「中国語における外国固有名詞の表記」の版間の差分
一部転記提案 |
漢字文化圏の2007年7月15日 (日) 10:00 (UTC) 版から一部転記(主執筆者:NipponiaNippon, Suearth, 202.214.46.2, 61.211.131.87) |
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==固有名詞に関する呼称== |
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漢字文化圏内の[[名詞|固有名詞]](地名、人名)に関して漢字で表記された場合は、読む側の国・地域の読み方に沿って呼称されるのが原則である。しかし前述にもあるように、近代以降では朝鮮半島、ベトナムにおける漢字の頽廃が進行してしまったため、この原則は大きく崩れている。 |
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===日本語側からの呼称=== |
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特に朝鮮半島に関するものでは、例外的ともいえるケースが既に定着している。例えば人名に関して、現韓国大統領を「'''[[盧武鉉]]'''」と表記した時、日本国内の[[マスメディア]]等では「盧武鉉」と表記されたまま「ノ・ムヒョン」と呼称されることが多い。日本語読みに従えば「ろ・ぶげん」としか読みようがないのだが、韓国では既に漢字があまり利用されない影響もあり、韓国語読みが定着しているケースが多い。これは[[全斗煥]]韓国大統領の時代から広まったとされる。地名に関する扱いもほぼ同様である。 |
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なお、[[日本放送協会|NHK]]に関しては他のマスメディアとは異なり、漢字表記を韓国語読みで行うことはしていない。現在は韓国の固有名詞に関しては[[片仮名]]表記でほぼ統一されている。括弧して漢字が表記されることもある。しかし歴史的な事件・事柄に関しては漢字表記を使用し、日本語読みで統一している。このため「金大中事件で拉致されたキム・デジュン氏」といった使用例が散見される。 |
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ベトナムに関しては[[1919年]]の科挙廃止以降、現代ではベトナム語の語彙には漢字の影響を大きく受けているものの、表記する文字としての漢字は全廃しているため、日本語ではベトナムの固有名詞に漢字を用いることはほとんどない。 |
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===中国語側からの呼称=== |
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中国語には漢字以外の文字がないため、朝鮮半島やベトナムが漢字を廃止していようと、その表記には当然漢字が当てられる。漢字表記が判明するものに関してはその漢字を当てるが、現代の人名など漢字が全く判明しないものに関しては当て字が用いられる(これは仮名が用いられる日本人名でも同様である)。 |
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日本の[[俳優|女優]]である'''[[宮沢りえ]]'''は、中国語圏では「宮沢理恵」と表記される。しかし本名は「宮沢梨絵」である。{{要出典}}この場合、本名では表記せず「りえ」という音が日本語では「理恵」と表記されることが多いという判断から、中国語圏でも用いられるようになったものだと考えられる。朝鮮半島やベトナムに対しても考え方はほぼ同様とされる。 |
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===朝鮮語・ベトナム語側からの呼称=== |
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朝鮮半島とベトナムは漢字文化圏の中で文字としての漢字を廃した(韓国は完全に廃してはいない)側である。これらの地域では、例えば日本の固有名詞であれば、その日本語読みをそのまま現地語で表記している。 |
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ベトナム語においては、中国語の人名・地名を呼称する際には、北京語表記を転写するのではなく漢字のベトナム語読みを使用する。日本語の人名・地名を呼称する際には、例えば、日本の現[[内閣総理大臣]]である'''[[安倍晋三]]'''は、ベトナム語では「Abe Shinzō」と日本語読みを転写したまま表記される。漢字のベトナム語読みに従えば「<font lang="vi">An Bội Tấn Tam</font>」となるが、このように表記されることはほとんどない。朝鮮語における扱いもほぼ同様とされる。 |
2007年8月4日 (土) 02:23時点における版
中国語における外国固有名詞の表記(ちゅうごくごにおけるがいこくこゆうめいしのひょうき)は中国語で外国の地名、人名、企業名などの固有名詞を表記する方法について述べる。ここでは表示の技術的な理由から簡体字は用いず、日本語の漢字を優先して用いて説明する。
音訳
日本語の場合は外国固有名詞の表記は原則としてカタカナによる音訳であるが、中国語では漢字による音訳つまり表音表記が原則である。「挪威」(ノルウェー)、「蘇格蘭」(スコットランド)、「斯大林」、「史達林」(スターリン)など。これらの文字はその場その場で適当に表記するのではなく、用いる漢字がほぼ決まっている。中華人民共和国の大陸地域においては、人名など、新語の場合、新華社通信の表記に従う例が多い。「可口可樂」(コカコーラ)などの商標は、各企業が字義の好ましいものや商品イメージに近い漢字を定めて使用することが多い。
「美国」、「法国」、「徳国」のように音訳の短縮形を用いることがある。「美国」は「美利堅」、「法国」は「法蘭西」、「徳国」は「徳意志」の最初の字を取ったものである。同じことは日本語でも行われるが、表記文字が異なるので注意が必要である。日本ではそれぞれ米国、仏国、独国となり、中国語と異なるものが多いが、これらは、かつて中国で使用されていた形が現在の中国語での形に変えられて使用されなくなり、日本語に残存したものが多い。
意訳
日本語には表音文字の仮名があるため、外国固有名詞を意訳することはあまり多くないが(後述の「真珠湾」のほか、「金門橋」など少数例のみ)、表音表記が面倒な中国語では、意訳をする例が意外と多い。たとえばドイツのフォルクスワーゲン社は「大衆汽車公司」、米国のジェネラルモーターズ社は「通用汽車公司」と訳される。日本語ではなじみの薄い方法なので、漢字を見た日本人は戸惑いやすい。なお、日本語ではパールハーバーを「真珠湾」と意訳するが、中国語では「珍珠港」と意訳する。ただし真珠については日中間での用字の違いにすぎない。
併用
また音訳と意訳の併用もある。「新西蘭」(ニュージーランド)の「新」は意訳、「西蘭」は音訳である。パール・バックは中国では「賽珍珠」として知られる。これは本人が中国ではそう名乗ったもので、「珍珠」はパールの意訳であるが、「賽」はパールバックの旧姓サイデンステッカーを略した名である。
中国語独自の表記
さらに歴史的事情で外国固有名詞の音訳でもなく、意訳でもなく全く中国語独自の表記がなされることも多い。サンフランシスコは「旧金山」であるし、インドネシアのスラバヤは「泗水」、パレンバンは「巨港」となる。これらはいずれも現地華僑の命名が中国本土でも通用するようになったものである。ウラジオストックが「海参崴」と表記されることもあるが、これはウラジオストックがかつて中国領だった頃にそう呼ばれていた名残りである。
外国企業名が中国で意訳される例は上に示したが、意訳ではなく全く別の中国語が用いられることもある。シティバンクは「花旗銀行」、香港上海銀行は「匯豊銀行」である。これはこれらの銀行が中国で営業する際に、中国人に親しみやすい名称にしたものである。
原語
学術用語や漢字の定まっていない人名など、漢字で表記しづらい場合、ローマ字やキリル文字など、原語のまま、またはローマ字に転写した表記で、中国語の文章に取り入れる場合もある。
また、台湾ではひらがなの氏名など、漢字表記の難しい日本語の固有名詞では、日本語のかなが用いられる場合がある。多くの場合漢字やローマ字で発音の補足が付くが、アニメ・漫画などから日本文化に触れた若い世代、もしくは日本植民地統治時代に教育を受けた世代をターゲットにした文章の場合、それらによる補足がないこともある。
漢字文化圏の固有名詞表記
日本と大韓民国の間ではそれぞれの固有名詞を漢字表記するか、表音表記するかがしばしば問題となるが、中国語の場合は漢字文化圏(日本、韓国、北朝鮮、ベトナム)の固有名詞は漢字が判明する限り、漢字でそのまま表記される。東京は「東京」と表記し、中国音でトンチン(Dōngjīng)と発音する。「名古屋」はミングーウー(Mínggǔwū)、「金大中」はジンダーチョン(Jīn Dàzhōng)と読む。このため、中国人に原音を用いる英語でTokyo, Kim Daejungなどといっても理解できないことがある。(同様の事が、日本人に原語でフー・ジンタオ、チョンチンと言っても、勉強した者でないとそれぞれ胡錦濤、重慶だと理解できない例にも言える)
中国語で問題となるのは、これらの国の固有名詞が漢字で表記されない場合である。トヨタが中国では表音表記されず、「豊田」(フォンティエン)となるが、「マツダ」は「馬自達」(Mǎzìdá)と表音表記される。日産自動車はもともと漢字表記であるが、日産(ジーチャン)という正規の表記の他に、ローマ字のロゴを見て表音表記したと思われる「尼桑」(ニーサン)という俗表記もある。また、ロッテが「楽天」(Lètiān)、ロッテリアは「楽天利」(Lètiānlì)だが、楽天市場の楽天(らくてん)株式会社と、それぞれ関係はない。さいたま市は、合併を機にひらがな表記に改まったが、中国語では依然として「埼玉市」である。
本来の漢字があるので、それを使うのは当然かもしれないが、韓国人にとって、自国の首都ソウルが中国語で李氏朝鮮時代のままの漢城と表記されるのは納得のできないことであった。このため、韓国ではソウルの漢字表記を一般公募し、表音表記の「首爾(首尔)」(Shou'er)と定め、中国も受け入れはじめ、台湾、香港でも表記が改められつつある。
韓国の人名は本来の漢字を中国語読みするのが基本である。歌手のBoA(ボア)は「宝雅」(Bǎoyǎ. 「宝兒」(Bǎo'ér)とされることもある)、チャン・ナラは張那拉(Zhang Nala)などとされる。
ベトナムは漢字を全廃してしまった国だが、歴史的には漢字文化圏である。中国はベトナムの固有名詞についても漢字が判明する限り、現地の発音と無関係にその通りの漢字表記をする。ハノイは「河内」、トンキン湾は「東京湾」、ヴォー・グエン・ザップは「武元甲」となり、発音はベトナム語の音とは異なるものである。フエは「順化」(中 Shùnhuà / 越 Thuan hoa)の「化」が変化しフエとなったもので、中国語では「順化」のままである。
中国語使用地域による表記の違い
中国本土と台湾では、表記にそれぞれ簡体字と繁体字を使うという字体上の違いだけでなく、使用する漢字の違いも見られる。例えば、国名のイタリアは、本土では「意大利」、台湾では「義大利」が正式な表記である。香港、マカオ、シンガポールでは、本土と台湾の両方の影響を受けて、両方が使われている。
固有名詞に関する呼称
漢字文化圏内の固有名詞(地名、人名)に関して漢字で表記された場合は、読む側の国・地域の読み方に沿って呼称されるのが原則である。しかし前述にもあるように、近代以降では朝鮮半島、ベトナムにおける漢字の頽廃が進行してしまったため、この原則は大きく崩れている。
日本語側からの呼称
特に朝鮮半島に関するものでは、例外的ともいえるケースが既に定着している。例えば人名に関して、現韓国大統領を「盧武鉉」と表記した時、日本国内のマスメディア等では「盧武鉉」と表記されたまま「ノ・ムヒョン」と呼称されることが多い。日本語読みに従えば「ろ・ぶげん」としか読みようがないのだが、韓国では既に漢字があまり利用されない影響もあり、韓国語読みが定着しているケースが多い。これは全斗煥韓国大統領の時代から広まったとされる。地名に関する扱いもほぼ同様である。
なお、NHKに関しては他のマスメディアとは異なり、漢字表記を韓国語読みで行うことはしていない。現在は韓国の固有名詞に関しては片仮名表記でほぼ統一されている。括弧して漢字が表記されることもある。しかし歴史的な事件・事柄に関しては漢字表記を使用し、日本語読みで統一している。このため「金大中事件で拉致されたキム・デジュン氏」といった使用例が散見される。
ベトナムに関しては1919年の科挙廃止以降、現代ではベトナム語の語彙には漢字の影響を大きく受けているものの、表記する文字としての漢字は全廃しているため、日本語ではベトナムの固有名詞に漢字を用いることはほとんどない。
中国語側からの呼称
中国語には漢字以外の文字がないため、朝鮮半島やベトナムが漢字を廃止していようと、その表記には当然漢字が当てられる。漢字表記が判明するものに関してはその漢字を当てるが、現代の人名など漢字が全く判明しないものに関しては当て字が用いられる(これは仮名が用いられる日本人名でも同様である)。
日本の女優である宮沢りえは、中国語圏では「宮沢理恵」と表記される。しかし本名は「宮沢梨絵」である。[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。この場合、本名では表記せず「りえ」という音が日本語では「理恵」と表記されることが多いという判断から、中国語圏でも用いられるようになったものだと考えられる。朝鮮半島やベトナムに対しても考え方はほぼ同様とされる。
朝鮮語・ベトナム語側からの呼称
朝鮮半島とベトナムは漢字文化圏の中で文字としての漢字を廃した(韓国は完全に廃してはいない)側である。これらの地域では、例えば日本の固有名詞であれば、その日本語読みをそのまま現地語で表記している。
ベトナム語においては、中国語の人名・地名を呼称する際には、北京語表記を転写するのではなく漢字のベトナム語読みを使用する。日本語の人名・地名を呼称する際には、例えば、日本の現内閣総理大臣である安倍晋三は、ベトナム語では「Abe Shinzō」と日本語読みを転写したまま表記される。漢字のベトナム語読みに従えば「An Bội Tấn Tam」となるが、このように表記されることはほとんどない。朝鮮語における扱いもほぼ同様とされる。