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「苦しみの杭」の版間の差分

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'''苦しみの杭'''は[[ものみの塔聖書冊子協会]]が発行する『[[新世界訳]]聖書』における、ギリシャ語'''スタウロス'''に対する英語訳語 torture stake の日本語訳である。スタウロスは他の聖書翻訳では[[十字架]]と訳される。二本の木が交差した磔柱の謂いである。これに対してエホバの証人は、キリスト磔刑がまっすぐな一本の刑柱の上でなされたと解し、このような語を充てる。
'''苦しみの杭'''は[[ものみの塔聖書冊子協会]]が発行する『[[新世界訳]]聖書』における、ギリシャ語'''スタウロス'''に対する英語訳語 torture stake の日本語訳である。スタウロスは他の聖書翻訳では[[十字架]]と訳される。二本の木が交差した磔柱の謂いである。これに対してエホバの証人は、キリスト磔刑がまっすぐな一本の刑柱の上でなされたと解し、このような語を充てる。



2004年3月17日 (水) 15:17時点における版

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苦しみの杭ものみの塔聖書冊子協会が発行する『新世界訳聖書』における、ギリシャ語スタウロスに対する英語訳語 torture stake の日本語訳である。スタウロスは他の聖書翻訳では十字架と訳される。二本の木が交差した磔柱の謂いである。これに対してエホバの証人は、キリスト磔刑がまっすぐな一本の刑柱の上でなされたと解し、このような語を充てる。

訳語の由来

イエスが処刑された際に刑具として使用された十字架は、その語自身が示しているように、一般的には十字の形をしていたと信じられている。しかし一方で、その刑具は十字形ではなかったとする学説が存在していた。その学説において、スタウロスの形状は、杭の形、Tの形、Xの形をしているなどと論じられた。
キリスト教の一教派であるエホバの証人スタウロスを杭とする学説を支持した。この神学上の判断には1896年に英国で発行された『キリスト教に無関係の十字架』と題する書物の影響が大きいと思われる。この書物は、キリスト教史初期にイエスのスタウロスを十字と仮定することが行われ、やがてそれが事実として普及するようになったと論じている。
1950年にはエホバの証人の翻訳者たちによってクリスチャン・ギリシャ語聖書 新世界訳が刊行された。翻訳者がエホバの証人である以上、スタウロスを「杭」と訳出することはふさわしいと思われた。しかし、これを単に「杭」と訳出したのではその神学的意味が薄くなると翻訳者たちは考えたようである。そこで「杭」ではなく「苦しみの杭」という訳語が選択された。これはイエス自身のスタウロスの用法に常に一致している。(マタイ10:38, 16:24, マルコ 8:34, ルカ 9:23, 14:27)

よって苦しみの杭という表現はエホバの証人特有の神学表現である。この語を用いる者は、自分が一般的なキリスト教のそれからエホバの証人の神学の領域に足を踏み入れていることを認識しなければならない。
また、苦しみの杭という語を用いる際にはこの点も銘記しておかなければならない。確かにイエスはスタウロスを特定の用法で用いたが、聖書の記述において、一方の弟子たちはこれを基本的に刑具の意味で用いていた。また、イエスによるスタウロスの用法が限られたものであったからといって、その神学的意味あいが限られるわけではない。スタウロスは「苦しみの杭」であると同時に「救いの杭」、「贖いの杭」であり、「信仰の杭」、「希望の杭」でもある。

一本の刑柱であるとする根拠

上記への異論

一般にギリシア語 stauros は形状についての想定を含まず使われる。したがって形状に対する論争の根拠を、特定の形容詞なしに使われる聖書の stauros に求めることは論理的整合性をもたない。キリストの刑具についての具体的な描写は伝承(聖伝)および考古学的証拠に求められる他ない。詳細は十字架の項を参照せよ。