抑え、エンジンの磨耗や過熱をさせないことを習得しなければならない。

基本性能が高く、長時間の走行を行なうために、ニトロ車の機械的な損耗は電動車よりも大きい。加えて、高速で重量が大きいために衝突のときのダメージは大きい。従って、安全面に強い配慮が払われている。ニトロ車は、大きな出力に起因する応力に対抗するために、丈夫に作られている。

ガソリン燃料車

ガソリン燃料車は、「燃料車」、「ガソリン車」などと呼ばれ、ガソリンとオイルの混合燃料を使用する。ニトロ、電動車に比べて、かなり(1000~3000ドル)高価である。 大型であるので、走行場所も広大になる。ニトロ車や電動車と比べて最高速度は特に高くは無く、強力ではあるが燃料はさほど食わない。 また、ニトロ燃料は高価であり、ニトロエンジンの寿命は短いので、その反対のガソリンエンジン車の費用はそれほど高く付かない。最近の10年は、ヨーロッパで大縮尺のスケール車に人気がある。

付属部品

RC模型自動車は、一般に追加部品を必要とする。 電動車では、バッテリーと充電器がないと走れない。高性能バッテリーパックの製作、上級の電子装置の組み付け、損失の少ない差込などには、ハンダこて一式が必要である。 ニトロ車では、グロープラグと燃料がないとエンジンが回らない。車載の電子装置の電源として、4AAサイズの電池または6ボルトのバッテリーパックが要る。また、エンジンをクランクして始動するために、プル・スタート装置、スターター・ボックス、バッテリー駆動のロトスタート、電気ドリルなどが要る。 ガソリン車ならば車載受信機用の電源と、始動装置(ほとんどがプル・スタート)だけで済む。 ホビー級のRC車では、発信器の電源として8AA電池が定番であるが、フタバ3PKSのように充電式のバッテリーパックを使う発信機もある。

ホビー級RC車が登場すると、それを追って大きなメーカーが改良版の部品を売り出す。改良の幅は、寿命の延長から全体的な性能向上まである。また、たくさんのモデラー自身が自分の改良版の部品をネット市場などに出す。

RTR車は、調整済みの状態で出荷されるから、そのままで良好なレース性能を発揮する。しかしながら、部品の緩みの検査は必要で、マニュアルにもそのように記されている。 キット車、半完成車の場合、組み立てと調整は所有者が自分で行なう必要があり、RC装置やエンジンも自分で買うことになる。

作動の原理

全てのRC車は、共通する操作・作動システム利用している。 まず、操縦者の手に発信器が必要である。操作形式としては、2本の操縦桿を使うものと、ピストル式トリガーで速度を操作し、丸いハンドルを回して方向を操作するものがある。 次に、車載された受信機が必要である。受信機は発信された信号を受けて、適当な電気信号に変換し、それを操作装置に送り出す。

大部分のRC装置は、送・受信機間の伝達に振幅変調方式を利用していた。進歩した装置では、より信頼性のある周派数変調方式やパルスコード変調方式を使っている。 受信機はこれらの送信を受けて、接続されている電子スピードコントロール装置、あるいはサーボ・メカニズム(いわゆる「サーボ」)を動かし、スロットル操作や操舵を行なう。車種によっては前進・後退も切り替えられる。 受信機は電気信号のパルスの幅を変えてスピードコントロールやサーボの操作を行なう。パルスの継続時間によって、スピードコントロールが動力モーターに送る電流を増減し、サーボの角度を操作・決定する。 サーボは、ステアリング機構に接続されていて、サーボが回転するとタイヤの向きを機械的に変更する。サーボと車輪の間は、ターンバックルによって調整できるようになっている。また、この接続にはサーボ・セーバー(安全装置)と呼ばれるフレキシブルな部分があり、車輪などにかかる衝撃を吸収して、サーボの歯車を保護している。

RC模型車の歴史

模型自動車競走の始まり

小型のニトロメタン燃料のエンジン(グロー・エンジン)が市販されるようになったのは、1940年代である。模型自動車を操縦する能力が芽生えたのも同様と言える。

初期の商品

淘汰されずに生き残り、後世の成長の元になった初期のRC車は、1960年代中ごろに出現した、イタリアのRoggio EmiliaのEl-Gi(Electronica-Giocattoli)社のものである。最初は1/12縮尺のフェラーリ250LM車で、イギリスでは1966年12月にロンドンで、「Motor Books and Accessories」 輸入のものが、1967年はじめにはスワンシーのAtkin’s 模型店経由のものが購入できた。 El-Gi社は、1967年初頭のミラノ・トイ・フェアに、1/10縮尺のフェラーリP4車を出品している。

1968年後半には、イギリス・ライセスターのMardave社が、RC社の商業生産に成功している。グロー・エンジン車で、1970年には一部地域で販売された。

1970年代には、アメリカの小企業がRC車に参入した。これらは、元はスロット・レーシング車のメーカーで、それが衰退したのでRC車の分野に鞍替えしたものである。 このグループには、Associated Electrics,Thorp,Dynamic,Taurus,Delta,Scorpionの各社がある。 このグループの初期のキットは、1/8縮尺のニトロ燃料車(当時は「ガス」と呼ばれた)で、アルミ・パン構造であった。エンジンは.21以下で、K&B、Veco、McCoyが多かった。 ボディーはポリカーボネート製で、Lexan社の製品が多かった。この種のRC車の競走を初めて組織・裁定した団体は、Remotely Operated Auto Racers(ROAR)である。 1973~4年にかけて、ワシントン州のJerobee社がCox049エンジンを使った1/12縮尺のニトロ燃料車を製造した。この車のために、後発メーカーがLexanの透明ボディー、ヒートシンク、大容量の燃料タンクなどの付属部品を製造・供給した。 1976~77年になると、Associated Electrics社がRC12E級を作って1/12縮尺車の電動レースを始めた。Jerobee社もJomac社になり、独自の電動車キットを製造した。

1970年代末になると、1/12縮尺の電動車レースの人気が、1/8縮尺燃料車同様に高くなった。当時は競技級が1つだけであったので、冬の競技シーズンを通して異質な両車が混走せざるを得なかった。そのために「ウインター・ナショナル・シリーズ」が開発され、成長し、自作車が多数登場した。

1976年になると日本のタミヤ社が、細かいところまで手の込んだプラスチック模型車のキットで参入した。発売されたシリーズは、エレガントで高度に細かくスケール化されていたが、機構的には単純なオンロード車であったが、「RCに適している」として販売された。 高価ではあったが、キットとそのRCシステムは急速に売れた。 タミヤ社は、すぐにもっと機能的なRC模型車を作り始め、最初に本物のサスペンションの付いたオフロード車を投入した。RC車の新分野であるオフロードへの進出の始まりで、RC車は舗装路面でなくても走れるようになり、ファンの人口を急増させることになった。タミヤ社の最初のオフロード車は1979年発売の、Sand ScorcherとRough Riderで、dune buggyの形を正確に再現している。タミヤ社は、実際に機能するサスペンション、強力なモーター、トレッド模様の付いたオフロードタイヤなどを装備した、dune buggy系の各種のオフロード車を増産した。さらに、実物どおりの3速ギヤ、リーフ・スプリング・サスペンションを装備した、トヨタ・ハイラックス・ピックアップ・トラックも生産した。これらの車は、実物感、耐久性、簡単な組み立て、改造や修理が容易などの特徴があり、1980年代前半に広く普及してブームをつくり、現在のRC車市場の基礎となった。 たくさん売れたタミヤ車の中には、デューン・バギー系のグラスホッパーやホーネット、巨大トラックのブラックフッやクラウドバスターがある。タミヤの初期のオフロード車は、古典RC車の収集家に狙われていて、ミント(組み立て前)状態だと3000ドルの値が付く。 このような人気が続いているので、タミヤ社は2005~2007年の間に多少の変更点のある復刻版を出している。

英社Schumacher Racingは1980年に初めて、あらゆる路面状況に対応できるような調整式のボール式差動装置を開発した。当時は、大部分のオンロード車の駆動軸は差動装置が付かない固定式であり、オフロード車は歯車式の差動装置を使っていた。 Team Associatedは、1984年にRC10級レーシングバギーに追随し採用した。(後記)

最近のRC競走の進歩

1984年に、カリフォルニア、コスタリカのAssociated Electrics社はRC10級オフロード電動バギー車を導入・採用した。この車種は、同社の従来のニトロ燃料のオンロード車とは別系統になる。高級なRC車であるので、当該車のシャシーは航空機級の電解アルミで作られている。ショックアブソーバーの同じアルミから機械加工された油圧式で、調整が出来る。サスペンション・コントロール・アームと3分割式の車輪は、耐高衝撃型ナイロンで作られている。

RC10級の車輪と伝導系には、オプション部品としてメタル・シールド式のボールベアリングが使われる。同級の伝導系の改良型作動装置は、硬化した鋼鉄リングが押し込まれたボールベアリングが付いていて、あらゆる路面状況に対して調整できる。 このようにして、RC10級は電動オフロード競走種目の主流になった。

1986年に、Schumacher Racing社がCAT(Competition All Terrain:全路面競技)車を発売した。当時の最良の4駆オフロードバギーレーサーといえる。 CAT車は、1987年のオフロード競技の世界選手権を取った。当該車は、電動オフロード競走を4駆に指向させるきっかけとなった。

カリフォルニアのパモナで結成されたTeam Losiは、バギー車JRX-2を開発し、当時も存続していたTeam  Associatedと対抗していた。それから実験を重ねて、最初の全天然ゴム製のタイヤ、最初のアメリカ製4駆バギー、新規格の1/18縮尺Mini-T型オフロード電動車などを開発した。

AssociatedとLosiはアメリカの市場に大きなシェアを持つに至ったが、2駆のオフロード競走車の分野では、テキサス系の米社(T-MAXX規格、REVO3.3規格)ならびに日本のキョーショー社も強かった。他方、ヨーロッパでは依然としてSchumacherのオフロード車に人気があった。

電動・内燃エンジンの両動力は、長く並立してきた。 電動モーターはブラシつきのモーターをニッカド電池で回す時代から、ブラシレス・モーターをリチウム電停で駆動するように進んだ。他方、内燃エンジンは大型化が進み、.32エンジンを巨大なトラックに装備するようになった。

関連項目

脚注