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「使徒」の版間の差分

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'''使徒'''(しと)は、ある種の[[宗教]]において[[神]]から与えられた使命を果たすために使わされ者。
'''使徒'''(しと)は、幾つかの[[宗教]]において[[神]]、または[[神的存在]]から与えられた使命を果たすために使わされ者。


==[[キリスト教]]==
==キリスト教==
[[イエス・キリスト]]の弟子や初期キリスト教の指導者を指す語。[[十二使徒]]が有名である。初代教会の時代には、一種の称号であったらしい。


厳密な定義は困難である。例えば、イエスの直接知っていた指導者を指すと考えると、[[パウロ]]は使徒とは呼べない(パウロは自らを使徒と呼んでいる)。逆に、イエスの直接知っていたヤコブは、使徒とは呼ばれていた形跡がない。
一般に、[[イエス・キリスト]]の弟子や初期キリスト教の指導者を指す語だが、厳密な定義は困難である。[[新約聖書]]内では特に「十二人」を指す場合が多い。初代教会の時代には、一種の称号であったらしい。イエスの直接知っていた指導者を指すと考えると、[[パウロ]]は使徒とは呼べない(パウロは自らを使徒と呼んでいる)。逆に、イエスの直接知っていたヤコブは、使徒とは呼ばれていた形跡がない。


中世のキリスト教でも「使徒」と呼ばれる人物は存在する。
==[[イスラム教]]==

[[預言者]][[ムハンマド]]のこと
===十二人===
[[イエス・キリスト]]が自分の傍に置くため、また各地に派遣して宣教を行うために選ばれた高弟たち。「十二使徒」、「十二弟子」とも呼ばれるが、新約聖書内では単に「十二人」と呼ばれることが多く、[[聖書学]]でもこう呼称されるのが一般的である。イエスから悪霊を払うための権能を授けられた。12という数字は、イスラエルの12部族に倣ったものと思われる。12名がすべての名が挙げられているのは、[[マタイによる福音書|マタイ伝]](10:1-4)、[[マルコによる福音書|マルコ伝]](3:14-19)、[[ルカによる福音書|ルカ伝]](6:13-16)、[[使徒言行録|使徒行伝]](1:13)である。[[ヨハネによる福音書|ヨハネ伝]]には、12人の存在は語られるが、内数人のみの名が挙げられている。他に、[[コリントの信徒への手紙|コリント書]](15:5)、[[ヨハネの黙示録|ヨハネ黙示録]](21:14)など。

使徒行伝によれば、[[イスカリオテのユダ]]による欠員をマティアで埋めた(1:21-26)

[[福音書]]によって構成員の名前が異なること、殆ど言及されない人物も居ること(後掲の図参照)から、イエス時代の史実でないと考える研究者もいる。原始教会時代、「12人」は[[エルサレム教団]]内の一種のグループ名あったようで、実際には12人いたわけではなかった可能性もある。

<table border=2>
<tr align=center><td>マルコ伝</td><td>マタイ伝</td><td>ルカ伝</td><td>使徒行伝</td><td>ヨハネ伝</td></tr>

<tr><td>[[ペテロ|シモン・ペトロ]](B1)</td><td>シモン・ペトロ(B1)</td><td>シモン・ペトロ(B1)</td><td>シモン・ペトロ</td><td>ヨハネの子シモン・ペトロ(B1)</td></tr>

<tr><td>[[ゼベダイの子ヤコブ]](B2)</td><td>ゼベダイの子ヤコブ(B2)</td><td>ゼベダイの子ヤコブ</td><td>ヤコブ(B2)</td><td>ゼベダイの子たち(!)(?)</td></tr>

<tr><td>[[ヨハネ]](B2)</td><td>ヨハネ(B2)</td><td>ヨハネ</td><td>ヨハネ(B2)</td><td>ゼベダイの子たち(!)(?)</td></tr>

<tr><td>[[アンデレ]](B1)</td><td>アンデレ(B1)</td><td>アンデレ(B1)(!)</td><td>アンデレ(!)</td><td>アンデレ(B1)</td></tr>

<tr><td>[[フィリポ]](!)</td><td>フィリポ(!)</td><td>フィリポ(!)</td><td>フィリポ(?)</td><td>フィリポ</td></tr>

<tr><td>[[バルトロマイ]](!)</td><td>バルトロマイ(!)</td><td>バルトロマイ(!)</td><td>バルトロマイ(!)</td><td>&nbsp;</td></tr>

<tr><td>[[マタイ]](!)</td><td>徴税人マタイ</td><td>マタイ(!)</td><td>マタイ(!)</td><td>&nbsp;</td></tr>

<tr><td>[[トマス]](!)</td><td>トマス(!)</td><td>トマス(!)</td><td>トマス(!)</td><td>ディディモ・トマス(?)</td><td></td></tr>

<tr><td>[[アルファイの子ヤコブ]](!)</td><td>アルファイの子ヤコブ(!)</td><td>アルファイの子ヤコブ(!)</td><td>アルファイの子ヤコブ(!)</td><td>&nbsp;</td></tr>

<tr><td>[[タダイ|タダイ]](!)</td>
<td>タダイ(!)</td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td></tr>

<tr><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>[[ヤコブの子ユダ]](!)</td><td>ヤコブの子ユダ(!)</td><td>&nbsp;</td></tr>

<tr><td>[[熱心党のシモン]](!)</td><td>熱心党のシモン(!)</td><td>熱心党のシモン(!)</td><td>熱心党のシモン(!)</td><td>&nbsp;</td></tr>

<tr><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>[[ナタナエル]]</td></tr>

<tr><td>[[イスカリオテのユダ]]</td><td>イスカリオテのユダ</td><td>イスカリオテのユダ</td><td>&nbsp;</td><td>イスカリオテのシモンの子ユダ</td></tr>

<tr><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>&nbsp;</td><td>[[マティア]]</td><td>&nbsp;</td></tr>
</table>
註: (B)は兄弟関係を表す。(!)は、ただ一回のみの言及。(?)は、他の文書内の使徒と同一人物であるかわからないもの。

[[レオナルド・ダ・ビンチ]]による[[壁画]]「[[最後の晩餐]]」は左から以下の通り: バルトロマイ(ナタナエル)、アルファイの子ヤコブ、アンデレ、ユダ、シモン・ペテロ、ヨハネ。イエスを越して、トマス、ゼベダイの子ヤコブ、フィリポ、マタイ、タダイ、熱心党のシモン。

==イスラム教==

[[イスラム教]]では、[[預言者]][[ムハンマド]]を指す

2003年5月22日 (木) 22:28時点における版

使徒(しと)は、幾つかの宗教において、、または神的存在から与えられた使命を果たすために使わされる者。

キリスト教

一般に、イエス・キリストの弟子や初期キリスト教の指導者を指す語だが、厳密な定義は困難である。新約聖書内では、特に「十二人」を指す場合が多い。初代教会の時代には、一種の称号であったらしい。イエスの直接知っていた指導者を指すと考えると、パウロは使徒とは呼べない(パウロは自らを使徒と呼んでいる)。逆に、イエスの直接知っていたヤコブは、使徒とは呼ばれていた形跡がない。

中世のキリスト教でも「使徒」と呼ばれる人物は存在する。

十二人

イエス・キリストが自分の傍に置くため、また各地に派遣して宣教を行うために選ばれた高弟たち。「十二使徒」、「十二弟子」とも呼ばれるが、新約聖書内では単に「十二人」と呼ばれることが多く、聖書学でもこう呼称されるのが一般的である。イエスから悪霊を払うための権能を授けられた。12という数字は、イスラエルの12部族に倣ったものと思われる。12名がすべての名が挙げられているのは、マタイ伝(10:1-4)、マルコ伝(3:14-19)、ルカ伝(6:13-16)、使徒行伝(1:13)である。ヨハネ伝には、12人の存在は語られるが、内数人のみの名が挙げられている。他に、コリント書(15:5)、ヨハネ黙示録(21:14)など。

使徒行伝によれば、イスカリオテのユダによる欠員をマティアで埋めた(1:21-26)

福音書によって構成員の名前が異なること、殆ど言及されない人物も居ること(後掲の図参照)から、イエス時代の史実でないと考える研究者もいる。原始教会時代、「12人」はエルサレム教団内の一種のグループ名あったようで、実際には12人いたわけではなかった可能性もある。

マルコ伝マタイ伝ルカ伝使徒行伝ヨハネ伝
シモン・ペトロ(B1)シモン・ペトロ(B1)シモン・ペトロ(B1)シモン・ペトロヨハネの子シモン・ペトロ(B1)
ゼベダイの子ヤコブ(B2)ゼベダイの子ヤコブ(B2)ゼベダイの子ヤコブヤコブ(B2)ゼベダイの子たち(!)(?)
ヨハネ(B2)ヨハネ(B2)ヨハネヨハネ(B2)ゼベダイの子たち(!)(?)
アンデレ(B1)アンデレ(B1)アンデレ(B1)(!)アンデレ(!)アンデレ(B1)
フィリポ(!)フィリポ(!)フィリポ(!)フィリポ(?)フィリポ
バルトロマイ(!)バルトロマイ(!)バルトロマイ(!)バルトロマイ(!) 
マタイ(!)徴税人マタイマタイ(!)マタイ(!) 
トマス(!)トマス(!)トマス(!)トマス(!)ディディモ・トマス(?)
アルファイの子ヤコブ(!)アルファイの子ヤコブ(!)アルファイの子ヤコブ(!)アルファイの子ヤコブ(!) 
タダイ(!) タダイ(!)   
  ヤコブの子ユダ(!)ヤコブの子ユダ(!) 
熱心党のシモン(!)熱心党のシモン(!)熱心党のシモン(!)熱心党のシモン(!) 
    ナタナエル
イスカリオテのユダイスカリオテのユダイスカリオテのユダ イスカリオテのシモンの子ユダ
   マティア 

註: (B)は兄弟関係を表す。(!)は、ただ一回のみの言及。(?)は、他の文書内の使徒と同一人物であるかわからないもの。

レオナルド・ダ・ビンチによる壁画最後の晩餐」は左から以下の通り: バルトロマイ(ナタナエル)、アルファイの子ヤコブ、アンデレ、ユダ、シモン・ペテロ、ヨハネ。イエスを越して、トマス、ゼベダイの子ヤコブ、フィリポ、マタイ、タダイ、熱心党のシモン。

イスラム教

イスラム教では、預言者ムハンマドを指す。