コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「名蔵アンパル」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
(会話 | 投稿記録)
Sillago (会話 | 投稿記録)
m 外部リンク: {{画像提供依頼}}
578行目: 578行目:


{{Japan-geo-stub}}
{{Japan-geo-stub}}
{{画像提供依頼}}


{{DEFAULTSORT:なくらあんはる}}
{{DEFAULTSORT:なくらあんはる}}

2008年4月13日 (日) 15:50時点における版

座標: 北緯24度23分40秒 東経124度8分40秒 / 北緯24.39444度 東経124.14444度 / 24.39444; 124.14444 名蔵アンパル(なぐらあんぱる、名蔵網張)は沖縄県石垣市にある干潟およびマングローブ林を含む地域である。なお、地元では単にアンパルと呼ばれているが、アンパルには網張という漢字があてられ、「網を張って漁をする」あるいは「人頭税からの逃亡者を捕える」の意味がある[1]

概要

石垣島西部、名蔵湾奥の名蔵川河口周辺の干潟およびマングローブ林を中心とした約160haの地域である。このマングローブ林は環境省特定植物群落である「名蔵川河口域のマングローブ林」に指定されている。名蔵アンパルには亜熱帯気候特有の動植物が分布しており、特に貴重な野鳥の飛来地、生息地となっている。このことから、2003年(平成15年)11月1日にそれまでの沖縄県指定の名蔵鳥獣保護区(集団渡来地)から国指定の鳥獣保護区(特別保護地区)に格上げされ、約74haの地域が指定された。2004年(平成16年)11月11日には既存区域の後背地がカンムリワシなどの給餌、休息等の場所として重要なことから、約157haに区域が拡張された。2005年(平成17年)11月8日にはほぼ同一区域がラムサール条約登録地となった。

地形・地質

名蔵アンパルは入り江となっており、その入り江に土砂が堆積し、マングローブ林が形成された。沿岸部には砂嘴が形成されている。海岸は珊瑚礁の破片堆積物によって構成されている。

動物相

干潟域およびマングローブ林に特徴的な底生生物貝類甲殻類)やそれらをとする多様な鳥類が生息、あるいは渡りの休憩地として利用している。

貝類

カニノテムシロカノコガイカヤノミカニモリキバウミニナ[2]コゲツノブエネジヒダカワニナヒルギシジミリュウキュウウミニナなど(貝類レッドリスト (環境省)参照)。

甲殻類

オキナワハクセンシオマネキミナミアシハラガニなど。

魚類

サヨリ科ニシン科ボラ科ミナミトビハゼなど。

爬虫類・両生類

サキシマハブサキシマヌマガエルホオグロヤモリなど

鳥類

環境省による2002年(平成14年)の調査では、170種(亜種含む)の生息が確認されている。以下に全てを記す。

区分 RL 備考
1 アマツバメ目 アマツバメ科 アマツバメ  
2 カイツブリ目 カイツブリ科 カイツブリ  
3 カモ目 カモ科 アカツクシガモ 迷鳥 DD
4 オオハクチョウ  
5 オカヨシガモ  
6 オナガガモ  
7 カルガモ  
8 キンクロハジロ  
9 コガモ  
10 シマアジ  
11 スズガモ  
12 ツクシガモ 迷鳥 EN
13 ハイイロガン 迷鳥
14 ハシビロガモ  
15 ヒシクイ 迷鳥 VU 天然
16 ヒドリガモ  
17 マガモ  
18 マガン   NT 天然
19 キジ目 キジ科 インドクジャク 外来
20 コウライキジ 外来
21 コウノトリ目 コウノトリ科 コウノトリ 迷鳥 CR 特別天然、希少
22 サギ科 アオサギ  
23 アカガシラサギ  
24 アマサギ  
25 オオヨシゴイ   EN
26 カラシラサギ 迷鳥 NT
27 クロサギ  
28 ゴイサギ  
29 コサギ  
30 ササゴイ  
31 サンカノゴイ   EN 天然、希少
32 ズグロミゾゴイ   VU
33 ダイサギ  
34 チュウサギ   NT
35 ムラサキサギ  
36 ヨシゴイ   NT
37 リュウキュウヨシゴイ  
38 トキ科 ヘラサギ 迷鳥 DD
39 クロツラヘラサギ 迷鳥 CR
40 クロトキ 迷鳥 DD
41 スズメ目 アトリ科 アトリ  
42 マヒワ  
43 ウグイス科 オオヨシキリ  
44 カラフトムジセッカ  
45 キマユムシクイ  
46 セッカ  
47 メボソムシクイ  
48 リュウキュウウグイス  
49 カササギヒタキ科 リュウキュウサンコウチョウ  
50 カラス科 ハシブトカラス  
51 セキレイ科 イワミセキレイ 迷鳥
52 キセキレイ  
53 セジロタヒバリ 迷鳥
54 タヒバリ  
55 ツメナガセキレイ  
56 ハクセキレイ  
57 マミジロツメナガセキレイ  
58 ムネアカタヒバリ  
59 ツグミ科 アカハラ  
60 イソヒヨドリ  
61 シロハラ  
62 ツグミ  
63 ノゴマ  
64 ツバメ科 イワツバメ  
65 コシアカツバメ  
66 ショウドウツバメ  
67 ツバメ  
68 リュウキュウツバメ  
69 サンショウクイ科 リュウキュウサンショウクイ  
70 シジュウカラ科 シジュウカラ  
71 ハチジョウツグミ  
72 ヒタキ科 エゾヒタキ  
73 リュウキュウキビタキ  
74 ヒヨドリ科 シロガシラ 外来
75 イシガキヒヨドリ  
76 ハタオリドリ科 スズメ  
77 ホオジロ科 アオジ  
78 コホオアカ 迷鳥
79 ニュウナイスズメ 迷鳥
80 ムクドリ科 カラムクドリ  
81 ギンムクドリ  
82 シベリアムクドリ 迷鳥
83 ホシムクドリ  
84 ムクドリ  
85 メジロ科 リュウキュウメジロ  
86 モズ科 シマアカモズ  
87 チゴモズ 迷鳥 CR
88 タカ目 タカ科 オジロワシ 迷鳥 EN 天然
89 カラフトワシ 迷鳥
90 カンムリワシ   CR 特別天然、希少
91 ケアシノスリ  
92 サシバ   VU
93 チュウヒ   EN
94 ノスリ  
95 ハイイロチュウヒ 迷鳥
96 ハイタカ 迷鳥 NT
97 マダラチュウヒ 迷鳥
98 ミサゴ   NT
99 リュウキュウツミ   EN
100 ハヤブサ科 チゴハヤブサ 迷鳥
101 チュウゲンボウ  
102 ハヤブサ   VU 希少
103 チドリ目 カモメ科 エリグロアジサシ   NT
104 クロハラアジサシ  
105 コアジサシ   VU
106 スグロカモメ   VU
107 セグロカモメ  
108 ハシブトアジサシ 迷鳥
109 ミツユビカモメ 迷鳥
110 ユリカモメ  
111 シギ科 アオアシシギ  
112 アカアシシギ   VU
113 イソシギ  
114 ウズラシギ  
115 エリマキシギ  
116 オオジシギ   NT
117 オジロトウネン  
118 オバシギ  
119 キアシシギ  
120 キョウジョシギ  
121 クサシギ  
122 コアオアシシギ  
123 コシャクシギ   EN
124 サルハマシギ  
125 ソリハシシギ  
126 ダイシャクシギ  
127 タカブシギ  
128 タシギ  
129 チュウジシギ  
130 チュウシャクシギ  
131 ツルシギ  
132 トウネン  
133 ハマシギ  
134 ハリオシギ  
135 ヒバリシギ  
136 ホウロクシギ   VU
137 ミユビシギ  
138 セイタカシギ科 セイタカシギ   VU
139 タマシギ科 タマシギ  
140 チドリ科 イカルチドリ  
141 オオメダイチドリ  
142 ケリ  
143 コチドリ  
144 シロチドリ  
145 ダイゼン  
146 タゲリ  
147 メダイチドリ  
148 ムナグロ  
149 ツバメチドリ科 ツバメチドリ   VU
150 レンカク科 レンカク  
151 ツル目 クイナ科 オオクイナ   EN
152 シロハナクイナ  
153 ツルクイナ  
154 バン  
155 リュウキュウヒクイナ  
156 ミフウズラ科 ミフウズラ  
157 ハト目 ハト科 カラスバト   NT 天然、希少
158 キンバト   EN 天然、希少
159 チュウダイズアカアオバト  
160 ベニバト 迷鳥
161 リュウキュウキジバト  
162 フクロウ目 フクロウ科 リュウキュウアオハズク  
163 リュウキュウコノハズク  
164 ブッポウソウ目 カワセミ科 カワセミ  
165 ナンヨウショウビン 迷鳥
166 リュウキュウアカショウビン  
167 ペリカン目 ウ科 カワウ 迷鳥
168 グンカンドリ科 コグンカンドリ 迷鳥
169 ペリカン科 ハイイロペリカン 迷鳥
170 モモイロペリカン 迷鳥
凡例

区分

RL列:2006年(平成18年)12月22日公表の最新版鳥類レッドリストによるカテゴリ。カテゴリの詳細は、レッドリスト及びレッドデータブック (環境省)を参照。

  • CR:絶滅危惧IA類
  • EN:絶滅危惧IB類
  • VU:絶滅危惧II類
  • NT:準絶滅危惧
  • DD:情報不足

備考

哺乳類

ヤエヤマオオコウモリリュウキュウイノシシなど。

植物相

マングローブ植物はオヒルギハマザクロヒルギダマシヒルギモドキメヒルギヤエヤマヒルギの計6種が生育している。後背地には、シマシラキシャリンバイミフクラギなどが生育している。防風林としてモクマオウが植林されている。海浜にはミルスベリヒユソナレシバが帯状に分布している[1]

民謡

地元では名蔵アンパルを舞台とした「アンパルヌミダガーマユンタ」(網張ぬ目高蟹ユンタ)という蟹達が登場する民謡が歌い継がれている。ユンタとは八重山地方で共同作業の時に謡われる結い歌である。

脚注

  1. ^ a b 林秀美ら著 『新・分県登山ガイド46 沖縄県の山』株式会社山と溪谷社、2006年、pp.78-79、ISBN 4-635-02346-X
  2. ^ ただし、名蔵アンパルの個体群は人為移入ではないかと考えられている。キバウミニナ#分布を参照。
  3. ^ 沖縄県野鳥研究会編 『改訂 沖縄県の野鳥』、有限会社沖縄出版、1993年、ISBN 4-9000668-32-x。
  4. ^ 嵩原建二 『沖縄県の在来の生物に対して悪影響を及ぼす外来種 【鳥類】』 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)、2005年、p.531。

参考文献

  • 環境省「国指定名蔵アンパル鳥獣保護区 名蔵アンパル特別保護区 指定計画書(区域の拡張)(案)」、2004年
  • 市川市、東邦大学東京湾生態系研究センター共編『干潟ウォッチング フィールドガイド』誠文堂新光社、2007年、ISBN 978-4-416-70716-6

外部リンク