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「音名と階名」の版間の差分

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音名階名を統合
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[[Category:音楽理論]]
[[Category:音楽理論]]
[[Category:音楽用語]]
[[Category:音楽用語]]


{{統合提案|階名|音名・階名表記|音名・階名表記|date=2009年5月}}

'''音名'''('''おんめい''')とは、[[音楽]]において用いられる[[音高|音の高さ]]の呼び名である。

==西洋音楽における音名==
西洋音楽では、各[[オクターブ]]の[[記譜法#五線記譜法|楽譜]]上の音の高さに対して、音名が与えられる。従って、[[階名]]に比べ、より絶対的な音の高さを示すということができる。楽譜上、オクターブの中には音が7つあるから、それら7つの音にそれぞれ固有の名前が与えられる。この7つは上下のオクターブで繰り返されるから、オクターブの関係にある音同士は同じ音名を持つ。また、[[変化記号|♯や♭]]のつく音には、♯や♭を示す語が付け加えられる。

===言語ごとの音名===
音名の付け方は言語によって異なる。
*[[英語]]では音名にAからGまでのアルファベットを下から上に順に与えた。ただし、現在では、Aをオクターブの開始音とせず、Cを開始音として、順次上に、D、E、F、G、A、Bと呼んでいる。[[ドイツ語]]ではBの代わりにHを用いる。[[日本語]]では、英語のアルファベットのかわりに[[イロハ]]を用い、Cに相当するハから、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロとする。
*[[イタリア語]]や[[フランス語]]では、『[[聖ヨハネの夕べの祈り]]』の歌詞に基づいて、下から上にUt、Re、Mi、Fa、Sol、Laが決められ、後にイタリア語ではUtがDoになり、LaのあとにSiが加えられた。UtはCに相当する。
*[[ロシア語]]では、フランス語に準ずる。
*♯や♭は、英語やイタリア語、フランス語では、それぞれの呼び名を後に付け加える。日本語では嬰、変などを前に置く。ドイツ語は、-isや-esを語尾として加えるのが原則であるが、♭系は不規則であるため、別表を設けた。

日本では、クラシック音楽ではドイツ語、ポピュラー音楽では英語、教育やフォーマルな文書では日本語が多い。イタリア音名は[[階名]]に用いられるため音名としては避けられるが、実際にはわかりやすいため、'''Sol'''を'''So'''としたものが初心者向けでは多く用いられる。フランス音名は日本ではほとんど用いられない。

{|class="wikitable"
|-
!colspan="8"|
!♯
![[画像:Doublesharp001.png]]
!♭
![[画像:Doubleflat.png]]
|-
![[日本語|日]]
|ハ
|ニ
|ホ
|ヘ
|ト
|イ
|ロ
|嬰<br /><small><small>えい</small></small>
|重嬰<br /><small><small>じゅうえい</small></small>
|変<br /><small><small>へん</small></small>
|重変<br /><small><small>じゅうへん</small></small>
|-
![[英語|英]]
|C<br /><small><small>スィー</small></small>
|D<br /><small><small>ディー</small></small>
|E<br /><small><small>イー</small></small>
|F<br /><small><small>エフ</small></small>
|G<br /><small><small>ジー</small></small>
|A<br /><small><small>エイ</small></small>
|B<br /><small><small>ビー</small></small>
|sharp<br /><small><small>シャープ</small></small>
|double sharp <br /><small><small>ダブル シャープ</small></small>
|flat<br /><small><small>フラット</small></small>
|double flat <br /><small><small>ダブル フラット</small></small>
|-
![[イタリア語|伊]]
|Do<br /><small><small>ド</small></small>
|Re<br /><small><small>レ</small></small>
|Mi<br /><small><small>ミ</small></small>
|Fa<br /><small><small>ファ</small></small>
|Sol<br /><small><small>ソル</small></small>
|La<br /><small><small>ラ</small></small>
|Si<br /><small><small>スィ</small></small>
|diesis<br /><small><small>ディエズィス</small></small>
|doppio diesis <br /><small><small>ドッピオ ディエズィス</small></small>
|bemolle<br /><small><small>ベモッレ</small></small>
|doppio bemolle<br /><small><small>ドッピオ ベモッレ</small></small>
|-
![[フランス語|仏]]
|Ut/Do<br /><small><small>ユト/ド</small></small>
|Ré<br /><small><small>レ</small></small>
|Mi<br /><small><small>ミ</small></small>
|Fa<br /><small><small>ファ</small></small>
|Sol<br /><small><small>ソル</small></small>
|La<br /><small><small>ラ</small></small>
|Si<br /><small><small>スィ</small></small>
|dièse<br /><small><small>ディエーズ</small></small>
|double dièse<br /><small><small>ドゥーブル ディエーズ</small></small>
|bémol<br /><small><small>ベモル</small></small>
|double bémol<br /><small><small>ドゥーブル ベモル</small></small>
|-
![[ロシア語|露]]
|До<br /><small><small>ド</small></small>
|Ре<br /><small><small>レ</small></small>
|Ми<br /><small><small>ミ</small></small>
|Фа<br /><small><small>ファ</small></small>
|Соль<br /><small><small>ソル</small></small>
|Ля<br /><small><small>ラ</small></small>
|Си<br /><small><small>スィ</small></small>
|диез<br /><small><small>ディエーズ</small></small>
|дубль диез <br /><small><small>ドゥーブル ディエーズ</small></small>
| бемоль<br /><small><small>ベモル</small></small>
|дубль бемоль <br /><small><small>ドゥーブル ベモル</small></small>
|-
![[ドイツ語|独]]
|C<br /><small><small>ツェー</small></small>
|D<br /><small><small>デー</small></small>
|E<br /><small><small>エー</small></small>
|F<br /><small><small>エフ</small></small>
|G<br /><small><small>ゲー</small></small>
|A<br /><small><small>アー</small></small>
|H<br /><small><small>ハー</small></small>
|<small>~</small>is<br /><small><small>|Cis<br /><small><small>ツィス</small></small><br />Dis<br /><small><small>ディス</small></small><br />Eis<br /><small><small>エイス</small></small><br />Fis<br /><small><small>フィス</small></small><br />Gis<br /><small><small>ギス</small></small><br />Ais<br /><small><small>アイス</small></small><br />His<br /><small><small>ヒス</small></small>
|Cisis<br /><small><small>ツィスィス</small></small><br />Disis<br /><small><small>ディスィス</small></small><br />Eisis<br /><small><small>エイスィス</small></small><br />Fisis<br /><small><small>フィスィス</small></small><br />Gisis<br /><small><small>ギスィス</small></small><br />Aisis<br /><small><small>アイスィス</small></small><br />Hisis<br /><small><small>ヒスィス</small></small>
|Ces<br /><small><small>ツェス</small></small><br />Des<br /><small><small>デス</small></small><br />Es<br /><small><small>エス</small></small><br />Fes<br /><small><small>フェス</small></small><br />Ges<br /><small><small>ゲス</small></small><br />As<br /><small><small>アス</small></small><br />B<br /><small><small>ベー</small></small>
|Ceses<br /><small><small>ツェセス</small></small><br />Deses<br /><small><small>デセス</small></small><br />Eses<br /><small><small>エセス</small></small><br />Feses<br /><small><small>フェセス</small></small><br />Geses<br /><small><small>ゲセス</small></small><br />Asas/Ases<br /><small><small>アサス/アセス</small></small><br />Heses/Bes/BB<br /><small><small>ヘセス/ベス/ドッペル ベー (ベーベー)</small></small>
|-
|}

===オクターブ===
オクターブを区別する必要があるときには、数字などを用いて区別する。あまり頻繁に用いられるものでないせいか、いくつかのシステムがあり一定しない。現在、電子楽器等をはじめ最も一般的に用いられているのは、英語の音名と組み合わせて、中央オクターブ([[中央ハ]]から半音11個上の[[ロ (音名)|ロ]]まで)を'''4'''とするものである。中央ハを'''C4'''、そこから半音11個上のロを'''B4'''とする。数字が大きいほど高いオクターブを示すので、B4を半音上げると'''C5'''、C4を半音下げると'''B3'''となる。日本では、日本語の音名と組み合わせて、中央オクターブを「一点」とする言い方も伝統的に用いられている。この場合、その1オクターブ上は「二点」、1オクターブ下は「片仮名」、2オクターブ下は「平仮名」、3オクターブ下は「下一点」となる。また、ドイツ語の音名と組み合わせて、中央オクターブを'''<sup>1</sup>'''とする言い方もある。この場合、その1オクターブ上は'''<sup>2</sup>'''、1オクターブ下は「小文字」、2オクターブ下は「大文字」、3オクターブ下は'''<sub>1</sub>'''となる。詳しくは[[音名・階名表記#オクターブ表記|音名・階名表記]]を参照のこと。

===音名と振動数===
中央オクターブに含まれるA4を[[音波]]の[[振動数]]で440[[ヘルツ|Hz]]を基準として440Hzから445Hzくらいに[[チューニング (音楽)|合わせる]]。ただし、古くは415Hzくらいに合わせられていたこともあると言われる。このことから分かるように、楽譜、音名と音波の振動数との対応はある程度自由に変更が可能である。この点において音名は音高の間の相対的な関係を示すシステムである。

==中国・日本の伝統音楽の音名==
中国や日本では、音名のことを律名という。
*中国では、オクターブ内に[[半音]]ごとに置かれた12の音にそれぞれ名前が付いており、[[十二律]]と呼ばれる。基準音を黄鐘(こうしょう)として、そこから順に[[半音]]ずつ上昇して、大呂(たいりょ)・太簇(たいそく)・夾鐘(きょうしょう)・姑洗(こせん)・仲呂(ちゅうりょ)・莚賓(すいひん)・林鐘(りんしょう)・夷則(いそく)・南呂(なんりょ)・無射(ぶえき)・応鐘(おうしょう)と呼ぶ。基準音である黄鐘の[[音高]](ピッチ)は時代によって異なり、A=440Hzとしたとき、周・漢代にはG、唐代の[[雅楽]]ではC、[[俗楽]]ではD、明代にはGと変遷しており、現代ではDに相当している。
{|class="wikitable"
|-style="background-color:#e0e0e0;"
|黄鐘||大呂||太簇||夾鐘||姑洗||仲呂||莚賓||林鐘||夷則||南呂||無射||応鐘
|-
|D||D#||E||E#||F#||F##||G#||A||A#||B||B#||C#
|}
*日本では、A=440Hzとしたときの、ほぼDに相当するものを、雅楽では壱越(いちこつ)と呼び、そこから順に[[半音]]ずつ上昇して、断金(たんきん)・平調(ひょうじょう)・勝絶(しょうせつ)・下無(しもむ)・雙調(そうじょう)・鳧鐘(ふしょう)・黄鐘(おうしき)・鸞鏡(らんけい)・盤渉(ばんしき)・神仙(しんせん)・上無(かみむ)と呼ぶ。俗楽では一本 (A) ~十二本 (G#) と呼ぶ。
{|class="wikitable"
|-style="background-color:#e0e0e0;"
|壱越||断金||平調||勝絶||下無||双調||鳧鐘||黄鐘||鸞鏡||盤渉||神仙||上無
|-style="background-color:#e8e8e8;"
|六本||七本||八本||九本||十本||十一本||十二本||一本||二本||三本||四本||五本
|-
|D||D#||E||E#||F#||F##||G#||A||A#||B||B#||C#
|}

また、それぞれの楽器によって、その楽器の演奏法などに即した独自の音名がある。

==ノートナンバー==
音名ではないが、電子楽器の事実上の標準である[[MIDI]]では、中央ハを60 (C4) として低い音から半音ごとに0 (C-1) から127 (G9) までの128個の数字で音の高さを表し、これをノートナンバーと呼んでいる。128というと少なく感じるかも知れないが、一般的な[[ピアノ]]の鍵盤が88であることを考えると十分である。ちなみに、88鍵のピアノの最低音A0は21、最高音C8は108になる。

==教育音楽における音名==
[[教育音楽]]において[[1970年]]ごろ、[[西塚智光]] (1939-) は、1つの音には1つの音名があるべきとして、イタリア式音名を元に次のような音名を提唱した。これにより、[[異名同音]]がなくなる。[[小学生]]が[[メロディ]]をドレミで歌うときや、[[リコーダー]]等の[[楽器]]を演奏するときに、同じ音なのに異なる音名を用いて、歌い間違えたり指使いが混乱するのを避ける効果がある。西塚式の音名は、階名としても用いられる。しかし、実際の音楽教育の場ではほとんど普及していない。
{|style="text-align:center;" class="wikitable"
|+西塚式の音名の対応関係
|-
!鍵盤!!英語式!!独語式!!西塚式
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||C||C||ド (Do)
|-
|style="background-color:#000000;"| ||C#/Db||Cis/Des||デ (De)
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||D||D||レ (Re)
|-
|style="background-color:#000000;"| ||D#/Eb||Dis/Es||リ (Ri)
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||E||E||ミ (Mi)
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||F||F||ファ (Fa)
|-
|style="background-color:#000000;"| ||F#/Gb||Fis/Ges||フィ (Fi)
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||G||G||ソ (So)
|-
|style="background-color:#000000;"| ||G#/Ab||Gis/As||サ (Sa)
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||A||A||ラ (La)
|-
|style="background-color:#000000;"| ||A#/Bb||Ais/B||チ (Chi)
|-
|style="background-color:#ffffff;"| ||B||H||シ (Si)
|}
*E#/Eisは「ファ」、Fb/Fesは「ミ」、C##/Cisisは「レ」、Fbb/Fesesは「リ」となる。
*白鍵の音はイタリア式音名をそのまま用いる(Gは「ソ (So) 」)。
*黒鍵の音は半音下の音名の子音と半音上の音名の母音を組み合わせる(「フィ」、「チ」は例外)。

==関連記事==
{{Wikibooks|音名|音名}}
{{Wiktionary|音名}}
*[[階名]]
*[[音名・階名表記]]
*[[音階]]

{{DEFAULTSORT:おんめい}}
[[Category:音楽理論]]
[[Category:音名|*]]
[[Category:音楽用語]]

[[de:Stammton]]
[[et:Alusheli]]
[[ko:음이름]]
[[nl:Stamtoon]]
[[zh:音名]]



{{統合提案|音名|音名・階名表記|音名・階名表記|date=2009年5月}}


{{redirect|ファ|アニメ『[[機動戦士Ζガンダム]]』及び『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』の登場人物|ファ・ユイリィ}}
'''階名''' ('''かいめい''') とは、[[音名]]が[[記譜法#五線記譜法|楽譜]]に対して絶対的な[[音高|音の高さ]]に従って付けられている音の名前であるのに対し、[[主音]]との関係によって[[音階]]の各音に付けられた名前である。一般にイタリア音名を流用する。

[[長調]]にあっては、主音を'''ド'''とし、上に向かって以下'''レ'''、'''ミ'''、'''ファ'''、'''ソ'''、'''ラ'''、'''シ'''と名付ける。

[[短調]]にあっては、主音を'''ラ'''とし、上に向かって以下'''シ'''、'''ド'''、'''レ'''、'''ミ'''、'''ファ'''、'''ソ'''と名付ける場合と、長調と同様に、主音を'''ド'''とする場合がある。日本では前者が一般的である。前者は、同じ[[全音階]]を使う長調と短調(この関係を[[平行調]]と呼ぶ)が共通の階名を使うことができる(全音階の各音に固定した階名を与えることができる)メリットがある反面、音階の各音の性格を明確に表すという本来の階名のメリットがあいまいになるデメリットがある。

階名で歌うことを'''階名唱法'''と呼び、また、ドが音名に対して移動するので'''移動ド唱法'''と呼ぶことがある。これに対して、音名で歌うことを'''音名唱法'''、'''固定ド唱法'''と呼ぶ。移動ドと固定ドのどちらが有利であるかという議論は古くからあり、決着を見ることがないが、移動ドの方が理論的であると言われながら、実際には固定ドの方が多く使われているのが現状である。おおざっぱに言って歌唱には移動ドが、楽器演奏には固定ドが適しているようである。

[[トニックソルファ]]の場合は別として、音名と異なり、階名の各音に♯や♭が付いたり、[[調号]]の付いた音に [[画像:Narural001.png]] が付いたりしても、それを言い表すことはしないのが普通である。

主音がドであったりラであったりすることによる混乱を避けるためには、数字が用いられる。この場合、主にローマ数字の小文字を使い、主音から上に向かってi、ii、iii、iv、v、vi、viiとする。

==関連項目==
*[[音名・階名表記]]
*[[:en:Solfege#Tonic_Sol-fa|トニックソルファ]]

{{DEFAULTSORT:かいめい}}
[[Category:音楽理論]]
[[Category:音楽用語]]

[[da:Relativ solmisation]]
[[en:Tonic sol-fa]]
[[ko:계이름]]
[[zh:唱名]]

2009年6月13日 (土) 05:13時点における版

音名・階名表記(おんめい・かいめいひょうき)

このページは西洋音楽における音の高さの書き表し方、および国ごとに異なるその言い表し方の一覧である。前者では音度・音名階名について、後者では日・米英・独・伊・仏式について述べる。

音名(おんめい)は絶対的な音の高さを表す。異なるオクターブに属する同じ音には同じ音名が与えられる。すなわち、ちょうど1オクターブ異なる音には同じ名前が与えられる。ただし、後述のように、音名は楽譜の書き方に依存するので、楽譜の書き方が異なれば、同じ高さの音が出る場合でも、異なる音名となる。日本では音名に日本語の他、英語ドイツ語が多く用いられ、国際的にはその他にイタリア語フランス語も広く使われる。7つの幹音(かんおん、楽譜上、♯や♭を付けずに書き表せる音)には独立した名前が与えられる。そして、派生音(はせいおん、♯や♭の付く音)には、幹音の音名に♯や♭を表す言葉を付け加える。また、オクターブを示す言葉を添える場合もある。

階名(かいめい)は、主音に対する相対的な高さを表す言葉である。階名には一般にイタリア語を用いる。階名にあっては、調にかかわらず主音は常にDoである。ただし、短調の場合には主音をLaとすることが多い。また、数字(ローマ数字)を用いることもあるが、この場合、主音は常に i である。


各国の音名・階名表記

日本式表記

嬰ハ 嬰ニ 嬰ホ 嬰ヘ 嬰ト 嬰イ 嬰ロ
重嬰ハ 重嬰ニ 重嬰ホ 重嬰ヘ 重嬰ト 重嬰イ 重嬰ロ
変ハ 変ニ 変ホ 変ヘ 変ト 変イ 変ロ
重変ハ 重変ニ 重変ホ 重変ヘ 重変ト 重変イ 重変ロ
C D E F G A B
C sharp D sharp E sharp F sharp G sharp A sharp B sharp
C double sharp D double sharp E double sharp F double sharp G double sharp A double sharp B double sharp
C flat D flat E flat F flat G flat A flat B flat
C double flat D double flat E double flat F double flat G double flat A double flat B double flat

ドイツ式表記

C D E F G A H
Cis Dis Eis Fis Gis Ais His
Cisis Disis Eisis Fisis Gisis Aisis Hisis
Ces Des Es Fes Ges As Hes/B
Ceses Deses Eses Feses Geses Asas/Ases Heses/Bes/BB

イタリア式表記

Do Re Mi Fa Sol La Si
Do diesis Re diesis Mi diesis Fa diesis Sol diesis La diesis Si diesis
Do doppio diesis Re doppio diesis Mi doppio diesis Fa doppio diesis Sol doppio diesis La doppio diesis Si doppio diesis
Do bemolle Re bemolle Mi bemolle Fa bemolle Sol bemolle La bemolle Si bemolle
Do doppio bemolle Re doppio bemolle Mi doppio bemolle Fa doppio bemolle Sol doppio bemolle La doppio bemolle Si doppio bemolle

フランス式表記

Ut (Do) Mi Fa Sol La Si
Ut(Do) dièse Ré dièse Mi dièse Fa dièse Sol dièse La dièse Si dièse
Ut(Do) double dièse Ré double dièse Mi double dièse Fa double dièse Sol double dièse La double dièse Si double dièse
Ut(Do) bémol Ré bémol Mi bémol Fa bémol Sol bémol La bémol Si bémol
Ut(Do) double bémol Ré double bémol Mi double bémol Fa double bémol Sol double bémol La double bémol Si double bémol

中国式表記

C D E F G A B
升C 升D 升E 升F 升G 升A 升B
重升C 重升D 重升E 重升F 重升G 重升A 重升B
降C 降D 降E 降F 降G 降A 降B
重降C 重降D 重降E 重降F 重降G 重降A 重降B

十二律式表記

黄鐘 太簇 姑洗 仲呂 林鐘 南呂 応鐘
大呂 夾鐘 仲呂 蕤賓 夷則 無射 黄鐘
太簇 姑洗 蕤賓 林鐘 南呂 応鐘 大呂
応鐘 大呂 夾鐘 姑洗 蕤賓 夷則 無射
無射 黄鐘 太簇 蕤賓 仲呂 林鐘 南呂

(参考)音度

i ii iii iv v vi vii
1 2 3 4 5 6 7
  • 日本式表記での「嬰」「重嬰」「変」「重変」の読みは、それぞれ「えい」「じゅうえい」「へん」「じゅうへん」である。
  • 一般に階名はイタリア式幹音+アメリカ式変化記号接尾語(Do sharp等)で表すことが多い。
  • 音楽理論では音度に変化記号を付けて表し、また調号は前につける。(例)♭I、♯V、など
  • ポピュラーでは音度コードではローマ数字、スケールではアラビア数字として使う。
  • 音名クラシックではドイツ式、ポピュラーではアメリカ式、学校教育や放送では日本式が主に使われる。

オクターブ表記

音名は、異なるオクターブの音も同じに呼ぶので、それらを区別する必要がある場合がある。しかし、オクターブ表記には定まったものがない。共通するのは、から上に1オクターブ(厳密には重変ハから半音15個上の重嬰ロ)ごとに区切ることである。

日本でよく使われる呼び方は次の通りである。右から2番目の列の表記法はドイツ語式、最も右の列の表記法は国際式である。また、最も左の列に記載した数字はMIDIにおけるノートナンバーである。

MIDI 音の範囲 日本語式 独語式 国際式
108 - 119 中央ハの4オクターブ上から半音11個上のロまで 五点ハ - 五点ロ c5 - h5 C8 - B8
96 - 107 中央ハの3オクターブ上から半音11個上のロまで 四点ハ - 四点ロ c4 - h4 C7 - B7
84 - 95 中央ハの2オクターブ上から半音11個上のロまで 三点ハ - 三点ロ c3 - h3 C6 - B6
72 - 83 中央ハの1オクターブ上から半音11個上のロまで 二点ハ - 二点ロ c2 - h2 C5 - B5
60 - 71 中央ハから半音11個上のロまで 一点ハ - 一点ロ c1 - h1 C4 - B4
48 - 59 中央ハの1オクターブ下から半音11個上のロまで (片仮名)ハ - ロ c - h C3 - B3
36 - 47 中央ハの2オクターブ下から半音11個上のロまで (平仮名)は - ろ C - H C2 - B2
24 - 35 中央ハの3オクターブ下から半音11個上のロまで 下一点は - 下一点ろ C1 - H1 C1 - B1
12 - 23 中央ハの4オクターブ下から半音11個上のロまで 下二点は - 下二点ろ C2 - H2 C0 - B0

上記の表と五線譜ピアノ鍵盤との対応関係は下記の画像のようになる。

日本語式では、片仮名の「ヘ」と、平仮名の「へ」を区別しにくいという問題が生じている。このこともあってか、現在では、日本でも日本語式より国際式の方が一般的に使われている。ただし一部の楽器製造会社では、国際式より1小さい数字(中央ハをC3とする)が使われている。

ハ音を基準としないオクターブ表記

上記の表記法と比べると用例は少ないが、から上に1オクターブ(厳密には重変イから半音14個上の重嬰ト)ごとに区切る表記法が特にインターネット上で使われており、以下に上記の表記法との対応関係を示しておく。なお、himidはそれぞれhighmiddleが略記された形である。

MIDI 音の範囲 英語式 日本語式 独語式 国際式
105 - 116 3520Hzのイから半音11個上の嬰トまで hihihihiA - hihihihiG♯ 四点イ - 五点嬰ト a4 - gis5 A7 - G♯8
93 - 104 1760Hzのイから半音11個上の嬰トまで hihihiA - hihihiG♯ 三点イ - 四点嬰ト a3 - gis4 A6 - G♯7
81 - 92 880Hzのイから半音11個上の嬰トまで hihiA - hihiG♯ 二点イ - 三点嬰ト a2 - gis3 A5 - G♯6
69 - 80 440Hzのイから半音11個上の嬰トまで hiA - hiG♯ 一点イ - 二点嬰ト a1 - gis2 A4 - G♯5
57 - 68 220Hzのイから半音11個上の嬰トまで mid2A - mid2G♯ イ - 一点嬰ト a - gis1 A3 - G♯4
45 - 56 110Hzのイから半音11個上の嬰トまで mid1A - mid1G♯ い - 嬰ト A - gis A2 - G♯3
33 - 44 55Hzのイから半音11個上の嬰トまで lowA - lowG♯ 下一点い - 嬰と A1 - Gis A1 - G♯2
21 - 32 27.5Hzのイから半音11個上の嬰トまで lowlowA - lowlowG♯ 下二点い - 下一点嬰と A2 - Gis1 A0 - G♯1

この表記法にはいくつか欠点もある。歌唱で頻繁に使われるlow - hi辺りまでの音域は分かり易い反面、それより高い音域や低い音域になると長い表記になり分かりづらい。そのため、楽器等人声以外の音域を表記するのには向かない。

また、hi (high) (高い)、low(低い)といった表記は多くの変声後の男性の感覚には合っているが、多くの女性や変声前の男性の感覚には合わない。例えば、多くの女性歌手にとってはそれほど高いとは感じられないA4がhiAと表記され、低いと感じられるD3がmid1Dと表記される。

この表記法は音楽の専門家の間で認知されているとはいえないが、インターネットを通して一般の音楽愛好者の間などで広まっている。なお、音名は英米式表記であり、接頭語のhi (high) / mid (middle) / lowも英語なので、ここでは便宜上「英語式」とした。ただし、この表記法は英語圏で生まれたものではない

因みに、ルチアーノ・パヴァロッティが「the King of highC」と呼ばれていたが、「高いA」や「高いC」という言い方は古典声楽においては一般に特定の音域を指して使われる表現であり、いわゆるオクターブ表現ではない。これはあくまで男声女声それぞれの最高音域を指して用いられる。例えば、highCは男声ならC5、女声ならC6を指すのが普通である。また、E、F、G辺りにこの呼び方を適用することは少ない。例えば、「高いE」と言った場合に高いAや高いCより上のEなのか下のEなのかが判断しづらいからである。男声でE4を示す時は「中央Cのすぐ上のE」、E5の場合は「中央Cのすぐ上のEの1オクターブ上(高いCのすぐ上のE)」などと表すことが多い。lowについてもhighほどは多用されないが同じことが言える。例えば、lowFは男声ならF2、女声ならF3を指すのが普通である。また、middleは普通ピアノの中央部の音域を指し、特にCについて言う。

hi / mid / lowの表記法はこれらの表現をオクターブ表記に当てはめたと見えて、Aで区切られmidが2オクターブあるというやや変則的な形態となっている。また、この表記法はAの下で区切られているので、GやAに変化記号を付ける場合はその付け方によって異名同音でも接頭語が変わることになる。例:mid2G♯ = hiA♭、mid2G♯♯ = hiA、mid2G = hiA♭♭(ただし、これらが音として全く同じになるのは平均律のときであり、純正律などの場合は異名同音とはならない。)


音名おんめい)とは、音楽において用いられる音の高さの呼び名である。

西洋音楽における音名

西洋音楽では、各オクターブ楽譜上の音の高さに対して、音名が与えられる。従って、階名に比べ、より絶対的な音の高さを示すということができる。楽譜上、オクターブの中には音が7つあるから、それら7つの音にそれぞれ固有の名前が与えられる。この7つは上下のオクターブで繰り返されるから、オクターブの関係にある音同士は同じ音名を持つ。また、♯や♭のつく音には、♯や♭を示す語が付け加えられる。

言語ごとの音名

音名の付け方は言語によって異なる。

  • 英語では音名にAからGまでのアルファベットを下から上に順に与えた。ただし、現在では、Aをオクターブの開始音とせず、Cを開始音として、順次上に、D、E、F、G、A、Bと呼んでいる。ドイツ語ではBの代わりにHを用いる。日本語では、英語のアルファベットのかわりにイロハを用い、Cに相当するハから、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、イ、ロとする。
  • イタリア語フランス語では、『聖ヨハネの夕べの祈り』の歌詞に基づいて、下から上にUt、Re、Mi、Fa、Sol、Laが決められ、後にイタリア語ではUtがDoになり、LaのあとにSiが加えられた。UtはCに相当する。
  • ロシア語では、フランス語に準ずる。
  • ♯や♭は、英語やイタリア語、フランス語では、それぞれの呼び名を後に付け加える。日本語では嬰、変などを前に置く。ドイツ語は、-isや-esを語尾として加えるのが原則であるが、♭系は不規則であるため、別表を設けた。

日本では、クラシック音楽ではドイツ語、ポピュラー音楽では英語、教育やフォーマルな文書では日本語が多い。イタリア音名は階名に用いられるため音名としては避けられるが、実際にはわかりやすいため、SolSoとしたものが初心者向けでは多く用いられる。フランス音名は日本ではほとんど用いられない。


えい
重嬰
じゅうえい

へん
重変
じゅうへん
C
スィー
D
ディー
E
イー
F
エフ
G
ジー
A
エイ
B
ビー
sharp
シャープ
double sharp
ダブル シャープ
flat
フラット
double flat
ダブル フラット
Do
Re
Mi
Fa
ファ
Sol
ソル
La
Si
スィ
diesis
ディエズィス
doppio diesis
ドッピオ ディエズィス
bemolle
ベモッレ
doppio bemolle
ドッピオ ベモッレ
Ut/Do
ユト/ド

Mi
Fa
ファ
Sol
ソル
La
Si
スィ
dièse
ディエーズ
double dièse
ドゥーブル ディエーズ
bémol
ベモル
double bémol
ドゥーブル ベモル
До
Ре
Ми
Фа
ファ
Соль
ソル
Ля
Си
スィ
диез
ディエーズ
дубль диез
ドゥーブル ディエーズ
бемоль
ベモル
дубль бемоль
ドゥーブル ベモル
C
ツェー
D
デー
E
エー
F
エフ
G
ゲー
A
アー
H
ハー
Cis
ツィス
Dis
ディス
Eis
エイス
Fis
フィス
Gis
ギス
Ais
アイス
His
ヒス
Cisis
ツィスィス
Disis
ディスィス
Eisis
エイスィス
Fisis
フィスィス
Gisis
ギスィス
Aisis
アイスィス
Hisis
ヒスィス
Ces
ツェス
Des
デス
Es
エス
Fes
フェス
Ges
ゲス
As
アス
B
ベー
Ceses
ツェセス
Deses
デセス
Eses
エセス
Feses
フェセス
Geses
ゲセス
Asas/Ases
アサス/アセス
Heses/Bes/BB
ヘセス/ベス/ドッペル ベー (ベーベー)

オクターブ

オクターブを区別する必要があるときには、数字などを用いて区別する。あまり頻繁に用いられるものでないせいか、いくつかのシステムがあり一定しない。現在、電子楽器等をはじめ最も一般的に用いられているのは、英語の音名と組み合わせて、中央オクターブ(中央ハから半音11個上のまで)を4とするものである。中央ハをC4、そこから半音11個上のロをB4とする。数字が大きいほど高いオクターブを示すので、B4を半音上げるとC5、C4を半音下げるとB3となる。日本では、日本語の音名と組み合わせて、中央オクターブを「一点」とする言い方も伝統的に用いられている。この場合、その1オクターブ上は「二点」、1オクターブ下は「片仮名」、2オクターブ下は「平仮名」、3オクターブ下は「下一点」となる。また、ドイツ語の音名と組み合わせて、中央オクターブを1とする言い方もある。この場合、その1オクターブ上は2、1オクターブ下は「小文字」、2オクターブ下は「大文字」、3オクターブ下は1となる。詳しくは音名・階名表記を参照のこと。

音名と振動数

中央オクターブに含まれるA4を音波振動数で440Hzを基準として440Hzから445Hzくらいに合わせる。ただし、古くは415Hzくらいに合わせられていたこともあると言われる。このことから分かるように、楽譜、音名と音波の振動数との対応はある程度自由に変更が可能である。この点において音名は音高の間の相対的な関係を示すシステムである。

中国・日本の伝統音楽の音名

中国や日本では、音名のことを律名という。

  • 中国では、オクターブ内に半音ごとに置かれた12の音にそれぞれ名前が付いており、十二律と呼ばれる。基準音を黄鐘(こうしょう)として、そこから順に半音ずつ上昇して、大呂(たいりょ)・太簇(たいそく)・夾鐘(きょうしょう)・姑洗(こせん)・仲呂(ちゅうりょ)・莚賓(すいひん)・林鐘(りんしょう)・夷則(いそく)・南呂(なんりょ)・無射(ぶえき)・応鐘(おうしょう)と呼ぶ。基準音である黄鐘の音高(ピッチ)は時代によって異なり、A=440Hzとしたとき、周・漢代にはG、唐代の雅楽ではC、俗楽ではD、明代にはGと変遷しており、現代ではDに相当している。
黄鐘 大呂 太簇 夾鐘 姑洗 仲呂 莚賓 林鐘 夷則 南呂 無射 応鐘
D D# E E# F# F## G# A A# B B# C#
  • 日本では、A=440Hzとしたときの、ほぼDに相当するものを、雅楽では壱越(いちこつ)と呼び、そこから順に半音ずつ上昇して、断金(たんきん)・平調(ひょうじょう)・勝絶(しょうせつ)・下無(しもむ)・雙調(そうじょう)・鳧鐘(ふしょう)・黄鐘(おうしき)・鸞鏡(らんけい)・盤渉(ばんしき)・神仙(しんせん)・上無(かみむ)と呼ぶ。俗楽では一本 (A) ~十二本 (G#) と呼ぶ。
壱越 断金 平調 勝絶 下無 双調 鳧鐘 黄鐘 鸞鏡 盤渉 神仙 上無
六本 七本 八本 九本 十本 十一本 十二本 一本 二本 三本 四本 五本
D D# E E# F# F## G# A A# B B# C#

また、それぞれの楽器によって、その楽器の演奏法などに即した独自の音名がある。

ノートナンバー

音名ではないが、電子楽器の事実上の標準であるMIDIでは、中央ハを60 (C4) として低い音から半音ごとに0 (C-1) から127 (G9) までの128個の数字で音の高さを表し、これをノートナンバーと呼んでいる。128というと少なく感じるかも知れないが、一般的なピアノの鍵盤が88であることを考えると十分である。ちなみに、88鍵のピアノの最低音A0は21、最高音C8は108になる。

教育音楽における音名

教育音楽において1970年ごろ、西塚智光 (1939-) は、1つの音には1つの音名があるべきとして、イタリア式音名を元に次のような音名を提唱した。これにより、異名同音がなくなる。小学生メロディをドレミで歌うときや、リコーダー等の楽器を演奏するときに、同じ音なのに異なる音名を用いて、歌い間違えたり指使いが混乱するのを避ける効果がある。西塚式の音名は、階名としても用いられる。しかし、実際の音楽教育の場ではほとんど普及していない。

西塚式の音名の対応関係
鍵盤 英語式 独語式 西塚式
C C ド (Do)
C#/Db Cis/Des デ (De)
D D レ (Re)
D#/Eb Dis/Es リ (Ri)
E E ミ (Mi)
F F ファ (Fa)
F#/Gb Fis/Ges フィ (Fi)
G G ソ (So)
G#/Ab Gis/As サ (Sa)
A A ラ (La)
A#/Bb Ais/B チ (Chi)
B H シ (Si)
  • E#/Eisは「ファ」、Fb/Fesは「ミ」、C##/Cisisは「レ」、Fbb/Fesesは「リ」となる。
  • 白鍵の音はイタリア式音名をそのまま用いる(Gは「ソ (So) 」)。
  • 黒鍵の音は半音下の音名の子音と半音上の音名の母音を組み合わせる(「フィ」、「チ」は例外)。

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階名 (かいめい) とは、音名楽譜に対して絶対的な音の高さに従って付けられている音の名前であるのに対し、主音との関係によって音階の各音に付けられた名前である。一般にイタリア音名を流用する。

長調にあっては、主音をとし、上に向かって以下ファと名付ける。

短調にあっては、主音をとし、上に向かって以下ファと名付ける場合と、長調と同様に、主音をとする場合がある。日本では前者が一般的である。前者は、同じ全音階を使う長調と短調(この関係を平行調と呼ぶ)が共通の階名を使うことができる(全音階の各音に固定した階名を与えることができる)メリットがある反面、音階の各音の性格を明確に表すという本来の階名のメリットがあいまいになるデメリットがある。

階名で歌うことを階名唱法と呼び、また、ドが音名に対して移動するので移動ド唱法と呼ぶことがある。これに対して、音名で歌うことを音名唱法固定ド唱法と呼ぶ。移動ドと固定ドのどちらが有利であるかという議論は古くからあり、決着を見ることがないが、移動ドの方が理論的であると言われながら、実際には固定ドの方が多く使われているのが現状である。おおざっぱに言って歌唱には移動ドが、楽器演奏には固定ドが適しているようである。

トニックソルファの場合は別として、音名と異なり、階名の各音に♯や♭が付いたり、調号の付いた音に が付いたりしても、それを言い表すことはしないのが普通である。

主音がドであったりラであったりすることによる混乱を避けるためには、数字が用いられる。この場合、主にローマ数字の小文字を使い、主音から上に向かってi、ii、iii、iv、v、vi、viiとする。

関連項目

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