ビッグモーター
この記事は最新の出来事を扱っています。 |
秋田店 | |
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒106-6120 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー20階 |
設立 | 1978年5月 |
業種 | 小売業 |
法人番号 | 9250001011590 |
事業内容 | 中古車・新車販売及び車両買取、車検・一般整備及び鈑金塗装、損害保険代理店業他[1] |
代表者 |
代表取締役社長 : 和泉伸二 代表取締役副社長 : 石橋光国 |
資本金 | 4億5千万円 |
発行済株式総数 | 217,500株(2015年9月30日現在)[2] |
売上高 | 5,200億円(2022年9月期)[3] |
営業利益 | 57億5600万円(2015年9月期)[2] |
経常利益 | 56億5000万円(2015年9月期)[2] |
純利益 | 33億2500万円(2015年9月期)[2] |
純資産 | 124億7700万円(2015年9月期)[2] |
総資産 | 563億2200万円(2015年9月期)[2] |
従業員数 | 5,324名(グループ合計、2021年9月時点)[4] |
決算期 | 9月期 |
主要株主 | 株式会社ビッグアセット 100%[5] |
主要子会社 | #グループ会社参照 |
関係する人物 |
兼重宏行(創業者、元代表取締役CEO) 兼重宏一(元取締役副社長) |
外部リンク | ビッグモーター |
特記事項:1976年1月創業。 |
株式会社ビッグモーター(英語: BIGMOTOR Co., Ltd. )は、東京都港区[6]に本社を置く中古車販売・買取会社[7]。
元代表取締役社長の兼重宏行が、出身地の山口県岩国市で創業[8]。販売から買取・車検・修理・板金塗装・損害保険・リースなど、自動車に関するサービスすべてに対応する「ワンストップショッピング型」の店舗を全国で展開し、2023年5月現在、従業員数6000名、全国300店舗以上を抱える[7]。公式ウェブサイトでは「買取台数6年連続日本一[9]」とアピールしている。キャッチフレーズは「やっぱりビッグが一番」。
概要
CMキャラクターには、俳優の西村雅彦、スタッフ出演のCMを経て、大森南朋や佐藤隆太が起用されていたが、後述の不祥事を受け放送中止が通知された[10][11]。
帝国データバンクの発表によれば、2022年度の中古車業界の中でビッグモーターの売上高ベースのシェアは約15%でトップ[12][13]。
沿革
- 1976年(昭和51年)1月 - 山口県岩国市に兼重オートセンターを創業。
- 1978年(昭和53年)5月 - 株式会社に改組、法人化(設立)。
- 1980年(昭和55年)2月 - 株式会社ビッグモーターに商号を変更。
- 1993年(平成5年)4月 - 鈑金塗装専門工場「ビッグボデー下関」新設。
- 1994年(平成6年)3月 - 外国車専門販売店舗「ビッグバージョン」新設。
- 1995年(平成7年)10月 - 株式会社エム・エー・シーを買収し、100%子会社で事業承継。
- 1997年(平成9年)
- 4月 - 鈑金塗装専門会社「ビッグボデー徳山」新設。
- 10月 - 株式会社オートビッグ(本社:山口県岩国市)を吸収合併[14]。
- 2001年(平成13年)11月 - 山口車検指定工場を岡山に移転、山口工場移転。
- 2003年(平成15年)
- 8月 - 有限会社バイキングを有限会社ビッグ九州に社名変更。
- 10月 - 株式会社エム・エー・シーを株式会社ビッグ四国に社名変更。
- 2005年(平成17年)4月25日 - 関西地区の老舗の中古車ディーラーであるハナテン(本社:大阪市城東区)に資本参加してグループ傘下に収め、店舗網を拡大。
- 2008年(平成20年)4月 - 株式会社オート周南(本社:山口県周南市南浦山町3-8)を吸収合併[15]。
- 2013年(平成25年)
- 2015年(平成27年)11月 - 本社を東京都港区六本木6丁目10-1に移転。
- 2016年(平成28年)
- 2018年11月15日 - 同業のIDOMの株式を984万株(9.21%)保有したことが大量保有報告書にてリリースされた。2023年2月時点でも569万株 (5.3%)のIDOMの株式を保有していることが確認されている。
- 2022年(令和4年)
- 2023年(令和5年)
株主構成
2015年9月30日時点での株主構成は以下の通りであった[2]。
- 兼重宏行 174,800株(80.37%)
- 損害保険ジャパン日本興亜 15,500株(7.13%)
- 山口銀行 5,000株(2.30%)
- オリエントコーポレーション 4,000株(1.84%)
- セディナ 4,000株(1.84%)
- 第一生命保険 3,500株(1.61%)
- みずほキャピタル 3,000株(1.38%)
- ビッグモーター従業員持株会 2,873株(1.32%)
- 広島銀行 2,000株(0.92%)
なお、2023年7月時点で全ての株式を兼重一族の資産管理会社である株式会社ビッグアセット(本社:東京都港区六本木1丁目9番18号、代表取締役:兼重宏行)が所有していると報じられている[5][4]。
グループ会社
- 株式会社ビーエムホールディングス(本社:東京都港区六本木6丁目10-1)、株主:ビッグモーター100%[22][4]
- 株式会社ビーエムハナテン(本社:東京都港区六本木6丁目10-1)、株主:ビッグモーター100%[22][4]
- 上記以外にビッグアセットの子会社2社、孫会社1社とその子会社1社がある[4]。
主な不祥事
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
※肩書は全て当時
社員への「罰金」問題
- 2016年12月4日、産経新聞が、ビッグモーター社内で自動車保険の契約について月間目標額が定められ、目標を下回った販売店の店長が上回った店長に現金を支払う慣行があり、会社側は各店舗の分配表を作成しつつ、店長間のやり取りを黙認していたと報じた。これに対し、ビッグモーターの顧問弁護士や総務部の担当者は事実を認めた上で、社内規定にない店長間の任意の慣習であり、会社からの強制はなく、不満があるようであれば止めるよう指導した、と釈明した[24][25]。
- 2017年2月26日、同じく産経新聞が、関係者の話として2015年6月に全社員宛てへ送られた兼重社長名での社内メールに「保険選手権大会に関して」とのタイトルで「罰金を払うということは、店長としての仕事をしてないということだ!」などと強い文面での叱責と、兼重社長自身が罰金の設定に関与したことを示す内容があったと報じた。同社は、産経新聞に対して20日付の文書で、2016年の回答を踏襲する旨の回答を行った[26]。
社員による買取代金の詐取
民間車検場指定に対する行政処分、立ち入り検査
2022年~2023年にかけ、複数の工場において、国土交通省・地方運輸局から民間車検場の指定取り消しなどの行政処分が下されている。
- 2022年2月4日 びわ湖守山店(滋賀県守山市)で、整備記録簿の記載漏れ、立ち入り検査時の質問に虚偽陳述、自動車検査員による不正改造の要求と実施などの違反。事業停止(25日間)、保安基準適合証等の交付停止(50日間)、自動車検査員の解任命令の処分[29][30][31]。
- 2023年2月8日 唐津店(佐賀県唐津市)で、点検整備の一部を実施せず、記録簿の記載なしなどの違反。保安基準適合証等の交付停止(15日間)の処分[32]。
- 3月22日 熊本浜線店(熊本県熊本市)で、法令の規定を遵守する体制でない、記録簿の虚偽記載・記載漏れ・記載誤り、検査の一部を実施せず適合証を交付などの違反。指定自動車整備事業の指定の取り消し、自動車検査員の解任命令の処分[33][34]。同店では記録が残る2020年12月以降の2年間、主に4WDタイプの車両について、スピードメーターの誤差を検査しないまま計58台に「保安基準適合証」を交付するなどしていた[35]。
- 6月27日、宇都宮南店(栃木県宇都宮市)で、検査の一部を実施せず適合証を交付、記録簿の虚偽記載・記載漏れ・記載誤りの違反。指定自動車整備事業の取り消しと自動車検査員の解任命令の処分[36][37]。同店では延べ58台の車両で完成検査の一部(速度計誤差の検査)が実施されていなかったことが確認された[38]。
かつて熊本浜線店の車検整備担当だった整備士によれば「58台どころか速度計以外も合計すれば(不正車検は)軽く1000台は超える」、また車検をこなす台数にも前年同月台数を超えるというノルマがあり「手間のかかる作業や検査はやらないことが当たり前」と証言がされている[39]。
2023年7月18日、国土交通大臣の斉藤鉄夫は同日にビッグモーターから公表された特別調査委員会の報告書[40]を知らされていないとした上で「(報告書記載の不正が事実であれば)言語道断だ」と語り、道路運送車両法違反の疑義により、同社に対し事実関係の聴取を行う方針であるとした[41]。また国交省は7月6日時点で聴取を要請したが7月19日現在でも聴取日の回答がないとの事[42]。
同月25日、ビッグモーターが開いた記者会見[注釈 1]では不正車検についての質問で兼重宏行社長は、「特殊な車両について手抜きをした」「監査に入ったりするが、外からでは全く分からない」と述べている[43]。
同月26日、国土交通省内にてビッグモーター和泉伸二社長らからの聞き取り調査を行い道路運送車両法62条「依頼されない点検・整備を不当に行い料金を請求しないこと」に違反していないか見極めるとした[44]。
同月28日、ビッグモーター全国34ヶ所の事業所へ国交省の立ち入り検査が行われ[45]、またそれらを含む135事業所への調査も行うとした[46]。
修理費水増しによる保険金不正請求、金融庁からの報告徴求命令
内部告発~ビッグモーターによる調査報告書公開
2021年秋ごろ、損害保険会社の業界団体へ内部告発が行われる。これを受けて2022年初旬に損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)、東京海上日動火災保険(以下、東京海上)、三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)の3社がサンプル調査を実施。その結果水増し請求が疑われる事案が見つかったためビッグモーター側に自主的な調査を求めたところ、ビッグモーター側は水増し請求の事実は確認したが「作業員のミスによるもので意図的なものでない」と損保側へ報告。損保ジャパンは組織的関与はないものとしたが東京海上と三井住友海上は再調査を求めていたという[47]。同年7月、ビッグモーター兼重宏行社長が損保ジャパンに訪問。数日後にビッグモーター社内では東京海上と三井住友海上の自賠責の取り扱いを停止するよう指示があったとされる。同月下旬、事故車の修理紹介を停止していた前述3社のうち損保ジャパンだけが修理紹介を再開した[6][注釈 2]。
2022年12月、日本損害保険協会(損保協)[注釈 3]白川儀一会長[55]・損保ジャパン社長は当協会の定例記者会見にて「協会長の立場として、保険金不正請求は断固として許さない、厳正に対処する。」と述べている[56]。
2023年1月30日、マスコミ報道におけるこれら問題の調査としてビッグモーターは特別調査委員会を設置[57]。
同年4月20日、タイヤをパンクさせるための指導を撮影した動画が流出し報道される[58][59]。
同年6月30日、損保協会長に就任した新納啓介[60]あいおいニッセイ同和損害保険社長は「(あいおいニッセイとして以前から)会合を要求している」「ビッグモーター側が調査報告をもらったらすぐ会う前提で話を進めている」と述べ、また損保ジャパンなどほかの大手3社にも直接報告するよう求めている[61]。
同年7月5日、ビッグモーターは特別調査委員会から調査報告書を受領したと発表[62]、同報告書[40]が公開される同月18日までに以下の報道がなされている。
- 不正請求の被害を受けた一社の東京海上関係者によると、内部告発を受けたサンプル調査により、300件を超える不正が発覚し、故意に車を傷つける悪質な事例も含まれていたことが判明した為、第三者による調査を求めた[63]。
- 水増し請求を実施していたのは、ビッグモーターが保有する全国33工場の全てであり、工場長の指示により多岐に亘る不正行為が組織的に実施されたことが判明している[64]。
- 不正請求の規模は保険修理の4割に上り[67]、本来必要のない保険利用により等級が下がった保険契約者がいる可能性があるため[68]、損保各社は救済に向けて動く予定となっている。
- 不正請求は5年以上に亘り行われており、15年8月から18年2月に在籍した板金や塗装部門の元本部長の指示により開始されたとみられ、「@(アット)」の隠語により、損傷状態により費用が大きく上下する筈の事故修理に対し1台当たり14万円の収益ノルマが課せられ[70]、組織的な圧力がかけられた結果、不正が横行することとなった[71]。また、18年に内部告発が行われたが、実態調査を行わず、不正行為が継続された[66]。
特別調査委員会は6月までに報告書をまとめてビッグモーターへ提出、前述7月5日発表の通りビッグモーターは報告書の受領を公表したものの具体的な内容は公表しておらず、またビッグモーター側で一部内容を改変・抜粋した報告書を損保側へ提出したとされる[64]。
そしてこのような数々の不正事案の報道は損保大手に再提出された原本に記載されていた内容であり、損保各社ではビッグモーターに対し、引き続き調査報告書を対外的に公表することを要求している[73]。
同年7月18日、ビッグモーターより調査報告書が公開される[40]。
- この調査報告書[4]に記載された保険金不正請求の原因として、1.不合理な目標値設定、2.コーポレートガバナンスの機能不全とコンプライアンス意識の鈍麻(内部統制体制の不備、適正手続きを無視した降格処分の頻発)、3.経営陣に盲従し忖度する歪な企業風土、4.現場の声を拾い上げようとする意識の欠如、5.人材の育成不足、などが指摘されている。
- 更に同報告書の結語にはビッグモーターが掲げる経営計画書にある方針や経営理念[注釈 4]を引用し次のように記されている。
- 具体的な一因として、兼重宏一・取締役副社長(兼重宏行社長の息子)をはじめとする役員らの判断で、社員の降格処分が頻繁に行われており、これらの処分に際し、同社が就業規則で定める「対象者に弁明の機会を与える」「賞罰委員会に諮る」といった手続きが取られることはなく、有無を言わせずの処分があったと指摘。このような強権的な人事によって従業員らが経営陣からの指示にそのまま従い、これを忖度するいびつな企業風土が醸成されていたとしている[74]。
- 報告書ではビッグモーター社内での従業員から副社長・社長への内部告発の顛末(第8-5 BP工場従業員からの告発の黙殺)が記されているが、更にこの後、告発関係者の1人が「不正な保険金請求の情報提供ホットライン」(損保協の通報窓口)[注釈 3]に通報を行っている。しかしひと月以上経っても音沙汰がなかったため、もう1人の告発関係者(社長の甥)が「毎日不正しています」などと催促したところ、ようやく連絡が来たと語られている[75]。
記者会見~金融庁による報告徴求命令発出
同月21日、財務兼金融担当大臣・鈴木俊一(第2次岸田改造内閣)は閣議後記者会見で「悪質な問題があれば保険業法に基づき対応する」と表明、金融庁が同社の保険代理店としての業務実態を調査していることが分かった[76]。また、大手損保3社(東京海上・三井住友海上・損保ジャパン)が過去に同社へ出向者を出していたことも明らかとなった[77]。
- 特に損保ジャパンは一時期はビッグモーターの第2位株主であったこともあり、同社は2011年から板金や営業、品質管理部門に37人の出向者を派遣していた。さらに自動車保険の保険金の不正請求が横行した時期に、事故車両の修理を担う板金塗装部門の担当部長を務めた者もいたとされる[78]。
- また、兼重宏一前副社長が損保ジャパンの前身企業の一つである日本興亜損害保険に2011年4月から2012年6月にかけて在籍、経理などを担当していたことが判明している[79][80]。
同月25日、それまで損保ジャパンは10年超に渡り37人もの出向者を送り込みながらも「不正を認識していた出向者はいない」と説明していたが[81][82]、白川社長は当日午前7時頃の取材に対し、去年(2022年)夏に出向者から「ビッグモーターの工場長から不正の指示があった」との報告を受けていたと答えた[83]。また当日の午前11時からビッグモーター側の記者会見[注釈 1]が開かれ兼重宏行社長は「(不正を知ったのは)特別調査委員会から報告書を受け取った(2023年)6月26日」であるとし、(不正について)経営陣は知りもしなければ組織的関与もないと述べる。更に「(不正を行った社員は)調査して刑事告訴したい」とも語る場面があったが、会見後に撤回した[84]。
- 翌26日、ビッグモーター社長に就任した和泉伸二・新社長は取材に対し、2022年に行われた損保会社3社(損保ジャパン、東京海上、三井住友海上)への調査報告の内容が「不正の指示はなかった」と書き換えられていた件について「初めて知った」、また書き換え指示があるならかなりの上席者では?との問いに「その可能性は高い」と語っている[85]。
- なお、ビッグモーター側の自主調査では損保ジャパンの出向者が調査を行い、「工場長から不正の指示があった」とヒアリングシートに記入署名され、その事実が当時の板金部門の部長や損保ジャパン側に伝えられていたにも関わらず、「指示はなかった」と逆の内容になり、損保ジャパンから金融庁に報告されたと報じられている[86][注釈 5]。
同月26日、損保ジャパンは不正の事前把握やビッグモーターへの出向者や社員を調査するとして社外調査委員会を設置[87][88][注釈 6]。
- 2017年度から3名の出向者を出していた三井住友海上も翌27日に調査委員会を設置しており、当時の事情を聞くとしている[90]。
同月28日、金融庁から委任を受けた関東財務局は保険代理業でもあるビッグモーターに対しヒアリングを行ったと発表した[91]。
同月31日、金融庁はビッグモーターの保険金不正請求問題を受け、ビッグモーターおよび同社と保険代理店契約を契約している損保ジャパン、三井住友海上、東京海上、あいおいニッセイ同和の大手4社、共栄火災海上保険、AIG損害保険、日新火災海上保険の中堅3社の各損保会社に対し、保険業法に基づく報告徴求命令[注釈 7]を発出した[93]。
- 損保ジャパンでは査定先への信用度によって、見積書と写真だけで判断する「簡易査定」を行っているが、2019年自社内でビッグモーター向けに簡易査定を行う十数人規模のチームが発足しており、この点についても詳しい報告が求められている[94]。
同年8月1日、東京海上日動はプレスリリースにて、2022年3月不正請求の疑義から2023年7月18日ビッグモーターによる調査報告書全文公開までの自社に関する経緯概略を公表した[95][注釈 8]。
同年8月4日、損害保険料率算出機構はビッグモーター関連の保険金不正請求ついて保険会社に報告を求め、今後の参考純率の算定に反映させるとした[96]。同機構は損保各社から集めたデータから適正な保険料率を算出する「参考純率」を設定するが、ビッグモーターが水増し請求したことで参考純率が上昇していたとみられる[97]。
報道によっては「なれ合い」「もたれ合い」とも称されるビッグモーターと損保各社の関係だが[98][99]、その背景には修理紹介(入庫)1台あたり自賠責保険5台分が損害保険会社に割り振られていたため、これがお互いの大きな利益になっていたと報じられている[100]。またビッグモーターが販売する自賠責と任意保険は年間200億円に上ると見られており[101]、2022年6月から7月にかけてのビッグモーターによる自主調査結果の変遷は、100億円超の保険料収入があった損保ジャパンの意向が影響しているとされている[102]。
- 更に、ビッグモーターによる保険金不正請求・修理費水増しの影響で、顧客が修理に保険を使い等級が下がり、保険会社が割高な保険料を得ているケースが存在する[103][104]。
- ビッグモーター社内では保険販売件数にも厳しいノルマがあり、そのノルマを埋めるべく廃棄予定の車両や展示車、客に貸し出す代車に従業員名義などで保険をかける「架空契約」が行われていたとの報道や証言がされている[105][106]。また過去には、保険販売の月間目標を下回った店長から目標を上回った店長に現金を渡すという慣行が問題視されている(#社員への「罰金」問題参照)。
- 損保協などから「自賠責保険には保険会社の利益はない」と喧伝されているが、実際には契約を引き受けるごとに「社費」として営業費や損害調査費という名目で手数料が入るようになっており、損害保険料率算出機構によればその額は業界全体で年間2000億円を越えるとされている。またプールされている保険料自体の運用益も美味しいのではないかとの指摘がある[107]。
下請け会社への値下げ要求・車検強要
社員からの残業代未払い及びパワハラ訴訟
一連の報道に絡む形で、岐阜県内の店舗で元店長として働いていた男性が、パワーハラスメントを受けたとして慰謝料と未払いの残業代を求めて岐阜地方裁判所に提訴していたことが、2023年7月25・26日に報道された。この元店長は他の店長も参加するLINEのグループチャットにおいて上司から暴言を受け、その後うつ病を発症、2021年6月に解雇された。また約1800万円の残業代も支払われていないという。労働審判に申し立てたが不調に終わり、2022年8月に訴訟に移行していたが、同年9月に元店長は交通事故で死去したため、現在は両親が訴訟を引き継いでいる[110][111]。
消費者庁による公益通報者保護法・内部通報体制の調査、その他
2023年7月27日、同月18日に公表された特別調査委員会の報告書[40]より「内部通報が黙殺された」との指摘から公益通報者保護法が義務付ける内部通報体制について調査を行っている事を明らかにした [112]。
同年8月3日、消費者庁はビッグモーターに対し内部通報体制について報告を求めた。公益通報者保護法に基づく事業者への報告要請は今回が初となる [113]。
同年8月8日、河野太郎・消費者担当相は記者会見にて、ビッグモーターに関する保険金の不正請求問題を重要な消費者問題であるとして消費者庁に「関係省庁との連携対応の強化」「相談受付体制の強化」(共に要約)を指示したと述べる[114]。前日7日に行われた立憲民主党から国交省、金融庁、消費者庁へのヒアリングでは、過去10年で8000件以上に及ぶ相談がありながら行政処分につながったものは1つもなく、省庁間で十分に共有されず対応が遅れたなどと批判が相次いでいた[115][116]。
環境整備点検による街路樹への除草剤散布・伐採など
2022年8月、群馬県太田市にある店舗前の街路樹が枯れていると太田土木事務所に情報が寄せられた[117]。原因を特定するために土壌の成分分析をしたところ、除草剤の成分が検出されたことから、同年11月に被害届を提出[117]。群馬県警太田警察署と太田土木事務所は、この場所で除草剤散布が原因の街路樹大量枯死が発生したとして、情報提供を求める看板を設置した[117]。枯れていたのは17本のトウカエデで、「倒れる恐れがあったため、17本すべて撤去した」という[117]。この看板と枯死した街路樹、そして店舗が一緒に写っている写真がSNSに投稿されると、他の複数の店舗前の様子もGoogle ストリートビューなどの写真とともに投稿される事態となった[117]。店舗と枯れた街路樹の組み合わせが複数見つかった埼玉県[118]や名古屋市など全国各地の自治体の他、国道に面する店舗前については国土交通省による調査が行われた[119][120]。
- 2023年7月25日に行われた記者会見[注釈 1]では「除草剤散布疑惑」の質問について、まず兼重宏行社長が答えようと「環境整備で…」と口走るものの、陣内司管理本部長が割って入り「調査し対応する」と答えたが、後に兼重社長本人から「枯らすような事はしない」、会社としての指示も「現場に任せてある」と否定。なお和泉伸二専務は10年ほど前の話としながら除草剤を撒いた事を認めたが「今はそういう指導はしていない」と釈明した[121][注釈 10]。
- 会社が社員に配布していた「経営計画書」には「会社の周り10メートルは毎日清掃する」と書かれ、また月に1度会社幹部が店舗を訪れて行う「環境整備点検」では、「敷地回り、歩道はゴミや草、砂が無くお客様目線で整備できているか」などを調べるが、元従業員によれば「1センチの雑草でもアウト」[120]、また他の元従業員からは営業店では「(除草剤を)を撒くように指示されている」と証言がされている[122]。なお、同社では頻繁に店長の降格処分が行われているが、この「環境整備点検」の成績や対応がよくなかったことが主な理由であったと報じられている[74]。
以下に主な環境整備と街路樹被害の例を記する。
ノコギリで伐採 (埼玉県)
- 街路樹の不自然な枯死が指摘されている店舗のうち、埼玉県の所沢店前で店員がノコギリで街路樹を伐採しているのを不審に思った近隣の住民が声をかけたところ、その店員は「本部の人が来るからきれいにしなくちゃいけない」と回答したという[123]。同じく埼玉県の浦和美園店では、さいたま市役所の聞き取り調査に対して店側が月1、2回除草剤をまいていたことを認めており、清水勇人市長は定例会見で「街路樹は公共物。勝手に除草剤をまいて枯れる結果になるのは非常に驚いているし、問題がある」「土壌調査の結果を踏まえ厳正に対応したい」とコメントした[124]。
バーナーで焼く (福岡県)
- 福岡県の古賀店前では2019年に店員とみられるスーツ姿の男性がガスバーナーで街路樹を焼いている現場を地元住民が目撃しており[125]、情報提供を受けた市議会議員が九州地方整備局に調査を要請したが、この時の調査では除草剤の成分が検出されず街路樹を焼却した実行犯の特定に至らないまま、2020年1月に倒木の危険があるとして整備局により伐採された[126]。
私有地の植栽を無断で伐採しセメントで埋め立て (石川県)
- 2023年8月3日、石川県かほく市にある商業施設「イオンモールかほく」の敷地内にテナントとして出店しているイオンモールかほく店の前に低木が植えられていた植え込み部分が全て伐採され、コンクリートで舗装されていたことが発覚した[127][128]。
- 石川テレビの取材によると、近隣の住民が「過去にスーツを着た人が日中の営業時間に舗装していたところを目撃した」と答えている[129]。
- 同施設の土地を管理しているイオンリテールと親会社のイオンによると、元々植え込みはイオングループの植栽活動の一環として整備されていたものであり[127][130]、ビッグモーターには店舗や駐車場の土地を貸したものの、植え込み部分は貸し出しの対象外だったとしている[129]。詳しい事実確認を求め、経緯を確認した上で法的措置も検討するとしている[127][128]。
その他には、店舗前街路樹の枯死・撤去後に植え直しをしようとしたところ店舗側が拒否(大阪府)[131]、条例で定められた敷地緑化スペースを舗装(愛知県)[132]など、全国各地の店舗周辺で問題発覚や街路樹に関する報道がされている。
国土交通省の調査では、各地の地方整備局が管理する国道に面した111店舗のうち10店舗で5年の間に街路樹の枯死が確認されており、土壌分析で除草剤の影響が認められた場合は警察への被害届提出や損害賠償請求を検討するとしている[124]。なお、故意に街路樹や植栽を損壊した場合、刑法の器物損壊罪にあたる他、道路法で定められた「道路附属物損壊罪」にもあたりえる[133]。また、民法上の不法行為が成立し、損害賠償責任を負う可能性もある[133]。
同年7月28日、ビッグモーター側は同日夜にプレスリリースにて、複数店舗について過去の清掃活動で使った除草剤などの影響で街路樹が枯れた可能性が高いことを認め謝罪した[124]。同日時点で、全国18都道府県、39店舗前で街路樹や植え込みが枯れたり、伐採されたりしていることが確認されている[134]。
- 8月初旬よりビッグモーターから被害のあった自治体に電話や訪問などで謝罪があったと報じられており[135][136]、東京都では除草剤検出とヒアリングを行うと発表した[137][138]。その当日の午後にビッグモーター側が都庁を訪れ謝罪している[139]。
同年8月18日、埼玉県では県とさいたま市共に被害届が受理され同県警による捜査が開始された[140][141][注釈 11]。
その他各種法令・条例の違反疑惑
景観条例違反疑惑
- 2022年8月頃、愛媛県松山市にある「ビッグモーター衣山店」に併設されている、およそ40m程の高さがある看板付きタワー式立体駐車場に対し、市の景観条例違反の疑いで近隣住民が同店や市に苦情を入れたことが判明した[144][145]。
- 市の条例では、「15mを超す高さの看板を立ててはならない」と定められているが[144]、建物であれば高さの上限は51mまでとなるため、それを逃れるために建設したのではないかという疑いがもたれている[注釈 12][145]。
- ビッグモーターによると、この立体駐車場は顧客へ納車する前の売約済みの車両を一時的に保管するなどの用途で利用しているものとしており、市へもそのように届け出を提出していた[145]。
- しかし、近隣住民からは「使用しているところを見たことがない」という意見が相次ぎ、市の担当者も「建物としての意味をなしていないのであれば、許可取り消しもあるかもしれない」という見解を示している[145]。
市の基準を超える面積での出店
- 愛媛県松山市にある「ビッグモーター平井店」で、市の基準を超える巨大な敷地面積で店舗が造られた疑惑が浮上した[145][147]。
- 同店の土地は、ビッグモーターと関連会社2社合わせて3社が別々の開発申請を提出し、それを一つの店舗として運営しているのではという疑惑がもたれ、市が調査に乗り出している[145]。
一連の不祥事を巡る同社の対応
- 2023年7月18日、ビッグモーターは公式ホームページにおいて、調査報告書の全文並びに経営陣に対する処分を公表し、代表取締役社長の兼重宏行は1年間報酬を全額返上、その他の役員も3か月間10%-50%の報酬を返上する事を発表した。ただし、調査報告書で指摘された保険金の請求をめぐる不正行為や法律や社内ルールを順守しない組織運営について、経営陣の関与の有無には言及していない[148][149]。
- 同月19日、2017年よりビッグモーターのCMに出演している俳優の佐藤隆太の所属事務所ケイファクトリーが、同社に対しCM出演契約を解除する方向で協議していることが明らかになった。上述の問題を重視したものとみられる[11]。これを受けて、民放各局にビッグモーター側からCMの放送中止が通知されたことが明らかになっている[10]。2023年7月20日付けで契約が解除された[150]。
- 同月21日、ビッグモーターは本社から各拠点に対し、板金塗装の一般客からの入庫受け付けを全面休止するよう指示が出された事が明らかになった。「過去修理案件の(不正の)再調査、調査結果からの再修理や板金対応を優先するため」としている。入庫の受け付け再開は未定とされている[151]。また、一括査定サイトを経由した買い取りを停止するよう店舗に指示したことも明らかになっている[152]。
- 一方で社長の兼重宏行は、今回の一連の問題の報道に対し「メディアの常として、全社員の2%に満たない一部のBP(板金塗装)社員の過去の不祥事でも、世間の関心を集めるために、会社全体の組織ぐるみだと決めつけて報道しています」と、各店長宛のLINEでメディアを批判するメッセージを配信していたことが、産経新聞の報道で明らかになった。内部関係者により同新聞に告発があったとみられる[153]。その後、産経新聞の取材に対し、ビッグモーターの広報担当者は「文章については、当社兼重社長が従業員向けに送ったものになります」と事実関係を認め、「前半部分に不適切な内容が含まれていることについて猛省しております」と回答した[154]。
- また、本件の一連の経緯報告も同社ホームページ内のプレスリリースやメディアの報道などから内容が上がってきているが、社長の兼重宏行以下経営陣などによる会社側の会見など、問題が発覚して以降初めて記者会見を行った7月25日に至るまで首脳陣による会見を行わなかったことなどから、ビッグモーターに対する説明責任を追及する世論の厳しい意見は会見後も8月現在に至るまで続いている。記者会見を行っていないなどの理由に関し、読売新聞の照会に対して「当社には、広報部門が存在せず、ご迷惑をお掛けし、おわび申し上げる。今回を機に、(メールでの)対応窓口を設置した」「説明責任に関する様々なご意見を真摯に受け止め、今後の対応を検討する」とメールで回答していた[155]。後述の記者会見ではメディアから同社の取材対応について、「不満がたまって殺到するから、電話窓口を設けたほうがいいですよ」などと苦言を呈される一幕もあった[156]。情報開示体制の不備を受けて、ビッグモーターは同年8月5日に広報窓口を開設した。同月7日からは専任の担当者がメディア対応に当たる事となった[157]。
- 同年7月25日、東京都内でビッグモーターの首脳陣による記者会見が初めて行われ、代表取締役社長の兼重宏行、後任社長となる予定の専務取締役の和泉伸二、後任副社長となる予定の石橋光国、管理本部長の陣内司の4人が出席した。なお、取締役副社長の兼重宏一は出席しなかった。以下は会見の要旨となる[158][159]。
- 会見冒頭で兼重社長は「損害保険会社に対し不正な請求を行っていたことが明らかになった。多大なるご迷惑と心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と陳謝し、同月26日付で代表取締役社長の辞任と、兼重宏一の取締役副社長の辞任が公表された。兼重社長は今後は「私も息子も経営に一切関与しない」と弁明した。
- 質疑応答で兼重社長は、経営幹部がどれだけ不正を認識していたかという質問を受け、兼重社長は「板金塗装部門単独で他の経営陣は知らなかった。これは事実だ」と釈明した。さらに社長は現場とLINEでつながっていたにも関わらず、本当に不正を認識していなかったのかという質問に対し、兼重社長は「天地神明に誓って、知りませんでした」と改めて不正関与を否定した。
- さらに兼重社長は「6月26日月曜日に特別調査委の報告書を受けて、本当に耳を疑い、愕然とした。大事なお客様の車を預かってこれから修理する人間が傷をつけて水増し請求するなんてあり得ない。許しがたい」「衝撃的だったのが、ゴルフボールを靴下に入れて振り回して水増し請求する件。本当に許せません。ゴルフを愛する人に対する冒瀆ですよ。わかり次第、刑事告訴を含む厳正な対処をする」と、実行した社員に対する刑事告発を検討する姿勢を見せた。また「工場長が指示したのか、事実確認をしている。不正の原因は不合理な目標設定と調査報告書にあった。目標がノルマとなり、ノルマ達成のためにプレッシャーをかけていた。それで今回の不正が起きたと考えられる」「内部統制やガバナンスが今の規模に合っていなかった。板金部門は内部統制がなかった。スピード感を持って、フラットな組織でやってきたつもりが、独断専行で報告書もあがってこない組織となっていた」と今回の不正続出の要因を分析した。
- また「元社員」を称するYouTuberが同社の一連の不正行為をYouTube動画投稿で告発した事に対し、兼重社長は「何ていうんですかね、YouTubeで変な動画が流れてましたけど、あれちょっと意味がよく分かんないんですけどね。誰が何の目的で、今(公開したのか)」「(ビッグモーター側に)悪意のあるようなメッセージというのはいかがなものかなという感じがしますね。元社員のYouTuberあたりが何か(動画を)流していますけども。逆を言えば、それは問題じゃないのと。自分の胸に手を当てて、よくよく考えたら、というメッセージを送りたいですよね、本当」と不快感を示した。
- 頻繁に行われていた降格人事について、兼重社長は「抜擢人事をやってきた。この人ならできると抜てきしてきた。仕事をやってもらい、まだ十分な力がない場合にはすぐ降格させた」とし「一歩下がって全体をみてもらい、成長したら敗者復活。その繰り返しを社員教育としてやってきた。行き過ぎたかもしれないが、悪意はない」と正当性を主張した。
- 損保会社の出向者が不正に関与した疑いに関して、兼重社長は「それは一切ないと思う」と語った。
- 兼重宏一副社長が出席しなかった事に関して、和泉専務は「不正に関与と言うより誘導して原因の一端があるということが調査報告書に記載されていたため、自主的に退任を決めた」と述べた。また、宏一副社長のパワハラ疑惑に関しても、兼重社長、和泉専務はともに否定した。
- 店舗周辺に除草剤が散布されているとの疑惑に関して、和泉専務は「全店の出入り口、歩道は前後10メートルにおいて雑草やごみがあれば取り除こうということで、毎朝全店でしている。その一環で街路樹にはえている雑草に対して、甘い認識で除草剤をまいて、影響を与えたことはあると思う。それはかれこれ10年くらい前の話で、いまはそういったことはしてない」と現時点での疑惑を否定した。
- 会見終了後、兼重社長は不正を行った社員に対する刑事告訴に関して「刑事告発うんぬんと言ったが、今考えるとその責任は私にあるなあということで、そのあたりは厳正に対処するがそこまでする必要はないなと考えています。考え直しましたので」と、発言を撤回している。
- 同月26日、国土交通省はビッグモーターに対し、道路運送車両法違反の疑いがあるとして同社幹部へのヒアリングを実施した。この日、同省に出頭したのは現社長の和泉伸二、副社長の石橋光国、内部統制監査室長の陣内司、サービス部長の若山哲也、BP(板金・塗装部門)テクニカルサポート部長の加治英之の5名。国土交通省は行政処分を視野に事実関係の確認を進めており、道路運送車両法違反に違反する疑いがある場合は、事業場への立ち入り検査なども検討する[160]。
- 同日付で新社長に就任した和泉社長体制となり、パワハラや不正の温床ともされる、それまでの社内の慣習を順次取りやめさせていることが明らかになっている。
- 前社長の兼重宏行の経営思想を社員に伝えるために配布されていた「経営計画書」を撤回したことが明らかとなった。「経営計画書」の記述には「会社と社長の思想は受け入れないが仕事の能力はある社員については今、すぐ辞めてください」「幹部には目標達成に必要な部下の生殺与奪権を与える」などとした、ハラスメントとも捉えられる過激な記述があったことで、世論の批判を浴びていた[161][162]。
- また、社内の連絡ツールとして使用していたLINEのアカウントを削除するように、社員全員に通知していたことが分かった。同日、国土交通省でのヒアリングを終えた和泉社長がメディアの取材に応じ、「100個くらい(のグループライン)が作成されているらしいと聴いた。LINEでの連絡や報告が頻繁に行われ、休みの日でも確認がされていた」「風土改革の一環で、いったん縛るのはやめようと。縛るようなツールは使いたくないのでいったん全部やめることにした」と説明した。過去の違法な指示などの隠蔽を画策する目的ではないかと批判されたが、和泉は「全く違います。隠そうとする意思はありません」「改革の第1弾としてと伝えている、隠蔽をすることは改革でも何でもない」と否定している[163]。
- 同年8月10日、ビッグモーターは、今回の不祥事の影響により売り上げが減少し経営状態の悪化が懸念される事から、東京都内で同社と取引する金融機関などと会合を開き、8月中旬に借入金の返済期限を迎える事に伴い、借入金90億円の借り換えを要請した。しかし、金融機関などは同社が一連の不祥事で顧客離れが進み、融資を続けることのリスクが大きいと判断し、借り換え要請に応じない方針である事が明らかになっている。同社は2022年9月末時点で現預金は約320億円あることから、これらを取り崩して週内に借入金の返済を行うと見られている[165][166]。8月19日、借入金90億円を取引先銀行に返済したことが明らかとなった[167]。
- 8月17日、同年7月から大手コンサルティング会社デロイトトーマツグループの『ファイナンシャルアドバイザリー』が事業の再生計画に携わっていることが明らかになった。同社に対して、経営立て直しに向けたアドバイスや再生計画の策定などが行われる[168]。
脚注
注釈
- ^ a b c d 会見名「不適切な保険金請求に関するお詫びと新たな経営体制に関する記者会見」。特別調査委員会による調査結果の説明と今後の対応並びに新体制の説明をすると告知された[18]。
- ^ 2023年7月25日に行われたビッグモーターの記者会見では「事故車入庫再開のお礼」のための訪問と発言(後に訂正)[48]。
- ^ a b 当協会では不正請求行為の通報窓口業務[49]や不正請求防止に貢献した事案担当者の表彰、警察への捜査協力を行っている[50]。また各地にある協会支部から保険金詐欺事件を担当した警察部署へ感謝状の贈呈なども行われている[51][52][53][54]。
- ^ a b 毎年全社員に配布される経営計画書の冒頭にある大方針として「義を明らかにして、利を計らず。我々は、お客様との信頼関係を築いて収益の極大化を図る。」、経営理念は「常にお客様のニーズに合ったクオリティの高い商品、サービス、情報を提供する」[4]。
- ^ ビッグモーターの自主調査が行われたのが2022年6月、その調査結果報告のため損保ジャパンを訪問したのが同年7月11日[48]。更に損保ジャパンが金融庁に報告したのが同年7月19日とされる[86]。
- ^ 同委員会は同年8月7日に損保ジャパンから持株会社であるSOMPOホールディングスへ移行した[89]。
- ^ 法に基づいて資料の提出や報告を求めること。虚偽報告や正当な理由なく資料の提出を拒むなどした場合は懲役や罰金が課せられる。銀行は銀行法、保険会社は保険業法など根拠となる法律は異なる[92]。
- ^ この経緯概略では、東京海上日動による独自調査やビッグモーターに対し再三に渡って第三者の調査などをを求めていることが記されている[95]。
- ^ セブン-イレブン名古屋勢子坊3丁目店。元々は今のビッグモーターのところに店舗があったが、現在の場所に移転後、その跡地にビッグモーターが出店した。
- ^ しかし、2010年代後半以降にオープンした店舗前のストリートビューでも、オープン後に街路樹が枯れているのが確認できる[120]。
- ^ 埼玉県が調査した2店舗付近のうち除草剤成分が検出された所沢店前、同様にさいたま市でも2店舗付近のうち浦和美園店前の被害届を提出した[142][143]。
- ^ 条例については、松山市景観条例施行規則の第23条を参照[146]。
出典
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関連項目
- 中古車
- 古物
- 日本中古自動車販売協会連合会(JU)