「船舶模型」の版間の差分
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===単純な楽しみのためのRC模型ボート=== |
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普通のホビー活動には電動のスポーツボートが多い。航行速度は、宣伝文にある「15マイル(24㎞)//時」よりはかなり低く、1回の充電による航続時間は10分以下である。この種のボートは、模型店・小売量販店などで玩具として販売されていて、使用者は性能向上の目的で改造することが多い。エンジン付ボートに比べると静粛で低速なので、一般の湖や池でも受け入れられる。ファンは、この種のボートで入門し、後述の高速電動ボートに進む。 |
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===スケールモデル=== |
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スケールモデルのボートとは、実物の船舶の縮小模型である。 |
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手に乗るくらいの小さなものから、100kg以上の巨大模型まで、さまざまな大きさがある。原型の図面や写真に基づき正確に製作されるが、作者のイメージや空想によって改造されることも多い。潜水艦のスケールモデルもある。 |
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===ヨット(帆船)=== |
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帆船とは、帆に作用する風の力で推進される船舶である。 |
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模型ヨットは、操縦者の手持ちのマルチ・チャンネル発信機と、船に乗せた受信機によって操縦される。発信機の2つの操縦桿を動かすと、それぞれの信号がある周波数の電波に乗った別のチャンネルで送信される。周波数は、操縦者/ボートごとに割り当てられ、複数の船が同時に操縦できる。 |
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船側では、受信機が上記の信号を受けて解読し、接続されている2つの電池式モーターあるいはサーボを動かす。サーボのひとつは]主帆・ジブ(前帆)の角度を同時に変更して、帆の向きを操作する。他のサーボは、舵の角度を変えて、船体の向きを操作する。 |
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===競技用ヨット=== |
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模型ヨットの競技帆走には、実艇と同様にISAF(International Sailing Federation)競技規定によって管理される。同規定のアペンディックスEに、RCスポーツのための特別規定がある。 |
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ISAF規定では4種のRC模型ヨットの競技を定めている。以下、大きさ順(小~大)に説明する。 |
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*インターナショナル・ワンメーター級(IOM級) |
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単艇身、全長1000㎜以下、喫水420㎜以下、重量4000g以上、帆装は3種に限定。 |
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競技力のあるヨットを自作できる仕様制限とされる。 |
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制作費が高価にならないように、船体は木またはグラスファイバー、マスト・ブームはアルミまたは木に限定される。 |
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*インターナショナル・マーブルヘッド級(M級) |
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全長1290㎜以下、喫水700㎜以下。6種の帆装が許されるが、高さは2200㎜以下。 |
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*インターナショナル・テンレーター級(10R級) |
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*インターナショナル・A級(A級) |
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最大の国際RC模型競技ヨット。 |
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以上の競技級に対置される、環境にやさしい入門種目として「ボトル・ボート」がある。これは清涼飲料の空きボトルの船体に、ごみ袋の帆をつけた廃棄物利用のものである。 |
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===競技用動力艇=== |
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原動機や船体の形式によって、何十種にも細分されている。 |
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国内・国際競技とも、直線と周回の競技コースが使われる。 |
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原動機には、電動・グローエンジン・蒸気機関・ガソリンエンジンなどがある。 |
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船体の形(船型)には、モノ・ハイドロプレーン・カタマラン・アウトリガー・エコなどがある。 |
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競技級は以上の区分に加えて、動力用電池の形式や本数、エンジンの大きさ(行程容積など)、細かい船型区分、プロペラの位置(水没・水面)などによって、さらに細分される。 |
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上記の動力で駆動される推進装置は、水中のプロペラ、空中の飛行機用プロペラ、水中ジェットなどである。 |
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通常は、次の2種類のチャンネルでRC操作する。 |
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ひとつは、舵・船外機・船尾推進装置の向きを変えて、船の針路をコントロールする。 |
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他は、スロットルの操作によって船の進行速度をコントロールする。 |
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スケールモデルの場合は、実物らしさを演出するために、上記に加えて霧笛を鳴らし、レーダーアンテナを回転させるなどの追加操作を行なう。また、高度に発達した競技ボートでは、競技走行中に空気と燃料の混合比を調整し、プロペラの高さ変えて推進する角度や水没の程度を調整している。 |
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工作の難易によって次の3種類に区分される。 |
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*RTR(レディー・ツー・ラン:すぐに走行できる)型。 |
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*ARTA(オールモスト・RTR:少しの手間で走行できる)型。 |
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*キット品。高性能な競技艇はキットから製作し、製作者は自分で受信機と各種装置をそれに組み込む。 |
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RC競走艇は、高い最大速度と操縦性を目標にしている。水面に任意にブイを設置して周回コースを作るから、さまざまな走り方に高速で対応できなければならない。一般的な周回コースは、長さ330フィート(100.6m)の直線を半径35フィート(10.7m)の円弧でつないだ楕円で、1周が1/6マイル(268m)になる。 |
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直線の速度記録を競うために、直線コースもある。ボートは出発ラインとゴールラインで光電式に計時され、その時間差と両ラインの間隔で速度が計算される。 |
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国際模型ボート協会(IMPBA)、北米模型ボート協会(NAMBA)は、夫々コース、競技規定、やり方などを定めている。 |
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操縦者がモーターボートに乗って模型ボートを追走しながら、海上を何キロも走行させるレースもある。さまざまなクラスの模型ボートが同時に走行し、計時によって各クラスの順位を決める。このような外洋レース艇のエンジンは内燃機関が使われる。 |
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短距離・高速型のレース、電動艇のレースは、静かな湖水などで行なう。電動艇の速度は80km/時、航続時間は10分に達し、直線100ヤード(91m)のスプリント・レースでは内燃エンジンと一緒に競技している。 |
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RCが普及する前には、Uコンのように索をつけた周回走行や、自由走行が行なわれていた。索つき周回速度の記録は、260km/時に達しているが、走行条件が違うのでRCボートの記録はそれに及ばない。 |
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===海戦競技=== |
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軍艦のRCの楽しみ方のひとつに、実際に弾丸を発射して海戦を行なう「コンバット競技」がある。弾丸は、BB、3/16、7/32、1/4サイズのボールベアリングで、ガスによって相手艦に向かって発射される。 |
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この競技のスケール軍艦は、危険の無い程度の弾丸でも穴が開くように、バルサ張りで作られ、修理しやすい簡単な構造である。競技によって常に沈没するわけで、浸水をくみ出すビルジポンプも備えている。 |
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===タグ・ボート(曳き船)=== |
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スケールモデルのタグ・ボートの推進・操舵システムは、実物どおりに再現されることが多い。たとえば、通常のプロペラと舵ならば、軸数・枚数は実物どおりであり、ベッカー方の舵、コルト型ノズル、ショッテル、Z-ドライブ、シュナイダー・プロペラなども原型にあわせて模型化される。 |
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タグ・ボートの競技は、操船による運動の実物らしさを採点する。運動は、タグ・ボート単独の場合と、艀(はしけ)を曳いた場合と両方が採点される。 |
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模型タグ・ボートは、正確な運動性を利用して、撮影カメラを搭載することもある。 |
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=== 潜水艦 === |
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国内外のメーカーから発売されている。国内ではトイラジとして赤外線や電波で操縦するものが複数ある。海外のメーカーでは本格的な実物同様の構造を持つものもある。国産でも一部のメーカー製品にはトイラジでもトリムタンクを備える本格的な物もある。愛好家が作ったものの中には水中映像撮影用のビデオカメラを搭載できるものや魚雷や[[水ロケット]]等による弾道ミサイル発射等のギミックを備えるものもある。潜航舵を使用して前進時に潜る物や垂直上下用のスクリューを使用する物やトリムタンクを使用するものがある。近年は各地で競技会も開催される。<ref>[http://www.keep-on.jp/rcsub RC潜水艦総合サイト]</ref> |
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== 脚注 == |
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== 関連項目 == |
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2010年1月15日 (金) 06:20時点における版
船舶模型(せんぱくもけい)とは船舶の形状を模した模型である。
概要
船舶を建造する企業が完成品を見せるための精密な物、鑑賞用の物やRC装置で運転を楽しむ物や水槽で実験する時に使用される物がある。
ラジコン船舶模型
ラジコン船舶模型または、ラジオ・コントロール模型ボートとはRC装置によって遠隔操作されている模型ボート・船舶である。
単純な楽しみのためのRC模型ボート
普通のホビー活動には電動のスポーツボートが多い。航行速度は、宣伝文にある「15マイル(24㎞)//時」よりはかなり低く、1回の充電による航続時間は10分以下である。この種のボートは、模型店・小売量販店などで玩具として販売されていて、使用者は性能向上の目的で改造することが多い。エンジン付ボートに比べると静粛で低速なので、一般の湖や池でも受け入れられる。ファンは、この種のボートで入門し、後述の高速電動ボートに進む。
スケールモデル
スケールモデルのボートとは、実物の船舶の縮小模型である。 手に乗るくらいの小さなものから、100kg以上の巨大模型まで、さまざまな大きさがある。原型の図面や写真に基づき正確に製作されるが、作者のイメージや空想によって改造されることも多い。潜水艦のスケールモデルもある。
ヨット(帆船)
帆船とは、帆に作用する風の力で推進される船舶である。 模型ヨットは、操縦者の手持ちのマルチ・チャンネル発信機と、船に乗せた受信機によって操縦される。発信機の2つの操縦桿を動かすと、それぞれの信号がある周波数の電波に乗った別のチャンネルで送信される。周波数は、操縦者/ボートごとに割り当てられ、複数の船が同時に操縦できる。 船側では、受信機が上記の信号を受けて解読し、接続されている2つの電池式モーターあるいはサーボを動かす。サーボのひとつは]主帆・ジブ(前帆)の角度を同時に変更して、帆の向きを操作する。他のサーボは、舵の角度を変えて、船体の向きを操作する。
競技用ヨット
模型ヨットの競技帆走には、実艇と同様にISAF(International Sailing Federation)競技規定によって管理される。同規定のアペンディックスEに、RCスポーツのための特別規定がある。
ISAF規定では4種のRC模型ヨットの競技を定めている。以下、大きさ順(小~大)に説明する。
- インターナショナル・ワンメーター級(IOM級)
単艇身、全長1000㎜以下、喫水420㎜以下、重量4000g以上、帆装は3種に限定。 競技力のあるヨットを自作できる仕様制限とされる。 制作費が高価にならないように、船体は木またはグラスファイバー、マスト・ブームはアルミまたは木に限定される。
- インターナショナル・マーブルヘッド級(M級)
全長1290㎜以下、喫水700㎜以下。6種の帆装が許されるが、高さは2200㎜以下。
- インターナショナル・テンレーター級(10R級)
- インターナショナル・A級(A級)
最大の国際RC模型競技ヨット。
以上の競技級に対置される、環境にやさしい入門種目として「ボトル・ボート」がある。これは清涼飲料の空きボトルの船体に、ごみ袋の帆をつけた廃棄物利用のものである。
競技用動力艇
原動機や船体の形式によって、何十種にも細分されている。 国内・国際競技とも、直線と周回の競技コースが使われる。 原動機には、電動・グローエンジン・蒸気機関・ガソリンエンジンなどがある。 船体の形(船型)には、モノ・ハイドロプレーン・カタマラン・アウトリガー・エコなどがある。 競技級は以上の区分に加えて、動力用電池の形式や本数、エンジンの大きさ(行程容積など)、細かい船型区分、プロペラの位置(水没・水面)などによって、さらに細分される。 上記の動力で駆動される推進装置は、水中のプロペラ、空中の飛行機用プロペラ、水中ジェットなどである。
通常は、次の2種類のチャンネルでRC操作する。 ひとつは、舵・船外機・船尾推進装置の向きを変えて、船の針路をコントロールする。 他は、スロットルの操作によって船の進行速度をコントロールする。 スケールモデルの場合は、実物らしさを演出するために、上記に加えて霧笛を鳴らし、レーダーアンテナを回転させるなどの追加操作を行なう。また、高度に発達した競技ボートでは、競技走行中に空気と燃料の混合比を調整し、プロペラの高さ変えて推進する角度や水没の程度を調整している。
工作の難易によって次の3種類に区分される。
- RTR(レディー・ツー・ラン:すぐに走行できる)型。
- ARTA(オールモスト・RTR:少しの手間で走行できる)型。
- キット品。高性能な競技艇はキットから製作し、製作者は自分で受信機と各種装置をそれに組み込む。
RC競走艇は、高い最大速度と操縦性を目標にしている。水面に任意にブイを設置して周回コースを作るから、さまざまな走り方に高速で対応できなければならない。一般的な周回コースは、長さ330フィート(100.6m)の直線を半径35フィート(10.7m)の円弧でつないだ楕円で、1周が1/6マイル(268m)になる。
直線の速度記録を競うために、直線コースもある。ボートは出発ラインとゴールラインで光電式に計時され、その時間差と両ラインの間隔で速度が計算される。
国際模型ボート協会(IMPBA)、北米模型ボート協会(NAMBA)は、夫々コース、競技規定、やり方などを定めている。
操縦者がモーターボートに乗って模型ボートを追走しながら、海上を何キロも走行させるレースもある。さまざまなクラスの模型ボートが同時に走行し、計時によって各クラスの順位を決める。このような外洋レース艇のエンジンは内燃機関が使われる。 短距離・高速型のレース、電動艇のレースは、静かな湖水などで行なう。電動艇の速度は80km/時、航続時間は10分に達し、直線100ヤード(91m)のスプリント・レースでは内燃エンジンと一緒に競技している。
RCが普及する前には、Uコンのように索をつけた周回走行や、自由走行が行なわれていた。索つき周回速度の記録は、260km/時に達しているが、走行条件が違うのでRCボートの記録はそれに及ばない。
海戦競技
軍艦のRCの楽しみ方のひとつに、実際に弾丸を発射して海戦を行なう「コンバット競技」がある。弾丸は、BB、3/16、7/32、1/4サイズのボールベアリングで、ガスによって相手艦に向かって発射される。 この競技のスケール軍艦は、危険の無い程度の弾丸でも穴が開くように、バルサ張りで作られ、修理しやすい簡単な構造である。競技によって常に沈没するわけで、浸水をくみ出すビルジポンプも備えている。
タグ・ボート(曳き船)
スケールモデルのタグ・ボートの推進・操舵システムは、実物どおりに再現されることが多い。たとえば、通常のプロペラと舵ならば、軸数・枚数は実物どおりであり、ベッカー方の舵、コルト型ノズル、ショッテル、Z-ドライブ、シュナイダー・プロペラなども原型にあわせて模型化される。 タグ・ボートの競技は、操船による運動の実物らしさを採点する。運動は、タグ・ボート単独の場合と、艀(はしけ)を曳いた場合と両方が採点される。 模型タグ・ボートは、正確な運動性を利用して、撮影カメラを搭載することもある。
潜水艦
国内外のメーカーから発売されている。国内ではトイラジとして赤外線や電波で操縦するものが複数ある。海外のメーカーでは本格的な実物同様の構造を持つものもある。国産でも一部のメーカー製品にはトイラジでもトリムタンクを備える本格的な物もある。愛好家が作ったものの中には水中映像撮影用のビデオカメラを搭載できるものや魚雷や水ロケット等による弾道ミサイル発射等のギミックを備えるものもある。潜航舵を使用して前進時に潜る物や垂直上下用のスクリューを使用する物やトリムタンクを使用するものがある。近年は各地で競技会も開催される。[1]